説明

特定有価証券入金機および特定有価証券入金方法

【課題】小切手や手形等の特定有価証券、そのなかでも特に利用頻度の低い特殊形状の特定有価証券について、効率良く且つ確実に入金処理と現品処理とを行うことが可能な特定有価証券入金機および特定有価証券入金方法を提供する。
【解決手段】特定有価証券を機内に取り込む手段と、特定有価証券に記載されたデータを読み取って読み取りデータを生成する手段と、読み取りデータを認識して認識データを生成する手段と、認識データの正当性を承認して入金処理データを生成する手段と、読み取りデータと認識データと入金処理データとを格納する手段と、特定有価証券を収納する収納手段と、機内に取り込んだ特定有価証券が外部排出される排出手段と、機内に取り込んだ特定有価証券を前記収納手段に収納する収納モードまたは機内に取り込んだ特定有価証券を排出手段に外部排出する排出モードを示すモード選択指示に基づいて選択する選択手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関等において特定有価証券の入金処理に使用される特定有価証券入金機および特定有価証券入金方法に関し、特に利用頻度の低い特殊形状の特定有価証券の入金処理を行うことができる特定有価証券入金機および特定有価証券入金方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行等の金融機関では、店内の現金の入出金を管理する現金処理機として出納機が設けられており、窓口担当者は出納機を用いて窓口の入出金機へ現金を回す回出金を行ったり、窓口の入出金機から回収してくる回入金を行ったりしている。また、渉外員は渉外先へ持ち出す出金処理や、渉外先から持ち帰った現金等の入金処理を行っている。
【0003】
ところで、このような現金処理機では、現金を現金処理機に投入することにより現金の入金処理は行うことができるが、小切手や手形等の有価証券の入金処理は現金処理機により行うことができない。このため、このような有価証券については窓口で受け付けた後に、係員が入金データを取りまとめてキー入力することにより入金処理を行い、有価証券の現品は手作業で分類処理を行うか、集中センター等において仕分け機で仕分けして管理していた。有価証券の仕分けを行う技術としては、たとえば帳票認識処理部内の一時スタッカに収納された帳票を還流させて帳票の仕分けを行うようにした技術が開示されている(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−6019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の係員が入金データを取りまとめてキー入力する方法では、係員の計数ミスにより照合に時間がかかったり、入金処理と仕分け処理が異なる時間、場所で行われるため係員の作業が繁雑になるという問題がある。したがって、小切手や手形等の有価証券についても入金処理を行う際に現品を一緒に処理できることが非常に効率的であり望ましいが、このような処理を実現させる技術は未だ開発されていないのが現状である。さらに、従来の仕分け技術ではOCR(Optical Character Reader)等による認識が、特に利用頻度の低い特殊形状の特定有価証券については対応していないという状況もある。
【0006】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、小切手や手形等の特定有価証券、そのなかでも特に利用頻度の低い特殊形状の特定有価証券について、効率良く且つ確実に入金処理と現品処理とを行うことが可能な特定有価証券入金機および特定有価証券入金方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1の発明にかかる特定有価証券入金機は、特定有価証券の情報を認識して該特定有価証券の入金処理を行い、該特定有価証券を収納する特定有価証券入金機であって、特定有価証券を機内に取り込む取り込み手段と、機内に取り込んだ特定有価証券に記載されたデータを読み取って読み取りデータを生成する読み取り手段と、読み取りデータを認識して認識データを生成する認識手段と、認識データの正当性を示す承認指示に基づいて承認して入金処理データを生成する承認手段と、読み取りデータと認識データと入金処理データとを格納する格納手段と、機内に取り込んだ特定有価証券を収納する収納手段と、機内に取り込んだ特定有価証券が外部排出される排出手段と、機内に取り込んだ特定有価証券を収納手段に収納する収納モードまたは機内に取り込んだ特定有価証券を排出手段に外部排出する排出モードを示すモード選択指示に基づいて選択する選択手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明にかかる特定有価証券入金機は、請求項1の発明において、読み取りデータを生成した特定有価証券を一時的に保留する一時保留手段を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3の発明にかかる特定有価証券入金機は、請求項1の発明において、選択手段において収納モードを選択した場合に、機内に取り込んだ特定有価証券の認識データを生成した後に取り込み手段が連続的に次の特定有価証券を機内に取り込み、選択手段において排出モードを選択した場合に、機内に取り込んだ特定有価証券の認識データを生成し、前記排出手段により外部排出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4の発明にかかる特定有価証券入金方法は、特定有価証券の情報を認識して該特定有価証券の入金処理を行い、該特定有価証券を収納する特定有価証券入金方法であって、特定有価証券を機内に収納する収納モードまたは特定有価証券を機外に排出する排出モードを示すモード選択指示に基づいて選択する選択工程と、特定有価証券を機内に取り込む取り込み工程と、機内に取り込んだ特定有価証券に記載されたデータを読み取って読み取りデータを生成する読み取り工程と、読み取りデータを格納する読み取りデータ格納工程と、読み取りデータを認識して認識データを生成する認識工程と、認識データを格納する認識データ格納工程と、認識データの正当性を示す承認指示に基づいて承認して入金処理データを生成する承認工程と、入金処理データを格納する入金処理データ格納工程と、選択工程において選択したモードに基づいて機内に取り込んだ特定有価証券を機内に収納するかまたは機内に取り込んだ特定有価証券を機外に排出する収納・排出工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、特定有価証券を機内に収納する収納モードまたは特定有価証券を機外に排出する排出モードを示すモード選択指示に基づいて選択し、特定有価証券を機内に取り込み、特定有価証券に記載されたデータを読み取って読み取りデータを生成して格納し、読み取りデータを認識して認識データを生成、格納し、認識データの正当性を示す承認指示に基づいて承認して入金処理データを生成して格納し、選択したモードに基づいて機内に取り込んだ特定有価証券を機内に収納するかまたは機内に取り込んだ特定有価証券を機外に排出するように構成したので、機内に収納する特定有価証券と機外に外部排出する特定有価証券とを任意に選択することが可能である。これにより、定型の機内収納手段に収納できない特殊形状の特定有価証券についても、機内に取り込んで入金処理を行うとともに、入金処理を行った特定有価証券を管理することが可能であり、複数種類の特定有価証券の入金処理を行うことができる。したがって、特殊形状の特定有価証券についても従来のような手入力による入金処理が不要であるため、ミスのない確実な入金処理が可能であるという効果を奏する。なお、本発明において特定有価証券とは手形、小切手等の一般の有価証券を意味するが、現金は除く趣旨である。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、読み取りデータを生成した特定有価証券を一時的に保留する一時保留手段を備えるように構成したので、読み取りデータを生成した時点で先に一時保留手段特定有価証券を保留し、その後に認識データの生成を行うことができる。これにより、大量の特定有価証券を取り込み、認識データの生成に時間を要する場合であっても、読み取りデータを生成した時点で次の特定有価証券を取り込んで連続した処理が可能となり、効率的に入金処理を行うことができるという効果を奏する。
【0013】
