独楽及び独楽の製造方法
【課題】
この発明は構造がシンプルでありながら回転性能を向上させる独楽とその独楽の製造方法を提供する。
【解決手段】
独楽本体は、軸芯つまみ部、回転盤部、軸芯先端部からなり、独楽本体の軸芯先端部に嵌合穴を設け、その嵌合穴に球体を固定的に取り付けた構造を特徴とする独楽である。その独楽の製造方法は、旋盤を用いてつまみ部を加工する工程と回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に嵌合穴を設ける工程と軸芯先端部の環濠穴に球体を固定的にかしめる工程からなる製造方法である。上記製造方法により、独楽本体の軸芯の中心線上に球体の中心を固定的に取り付けられ芯振れのない高性能の独楽が提供できる。
この発明は構造がシンプルでありながら回転性能を向上させる独楽とその独楽の製造方法を提供する。
【解決手段】
独楽本体は、軸芯つまみ部、回転盤部、軸芯先端部からなり、独楽本体の軸芯先端部に嵌合穴を設け、その嵌合穴に球体を固定的に取り付けた構造を特徴とする独楽である。その独楽の製造方法は、旋盤を用いてつまみ部を加工する工程と回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に嵌合穴を設ける工程と軸芯先端部の環濠穴に球体を固定的にかしめる工程からなる製造方法である。上記製造方法により、独楽本体の軸芯の中心線上に球体の中心を固定的に取り付けられ芯振れのない高性能の独楽が提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、独楽とその独楽の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の独楽は、特許文献1(図11)に示すような軸芯101と回転盤102からなる構造であり、独楽が回転する際に接する面側の軸芯の先端部103は尖っている構造をした独楽や図12に示すような工芸職人がろくろを用いて独楽本体を製作し、中心部202に穴をあけ、芯棒303を嵌め込んだ市場でよく見かける構造をした独楽がある。
【0003】
また特異な回転特性を得るため、特許文献2(図13)に示すように軸芯301及び回転盤302に磁性材料を用い、軸芯先端部に球303を回転自在に嵌め込んだ錯綜構造をした独楽がある。
しかしながら、従来技術の独楽では芯振れを伴う回転、またその為回転時間が短いこと、一方特異な回転性能を持つ独楽の技術では独楽の製造プロセスが複雑であるといった問題がある。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録 第3092843号
【特許文献2】実用新案登録 第3088350号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は製造方法がシンプルでありながら回転性能を向上させる独楽とその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の問題を解決するために、旋盤を用いて軸芯つまみ部、回転盤部、軸芯先端部からなり、独楽本体の軸芯先端部に穴を設け、その穴に球体を固定的に取り付けた構造を特徴とする独楽である。
【0007】
前記独楽本体の軸芯の中心線上に球体の中心を固定的に取り付けるために、つまみ部を加工する工程と回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に穴を設ける工程と軸芯先端部の穴に球体を固定的にかしめる工程からなる製造方法で行うと効果的である。
【発明の効果】
【0008】
旋盤加工を利用して独楽本体先端部に球体を固定することにより、シンプルな構造で画期的な回転性能が得られる。
【0009】
上記独楽の作製手順としてつまみ部を加工する工程と回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に穴を設ける工程と軸芯先端部の穴に球体を固定的にかしめる工程で独楽を作製することにより、軸芯の中心線上に球体の中心を固定的に取り付けることができ、芯ずれのない独楽(図1)が得られる。
【0010】
また作製手順が上記と異なる、回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に穴を設ける工程と軸芯先端部の穴に球体を固定的にかしめる工程とつまみ部を加工する工程の記載手順の独楽では、製造方法としては上記工程手順として本質的に変わらないため、上記記載工程順の独楽と同様の高性能の独楽が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態及び最良の形態に至った経緯を図3から図12を用いて説明する。
