説明

玩具

【課題】植物への水遣りをより楽しめる玩具を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の玩具は、上部に受水口(32)、下部に排水口(33)を有する水槽部(31)と、水槽部内に配置されて貯水量に応じて移動するフロート(34)と、フロートに連結されるロッド(35)と、ロッドの移動を案内する案内部(36,37)と、支持部に回動可能に支持される少なくとも1つの第1の装飾部材(21,22)と、ロッドと第1の装飾部材の一部とを係合し、ロッドの動きに第1の装飾部材を連動させる係合部(38)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給水玩具に関するもので、水を与えることによって生ずる動きを楽しむ玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
植木鉢の植物模型に水をやると当該植物がこれに応じて動くようにした玩具が提案されている。例えば、特許文献1には、植木鉢に水を遣るとタンクから揺動機構に水滴が落下して模型の葉や花が揺動するようにした揺動玩具が開示されている。
【特許文献1】特開2007−20853号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した植木鉢玩具では、太陽電池により葉が揺動するソーラー玩具と同様に模型の葉が揺動を繰り返すだけであり、動作が単調である。また、実際に植物に水遣りを行うわけではない。
よって、本発明は植物への水遣りをより楽しめる玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明の玩具の態様は、上部に受水口、下部に排水口を有する水槽部と、上記水槽部内に配置されて貯水量に応じて移動するフロートと、上記フロートに連結されるロッドと、上記ロッドの移動を案内する案内部と、支持部に回動可能に支持される少なくとも1つの第1の装飾部材と、上記ロッドと上記第1の装飾部材の一部とを係合し、上記ロッドの動きに上記第1の装飾部材を連動させる係合部と、を備える。支持部の位置は、玩具内のロッドと第1の装飾部材との係合位置等に対応して適宜に定められる。
【0005】
かかる構成とすることによって、この玩具に上方から水を与えると、受水口から水槽部に水が溜まり、水槽部の水位が上昇する。これに伴って、水槽部内のフロートが徐々に上昇し、フロートに連結されたロッドが上昇する。ロッドの上昇に伴ってこのロッドに係合した第1の装飾部材が一方向に移動(回動)する。また、排水口からの水の流出によって水槽部内の水位が徐々に低下してフロートが低下する。これに伴って、ロッドが下降して、ロッドに係合した第1の装飾部材が逆方向に移動(回動)する。例えば、第1の装飾部材を複数設けることによって、複数の装飾部材が開閉する動作や、往復する動作、揺れる動作、等を実現することができる。後述のように、第1の装飾部材が、例えば、植物の葉や蕾を模したものであれば、当該玩具は水をかけると葉や蕾が開閉する(あるいは揺らぐ)ように動作する。
【0006】
更に、上記ロッドの一部に第2の装飾部材を設け、これを上記ロッドと共に移動(上下動)させることができる。例えば、第2の装飾部材は植物の花を模したものであり、葉が開くと、開く葉(第1の装飾部材)の中から花茎が外に伸び出すように見せかけることができる。また、葉が閉じると、花茎も縮んで葉の中に収まるように見せることができる。
【0007】
上記排水口は上記受水口よりも十分に小さく形成されることが望ましい。それにより、給水(水遣り)によって受水口から水槽内に水が短時間で溜まり、排水口から徐々に抜けるようになり、比較的に速く葉が開いて、緩やかに葉が閉じる動作が実現される。
【0008】
好ましくは、上記第1の装飾部材が上記支持部に自重によって生ずる回転力(モーメント)を調整する重りを備える。重りで回転力を相殺することによってフロートの浮力が小さくともロッドや各装飾部材を移動することが可能となる。
【0009】
上述したように、例えば、上記第1の装飾部材が植物の葉の模型であり、上記第2の装飾部材が植物の花(花茎)の模型であるが、これに限定されるものではない。
【0010】
好ましくは、上記玩具の水槽部、ロッド部、支持部、係合部は略球形あるいは卵形の筐体内に収納される。水槽下部の排水口から滴下した水は、筐体下部に設けられた孔から外部に排水される。本玩具は略球形あるいは卵形であることによって、植栽された植木鉢等の上に置くことが容易である。
【0011】
それにより、植木鉢の(玩具ではない)実際の植物に水遣りを行うときに、本玩具も散水を受けて動作する。給水玩具の動作を楽しむことが、植物への水遣りを促す結果となり好都合である。
【0012】
