説明

特許出願評価装置

【課題】特許出願の価値を合理的かつ定量的に評価する特許出願評価装置を提供する。
【解決手段】特許出願評価装置は、分析対象の出願と類似する出願の数を分析類似数と特定し、分析対象の出願と類似する出願の単位期間あたりの増加数である分析増加率を特定し、評価対象の出願と類似する出願の数を評価類似数と特定し、評価対象の出願と類似する出願の単位期間あたりの増加数である評価増加率を特定し、複数の分析類似数に対する評価類似数の相対的な位置である類似位置を特定し、複数の分析増加率に対する評価増加率の相対的な位置である増加率位置を特定し、類似位置及び相対的な位置と評価対象の特許出願の特許される可能性を示す特許予測値とから評価対象の特許出願の価値を評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許出願の価値を評価する特許出願評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本で特許権を取得するためには、特許出願の出願日から3年以内に出願審査の請求を行わなければならない(特48条の3)。出願審査の請求を行うと、金銭的コスト及び人的コストが発生する。そのため、出願人はコストに見合うリターンを見込めるか否かを慎重に判断して、出願審査の請求を行うか否かを決定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−265039号公報
【特許文献2】特開2007−265040号公報
【特許文献3】特開2002−15001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状、出願人の多くは企業であり、企業の知財担当者が自らの経験に基づいて特許出願の価値を評価し、出願審査の請求を行うか否かを判断することが多い。しかしながら、特許出願の価値を定量的に評価する手法は確立されておらず、出願審査の請求を行うか否かを判断することは容易ではない。特許出願の価値は、出願審査の請求を行うか否かを判断する場合のみならず、拒絶理由通知を受領した場合や出願時にも必要とされる。
【0005】
本発明は、特許出願の価値を合理的かつ定量的に評価する特許出願評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し上記目的を達成するために、本発明の特許出願評価装置は、評価対象の特許出願の特許される可能性を示す特許予測値を取得する予測値取得部と、特許出願の文献データを保持するデータベースから文献データを取得するデータ取得部と、前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願の評価に資するべく分析される特許出願である分析対象の特許出願より先に出願され、かつ、前記分析対象の特許出願と内容において類似する特許出願の数を分析類似数と特定する分析類似数特定部と、前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記分析対象の特許出願と内容において類似する特許出願の単位期間あたりの増加数である分析増加率を特定する分析増加率特定部と、前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願よりも先に出願され、かつ、前記評価対象の特許出願と内容において類似する特許出願の数を評価類似数と特定する評価類似数特定部と、前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願と内容において類似する特許出願の単位期間あたりの増加数である評価増加率を特定する評価増加率特定部と、前記分析類似数特定部によって複数の前記分析対象の特許出願について得られた複数の分析類似数に対する前記評価類似数の相対的な位置である類似位置を特定する類似位置特定部と、前記分析増加率特定部によって複数の前記分析対象の特許出願について得られた複数の分析増加率に対する前記評価増加率の相対的な位置である増加率位置を特定する増加率位置特定部と、前記特許予測値と、前記類似位置と、前記増加率位置とを用いて、前記評価対象の特許出願の価値を評価する価値評価部とを備える。
【0007】
また、本発明の特許出願評価装置の各構成要件の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムも、本発明の一態様である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、特許出願の価値を合理的かつ定量的に評価する特許出願評価装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施の形態の特許出願評価システムの構成図である。
【図2】本実施の形態の特許出願評価装置が行う処理を示す模式図である。
【図3】確定出願のグループ分けを説明するためのフローチャートである。
【図4】分析結果の一例を示す図である。
【図5】検証出願の評価値の決定方法の一例を示す図である。
【図6】本実施の形態の特許出願評価装置の構成図である。
【図7】本実施の形態の特許出願評価装置のデータ保持部が保持するデータの構造の一例を示す図である。
【図8】本実施の形態の特許出願評価装置のデータ保持部が保持するデータの構造の一例を示す図である。
【図9】グループを考慮しない場合の、先行類似数及び先行情報量と審査結果との関係を示すグラフである。
【図10】グループを考慮した上で、先行類似数及び先行情報量と審査結果との関係を示すグラフである。
【図11】未公開類似出願と公開類似出願との関係を示すグラフである。
【図12】特許可能性分析フェーズの処理過程を示すフローチャートである。
【図13】特許性予測フェーズにおける処理過程を示すフローチャートである。
【図14】評価分析フェーズの処理過程を示すフローチャートである。
【図15】総合評価フェーズにおける処理過程を示すフローチャートである。
【図16】検証出願の総合的評価を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0011】
先ず、本実施の形態の特許出願評価装置1を含む特許出願評価システムを図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態の特許出願評価システムの構成図である。図1に示すように、特許出願評価システムは、評価対象の特許出願の価値を評価するためのシステムであって、特許出願評価装置1と、クライアント端末装置2と、特許データベース3と、通信ネットワーク4とで構成される。なお、以下の説明では、評価対象の特許出願を「検証出願」と呼ぶ。検証出願は、特許出願のために作成された出願前の原稿であってもよい。
【0012】
特許出願評価装置1は、検証出願について、特許される可能性(以下、「特許可能性」という。)を予測するとともに、技術トレンドにのった出願であるかどうかや、先駆的な発明に関する出願であるかどうか等を判断して、価値を評価する装置である。クライアント端末装置2は、ウェブブラウザを有する端末装置である。特許出願評価装置1及びクライアント端末装置2は、一般的なコンピュータによって実現することができる。特許データベース3は、出願公開された特許出願の文献データを保持するデータベースであって、特許又は拒絶が確定している特許出願(以下、「確定出願」という。)の文献データと、特許又は拒絶が確定していない特許出願(以下、「未確定出願」という。)の文献データとを保持する。文献データは、特許請求の範囲等の願書に添付された書類そのものに限らず、経過情報等の付随的な書誌情報も含まれる。特許データベース3は、「特許電子図書館」等の既存データベースであってもよい。通信ネットワーク4は、インターネット等のデータを通信するためのネットワークである。
【0013】
特許出願評価装置1、クライアント端末装置2、及び特許データベース3は、通信ネットワーク4に接続されており、特許出願評価装置1及びクライアント端末装置2は互いに通信可能である。ユーザは、クライアント端末装置2を介して特許出願評価装置1にアクセスし、特許出願評価装置1は、そのアクセスに対して各種の情報をクライアント端末装置2に提供する。また、特許出願評価装置1は、通信ネットワーク4を介して特許データベース3から文献データを取得する。
【0014】
特許出願評価装置1は、確定出願について申請内容と審査結果との因果関係を分析して検証出願の特許可能性を予測するとともに、確定出願及び未確定出願の件数並びにその増加数等を分析し、得られた結果から検証出願の価値を評価する。
【0015】
次に、特許出願評価装置1が行う処理を図2を用いて説明する。図2は、特許出願評価装置1が行う処理を示す模式図である。図2に示すように、特許出願評価装置1が行う処理は「分析フェーズF1」と「評価フェーズF2」とに大別される。
【0016】
分析フェーズF1は、検証出願の価値を評価するために文献データを分析するフェーズであって、「特許可能性分析フェーズF11」と「評価分析フェーズF12」とに大別される。特許可能性分析フェーズF11では、確定出願について申請内容と審査結果との因果関係を分析し、検証出願の特許可能性を得るための「特許予見式」を特定する。評価分析フェーズF12では、検証出願の評価に資するべく分析される特許出願である分析対象の特許出願に類似する特許出願の出願数の増加率と、分析対象の特許出願に類似する特許出願であって分析対象の特許出願より先に出願された特許出願の数と、分析対象の特許出願の情報量とを分析する。
【0017】
評価フェーズF2は、分析フェーズF1における分析結果を利用して、検証出願の価値を評価するフェーズであって、「特許性予測フェーズF21」と、「総合評価フェーズF22」とに大別される。特許性予測フェーズF21では、特許可能性分析フェーズF11によって特定される特許予見式と検証出願の申請内容とから検証出願の特許可能性を示す「特許予測値」を算出する。総合評価フェーズF22では、特許予測値と、評価分析フェーズF12によって得られる結果とから検証出願の価値を算出する。