【0012】
構造がシンプルな独楽を提供する為、従来構造の独楽に着眼した。そこでこれらの従来技術の独楽の回転性能を検証する為、伝統工芸店から図11に示した回転盤に軸芯が挿入されている『京ゴマ』という商品名の独楽と図12に示した上記記載の工芸職人がろくろを利用して作製した回転盤201の中心部202に芯棒203を嵌め込んだ構造をした独楽の2種類を入手し、回転時間の計測を行った。図11の構造の独楽では、独楽を回し始めてから転倒するまで約55秒、図12構造の独楽では、約1分10秒と回転時間が短く、両方の独楽も芯振れを伴う回転であった。しかしこの中でも回転時間が長い図12の構造をした独楽に着目した。
【0013】
図12の構造をした独楽では、独楽本体が回転盤201と芯棒202が合体した構造である。回転盤201に芯棒202を嵌め込む時、回転盤201の中心と芯棒202の中心がずれていることが、回転時間が短い原因と考えた。
【0014】
そこで、上記回転盤中心と芯棒中心がずれている問題を解決するため、旋盤の主軸が高精度に回転する機能を利用して回転盤と芯棒が一体化した構造からなる独楽を旋盤で加工を行った。
【0015】
上記、独楽本体の作製方法を図2〜図4を用いて示す。
【0016】
図2に示すように独楽本体を旋盤のチャック5に取り付け、軸芯つまみ部1の外形の旋盤加工を行う。軸芯の旋盤加工が完了すると、図3のように軸芯を旋盤のチャックに取り付け、回転盤部2及び軸芯先端部3を旋盤加工し、独楽本体の外形を形成させる。
【0017】
独楽本体の外形加工が完了した独楽(図4)を旋盤のチャックから取り外し、回転時間の測定を行うと、約1分40秒と図12に示した構造の独楽より回転性能が向上した。比較のため以下に独楽の回転時間を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
このことから、旋盤の主軸が高精度に回転することを利用して独楽を作製することにより回転盤中心と芯棒中心がずれている問題が解消された。
【0020】
そこで上記、回転盤と芯棒中心が一体化した構造からなる独楽本体を旋盤加工することにより回転盤中心と芯棒中心がずれる問題が解消することを踏まえ、独楽本体と独楽本体軸芯先端部に球が挿入されている構造をしたシンプルで高性能である独楽の製造方法を図2〜図8を用いて示す。
【0021】
図2〜図4を用いて上述したように旋盤を用いて独楽本体の外形を加工し、旋盤に独楽を取り付けたまま図5に示すように旋盤の刃物台7に取り付けたバイトを用いて独楽本体の中心とバイトの刃先の高さを合わせるセンタリングを行い、独楽本体軸芯先端部3に球体4が覆われない程度の径の穴を刃物台7に取り付けたバイト8で開ける。
【0022】
このときの独楽本体の様子を図6、独楽本体軸芯先端部3の拡大したようすを図7に示す。独楽本体軸芯先端部3の表面は円形状である。この穴の中心は独楽本体軸芯先端部の中心と刃物台に取り付けたバイト8の刃先が一直線上にあり回転しながら独楽本体の外形を形成するので、独楽本体中心線と同心度が出ている。
【0023】
図7の右図に示すように独楽本体軸芯先端部3の穴に球体4を挿入すると球の中心が、独楽本体の中心に収まる。球体4を独楽本体先端部に挿入した後、図8に示すように独楽本体軸芯先端部3の外壁をローラー9で旋盤の主軸を回転しながらで塑性変形させ、球を固定的に取り付けると図9に示すような独楽が作製できる。
【0024】
上記で作製した例が独楽本体軸芯先端部に球を固定的に取り付けた構造からなる独楽の製造方法である。この製造方法で作成した独楽を回転させると芯振れが起こらず、回転した。またこの独楽の回転時間を測定すると、回転時間が約5分と芯振れが起こらず、回転した。従来技術の独楽の回転時間より4倍以上の結果となった。
【0025】
このことから回転盤部及び軸芯先端部の外形加工からバイトと独楽の軸芯先端部のセンタリングを行い、穴を開け、球を挿入して固定的に取り付けるまで一連の工程を旋盤加工することにより独楽本体中心に球体中心が収まるので芯振れのない回転性能が高い独楽を製造することができる。
またセンタリングの他の実施形態がある。図10に示すように、独楽の外形加工をした後、図10に示すように旋盤の芯押し台10を用いて独楽本体軸心先端部3に球体4が覆われない程度の径の穴を芯押し台に取り付けたドリル11であける。その後、図9に示したようにローラー9で球体4をかしめ、固定する。
【0026】
