説明

獣類の捕獲装置

【課題】効率良く捕獲することができる獣類の捕獲装置を提供する。
【解決手段】天壁部12aと周壁部12b,12cとにより平面視多角形状に外周を囲んで獣類の入る空間Sを形成する檻本体12と、周壁部のうちの連続する隣接複数面(12c)のそれぞれを自在に開閉するように設けられた複数の扉部14と、檻本体12の空間S内に獣類W入ったか否かを感知する感知部16と、感知部16が獣類を感知したときに隣接複数面の各扉部14を同時に閉鎖する同時閉鎖機構18と、を含むことを特徴とする獣類の捕獲装置10から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、猪、その他獣類の捕獲装置に関する。
【背景技術】
【0002】
猪、熊等の野生動物が、えさを求めて人里近くまで進出し、田畑や作物を荒らし、時には、家畜や人間に危害を及ぼすといった問題が年々増加しており、深刻な問題となっている。それに対して、住民は猪等の野生動物の被害を防ぐために、例えば、防護柵やネットを張ったり、罠を仕掛けて捕獲する等の様々な対策が行われている。しかし、防護柵やネット等では、十分な効果が無いとともに、猪等の数の増加の歯止めとはならず、捕獲罠を仕掛ける場合が多い。従来の捕獲装置としては、例えば、特許文献1に示すように、一側に開口するゲートを備えた檻本体と、ゲートを上下動して開口を開閉する閉じ蓋と、閉じ蓋を吊持するワイヤーと、ワイヤーの自由端をロックするロック装置と、猪が檻本体の中に入ったのを検知するセンサーと、を有している。そして、檻本体の中に猪が入ったことをセンサーで検出すると、センサーがワイヤーの自由端を開放し、閉じ蓋が落下してゲートの開口を閉じるものであった。
【特許文献1】特開2005−21930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載の捕獲装置では、檻本体の入り口が比較的狭いので猪等が警戒して檻の中に入らなかったり、一頭の猪が檻の中に入っている際には、他の猪は中に入ることができないために一頭ずつしか捕獲できないことから、捕獲効率が極めて低く、拡大する被害に追いつけないという問題があった。また、仮に、入り口及び収容広さを確保するために檻本体を大きくすることも考えられるが、重量化するとともに、コストも高くなり、さらには、組立、搬送等にかかる労力も大きくなることから、実用性が低い問題があった。
【0004】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、猪等の獣類の行動特性を利用しつつ効率良く捕獲することができる獣類の捕獲装置を提供することにある。さらに他の目的は、構造が簡単で、低コストで製造でき、小型化、軽量化を実現できる獣類の捕獲装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、天壁部12aと周壁部12b,12cとにより平面視多角形状に外周を囲んで獣類の入る空間Sを形成する檻本体12と、周壁部のうちの連続する隣接複数面(12c)のそれぞれを自在に開閉するように設けられた複数の扉部14と、檻本体12の空間S内に獣類Wが入ったか否かを感知する感知部16と、感知部16が獣類Wを感知したときに隣接複数面の各扉部14を同時に閉鎖する同時閉鎖機構18と、を含むことを特徴とする獣類の捕獲装置10から構成される。また、例えば、扉部以外の周壁部では隣接した複数の閉鎖壁部を形成させることにより、構成を複雑化することなく檻本体の高い強度を確保できる。
【0006】
また、同時閉鎖機構18は、自重閉鎖式の扉部14と、同時閉鎖するすべての扉部14を解除可能に開状態で保持する開保持機構22と、を含むこととしてもよい。
【0007】
また、開保持機構22は、同時閉鎖するすべての扉部14と機械的に連係し、感知部16による獣類Wの存在の感知に応動して1つの閉方向動作でそれらのすべての扉部14を同時閉鎖させる機械連係装置24を有することとしてもよい。
【0008】
また、機械連係装置24は、それぞれの扉部14の開状態と閉状態とに対応して位置を変化させつつ扉部14の開状態を係止する複数の係止体26と、すべての係止体26に連係しつつ感知部16からの感知に応動する1つの作動動作ですべての係止体26の係止状態を解除させる1つの機械作動体28と、を含むこととしてもよい。
【0009】
また、各係止体32と機械作動体28とは索条40によりそれぞれ連結されていることとしてもよい。
【0010】
また、係止体32は檻本体12に取り付けた軸30に軸周り回転自在に取り付けられ、軸周り位置が扉部14の開状態と閉状態とに対応しており、さらに、該軸周りに一部が回転自在に支持され、係止体32と一体的に回転するレバー部材32を有することとしてもよい。
【0011】
また、機械作動体28は、索条40を巻き込み、巻き戻し方向に回転する回転部材38からなることとしてもよい。
【0012】
また、開保持機構22は、係止体32による扉部14の閉動作を行なわせるように機械作動体28を付勢させる付勢装置42と、付勢装置42の付勢力に抗して係止体32が扉部14を開状態に保持する位置に機械作動体28を係止保持し感知部16の感知により機械作動体28を作動させる連動装置44と、を有することとしてもよい。
