説明

特定の純度のタルクを含む耐燃性ポリカーボネート成形用組成物

【課題】優れた耐燃性に加えて、肉厚が薄くても、改善された剛性、応力亀裂に対する良好な耐性(すなわち耐薬品性)が顕著であり、そして加工中に工具磨耗が低く、被覆形成(coating formation)が低い、タルクを入れたポリカーボネート組成物を提供する。
【解決手段】衝撃変性剤、少なくとも1種のリン含有耐炎剤、およびMgO含有量28〜35重量%、SiO2含有量55〜65重量%を有するものである高純度タルクを含有するポリカーボネート組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な耐燃性に加えて、肉厚が薄くても、改善された剛性、応力亀裂に対する良好な耐性(すなわち耐薬品性)が顕著であり、そして加工中に工具磨耗が低く、被覆形成(coating formation)が低い[低液性(juicing)]、タルクを入れたポリカーボネート組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
充填されたまたは補強されたPC/ABS成形用組成物はよく知られている。
【0003】
欧州特許出願公開第0 391 413号には、例えば、特定の幾何学的性質を有する無機充填剤を含むPC/ABS成形用組成物であって、この成形用組成物は比較的低い線膨張率、衝撃荷重下における高強度、および加熱下における高い寸法安定性であることが明記されている。タルクおよび非か焼クレー材料が、この発明の充填剤として記載されている。耐炎剤は、添加剤の群として一般的にしか記載されていない。
【0004】
欧州特許出願公開第0 452 788号に、材料のつや消し表面によって顕著に特別である、タルクを含むPC/ABS成形用組成物の記載がある。ここでも、耐炎剤は一般的にしか記載されていない。
【0005】
耐燃性を示す、充填されたまたは補強されたPC/ABS成形用組成物も知られている。
【0006】
日本特許出願公開第0 219 9162号は、ハロゲン含有量0.5〜15重量%のハロゲン含有耐炎剤を入れた、補強された、耐燃性PC/ABS成形用組成物について記載する。タルクは、可能な充填剤として一般的に記載されている。
【0007】
欧州特許出願公開第0 363 608号および欧州特許出願公開第 0 640 655号は、オリゴリン酸エステルまたはオリゴとモノリン酸エステルとの混合物により耐燃性を示す、PC/ABS成形用組成物に関する。成形用組成物は補強材を含み得ると一般的に記載されている。しかしながら、補強された成形用組成物の例は開示されていない。
【0008】
国際公開番号WO99/07778号は、有機リン化合物により耐燃性を示す、補強されたPC/ABS成形用組成物であって、成形用組成物のポリカーボネート含有は、異なる溶液粘度を有する2種の芳香族ポリカーボネートの混合物であるものを記載する。補強剤としてガラス繊維を使用することのみ、例により明示している。これらは成形用組成物の加工中の望ましくない工具磨耗につながる。国際公開番号WO99/07778号は、異なる粘度のポリカーボネートの特定の混合物を使用すると、良好な弾性モジュラス、ノッチ付衝撃強さおよび加工性を有するPC/ABS成形用組成物が得られることを教示する。
【0009】
欧州特許出願公開第0 754 531号では、高いL/D割合を有する繊維状充填剤の使用が、異方性質(引張強さ、剛性、線膨張率、縮み割合)を有する生成物に導くことが記載されているが、これはしばしば、そり、加熱による変形などの望ましくない結果を有する。特定のオリゴリン酸エステルの使用によって耐燃性を示し、そして層状構造を有する充填剤によって補強されたPC/ABS成形用組成物の記載がある。とりわけ、ガラスフレーク、マイカおよびそれらの混合物を充填剤として含む例が記載されている。タルクは充填剤として明示的に記載されていない。欧州特許出願公開第754 531号は、記載の成形用組成物が温度の変化に関する変形の低さで顕著であり、高精度構成要素の使用によいことを教示する。記載されているさらなる利点は、耐炎剤のブリードおよび射出成形工具中の被覆形成に対する傾向が低いことである。
【0010】
日本特許出願公開第0 7316411号は、芳香族モノホスフェート1〜30%を耐炎剤として、および平均粒子径2μm以下のか焼タルク1〜20%を充填剤として含むPC/ABS成形用組成物を記載する。成形用組成物は、良好な処理性、強度および寸法安定性、同様に優れた炎焼保護が顕著である。しかしながら、実験からの教示で、モノホスフェートはブリードする傾向にあり、射出成形による加工で工具上に望ましくない被覆を形成する。
【0011】
米国特許第5,849,827号および国際公開番号WO99/07788号は、ポリカーボネートベースの耐燃性熱可塑性成形用組成物を開示ており、これは、無機粉末の非常に微細に分割されたものを含んでいる。タルクは記載されていない。これには、微細に分割された無機粉体の添加で、UL94Vによる1.6mmアフターバーニング時間、およびその後の耐炎性が改善されたことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 391 413号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 452 788号
【特許文献3】日本特許出願公開第0 219 9162号
【特許文献4】欧州特許出願公開第0 363 608号
【特許文献5】欧州特許出願公開第 0 640 655号
【特許文献6】国際公開番号WO99/07778号
【特許文献7】欧州特許出願公開第0 754 531号
【特許文献8】日本特許出願公開第0 7316411号
【特許文献9】米国特許第5,849,827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、薄い肉厚(特に1.5mm以下)の場合の耐燃性の改善(UL94V試験でのアフターバーニング時間およびドリッピング傾向の縮小)、同時に、特に薄肉成形の場合で重要な、材料の剛性の増強である。さらに、成形用組成物が良好な応力亀裂抵抗性、良好な加水分解安定性、低いそり傾向傾向、良好な流動性、加熱下の寸法安定性および強度を有し、そして加工中の耐炎剤のブリードによる、加工中の工具磨耗および被覆形成が極わずかであることである。
【0014】
今回、下記の特定のタルクを含む衝撃変性ポリカーボネート組成物が所望の性質を有することを見出した。本発明による組成物の性質のプロファイルは、特に、薄肉成形品の製造の使用、特に確かな炎焼保護が必要とされる用途で許容される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明は、衝撃変性剤、少なくとも1種のリン含有耐炎剤、および特定の高純度タルク 組成物総量に対して0.05〜40重量部、好ましくは0.5〜30重量部、特に好ましくは1〜20重量部を含有し、該タルクがタルクに対してMgO含有量28〜35重量%、好ましくは30〜33重量%、特に好ましくは30.5〜32重量%、およびタルクに対してSiO2含有量55〜65重量%、好ましくは58〜64重量%、特に好ましくは60〜62.5重量%を有するものである、ポリカーボネート組成物を提供する。
【0016】
特別に好ましい型のタルクは、タルクに対してAl23含有量5重量%未満、特に1重量%未満、とりわけ0.7重量%未満で区別される。
【0017】
好適物は、下記を含むポリカーボネート組成物から得られる:
A) 少なくとも1種の芳香族ポリカーボネート40〜98重量部、好ましくは45〜95重量部、特に好ましくは50〜90重量部、
B) 少なくとも1種のグラフトポリマー0.5〜50重量部、好ましくは1〜35重量部、特に好ましくは1.5〜25重量部、
C) 少なくとも1種のリン含有耐炎剤0.5〜40重量部、特に2〜20重量部、
D) 上の定義によるタルク0.05〜40重量部、特に0.5〜30重量部、特に好ましくは1〜20重量部。
全成分(A〜Dおよび、必要に応じて、別の成分要素)の重量部の合計は100である。
【0018】
とりわけ好ましい ポリカーボネート組成物は、特に、肉厚1.5mm以下、好ましくは肉厚1.2mm以下で、UL94V試験を評価V-0でパスするという事実において区別される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
成分A
本発明の成分Aに適した芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートは、文献から公知であるかまたは文献から既知の方法で調製できる(芳香族ポリカーボネートの調製については、例えばシュネル著、「ケミストリー・アンド・フィジックス・オブ・ポリカーボネーツ」インターサイエンス・パブリッシャーズ、1964年、およびドイツ特許出願公開(AS)第1 495 626号、同(OS)第2 232 877号、同(OS)第2 703 376号、同(OS)第2 714 544号、同(OS)第3 000 610号および同(OS)第3 832 396号を参照;芳香族ポリエステルカーボネートの調製については、例えばドイツ特許出願公開(OS)第3 077 934号を参照)。
【0020】
芳香族ポリカーボネートは、例えばジフェノールとカルボン酸ハライド(好ましくはホスゲン)および/または芳香族ジカルボン酸ジハライド(好ましくはベンゼンジカルボン酸ジハライド)との反応により、場合によって連鎖停止剤(例えばモノフェノール)および必要に応じて3官能以上の枝分かれ剤(例えば、トリフェノールまたはテトラフェノール)を用いた相境界法で調製される。
【0021】
芳香族ポリカーボネートおよび/または芳香族ポリエステルカーボネートの調製のためのジフェノールは、好ましくは下記の式(I):
【化1】