【0018】
次に、評価の前提となる理論的背景について説明する。その後、分析フェーズF1及び評価フェーズF2を説明する。
【0019】
先ず、理論的背景を説明する。
【0020】
特許発明の技術的範囲は「特許請求の範囲」によって定義されるので(特70条1項)、請求項の広狭が権利の広さを決める。権利者は請求項が広いことを好むが、開発競争の激しい技術分野(以下、「密な技術分野」という。)においては、広い請求項で特許を取得するのは一般的には困難である。他方、競争相手の少ない技術分野(以下、「疎な技術分野」という)においては、広い請求項で特許を取得するのは比較的容易である。本発明者は、このような経験則に基づき、技術分野の疎密及び請求項の広狭と特許可能性との間には統計的な相関関係が見いだせるのではないかと考えた。
【0021】
技術分野の疎密を示す指標値として「類似数(x)」を導入する。ある特許出願Aよりも先に出願された特許出願のうち、特許出願Aと内容において類似する特許出願を「(特許出願Aの)類似出願」と定義するとともに、類似出願の数を「(特許出願Aの)類似数(x)」と定義する。類似数が多いほど、言い換えれば特許出願Aの特許性を否定する根拠となりかねない文献が多いほど、特許出願Aが属する技術分野は密であるといえる。
【0022】
特許出願Aと他の特許出願Bとの類否の判定は、既知の自然言語処理技術を応用して行うことができる。例えば、特許出願Aの請求項1に含まれる形態素群のうち所定の割合以上の形態素が他の特許出願Bの明細書にも含まれている場合、特許出願Bは特許出願Aに類似すると判定する。TF(Term Frequency)法やIDF(Inverse Document Frequency)法のように、形態素毎の重要性を加味した上で、特許出願Aと他の特許出願Bとの類否を判定してもよい。既に実用化されている概念検索技術により、類似度が所定の閾値以上となるか否かを検知して類否を判定してもよい(概念検索の詳細については、特許文献3参照)。
【0023】
次に、請求項の広狭を示す指標値として「情報量(y)」を導入する。本実施の形態では、特許出願Aの所定の請求項に含まれる形態素の数、例えば請求項1に含まれる形態素の数を「(特許出願Aの)情報量(y)」と定義する。情報量が多いほど権利範囲が狭く、情報量が少ないほど権利範囲が広いと推定される。
【0024】
次に、検証出願が属する技術分野が時流にのった分野であるのかどうかを示す指標値として「増加率(f)」を導入する。増加率(f)は、所定の単位期間(例えば、1年)あたりのその技術分野の特許出願の増加件数である。増加率(f)を利用することにより、検証出願の価値を評価することができる。
【0025】
次に、分析フェーズF1及び評価フェーズF2を説明する。
【0026】
先ず、分析フェーズF1を説明する。分析フェーズF1は、上述したように、検証出願の価値を評価するために文献データを分析するフェーズであって、特許可能性分析フェーズF11と評価分析フェーズF12とに大別される。
【0027】
特許可能性分析フェーズF11は、確定出願について申請内容と審査結果との因果関係を分析して検証出願の特許可能性を得るための「特許予見式」を特定するフェーズであって、第1収集処理S1と、第1分析材料特定処理S2と、特許予見式特定処理S3との3つの処理に分けることができる。
【0028】
先ず、第1収集処理S1について説明する。第1収集処理S1は、特許データベース3から確定出願の文献データを取得する処理である。
【0029】
特許出願評価装置1は、特許データベース3から確定出願の文献データを取得して自らが有する記憶領域において保持する。特許出願評価装置1は、特許可能性分析フェーズF11を実行する時に文献データを取得してもよいし、バッチ処理により文献データを定期的に取得してもよい。ユーザは、クライアント端末装置2を介して、分析対象とすべき確定出願を特定するための「検索条件」を特許出願評価装置1に入力する。検索条件は、例えば、出願日、出願人、IPC(International Patent Classification)、審査官、代理人、出願番号、又は公開番号等である。「出願日」は、例えば「1997年4月1日〜2008年3月31日」のような連続する複数の日を含む期間であってもよい。
【0030】
特許出願評価装置1は、自らが有する記憶領域において確定出願の文献データを保持した後に、入力された検索条件に該当する分析対象とすべき確定出願を特定する。なお、ユーザによる検索条件の入力は必須ではない。検索条件が入力されなければ、特許出願評価装置1は、特許データベース3から取得した全ての確定出願を分析対象とする。また、特許出願評価装置1は、ユーザによって検索条件が入力された後に、検索条件に該当する分析対象とすべき確定出願を特許データベース3から取得して自らが有する記憶領域において保持してもよい。以下の説明では、「分析対象となった確定出願」を、特に断らない限り「確定出願」と呼ぶ。
【0031】
次に、第1分析材料特定処理S2について説明する。第1分析材料特定処理S2は、各確定出願について、類似数と情報量とを特定するとともに、特許されているか拒絶されているかを示す審査結果を特定する処理である。
【0032】
特許出願評価装置1は、確定出願それぞれについて類似数と情報量とを特定する。例えば、確定出願Dの類似数と情報量とを特定する場合、特許出願評価装置1は、確定出願Dより先に出願されている特許出願であって、かつ、確定出願Dと類似する特許出願を「(確定出願Dの)類似出願」と特定し、類似出願の数を「(確定出願Dの)類似数(x)」と特定する。以下の説明では、確定出願の類似出願を「先行類似出願」といい、確定出願の類似数を「先行類似数(x)」という。次に、特許出願評価装置1は、確定出願Dの情報量を特定する。以下の説明では、確定出願の情報量を「先行情報量(y)」という。
【0033】
最後に、特許出願評価装置1は、確定出願Dの審査結果を「結果指標値(z)」として指標化する。本実施の形態では、特許が確定している確定出願(以下、「確定出願(特許)」と表記する。)の結果指標値(z)を「1」とし、拒絶が確定している確定出願(以下、「確定出願(拒絶)」と表記する。)の結果指標値(z)を「0」とする。
【0034】
このようにして、特許出願評価装置1は、確定出願Dについて、先行類似数(x)と、先行情報量(y)と、結果指標値(z)とをワンセットにして、自らが有する記憶領域において保持する。特許出願評価装置1は、他の確定出願についても、先行類似数と、先行情報量と、結果指標値とを特定する。つまり、特許出願評価装置1は、複数の確定出願それぞれについて、「先行類似数(x)と、先行情報量(y)と、結果指標値(z)とのセット」を特定して保持する。
【0035】
次に、特許予見式特定処理S3について説明する。特許予見式特定処理S3は、第1分析材料特定処理S2において得られた結果を利用して、検証出願の特許可能性を予測するための特許予見式を特定する処理である。
【0036】
特許出願評価装置1は、log(先行類似数(x))と先行情報量(y)とを説明変量とし、結果指標値(z)を目的変量として重回帰分析を実行する。log(先行類似数(x))の対数の底は「10」である。つまり、特許出願評価装置1は、重回帰分析を行うための回帰式として「z=a・logx+b・y+c」を設定し、複数の確定出願を対象として重回帰分析を行い、係数a、係数b、及び係数cを算出する。
【0037】
本実施の形態では、特許出願評価装置1は、以下に図3を用いて説明するようにして各確定出願をグループ分けし、グループ毎に回帰式「z=a・logx+b・y+c」を設定する。すなわち、特許出願評価装置1は、図3に示すように、先ず、複数の確定出願を先行類似数(x)の大きい順に並べ(S100)、先行類似数(x)の大きい方から順に同じグループに属する確定出願の候補P(j)(k)を作成する(S102)。
【0038】
なお、初めてステップS102から後述するステップS106の処理を行う場合、特許出願評価装置1は、“j=1、s=1”として処理を行う。また、特許出願評価装置1は、複数の確定出願を先行類似数(x)の大きい順に並べる際(S100)、例えば、D(1)、D(2)、D(3)、・・・、D(n)の順に確定出願を並べる。また、候補P(j)(k)の具体例は、次の通りである。
【0039】
P(j)(1)={D(s),D(s+1),D(s+2)}、
P(j)(2)={D(s),D(s+1),D(s+2),D(s+3)}、
・・・
P(j)(n−s−1)={D(s),D(s+1),D(s+2),D(s+3),・・・,D(n)}
次に、特許出願評価装置1は、作成した候補P(j)(k)(k=1、・・・、n−s−1)毎に回帰式「z=a・logx+b・y+c」について重回帰分析を行い、先頭の候補から有意Fが所定の値(例えば、0.05)以下になるとともに、重相関(R)の値が最大になる候補P(j)(K)までを、一つのグループに属させる(S104)。例えば、先行類似数(x)の大きい方から順に4番目までの候補と、先行類似数(x)の大きい方から順に5番目までの候補とを対象にして重回帰分析を行った結果、ともに有意Fが所定の値以下になったが、先行類似数(x)の大きい方から順に5番目までの候補を対象にして重回帰分析を行って得られた重相関(R)の値が最大になった場合、特許出願評価装置1は、先行類似数(x)の大きい方から順に5番目までの候補を一つのグループに属させる。なお、例えば、先行類似数(x)の大きい方から4番目までの候補は、P(j)(2)と表現され、先行類似数(x)の大きい方から5番目までの候補は、P(j)(3)と表現される。
【0040】