【0013】
また、扉部14は、檻本体12に上下スライド移動自在、又は下端部揺動自在としてそれぞれ隣接複数面(14c)を開閉するように設けられていることとしてもよい。
【0014】
また、感知部16は、檻本体内空間Sに下部側を垂下しつつ揺動自在に支持され、獣類Wと接触して揺動する接触体62と、接触体62の上部に載置されるとともに接触体62が揺動した際に落下して同時閉鎖機構18を作動させる重り64と、を含むこととしてもよい。
【0015】
また、感知部16aは、檻本体内空間Sに下部側を垂下しつつ揺動自在に支持され、獣類Wと接触して揺動する接触体62と、接触体62に連係され、同時閉鎖機構18を作動させるソレノイド68と、を含むこととしてもよい。
【0016】
また、感知部16bは、獣類Wが載った際に同時閉鎖機構18を作動させる踏み台74を含むこととしてもよい。
【0017】
また、檻本体12と扉部14とは、扉部14の閉鎖時に該扉部14の下端辺側と地面との間に人間の足Fが挟まれない程度の間隙Hを形成するように構成されたこととしてもよい。
【0018】
また、檻本体12には、扉部14の閉鎖時に檻内の人間Mが脱出するための脱出用開閉扉76が設けられたこととしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の獣類の捕獲装置によれば、天壁部と周壁部とにより平面視多角形状に外周を囲んで獣類の入る空間を形成する檻本体と、周壁部のうちの連続する隣接複数面のそれぞれを自在に開閉するように設けられた複数の扉部と、檻本体の空間内に獣類が入ったか否かを感知する感知部と、感知部が獣類を感知したときに隣接複数面の各扉部を同時に閉鎖する同時閉鎖機構と、を含むこと構成であるから、連続する隣接複数面の扉部が同時に閉鎖する結果、扉部の開状態では、檻本体には連続した隣接複数面部分に開口が形成され、檻本体を巨大化させることなく比較的大きな獣類の進入開口を確保できる。よって、例えば、獣類が警戒心を感じることなく檻本体内に入ることができ、しかも、同時に複数匹の獣類が入ることができるので、効率良く獣類を捕獲することができる。さらに、同時閉鎖機構を介して全ての扉部を同時に閉鎖することにより、一旦檻本体内に入って感知部に感知された獣類は逃げ出す時間的な余裕が無くなって逃げ出すことが困難となり、獣類を確実に捕獲できる。
【0020】
また、同時閉鎖機構は、自重閉鎖式の扉部と、同時閉鎖するすべての扉部を解除可能に開状態で保持する開保持機構と、を含むことにより、自重で扉部が閉鎖されるので、例えば、開状態の解除操作だけで、扉部自体を閉鎖させる駆動力を不要であり、簡単な構造で閉鎖機構を構成できる。また、扉部の開状態から閉状態への切り替えが簡単に行なえる。また、扉部が自重によりスムーズかつ短時間で閉鎖されるので、確実に獣類を捕獲できる。
【0021】
また、開保持機構は、同時閉鎖するすべての扉部と機械的に連係し、感知部による獣類の存在の感知に応動して1つの閉方向動作でそれらのすべての扉部を同時閉鎖させる機械連係装置を有することにより、感知部で獣類を感知してから1つの動作だけで扉部を閉動作させるので、扉部が同時閉鎖されるまでの時間のロスが少なく、獣類を確実に捕獲できる。さらに、装置構成を単純化でき、低コストで製造できる。また、機械的な連係で構成するので、電気的な連係のものに比べて故障が少なく、メンテナンスも簡単で、耐久性も高い。
【0022】
また、機械連係装置は、それぞれの扉部の開状態と閉状態とに対応して位置を変化させつつ扉部の開状態を係止する複数の係止体と、すべての係止体に連係しつつ感知部からの感知に応動する1つの作動動作ですべての係止体の係止状態を解除させる1つの機械作動体と、を含む構成とすることにより、係止体により扉部をその自重に抗して係止して開状態を確実に保持できるとともに、機械作動体を介して係止体を位置変化させるだけで係止状態を解除でき、簡単な構成で機械連係装置を具現できる。また、1つの機械作動体の1つの作動動作だけで複数の係止体の係止状態を解除させる構成なので、扉部の閉鎖を確実に同期させて同時に自重閉鎖させることができ、確実に獣類の捕獲を行える。
【0023】
また、各係止体と機械作動体とは索条によりそれぞれ連結されていることにより、索条は可撓性があるので係止体と機械作動体との位置関係が束縛されにくく簡単に設計できるとともに、比較的安価な構成部材で1つの機械作動体の作動動作を複数の係止体に確実に伝達させる連係構成を具現できる。
【0024】
また、係止体は檻本体に取り付けた軸に軸周り回転自在に取り付けられ、軸周り位置が扉部の開状態と閉状態とに対応しており、さらに、該軸周りに一部が回転自在に支持され、係止体と一体的に回転するレバー部材を有する構成とすることにより、簡単な構成で、係止体を効率良く配置でき、さらには、係止体の軸周り回転動作だけで扉部の開状態と閉状態とを確実かつスムーズに変更させることができる。また、例えば、レバー部材をある程度長く設けることで、機械作動体からの作動力が小さくても確実に係止体を作動させることができる。その結果、機械作動体を含む機械連係装置を簡単な構造で実現できる。