式中、Aは、単結合、C1-C5アルキレン、C2-C5アルキリデン、C5-C6シクロアルキリデン、-O-、-SO-、-CO-、-S-、-SO2-、C6-C12アリーレン(これらには、任意にヘテロ原子を含有する他の芳香環が縮合できる)、
または式(II)もしくは式(III)
【化2】

の基であり、
置換基Bは、互いに独立して、C1-C12アルキル(好ましくはメチル)、ハロゲン(好ましくは塩素および/または臭素)であり、
置換分xは、それぞれ互いに独立して0、1または2であり、
pは、1または0であり、そして
5およびR6は、各X1に対して独立して選択でき、かつ互いに独立して水素またはC1-C6アルキル、好ましくは水素、メチルおよび/またはエチルを表わし
1は、炭素を表わし、そして
mは、少なくとも1個の原子X1において、R5およびR6が共にアルキルである場合には、4〜7、好ましくは4または5を表わす、である。
【0022】
好ましいジフェノールは、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェノール、ビス-(ヒドロキシフェニル)-C-C-アルカン類、ビス-(ヒドロキシフェニル)-C-C-シクロアルカン類、ビス-(ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビス-(ヒドロキシフェニル)スルホキシド類、ビス-(ヒドロキシフェニル)ケトン類、ビス-(ヒドロキシフェニル)スルホン類およびα,α-ビス-(ヒドロキシフェニル)-ジイソプロピルベンゼン類、および環上で臭素化されたおよび/また環上で塩素化されたそれらの誘導体である。
【0023】
特に好ましいジフェノールは、4,4'-ジヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、2,4-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキサン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、およびそれらの二-および四-臭素化または塩素化誘導体[例えば、2,2-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパンまたは2,2-ビス-(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパンなどである。
【0024】
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)が特に好ましい。
【0025】
ジフェノールは、個別にまたは所望の混合物として使用できる。
【0026】
ジフェノールは、文献から公知であるか、または文献より既知の方法で得ることができる。
【0027】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートの調製に好適な連鎖停止剤の例は、フェノール、p-クロロフェノール、p-tert.-ブチルフェノールまたは2,4,6-トリブロモフェノール、さらにドイツ特許出願公開(OS)第2842005号に記載の4-(1,3-テトラメチルブチル)-フェノールのような長鎖アルキルフェノール、またはアルキル置換基中に合計8〜20個の炭素原子を有するモノアルキルフェノールもしくはジアルキルフェノール(例えば、3,5-ジ-tert.-ブチル-フェノール、p-イソオクチルフェノール、p-tert.-オクチルフェノール、p-ドデシルフェノールおよび2-(3,5-ジメチルヘプチル)-フェノールおよび4-(3,5-ジメチルヘプチル)-フェノール)である。使用される連鎖停止剤の量は、一般に、それぞれの事例で使用されるジフェノールの合計モルに対し0.5モル%〜10モル%の間である。
【0028】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、重量平均分子量(M、例えば超遠心分離または光散乱測定法によって測定されるもの)10,000〜200,000、好ましくは15,00〜80,000を有している。
【0029】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、既知の方法で、特に好ましくは3官能以上の化合物(例えば、フェノール基3個以上を有するもの)を、使用されるジフェノールの合計に対して0.05〜2.0モル%組み込むことによって枝分かれできる。
【0030】
ホモポリカーボネートとコポリカーボネートはいずれも適している。本発明によれば、成分Aに関するコポリカーボネートを調製するために、ヒドロキシアリーロキシ末端基を有するポリジオルガノシロキサン(用いられるジフェノールの合計量に対して)1〜25重量%、好ましくは2.5〜25重量%使用することも可能である。これは、既知であるか(例えば、米国特許第3419634号公報 参照)または文献より公知の方法で調製できる。ポリジオルガノシロキサンを含有するコポリカーボネートの調製は、例えば、ドイツ特許出願公開(OS)第3334782号公報に記載されている。
【0031】
ビスフェノールAホモポリカーボネートに加えて、好ましいポリカーボネートは、好ましいかまたは特に好ましいと記載されている他のジフェノール、特に2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパンを、ジフェノールの合計モルに対し15モル%まで有するビスフェノールAのポリカーボネートである。
【0032】
芳香族ポリエステルカーボネートの調製のための芳香族ジカルボン酸ジハライドは、好ましくはイソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルエーテル-4,4'-ジカルボン酸およびナフタレン-2,6-ジカルボン酸の二酸ジクロライドである。
【0033】
イソフタル酸とテレフタル酸の二酸ジクロライドの比1:20〜20:1の混合物が特に好ましい。
【0034】
カルボン酸ハライド、好ましくはホスゲンも、ポリエステルカーボネートの調製において二官能の酸誘導体として使用される。
【0035】
芳香族ポリエステルカーボネートの調製に使用できる連鎖停止剤は、前述のモノフェノールに加えて、そのクロロ炭酸塩、および芳香族モノカルボン酸の酸クロライドであり、それらはC-C22-アルキル基で、またはハロゲン原子、並びに脂肪族C-C22-モノカルボン酸クロライドで任意に置換され得る。
【0036】
連鎖停止剤の量は、フェノール系連鎖停止剤の場合はジフェノールのモルに対して、またモノカルボン酸クロライド系連鎖停止剤の場合はジカルボン酸ジクロライドのモルに対して、いずれの場合も0.1〜10モル%である。
【0037】
芳香族ポリエステルカーボネートも組み込まれた芳香族ヒドロキシカルボン酸を含有し得る。
【0038】
芳香族ポリエステルカーボネートは、既知の方法で直鎖および分岐され得る(これに関しては、ドイツ特許出願公開(OS)第2940024号公報および同(OS)第3007934号公報 参照)。
【0039】
使用され得る枝分かれ剤は、例えばトリメシン酸トリクロライド、シアヌール酸トリクロライド、3,3',4,4'-ベンゾフェノン-テトラカルボン酸テトラクロライド、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸テトラクロライドまたはピロメリット酸テトラクロライドのような3官能以上のカルボン酸クロライド(使用されるジカルボン酸ジクロライドに対して)0.01〜1.0モル%、またはフロログルシノール、4,6-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプト-2-エン、4,4-ジメチル-2,4,6-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ヘプタン、1,3,5-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-ベンゼン、1,1,1-トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-エタン、トリ-(4-ヒドロキシフェニル)-フェニルメタン、2,2-ビス[4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-シクロヘキシル]-プロパン、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル-イソプロピル)-フェノール、テトラ-(4-ヒドロキシフェニル)-メタン、2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-プロパン、テトラ-(4-[4-ヒドロキシフェニルイソプロピル]-フェノキシ)-メタンおよび1,4-ビス[4,4'-ジヒドロキシトリフェニル)-メチル]-ベンゼンのような3官能以上のフェノール(使用されるジフェノールに対して)0.01〜1.0モル%である。フェノール系枝分かれ剤は、反応容器にジフェノールと共に最初に導入でき、酸クロライド系枝分かれ剤は、酸ジクロライドと一緒に導入できる。
【0040】