また、請求項3の発明によれば、選択手段において収納モードを選択した場合に、機内に取り込んだ特定有価証券の認識データを生成した後に取り込み手段が連続的に次の特定有価証券を機内に取り込み、選択手段において排出モードを選択した場合に、機内に取り込んだ特定有価証券の認識データを生成し、前記排出手段により外部排出するように構成したので、複数枚の特定有価証券の入金処理を連続して行って該特定有価証券を一括して機内に収納することができ、効率的に入金処理を行うことができるという効果を奏する。また、特定の特定有価証券については他の特定有価証券と確実に分離して個別に入金処理を行い、且つ該特定有価証券を個別に管理することができるという効果を奏する。
【0014】
また、請求項4の発明によれば、特定有価証券を機内に収納する収納モードまたは特定有価証券を機外に排出する排出モードを示すモード選択指示に基づいて選択し、特定有価証券を機内に取り込み、特定有価証券に記載されたデータを読み取って読み取りデータを生成して格納し、読み取りデータを認識して認識データを生成、格納し、認識データの正当性を示す承認指示に基づいて承認して入金処理データを生成して格納し、選択したモードに基づいて機内に取り込んだ特定有価証券を機内に収納するかまたは機内に取り込んだ特定有価証券を機外に排出するように構成したので、機内に収納する特定有価証券と機外に外部排出する特定有価証券とを任意に選択することが可能である。これにより、定型の機内収納手段に収納できない特殊形状の特定有価証券についても、機内に取り込んで入金処理を行うとともに、入金処理を行った特定有価証券を管理することが可能である。したがって、特殊形状の特定有価証券についても従来のような手入力による入金処理が不要であるため、ミスのない確実な入金処理が可能であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる特定有価証券入金機および特定有価証券入金方法の好適な実施例を説明する。ここで、本発明において特定有価証券(以下、単に有価証券と称する)とは手形、小切手等の一般の有価証券を意味するが、現金は除く趣旨である。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【実施例】
【0016】
図1−1は、本実施例にかかる特定有価証券入金機1および該特定有価証券入金機1が接続される現金処理機200の外観構成例を示す斜視図である。また、図1−2は、本実施例にかかる特定有価証券入金機1の概略構成を説明する図である。図1−1および図1−2に示すようにこの特定有価証券入金機1は、有価証券挿入口11と繰り出しローラ12とホッパ13とを備える取り込み部10と、搬送路20と、読み取り・認識部30と、一時保留部40と、エンドーサ50と、複数のスタッカ60と、収納ローラ61と、主制御部70と、格納部80と、修正部90と、承認部100と、収納・排出選択部110と、リジェクト・排出部120と、排出ローラ121と、定形外収納部130と、表示部140と、操作部150と、送受信部160と、を備えている。
【0017】
取り込み部10には、有価証券挿入口11から挿入された1枚または複数の有価証券がホッパ13にセットされ、セットされた有価証券が繰り出しローラ12により1枚ずつ繰り出されて特定有価証券入金機1内に取り込まれる。特定有価証券入金機1内に取り込まれた有価証券は、該特定有価証券入金機1内を搬送路20により1枚ずつ搬送される。ここで、この特定有価証券入金機1が処理対象とする有価証券は、たとえば法人小切手のような通常の定型小切手、個人小切手やキャリアエンベロップ入り小切手などの特殊小切手、約束手形や為替手形などのような定型手形、補箋付き手形やキャリアエンベロップ入り手形やキャリアエンベロップ入り補箋付き手形やキャリアエンベロップ入り付箋付き手形などのような特殊手形などが挙げられる。
【0018】
読み取り・認識部30は、イメージスキャナなどの光学的文字読み取り手段を有し、入金処理対象となる有価証券の表面に記載された情報のイメージ画像を読み込んで装置内に取り込むための入力部として機能する。たとえば図2に示すように小切手170のイメージ画像を光学的に読み込んで読み取りデータとしてイメージ画像データを生成する。そして、読み取り・認識部30は、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。ここで読み取り・認識部30は、帳票の表面と裏面の両面に情報が記載されている場合には、両面のイメージ画像を読み込んで格納部80に出力する。
【0019】
また、読み取り・認識部30は、例えばOCR(Optical Character Reader)などのような文字認識手段を有し、読み込んだ有価証券のイメージ画像データから文字を識別し文書に変換して認識する認識手段として機能する。読み取り・認識部30は、読み取りデータであるイメージ画像データから文字を識別して文書に変換して認識し、認識データを生成し、該認識データを格納部80に出力する。また、添票を含む一取引分の複数の手形を処理する場合には、該添票は手形と同様に特定有価証券入金機1内に取り込まれ、読み取り・認識部30において読み取りデータとしてイメージ画像データが生成されるが、認識データの生成は行われない。上述では、説明の便宜上読み取り・認識部30に文字認識手段を有している場合を説明したが、通常は光学的文字読み取り機能と文字認識機能とをそれぞれ別個の機能部として備えた構成とされる。
【0020】
一時保留部40は、読み取り・認識部30において認識データを生成した有価証券をスタッカ60に収納するまで、またはリジェクト・排出部120に返却もしくは排出するまで一時的に保留する保留部である。たとえば、処理対象の有価証券が添票を含む一取引分の複数の手形である場合には、添票も他の手形と同様にスタッカ60に収納するまで、またはリジェクト・排出部120に返却もしくは排出するまで一時的に保留する。ここで、返却とは、入金処理が正常に行えない場合に、該当する有価証券を機外に戻すことである。また、排出とは、入金処理が正常に行える場合において定形外の特殊形状の有価証券や所望の有価証券を機外に戻すことである。
【0021】
この一時保留部40には、読み取り・認識部30においてイメージ画像データを生成した時点で先に一時保留部40に有価証券を保留し、その後に認識データの生成を行うことができる。これにより、大量の有価証券を取り込み、認識データの生成に時間を要する場合であっても、イメージ画像データを生成した時点で次の有価証券を取り込んで連続した処理が可能となり、効率的に入金処理を行うことができる。また、一時保留部40に有価証券を保留しておくことにより、生成した認識データの確認、修正を一括して行うことができる。
【0022】
ここで、有価証券を一時的に保留する一時保留部40について説明する。図3に一時保留部40の一構成例を説明する断面図を示す。ここでは、一時保留部40をカセット構造とした場合の例を示している。このカセット301は箱形に形成され、一側面の上方位置に有価証券Pを長手方向として出入り可能とする横長スリット状の有価証券出入口302が開口されている。また、この構成例では2本のテープTA、TB(以下、2本のテープを総称してテープTと呼ぶ場合がある)を使用し、該テープTAとテープTBとの間に有価証券Pを長手方向に挟んで収納するように構成した場合を示している。テープTには、たとえば一軸延伸テープが用いられる。また、テープTの表面は、シリコン等のコーティングが施されて粘着物付着によるジャミングの発生が防止されていることが好ましい。
【0023】
図3に示すように有価証券出入口302の内部直近位置には、テープTA、TBが経由するローラ303A、303Bが上下に対向して設けられている。また、この上側に設けられたローラ303Aの奥側および下側に設けられたローラ303Bの下方側には、たとえば図4に示すようにテープ用のガイドフランジが設けられたリール状を呈する第1の巻取りローラ304Aおよび第1の巻取りローラ304Bがそれぞれ第1の巻取り軸305A、第1の巻取り軸305Bにテンション付加用トルクリミッタ306A、テンション付加用トルクリミッタ306Bを介して取付けられている。また、第1の巻取りローラ304Aおよび第1の巻取りローラ304Bの近傍には、アイドラ309A、309Bが配置されている。
【0024】
上記第1の巻取りローラ304A、304Bの間の略中央位置には、有価証券幅と同等またはそれ以上の長さの軸長を有する第2の巻取りローラ307が第2の巻取り軸308に支持されている。図5は、第2の巻取りローラ307への有価証券Pの収納を説明するための要部斜視図である。この第2の巻取りローラ307に巻かれたテープTA、TBは、前記のローラ303A、303B、アイドラ309A、309Bを経由して第1の巻取りローラ304A、304Bにそれぞれ導かれる。
【0025】