そして、特許出願評価装置1は、同じグループに属する両端の確定出願(D(s)、D(K+s+1))のlog(x(s))とlog(x(K+s+1))とを、自らの記憶領域において保持する(S106)。例えば、先行類似数(x)の大きい方から順に5番目までの候補が一つのグループに属することになった場合、特許出願評価装置1は、先頭の先行類似数(x)の対数値と5番目の先行類似数(x)の対数値とを自らの記憶領域において保持する。その保持は、後に検証出願をどのグループに属させるべきかを判断する際に必要とする。なお、先行類似数(x)の大きい方から5番目までの候補が一つのグループに属することになった場合、P(j)(3)が、重相関Rの値が最大になる候補であるので、K=3である。
【0041】
次に、いずれのグループにも属していない確定出願の個数が2以下であるか否かを判断し(S108)、3以上であれば、特許出願評価装置1は、変数s及び変数jの値を変更する。具体的には、特許出願評価装置1は、変数sの値を“s=K+s+2”に変更し、変数jの値を“j=j+1”に変更する。上述した例では、K=3,s=1,j=1であるので、特許出願評価装置1は、変数sの値を“s=5”に変更し、変数jの値を“j=2”に変更する。そして、特許出願評価装置1の動作はステップS102に戻り、2以下であれば、特許出願評価装置1の動作は終了する。なお、ステップS102では、特許出願評価装置1は、いずれかのグループに既に属している確定出願を除いて、候補P(j)(k)を作成する。
【0042】
このようにして、特許出願評価装置1は、確定出願の先行類似数(x)の数によって特定される各グループについて、log(先行類似数(x))及び先行情報量(y)を説明変量とし、結果指標値(z)を目的変量とする回帰式としての「特許予見式」を決定する。特許出願評価装置1は、決定した特許予見式を自らが有する記憶領域において保持する。なお、特許出願評価装置1は、特許予見式とともに、重相関係数等も算出してもよい。重相関係数が大きいほど、特許予見式の信頼性は高い。a<0、b>0、c>0となる特許予見式は、先行類似数(x)が少なく、先行情報量(y)が大きいほど、特許されやすい(結果指標値(z)が大きい)という経験則と一致する。
【0043】
以上が特許可能性分析フェーズF11の説明である。なお、特許出願評価装置1は、特許可能性分析フェーズF11の実行完了後に、log(先行類似数(x))をx軸とし、先行情報量(y)をy軸として、各確定出願を特許されているのか拒絶されているのかを区別してグラフにプロットし、そのグラフをクライアント端末装置2に表示させてもよい。グラフについては図9及び図10を用いて後述する。
【0044】
次に、特許性予測フェーズF21を説明する。評価分析フェーズF12を説明する前に、特許性予測フェーズF21を説明する。特許性予測フェーズF21は、上述したように、特許可能性分析フェーズF11によって特定される特許予見式と検証出願の申請内容とから検証出願の特許可能性を示す「特許予測値」を算出するフェーズであって、第1検証材料特定処理S4と、予測処理S5との2つの処理に分けることができる。
【0045】
先ず、第1検証材料特定処理S4について説明する。第1検証材料特定処理S4は、検証出願の文献データを取得し、検証出願の特許可能性を予測するために、検証出願の類似数と情報量とを特定する処理である。
【0046】
ユーザは、クライアント端末装置2を介して、検証出願の文献データを特許出願評価装置1に入力する。これにより、特許出願評価装置1は、検証出願の文献データを取得する。ユーザは、検証出願の文献データ全体を入力する必要はない。ユーザは、請求項1や要約等の検証出願の文献データの一部のみを入力してもよい。検証出願が出願公開されていれば、ユーザは、検証出願の公開番号等を入力し、特許出願評価装置1に特許データベース3から検証出願の文献データを取得させてもよい。
【0047】
次に、特許出願評価装置1は、検証出願の類似数(以下、「検証類似数(x)」という。)と、検証出願の情報量(以下、「検証情報量(y)」という)とを特定する。例えば、ある検証出願Eの検証類似数(x)と検証情報量(y)とを特定する場合、特許出願評価装置1は、検証出願Eよりも先に出願されている特許出願であって、検証出願Eと類似する特許出願を「(検証出願Eの)類似出願」と特定し、類似出願の数を「(検証出願Eの)類似数」、すなわち「検証類似数(x)」と特定し、検証出願Eの情報量を検証情報量(y)と特定する。
【0048】
次に、予測処理S5について説明する。予測処理S5は、検証出願の特許可能性を予測する処理である。
【0049】
特許出願評価装置1は、特許可能性分析フェーズF11で得られた特許予見式「z=a・logx+b・y+c」の変数xと変数yに、検証類似数(x)と検証情報量(y)をそれぞれ代入し、結果指標値(z)を求める。算出される結果指標値(z)は、検証出願の特許可能性を定量的に示す「特許予測値」である。特許予測値は、確定出願群について申請内容と審査結果との因果関係を分析した結果に基づいて、検証出願の特許可能性を定量的に示す値である。特許予測値が大きいほど、すなわち特許予測値が1.0に近いほど、検証出願が特許される可能性が高いと予測される。特許出願評価装置1は、算出した特許予測値を自らが有する記憶領域において保持する。特許出願評価装置1は、クライアント端末装置2に図4に示す分析結果180を表示させ、検証出願の特許可能性(特許予測値)、先行出願数(検証類似数)、重相関係数、検証類似数や検証情報量のP値等をユーザに示してもよい。これにより、ユーザは、重相関係数値を参照して検索条件を変更し、重相関係数が高い特許予見式、言い換えれば信頼性の高い特許予見式を特許出願評価装置1に決定させることができる。
【0050】
このような処理により、技術分野の疎密及び請求項の広狭と過去の審査結果とに基づき、特許出願評価装置1は、未審査の検証出願の特許可能性を合理的かつ定量的に算出することができる。
【0051】
以上が特許性予測フェーズF21の説明である。
【0052】
次に、評価分析フェーズF12を説明する。評価分析フェーズF12は、上述したように、分析対象の特許出願に類似する特許出願の出願数の増加率と、分析対象の特許出願に類似する特許出願であって分析対象の特許出願より先に出願された特許出願の数と、分析対象の特許出願の情報量とを分析するフェーズであって、第2収集処理S6と、第2分析材料特定処理S7と、分散算出処理S8との3つの処理に分けることができる。
【0053】
先ず、第2収集処理S6について説明する。第2収集処理S6は、特許データベース3から文献データを取得する処理である。
【0054】
特許出願評価装置1は、特許可能性分析フェーズF11の第1収集処理S1において行うように、特許データベース3から文献データを取得して自らが有する記憶領域において保持する。特許出願評価装置1は、評価分析フェーズF12を実行する時に文献データを取得してもよいし、バッチ処理により文献データを定期的に取得してもよい。ユーザは、クライアント端末装置2を介して、分析対象とすべき特許出願を特定するための「検索条件」を特許出願評価装置1に入力する。検索条件は、第1収集処理S1を説明する際に説明した条件であって、出願日等である。
【0055】
特許出願評価装置1は、自らが有する記憶領域において文献データを保持した後に、入力された検索条件に該当する分析対象の特許出願を特定する。なお、ユーザによる検索条件の入力は必須ではない。検索条件が入力されなければ、特許出願評価装置1は、特許データベース3から取得した全ての特許出願を分析対象とする。また、特許出願評価装置1は、ユーザによって検索条件が入力された後に、検索条件に該当する分析対象とすべき特許出願を特許データベース3から取得して自らが有する記憶領域において保持してもよい。
【0056】
次に、第2分析材料特定処理S7について説明する。第2分析材料特定処理S7は、分析対象の各特許出願について、類似する特許出願の出願数の増加率と、類似する特許出願であって分析対象の特許出願より先に出願された特許出願の数と、情報量とを特定する処理である。以下の説明では、分析対象の特許出願に類似する特許出願の出願数の単位期間あたりの増加数である増加率を「分析増加率」と呼ぶ。また、類似する特許出願であって分析対象の特許出願より先に出願された特許出願の数を「分析類似数」と呼ぶ。
【0057】
特許出願評価装置1は、分析対象の特許出願それぞれについて、分析類似数と、分析増加率と、情報量とを特定する。例えば、ある分析対象の特許出願Pの分析類似数を特定する場合、特許出願評価装置1は、特許出願Pよりも先に出願されている特許出願であって、特許出願Pと類似する特許出願を「(特許出願P)の分析類似出願」と特定し、分析類似出願の数を「(特許出願Pの)分析類似数(e)」と特定する。
【0058】
特許出願Pの分析増加率を特定する場合、特許出願評価装置1は、特許出願Pより後に出願されている特許出願であって、かつ、特許出願Pと類似する特許出願を「特許出願Pの類似出願」と特定し、特許出願Pの類似出願の単位期間(例えば、「1年」)あたりの増加数を分析増加率(f)と特定する。本実施の形態では、特許出願評価装置1は、分析増加率(f)を分析類似数で除する。本発明者の調査により、特許出願Pの出願時に特許出願Pに類似する特許出願の件数が多ければ分析増加率(f)は高く、特許出願Pの出願時に特許出願Pに類似する特許出願の件数が少なければ分析増加率(f)は低いことが判明した。それは、単純に分析増加率(f)を比較の材料とすると、特許出願Pが属する技術分野が時流にのった分野であるかどうかを精度よく知ることができないことを意味する。そこで、特許出願Pが属する技術分野が時流にのった分野であるかどうかを精度よく知るために、特許出願評価装置1は、分析増加率(f)を分析類似数(e)で除し、評価用分析増加率(f’)を得る。
【0059】