熱可塑性芳香族ポリエステルカーボネート中のカーボネート構造単位の含量は、所望の通りに変えることができる。カーボネート基の含量は、エステル基とカーボネート基の合計に対して、好ましくは100モル%まで、特に80モル%まで、特に好ましくは50モル%までである。芳香族ポリエステルカーボネートのエステルおよびカーボネート含量はいずれも、重縮合物中に塊の形態かまたはランダムに分布され得る。
【0041】
芳香族ポリエステルカーボネートの相対溶液粘度(ηrel)は、1.18〜1.4の範囲、好ましくは1.20〜1.32である(塩化メチレン溶液100 mL中のポリエステル-カーボネート0.5gの溶液について25℃で測定した値)。
【0042】
熱可塑性芳香族ポリカーボネートおよびポリエステルカーボネートは、単独でまたは互いの所望の混合物で使用できる。
【0043】
成分B
成分Bは、
B.1 少なくとも1種のビニルモノマー5〜95重量%、好ましくは30〜90重量%を有する、
B.2 ガラス転移温度10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは-20℃未満の1種またはそれ以上のグラフトベース95〜5重量%、好ましくは70〜10重量%、
の1種またはそれ以上のグラフトポリマーを含む。
【0044】
グラフトベース B.2は、一般に、平均粒子径(d50値)0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.2〜1μmを有する。
モノマーB.1は好ましくは、
B.1.1 ビニル芳香族化合物および/または環置換ビニル芳香族化合物(例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレンなど)および/またはメタクリル酸(C1-C8)-アルキルエステル(例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなど)50〜99重量部と、
B.1.2 シアン化ビニル(不飽和ニトリル、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど)および/または(メタ)アクリル酸(C1−C8)アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert.-ブチルアクリレートなど)および/または不飽和カルボン酸の誘導体(酸無水物およびイミド)(例えば無水マレイン酸およびN-フェニル-マレイミド)1〜50重量部
との混合物である。
【0045】
好ましいモノマーB.1.1は、スチレン、α-メチルスチレンおよびメチルメタクリレートのモノマーの少なくとも1種から選択される;好ましいモノマーB.1.2は、アクリロニトリル、無水マレイン酸およびメチルメタクリレートのモノマーの少なくとも1種から選択される。
特に好ましいモノマーは、B.1.1スチレンおよびB.1.2アクリロニトリルである。
【0046】
グラフトポリマーBにおいて適したグラフトベースB.2は、例えば、ジエンゴム、EP(D)Mゴム、すなわちエチレン/プロピレンベースのもの、および必要に応じてジエン、アクリレート、ポリウレタン、シリコーン、クロロプレンおよびエチレン/ビニルアセテートゴムである。
【0047】
好ましいグラフトベースB.2は、ジエンゴム(例えばブタジエン、イソプレンベースなど)もしくはジエンゴムの混合物もしくはジエンゴムのコポリマーまたは他のコポリマー可能なモノマー(例えばB.1.1およびB.1.2によるもの)との混合物であるが、但し成分B.2のガラス転移温度が10℃未満、好ましくは0℃未満、特に好ましくは-10℃未満以下であることを条件とする。
【0048】
特別に好ましいのは純粋なポリブタジエンゴムから得られる。
【0049】
特に好ましいポリマーBは、例えば、ABSポリマー(エマルジョン、塊状および懸濁ABS)などが、例えばドイツ特許出願第2 035 390号(=米国特許第3 644 574号)またはドイツ特許出願第2 248 242号(=英国特許第1 409 275号)またはUllmann、Enzyklopadie der Technischen Chemie、第19巻(1980), 280頁など に記載されている。グラフトベースB.2のゲル含有量は少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%である(トルエン中で測定)。
【0050】
グラフトコポリマーBは、ラジカル重合、例えばエマルジョン、懸濁、溶液または塊状重合、好ましくはエマルジョンまたは塊状重合によって調製される。
【0051】
特に適したグラフトゴムは、米国特許第4 937 285号による有機ヒドロペルオキシドおよびアスコルビン酸のイニシエーターシステムを用いる、レドックス始動によって調製されるABSポリマーである。
【0052】
既知のことであるが、グラフト反応中でグラフトモノマーはグラフトーベース上に完全にグラフトしている必要はなく、本発明によるグラフトポリマーBは、グラフトベースに存在するグラフトモノマーの(共)重合から得られる、および後処理で形成する製造物とも理解される。
【0053】
ポリマーB用のB.2に適したアクリレートゴムは、好ましくはアクリル酸アルキルエステルのポリマーであって、要すれば他の重合可能なエチレン性不飽和モノマーを、B.2を基準として40重量%まで含む。好ましい重合可能なアクリル酸エステルには、C1−C8アルキルエステル(例えばメチル、エチル、ブチル、n-オクチル、および2-エチルヘキシルエステル);ハロアルキルエステル(好ましくはクロロエチルアクリレートなどハロC1−C8アルキルエステル)、およびこれらのモノマーの混合物が含まれる。
【0054】
1種以上の重合可能な二重結合を有するモノマーを、架橋を目的として共重合することができる。架橋モノマーの好ましい例は、炭素数3〜8を有する不飽和モノカルボン酸と炭素数3〜12を有する不飽和一価アルコールまたはOH基2〜4および炭素数2〜20を有する飽和ポリオールのエステル(例えばエチレングリコールジメタクリレート、アリルメタクリレートなど);ポリ不飽和複素環式化合物(例えばトリビニルシアヌレートおよびトリアリルシアヌレートなど);多官能ビニル化合物(ジ-およびトリビニルベンゼン類など);トリアリルホスフェートおよびジアリルフタレートもよい。
【0055】
好ましい架橋モノマーは、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメチルアクリレート、ジアリルフタレートおよび少なくとも3種のエチレン性不飽和基を有する複素環式化合物である。
【0056】
特に好ましい架橋モノマーは、環状モノマーのトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリロイルヘキサヒドロ-s-トリアジン、トリアリルベンゼン類である。架橋モノマーの量は、好ましくはグラフトベースB.2を基準として0.02〜5重量%、特に0.05〜2重量%である。
【0057】
少なくとも3種のエチレン性不飽和基を有する環状架橋モノマーを使用する場合、グラフトベースB.2の1重量%未満の量に制限するのが都合よい。
【0058】
アクリレートとは別に所望によりグラフトベースB.2の調製に使用される、好ましい"他の"重合可能なエチレン性不飽和モノマーは、例えばアクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、アクリルアミド、ビニルC1-C6アルキルエーテル、メチルメタクリレート、ブタジエンである。グラフトベースB.2として好ましいポリアクリレートゴムは、少なくとも60重量%のゲル含有量を有するエマルションポリマーである。
【0059】
他の適したB.2グラフトベースは、ドイツ特許出願公開(OS)第3 704 657号、同(OS)第 3 704 655号、同(OS)第 3 631 540号および同(OS)第3 631539号に記載の、グラフト活性点を有するシリコーンゴムである。
【0060】
グラフトベースB.2のゲル含有量を、適切な溶媒中、25℃で測定する(M. Hoffmann, H. Kromer, R. Kuhn, Polymeranalytik I and II, Georg Thieme-Verlag, Stuttgart 1977)。
【0061】
平均粒子径d50は、それぞれ存在する粒子の50重量%前後の直径である。超遠心分離測定によって測定できる(W. Scholtan, H. Lange, Kolloid, Z. and Z. Polymere 250 (1972), 782-796)。
【0062】
成分C
発明の範囲内のリン含有耐炎剤は、好ましくは、モノマーのおよびオリゴマーのリンおよびリン酸エステル、ホスホネートアミンおよびホスファゼンからなる群から選択され、耐炎剤として、これらの群の1種または種々から選択される数種の成分の混合物を使用することもできる。本明細書中で特に記載されていない他のリン化合物を、単独でまたは他のリン化合物との任意の所望の組合せで使用してもよい。
ハロゲンを含まないリン化合物が使用に好ましい。
【0063】
好ましいモノマーのおよびオリゴマーのリンおよびリン酸エステルは、式(IV)のリン化合物である:
【化3】