【0025】
また、機械作動体は、索条を巻き込み、巻き戻し方向に回転する回転部材からなることにより、例えば、回転動作といった1つの作動動作で、索条を介してすべての係止体の係止状態を解除させることができ、簡単な構成でしかも低コストに機械作動体を具体的に実現できる。
【0026】
また、開保持機構は、係止体による扉部の閉動作を行なわせるように機械作動体を付勢させる付勢装置と、付勢装置の付勢力に抗して係止体が扉部を開状態に保持する位置に機械作動体を係止保持し感知部の感知により機械作動体を作動させる連動装置と、を有することにより、付勢装置を介して係止体を確実かつ円滑に位置変更させて、扉部の閉動作を確実に行わせることができる。また、付勢装置として例えば、バネやゴム等の弾性部材等を用いることにより、簡単な駆動源を利用して簡単に構成であり、低コストで製造できる。さらに、連動装置を介して係止体による扉部の開状態の保持と、感知部の感知後の扉部の同時閉動作とをスムーズかつ確実に変更させて、獣類を確実に捕獲することができる。
【0027】
また、扉部は、檻本体に上下スライド移動自在、又は下端部揺動自在としてそれぞれ隣接複数面を開閉するように設けられたことにより、自重閉鎖式の扉部を簡単な構成で具現できる。
【0028】
また、感知部は、檻本体内空間に下部側を垂下しつつ揺動自在に支持され、獣類と接触して揺動する接触体と、接触体の上部に載置されるとともに接触体が揺動した際に落下して同時閉鎖機構を作動させる重りと、を含む構成とすることにより、簡単な構造で、低コストで製造できるとともに、獣類を確実に感知でき、檻本体内に入った獣類を確実に捕獲することができる。さらに、耐久性、対候性が良く、長期間、繰返し使用することができ、実用性が高い感知部を具現できる。
【0029】
また、感知部は、檻本体内空間に下部側を垂下しつつ揺動自在に支持され、獣類と接触して揺動する接触体と、接触体に連係され、同時閉鎖機構を作動させるソレノイドと、を含む構成とすることにより、獣類を確実に感知でき、檻本体内に入った獣類を確実に捕獲することができる。
【0030】
また、感知部は、獣類が載った際に同時閉鎖機構を作動させる踏み台を含む構成とすることにより、簡単な構造で、低コストで感知部を形成することができる。また、耐久、対候性が高く、長期間、繰返し使用することができる。
【0031】
また、檻本体と扉部とは、扉部の閉鎖時に該扉部の下端辺側と地面との間に人間の足が挟まれない程度の間隙を形成するように構成されることにより、例えば、上下スライドするように扉部を構成した場合に、扉部を上に持ち上げて開く作業中に誤って手を滑らせて扉部を落下させた際に、作業者の足が扉部に挟まれることがなく、怪我を防止できる。また、簡単な構造で安全性を確保できる。
【0032】
また、檻本体には、扉部の閉鎖時に檻内の人間が脱出するための脱出用開閉扉が設けられたことから、例えば、人間の子供等が誤って檻内に閉じ込められた際に、扉部が重量素材で形成されている場合でも脱出用開閉扉を介して容易に脱出することができる。従って、人に対する安全性に配慮でき、子供等も居住する人家の近くにも良好に設置できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下添付図面を参照しつつ本発明の獣類の捕獲装置について説明する。本発明の獣類の捕獲装置は、例えば、檻罠式の捕獲装置であり、人家に近い山林や山奥等に設置されて、田畑等を荒らす猪等の獣類を捕獲するのに用いられる。
【0034】
図1ないし図10は、本発明の獣類の捕獲装置の一実施形態を示している。本実施形態において、獣類の捕獲装置10は、檻本体12と、複数の扉部14と、感知部16と、同時閉鎖機構18と、を含む。
【0035】
図1、図2、図3に示すように、本実施形態では、檻本体12は、天壁部12aと4つの周壁部12b、12b、12c、12cと、底壁部12dと、により獣類の捕獲空間Sを形成した平面視正方形又は長方形状の閉鎖箱体からなる。各壁部12a〜dは、例えば、アングル材や鉄筋等の金属製杆状部材を矩形状に枠状とし、さらにその枠内部に格子状に組み付けて構成されている。本実施形態では、図3、図4に示すように、平面視で下側を正面側とすると、4つの周壁部12b、12b、12c、12cのうち、正面側と右側面側に対応した連続する隣接2面12c、12cが檻本体12を自在に開閉する扉部14(図3上、二点差線)となっている。一方、周壁部のうち扉部14と対向する他方の背面側と左側面側となる連続した隣接2面12b、12bが常時閉鎖の閉鎖壁部となる。扉部14の開状態では、檻本体12には連続した隣接2面12cが開口が形成され、檻本体12内に比較的面積の広い獣類の侵入開口が確保できる。さらに、周壁部のうち半数が連続した隣接閉鎖壁部が形成することとなり、構成を複雑化することなく檻本体の強度を確保できる。また、図3に示すように、閉鎖壁部となる周壁部12bの隅部にえさKを配置させれば、扉部14からえさKまでの距離を十分に確保でき、檻本体を巨大化させることなく実質的な捕獲空間Sを比較的広く確保できる。なお、檻本体12は、例えば、組立、分解自在に構成しておくことにより、装置の搬送を簡単に行なえる。また、檻本体12は、平面視4角形に限らず任意の多角形であればよい。例えば、平面視多角形(4角形以上)の場合に、扉部の数は、隣接2面以上で多角形の半数面以下の整数個で、連続する隣接複数面の任意の数に設けるとよい。