好ましくは、水槽部の上部外周囲に水を集めるガイドを設けて散水を効率的に水槽部内に取り込むようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の給水玩具を模擬植物玩具に適用した実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1乃至図4は、本発明の実施の形態を示しており、図1は、水遣り前の玩具の状態を説明する斜視図である。図2は、水遣り後の玩具の状態を説明する斜視図である。図3は、玩具の構造を水遣り前の状態で説明する断面図である。図4は、水遣り後の状態で説明する断面図である。各図において対応する部分には同一符号を付している。
【0015】
図1及び図2に示すように、給水玩具1は、略球型、あるいは卵形の筐体11を有している。その形の大きさは、特に限定されるものではないが、植木鉢に植栽された植物の根本において具合の良い大きさが望ましい。筐体11は、2つの半球形の蓋体を図示しないネジや嵌め合わせによって組み合わせ、略球型、あるいは卵形に構成される。筐体11の下部には3つ又は4つの脚部12が形成され、玩具1の転倒を防止している。また、図示しないが筐体11の下部中央には後述の水槽31からの排水を外部に排出する排水孔が形成されている。
【0016】
筐体11の上部は一部開口しており、当該開口部から第1の装飾部材である2つの葉の模型21及び22が外部に突き出ている。葉の模型21及び22は互いに対向するように配置される。
【0017】
図1に示す状態では、葉の模型21及び22は閉じた状態にある。図2に示す状態では、葉の模型は開いた状態にある。葉の模型が閉じた状態では、葉の模型21及び22で覆われるように、それらの内部に第2の装飾部材である花茎の模型23が位置する。葉の模型21及び22が開いた状態では、花茎の模型23は閉じたときの位置から上昇する。葉の模型21及び22の開放動作及び閉じる動作は玩具1への給水によって発生する。
【0018】
図3及び図4は、葉の模型21と花茎の模型23の動作を説明するものである。両図においては、説明の便宜上、葉の模型21のみが示され、葉の模型22は示されていないが、葉の模型22も葉の模型21と同様の構造であり、同じ動作をする。
【0019】
筐体11の内部には、植木に散水された水を溜める水槽31が配置されている。水層31の上部には複数の受水口32が設けられており、図示しないじょうろや水差し等によって散布された水を水槽31内に流し込む。水槽の下部(底部)中央には排水口33が設けられている。排水口33は、受水口32(例えば、直径1〜2cm)に比べて十分に狭く(例えば、直径1〜3mm)設定されている。それにより、散布された流水を水槽31に素早く取り込むと共に水槽31の水位がゆっくり下がるようになされる。なお、排水口33を水槽の容積の大小に応じて複数設けることができる。
【0020】
水槽31内にはフロート34が配置されている。フロート34にはフロート34を貫通するように、上下方向に延在するロッド35が取り付けられている。ロッド35の下部は、水槽31の底部中央に形成されたガイド穴36内に移動可能に入っている。また、ロッド35のフロート34の上方側は、水槽31上部のガイド穴37を通り、花茎の模型23と結合されている。ロッド35のガイド穴37の上方の位置には、ロッド35と葉の模型21との係合部38が設けられている。係合部38は、ロッド35に設けられたストッパ39と葉の模型21の端部25とを含んでいる。
【0021】
葉の模型21は水槽31の上部に取り付けられたフレーム40に設けられた支持部としての回転軸41に葉の付け根側で回転(移動)可能に支持されている。葉の付け根側には重り24が設けられている。重り24は、回転軸回りに発生する葉の模型21の自重による回転力(モーメント)を調整(減少)し、葉の模型21に時計方向回りの適当な回転力を生じさせている。この回転力によってストッパ39に葉の模型21の端部25が係合する。また、この重り調整によって、フロート34による葉の模型21への所要駆動力が少なくて済むようにして、フロート34の小型化を可能としている。
【0022】
上述した、筐体11、葉の模型21,22、花茎の模型23、水槽31、ロッド35はプラスチック、フロート34は中空のプラスチックや発泡スチロールで構成することができる。また、回転軸41は、金属又はプラスチックで構成することができる。また、これ等以外のものを適宜に使用することが可能である。
【0023】
次に、散水によって水槽31内に貯水された場合を説明する。図4に示されるように、じょうろ等によって植木に散水されると、玩具内にも水が入り、水槽31内に水51が貯水される。それにより、フロート34に浮力が発生する。フロート34は水槽の受水口32が設けられた上部構造に突き当たるまで上昇し、ロッド35も連動してガイド穴36及び37に沿って上昇する。ロッド35の上昇によって花茎の模型23が上昇する。また、ロッド35のストッパ38の停止位置の上昇によって、葉の模型21が回転軸41を中心にして時計回り方向に回動し、葉の模型21が閉じた状態から開いた状態に位置変化する。図4には示していないが、葉の模型22も、同様に開いた状態に位置変化する。
【0024】
その結果、図2に示すように、給水玩具1の葉21及び22が左右に開き、葉の中から花23が伸びながら現れる動作が実現される。
【0025】