式中、R1、R2、R3およびR4は、互いに独立して、必要に応じてハロゲン化されたC1−C8アルキル、C5-C6シクロアルキル、C6−C20アリールまたはC7-C12アラルキルを表わし、それぞれ必要に応じてアルキル(好ましくはC1-C4アルキル)および/またはハロゲン(好ましくは塩素、臭素)で置換されていてもよく、
置換分nは互いに独立して0または1であり、
qは0〜30を表し、および
Xは、炭素数6〜30の単核-または多核芳香族基、または炭素数2〜30を有する直鎖状もしくは分枝状脂肪族基を表し、OH置換されていても8までのエーテル結合を含んでいてもよい。
【0064】
1、R2、R3およびR4は、好ましくは、互いに独立してC1-C4アルキル、フェニル、ナフチルまたはフェニル-C1-C4アルキルを表わす。芳香族基R1、R2、R3およびR4は、ハロゲンおよび/またはアルキル基、好ましくは塩素、臭素および/またはC1-C4アルキルで置換され得る。特に好ましいアリール基は、クレシル、フェニル、キシレニル、プロピルフェニルまたはブチルフェニルおよび対応するそれらの臭素化および塩素化誘導体である。
【0065】
式(IV)中、Xは、炭素数6〜30の単核-または多核芳香族基を意味する。式(I)のジフェノールから誘導されたものが好ましい。
式(IV)中、置換分nは、互いに独立して0または1であり得、nは好ましくは1である。
qは、0〜30の値を示す。式(IV)の種々の成分の混合物が使用される場合、コのような混合物は、好ましくは数平均q値0.3〜20、特に好ましくは0.5〜10、とりわけ0.5〜6を有し得る。
【0066】
Xは、特に好ましくは、
【化4】

または、これらの塩素化または臭素化された誘導体である;Xは、特に、レゾルシノール、ヒドロキノン、ビスフェノールAまたは4,4'-ジヒドロキシジフェニルに由来する。Xは特に好ましくはビスフェノールAに由来する。
【0067】
一般式(IVa)のオリゴマーのリン酸エステルの使用が特に利点があることが判明した:
【化5】

式中、R1、R2、R3およびR4およびnは前記と同意義であり、
置換分lは、互いに独立して、0、1、2、3または4、好ましくは0、1または2であり、
qは、0.3〜20、好ましくは0.5〜10、特に0.5〜6であり、
5およびR6は、互いに独立してC1-C4-アルキル、好ましくはメチルであり、および、
Yは、C1-C7-アルキリデン、C1-C7-アルキレン、C5-C12-シクロアルキレン、C5-C12シクロアルキリデン、-O-、-S-、-SO-、SO2または-CO-、好ましくは C1-C7-アルキリデン、特にイソプロピリデンまたはメチルである。
【0068】
このようなリン化合物で提供される組成物は、特に高い応力亀裂抵抗および加水分解安定性、および射出成形による加工中の被覆形成の特に低い傾向を示す。。さらに、とりわけ高い加熱下寸法安定性が、これらの耐炎剤によって達成できる。
【0069】
特定の好適物は、ビスフェノールA由来の一般式(IVa)の化合物の使用によって与えられる。
【0070】
本発明の成分Cとして、モノホスフェート(q=0)、オリゴホスフェート(q=1〜30)またはモノ-およびオリゴ-ホスフェートの混合物が使用され得る。
【0071】
式(IV)のモノリン化合物は、とりわけ、トリブチルホスフェート、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス-(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレシルホスフェート、ジフェニルクレシルホスフェート、ジフェニルオクチルホスフェート、ジフェニル-2-エチルクレシルホスフェート、トリ-(イソプロピルフェニル)ホスフェート、ハロ置換アリールホスフェート、メチルリン酸ジメチルエステル、メチルリン酸ジフェニルエステル、フェニルリン酸ジエチルエステル、トリフェニルホスフィンオキシドまたはトリクレシルホスフィンオキシドである。
【0072】
成分C、式(IV)のリン化合物は既知である(例えば、欧州特許出願公開第363 608号、欧州特許出願公開第640 655号参照)か、または既知方法と同様の方法で調製することができる(例えばUllmanns Encyklopadie der technischen Chemie, 第18巻, 301頁など, 1979;Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, 第12/1巻, 43頁;Beilstein 第6巻, 177頁)。
【0073】
平均q値は、適した方法(ガスクロマトグラフィー(GC)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)) による、ホスフェート混合物の組成(分子量分布)の決定、そこからqの平均値の計算によって決定できる。
【0074】
ホスホネートアミンは、好ましくは、式(V)の化合物である:
【化6】