なお、特許出願評価装置1は、分析増加率(f)を、分析類似数(e)と特許出願Pの出願以降に出願された特許出願Pに類似する全部の出願との和で除して、評価用分析増加率(f’)を得てもよい。また、特許出願評価装置1は、特許出願Pの出願以降に出願された特許出願Pに類似する全部の出願を分析類似数(e)と特許出願Pの出願以降に出願された特許出願Pに類似する全部の出願との和で除して、評価用分析増加率(f’)を得てもよい。
【0060】
次に、特許出願評価装置1は、特許出願Pの情報量を特定する。以下の説明では、特許性予測フェーズF21の分析対象の特許出願の情報量を「分析情報量(g)」という。なお、分析対象の特許出願の処分が未確定である場合、特許出願評価装置1は、単純に得られる分析情報量(g)に補正係数を乗じて分散算出処理S8において使用する分析情報量(g)を特定してもよい。例えば、補正係数は、複数の特許出願に着目し、「特許されたときの請求項1の単語数」を「出願時の請求項1の単語数」で除して得られる値の平均値である。
【0061】
次に、分散算出処理S8について説明する。分散算出処理S8は、複数の分析対象の特許出願それぞれの分析類似数(e)の対数値についての平均と分散とを算出するとともに、複数の分析対象の特許出願それぞれの評価用分析増加率(f’)及び分析情報量(g)の逆数について、平均と分散とを算出する処理である。
【0062】
特許出願評価装置1は、複数の分析対象の特許出願それぞれの分析類似数(e)の対数値について、平均と分散とを算出する。分析類似数(e)そのものではなく、分析類似数(e)の対数値の平均と分散とを算出するのは、本発明者による調査の結果、単なる数の大小ではなく、数のオーダを示す対数の方が特許性をよく説明することが判明したためである。
【0063】
次に、特許出願評価装置1は、複数の分析対象の特許出願それぞれの評価用分析増加率(f’)について、平均と分散とを算出する。更に、特許出願評価装置1は、複数の分析対象の特許出願それぞれの分析情報量(g)の逆数について、平均と分散とを算出する。
【0064】
そして、特許出願評価装置1は、複数の分析対象の特許出願それぞれについての、分析類似数(e)の対数値の平均及び分散と、評価用分析増加率(f’)の平均及び分散と、分析情報量(g)の逆数の平均及び分散とを自らが有する記憶領域において保持する。
【0065】
以上が評価分析フェーズF12の説明である。次に、総合評価フェーズF22を説明する。
【0066】
総合評価フェーズF22は、特許性予測フェーズF21によって得られた特許予測値と、評価分析フェーズF12によって得られた結果とから検証出願の価値を算出するフェーズであって、第2検証材料特定処理S9と、総合評価処理S10との2つの処理に分けることができる。
【0067】
先ず、第2検証材料特定処理S9を説明する。第2検証材料特定処理S9は、検証出願よりも先に出願されて内容が類似する特許出願の数(以下、「評価類似数」という。)と、検証出願に類似する特許出願の単位期間(例えば、「1年」)あたりの増加数を評価類似数で除した値(以下、「評価増加率」という。)と、情報量の逆数とを特定し、評価分析フェーズF12において得られた平均及び分散を用いて検証出願の標準偏差を算出する処理である。
【0068】
特許出願評価装置1は、検証出願について、評価類似数の対数値と、評価増加率と、情報量の逆数とを特定する。そして、特許出願評価装置1は、下記の式(1)に基づいて、複数の分析対象の特許出願それぞれの分析類似数(e)の対数値についての平均及び分散を用いた場合の検証出願の評価類似数の対数値の標準偏差(以下、「類似数標準偏差(E)」という。)を算出する。
【0069】
E={log(検証出願の評価類似数)−log(分析類似数(e))の平均}/(log(分析類似数(e))の標準偏差 ・・・(1)
同様にして、特許出願評価装置1は、下記の式(2)に基づいて、複数の分析対象の特許出願それぞれの評価用分析増加率(f’)についての平均及び分散を用いた場合の検証出願の評価増加率の標準偏差(以下、「増加率標準偏差(F)」という。)を算出する。
【0070】
F={(検証出願の評価増加率)−評価用分析増加率(f’)の平均}/評価用分析増加率(f’)の標準偏差 ・・・(2)
更に、特許出願評価装置1は、下記の式(3)に基づいて、複数の分析対象の特許出願それぞれの分析情報量(g)の逆数についての平均及び分散を用いた場合の検証出願の情報量の逆数の標準偏差(以下、「情報量標準偏差(G)」という。)を、特定した情報量の逆数を用いて算出する。
【0071】
G={(検証出願の情報量の逆数)−分析情報量(g)の逆数の平均}/分析情報量(g)の逆数の標準偏差 ・・・(3)
そして、特許出願評価装置1は、算出した類似数標準偏差(E)と、増加率標準偏差(F)と、情報量標準偏差(G)とを、自らが有する記憶領域において保持する。
【0072】
次に、総合評価処理S10を説明する。総合評価処理S10は、検証出願の価値を総合的に評価する処理である。
【0073】
特許出願評価装置1は、自らが有する記憶領域において保持している特許予測値(z)、類似数標準偏差(E)、増加率標準偏差(F)、及び情報量標準偏差(G)を、評価式「v=α・z+β・E+γ・F+δ・G」に代入して検証出願の価値を総合的に示す価値vを算出する。
【0074】
このような処理により、特許可能性や、技術トレンドにのった出願であるかどうかや、先駆的な発明に関する出願であるかどうか等を総合的に考慮した検証出願の価値を合理的かつ定量的に算出することができる。特に、特許出願した後3年が経過するまでにその特許出願について出願審査の請求を行うかどうかを判断する場合、出願人自身又は出願人が企業であるときの知財担当者が特許出願評価装置1によりその特許出願の価値vを算出させることは有効である。価値vに基づいて、審査請求を行うべきか否かを判断することが容易になるからである。
【0075】
なお、上述した実施の形態では、特許出願評価装置1は、分析増加率(f)を算出する際、分析対象の特許出願より後に出願された特許出願の数の増加率を算出した。出願審査の請求を行うかどうかを判断する場合等の検証出願の出願後に価値vを得ようとする場合はそれでよいが、出願時に検証出願の価値を評価する場合、特許出願評価装置1は、検証出願より先にされた特許出願の数の増加率を算出する。そして、特許出願評価装置1は、検証出願より先にされた特許出願の数の増加率を分析類似数(e)で除して評価用分析増加率(f’)を得る。これにより、検証出願の出願時点で、その出願時において検証出願が時流に乗っているかどうかを含む検証出願の価値を得ることができる。
【0076】
なお、評価式「v=α・z+β・E+γ・F+δ・G」における係数α、係数β、係数γ、及び係数δは、例えば、多数の検証出願について価値vを算出し、算出した各値と、経済的効果等が考慮された基準により特定される各検証出願の実際の価値とを検証しながら比較し、その結果に基づいて実験的に決められる。
【0077】
また、評価式は、「v’=α・z+β・E+γ・F」であってもよい。
【0078】
また、特許出願評価装置1は、評価式を用いずに検証出願の評価値vを決定してもよい。例えば、特許出願評価装置1は、特許予測値(z)を、「0.67以上1以下である場合、Aランク」に属させ、「0.33以上0.66未満である場合、Bランク」に属させ、「0以上0.33未満である場合、Cランク」に属させる。また、特許出願評価装置1は、類似数標準偏差(E)、増加率標準偏差(F)、及び情報量標準偏差(G)それぞれを、「+1以上である場合、Aランク」に属させ、「−1以上+1未満である場合、Bランク」に属させ、「−1未満である場合、Cランク」に属させる。その上で、特許出願評価装置1は、特許予測値(z)、類似数標準偏差(E)、増加率標準偏差(F)、及び情報量標準偏差(G)それぞれがいずれのランクに属するのかを総合的に評価して評価値vを決定してもよい。
【0079】
具体的には、特許出願評価装置1は、図5に示す表に基づいて、検証出願の評価値vを決定してもよい。例えば、特許予測値(z)、類似数標準偏差(E)、増加率標準偏差(F)、及び情報量標準偏差(G)全てがAランクに属する場合、特許出願評価装置1は、検証出願の価値vを最高値「1」と決定してもよい。同様に、特許予測値(z)、類似数標準偏差(E)、増加率標準偏差(F)、及び情報量標準偏差(G)全てがCランクに属する場合、特許出願評価装置1は、検証出願の価値vを最低値「0.2」と決定してもよい。更に、特許予測値(z)、類似数標準偏差(E)、増加率標準偏差(F)、及び情報量標準偏差(G)の何れか一つがBランクに属し、それ以外がAランクに属する場合、特許出願評価装置1は、検証出願の評価値vを「0.9」と決定してもよい。
【0080】
このように、特許出願評価装置1は、特許予測値(z)と、類似数標準偏差(E)と、増加率標準偏差(F)とを必ず用い、情報量標準偏差(G)を任意的に用いて価値vを決定してもよい。又は、特許出願評価装置1は、特許予測値(z)と、分析増加率(f)と、分析類似数(e)とを必ず用い、分析情報量(g)を任意的に用いて価値vを決定してもよい。すなわち、特許出願評価装置1は、対数や逆数を利用してもよいししなくてもよく、特許予測値(z)と、分析増加率(f)と、分析類似数(e)とを必ず用い、分析情報量(g)を任意的に用いて価値vを決定してもよい。
【0081】
次に、特許出願評価装置1の構成を説明する。図6は、特許出願評価装置1の構成図である。
【0082】
図6に示すように、特許出願評価装置1は、IF(インタフェース)部110と、データ処理部130と、データ保持部150とを有する。
【0083】
IF部110は、クライアント端末装置2及び特許データベース3とのインタフェースを担当する。IF部110は、クライアント端末装置2に各種の情報を表示させる。データ処理部130は、IF部110やデータ保持部150から取得されるデータを元にして各種のデータ処理を実行する。データ処理部130は、IF部110とデータ保持部150との間のインタフェースの役割も果たす。データ保持部150は、各種データを保持するための記憶領域である。