次に、植木への水遣りが終了し、あるいは一時的に停止すると、水槽31への水補給は断たれ、水槽31内の水51の水位は狭い排水口33からの排水によって徐々に(緩やかに)減少する。それによって、フロート34及びロッド35は徐々に下降する。ロッド35の下降によって花茎の模型23が徐々に下降する。また、ロッド35の下降によって葉の模型21の端部25はロッド35のストッパ38によって押し下げられ、葉の模型21は回転軸41を中心にして反時計回り方向に回動し、葉の模型21が開いた状態か閉じた状態に緩やかに位置変化する。同様に、葉の模型22も開いた状態から閉じた状態に緩やかに位置変化する。
【0026】
その結果、図1に示すように、給水玩具1の葉21及び22が緩やかに閉じ、葉21及び22の中に花23が隠れる動作が実現される。
【0027】
このように、本発明の実施の形態によれば、給水玩具に水を遣ると、葉が開いて中から花が現れ、そして、葉がゆっくり閉じるように動作するので面白い。そして、植物への水遣りを楽しむことができる。
【0028】
また、本給水玩具を介して植物に給水を行うことにより、水槽の貯水量×葉の開閉回数(水遣り回数)として補水量を概略的に把握することが可能となる。
【0029】
図5は、本発明の他の実施例を示している。同図において、図3及び図4と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明を省略する。
【0030】
この実施例では、係合部38をロッド35に設けられたピン51と、葉の模型21の付け根側の端部に設けられてピン51と係合する長穴52とによって構成している。このような構成によっても、ロッド35が上下動するとピン51が長穴に沿って葉の模型21の端部を押圧し、葉の模型21を開閉するような動作が実現される。
【0031】
なお、上記とは逆に、ロッド35のピン51を葉の模型21の端部の丸穴(図示せず)に通し、回転軸41が長穴内を摺動する(図示せず)ようにしても良い。類似の動きによって葉の模型21を開閉するような動作が実現される。
【0032】
また、この実施例では、水槽31の上部外周縁に水だめガイド53が設けられており、散水がより効率的に水槽に集まるように工夫されている。
【0033】
また、この実施例では、水槽31の底部に排水口33が複数設けられており、複数回の水遣り対応してより短周期で葉の開閉が楽しめるようになっている。
【0034】
また、葉が閉じた状態から開いた状態になったときに、一旦水遣りを止め、葉が閉じたときに再度水遣りを行うようにすれば、葉の開閉回数と給水量((水槽の容積−フロートの体積)×水遣り回数)が概略比例する関係にあるので植物への給水量の目安とすることが可能である。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、植物への水遣り等の際に葉等が開き、花が咲く(現れる)ような動作をするので、水遣りを楽しむことができる。また、葉の開閉回数を目安として本玩具を介して植物への水遣りを行うことによって給水量の概略を知ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例(閉じた状態)を説明する斜視図である。
【図2】本発明の実施例(開いた状態)を説明する斜視図である。
【図3】本発明の実施例の閉じた状態を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施例の開いた状態を説明する断面図である。
【図5】本発明の他の実施例を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 給水玩具、11 筐体、12 脚部、21,22 葉の模型、23 花茎の模型、24 重り、31 水槽、32 受水口32、33 排水口、34 フロート、35 ロッド、36,37 ガイド穴、38 係合部、39 ストッパ、41 回転軸、53 水だめガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に受水口、下部に排水口を有する水槽部と、
前記水槽部内に配置されて貯水量に応じて移動するフロートと、
前記フロートに連結されるロッドと、
前記ロッドの移動を案内する案内部と、
支持部に回動可能に支持される少なくとも1つの第1の装飾部材と、
前記ロッドと前記第1の装飾部材の一部とを係合し、前記ロッドの動きに前記第1の装飾部材を連動させる係合部と、
を備える玩具。
【請求項2】
前記ロッドの一部に設けられて前記ロッドと共に移動する第2の装飾部材を更に備える請求項1に記載の玩具。
【請求項3】
前記排水口が前記受水口よりも小さく形成されている、請求項1又は2に記載の玩具。
【請求項4】
前記第1の装飾部材が前記支持部における自重によって生ずる回転力を調整する重りを備える請求項1乃至3のいずれかに記載の玩具。
【請求項5】
前記第1の装飾部材が植物の葉の模型であり、前記第2の装飾部材が植物の花の模型である、請求項2乃至4のいずれかに記載の玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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