式中、
Aは、式(Va)
【化7】

または式(Vb)
【化8】

の基を表わし、
11およびR12は、互いに独立して、非置換もしくは置換C1−C10−アルキルまたは非置換もしくは置換C6−C10−アリールであり、
13およびR14は、互いに独立して、非置換もしくは置換C1−C10−アルキルまたは非置換もしくは置換C6−C10−アリールであり、または
13およびR14は、併せて非置換または置換C3-C10-アルキレンを示し、
yは、0、1または2の数値を示し、および
置換基B1は、互いに独立してハロゲン、必要に応じてハロゲン化されたC2-C8-アルキル、非置換もしくは置換C6−C10-アリールである。
【0075】
置換基B1は、好ましくは互いに独立してハロゲン、エチル、n-またはイソプロピルであり、ハロゲンで置換されていてもよい;C6−C10-アリール、特にフェニルまたはナフチルであり、非置換またはC1-C4-アルキルおよび/またはハロゲンで置換されていてもよい、である。
【0076】
11、R12、R13およびR14のアルキルは、互いに独立して、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-、イソ-、sec.-またはtert.-ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。
【0077】
11、R12、R13およびR14の置換されたアルキルは、互いに独立して、好ましくは、ハロゲン置換されたC1−C10-アルキル、特にモノ-もしくはジ-置換されたメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-、イソ-、sec.-もしくはtert.-ブチル、ペンチルまたはヘキシルである。
【0078】
11、R12、R13およびR14の、C6−C10-アリールは、互いに独立して、好ましくは、フェニル、ナフチルまたはビナフチル、特にo-フェニル、o-ナフチル、o-ビナフチルであり、ハロゲンで置換 (一般に、モノ-、ジ-またはトリ-置換)されてもよい。
【0079】
13およびR14は、それらが直接結合している酸素原子およびリン原子と併せて1つの環構造を形成してもよい。
【0080】
以下に好ましいものを例示として記載する:式(Va-1)の5,5,5'5',5'',5''-ヘキサメチルトリス(1,3,2-ジオキサホスホリナンメタン)アミン-2,2',2''-トリオキシド
【化9】

(ソルティア・インコーポレイテッド(St. Louis, USA)の試作品 XPM 1000);
1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-メタンアミン,N-ブチル-N[(5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-イル)メチル]-5,5-ジメチル-,P,2-ジオキシド;1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-メタンアミン,N-[(5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-イル)メチル]-5,5-ジメチル-N-フェニル-,P,2-ジオキシド;1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-メタンアミン,N,N-ジブチル-5,5-ジメチル-,2-オキシド;1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-メタンアミン,N-[(5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-イル)メチル]-N-エチル-5,5-ジメチル-,P,2-ジオキシド;1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-メタンアミン,N-ブチル-N-[(5,5-ジクロロメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-イル)メチル]-5,5-ジクロロメチル-,P,2-ジオキシド;1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-メタンアミン,N-[(5,5-ジクロロメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-イル)メチル]-5,5-ジクロロメチル-N-フェニル,P,2-ジオキシド;1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-メタンアミン,N,N-ジ-(4-クロロブチル)-5,5-ジメチル-2-オキシド;1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-メタンアミン,N-[(5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサホスホリナン-2-イル)メタン]-N-(2-クロロエチル)-5,5-ジ(クロロメチル)-,P,2-ジオキシド。
【0081】
下記も好ましい:式(Va-2)または(Va-3)の化合物
【化10】

式中、R11、R12、R13およびR14は前記と同意義である。
【0082】
式(Va-2)および(Va-1)の化合物が特に好ましい。
【0083】
ホスホネートアミンの調製は、例えば米国特許明細書第5,844,028号に記載されている。
【0084】
ホスファゼンは、式(VIa)および(VIb)の化合物である:
【化11】