なお、図5においてはテープTAおよびテープTBのテープ幅が有価証券幅の略1/3程度に示されているが、このテープ幅は特に限定されるものではなく、有価証券を確実にテープTAおよびテープTBにより挟み込んで収納および繰り出しができる幅であれば適宜設定可能である。なお、有価証券に印紙等が貼付されることを考慮した場合には、テープTAおよびテープTBのテープ幅は、印紙等が貼付される部分をテープTAおよびテープTBで覆うことができる幅とすることが好ましい。テープTAおよびテープTBのテープ幅をこのような幅とすることにより、印紙等の剥がれ等を防止して有価証券の収納および繰り出しを行うことができる。
【0026】
図3および図5に示すように第2の巻取りローラ307の外周には、有価証券Pの有無を検知するためのセンサS1が第2の巻取りローラ307の外周面から所定の距離を隔てて配置されている。これにより、1枚の有価証券Pが第2の巻取りローラ307に巻付いていてもこれを検知することができるようになっている。
【0027】
そのほかカセット301内には、図3に示すようにローラ303A、303Bと第2の巻取りローラ307との間にテープTを挟んで設けられた一対の有価証券検知用センサS2、ローラ303Aとアイドラ309Aとの間にテープTを挟んで設けられたテープTの両終端検知用センサS3が配置されている。
【0028】
また、カセット301の有価証券出入口302の外部には、有価証券出入口302への有価証券Pの繰込みまたは取出しのための搬送装置310が配設されている。この搬送装置310は、たとえば上下一対のベルトまたはローラ列により構成することができる。
【0029】
このように構成された一時保留部40内に有価証券を納入する場合は、図3に示すように図示しない駆動系により第2の巻取り軸308を同図において時計方向(矢印方向)に回動させる。これにより第2の巻取りローラ307は時計方向(矢印方向)に回動し、テープTが該第2の巻取りローラ307に巻き取られる。このとき第2の巻取り軸308の回転速度はテープTA、TBの巻取り速度V1 が搬送装置310の搬送速度V2 より大きくなるように設定され、有価証券Pを引き込むよう作用することにより、帳票のジャムが防止される。
【0030】
また、第2の巻取りローラ307によりテープTA、TBを巻取る際、第1の巻取りローラ304A、304BはテープTの引張り作用により反時計方向に回転しようとするが、第1の巻取りローラ軸305A、305Bが反時計方向には回転しないのでテープTA、TBにテンションが発生する。そして、このテンションが所定以上になるとトルクリミッタ306A、306Bに所定以上のトルクがかかり、第1の巻取りローラ304A、304Bが反時計方向(矢印方向)に回転するようになる。その結果、テープTA、TBには常にトルクリミッタの設定トルクに応じたテンションが付与されることになる。
【0031】
このようにして、収納すべき有価証券Pの収納が終了すると駆動系が停止される。また、このとき、収納された有価証券Pの枚数は有価証券検知用センサS2 によってカウントされる。そして、有価証券Pの収納指令がある毎に上記作用を繰り返して有価証券Pを収納していくが、有価証券Pの収納が進んで所定量を収納すると、テープTの終端がセンサS3 により検知され、それ以上の受収を停止する。これによりテープTの破損等を防止して、確実に帳票を収納することができる。
【0032】
有価証券Pを排出する場合は、図示しない駆動系により図6に示すように第2の巻取り軸308が同図において反時計方向(矢印方向)に回動し、第2の巻取りローラ307を反時計方向(矢印方向)に回転させてテープTA、TBを巻戻していく。また、このとき、第1の巻取り軸305A、305BにはこのテープTA、TBが巻き戻される速度よりも速い巻き取り速度の動力が駆動系から与えられる。これにより、テープTA、TBの巻戻される速度よりも速い速度で第1の巻取りローラ304A、304BがテープTA、TBを巻取ろうとするので、テープTA、TBはたるむことがなくテープTA、TBにテンションが生じる。そして、そのテンションが所定以上になるとトルクリミッタ306A、306Bに所定以上のトルクがかかり、滑りを生じることになる。その結果、テープTA、TBには常にトルクリミッタ306A、306Bの設定トルクに応じたテンションが付与されることになる。
【0033】
このようにして、テープTA、TBが第2の巻取りローラ307から巻戻されていくのにつれてテープTA、TB間の有価証券Pは有価証券出入口302から投出され、搬送装置310へ受け渡される。そして、排出されるべき枚数の有価証券Pが有価証券検知用センサS2 で検知されると駆動系が停止され、有価証券の一時保留部からの排出が終了する。そして、有価証券Pの排出指令がある毎に上記動作を繰り返して有価証券Pを排出していくが、有価証券Pがすべて排出されてしまうと、センサS1 が「有価証券未収納状態」を検出して、第2の巻取りローラ307に収納されている有価証券が無くなったことを制御装置側へ知らせる。この有価証券の排出時にはテープTの速度V1 と搬送装置310の搬送速度V2 の関係はV1 <V2 とされ、V2 の方が所定量だけ大きくされており、帳票のジャムを防止しながら有価証券Pを引き抜くように作用する。
【0034】
上記のようなテープを用いた一時保留部40を用いることにより、有価証券の収納処理と、収納した有価証券の排出処理とを1つの機構で行うことができ、低コスト化を図ることができる。また、有価証券を2本のテープに挟んだ状態で収納し、排出するため、複数の有価証券を1度に排出してしまうことを防止することができる。
【0035】
図1の説明に戻って、エンドーサ50は、一時保留部40の直近の搬送路20に設けられる。エンドーサ50は、一時保留部40から排出される有価証券であって、後述するように認識データが承認されてスタッカ60に収納される有価証券、または認識データが承認されてリジェクト・排出部120に排出される有価証券に管理通番や日付等を印刷する。この管理通番は、後述する承認データである入金処理データと有価証券とを対応付けて付与される管理番号であり、この管理通番を用いることにより、有価証券から該当する入金処理データを特定することができ、また、入金処理データから該当する有価証券を特定することができる。
【0036】
スタッカ60は、一時保留部40に一時的に保留し、認識データが承認されて入金処理データが生成された有価証券を収納する収納手段である。有価証券は一時保留部40から搬送路20により搬送され、搬送路20のスタッカ60側の終端に設けられた収納ローラ61によりスタッカ60に投出される。この特定有価証券入金機1においてはスタッカ60として、スタッカ60A、スタッカ60B、スタッカ60Cの3つのスタッカを備えている。このように複数のスタッカ60A、60B、60Cを備えることにより、スタッカ毎に予め設定された所定の有価証券が仕分け収納される。なお、ここでは、3つのスタッカ60A、60B、60Cを備える場合について説明しているが、スタッカ60の数はこれに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0037】
主制御部70は、格納部80に格納された各種プログラムに従って特定有価証券入金機1全体の処理動作を制御する。格納部80は、読み取りデータである有価証券のイメージ画像データと、有価証券の認識データと、入金処理データと、を格納するデータ格納手段である。また、格納部80は、装置全体の処理に用いられる各種プログラム等を格納している。この特定有価証券入金機1においては、格納部80に入金処理データが格納され、有価証券のスタッカ60への収納、またはリジェクト・排出部120への排出が終了することにより、特定有価証券入金機1における有価証券の入金処理が終了する。
【0038】
修正部90は、読み取り・認識部30が認識して格納部80に格納した有価証券の認識データを確認・修正する修正手段である。認識データの確認・修正を行う場合には、該当する有価証券のイメージ画像データと認識データとを表示部140に表示させ、これらを目視で比較することで認識データの正当性の確認を行い、認識の間違いがある場合には操作部150を用いて認識データの修正を行う。
【0039】
また、処理対象の有価証券が添票を含む一取引分の複数の手形である場合には、修正部90は、添票のデータと、一取引分の複数の手形のデータを照合する。たとえば手形枚数と総金額とを照合する。
【0040】
承認部100は、認識データの正当性を示す承認指示に基づいて承認して入金処理データを生成する承認手段である。収納・排出選択部110は、機内に取り込んだ有価証券を収納手段に収納する収納モードまたは機内に取り込んだ有価証券をリジェクト・排出部120に外部排出する排出モードを示すモード選択指示に基づいて選択する選択手段である。
【0041】
リジェクト・排出部120には、入金処理が正常に行えない場合に該当する有価証券が返却され、また、入金処理が正常に行える場合において定形外の特殊形状の有価証券や所望の有価証券が排出される。有価証券は搬送路20によりリジェクト・排出部120に搬送されるが、搬送路20のリジェクト・排出部120側の終端には排出ローラ121が設けられており、該排出ローラ121によりリジェクト・排出部120に投出される。