【0036】
図1、図2に示すように、扉部14は、檻本体12の捕獲空間Sを自在に開閉する扉であり、閉鎖時には檻本体12の捕獲空間Sを閉鎖する周壁部の一部12cとなり、開いた状態では檻本体の内外を連通する開口を形成する。各扉部14は、前述のように鉄筋等を格子状に組み付けた矩形体として構成されており、檻本体12に設けられた縦長のガイドレール20に左右両側の縁枠部側を上下スライド移動自在に案内される。すなわち、扉部14は、檻本体の側面を含む鉛直面を移動面として上下移動する。図6にも示すように、ガイドレール20は、例えば、U字鋼等からなり、各扉部14の左右両側に縦に平行してU字状の開口側を対向した状態で立てた状態で、檻本体とボルト・ナットや溶接等により一体的に固定される。そして、扉部14は、ガイドレール20のU字状の開口空隙内に左右両側の縁枠部側を遊嵌されて、スムーズに上下移動を案内される。扉部14は、例えば、人手での持ち上げ動作により上に上昇されて開状態となり、開状態から該扉部自身の自重により下降して開口を閉鎖する自重閉鎖式(落とし戸式)の扉部となっている。扉部14は、後述の開保持機構により開状態が保持される。なお、各扉部14は、重量があるのでそれぞれ独立して上下スライド可能な構成であるが、例えば、隣接する扉部同士を一体的に連結してもよい。
【0037】
図1、図6、図8に示すように、扉部14の縁枠部の下部側には、下縁枠よりも下方に延長された脚部14bが形成されている。脚部14bは、扉部14が閉鎖した際に、該脚部14bの長さ分だけ扉部14の下辺縁部と地面側との間に間隙Hが形成される。この脚部14bの長さは、例えば、10〜20cm程度の一般的な大人の足Fの甲の高さより高く、かつ獣類が通り抜けない程度の大きさに設定されている。すなわち、扉部14と檻本体12とは、扉部14の閉鎖時に足を挟まない程度の間隙を形成するように構成されている。これにより、例えば、捕獲装置を設置する際等に、扉部14を持ち上げた際に不意に扉部14が落下しても作業者の足Fを挟んで怪我するのを防止でき、安全面に配慮した構成を実現できる。なお、檻本体12のガイドレール20側の下部より側の中間位置に扉部を受けるストッパ等を設け、扉部14の自重閉鎖時に該ストッパにより中間位置で受けて、間隙Hを形成するようにしてもよい。
【0038】
同時閉鎖機構18は、感知部16が檻本体内に入った猪等の獣類Wを感知した際に隣接複数面の各扉部14を同時に閉鎖する同時閉鎖手段である。複数の扉部14を同時に閉鎖することにより、檻本体12内に入った獣類を確実に捕獲する。本実施形態では、図1、図4に示すように、同時閉鎖機構16は、前述の自重閉鎖式の扉部14と、同時閉鎖する全ての扉部14を解除可能に開状態で保持する開保持機構22と、を含む。
【0039】
開保持機構22は、自重により閉鎖する扉部14を重力に抗して開状態で保持するとともに、全ての扉部14の保持状態を同時に解除して該扉部14を自重落下させて閉鎖させる、扉部14の開状態の保持・同時解除手段である。本実施形態では、図4、図5に示すように、開保持機構22は、同時に閉鎖する全ての扉部14と機械的に連係した機械連係装置24を有している。本実施形態では、機械的な連係であるから電気的な連係の態様に比べて電池、バッテリ或いは回路の防水構成等を不要とし、簡単に構成でき、保守、管理等も簡単に行なえる。
【0040】
本実施形態では、機械連係装置24は、感知部16による獣類の存在の感知に応動して1つの閉方向動作で連係しているすべての扉部14を同時に閉鎖するようになっている。よって、感知部16により獣類を感知してから扉部14の閉鎖までの時間差が少なく獣類を確実に捕獲できる。具体的には、機械連係装置24は、それぞれの扉部14の開状態を係止する複数の係止体26と、すべての係止体26に連係しつつ感知部16からの感知に応動する1つの作動動作ですべての係止体26の係止状態を解除させる1つの機械作動体28と、を含む。なお、機械連係装置は、係止体26、機械作動体28を含む構成に限らず、例えば、扉部14をワイヤーで上から吊支して扉部の開状態を保持し、感知部の感知の際に該ワイヤーの保持を解除する構成等その他任意の扉部を同時に閉鎖できる構成でもよい。
【0041】