式中、
基Rは、互いに同一であっても異なってもよく、アミノ、C1−C8-アルキルまたはC1−C8-アルコキシ、それぞれ必要に応じてハロゲン化(好ましくはフッ素によるハロゲン化)されてもよい、C5-C6-シクロアルキル、C6-C20-アリール、好ましくはフェニルまたはナフチル、C6−C20-アリールオキシ、好ましくはフェノキシ、ナフチルオキシ、またはC7-C12-アラルキル、好ましくはフェニル-Cl-C4-アルキル、それぞれ必要に応じてアルキル、好ましくはCl-C4-アルキル、および/またはハロゲン、好ましくは塩素および/または臭素によって置換されてもよい、であり、
kは、0または1〜15の数値、好ましくは1〜10の数値を示す。
【0085】
以下は、一例として記載できるものである:
プロポキシホスファゼン、フェノキシホスファゼン、メチルフェノキシホスファゼン、アミノホスファゼンおよびフルオロアルキルホスファゼン。
フェノキシホスファゼンが好ましい。
【0086】
ホスファゼンは、単独でまたは他のリン含有耐炎剤との混合形態で使用することができる。基Rは、通常同一であり、また式(VIa)および(VIb)の2以上の基は異なってもよい。
ホスファゼンおよびそれらの調製は、例えば、欧州特許出願公開第 728 811号、ドイツ特許出願公開第1 961 668号および国際公開番号WO97/40092号に記載されている。
【0087】
耐炎剤は、単独でまたは、互いにもしくは他の耐炎剤との混合添加物の任意の所望の混合で使用し得る。
【0088】
成分D
タルクは、天然型または合成調製されたタルクとして理解される。
【0089】
純粋なタルクは、化学組成 3MgO・4SiO2・H2Oを有し、従ってMgO含有量31.9重量%、SiO2含有量63.4重量%および、化学的に結合した水の含有量4.8重量%を有する。層状構造を有するケイ酸塩である。
【0090】
天然型タルク材料は、上記の一般的な理想的組成を有しない。マグネシウムの他の元素による部分的置換によって、ケイ素の例えばアルミニウムによる部分的置換によって、および/または他の無機物(例えばドロマイト、マグネサイトおよび緑泥石)との合生によって、不純となるからである。
【0091】
発明の範囲内のタルクの特定の型は、非常に純度が高いことで区別され、MgO含有量28〜35重量%、好ましくは30〜33重量%、特に好ましくは30.5〜32重量%、およびSiO2含有量55〜65重量%, 好ましくは58〜64重量%、特に好ましくは60〜62.5重量%によって特徴付けられる。好ましいタルクの型は、さらに、Al23含有量5重量%未満、特に好ましくは1重量%未満、特に0.7重量%未満によって区別される。
【0092】
この定義に対応する市販のタルクの型は、例えば、Naintsch A3、A7、A10、A30およびNaintsch Prever M30(Naintsch Mineralwerke GmbH (Graz、Austria)より)、およびタイプFinntalc M05SL、M03およびM20SL(Omya GmbH 販売(Cologne))である。
【0093】
発明の範囲内でないタルクの型は、例えば、Naintsch SE-標準、Naintsch SE-スーパー、Naintsch SE-ミクロおよびNaintsch ST 10、15、20、30および60であり、これら全てはNaintsch Mineralwerke GmbHから市販されている。
【0094】
平均最大粒子径d5020μm未満、好ましくは10μm未満、特に好ましくは5μm未満、とりわけ好ましくは2.5μm未満を有する、微細な粉状型の形態の、本発明のタルクの使用が、特に利点がある。このような微細型のタルクの使用により、他の性質(耐燃性、剛性、流動性、応力亀裂抵抗性など)を損なうことなく、特に、改善された(ノッチ付き)衝撃強度が達成される。
【0095】
タルクは、ポリマーとの良好な親和性を確保するために、表面処理(例えばシラン化)されていてもよい。成形用組成物の加工および調製に関して、コンパクト化タルクの使用も利点がある。
【0096】
他の添加剤E
本発明の組成物は、好ましくはフッ素化ポリオレフィンE.1を、組成物総量に対して3重量部まで、好ましくは0.01〜1重量部の量で、たれ防止剤として含み得る。
【0097】
フッ素化ポリオレフィンは一般に知られている(例えば、欧州特許出願公開第640 655号参照)。市販品は、例えば、デュポン社のTeflon(登録商標)30Nである。
【0098】
フッ素化ポリオレフィンは、フッ素化ポリオレフィンのエマルジョンと、グラフトポリマーB)のエマルジョンまたはコポリマー(好ましくはスチレン/アクリロニトリルベース)のエマルジョンとの凝集混合物の形態、エマルジョン形態のフッ素化ポリオレフィンをグラフトポリマーまたはコポリマーのエマルジョンと混合し次いで凝集させたものである、で使用し得る。
【0099】
フッ素化ポリオレフィンは、グラフトポリマーBまたは好ましくはスチレン/アクリロニトリルベースのコポリマーを有するプレ化合物の形態で使用され得る。フッ素化ポリオレフィンは、粉末の形態で、グラフトポリマーまたはコポリマーの粉末または顆粒と混合され、一般に208〜330℃の温度で、インターナルミキサー、押出機および2軸スクリューなどの通常使用される装置などで溶融コンパウンドされる。
【0100】
フッ素化ポリオレフィンはマスターバッチの形態で使用してもよく、これは、フッ素化ポリオレフィンの水性分散の存在下、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和モノマーのエマルジョン重合によって調製される。好ましいモノマー成分は、スチレン、アクリロニトリルおよびそれらの混合物である。ポリマーは、酸沈殿、続く乾燥後の、注ぎ入れ可能な粉末の形態で使用される。
【0101】
凝固物、プレ化合物およびマスターバッチは、通常、フッ素化ポリオレフィンの固形分5〜95重量%、好ましくは7〜60重量%を有する。
【0102】
本発明の組成物は、別のポリマーを含んでもよい。
ビニル芳香族化合物、シアン化ビニル(不飽和ニトリル)、(メタ)アクリル酸(C1−C8)-アルキルエステル、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸の誘導体(酸無水物およびイミド)からなる群の少なくとも1種のモノマーの、適した好ましいビニル(コ)ポリマー(E.2)がある。
適した特に好ましいものとして、
E.2.1 ビニル芳香族化合物および/または核置換されたビニル芳香族化合物(例えばスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレンなど)、および/またはメタクリル酸(C1−C8)-アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレートなど)50〜99重量部、好ましくは60〜90重量部、および
E.2.2 シアン化ビニル(不飽和 ニトリル)(アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど)、および/または(メタ)アクリル酸(C1−C8)-アルキルエステル(例えばメチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、tert.-ブチルアクリレートなど)、および/または不飽和カルボン酸(マレイン酸など)、および/または不飽和カルボン酸の誘導体(酸無水物およびイミドなど)(例えば無水マレイン酸およびN-フェニル-マレイミド)1〜50重量部、好ましくは10〜40重量部、
との(コ)ポリマーがある。
【0103】
(コ)ポリマーE.2は樹脂様であり、熱可塑性であってゴムを含まない。
【0104】
特定の好適物は、E.2.1スチレンおよびE.2.2アクリロニトリルのコポリマーから得られる。
【0105】
E.2の(コ)ポリマーは既知であり、ラジカル重合、特にエマルジョン、懸濁、溶液または塊状重合で調製することができる。成分E.2の(コ)ポリマーは、好ましくは、分子量M(重量平均、例えば光散乱測定法または沈殿法によって測定)15,000〜200,000を有する。
【0106】
欧州特許出願公開第841 187号などに記載のポリアルキレンテレフタレート(E.3)も適している。
【0107】
好適物は、テレフタル酸および/またはそれらの反応性誘導体(例えばそれらのジアルキルエステル)およびエチレングリコールおよび/または1,4-ブタンジオールから調製されるポリアルキレンテレフタレート、およびそれらのポリアルキレンテレフタレートの混合物から得られる。
【0108】
本発明による組成は、好ましくは、ビニル(コ)ポリマー、ポリアルキレンテレフタレートまたはそれらの混合物を、組成物総量に対して、30重量%まで、好ましくは15重量%まで含む。
【0109】
本発明による成形用組成物は、少なくとも1種の他の通常使用される添加剤(例えば、たれ防止剤、滑剤および離型剤、核生成剤、帯電防止剤、安定剤、着色剤および顔料、同様に充填剤および補強剤(タルクを除く)を含んでもよい。
【0110】
上記成分および必要に応じて添加剤を含む、本発明による成形用組成物は、各成分要素を、インターナルミキサー、押出機および2軸スクリューなどの通常使用される装置などで、200℃〜300℃の温度で、既知方法で溶融コンパウンド化または溶融押出で混合することにより調製される。
【0111】
各成分要素は、既知の方法で、連続してでも同時でも、そして約20℃(室温)でも高温でも混合することができる。
【0112】
優れた耐燃性および他の良好な性質(例えば、ESC作用(応力亀裂抵抗性)、剛性、加熱下寸法安定性、流動性およびそりのないことなど)により、本発明の熱可塑性成形用組成物は、任意の種類の成形物品の製造、とりわけ耐燃性の点で高められた要求を有する薄肉品に適する。
【0113】
成形物品は、例えば射出成形または押出成形によって製造できる。製造できる成形物品の例は:任意の種類のケーシング部品、例えばジューサー、コーヒーメーカー、ミキサーなどの家庭用電気器具;ミニター、(移動式)コンピューター、プリンターおよびコピーなどの事務用機器である。可能な他の用途分野は、建設部門用のカバープレートおよび電動設備チャンネル、同様に自動車産業である。成形用組成物を、例えばスイッチ、ソケットおよび回路基板など、電気工学分野で使用することもできる。
【0114】
本発明は、組成物の調製方法、成形物品の製造における組成物の使用、および成形物品自体に関する。
【実施例】
【0115】
成分A−1
相対溶液粘度1.28(ジクロロメタン中、25℃、濃度0.5g/100mlで測定)を有する、ビスフェノールAベースのポリカーボネート。
成分A−2
成分A−1であるが、但し相対溶液粘度1.20を有する。
成分A−3
成分A−1であるが、但し相対溶液粘度1.25を有する。
【0116】
成分B−1
エマルジョン重合によって調製される、スチレンとアクリロニトリルとの比72:28のコポリマー45重量部の、粒状架橋ポリブタジエンゴム55重量部へのグラフトポリマー(平均粒子径d50=0.3〜0.4μm)
成分B−2
塊状重合によって調製される、スチレンとアクリロニトリルとの比75.5:24.5のコポリマー83重量部の、スチレン含有量10%を有する架橋ポリブタジエン-スチレンゴム24.5重量部への、グラフトポリマー(平均粒子径d50=0.5μm)
【0117】
成分C
C.1 ビスフェノールAベースのホスフェート
【化12】