【0084】
IF部110は、受信部112と、送信部120とを有する。受信部112は、クライアント端末装置2に対してユーザが入力した検索条件を受信する。また、受信部112は、特許データベース3から文献データを取得する。送信部120は、クライアント端末装置2に対して各種の情報を送信する。
【0085】
受信部112は、分析出願取得部114と、検索条件取得部118と、検証出願取得部116とを有する。分析出願取得部114は、特許データベース3から分析対象の特許出願の文献データを取得する。検索条件取得部118は、検索条件を取得する。検証出願取得部116は、検証出願の文献データを取得する。
【0086】
送信部120は、グラフ表示部122と、評価結果通知部124とを有する。グラフ表示部122は、類似数(x)及び情報量(y)と特許/拒絶との相関関係をグラフに表示する。グラフの詳細は、図9及び図10を用いて後述する。評価結果通知部124は、特許予測値等を含む検証出願の価値をクライアント端末装置2に通知する。評価結果通知部124は、図4に示す分析結果180をクライアント端末装置2の画面に表示させてもよい。
【0087】
データ処理部130は、分析部132と、予測/評価部140と、分類部148とを有する。分類部148は、分析対象の特許出願や検証出願を類似数に応じてグループ分けする。分類部148によるグループ分けについては、図10を用いて後述する。
【0088】
分析部132は、先行情報量特定部134と、先行類似数特定部136と、特許予見式決定部138と、分析情報量特定部200と、分析類似数特定部202と、分析増加率特定部204と、分析情報量分散特定部206と、分析類似数分散特定部208と、分析増加率分散特定部210とを有する。
【0089】
先行情報量特定部134は、確定出願の先行情報量(y)を特定する。先行類似数特定部136は、確定出願の先行類似数(x)を特定する。特許予見式決定部138は、複数の確定出願についての先行類似数(x)、先行情報量(y)、及び結果指標値(z)に基づき、特許予見式を決定する。分析情報量特定部200は、分析情報量(g)を特定する。分析類似数特定部202は、分析類似数(e)を特定する。分析増加率特定部204は、評価用分析増加率(f’)を特定する。分析情報量分散特定部206は、複数の分析対象の特許出願それぞれの分析情報量(g)の逆数についての平均と分散とを特定する。分析類似数分散特定部208は、複数の分析対象の特許出願それぞれの分析類似数(e)の対数値についての平均と分散とを特定する。分析増加率分散特定部210は、複数の分析対象の特許出願それぞれの評価用分析増加率(f’)についての平均と分散とを特定する。
【0090】
予測/評価部140は、検証情報量特定部142と、検証類似数特定部144と、特許性予測部146と、評価情報量特定部212と、評価類似数特定部214と、評価増加率特定部216と、情報量標準偏差算出部218と、類似数標準偏差算出部220と、増加率標準偏差算出部222と、総合評価部224とを有する。
【0091】
検証情報量特定部142は、検証出願の検証情報量(y)を特定する。検証類似数特定部144は、検証出願の検証類似数(x)を特定する。特許性予測部146は、検証類似数(x)と、検証情報量(y)と、特許予見式とから、検証出願の特許予測値を算出する。評価情報量特定部212は、検証出願の情報量及びその逆数を特定する。評価類似数特定部214は、検証出願の評価類似数及びその対数値を特定する。評価増加率特定部216は、検証出願に類似する特許出願の単位期間あたりの増加数(増加率)及びそれを評価類似数で除した値である評価増加率を特定する。情報量標準偏差算出部218は、情報量標準偏差(G)を算出する。類似数標準偏差算出部220は、類似数標準偏差(E)を算出する。増加率標準偏差算出部222は、増加率標準偏差(F)を算出する。総合評価部224は、検証出願の価値vを総合的に評価する。
【0092】
なお、特許出願評価装置1のIF部110及びデータ処理部130を構成する各構成部の機能は、例えば、ハードウェアとしてのコンピュータのCPUと、コンピュータプログラムとが協働することによって実現される。しかしながら、上記各構成部の機能は、専用の回路により実現される等、どのような形態により実現されてもよい。
【0093】
データ保持部150は、半導体メモリやハードディスク等の記憶領域又は記憶媒体を有する機器(ハードウェア)であって、分析対象の特許出願のIPC、公開番号、及び先行情報量等の各種の情報を特性情報として保持する。データ保持部150が保持するデータの構造については図7及び図8を用いて説明する。
【0094】
図7及び図8は、データ保持部150が保持するデータの構造の一例を示す図である。
【0095】
分析出願取得部114は、分析対象の特許出願の文献データを取得した後、データ保持部150に分析対象の特許出願の特性情報を登録する。IPC欄160は分析対象の特許出願のIPCを、公開番号欄162は公開番号を、出願日欄164は出願日又は優先日を、公開日欄166は出願公開日を、出願人欄168は出願人名をそれぞれ示す。先行情報量欄170は分析対象の先行情報量を、先行類似数欄172は先行類似数を、最先類似出願日欄174は先行類似出願のうち最先の出願日(又は最先の優先日)をそれぞれ示す。審査結果欄176は確定出願の審査結果を示す。丸印は特許されたことを示し、バツ印は拒絶されたことを示す。データ保持部150は、それら以外にも、出願番号、発明者の氏名、発明の名称、請求項1、及び要約等を特性情報として保持してもよい。
【0096】
図7に示すデータは、特許可能性分析フェーズF11において特許出願評価装置1の記憶領域、すなわちデータ保持部150において保持されるデータの例である。図7に示すデータ構造の例では、特開2008−054324X号公報は、2006年8月24日を優先日として2007年8月24日に出願された確定出願の公報である。その確定出願は、先行情報量(y)が「51」であり、先行類似数(x)が「104」であって、特許されている。
【0097】
図8に示すデータは、評価分析フェーズF12において特許出願評価装置1の記憶領域、すなわちデータ保持部150において保持されるデータの例である。図8に示すデータ構造の例では、特開2001−22222X号公報は、2000年2月1日に出願された特許出願の公報である。その特許出願は、分析情報量が「30」であり、分析類似数が「100」であって、処分は確定していない。その特許出願の類似出願の件数は、その特許出願の出願時から1.5年が経過するまでが「200」であり、3年が経過するまでが「300」であり、5年が経過するまでが「500」であり、10年が経過するまでが「800」である。
【0098】
図9は、グループを考慮しないときの先行類似数(x)及び先行情報量(y)と、審査結果との関係を示すグラフである。なお、グループについては図10を用いて後述する。
【0099】
横軸は先行類似数(x)の対数値を示し、縦軸は先行情報量(y)を示す。丸印は確定出願(特許)を示し、バツ印は確定出願(拒絶)を示す。図9は、本発明者が、調査結果に基づいて、先行類似数(x)及び先行情報量(y)と審査結果との関係を模式的に示すために作成したグラフである。本発明者の調査の結果、先行情報量(y)が多いほど、すなわち権利範囲が狭い出願ほど特許されやすいという統計的傾向を読み取ることができた。また、先行類似数が少ないほど、言い換えれば疎な技術分野ほど特許されやすいという統計的傾向を読み取ることができた。
【0100】
特許予見式「z=a・log(x)+b・y+c」をyについて変形すると、「y=−(a/b)・log(x)+(z−c)/b」となる。特許可能性分析フェーズF11により、係数a、係数b、及び係数cは既に算出されているので、特許予想値(z)が0.5以上となるyは、
y≧−(a/b)・log(x)+(0.5−c)/b
となる領域に存在する。その領域は、50%以上の確率で特許化を見込める領域であり、以下、「A(Allowance)領域」と呼ぶ。他方、特許予想値(z)が0.5未満となるyは、
y<−(a/b)・log(x)+(0.5−c)/b
となる領域に存在する。その領域は、50%未満の確率でしか特許化を見込めない領域であり、以下、「R(Rejection)領域」と呼ぶ。また、A領域とR領域との境界線を示す直線「y=−(a/b)・log(x)+(0.5−c)/b」を「B(Boundary)直線」と呼ぶ。
【0101】
送信部120は、特許可能性分析フェーズF11が終了した後、A領域、R領域、及びB直線を識別可能に加工したグラフをクライアント端末装置2に送信して画面に表示させてもよい。例えば、送信部120のグラフ表示部122がA領域を青色に着色し、R領域を赤色に着色し、送信部120の評価結果通知部124が着色されたグラフをクライアント端末装置2に送信して画面に表示させてもよい。
【0102】
このような態様により、ユーザは、類似数及び情報量と特許可能性との相関関係を視覚的に把握することができる。様々な検索条件の設定により、技術分野、出願人、代理人、審査官、期間別の特許化傾向を可視化することができる。なお、B直線を決定づける特許予想値(z)の閾値は、0.5に限られるものではなく、ユーザが任意に設定することができる。
【0103】
本発明者は、実際に、所定の条件で抽出した11件の確定出願について特許予見式の妥当性を検証した。11件中8件は特許され、3件は拒絶されている。まず、各確定出願の先行類似数(x)と先行情報量(y)とを特許予見式に代入し、特許予測値(z)を算出した。その結果、特許予測値≧0.5となった確定出願は7件(特許:7件、拒絶:0件)となり、特許予想値<0.5となった確定出願は4件(特許:1件、拒絶:3件)となった。すなわち、11件中1件の確定出願(特許)が特許予見式により「特許可能性が低い(特許予測値(z)=0.425)」と判定されたものの実際には特許されていて予測と結果とは一致しないが、それ以外は予測と結果とが一致した。これにより、特許予見式による予測結果と実際の審査結果との間には整合性があることが確かめられた。