図1、図4、図7に示すように、係止体26は、例えば、略台形状の金属板部材からなり、檻本体12の天壁部12aの扉部に対応した各辺縁部側の略中央に取り付けた縦方向の軸30に、軸周り回転自在に取り付けられている。係止体26は、長辺側となる下底側の両角のうち一方の隅部付近を軸30で枢支され、水平面内を自在に回転して、扉部14の開状態と閉状態とに対応して回転位置を変化するようになっている。扉部14が上方に移動した際に、係止体26の短辺側となる上底側を扉部14の縦方向の移動面内に対して交差状に進出させるような軸周り位置で、扉部14の下辺側を下から受けて該扉部14の開状態を保持する。一方、図5、図8に示すように、係止体が回転されて係止体26の上底側が扉部の移動面内から退避されるような軸周り位置に変化させることで、係止体による扉部の開状態の係止が解除され、扉部14は自重により落下して閉状態となる。なお、本実施形態では、係止体は台形状に形成されて、上底側で扉部を係止しているので、小さな回転角度で、係止状態を解除できる。さらに、係止体26には、下底の辺方向に沿って一方に長く延長されたレバー部材32が一体的に固定されている。レバー部材32は、延長端部側がL字状に曲折された鉄等の杆部材からなり溶接等により固定されており、延長端部を自由端として、係止体26と一体的に回転する。後述のようにレバー部材32の延長端部側が索条40を介して機械作動体28と連係されている。なお、係止体26は、軸30を支点とすると、レバー部材32の機械作動体との連係部が作用点となり、扉部を受ける部が力点となる。本実施形態では、支点から作用点までの距離が支点から力点までの距離よりも十分に長く、てこの原理により作用点へ比較的小さな力を作用させるだけで係止体を作動させることができる。これにより、係止体の係止状態を解除させる機械作動体は後述する付勢装置42等の比較的小さな作動力だけの簡単な構成で実現できる。なお、係止体26の形状は任意で良く、例えば、三角形、矩形、半円形、円形、楕円形、その他任意の形状でよく、軸周り回転で開状態とその解除状態を構成できればよい。また、縦軸周りの構成に限らず横軸回りに回転自在な構成としてもよい。また、係止体は、扉部の下縁辺部を係止する態様に限らず、例えば、扉部の高さ方向中間位置又は上部側、幅方向についても左右両側部分等その他任意の位置でも良い。また、係止体は、軸周り回転に限らず、例えば、直線的なスライド移動の構成としてもよい。
【0042】
図4、図5に示すように、機械作動体28は、本実施形態では、檻本体12の天壁部12a上に固定された扁平矩形箱状のケース34に収容され、中心を縦方向の回転軸36を介して軸周り自在に軸支された円板状の回転部材38からなる。本実施形態では、回転部材38と係止体26のレバー部材32とは、例えば、金属ワイヤー等の索条40を介して連結されており、一端側を機械作動体28の円周縁部の互いに若干離隔した位置にそれぞれ接続されつつ、他端側をレバー部材32の延長端部に接続されている。回転部材38は、該索条40を巻き込み、巻き戻し方向に回転軸36周りに回転する。回転部材28は、索条40の巻き込み方向への回転動作といった1つの作動動作で、レバー部材32を牽引して2つの係止体を同時に軸周り回転させて、扉部14の係止状態を解除させるように構成されている。なお、機械作動体は、例えば、周壁部12bに配置されていてもよく、その他任意の場所でもよい。
【0043】
回転部材38は、コイルバネ等の付勢装置42により、索条40の巻き込み方向に回転するように付勢されている。同時に、付勢装置42の付勢力に抗して回転部材38を巻き戻し方向に回転させた状態で係止保持し、感知部16の感知によりその係止状態を解除して回転部材38を索条40の巻き込み方向に回転作動させる連動装置44と連係されている。すなわち、開保持機構22は、係止体26による扉部14の閉動作を行わせるように回転部材36を付勢する付勢装置42と、付勢装置42の付勢力に抗して係止体26が扉部14を開状態に保持する位置に回転部材38を係止保持し感知部16の感知により回転部材36を作動させる連動装置44と、を有する。本実施形態では、付勢装置42は、回転部材38の中心軸から径方向に延長配置され一体的に溶接固定された作動レバー46の中間位置に一端側を連結されている。そして、他端側をケース34の受片35に連結させて、回転部材38を図4上、左周り方向に常時付勢している。
【0044】
連動装置44は、図7、図8に示すように、作動レバー46の延長端部と係合するレバー係止部材50と、感知部16と連係されつつレバー係止部材50の端部を係止及びその係止を解除する起動装置52と、を含む。レバー係止部材50は、例えば、一方に向けて長く形成されL字状に屈曲された金属製L字杆からなり、端部に環状部50bが形成されている。レバー係止部材50は、この環状部50bを天壁部12aの一本の鉄筋12a1の周りに緩く係合させて、延長先端を自由端として鉄筋12a1周りに自在に回動するようになっている。図7に示すように、レバー係止部材50は、半時計周りに回転させることにより、そのL字内側に沿って作動レバー46を付勢装置42の付勢力に抗しながら左方向に移動させると、図4に示すように、回転部材38を索条40の巻き戻し方向に回転させる。そして、レバー係止部材50のL字長手側が略水平になる位置で、該レバー係止部材50の延長先端を起動装置52で係止することにより、コイルバネの付勢力に抗して作動レバー46を係止保持する。図8に示すように、起動装置52による係止部材50の係止状態が解除されると、係止保持力を開放して、付勢装置42の付勢力により係止部材50を強制的に時計回りに回転されて、図5に示すように、回転部材38が索条40の巻き戻し方向に回転作動する。一方、起動装置52は、直立状態と、傾動状態と、を切り替えて、レバー係止部材50の延長先端を係止、解除する。起動装置52は、例えば、天壁部12aの一本の鉄筋12a2にある程度きつく枢着又は挟着されて傾動可能に支持されたブラケット56と、ブラケット56に横軸を介して支持されているローラ54と、を含む。ブラケット56は、後述する感知部16の重りと金属ワイヤー等の索条58で連係されている。ブラケットは、感知部16の重りが重力落下した際に索条58を介して鉄筋12a2周りに傾動するとともに、牽引力が加わらない状態では自立して直立できるようになっている。ローラ54は、ブラケット56の上端側に支持され、ブラケット56の直立状態で長手方向を水平状に配置させた係止部材50の延長先端の上方側から係止するように設けられている。ローラ54は、その周面部分で係止部材と低摩擦状態で接摺しており、ブラケット56が牽引された際に該ブラケット56が円滑に傾動される。なお、索条58は、一本の鉄筋に遊挿したガイドリング60の環内を通係されて、重りによる牽引力が円滑に伝達される。
【0045】
感知部16は、檻本体12の捕獲空間S内に獣類Wが入ったか否かを感知する感知手段である。図7、図8に示すように、本実施形態では、感知部16は、上述の機械連係装置34(回転部材38)と機械的に連係されている。感知部16は、檻本体12の捕獲空間Sに下部側を垂下しつつ揺動自在に支持され、獣類と接触して揺動する接触体62と、接触体62の上に載置される重り64と、を有しており、起動装置52に連係されている。接触体62は、例えば、樹木の枝等からなり、檻本体12のえさKの配置位置に対応して、閉鎖壁部となる2つ隣接周壁部12bの隅部付近に設置され、えさKに近づく獣類が確実に接触するように設置される。接触体62の上端部は軸支部66を介して、天壁部12aの一つの鉄筋に揺動自在に支持される。軸支部66の上面側には、該接触体62の安定停止状態で重り64を安定的に載せる載置部が設けられている。載置部は、若干凹設されており、ある程度の揺れ幅で揺動した際に重り64が落下するようになっている。重り64は、例えば、鉛等の重量素材で形成されている。重り64は、上述のように起動装置52のブラケット56と索条58を介して接続されており、接触体の揺動時に載置部から落下してブラケット56を牽引して傾動させる。感知部16は、重り64の重力落下を利用した機械的な感知手段であり、簡単な構造で、低コストであるとともに、運用コストも安価である。また、後述のソレノイドや踏み台を用いた感知部16a,16bと比較して、獣類の感知度が高く、コストも安くてすみ、また耐久性の面でも優れている。
【0046】
図11、図12は、感知部及び起動装置の他の形態を示しており、上記形態と同一部材には同一符号を付している。図11に示すように、感知部16aは、獣類を直接感知する接触体62の構成は同じであるが、接触体と起動装置との連係構成が異なっている。感知部16は、接触体62と、ソレノイド60と、を含む。ソレノイド68は、その鉄心68aを突出させた状態で、長手方向を水平状に回転配置させた係止部材50の延長先端を係止する。そして、接触体62の上部にソレノイド作動用のマイクロスイッチ69が設けられており、該接触体62が揺動した際に、スイッチがオンとなり該ソレノイドの鉄心68aを作動させて、レバー係止部材50の延長先端50の係止状態を解除して、上述の実施形態と同様に係止体26を扉部の閉状態の位置に変化させるように回転部材38を作動させる。なお、70は、ソレノイド駆動用のバッテリである。
【0047】
また、図12は、感知部のさらに他の形態を示しており、感知部16bは、獣類の体重を感知する踏み台式の構成となっている。図12に示すように、感知部16bは、踏み台72を含み、起動装置は、該踏み台72と回転部材38の作動レバー46とを連係する連係部材74を含む。連係部材74は、例えば、下端側を踏み台72に接続された杆部材からなる。連係部材74の上端側は、天壁部12aより上方に突出しており、回転部材38の索条40の巻き戻し状態で作動レバー46の端部を係止保持する。獣類が踏み台72上に載った際に連係部材74が下降し、連係部材74による作動レバー46の係止状態を解除して、上述の実施形態と同様に係止体26を扉部の閉状態の位置に変化させるように回転部材38を作動させる。なお、感知部は、上記のような構成に限らずその他の機械的検出手段、或いは電気的検出手段でもよい。また、例えば、赤外線センサのように獣類を非接触で感知する構成としてもよい。
【0048】
図4、図9に示すように、檻本体12には、扉部14が閉鎖して檻本体内に人間の子供M等が閉じ込められた際に、該子供M等が脱出するための脱出用開閉扉76が設けられている。本実施形態では、脱出用開閉扉76は、例えば、天壁部12の一部に設けられており、枢着部78を介して開閉自在に取り付けられている。脱出用開閉扉76は、その近傍の鉄筋に固定された平板に固定された縦軸79周りに回転自在に支持されつつ天壁部を上下に挟むように配置された帯状金属板のロック用ハンドル80を介して閉鎖状態が保持される。子供等が檻本体から脱出する際には、ロックハンドル80を縦軸79周りに回転させた後、脱出用開閉扉を開く。扉部は金属製部材で設けられているので重量があり、子供等では簡単に開くことができないが、この脱出用開閉扉を介して容易に脱出できる。これにより、安全性が担保されるので、人家の近くでも良好に設置できる。
【0049】
図6、図10に示すように、檻本体12には、該扉部14の閉状態を保持するロック装置82が設けられている。ロック装置82は、扉部14の上方側に設けられた複数のロック片84、85と、檻本体12に設けられた下向きコ字形状の受杆86と、を有している。1のロック片である固定ロック片84は、下向きにコ字開口して設けられており、扉部14の上方側から上方に突設された支持脚87に固定支持されている。他のロック片となる可動ロック片85は、一方側をコ字状に開口させつつ他端側にハンドル部85aが設けられており、固定ロック片84に対して面合わせが可能に回動自在に軸支連結されている。図10の二点鎖線に示すように、扉部14の閉鎖時には、固定ロック片84の開口に受杆86の横杆部分が挿通される。必要に応じて、可動ロック片85を固定ロック片側に回転させると、該可動ロック片85コ字状の開口部分が受杆86を下から閉鎖して、扉部の閉状態をロック保持することができる。これにより、例えば、捕獲装置を搬送する際等に、扉部が上下動しないので、安定して搬送できる。
【0050】
次に、本実施形態に係る獣類の捕獲装置10の作用について説明する。例えば、人家や田畑の近く、又は山林に捕獲装置10を搬送して設置する。檻本体12の周壁部のうち隣接2面部分に設けられた扉部14をガイドレール20に沿って上昇させて檻本体を開口させる。この開状態で、係止体32を回動させ、上昇させた扉部の下縁枠を受けさせるように進出させて、該扉部の開状態を保持させる。この際、回転部材38は、付勢装置の付勢力に抗して係止体と連係する索条40の巻き戻し方向に軸30周り回転位置で、連動装置44を介して係止保持されている。同時に、感知部16の重り64は接触体62上に載置されている。檻本体12の空間S内には、閉鎖壁部となる周壁部12bの隅部付近であり、接触体62の垂下位置近傍にえさKを置いておく。このように檻本体12には、連続した隣接2面部分に開口が形成されるので、該連続した開口面積が広く確保できると同時に、えさKを置いた位置から扉部まで距離があり捕獲空間も広く確保できる。これにより、猪等の獣類Wが感じる警戒心は低減され、檻本体内に入りやすいとともに、複数の獣類が同時に檻本体内に入ることができ、その結果効率良く獣類を捕獲することができる。また、装置の小型化、軽量化を実現できる。檻本体内に入った獣類Wが、接触体62に触れると、該接触体62が揺動し、重り64が自重落下する。そして、図8に示すように、重りに連係された索条58を介して、起動装置が傾動され、作動レバー46の係止状態を解除する。付勢装置42の付勢力により、図5に示すように、回転部材38が索条40の巻き込み方向に回転し、該索条40により、係止体32のレバー部材が牽引されて、係止体が扉部の閉状態位置に回動する。扉部は係止体32による係止状態が解除されることにより、ガイドレール20に沿って、自重で落下し檻本体の開口を閉鎖する。このように連続2面の扉部を同時に閉鎖することにより、檻本体内にいる獣類Wを確実に捕獲することができる。
【0051】
なお、図13に示すように、扉部14は、例えば、上端部側を枢支部90で檻本体の天壁部12aと接続し、下端部が揺動自在となるように開閉するように設けても良い。このような態様でも、扉部の下端部側が自由端となる自重閉鎖式の扉部となる。例えば、扉部14を90度以上開いた状態で係止体(図示せず)により開状態を保持し、係止状態を解除すると自重で閉鎖する。また、閉鎖した扉部が檻本体から獣類により開けられないように、閉鎖時に自動で閉状態をロック保持するような閉保持装置を設けておくと好適である。
【0052】
以上説明した本発明の獣類の捕獲装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の獣類の捕獲装置は、例えば、人家や田畑等の近く、山林、或いはその他任意の場所に設置され、田畑等を荒らす害獣の捕獲や実験、研究動物の捕獲等その他広い場面で適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態に係る獣類の捕獲装置の一部省略した斜視図である。
【図2】図1の獣類の捕獲装置の檻本体及び扉部を概略構成で示した斜視図である。
【図3】図2の横断面概略説明図及び作用説明図である。
【図4】図1の獣類の捕獲装置の平面図である。
【図5】図1の状態から同時閉鎖機構を作動させた作用説明図である。
【図6】図3の獣類の捕獲装置の正面図である。
【図7】図4のA−A線断面説明図である。
【図8】図7の状態から同時閉鎖機構を作動させた作用説明図である。
【図9】図4のB−B線断面拡大図及び脱出用開閉扉の作用説明図である。
【図10】図6のC−C線断面の一部省略した拡大図である。
【図11】感知部の他の形態を示す説明図である。
【図12】感知部の他の形態を示す説明図である。
【図13】他の形態の檻本体及び扉部を概略構成で示した斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
10 獣類の捕獲装置
12 檻本体
14 扉部
16 感知部
18 同時閉鎖機構
22 開保持機構
24 機械連係装置
26 係止体
28 機械作動体
30 軸
32 レバー部材
38 回転部材
40 索条
42 付勢装置
44 連動装置
62 接触体
64 重り
68 ソレノイド
72 踏み台
76 脱出用開閉扉


【特許請求の範囲】
【請求項1】
天壁部と周壁部とにより平面視多角形状に外周を囲んで獣類の入る空間を形成する檻本体と、
周壁部のうちの連続する隣接複数面のそれぞれを自在に開閉するように設けられた複数の扉部と、
檻本体の空間内に獣類が入ったか否かを感知する感知部と、
感知部が獣類を感知したときに隣接複数面の各扉部を同時に閉鎖する同時閉鎖機構と、を含むことを特徴とする獣類の捕獲装置。
【請求項2】
同時閉鎖機構は、自重閉鎖式の扉部と、
同時閉鎖するすべての扉部を解除可能に開状態で保持する開保持機構と、を含むことを特徴とする請求項1記載の獣類の捕獲装置。
【請求項3】
開保持機構は、同時閉鎖するすべての扉部と機械的に連係し、感知部による獣類の存在の感知に応動して1つの閉方向動作でそれらのすべての扉部を同時閉鎖させる機械連係装置を有することを特徴とする請求項1又は2記載の獣類の捕獲装置。
【請求項4】
機械連係装置は、それぞれの扉部の開状態と閉状態とに対応して位置を変化させつつ扉部の開状態を係止する複数の係止体と、
すべての係止体に連係しつつ感知部からの感知に応動する1つの作動動作ですべての係止体の係止状態を解除させる1つの機械作動体と、を含むことを特徴とする請求項3記載の獣類の捕獲装置。
【請求項5】
各係止体と機械作動体とは索条によりそれぞれ連結されていることを特徴とする請求項4記載の獣類の捕獲装置。
【請求項6】
係止体は檻本体に取り付けた軸に軸周り回転自在に取り付けられ、軸周り位置が扉部の開状態と閉状態とに対応しており、
さらに、該軸周りに一部が回転自在に支持され、係止体と一体的に回転するレバー部材を有することを特徴とすることを特徴とする請求項4又は5記載の獣類の捕獲装置。
【請求項7】
機械作動体は、索条を巻き込み、巻き戻し方向に回転する回転部材からなることを特徴とする請求項5又は6記載の獣類の捕獲装置。
【請求項8】
開保持機構は、係止体による扉部の閉動作を行なわせるように機械作動体を付勢させる付勢装置と、
付勢装置の付勢力に抗して係止体が扉部を開状態に保持する位置に機械作動体を係止保持し感知部の感知により機械作動体を作動させる連動装置と、を有することを特徴とする請求項4ないし7のいずれかに記載の獣類の捕獲装置。
【請求項9】
扉部は、檻本体に上下スライド移動自在、又は下端部揺動自在としてそれぞれ隣接複数面を開閉するように設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の獣類の捕獲装置。
【請求項10】
感知部は、檻本体内空間に下部側を垂下しつつ揺動自在に支持され、獣類と接触して揺動する接触体と、
接触体の上部に載置されるとともに接触体が揺動した際に落下して同時閉鎖機構を作動させる重りと、を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の獣類の捕獲装置。
【請求項11】
感知部は、檻本体内空間に下部側を垂下しつつ揺動自在に支持され、獣類と接触して揺動する接触体と、
接触体に連係され、同時閉鎖機構を作動させるソレノイドと、を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の獣類の捕獲装置。
【請求項12】
感知部は、獣類が載った際に同時閉鎖機構を作動させる踏み台を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の獣類の捕獲装置。
【請求項13】
檻本体と扉部とは、扉部の閉鎖時に該扉部の下端辺側と地面との間に人間の足が挟まれない程度の間隙を形成するように構成されたことを特徴とする請求項1ないし12のいずれかに記載の獣類の捕獲装置。
【請求項14】
檻本体には、扉部の閉鎖時に檻内の人間が脱出するための脱出用開閉扉が設けられたことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の獣類の捕獲装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−300847(P2007−300847A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132111(P2006−132111)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(506160765)株式会社九州自然環境研究所 (1)
【Fターム(参考)】