【0042】
定形外収納部130には、リジェクト・排出部120に排出され、入金処理が正常に終了した定形外の特殊形状の有価証券が収納される。この特定有価証券入金機1においては、リジェクト・排出部120に排出された定形外の有価証券を作業者が定形外収納部130に投入する構成とされているが、搬送路20を定形外収納部130に接続して該定形外収納部130に収納する有価証券を自動搬送して収納する構成とすることも可能である。
【0043】
表示部140は、特定有価証券入金機1の処理における操作画面や、読み取りデータ、認識データ、承認データなどのデータ類などを表示する。操作部150は、特定有価証券入金機1の操作において作業者が各種情報等を入力する入力手段であり、該操作部150としてキーボードを備えるが、この他にも表示部140に備えられたタッチパネル機能など用いることができる。送受信部160は、外部機器との間の指示情報、データ情報などの各種情報の送受信を行う。
【0044】
また、現金処理機200は、結束された100枚単位毎の束紙幣を処理する束紙幣処理部210および1枚ずつのバラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部220で成る紙幣処理機230と、50枚単位に包装された包装硬貨を出金処理する包装硬貨出金機240と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理機250とを備えて構成されている。束紙幣処理部210には、束紙幣を出金するための束紙幣出金口211、束紙幣を機外へ放出さるための機外放出口212が設けられている。また、バラ紙幣処理部220にはバラ紙幣を入金するための入金口221、バラ紙幣を出金するための出金口222が設けられ、紙幣処理機230の上部には出金口232を有する新券出金機231が設置されている。
【0045】
包装硬貨出金機240の上部には伝票や通帳等の印字を行うプリンタ241が設けられ、包装硬貨を出金する包装硬貨出金口242が設けられている。また、バラ硬貨処理機250の上部にはバラ硬貨を受入れる硬貨入金口251が設けられると共に、オペレータに案内やデータ等を表示する表示部252、IDカードを挿入して処理するカードリーダ253が設けられている。バラ硬貨処理機250の前面には、バラ硬貨を返却するための返却口255が設けられている。更に、包装硬貨出金機240およびバラ硬貨処理機250の上部には、作業者が操作する操作部としてのキーボード254が設けられている。
【0046】
このように構成された現金処理機200は、現金を計数するとともに、特定有価証券入金機1から有価証券の入金処理データを受け取り、現金と有価証券とを合算した入金処理を行う。
【0047】
つぎに、以上のように構成された本実施例にかかる特定有価証券入金機1の動作について、小切手、手形の入金処理を行う場合について説明する。まず、定型小切手の入金処理について説明する。図7は特定有価証券入金機1の処理手順を示すフローチャートである。また、図8〜図10は特定有価証券入金機1で入金処理中の表示部140の表示画面を示した図である。
【0048】
まず、作業者は、特定有価証券入金機1の電源を投入する。電源を投入すると、表示部140にはたとえば図8に示すような「メインメニュー」が表示される。作業者は、操作部150のキーボードを用いて表示画面の「小切手入金」のボタンを選択する。「小切手入金」のボタンを選択すると、表示部140の画面には図9に示すような「モード選択」の画面が表示される。
【0049】
つぎに、作業者は、入金処理対象である有価証券として複数の定型小切手を有価証券挿入口11から挿入してホッパ13にセットする。そして、作業者は、操作部150のキーボードを用いて、図9に示す「モード選択」の画面において、入金処理のスタートボタンとなる「連続スキャン(収納)」のボタンを選択する。ここで、「連続スキャン(収納)」とは有価証券を連続的に機内に取り込み、データの読み込み、認識を行い、最後に有価証券をスタッカ60に収納するモードである。この「連続スキャン(収納)」モードを選択することにより、1枚ずつの入金処理ではなく、複数枚の定型小切手の入金処理を連続して行うことができ、効率的に入金処理を行うことができる。「連続スキャン(収納)」のボタンを選択すると、繰り出しローラ12が動作してホッパ13にセットした定型小切手を1枚ずつ特定有価証券入金機1に取り込み始める(ステップS101)。
【0050】
特定有価証券入金機1内に取り込まれた定型小切手は、搬送路20に沿って搬送され、読み取り・認識部30であるイメージスキャナに搬送される。定型小切手が読み取り・認識部30に搬送されると、読み取り・認識部30(イメージスキャナ)は定型小切手の表面に記載された情報のイメージ画像データの読み込みを開始し、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。格納部80では、読み込んだイメージ画像データを格納する(ステップS102)。
【0051】
つぎに、格納部80に定型小切手のイメージ画像データが格納されると、読み取り・認識部30は格納部80に格納されたイメージ画像データからOCRにより文字を識別して認識データを生成し、該認識データを格納部80に出力する。格納部80ではこの認識データを格納する(ステップS103)。そして、認識データの格納が終了した定型小切手は一時保留部40に搬送され、収納、保留される(ステップS104)。また、定型小切手を一時保留部40に収納すると同時に、ホッパ13にセットされた次の定型小切手の機内への取り込みを行い、全ての定型小切手を機内に取り込んで一時保留部40に保留するまで上記のステップS101〜ステップS104を繰り返す。
【0052】
ホッパ13にセットされた定型小切手が全て機内に取り込まれた後に、図9に示す「モード選択」の画面において「OCR結果確認」のボタンを選択する。「OCR結果確認」のボタンを選択すると、図10に示すように「OCR結果確認」の画面のイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2とに、一時保留部40に保留している定型小切手のイメージ画像データと認識データとを表示する(ステップS105)。
【0053】
作業者は、この画面において認識データの正当性の確認・修正を行う。認識データの確認は、図10に示すように「OCR結果確認」の画面でイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2との表示を比較することで行う。認識データの正当性を確認した結果、認識データの間違いが認められた場合または認識されていない項目がある場合には、修正したい項目を選択して修正データを入力する。修正部90は、この入力に基づいて認識データの修正を行う(ステップS106)。その後、認識データの承認指示である「確認完了」のボタンを選択する。承認部100ではこの承認指示に基づいて、修正された認識データを承認し、該承認された認識データは入金処理データとして生成される(ステップS107)。
【0054】
また、イメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2との表示を比較して認識データの正当性を確認した結果、認識データの正当性が確認された場合、すなわちOCRによる認識が正常に行われている場合には、認識データの承認指示である「確定完了」のボタンを選択する。承認部100ではこの承認指示に基づいて、OCRにより認識された認識データを承認し、該承認された認識データから入金処理データが生成される(ステップS107)。
【0055】
つぎに、入金処理データは送受信部160により現金処理機200に送信され(ステップS108)、該現金処理機200において現金とともに現金処理機200における入金処理がなされる。現金処理機200において入金処理が正常に終了すると、現金処理機200から入金処理データの格納指示が送信される。特定有価証券入金機1は、現金処理機200からの格納指示を受信すると、該格納指示に従って入金処理データを格納部80に格納し(ステップS109)、さらに一時保留部40に保留した定型小切手にエンドーサ50で管理通番、日付等を印字して指定された所定のスタッカ60に収納する(ステップS110)。
【0056】