上記形態で作製した独楽の回転時間を計測すると、約5分と刃物台に取り付けたバイトで独楽本体軸芯先端部に穴をあけ、球体をかしめた独楽と同じような結果を示した。なおこの芯押台に取り付けたドリルで独楽本体軸芯先端部の中心にではなく、中心からずらして穴をあけ、球体をかしめた独楽を作成し、回転時間を計測すると1分30秒と短く、また芯振れを伴いながら回転した結果となった。
【実施例】
【0027】
独楽本体の製造工程は、
イ)第一工程:独楽の軸芯部(回転接地面の反対側)の外形を旋盤加工する工程で、図2に示すように独楽本体材料を旋盤に取り付け回転接地面の反対側の外形の加工を行う工程、
ロ)第二工程:独楽本体を旋盤に取り付け、独楽本体の回転接地面側の外形を旋盤加工する工程で図3に示すように独楽本体軸芯つまみ部4を旋盤のチャック5にセットし、バイト6で独楽本体の外形を形成する工程、
ハ)第三工程:独楽本体軸芯先端部に嵌合穴をあける工程で図5に示すように旋盤の刃物台に取り付けたバイトで独楽本体軸芯先端部10のセンタリングを行って旋盤を回転させながら独楽本体軸芯先端部3に穴をあける工程、
ニ)第四工程:独楽本体先端部に球を挿入し、かしめる工程で図8に示すように独楽本体先端部の穴にこれ以上収まることができない位置まで硬性質の材料の球2を挿入し、独楽本体1を回転させながら、独楽本体先端部3の外壁に外力を加え塑性変形し、球2を固定させる工程からなる。
【0028】
また上記工程のロ)、ハ)、ニ)、イ)の工程手順の独楽の製造方法も効果的である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、旋盤を使えばシンプルな構成で高性能の独楽を作製することができる。独楽のつまみ部をひねって回す、回転技量を必要とせず手軽な玩具として小さな子供や小学生でも楽しむことができる。また小学校の頃ベーゴマで遊んだ経験のある中年、年配にも昔を回想できる効果がある。さらに簡単に回せる市場でよく見かける独楽と比較しても本発明の独楽の回転性能は、遥か凌駕しているように誰もが感嘆する付加価値が高い遊具である。また本発明の独楽はシンプルな構成であることならびに独楽は古くから親しまれた遊具として長い歴史があることから侘びと寂のある日本人の魂に響く独楽である。またこの独楽を金属材料で製作し回すと金属の光沢が虹色に輝く。さらに芯振れなく長時間回転するので独楽が静止しているように見え鮮やかであり、まさに美である。市場には地球独楽や磁石独楽など半永久的に回転する独楽が出ているが、本発明の独楽は約5分間、綺麗に回っていずれは止まるといる儚さならびに無常観を感応できる鑑賞の回転時間としては適し、芸術品としての効果がある。一方、刃物台に取り付けたバイトでセンタリングを行って作製した高性能の独楽と芯押し台に取り付けたドリルでセンタリングを行って作製した芯振れを伴う独楽の2種類を1セットとし、独楽の回転性能を比較実験する理科の教育的教材としてもおおいに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のー実施形態を示す正面図
【図2】軸芯つまみ部の外形の加工を示した第一工程図を示す側面図
【図3】回転盤部及び軸心先端部の外形の加工を示した第二工程図を示す側面図
【図4】軸芯つまみ部、回転盤部、軸芯先端部の外形を独楽の正面図を示す側面図
【図5】独楽本体先端部に穴をあける工程を示した第三工程図を示す側面図
【図6】独楽本体先端部の穴をあけた独楽本体外形を示す側面図
【図7】独楽本体先端部の穴をあけた独楽本体先端部の拡大を示す側面図
【図8】球を挿入してかしめる工程を示した第四工程図を示す側面図
【図9】本発明の製造方法で作製した独楽の全体斜視図
【図10】センタリングを芯押し台で行った工程図を示す側面図
【図11】従来技術を示した全体斜視図
【図12】よく市販されている従来技術の独楽の側面図
【図13】特異な回転特性を得るため改良した従来技術を示した縦断面図
【符号の説明】
【0031】
1 軸心つまみ部
2 回転盤部
3 軸芯先端部
4 球
5 チャック(旋盤)
6 バイト
7 刃物台
8 バイト
9 ローラー
10 芯押し台
11 ドリル
【技術分野】
【0001】
この発明は、独楽とその独楽の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の独楽は、特許文献1(図11)に示すような軸芯101と回転盤102からなる構造であり、独楽が回転する際に接する面側の軸芯の先端部103は尖っている構造をした独楽や図12に示すような工芸職人がろくろを用いて独楽本体を製作し、中心部202に穴をあけ、芯棒303を嵌め込んだ市場でよく見かける構造をした独楽がある。