C.2 レゾルシノールベースのホスフェート
【化13】

平均q値を測定するために、最初に、オリゴマーのホスフェートの割合をHPLC測定で決定した:
カラム : LiChrosorp RP-8
溶離液(勾配): アセトニトリル/水50:50〜100:0
濃度 : 5mg/ml
【0118】
次いで数加重平均値を、個々の成分(モノ-およびオリゴホスフェート)の割合から、既知の方法で、決定した。
【0119】
成分D
D1:Naintsch Prever M30、Naintsch Mineralwerke GmbH(Graz, Austria)のタルク、MgO含有量31.2重量%、SiO2含有量62.5重量%およびAl23含有量0.7重量%を有する。
D2:FinntalcM05SL、Mondo Minerals Oy (Helsinki、Finland)のタルク(Omya GmbH (Cologne)販売)、MgO含有量31重量%、SiO2含有量61重量%およびAl23含有量0.3重量%を有する。
D3:FinntalcM20SL、Mondo Minerals Oyのタルク、MgO含有量31重量%、SiO2含有量61重量%およびAl23含有量0.3重量%を有する。
D4:Naintsch A3、Naintsch Mineralwerke GmbHのタルク、MgO含有量31.5重量%、SiO2含有量62.0重量%およびAl23含有量0.4重量%を有する。
D5:Naintsch SE-Super、Naintsch Mineralwerke GmbHのタルク、MgO含有量22重量%およびSiO2含有量17重量%を有する。Al23は検出されなかった。
D6:Naintsch ST10、Naintsch Mineralwerke GmbHのタルク、MgO含有量30 重量%、SiO2含有量48重量%およびAl23含有量10.5重量%を有する。
【0120】
表示の化学組成に関するデータは、製造データである。分析は、文献既知の方法(例えばX線蛍光分光測定または原子吸着分光法または熱量測定)で行なった。
【0121】
成分E−1
ポリテトラフルオロエチレンエマルジョンを、グラフトポリマー(成分B)の水性エマルジョンおよびテトラフルオロエチレンポリマーの水性エマルジョンの混合物の共沈殿で調製した。凝集中の、テトラフルオロエチレンポリマーEのグラフトポリマーBに対する重量比は90重量%〜10重量%である。テトラフルオロエチレンポリマーエマルジョンは固形分60重量%を有し、平均PTFE粒子直径は0.05〜0.5μmである。グラフトポリマーエマルジョンは固形分34重量%を有し、平均ラテックス粒子直径は0.3〜0.4μmである
【0122】
E−1の調製
テトラフルオロエチレンポリマーのエマルジョン(デュポン社のTeflon 30 N)を、グラフトポリマーBのエマルジョンと混合し、ポリマー固形分に対して1.8重量%のフェノール性酸化防止剤で安定化させた。MgSO4(Epsom塩)および酢酸のpH4〜5の水性溶液を用いて、85〜95℃で混合物を凝固させ、濾過し、そして実質的に電解質を含まなくなるまで洗浄し、その後、大部分の水を遠心分離で除き、それから100℃で乾燥させ、粉末にした。この粉末は、記載の装置で、他の成分とコンパウンドできた。
【0123】
成分E−2
Blendex 449:General Electric PlasticsのPTEF製品、50重量%PTFEおよび50重量%SANコポリマーからなる。
【0124】
成分E−3
スチレン/アクリロニトリル比72:28、固有粘度0.55dl/g(ジメチルホルムアミド中、20℃で測定)を有するスチレン/アクリロニトリルコポリマー。
【0125】
成分E−4
ホスファイト安定剤
【0126】
成分E−5
離型剤として、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール
【0127】
本発明の成形用組成物の調製および試験
成分A〜Eを、3リットルニーダーで混合した。アーブルグ(Arburg)270E型射出成形機で、240℃で成形物品を製造した。
測定値80×10×4mmのロッドで応力亀裂作用を試験した。使用した試験溶媒は、トルエン60容積%とイソプロパノール40容積%の混合物であった。試験片を円弧テンプレートでプレ伸張し(プレ伸張1.2〜2.4%)、試験溶媒中に室温で5分間保存した。
【0128】
応力亀裂作用を、曲げ伸長を用いて、試験溶媒中の暴露時間5分以内で、破壊に必要とされるロッドにより評価した。
【0129】
耐燃性を、厚さ1.2mmを有するロッドでUL94Vに従って決定した。
【0130】
引っ張りモジュラスを、ISO 527/DIN 53 457に従って測定した。
【表1】