ここで、定型小切手を収納するスタッカ60においては、複数のスタッカ60のそれぞれを個別の小切手収納用に指定することができる。たとえば銀行においてこの特定有価証券入金機1により定型小切手の入金処理を行う場合には、スタッカ60Aを交換課行きの小切手収納用スタッカ、スタッカ60Bを集中課行きの小切手収納用スタッカ、スタッカ60Cを自店保留の小切手収納用スタッカ、と3種類に分けて指定することができる。ここで、交換課行きの小切手収納用スタッカ(スタッカ60A)は、通常の小切手を収納するスタッカである。また、集中課行きの小切手収納用スタッカ(スタッカ60B)は、先日付小切手を収納するスタッカポケットである。そして、自店保留の小切手収納用スタッカ(スタッカ60C)は、上記の交換課行きの小切手収納用スタッカ(スタッカ60A)および集中課行きの小切手収納用スタッカ(スタッカ60B)に収納しない全ての小切手を収納するスタッカである。このように、複数のスタッカ60のそれぞれを個別の小切手収納用に指定することにより、入金処理した小切手を自動分類して収納することが可能である。これにより、作業者の手作業による小切手の分類処理が不要となり、作業者の行う作業を低減することができる。また、特定有価証券入金機1内において入金処理とともに分類処理がなされるため、効率良く小切手の入金処理と分類処理を行うことが可能である。
【0057】
また同様に、たとえば銀行においてこの特定有価証券入金機1により手形の入金処理を行う場合には、たとえばスタッカ60Aを交換課行きの手形収納用スタッカ、スタッカ60Bを集中課行きの手形収納用スタッカ、スタッカ60Cを自店保留の手形収納用スタッカ、と3種類に分けて指定することができる。ここで、交換課行きの手形収納用スタッカ(スタッカ60A)は、交換期日が迫っているか、または遠隔地の交換所へ送る手形を収納するスタッカである。また、集中課行きの手形収納用スタッカ(スタッカ60B)は、交換期日に余裕があり、または遠隔地へ送らない手形を収納するスタッカポケットである。そして、自店保留の手形収納用スタッカ(スタッカ60C)は、上記の交換課行きの手形収納用スタッカ(スタッカ60A)および集中課行きの手形収納用スタッカ(スタッカ60B)に収納しない全ての手形を収納するスタッカである。このように、複数のスタッカ60のそれぞれを個別の手形収納用に指定することにより、手形を自動分類して収納することが可能である。これにより、作業者の手作業による手形の分類処理が不要となり、作業者の行う作業を低減することができる。また、特定有価証券入金機1内において入金処理とともに分類処理がなされるため、効率良く手形の入金処理と分類処理を行うことが可能である。
【0058】
また、この特定有価証券入金機1においては、取り込み部10にセットした順番で定型小切手をスタッカ60に収納することができる。取り込み部10においてはセットされた定型小切手を、上部に位置する定型小切手から順に特定有価証券入金機1内に取り込み、一時保留部40では、特定有価証券入金機1に取り込まれた順番で定型小切手を収納して一時保留し、収納した順番と逆の順番で定型小切手を排出する。そして、スタッカ60では、一時保留部40から排出された順番で定型小切手を収納する。このような処理形態を取ることにより、特定有価証券入金機1においては、取り込み部10にセットした順番で定型小切手をスタッカ60に収納することができる。また、このような処理形態を取ることにより、特定有価証券入金機1においては、取り込み部10にセットした際の表裏方向で定型小切手をスタッカ60に収納することができる。取り込み部10においては、セットされた表裏方向で定型小切手を特定有価証券入金機1内取り込み、一時保留部40では、特定有価証券入金機1に取り込み時とは逆の表裏方向で定型小切手を収納して一時保留し、収納した表裏方向で定型小切手を排出する。そして、スタッカ60では、一時保留部40からの排出時とは逆の表裏方向で定型小切手を収納する。したがって、この特定有価証券入金機1おいてはスタッカ60に収納された定型小切手の順番および表裏方向が、取り込み部10にセットした際と同一とされるため、順番の修正や表裏方向の修正といった後処理が不要である。
【0059】
なお、取り込み部10において定型小切手を上部から取り込むか下部から取り込むかという取り込み順序や一時保留部40での収納順序、排出順序などは上記の組み合わせに限定されるものではない。したがって、スタッカ60に収納された定型小切手の順番および表裏方向が取り込み部10にセットした際と同一とされる組み合わせであれば適宜変更可能である。以上のような、特定有価証券入金機1の特徴は、定型小切手の入金処理に限定されるものではなく、手形等の他の有価証券を処理する場合も同様である。
【0060】
以上のように、格納部80への入金処理データの格納、および一時保留部40に保留した定型小切手のスタッカ60への収納が終了することにより、特定有価証券入金機1における定型小切手の入金処理が終了する。
【0061】
上述したように、特定有価証券入金機1によれば、「連続スキャン(収納)」モードを選択することにより、定型小切手の入金処理を行うとともに入金処理した定型小切手を自動分類して収納し、管理することが可能である。したがって、ミスのない確実な入金処理が可能であり、作業者の手作業による定型小切手の分類処理が不要となり、作業者の行う作業を低減するとともに効率良く小切手の入金処理と分類収納処理を行うことが可能である。したがって、効率良く且つ確実に入金処理と現品処理とを同時に行うことができる。
【0062】
つぎに、特に利用頻度の低い定型外の特殊形状の小切手である個人小切手の入金処理について説明する。図11は特定有価証券入金機1の処理手順を示すフローチャートである。まず、作業者は、特定有価証券入金機1の電源を投入する。電源を投入すると、表示部140にはたとえば図8に示すような「メインメニュー」が表示される。作業者は、操作部150のキーボードを用いて表示画面の「小切手入金」のボタンを選択する。「小切手入金」のボタンを選択すると、表示部140の画面には図9に示すような「モード選択」の画面が表示される。
【0063】
つぎに、作業者は、入金処理対象である有価証券として個人小切手を1枚、有価証券挿入口11から挿入してホッパ13にセットする。そして、作業者は、操作部150のキーボードを用いて、図9に示す「モード選択」の画面において、入金処理のスタートボタンとなる「1枚スキャン(外部排出)」のボタンを選択する。ここで、「1枚スキャン(外部排出)」とは有価証券を1枚のみ機内に取り込み、データの読み込み、認識を行い、有価証券をリジェクト・排出部120に収納するモードである。この「1枚スキャン(外部排出)」モードを選択することにより、利用頻度の低い特殊小切手である個人小切手についてもイメージ画像データの読み込み、認識を行ってこの特定有価証券入金機1において入金処理を行うことができ、効率的に入金処理を行うことができる。「1枚スキャン(外部排出)」のボタンを選択すると、繰り出しローラ12が動作してホッパ13にセットした個人小切手を特定有価証券入金機1内に取り込み始める(ステップS201)。
【0064】
特定有価証券入金機1内に取り込まれた個人小切手は、搬送路20に沿って搬送され、読み取り・認識部30であるイメージスキャナに搬送される。個人小切手が読み取り・認識部30に搬送されると、読み取り・認識部30(イメージスキャナ)は個人小切手の表面に記載された情報のイメージ画像データの読み込みを開始し、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。格納部80では、読み込んだイメージ画像データを格納する(ステップS202)。
【0065】
つぎに、格納部80に個人小切手のイメージ画像データが格納されると、読み取り・認識部30は格納部80に格納されたイメージ画像データからOCRにより文字を識別して認識データを生成し、該認識データを格納部80に出力する。格納部80ではこの認識データを格納する(ステップS203)。そして、認識データの格納が終了した個人小切手はリジェクト・排出部120に排出される(ステップS204)。
【0066】
つぎに、図9に示す「モード選択」の画面において「OCR結果確認」のボタンを選択する。「OCR結果確認」のボタンを選択すると、図10に示すように「OCR結果確認」の画面のイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2欄とに、個人小切手のイメージ画像データと認識データとを表示する(ステップS205)。
【0067】
作業者は、この画面において認識データの正当性の確認・修正を行う。認識データの確認は、図10に示すように「OCR結果確認」の画面でイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2との表示を比較することで行う。認識データの正当性を確認した結果、認識データの間違いが認められた場合または認識されていない項目がある場合には、修正したい項目を選択して修正データを入力する。修正部90は、この入力に基づいて認識データの修正を行う(ステップS206)。その後、認識データの承認指示である「確認完了」のボタンを選択する。承認部100ではこの承認指示に基づいて、修正された認識データを承認し、該承認された認識データは入金処理データとして生成される(ステップS207)。