【0003】
また特異な回転特性を得るため、特許文献2(図13)に示すように軸芯301及び回転盤302に磁性材料を用い、軸芯先端部に球303を回転自在に嵌め込んだ錯綜構造をした独楽がある。
しかしながら、従来技術の独楽では芯振れを伴う回転、またその為回転時間が短いこと、一方特異な回転性能を持つ独楽の技術では独楽の製造プロセスが複雑であるといった問題がある。
【0004】
【特許文献1】実用新案登録 第3092843号
【特許文献2】実用新案登録 第3088350号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は製造方法がシンプルでありながら回転性能を向上させる独楽とその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の問題を解決するために、旋盤を用いて軸芯つまみ部、回転盤部、軸芯先端部からなり、独楽本体の軸芯先端部に穴を設け、その穴に球体を固定的に取り付けた構造を特徴とする独楽である。
【0007】
前記独楽本体の軸芯の中心線上に球体の中心を固定的に取り付けるために、つまみ部を加工する工程と回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に穴を設ける工程と軸芯先端部の穴に球体を固定的にかしめる工程からなる製造方法で行うと効果的である。
【発明の効果】
【0008】
旋盤加工を利用して独楽本体先端部に球体を固定することにより、シンプルな構造で画期的な回転性能が得られる。
【0009】
上記独楽の作製手順としてつまみ部を加工する工程と回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に穴を設ける工程と軸芯先端部の穴に球体を固定的にかしめる工程で独楽を作製することにより、軸芯の中心線上に球体の中心を固定的に取り付けることができ、芯ずれのない独楽(図1)が得られる。
【0010】
また作製手順が上記と異なる、回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に穴を設ける工程と軸芯先端部の穴に球体を固定的にかしめる工程とつまみ部を加工する工程の記載手順の独楽では、製造方法としては上記工程手順として本質的に変わらないため、上記記載工程順の独楽と同様の高性能の独楽が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態及び最良の形態に至った経緯を図3から図12を用いて説明する。
【0012】
構造がシンプルな独楽を提供する為、従来構造の独楽に着眼した。そこでこれらの従来技術の独楽の回転性能を検証する為、伝統工芸店から図11に示した回転盤に軸芯が挿入されている『京ゴマ』という商品名の独楽と図12に示した上記記載の工芸職人がろくろを利用して作製した回転盤201の中心部202に芯棒203を嵌め込んだ構造をした独楽の2種類を入手し、回転時間の計測を行った。図11の構造の独楽では、独楽を回し始めてから転倒するまで約55秒、図12構造の独楽では、約1分10秒と回転時間が短く、両方の独楽も芯振れを伴う回転であった。しかしこの中でも回転時間が長い図12の構造をした独楽に着目した。
【0013】
図12の構造をした独楽では、独楽本体が回転盤201と芯棒202が合体した構造である。回転盤201に芯棒202を嵌め込む時、回転盤201の中心と芯棒202の中心がずれていることが、回転時間が短い原因と考えた。
【0014】
そこで、上記回転盤中心と芯棒中心がずれている問題を解決するため、旋盤の主軸が高精度に回転する機能を利用して回転盤と芯棒が一体化した構造からなる独楽を旋盤で加工を行った。
【0015】
上記、独楽本体の作製方法を図2〜図4を用いて示す。
【0016】
図2に示すように独楽本体を旋盤のチャック5に取り付け、軸芯つまみ部1の外形の旋盤加工を行う。軸芯の旋盤加工が完了すると、図3のように軸芯を旋盤のチャックに取り付け、回転盤部2及び軸芯先端部3を旋盤加工し、独楽本体の外形を形成させる。
【0017】
独楽本体の外形加工が完了した独楽(図4)を旋盤のチャックから取り外し、回転時間の測定を行うと、約1分40秒と図12に示した構造の独楽より回転性能が向上した。比較のため以下に独楽の回転時間を表1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
このことから、旋盤の主軸が高精度に回転することを利用して独楽を作製することにより回転盤中心と芯棒中心がずれている問題が解消された。
【0020】