【0104】
図10は、図3を用いて説明したようにして分類したグループを考慮した上で、先行類似数(x)及び先行情報量(y)と、審査結果との関係を示すグラフである。
【0105】
分類部148は、公開類似出願数に基づいて、図3を用いて説明したようにして分類して、確定出願をG1〜G4の4つのグループに分類したとする。特許予見式決定部138は、グループ毎に別々の特許予見式を決定する。横軸は先行類似数(x)の対数値を示し、縦軸は先行情報量(y)を示す。丸印は確定出願(特許)を示し、バツ印は確定出願(拒絶)を示す。図10も、本発明者が調査結果に基づいて、先行類似数(x)及び先行情報量(y)と審査結果との関係を模式的に示すために作成したグラフである。
【0106】
G1、G2、G3、G4のそれぞれにおいて算出された別々の特許予見式をつなぎ合わせると、図10に示すような曲線(以下、「B曲線」という。)が現れたと仮定する。特許予想値(z)が0.5以上となるA領域は、図10においてB曲線よりも上方の領域であり、R領域はB曲線の下方の領域となる。
【0107】
グループに関わらず、分析対象となった確定出願全てから単一の特許予見式を算出する場合、図10に示すB直線が得られる。B曲線とB直線とでは、A領域及びR領域の範囲が異なる。B曲線に基づくA領域とR領域とに着目すると、G1においては、先行情報量(y)が相当小さくても特許されている。言い換えれば、特に疎な技術分野に属する特許出願については、シンプルな請求項でも十分に特許される可能性が高い。他方、G2においては、先行類似数(x)に対する先行情報量(y)の増加率が高い。そのため、G2においては、先行類似数が増加するほど、急速に特許化が難しくなっている。また、G3やG4においては、先行情報量(y)が最低でも60以上なければ、ほとんど特許化は不可能となっている。
【0108】
図10に示す三角印は、検証出願Fを示す。検証出願Fは、B直線に基づくとR領域に存在するが、B曲線に基づくとR領域に存在している。このようにB直線を採用するかB曲線を採用するかに応じて検証出願Fの特許予測値は変化する。B曲線を採用する方がB直線を採用するよりもいっそう高い精度にて特許可能性を予測しやすい。
【0109】
なお、図10に示す確定出願H(特許)は、先行類似数(x)が非常に多く、かつ、先行情報量(y)が少ないにも関わらず特許されている。したがって、確定出願Hは無効理由を含む瑕疵ある権利かもしれないし、密な技術分野にて広い権利範囲を確保している強力な特許なのかもしれない。このように、図10に示すグラフを参照することにより、「統計的傾向からみて特異な特許出願」を視覚的に見つけ出しやすくなる。
【0110】
なお、特許出願評価装置1は、特許可能性分析フェーズF11の特許予見式特定処理S3において「z=a・log(x)+b・y+c」の係数a、係数b、及び係数cを算出して特許予見式を決定する場合、以下に示すようにして特許予見式を決定してもよい。すなわち、特許出願評価装置1は、特許予見式を決定するための複数の「先行類似数(x)と、先行情報量(y)と、結果指標値(z)とのセット」のうち、先行類似数が多い順にn(n≧3)個の確定出願を特許予見式を決定するための候補とする。そして、特許出願評価装置1は、nの値を変更し各nについて、n個の候補を用いて重回帰分析を行い、特許予見式を決定するとともに有意Fを算出する。統計的処理理論によると、有意Fが所定の基準(例えば、「0.05」)以下となる場合、算出される特許予見式の信頼度は高くなる。また、nが大きいほど算出される特許予見式の信頼度は高くなる。そこで、特許出願評価装置1は、有意Fが所定の基準以下となるとともにnが最大となる場合に算出した特許予見式を、特許可能性を示す特許予測値を算出する際に用いる特許予見式と決定してもよい。
【0111】
図11は、未公開類似出願と公開類似出願との関係を示すグラフである。
【0112】
横軸は時間を示し、縦軸は出願数を示す。ある検証出願Jの出願日をT2とする。検証出願Jについての検証類似出願の一部は、T2において出願公開されているが一部は未公開の状態にある。T2において公開されている検証類似出願の数をSとする。以下に、未公開の検証類似出願も含めた、検証類似出願の総数S’を求める方法を説明する。
【0113】
最先の検証類似出願Kの出願日をT1とする。検証類似出願Kは、T1から1.5年後のT3に出願公開される。したがって、T3=T1+1.5である。検証類似出願Kの出願日以降に出願された他の検証類似出願は、T3以降に出願公開される。図11に示すグラフCは、検証類似出願の数を示す。他方、グラフCはそのうち出願公開された検証類似出願の数を示す。時間の経過とともに検証類似出願の数が増加し、1.5年のタイムラグをおいて出願公開数も増加している。グラフCは、グラフCを1.5年分右に平行移動させグラフとなる。したがって、
(T2−T3):S=(T2−T1):S’
という関係が成立し、
S’={(T2−T1)/(T2−T3)}・S
となる。こうして、検証類似出願の総数S’を求めることができる。
【0114】
このような処理により、先行類似数特定部136は、未公開類似出願も含めた正味の類似数を特定してもよい。そして、分類部148は、未公開類似出願も含めて、確定出願や検証出願のグループ分けを行ってもよい。特許予見式決定部138は、未公開の先行類似出願を含めた先行類似数に基づいて特許予見式を決定してもよい。特許性予測部146は、未公開の検証類似出願を含めた検証類似数に基づいて、特許予測値を算出してもよい。
【0115】
図12は、特許可能性分析フェーズF11の処理過程を示すフローチャートである。
【0116】
分析出願取得部114は、特許データベース3から文献データを取得する。分析出願取得部114によって取得された文献データはデータ保持部150に格納される。検索条件取得部118は、ユーザから確定出願を特定するための検索条件の入力を受け付ける(S10)。分析部132は、特性情報等を参照し、検索条件に合致する確定出願の文献データをデータ保持部150から取得する(S12)。先行情報量特定部134は、先行情報量(y)を特定する(S14)。先行類似数特定部136は先行類似数(x)を特定する(S16)。先行類似数特定部136は、図11を用いて説明した方法により、未公開の先行類似出願の数も含めて先行類似数を特定してもよい。分類部148は、図3を用いて説明したようにして確定出願をいずれかのグループに分類する(S18)。
【0117】
検索条件に合致する確定出願が残っていれば(S20でYes)、処理はS12に戻る。残っていなければ(S20でNo)、特許予見式決定部138は、分類部148によって分類された各グループについて別々の特許予見式を決定する(S22)。
【0118】
図2との関連でいえば、S10及びS12は第1収集処理S1に対応し、S14、S16、及びS18は第1分析材料特定処理S2に対応し、S22は特許予見式特定処理S3に対応する。
【0119】
なお、グラフ表示部122は、S22の後、図10に示すA領域、R領域、及びB曲線を視認可能な態様して各確定出願をプロットしたグラフを作成し、評価結果通知部124は、作成されたグラフをクライアント端末装置2に送信して表示させてもよい。
【0120】
S12において、分析部132は、検索条件に合致する文献データのうち、特許法第36条(記載要件)や第29条第1項柱書(発明要件)等の特定の拒絶理由を含む確定出願(拒絶)の文献データを除外してもよい。言い換えれば、分析部132は、記載要件等の特定の拒絶理由を含まない確定出願(拒絶)及び確定出願(特許)の文献データのみを分析の対象としてもよい。このような処理によれば、記載要件のように先行類似数(x)とは関係のない拒絶理由を含む確定出願(拒絶)の特性が特許予見式に反映されないように処置することができる。その結果、先行類似数(x)及び先行情報量(y)と審査結果との関係をより正確に表す特許予見式を決定することができる。
【0121】
また、分析部132は、検索条件に合致する文献データのうち、拒絶理由通知を受けた後、出願人が未対応のまま拒絶確定となった確定出願の文献データを除外してもよい。出願人の事情により拒絶が確定した確定出願(拒絶)の特性が特許予見式に反映されるのを防ぐことにより、より確度の高い特許予見式を算出することができるからである。
【0122】
図13は、特許性予測フェーズF21における処理過程を示すフローチャートである。
【0123】
検証出願取得部116は、検証出願の文献データを取得する(S30)。ここでは、検証出願取得部116は、検証出願の請求項1のテキストデータを取得したと仮定する。検証情報量特定部142は、検証情報量(y)を特定する(S32)。検証類似数特定部144は、検証類似数(x)を特定する(S34)。検証類似数特定部144は、検証出願についての請求項1のテキストデータと、検証出願よりも先に出願された特許出願の全文データとの類似度を比較する。その類似度が所定の閾値以上となる場合、検証類似数特定部144は、その特許出願を検証類似出願と特定する。検証類似数特定部144は、未公開の検証類似出願の数も含めて検証類似数(x)を特定してもよい。分類部148は、検証出願をG1〜G4のいずれかのグループに属させる(S36)。
【0124】
特許性予測部146は、分類先のグループと対応付けられている特許予見式に基づいて、特許予想値を算出する(S38)。
【0125】
図2との関連でいえば、S30、S32、S34、及びS36は第1検証材料特定処理S4に対応し、S38、及びS40は予測処理S5に対応する。
【0126】
なお、S38の後、グラフ表示部122は図10に示すグラフ上に検証出願の位置をプロットし、評価結果通知部124は、作成されたグラフをクライアント端末装置2に送信して表示させてもよい。
【0127】