【0068】
また、イメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2との表示を比較して認識データの正当性を確認した結果、認識データの正当性が確認された場合、すなわちOCRによる認識が正常に行われている場合には、認識データの承認指示である「確定完了」のボタンを選択する。承認部100ではこの承認指示に基づいて、OCRにより認識された認識データを承認し、該承認された認識データから入金処理データが生成される(ステップS207)。
【0069】
つぎに、入金処理データは送受信部160により現金処理機200に送信され(ステップS208)、該現金処理機200において現金とともに現金処理機200における入金処理がなされる。現金処理機200において入金処理が正常に終了すると、現金処理機200から入金処理データの格納指示が送信される。特定有価証券入金機1は、現金処理機200からの格納指示を受信すると、該格納指示に従って入金処理データを格納部80に格納(ステップS209)する。
【0070】
以上のように、リジェクト・排出部120への個人小切手の外部排出、および格納部80への入金処理データの格納が終了することにより、特定有価証券入金機1における個人小切手の入金処理が終了する。また、リジェクト・排出部120へ外部排出された個人小切手は定形外収納部130へ収納する。これにより、特殊形状の有価証券のみをまとめて管理することができる。なお、手形の性格上、格納部80へ格納された入金処理データは、小切手の入金処理データのように現金処理機200に転送して現金処理機での入金処理に用いられるものではない。
【0071】
上述したように、特定有価証券入金機1によれば、「1枚スキャン(外部排出)」モードを選択することにより、定型のスタッカ60に収納できない特殊形状の特定有価証券である個人小切手についても、機内に取り込んで入金処理を行うとともに、入金処理を行った個人小切手を管理することが可能である。したがって、特殊形状の特定有価証券である個人小切手についても従来のような手入力による入金処理が不要であるため、ミスのない確実な入金処理が可能であるという効果を奏する。
【0072】
つぎに、定型の手形である約束手形の入金処理について説明する。図12は特定有価証券入金機1の処理手順を示すフローチャートである。まず、作業者は、特定有価証券入金機1の電源を投入する。電源を投入すると、表示部140にはたとえば図8に示すような「メインメニュー」が表示される。作業者は、操作部150のキーボードを用いて表示画面の「手形回付」のボタンを選択する。「手形回付」のボタンを選択すると、表示部140の画面には図9に示すような「モード選択」の画面が表示される。
【0073】
つぎに、作業者は、入金処理対象である有価証券として添票を含む一取引分の複数の約束手形を有価証券挿入口11から挿入してホッパ13にセットする。このとき、添票を一番上にしてセットする。そして、作業者は、操作部150のキーボードを用いて、図9に示す「モード選択」の画面において、入金処理のスタートボタンとなる「連続スキャン(収納)」のボタンを選択する。この「連続スキャン(収納)」モードを選択することにより、添票を含む一取引分の複数枚の約束手形の入金処理を連続して行い、収納することができ、効率的に入金処理を行うことができる。「連続スキャン(収納)」のボタンを選択すると、繰り出しローラ12が動作してホッパ13にセットした添票を特定有価証券入金機1内に取り込み始める(ステップS301)。
【0074】
特定有価証券入金機1内に取り込まれた添票は、搬送路20に沿って搬送され、読み取り・認識部30であるイメージスキャナに搬送される。約束手形が読み取り・認識部30に搬送されると、読み取り・認識部30(イメージスキャナ)は添票に記載された情報のイメージ画像データの読み込みを開始し、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。格納部80では、読み込んだイメージ画像データを格納する(ステップS302)。
【0075】
つぎに、格納部80に添票のイメージ画像データが格納されると、添票は一時保留部40に搬送され、収納、保留される(ステップS303)。また、添票を一時保留部40に収納する動作とともに、ホッパ13にセットされた約束手形の機内への取り込みを行い(ステップS304)、読み取り・認識部30(イメージスキャナ)は約束手形に記載された情報のイメージ画像データの読み込みを開始し、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。格納部80では、読み込んだイメージ画像データを格納する(ステップS305)。
【0076】
つぎに、格納部80に約束手形のイメージ画像データが格納されると、読み取り・認識部30は格納部80に格納されたイメージ画像データからOCRにより文字を識別して認識データを生成し、該認識データを格納部80に出力する。格納部80ではこの認識データを格納する(ステップS306)。そして、認識データの格納が終了した約束手形は一時保留部40に搬送され、収納、保留される(ステップS307)。また、約束手形を一時保留部40に収納すると同時に、ホッパ13にセットされた次の約束手形の機内への取り込みを行い、全ての約束手形を機内に取り込んで一時保留部40に保留するまで上記のステップS304〜ステップS307を繰り返す。
【0077】
ホッパ13にセットされた約束手形が全て機内に取り込まれた後に、図9に示す「モード選択」の画面において「OCR結果確認」のボタンを選択する。「OCR結果確認」のボタンを選択すると、図10に示すように「OCR結果確認」の画面のイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2欄とに、一時保留部40に保留している約束手形のイメージ画像データと認識データとを表示する(ステップS308)。
【0078】
作業者は、この画面において認識データの正当性の確認・修正を行う。認識データの確認は、図10に示すように「OCR結果確認」の画面でイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2との表示を比較することで行う。認識データの正当性を確認した結果、認識データの間違いが認められた場合または認識されていない項目がある場合には、修正したい項目を選択して修正データを入力する。修正部90は、この入力に基づいて認識データの修正を行う(ステップS309)。そして、全ての約束手形の認識データの確認、修正の終了後、添票と約束手形データの総計との照合が行われる(ステップS310)。照合の結果、一取引分としての認識データの正当性が確認されない場合(ステップS310否定)は、ステップS309に戻り認識データの修正を行う。各約束手形の認識データが正しいにもかかわらず照合の結果が正しくない場合は、図9のモード選択画面に戻り、「返却」のボタンを選択することにより、添票を含めた約束手形の全てをリジェクト・排出部120に返却して(ステップS311)処理が終了する。ここで、たとえば本例のように「連続スキャン(収納)」モードを選択して「返却」を選択した場合には返却すべき複数の有価証券(添票を含む)をまとめてリジェクト・排出部120に返却する形態を取ることができる。また、「1枚連続スキャン(外部排出)」モードで有価証券をリジェクト・排出部120に排出する場合は、1枚だけでリジェクト・排出部120に排出する形態とすることができる。
【0079】
認識データの修正の後、再度照合を行い、一取引分としての認識データの正当性が確認された場合は(ステップS310肯定)、認識データの承認指示である「確認完了」のボタンを選択する。承認部100ではこの承認指示に基づいて、修正された一取引分としての認識データを承認し、該承認された認識データは入金処理データとして生成される(ステップS312)。
【0080】
また、最初の照合の結果、一取引分としての認識データの正当性が確認された場合は(ステップS310肯定)、認識データの承認指示である「確認完了」のボタンを選択する。承認部100ではこの承認指示に基づいて、一取引分の認識データを承認し、該承認された認識データは入金処理データとして生成される(ステップS312)。
【0081】
つぎに図13の「収納画面」が表示され、「収納」のボタンを選択してIDとパスワードを入力することで、入金処理データが格納部80に格納され(ステップS313)、さらに一時保留部40に保留した添票および約束手形にエンドーサ50で管理通番、日付等が印字されて指定された所定のスタッカ60に収納される(ステップS314)。このとき、添票および約束手形は、ホッパ13にセットされた順番および表裏方向でスタッカ60に収納される。