そこで上記、回転盤と芯棒中心が一体化した構造からなる独楽本体を旋盤加工することにより回転盤中心と芯棒中心がずれる問題が解消することを踏まえ、独楽本体と独楽本体軸芯先端部に球が挿入されている構造をしたシンプルで高性能である独楽の製造方法を図2〜図8を用いて示す。
【0021】
図2〜図4を用いて上述したように旋盤を用いて独楽本体の外形を加工し、旋盤に独楽を取り付けたまま図5に示すように旋盤の刃物台7に取り付けたバイトを用いて独楽本体の中心とバイトの刃先の高さを合わせるセンタリングを行い、独楽本体軸芯先端部3に球体4が覆われない程度の径の穴を刃物台7に取り付けたバイト8で開ける。
【0022】
このときの独楽本体の様子を図6、独楽本体軸芯先端部3の拡大したようすを図7に示す。独楽本体軸芯先端部3の表面は円形状である。この穴の中心は独楽本体軸芯先端部の中心と刃物台に取り付けたバイト8の刃先が一直線上にあり回転しながら独楽本体の外形を形成するので、独楽本体中心線と同心度が出ている。
【0023】
図7の右図に示すように独楽本体軸芯先端部3の穴に球体4を挿入すると球の中心が、独楽本体の中心に収まる。球体4を独楽本体先端部に挿入した後、図8に示すように独楽本体軸芯先端部3の外壁をローラー9で旋盤の主軸を回転しながらで塑性変形させ、球を固定的に取り付けると図9に示すような独楽が作製できる。
【0024】
上記で作製した例が独楽本体軸芯先端部に球を固定的に取り付けた構造からなる独楽の製造方法である。この製造方法で作成した独楽を回転させると芯振れが起こらず、回転した。またこの独楽の回転時間を測定すると、回転時間が約5分と芯振れが起こらず、回転した。従来技術の独楽の回転時間より4倍以上の結果となった。
【0025】
このことから回転盤部及び軸芯先端部の外形加工からバイトと独楽の軸芯先端部のセンタリングを行い、穴を開け、球を挿入して固定的に取り付けるまで一連の工程を旋盤加工することにより独楽本体中心に球体中心が収まるので芯振れのない回転性能が高い独楽を製造することができる。
またセンタリングの他の実施形態がある。図10に示すように、独楽の外形加工をした後、図10に示すように旋盤の芯押し台10を用いて独楽本体軸心先端部3に球体4が覆われない程度の径の穴を芯押し台に取り付けたドリル11であける。その後、図9に示したようにローラー9で球体4をかしめ、固定する。
【0026】
上記形態で作製した独楽の回転時間を計測すると、約5分と刃物台に取り付けたバイトで独楽本体軸芯先端部に穴をあけ、球体をかしめた独楽と同じような結果を示した。なおこの芯押台に取り付けたドリルで独楽本体軸芯先端部の中心にではなく、中心からずらして穴をあけ、球体をかしめた独楽を作成し、回転時間を計測すると1分30秒と短く、また芯振れを伴いながら回転した結果となった。
【実施例】
【0027】
独楽本体の製造工程は、
イ)第一工程:独楽の軸芯部(回転接地面の反対側)の外形を旋盤加工する工程で、図2に示すように独楽本体材料を旋盤に取り付け回転接地面の反対側の外形の加工を行う工程、
ロ)第二工程:独楽本体を旋盤に取り付け、独楽本体の回転接地面側の外形を旋盤加工する工程で図3に示すように独楽本体軸芯つまみ部4を旋盤のチャック5にセットし、バイト6で独楽本体の外形を形成する工程、
ハ)第三工程:独楽本体軸芯先端部に嵌合穴をあける工程で図5に示すように旋盤の刃物台に取り付けたバイトで独楽本体軸芯先端部10のセンタリングを行って旋盤を回転させながら独楽本体軸芯先端部3に穴をあける工程、
ニ)第四工程:独楽本体先端部に球を挿入し、かしめる工程で図8に示すように独楽本体先端部の穴にこれ以上収まることができない位置まで硬性質の材料の球2を挿入し、独楽本体1を回転させながら、独楽本体先端部3の外壁に外力を加え塑性変形し、球2を固定させる工程からなる。
【0028】
また上記工程のロ)、ハ)、ニ)、イ)の工程手順の独楽の製造方法も効果的である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、旋盤を使えばシンプルな構成で高性能の独楽を作製することができる。独楽のつまみ部をひねって回す、回転技量を必要とせず手軽な玩具として小さな子供や小学生でも楽しむことができる。また小学校の頃ベーゴマで遊んだ経験のある中年、年配にも昔を回想できる効果がある。さらに簡単に回せる市場でよく見かける独楽と比較しても本発明の独楽の回転性能は、遥か凌駕しているように誰もが感嘆する付加価値が高い遊具である。また本発明の独楽はシンプルな構成であることならびに独楽は古くから親しまれた遊具として長い歴史があることから侘びと寂のある日本人の魂に響く独楽である。