検証出願は、特許明細書として完成する前の原稿であってもよい。例えば、ユーザは、請求項1のみを作成した段階で、S30において請求項1のデータを入力すれば、検証出願の特許予測値を取得することができる。このため、特許出願における明細書が完成する前であっても、請求項1を仮に作成することにより、特許化を期待できる請求項となっている否かを合理的かつ定量的に判断しやすくなる。
【0128】
図14は、評価分析フェーズF12の処理過程を示すフローチャートである。
【0129】
分析出願取得部114は、特許データベース3から文献データを取得する。分析出願取得部114によって取得された文献データはデータ保持部150に格納される。検索条件取得部118は、ユーザから分析対象の特許出願を特定するための検索条件の入力を受け付ける(S60)。分析部132は、特性情報等を参照し、検索条件に合致する分析対象の特許出願の文献データをデータ保持部150から取得する(S62)。分析情報量特定部200は、分析情報量(g)を特定する(S64)。分析類似数特定部202は、分析類似数(e)を特定する(S66)。分析類似数特定部202は、図11を用いて説明した方法により、未公開の類似出願の数も含めて分析類似数を特定してもよい。分析増加率特定部204は、評価用分析増加率(f’)を特定する(S68)。
【0130】
検索条件に合致する分析対象の特許出願が残っていれば(S70でYes)、処理はS62に戻る。残っていなければ(S70でNo)、分析情報量分散特定部206は、複数の分析対象の特許出願それぞれの分析情報量(g)の逆数についての平均と分散とを算出する(S72)。分析類似数分散特定部208は、複数の分析対象の特許出願それぞれの分析類似数(e)の対数値についての平均と分散とを算出する(S74)。分析増加率分散特定部210は、複数の分析対象の特許出願それぞれの評価用分析増加率(f’)についての平均と分散とを算出する(S76)。
【0131】
図2との関連でいえば、S60及びS62は、第2収集処理S6に対応し、S64、S66、及びS68は第2分析材料特定処理S7に対応し、S72、S74、及びS76は、分散算出処理S8に対応する。
【0132】
図15は、総合評価フェーズF22における処理過程を示すフローチャートである
検証出願取得部116は、検証出願の文献データを取得する(S80)。ここでは、検証出願取得部116は、検証出願の請求項1のテキストデータを取得したと仮定する。評価情報量特定部212は、検証出願の情報量を特定し、検証出願の情報量の逆数を特定する(S82)。評価類似数特定部214は、検証出願の評価類似数を特定し、評価類似数の対数値を特定する(S84)。評価類似数特定部214は、検証出願についての請求項1のテキストデータと、検証出願よりも先に出願された特許出願の全文データとの類似度を比較した上で、検証出願の評価類似数の対数値を特定する。評価増加率特定部216は、検証出願に類似する特許出願の単位期間あたりの増加数(増加率)を特定し、その増加率を評価類似数で除した値である評価増加率を特定する(S86)。情報量標準偏差算出部218は、情報量標準偏差(G)を算出する(S88)。類似数標準偏差算出部220は、類似数標準偏差(E)を算出する(S90)。増加率標準偏差算出部222は、増加率標準偏差(F)を算出する(S92)。総合評価部224は、検証出願の価値vを総合的に評価する(S94)。評価結果通知部124は、検証出願の総合的に評価された価値をクライアント端末装置2に通知する(S96)。例えば、評価結果通知部124は、図16に示す検証出願の総合的評価をクライアント端末装置2に通知する。図16は、検証出願の総合的評価を示す図である。
【0133】
図2との関連でいえば、S80、S82、S84、S86、S88、S90、及びS92は、第2検証材料特定処理S9に対応し、S94及びS96は、総合評価処理S10に対応する。
【0134】
検証出願は、特許明細書として完成する前の原稿であってもよい。例えば、ユーザは、請求項1のみを作成した段階で、S80において請求項1のデータを入力すれば、検証出願の総合的な価値を取得することができる。このため、特許出願における明細書が完成する前であっても、請求項1を仮に作成することにより、その請求項の価値を合理的かつ定量的に判断しやすくなる。
【0135】
以上、実施の形態に基づいて、特許出願評価装置1を説明した。
【0136】
特許出願した後、その特許出願の価値がわからず、その特許出願について出願審査の請求を行うべきかどうか判断に困ることがある。しかしながら、上述したように、特許出願評価装置1は、その特許出願の価値を合理的かつ定量的に算出する。したがって、出願人自身や出願人が企業である場合における知財担当者は、特許出願評価装置1が算出する価値を参考にして、その特許出願について出願審査の請求を行うべきかどうかを容易に判断することができる。また、出願審査の請求を行うべきかどうかを判断する場合以外にも、拒絶理由通知を受領した場合や出願前に特許出願の価値を知りたい場合がある。価値を知ることによってその特許出願に対する対策を判断しやすくなるからである。特許出願評価装置1は、検証出願の価値を合理的かつ定量的に算出するので、そのような場合にも有効である。つまり、特許出願評価装置1は、その特許出願の価値を知りたいとする者の判断を支援することができる。
【0137】
また、特許出願後において、価値を知る前に特許可能性を予測する必要に迫られることは多い。例えば、拒絶理由通知を受領した場合、どの程度の補正をする必要があるのかを判断する必要がある。拒絶査定を受領した場合、拒絶査定不服審判を請求するべきか特許化を断念すべきかを判断する必要がある。そのような判断は、知財担当者の経験や性格といった属人的要素に影響されることが多い。特許出願評価装置1は、過去の確定出願の申請内容と審査結果との因果関係という客観的なデータに基づき、検証出願の特許可能性を合理的に示す。これにより、特許出願評価装置1は、知財担当者による判断を支援することができる。
【0138】
ユーザは、検索条件により確定出願を変更することにより、特許出願評価装置1に様々な特許予見式を作成させることができる。例えば、特許出願評価装置1に出願人毎に特許予見式を作成させれば、ユーザは出願人毎の出願戦略の巧拙を客観的に評価しやすくなる。特許出願評価装置1に出願時期毎に特許予見式を作成させれば、ユーザは審査傾向の経時的な変化を把握しやすくなる。特許出願評価装置1に国毎に特許予見式を作成させれば、ユーザは国毎の審査傾向を把握しやすくなる。また、ソフトウェア系の特許出願と電気系の特許出願とでは、請求項の情報量が大きく異なるかもしれない。また、同じソフトウェア系であっても、ビジネス方法に関する特許出願と機器制御に関する特許出願とでは、請求項の情報量が大きく異なるかもしれない。特許出願評価装置1に技術分野毎に特許予見式を作成させることにより、各技術分野にとって妥当な特許予測値を導出させることができる。更に、分析結果180により重相関係数を確認しつつ、検索条件を操作することにより、適切な特許予見式を特許出願評価装置1に求めさせることができる。
【0139】
また、本発明者の調査によれば、公開類似出願数に応じて特許可能性が非線形的に変化することが判明した。そこで、類似数に応じて特許出願をグループ分けし、グループ毎に特許予見式を決定させることによりB曲線が得られる。B曲線を利用すれば、特許予測値の精度をいっそう向上させることができる。
【0140】
特許出願評価装置1が、特許出願、出願審査の請求、及び拒絶理由対応等の様々な場面において知財担当者の判断を支援することにより、質の高い発明がいっそう保護されやすくなり活用されやすくなることが期待される。また、類似数に鑑みて、過度に広い請求項や過度に狭い請求項となっていないかを注意及び確認する上でも、特許出願評価装置1は知財担当者の判断を支援することができる。
【0141】
本実施の形態では、審査結果値zは、0(拒絶)又は1(特許)の2値であるとして説明した。変形例として、審査結果値zは、0.1(拒絶審決)、0.2(拒絶査定)、0.7(特許審決)、1.0(特許査定)のように3値以上が割り当てられてもよい。特許審決となった確定出願は、拒絶査定不服審判が請求されていなければ拒絶査定となっていた特許出願である。このような考え方に基づき、特許審決については特許査定よりも低い審査結果値が付与されてもよい。
【0142】
他方、拒絶査定となった確定出願は、拒絶査定不服審判が請求されていれば特許されていたかもしれない。このような考え方に基づき、拒絶査定となった確定出願については拒絶審決となった確定出願よりも高い審査結果値が付与されてもよい。審査結果値は、多くの確定出願を分析することにより最適値が付与されればよい。
【0143】
なお、本実施の形態では、特許予見式を決定する場合に用いられる分析対象の特許出願は特許又は拒絶が確定した特許出願(確定出願)であるとして説明したが、分析対象の特許出願は必ずしも処分が確定している必要はない。例えば、新規性に基づく拒絶理由の対象となっている特許出願は、将来的に拒絶が確定するとみなして特許予見式に反映させてもよい。また、拒絶査定不服審判審理中の特許出願も拒絶が確定しているとみなして特許予見式に反映させてもよい。
【0144】
また、本実施の形態では、請求項1に含まれる形態素の数が「情報量」であるとして説明した。変形例として、請求項1に含まれる文字数や行数を「情報量」とみなしてもよい。その場合、「前記」、「装置」、及び「ステップ」のような、一般的な形態素を対象外として情報量が特定されてもよい。こういった一般的な形態素は、発明の権利範囲を特定する上で情報価値が低いと考えられるためである。また、請求項1に同一形態素が複数回現れている場合、1回分としてカウントしてもよい。例えば、「・・・第1の特許出願と第2の特許出願とに共通して含まれる形態素の数に応じて、前記第1の特許出願と前記第2の特許出願との類否を判定する・・・」という文言を含む請求項においては、「特許」という形態素は4回出現している。その場合、「特許」という形態素を1回分としてカウントする。請求項には、同一形態素が繰り返し現れることも多いため、このような処理方法によれば、請求項の実質的な情報の量を特定しやすくなる。
【0145】
また、本実施の形態では、請求項1に基づいて、先行類似数、検証類似数、分析類似数、及び評価類似数を特定するとして説明した。変形例として、請求項毎に検証類似数等を特定してもよい。請求項1に従属する請求項2については、請求項1の形態素数+請求項2の形態素数を請求項2の情報量として特定した上で先行類似数、検証類似数、分析類似数、及び評価類似数を特定してもよい。このような態様によれば、検証出願について請求項毎に特許可能性を判断することができるとともに、評価も請求項毎に得ることができる。
【0146】
更に、分析出願取得部114及び検証出願取得部116は、本発明の特許出願評価装置のデータ取得部の一例であり、類似数標準偏差算出部220は、本発明の特許出願評価装置の類似位置特定部の一例である。増加率標準偏差算出部222は、本発明の特許出願評価装置の増加率位置特定部の一例であり、総合評価部224は、本発明の特許出願評価装置の予測値取得部及び価値評価部の一例である。情報量標準偏差算出部218は、本発明の特許出願評価装置の情報量位置特定部の一例であり、先行類似数特定部136は、本発明の特許出願評価装置の処分結果特定部の一例である。特許性予測部146は、本発明の特許出願評価装置の特許予測値算出部の一例である。
【符号の説明】
【0147】
1 特許出願評価装置、 2 クライアント端末装置、 3 特許データベース、 4 通信ネットワーク、 110 IF部、 130 データ処理部、 150 データ保持部、 112 受信部、 120 送信部、 114 分析出願取得部、 118 検索条件取得部、 116 検証出願取得部、 122 グラフ表示部、 124 評価結果通知部、 132 分析部、 140 予測/評価部、 148 分類部、 134 先行情報量特定部、 136 先行類似数特定部、 138 特許予見式決定部、 200 分析情報量特定部、202 分析類似数特定部、 204 分析増加率特定部、 206 分析情報量分散特定部、 208 分析類似数分散特定部、 210 分析増加率分散特定部、 142 検証情報量特定部、 144 検証類似数特定部、 146 特許性予測部、 212 評価情報量特定部、 214 評価類似数特定部、 216 評価増加率特定部、 218、 情報量標準偏差算出部、 220 類似数標準偏差算出部、 222 増加率標準偏差算出部、 224 総合評価部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象の特許出願の特許される可能性を示す特許予測値を取得する予測値取得部と、
特許出願の文献データを保持するデータベースから文献データを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願の評価に資するべく分析される特許出願である分析対象の特許出願より先に出願され、かつ、前記分析対象の特許出願と内容において類似する特許出願の数を分析類似数と特定する分析類似数特定部と、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記分析対象の特許出願と内容において類似する特許出願の単位期間あたりの増加数である分析増加率を特定する分析増加率特定部と、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願よりも先に出願され、かつ、前記評価対象の特許出願と内容において類似する特許出願の数を評価類似数と特定する評価類似数特定部と、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願と内容において類似する特許出願の単位期間あたりの増加数である評価増加率を特定する評価増加率特定部と、
前記分析類似数特定部によって複数の前記分析対象の特許出願について得られた複数の分析類似数に対する前記評価類似数の相対的な位置である類似位置を特定する類似位置特定部と、
前記分析増加率特定部によって複数の前記分析対象の特許出願について得られた複数の分析増加率に対する前記評価増加率の相対的な位置である増加率位置を特定する増加率位置特定部と、
前記特許予測値と、前記類似位置と、前記増加率位置とを用いて、前記評価対象の特許出願の価値を評価する価値評価部と
を備える特許出願評価装置。
【請求項2】
更に、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記分析対象の特許出願の所定の請求項の情報量を分析情報量と特定する分析情報量特定部と、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願の所定の請求項の情報量を評価情報量と特定する評価情報量特定部と、
前記分析情報量特定部によって複数の前記分析対象の特許出願について得られた複数の分析情報量に対する前記評価情報量の相対的な位置である情報量位置を特定する情報量位置特定部とを備え、
前記価値評価部は、前記情報量位置をも用いて、前記評価対象の特許出願の価値を評価する
請求項1に記載の特許出願評価装置。
【請求項3】
更に、
前記データ取得部によって取得された処分確定済みの特許出願である確定出願の文献データを用いて、前記確定出願の所定の請求項の情報量を先行情報量と特定する先行情報量特定部と、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記確定出願より先に出願され、かつ、前記確定出願と内容において類似する特許出願の数を先行類似数と特定する先行類似数特定部と、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記確定出願の処分結果を特定する処分結果特定部と、
前記先行情報量及び前記先行類似数を説明変量とし、前記処分結果を目的変量として、複数の確定出願を対象として回帰分析を実行し、先行情報量及び先行類似数と処分結果との相関関係を示す特許予見式を決定する特許予見式決定部と、
前記特許予見式と、前記評価情報量と、前記評価類似数とから、前記特許予測値を算出する特許予測値算出部と
を備える請求項2に記載の特許出願評価装置。
【請求項4】
更に、
前記データ取得部によって取得された処分確定済みの特許出願である確定出願の文献データを用いて、前記確定出願の所定の請求項の情報量を先行情報量と特定する先行情報量特定部と、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記確定出願より先に出願され、かつ、前記確定出願と内容において類似する特許出願の数を先行類似数と特定する先行類似数特定部と、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記確定出願の処分結果を特定する処分結果特定部と、
前記先行情報量及び前記先行類似数を説明変量とし、前記処分結果を目的変量として、複数の確定出願を対象として回帰分析を実行し、先行情報量及び先行類似数と処分結果との相関関係を示す特許予見式を決定する特許予見式決定部と、
前記データ取得部によって取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願の所定の請求項の情報量を評価情報量と特定する評価情報量特定部と、
前記特許予見式と、前記評価情報量と、前記評価類似数とから、前記特許予測値を算出する特許予測値算出部と
を備える請求項1に記載の特許出願評価装置。
【請求項5】
前記分析類似数特定部及び前記評価類似数特定部は、第1の特許出願と第2の特許出願とに共通して含まれる形態素の数に応じて、前記第1の特許出願と前記第2の特許出願との類否を判定する
請求項1から4のいずれかに記載の特許出願評価装置。
【請求項6】
評価対象の特許出願の特許される可能性を示す特許予測値を取得する機能と、
特許出願の文献データを保持するデータベースから文献データを取得する機能と、
取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願の評価に資するべく分析される特許出願である分析対象の特許出願より先に出願され、かつ、前記分析対象の特許出願と内容において類似する特許出願の数を分析類似数と特定する機能と、
取得された文献データを用いて、前記分析対象の特許出願と内容において類似する特許出願の単位期間あたりの増加数である分析増加率を特定する機能と、
取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願よりも先に出願され、かつ、前記評価対象の特許出願と内容において類似する特許出願の数を評価類似数と特定する機能と、
取得された文献データを用いて、前記評価対象の特許出願と内容において類似する特許出願の単位期間あたりの増加数である評価増加率を特定する機能と、
複数の前記分析対象の特許出願について得られた複数の分析類似数に対する前記評価類似数の相対的な位置である類似位置を特定する機能と、
複数の前記分析対象の特許出願について得られた複数の分析増加率に対する前記評価増加率の相対的な位置である増加率位置を特定する機能と、
前記特許予測値と、前記類似位置と、前記増加率位置とを用いて、前記評価対象の特許出願の価値を評価する機能と
をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−231564(P2010−231564A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79141(P2009−79141)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】