【0082】
以上のように、格納部80への入金処理データの格納、および一時保留部40に保留した添票および約束手形のスタッカ60への収納が終了することにより、特定有価証券入金機1における一取引分の約束手形の入金処理が終了する。なお、図12および上記の説明においては、説明の便宜上ステップS301〜ステップS307をステップ毎に分けて模式的に説明しているが、実際にはステップS301〜ステップS307は連続的に処理がなされている。
【0083】
上述したように、特定有価証券入金機1によれば、「連続スキャン(収納)」モードを選択することにより複数の約束手形から成る一取引分の約束手形についても、機内に取り込んで入金処理を行うとともに、入金処理を行った添票および約束手形をスタッカ60に収納し、管理することが可能である。したがって、複数の約束手形から成る一取引分の約束手形についても、従来のような手入力による入金処理が不要であるため、ミスのない確実な入金処理が可能であるという効果を奏する。また、手作業による約束手形の分類処理が不要となり、作業者の行う作業を低減するとともに効率良く小切手の入金処理と分類収納処理を行うことが可能である。そして、添票および約束手形は、ホッパ13にセットされた順番および表裏方向でスタッカ60に収納されるため、順番の修正や表裏方向の修正といった後処理が不要である。
【0084】
図14に、特定有価証券入金機1内における添票および約束手形の順番および表裏方向を説明する概念図を示す。図14に示すように、取り込み部10においては添票P1および約束手形P2、P3は表面を上にしてセットされる。添票P1および約束手形P2、P3は、上部に位置する添票P1から順に機内に取り込まれ、取り込まれた順番で、且つ表裏方向を逆にして一時保留部40に収納、保留される。そして、取り込まれた順番と逆の順番で一時保留部40から排出され、一時保留部40から排出された順番で、且つ表裏方向を逆にしてスタッカ60に収納される。これにより、添票P1および約束手形P2、P3は、取り込み部10においてセットされた順番および表裏方向でスタッカ60に収納される。したがって、この特定有価証券入金機1おいてはスタッカ60に収納された添票および約束手形は、順番の修正や表裏方向の修正といった後処理が不要である。
【0085】
上述したように、特定有価証券入金機1によれば、一取引分の約束手形の入金処理を行うとともに、入金処理した約束手形を添票とともに所定のスタッカ60に自動分類して収納し、管理することが可能である。したがって、ミスのない確実な入金処理が可能であり、作業者の手作業による分類処理が不要となり、作業者の行う作業を低減するとともに効率良く約束手形の入金処理と分類収納処理を行うことが可能である。また、添票を約束手形とともに収納した場合には、該添票がスタッカ60に収納された他の一取引分の約束手形とのセパレータとなる。
【0086】
図9おいては「連続スキャン(収納)」モードと「1枚スキャン(外部排出)」モードとが選択できる場合について説明したが、たとえば図15に示すように「連続スキャン(収納)」モード、「連続スキャン(外部排出)」モード、「1枚スキャン(収納)」モード、「1枚スキャン(外部排出)」モードが選択できるような構成としても良い。ここで、「連続スキャン(収納)」モードと「1枚スキャン(外部排出)」モードは、上記と同じモードである。また、「連続スキャン(外部排出)」モードは、連続的に機内に取り込み、データの読み込み、認識を行い、有価証券をリジェクト・排出部120に収納するモードである。「1枚スキャン(収納)」モードは、有価証券を1枚のみ機内に取り込み、データの読み込み、認識を行い、最後に有価証券をスタッカ60に収納するモードである。
【0087】
つぎに、特に利用頻度の低い定型外の特殊形状の特殊手形である補箋付き手形の入金処理について図15に示す選択モードを例に説明する。特殊手形である補箋付き手形の入金処理においては、添票と補箋付き手形1枚で一取引分とされる。図16は特定有価証券入金機1の処理手順を示すフローチャートである。まず、作業者は、特定有価証券入金機1の電源を投入する。電源を投入すると、表示部140にはたとえば図8に示すような「メインメニュー」が表示される。作業者は、操作部150のキーボードを用いて表示画面の「手形回付」のボタンを選択する。「手形回付」のボタンを選択すると、表示部140の画面には図15に示すような「モード選択」の画面が表示される。
【0088】
つぎに、作業者は、添票を有価証券挿入口11から挿入してホッパ13にセットする。そして、操作部150のキーボードを用いて、図15に示す「モード選択」の画面において、入金処理のスタートボタンとなる「1枚スキャン(収納)」のボタンを選択する。「1枚スキャン(収納)」のボタンを選択すると、繰り出しローラ12が動作してホッパ13にセットした添票を特定有価証券入金機1内に取り込み始める(ステップS401)。
【0089】
特定有価証券入金機1内に取り込まれた添票は、搬送路20に沿って搬送され、読み取り・認識部30であるイメージスキャナに搬送される。約束手形が読み取り・認識部30に搬送されると、読み取り・認識部30(イメージスキャナ)は添票に記載された情報のイメージ画像データの読み込みを開始し、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。格納部80では、読み込んだイメージ画像データを格納する(ステップS402)。格納部80に添票のイメージ画像データが格納されると、添票は一時保留部40に搬送され、収納、保留される(ステップS403)。
【0090】
つぎに、作業者は、補箋付き手形1枚を有価証券挿入口11から挿入してホッパ13にセットする。そして、操作部150のキーボードを用いて、図15に示す「モード選択」の画面において、入金処理のスタートボタンとなる「1枚スキャン(外部排出)」のボタンを選択する。「1枚スキャン(外部排出)」のボタンを選択すると、繰り出しローラ12が動作してホッパ13にセットした補箋付き手形を特定有価証券入金機1内に取り込みを始め(ステップS404)、読み取り・認識部30(イメージスキャナ)は補箋付き手形に記載された情報のイメージ画像データの読み込みを開始し、読み込んだイメージ画像データを格納部80に出力する。格納部80では、読み込んだイメージ画像データを格納する(ステップS405)。
【0091】
つぎに、格納部80に補箋付き手形のイメージ画像データが格納されると、読み取り・認識部30は格納部80に格納されたイメージ画像データからOCRにより文字を識別して認識データを生成し、該認識データを格納部80に出力する。格納部80ではこの認識データを格納する(ステップS406)。そして、認識データの格納が終了した補箋付き手形はリジェクト・排出部120に排出される(ステップS407)。
【0092】
つぎに、図15に示す「モード選択」の画面において「OCR結果確認」のボタンを選択する。「OCR結果確認」のボタンを選択すると、図10に示すように「OCR結果確認」の画面のイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2欄とに、補箋付き手形のイメージ画像データと認識データとを表示する(ステップS408)。
【0093】
作業者は、この画面において認識データの正当性の確認・修正を行う。認識データの確認は、図10に示すように「OCR結果確認」の画面でイメージ画像データ欄120−1と認識データ欄120−2との表示を比較することで行う。認識データの正当性を確認した結果、認識データの間違いが認められた場合または認識されていない項目がある場合には、修正したい項目を選択して修正データを入力する。修正部90は、この入力に基づいて認識データの修正を行う(ステップS409)。そして、補箋付き手形の認識データの確認、修正の終了後、添票と補箋付き手形データの総計との照合が行われる(ステップS410)。照合の結果、認識データの正当性が確認されない場合(ステップS410否定)は、ステップS409に戻り認識データの修正を行う。補箋付き手形の認識データが正しいにもかかわらず照合の結果が正しくない場合は、図15のモード選択画面に戻り、「返却」のボタンを選択することにより、一時保留部40に保留した添票をリジェクト・排出部120に返却して(ステップS411)処理が終了する。
【0094】
認識データの修正の後、再度照合を行い、認識データの正当性が確認された場合は(ステップS410肯定)、認識データの承認指示である「確認完了」のボタンを選択する。承認部100ではこの承認指示に基づいて、修正された認識データを承認し、該承認された認識データは入金処理データとして生成される(ステップS412)。
【0095】