またこの独楽を金属材料で製作し回すと金属の光沢が虹色に輝く。さらに芯振れなく長時間回転するので独楽が静止しているように見え鮮やかであり、まさに美である。市場には地球独楽や磁石独楽など半永久的に回転する独楽が出ているが、本発明の独楽は約5分間、綺麗に回っていずれは止まるといる儚さならびに無常観を感応できる鑑賞の回転時間としては適し、芸術品としての効果がある。一方、刃物台に取り付けたバイトでセンタリングを行って作製した高性能の独楽と芯押し台に取り付けたドリルでセンタリングを行って作製した芯振れを伴う独楽の2種類を1セットとし、独楽の回転性能を比較実験する理科の教育的教材としてもおおいに期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のー実施形態を示す正面図
【図2】軸芯つまみ部の外形の加工を示した第一工程図を示す側面図
【図3】回転盤部及び軸心先端部の外形の加工を示した第二工程図を示す側面図
【図4】軸芯つまみ部、回転盤部、軸芯先端部の外形を独楽の正面図を示す側面図
【図5】独楽本体先端部に穴をあける工程を示した第三工程図を示す側面図
【図6】独楽本体先端部の穴をあけた独楽本体外形を示す側面図
【図7】独楽本体先端部の穴をあけた独楽本体先端部の拡大を示す側面図
【図8】球を挿入してかしめる工程を示した第四工程図を示す側面図
【図9】本発明の製造方法で作製した独楽の全体斜視図
【図10】センタリングを芯押し台で行った工程図を示す側面図
【図11】従来技術を示した全体斜視図
【図12】よく市販されている従来技術の独楽の側面図
【図13】特異な回転特性を得るため改良した従来技術を示した縦断面図
【符号の説明】
【0031】
1 軸心つまみ部
2 回転盤部
3 軸芯先端部
4 球
5 チャック(旋盤)
6 バイト
7 刃物台
8 バイト
9 ローラー
10 芯押し台
11 ドリル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
独楽本体は、軸芯つまみ部、回転盤部、軸芯先端部からなり、独楽本体の軸芯先端部に穴を設け、その穴に球体を固定的に取り付けた構造を特徴とする独楽。
【請求項2】
旋盤加工した独楽の製造方法であって、つまみ部を加工する工程と回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に穴を設ける工程と軸芯先端部の穴に球体を固定的にかしめる工程の上記記載順の工程からなる独楽の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の工程からなる独楽の製造方法であって、回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に穴を設ける工程と軸芯先端部の穴に球体を固定的にかしめる工程とつまみ部を加工する工程の上記記載順の工程からなる独楽の製造方法。
【請求項1】
独楽本体は、軸芯つまみ部、回転盤部、軸芯先端部からなり、独楽本体の軸芯先端部に穴を設け、その穴に球体を固定的に取り付けた構造を特徴とする独楽。
【請求項2】
旋盤加工した独楽の製造方法であって、つまみ部を加工する工程と回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に穴を設ける工程と軸芯先端部の穴に球体を固定的にかしめる工程の上記記載順の工程からなる独楽の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の工程からなる独楽の製造方法であって、回転盤部及び軸芯先端部を加工する工程と軸芯先端部に穴を設ける工程と軸芯先端部の穴に球体を固定的にかしめる工程とつまみ部を加工する工程の上記記載順の工程からなる独楽の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−289535(P2007−289535A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−122808(P2006−122808)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504150999)株式会社オオツカ (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(504150999)株式会社オオツカ (1)
【Fターム(参考)】
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