【表2】

【0131】
表1から、高純度型のタルク(実施例1〜5)の使用によって、肉厚1.2mmで耐燃性が改善され(アフターバーニング時間の減少、同様にドリッピング傾向の減少)、そして同じ濃度で他の型のタルクを使用した場合(比較例1および2)より高い弾性モジュラスが達成されたことがわかる。高純度タルクのもののみが、肉厚1.2mmでのUL94V試験で、V-0評価に達した。成形用組成物はさらに、応力亀裂に対する抵抗性の著しい良好さによって区別される。使用されるPTFE製品の性質は、これらの性質に対してほんの極わずかな効果でしかない(実施例2および3)。この効果は種々のリン含有耐炎剤でみられた。
【0132】
タルクの濃度の増加により、アフターバーニング時間は、最初は、ある限度内でますます減少し、これは当該組成物と耐炎剤の性質に依存するものである(実施例3および6〜8)。弾性モジュラスはタルクの含有量に伴い1次的に増加し、高純度型のタルクの場合は、弾性モジュラスの増加は添加したタルク1重量%に対して0.15GPaで達成された。しかしながら、他の型のタルクを使用した場合は、弾性モジュラスにおいて明らかに小さな増加しか観測されなかった(比較例1および2)。
【0133】
非常に低いタルク含有量、例えば1重量%であっても、異なるリン含有耐炎剤と組合せて、肉厚1.2mmでのUL94V試験のV-0評価、およびESC作用について著しい改善の達成が可能であった(実施例7、8、12および13)。実施例12と比較例3との、または実施例13と比較例4との比較は、耐燃性(アフターバーニング時間およびドリッピング傾向)、応力亀裂抵抗および成形用組成物の剛性におけるタルクのプラスの効果を示す。低濃度(例えば1〜5重量%)のタルクの使用で、優れた耐燃性および高められた剛性と高強度のバランス、さらに非常に良好なESC作用を有する、成形用組成物の調製が可能である。
【0134】
肉厚1.2mmでのUL94V試験のV-0評価が、種々のリン含有耐炎剤との組み合わせで得られ、また、タルク高含有量(例えば10〜20重量%)の事例でも得られた(例えば実施例9および11)。タルク高含有量の成形用組成物は、優れた耐燃性および特に高い剛性、同時に驚くべき高強度の点で区別される。
【0135】
C.1(ビスフェノールAベースのホスフェート)をリン含有耐炎剤として使用する場合、レゾルシノールベースのホスフェート(C.2)と比較して、特にタルク低含有量(例えば3重量%以下)で、特に良好なESC作用が得られた(実施例7、8、12および13)。しかしながら、レゾルシノールベースのホスフェート(C.2)の事例でも、タルクの添加によってESC作用の改善が達せられた(実施例7および8)。
【0136】
耐燃性における特定のタルクの記載のプラスの効果は、1種のポリカーボネートのみを使用した場合、および異なる溶液粘度の数種のポリカーボネートの混合物を使用した場合の両方で認められる(実施例7、8、12および13)。
また、塊状ABS(実施例14)または塊状物とエマルジョンABSの混合物(実施例15)を衝撃変性剤として使用した場合も、この効果が認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート、少なくとも1種の衝撃変性剤、少なくとも1種のリン含有耐炎剤、および高純度タルクを含有し、該タルクがタルクに対して各成分MgO含有量28〜35重量%、SiO2含有量55〜65重量%およびAl23含有量5重量%未満であることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の芳香族ポリカーボネート40〜98重量%、少なくとも1種のグラフトポリマー0.5〜50重量%、少なくとも1種のリン含有耐炎剤0.5〜40重量%、およびタルク0.05〜40重量%を含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の芳香族ポリカーボネート45〜95重量%、少なくとも1種のグラフトポリマー1〜35重量%、少なくとも1種のリン含有耐炎剤2〜20重量%、およびタルク0.5〜30重量%を含有する、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
タルクに対して各成分MgO含有量30〜33重量%、SiO2含有量58〜64重量%およびAl23含有量1.0重量%未満であることを特徴とするタルクを含有する、請求項1〜3いずれかに記載の組成物。
【請求項5】
タルクに対して各成分MgO含有量30.5〜32重量%、SiO2含有量60〜62.5重量%およびAl23含有量0.7重量%未満であることを特徴とするタルクを含有する、請求項1〜3いずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記タルクがさらに、少なくとも50%重量のタルクでの最大直径2.5μm以下を有するタルク粒子(d502.5μm以下)で特徴付けられる、請求項1〜5いずれかに記載の組成物。
【請求項7】
衝撃変性剤として、少なくとも1種のビニルモノマー5〜95重量%の、ガラス転移温度10℃未満の少なくとも1種のグラフトベース95〜5重量%への、1種またはそれ以上のグラフトポリマーを含有する、請求項1〜6いずれかに記載の組成物。
【請求項8】
ジエン、EP(D)M、アクリレートまたはシリコーンゴムベースのグラフトポリマーを含有する、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
衝撃変性剤として、エマルジョンもしくは塊状ABSまたはそれらの混合物を含有する、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
モノおよびオリゴリン酸またはリン酸エステル、ホスホネートアミンおよびホスファゼンの群から選択される、少なくとも1種のリン含有耐炎剤を含有する、請求項1〜9いずれかに記載の組成物。
【請求項11】
一般式(IV)
【化1】

式中、R1、R2、R3およびR4は、互いに独立して、必要に応じてハロゲン化されたC1−C8アルキル、C5-C6シクロアルキル、C6−C20アリールまたはC7-C12アラルキルであり、それぞれ必要に応じてアルキルおよび/またはハロゲンで置換されていてもよく、
置換分nは互いに独立して0または1であり、
qは0〜30を表し、および
Xは、炭素数6〜30の単核または多核芳香族基、または炭素数2〜30を有する直鎖状もしくは分枝状脂肪族基を表し、OH置換されていても8までのエーテル結合を含んでいてもよい、
の、少なくとも1種のリン化合物を耐炎剤として含有する、請求項1〜10いずれかに記載の組成物。
【請求項12】

【化2】

式中、R1、R2、R3およびR4は、互いに独立して、C1−C8-アルキルおよび/または必要に応じてアルキル置換されたC5-C6-シクロアルキル、C6−C10-アリールまたはC7-C12-アラルキルであり、
置換分nは、互いに独立して0または1であり、
置換分lは、互いに独立して0、1、2、3または4であり、
qは、0.3〜20であり、
5およびR6は、互いに独立してC1-C4-アルキルであり、および、
Yは、C1−C7-アルキリデン、C1−C7-アルキレン、C5-C12-シクロアルキレン、C5-C12-シクロアルキリデン、-O-、-S-、-SO-、SO2または-CO-を表す、
の少なくともの1種の化合物を耐燃剤として含有する、請求項1〜11いずれかに記載の組成物。
【請求項13】

【化3】

式中、qは0.3〜10である、
の化合物を耐燃剤として含有する、請求項1〜12いずれかに記載の組成物。
【請求項14】
ビニル(コ)ポリマー、ポリアルキレンテレフタレートまたはそれらの混合物を含有する、請求項1〜13いずれかに記載の組成物。
【請求項15】
組成物総量に対して30重量%までのビニルコポリマーを含有する、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
さらに市販の添加剤、例えばたれ防止剤、滑剤および離型剤、核生成剤、帯電防止剤、安定剤、着色剤および顔料、同様に充填剤および補強剤(タルクを除く)などを含有する、請求項1〜15いずれかに記載の組成物。
【請求項17】
たれ防止剤としてフッ素化ポリオレフィンを含有し、必要に応じて、請求項7記載のグラフトポリマーまたはビニル(コ)ポリマーとの凝集物、プレ化合物またはマスターバッチの形態で使用される、請求項1〜16いずれかに記載の組成物。
【請求項18】
少なくとも1種の芳香族ポリカーボネート50〜90重量%、少なくとも1種の請求項9記載のグラフトポリマー1.5〜25重量%、少なくとも1種の請求項11記載の耐炎剤2〜20重量%、ビニル(コ)ポリマー0〜20重量%、および請求項4記載のタルク1〜20重量%を含有し、そして成分の合計が100である、ポリカーボネート組成物。
【請求項19】
少なくとも1種の芳香族ポリカーボネート50〜90重量%、少なくとも1種の請求項9記載のグラフトポリマー1.5〜25重量%、少なくとも1種の請求項12記載の耐炎剤2〜20重量%、ビニル(コ)ポリマー0〜20重量%、および請求項5記載のタルク1〜20重量%を含有し、そして成分の合計が100である、ポリカーボネート組成物。
【請求項20】
肉厚1.5mm以下でのUL94V試験をV-0でパスすることを特徴とする、請求項1〜19いずれかに記載のポリカーボネート組成物。
【請求項21】
各成分を混合し、高温でコンパウンドする、請求項1記載のポリカーボネート組成物の調製方法。
【請求項22】
各種の成形物品および成形品の製造における、請求項1〜21いずれかに記載のポリカーボネート組成物の使用。
【請求項23】
請求項1〜22いずれかに記載のポリカーボネート組成物から得られる、成形物品および成形品。

【公開番号】特開2013−32538(P2013−32538A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−221526(P2012−221526)
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【分割の表示】特願2001−548605(P2001−548605)の分割
【原出願日】平成12年12月12日(2000.12.12)
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen, Germany
【Fターム(参考)】