また、最初の照合の結果、認識データの正当性が確認された場合は(ステップS410肯定)、認識データの承認指示である「確認完了」のボタンを選択する。承認部100ではこの承認指示に基づいて、一取引分の認識データを承認し、該承認された認識データは入金処理データとして生成される(ステップS412)。
【0096】
つぎに図13の「収納画面」が表示され、「収納」のボタンを選択してIDとパスワードを入力することで、入金処理データが格納部80に格納され(ステップS413)、さらに一時保留部40に保留した添票にエンドーサ50で管理通番、日付等が印字されて指定された所定のスタッカ60に収納される(ステップS414)。
【0097】
以上のように、リジェクト・排出部120への補箋付き手形の外部排出、格納部80への入金処理データの格納、および添票のスタッカ60への収納が終了することにより、特定有価証券入金機1における一取引分の補箋付き手形の入金処理が終了する。なお、リジェクト・排出部120へ外部排出された補箋付き手形は定形外収納部130へ収納する。これにより、特殊形状の有価証券のみをまとめて管理することができる。
【0098】
上述したように、特定有価証券入金機1によれば、「1枚スキャン(収納)」モードと「1枚スキャン(外部排出)」モードとを選択することにより一取引分の補箋付き手形についても、機内に取り込んで入金処理を行うとともに、入金処理を行った添票をスタッカ60に収納し、管理することが可能である。したがって、一取引分の補箋付き手形についても、従来のような手入力による入金処理が不要であるため、ミスのない確実な入金処理を効率良く行うことが可能であるという効果を奏する。
【0099】
また、たとえば一取引分が定型手形と特殊手形の組み合わせから成る場合は、上述した「連続スキャン(収納)」モードと「1枚スキャン(外部排出)」モードとを組み合わせることにより、特定有価証券入金機1において入金処理を行うことが可能である。
【0100】
上述したように、本実施例によれば、特定有価証券を機内に収納する収納モードまたは特定有価証券を機外に排出する排出モードを示すモード選択指示に基づいて選択し、特定有価証券を機内に取り込み、特定有価証券に記載されたデータを読み取って読み取りデータを生成して格納し、読み取りデータを認識して認識データを生成、格納し、認識データの正当性を示す承認指示に基づいて承認して入金処理データを生成して格納し、選択したモードに基づいて機内に取り込んだ特定有価証券を機内に収納するかまたは機内に取り込んだ特定有価証券を機外に排出するように構成したので、機内に収納する特定有価証券と機外に外部排出する特定有価証券とを任意に選択することが可能である。これにより、定型の機内収納手段に収納できない特殊形状の特定有価証券についても、機内に取り込んで入金処理を行うとともに、入金処理を行った特定有価証券を管理することが可能であり、複数種類の特定有価証券の入金処理を行うことができる。したがって、特に利用頻度の低い特殊形状の特定有価証券についても従来のような手入力による入金処理が不要であるため、ミスのない確実な入金処理が可能であり、小切手や手形等の特定有価証券、そのなかでも特に利用頻度の低い特殊形状の特定有価証券について、効率良く且つ確実に入金処理と現品処理とを行うことができるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明にかかる特定有価証券入金機および特定有価証券入金方法は、金融機関等における効率的な特定有価証券の入金処理および入金処理をした特定有価証券の収納に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1−1】本実施例にかかる特定有価証券入金機および該特定有価証券入金機が接続される現金処理機の外観構成例を示す斜視図である。
【図1−2】本実施例にかかる特定有価証券入金機の概略構成を説明する図である。
【図2】小切手のイメージ画像を示す図である。
【図3】一時保留部の一構成例を説明する断面図である。
【図4】第1の巻取りローラの周辺部を示す要部斜視図である。
【図5】第2の巻取りローラへの帳票の収納を説明するための要部斜視図である。
【図6】一時保留部の一構成例を説明する断面図である。
【図7】特定有価証券入金機の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】特定有価証券入金機で入金処理中の表示部の表示画面を示した図である。
【図9】特定有価証券入金機で入金処理中の表示部の表示画面を示した図である。
【図10】特定有価証券入金機で入金処理中の表示部の表示画面を示した図である。
【図11】特定有価証券入金機の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】特定有価証券入金機の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】特定有価証券入金機で入金処理中の表示部の表示画面を示した図である。
【図14】特定有価証券入金機内における添票および約束手形の順番および表裏方向を説明する概念図である。
【図15】特定有価証券入金機で入金処理中の表示部の表示画面を示した図である。
【図16】特定有価証券入金機の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0103】
1 特定有価証券入金機
10 取り込み部
11 有価証券挿入口
12 繰り出しローラ
13 ホッパ
20 搬送路
30 読み取り・認識部
40 一時保留部
50 エンドーサ
60 スタッカ
61 収納ローラ
70 主制御部
80 格納部
90 修正部
100 承認部
110 収納・排出選択部
120 リジェクト・排出部
121 排出ローラ
130 定形外収納部
140 表示部
150 操作部
160 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定有価証券の情報を認識して該特定有価証券の入金処理を行い、該特定有価証券を収納する特定有価証券入金機であって、
前記特定有価証券を機内に取り込む取り込み手段と、
前記機内に取り込んだ特定有価証券に記載されたデータを読み取って読み取りデータを生成する読み取り手段と、
前記読み取りデータを認識して認識データを生成する認識手段と、
前記認識データの正当性を示す承認指示に基づいて承認して入金処理データを生成する承認手段と、
前記読み取りデータと前記認識データと前記入金処理データとを格納する格納手段と、
前記機内に取り込んだ特定有価証券を収納する収納手段と、
前記機内に取り込んだ特定有価証券が外部排出される排出手段と、
前記機内に取り込んだ特定有価証券を前記収納手段に収納する収納モードまたは前記機内に取り込んだ特定有価証券を前記排出手段に外部排出する排出モードを示すモード選択指示に基づいて選択する選択手段と
を備えることを特徴とする特定有価証券入金機。
【請求項2】
前記読み取りデータを生成した特定有価証券を一時的に保留する一時保留手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の特定有価証券入金機。
【請求項3】
前記選択手段において前記収納モードを選択した場合に、前記機内に取り込んだ特定有価証券の認識データを生成した後に前記取り込み手段が連続的に次の特定有価証券を機内に取り込み、
前記選択手段において前記排出モードを選択した場合に、前記機内に取り込んだ特定有価証券の認識データを生成し、前記排出手段により外部排出すること
を特徴とする請求項1に記載の特定有価証券入金機。
【請求項4】
特定有価証券の情報を認識して該特定有価証券の入金処理を行い、該特定有価証券を収納する特定有価証券入金方法であって、
前記特定有価証券を機内に収納する収納モードまたは前記特定有価証券を機外に排出する排出モードを示すモード選択指示に基づいて選択する選択工程と、
前記特定有価証券を機内に取り込む取り込み工程と、
前記機内に取り込んだ特定有価証券に記載されたデータを読み取って読み取りデータを生成する読み取り工程と、
前記読み取りデータを格納する読み取りデータ格納工程と、
前記読み取りデータを認識して認識データを生成する認識工程と、
前記認識データを格納する認識データ格納工程と、
前記認識データの正当性を示す承認指示に基づいて承認して入金処理データを生成する承認工程と、
前記入金処理データを格納する入金処理データ格納工程と、
前記選択工程において選択したモードに基づいて前記機内に取り込んだ特定有価証券を機内に収納するかまたは前記機内に取り込んだ特定有価証券を機外に排出する収納・排出工程と
を含むことを特徴とする特定有価証券入金方法。

【図1−1】
image rotate

【図1−2】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate