説明

玩具銃における電源兼用発光装置

【課題】 発光部を動作させる電力のコストを抑制し、かつ電力を銃本体にも供給可能とする。
【解決手段】 銃本体に装着し、標的に向けて光を発する発光装置として、装置本体19は、発光部26と充電式バッテリーから成る電源部27及び発光を制御する制御部28を内蔵し、銃本体に設けられているオプション取り付け部11に係合して発行部26の光軸を銃本体の発射方向に略一致させた状態で固定手段によって固定する。装置本体19は充電器側の端子31と接続可能な接続端子32を具備しており、接続端子32は、充電式バッテリーから玩具銃へ電力を供給する給電端子を兼ねることができ、また外面に充電器側の端子31を接続可能な雌雄嵌合式に接続端子32を設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃本体に装着し、標的に向けて光を発する発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動ガンと呼ばれる玩具銃があり、この形式の玩具銃は銃本体に内蔵した電池によりモーターを駆動し、弾丸を発射する機構を動作させるものである。このタイプの玩具銃には例えば特開平3−221793号がある。一方、実際の銃には、標的を照射するイルミネーターと称する発光部を備えるものがあり、実際の銃の外形をモデルとする玩具銃にも、これを真似るものがある。
【0003】
例えば登録実用新案第3023912号はエアーガンのフラッシュライト装置に関するものであり、照準を合わせやすく、命中精度の低下を防止できるように、銃本体の内部に電池を内蔵し、モーターを駆動して弾丸を発射可能にするとともに、光軸を銃身の軸心とほぼ平行にしてランプユニットを銃本体に装着する構成を開示している。しかし同号の考案の場合、ランプユニットの電源として銃本体の内蔵電源を使用しているから、点灯が電池の消耗に大きく影響するという問題がある。このため電動ガンに同考案を適用した場合には、点灯によって弾丸発射性能が徐々に低下するという深刻な問題を生ずる。
【0004】
この種の発光装置は、フラッシュライトと呼ばれることが多いことから了解されるように、持続時間の短い強い閃光を発するものである。しかしながら、特に高輝度照射用のランプでは消費電力も大きく、高価なリチウム電池などの使用を余儀なくされ、それでも電池の消耗は早いため、非常にコストがかかるという別の欠点も露わとなる。
【0005】
【特許文献1】特開平3−221793号
【特許文献2】登録実用新案第3023912号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記の点に着目してなされたものであり、その課題は、発光部を動作させる電力のコストを抑制し、かつその電力を銃本体にも供給可能とすることである。また、本発明の他の課題は、電動式の玩具銃に装着することによって、発光機能を備えるとともに、玩具銃の発射機構を駆動するための外部電源、又は他の用途のための予備の外部電源として使用可能な電源兼用発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため本発明は、銃本体に装着し、標的に向けて光を発する発光装置について、装置本体は、発光部と充電式バッテリーから成る電源部及び発光を制御する制御部を内蔵し、銃本体に設けられているオプション取り付け部に係合して発光部の光軸を銃本体の発射方向に略一致させた状態で固定手段によって固定されるという構成を具備するものである。
【0008】
本発明の対象となるのは、あらゆるタイプの玩具銃である。玩具銃の中でも電動式ハンドガンと称するタイプの、電動式発射機構を有するものでは、電動式ハンドガンに元々内蔵されている電源電池の代わりに外部電源を兼ねることが可能になる。それ以外のタイプの玩具銃に使用する場合には、発光機能とともに、予備の外部電源としての機能が具備されることになる。
【0009】
本発明に係る電源兼用発光装置の装置本体は、発光部と、発光部に電力を供給するための電源部と、発光部の発光を制御するための制御部を内蔵する。発光部は、瞬間的な閃光を発するフラッシュライト、持続的にビーム光を発するスポットライト、或いは懐中電灯的な光線を持続的に発光可能なものなどのランプ類、さらにはレーザー光を発するレーザーライト、LED発光体等を使用することができる。電源部には充放電可能なリチウム電池、ニカド電池、ニッケル水素電池などの充電式バッテリーを使用する。これにより、仮に単価が高くても繰り返し使用可能であることにより、ランニングコストが著しく低くなり、また容量も、銃本体の内部構造の制約を受けないので十分に大きく設定することができる。制御部は発光部の種類に応じて変わる余地があり、最も単純なものはオン、オフスイッチであるが、電子回路を装備し発光時間や間隔を制御したり、さらには弾丸の発射に関連させた発光を行わせるというようなことも可能である。
【0010】
装置本体は、固定手段によって銃本体に固定される。固定手段は、発光部の光軸方向を玩具鏡による発射方向に略一致させた係合状態にて装置本体を銃本体に固定するものである。係合には銃本体に設けられているオプション取り付け部を使用するが、このオプション取り付け部は、付属のオプションの取り付けを目的として銃本体に特別に設けられているものと、それ以外の銃本体の形状及び構造を利用し得る。
【0011】
本発明における電源部は充電式バッテリーを使用するものであるから、充電器側の端子若しくはその他の充電端子を接続するための接続端子を具備している。従って、充電器側の端子を接続端子に接続することにより、充電式バッテリーを充電することができる。しかしそれのみならず、接続端子は給電端子を兼ねるものとして、電源部の電力を銃本体へ供給可能な構成を具備している。即ち、発光部を作動させるための電力を用いて、銃本体に備わっている電動機構部を駆動することができる。この実施のためには、銃本体の電動機構部の端子と装置本体の給電端子とを、電気コードその他の通電手段によって、電気的に接続すれば良い。玩具銃が、本発明に係る電源兼用発光装置をオプションに含むシステムを構成している場合、発光機能が備わる上に、内蔵の小容量バッテリーに数倍する発射動作が可能になる。その他の一般的な電動ガンに取り付けた場合には、発光機能と予備の外部電源としての機能が備わる。電動ガン以外に使用する場合には、銃装備用発光装置として使用することができる。なお、充放電可能な充電式バッテリーは、装置本体内に組み込まれているものでも良いし、また交換可能なタイプのものでも良い。
【0012】
このため、装置本体は、充電器側の端子と接続可能な、雌雄嵌合式の接続端子を備えていることが望ましい。なお、本発明に係る電源兼用発光装置は、一見してスポットライトの外形を有することが分かるような形状に形成される必要はなく、例えばグリップやマガジンなどの外形を有するものであっても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上の如く構成されかつ作用するものであるから、発光部を作動させる電力が充電によって得られるためコストを抑制することができ、かつまた本発明に係る電源兼用発光装置を電動式の玩具銃に装着することによって、発光機能を備えるとともに、発射機構を駆動するための外部電源を提供することができるから、電動式の玩具銃に内蔵されている小容量バッテリーの数倍の発射動作が可能になる等、顕著な効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図示の実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。図1は、本発明に係る玩具銃である電動ハンドガン10に適用した電源兼用発光装置20の例示であり、電動ハンドガン10は銃本体の銃身両側下部にオプション取り付け部11、11として溝状の部分12を有する。オプション取り付け部11、11は、上記溝状部分12と隣接する凸状の部分13、14及び溝状部分12の奥の突き当たり壁15から成り、銃身前端側が開いていてそこからオプション部品の取り付けが係合下に行えるようになっている。図1におい
て、16は、電動機構部、17は内蔵バッテリー、18は弾丸供給部を夫々示す。
【0015】
電源兼用発光装置20は、図2ないし図3に詳細に示されているように、オプション取り付け部11、11に係合、固定され、発光部26の光軸方向を銃本体の発射方向と一致させる一対の係合突部21、21′と、その状態で装置本体19を銃本体に固定する固定手段を有している。例示の固定手段は一対の係合突部21、21′の一方(図示の場合21)を内外方向へ開閉可能に設けるとともに、一方の係合突部21の外側にカムレバー22を回転可能に軸支し、カムレバー22の軸支部周囲に形成したカム部23によりカムレバー22の回転位置に応じて、一方の係合突部21をオプション取り付け部11に対して押し付け、或いはオプション取り付け部11に対する押し付けをしない状態を取るように構成されている。図示の例では、一対の係合突部21、21′を貫通するように軸体24を取り付けてその先端部を一方の係合凸部21の外に突き出させ、そこにカムレバー22を支軸25により取り付けた構造を有している。
【0016】
電源兼用発光装置20は、装置本体19に、発光部26と、充電式バッテリーから成る電源部27及び制御部28を内蔵している。例示の発光部26は例えばキセノンランプのような高輝度照射用光源、から成り、同じく電源部27は例えばニカド電池のような充電式バッテリーから成り、制御部28は元の電源をオン、オフするメインスイッチ29と、メインスイッチ投入後に回路を開閉制御するサブスイッチ30とを有している。メインスイッチ29は装置本体側面に配置して、オン又はオフの状態を保持する構造を持ち、サブスイッチ30は装置本体後面に配置して操作中のみオンとなる構造を有している。
【0017】
電源部27の充電式バッテリーは組み込み式のもので、充電器側の端子31と接続可能な接続端子32を、装置本体後面に具備している。なお電源部27には交換可能な充電式バッテリーを適用しても良い。例示の接続端子32は2ピン形のもので、充電器側の雌型端子31と嵌合して電気的に接続状態となり、かつ接続状態を保持するように係止爪33と、その係止相手34とから成る係止手段によっても結合されている。この接続端子32は、充電式バッテリーから玩具銃へ電力を供給する給電端子を兼ねており、玩具銃の電導機構部16から伸びる接続コード35の端子36も充電器側の雌型端子31と同じ構造を有しており、接続端子32と電気的かつ機械的に接続状態となる構成を有する。図1、図2B参照。
【0018】
このように構成されている本発明の電源兼用発光装置20は、図3の1に示されているように、オプション取り付け部11、11の溝状部分12に係合突部21、21′を滑り込ませ(図3の2及び図3の3)、その後カムレバー22を回転操作することにより、外にやや開いている係合突部21を、そのカム部23にて係合突部21、21′を銃本体に押し付け(図3の4)、さらにがたのないように固定する(図3の5)。固定状態では、装置本体側の軸体24が銃本体側の凹部37と嵌合し、前後にも動くことができない状態に位置決めされる。これらの操作によって固定された電源兼用発光装置20は、発光部26の光軸が玩具銃の発射方向に略一致した状態となっている。
【0019】
本発明の電源兼用発光装置20の場合、メインスイッチ29を切ったままでは、サブスイッチ30を操作しても接点38にとどかず(図4A)、導通しないように構成されている。このメインスイッチオフの状態を示すのが図4である。メインスイッチ29を設けることによって、電力の無用な消費を軽減することができる。メインスイッチ29をオンにすると、接点38も移動し(図5A)、サブスイッチ30を操作すると接点38が閉じ(図5B)、発光部26が作動し、光が標的に向けて発せられる。
【0020】
例示の充電式バッテリーから成る電源部27の充電容量は、玩具銃に内蔵されているバッテリー17よりも明らかに大きな容量を持ち、メインスイッチ29をオンとすることによって、いつでも玩具銃の電動機構部16に電力を供給することができる。或いは、メインスイッチ29をオンにしなくても、接続コード35の端子36が装置本体19の接続端子32に接続されていれば、玩具銃の電動機構部16に電力を供給する構成とすることもできる。このため、電動ガンの発射能力を飛躍的に高めることが可能となり、特にハンドガンと呼ばれる小型銃器の場合にその違いは顕著なものとなる。本発明に係る電源兼用発光装置20は、ピストル型ハンドガンのみならず図6に示したより大型の電動ガンなどにも適用することができることは、当然であり、それによって発光機能が備わり、またより大型玩具銃の電動機構部に電力を供給する電源装置として機能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る玩具銃における電源兼用発光装置の1実施例を示す側面図。
【図2】Aは図1のものにおける正面図の要部、Bは図2Aに対する側面図、Cは装置本体の背面図。
【図3】本発明に係る装置を玩具銃に取り付ける手順1〜5を示す正面説明図。
【図4】本発明に係る装置の内部構造を示すもので、Aはメインスイッチオフの状態の縦断面図、Bはサブスイッチオンの状態の縦断面図、Cは図4Aの横断面図。
【図5】Aはメインスイッチオンの状態の縦断面図、Bはサブスイッチオンの状態の縦断面図。
【図6】本発明を適用した他の実施例を示す側面図。
【符号の説明】
【0022】
10 電動ハンドガン
11 オプション取り付け部
12 溝状部分
16 電動機構部
17 内蔵バッテリー
19 装置本体
20 電源兼用発光装置
21、21′ 係合突部
22 カムレバー
24 軸体
26 発光部
27 電源部
28 制御部
29 メインスイッチ
30 サブスイッチ
31 充電器側の端子
32 接続端子
35 接続コード
36 コード35の端子
37 凹部
38 接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銃本体に装着し、標的に向けて光を発する発光装置であって、装置本体は、発光部と充電式バッテリーから成る電源部及び発光を制御する制御部を内蔵し、銃本体に設けられているオプション取り付け部に係合して発光部の光軸を銃本体の発射方向に略一致させた状態で固定手段によって固定されることを特徴とする玩具銃における電源兼用発光装置。
【請求項2】
装置本体は充電器側の端子と接続可能な接続端子を具備しており、接続端子は、上記充電式バッテリーから玩具銃へ電力を供給する給電端子を兼ねている請求項1記載の玩具銃における電源兼用発光装置。
【請求項3】
装置本体は、外面に、充電器側の端子を接続可能な雌雄嵌合式の接続端子を備えている請求項2記載の玩具銃における電源兼用発光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−64319(P2006−64319A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−249194(P2004−249194)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(592153584)株式会社東京マルイ (29)
【Fターム(参考)】