説明

珪素酸化物含有乾燥ゲルの充填方法

【課題】液体処理容器内の圧損を増加させずに液体をフィードできるといった優れた特徴を有する珪素酸化物含有乾燥ゲルの充填方法を提供する。”乾燥ゲル”とは、減圧、昇温または送風等の乾燥操作により液体を除去したゲルを意味し、また“湿潤ゲル”とは乾燥操作が施されておらず液体を保有しているゲルを意味する。また、珪素酸化物含有ゲルとは珪素酸化物含有乾燥ゲルおよび珪素酸化物含有湿潤ゲルを表す。
【解決手段】珪素酸化物含有乾燥ゲルを予めゲルを膨張せしめる液体で膨張させた後に液体処理容器に充填する、もしくは予めゲルを膨張せしめる液体を入れた液体処理容器に珪素酸化物含有乾燥ゲルを充填する珪素酸化物含有乾燥ゲルの充填方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、珪素酸化物含有乾燥ゲルの充填方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、珪素酸化物含有乾燥ゲルを予めゲルを膨張せしめる液体で膨張させた後に液体処理容器に充填する、もしくは予めゲルを膨張せしめる液体を入れた液体処理容器に珪素酸化物含有乾燥ゲルを充填する方法であって、液体処理容器内の圧損を増加させずに液体をフィードできるといった優れた特徴を有する珪素酸化物含有乾燥ゲルの充填方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
珪素酸化物含有ゲルは固体触媒、ガスクロマトグラフィーカラム充填剤などの気体を処理する用途において有用であるが、液相中で使用される場合には乾燥状態のゲルが溶媒を吸収し体積膨張が起こる場合がある。膨張する性質を有する珪素酸化物含有乾燥ゲルの充填方法は、我々の知る限りにおいてこれまでに例が無い。(特許文献1参照。)
【特許文献1】国際公開第2005/028101A1パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる現状において、本発明が解決しようとする課題は、珪素酸化物含有乾燥ゲルを予めゲルを膨張せしめる液体で膨張させた後に液体処理容器に充填する、もしくは予めゲルを膨張せしめる液体を入れた液体処理容器に珪素酸化物含有乾燥ゲルを充填する方法であって、液体処理容器内の圧損を増加させずに液体をフィードできるといった優れた特徴を有する珪素酸化物含有乾燥ゲルの充填方法を提供する点に存するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明は、珪素酸化物含有乾燥ゲルを予めゲルを膨張せしめる液体で膨張させた後に液体処理容器に充填する、もしくは予めゲルを膨張せしめる液体を入れた液体処理容器に珪素酸化物含有乾燥ゲルを充填する珪素酸化物含有乾燥ゲルの充填方法に係るものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、珪素酸化物含有乾燥ゲルを予めゲルを膨張せしめる液体で膨張させた後に液体処理容器に充填する、もしくは予めゲルを膨張せしめる液体を入れた液体処理容器に珪素酸化物含有乾燥ゲルを充填する方法であって、液体処理容器内の圧損を増加させずに液体をフィードできるといった優れた特徴を有する珪素酸化物含有乾燥ゲルの充填方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下の説明で用いられる表現の”乾燥ゲル”とは、減圧、昇温または送風等の乾燥操作により液体を除去したゲルを意味し、また“湿潤ゲル”とは乾燥操作が施されておらず液体を保有しているゲルを意味する。また、珪素酸化物含有ゲルとは珪素酸化物含有乾燥ゲルおよび珪素酸化物含有湿潤ゲルを表す。
【0007】
本発明で用いられる珪素酸化物含有乾燥ゲルは、ゲルを膨張せしめる液体を吸収することで体積が1.1倍以上に膨張する珪素酸化物含有乾燥ゲルであり、好ましくは液相中、式(I)で表される反応によって調製された珪素酸化物含有乾燥ゲルであり、さらに好ましくは珪素酸化物含有ゲルをさらにシリル化して得られたシリル化珪素酸化物含有乾燥ゲルである。
(L1)n(L2)o(L3)p(L4)q(L5)rM-X + (L6)s(L7)t(L8)u(L9)v(L10)wM-OR
→ (L1)n(L2)o(L3)p(L4)q(L5)rM-O-M(L6)s(L7)t(L8)u(L9)v(L10)w + RX (I)
(ここで、Mは珪素単独または珪素と3族から14族の元素からなる2種類以上の元素を表し、Xはハロゲノ基またはカルボキシレート基を表し、Rは水素または炭化水素基を表し、L1〜L10はアルコキシ基、ハロゲノ基、カルボキシレート基、水素または炭化水素基のうちのいずれかを表し、n、o、p、q、r、s、t、u、vおよびwは0から5の整数を表し、n+o+p+q+rおよびs+t+u+v+wはそれぞれ1以上である。)
シリル化を行うことでゲルの化学的な安定性を向上させることができる。
【0008】
ゲルを膨張せしめる液体は、珪素−酸素結合および珪素−炭素結合に対して浸漬条件下で不活性であれば良く、例として水、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、ハイドロパーオキサイド、ケトン、エポキサイド、アルデヒド、アミン、アミドおよびそれらの混合物が挙げられ、好ましくは液体処理容器に連続供給して処理される液体に含まれる成分そのもの、または液体処理容器での処理前後に含まれる成分を含有した液体である。ゲルを膨張せしめる液体と液体処理容器に連続供給して処理される液体が異なる場合は、珪素酸化物含有湿潤ゲルの体積が変化する場合があり、液体処理容器内に圧損が生じるか、もしくは体積効率が低下するといった問題がある。
【0009】
液体処理容器に連続供給して処理される液体は、使用条件で珪素−酸素結合および珪素−炭素結合に対して不活性であれば良い。例として、水、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、ハイドロパーオキサイド、ケトン、エポキサイド、アルデヒド、アミン、アミドおよびそれらの混合物が挙げられる。また、それらは酸、金属イオン、アンモニアおよびアミノ酸を含んでいても良い。
【0010】
液体処理容器は、液体処理容器に連続供給して処理される液体を連続供給できるような、液体の出入り口を有していれば良く、例として円筒状またはらせん状に管が巻かれた金属、ガラスおよび樹脂製容器等が挙げられる。好ましくは取り扱いの容易さから円筒状の容器である。
【0011】
本発明の珪素酸化物含有ゲルの調製方法を以下に示す。
【0012】
まず、液相中、式(I)で表される縮合反応によって珪素酸化物含有ゲルを得る。式(I)における原料は下記式(1)および(2)である。
(L1)n(L2)o(L3)p(L4)q(L5)rM-X (1)
(L6)s(L7)t(L8)u(L9)v(L10)wM-OR (2)
(ここで、Mは珪素単独または珪素と3族から14族の元素からなる2種類以上の元素を表し、Xはハロゲノ基またはカルボキシレート基を表し、Rは水素または炭化水素基を表し、L1〜L10はアルコキシ基、ハロゲノ基、カルボキシレート基、水素または炭化水素基のうちのいずれかを表し、n、o、p、q、r、s、t、u、vおよびwは0から5の整数を表し、n+o+p+q+rおよびs+t+u+v+wはそれぞれ1以上である。)
【0013】
Xの例としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲノ基やアセテート基等のカルボキシレート基があげられるが、なかでも塩素が好ましい。
【0014】
Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等の炭化水素基(酸素や窒素等のヘテロ原子を含んでもよい)をあげることができるが、ゲル化速度の観点からイソプロピル基が好ましい。
【0015】
1〜L10の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アセテート基、シクロペンタジエニル基等の炭素数1〜18の炭化水素基(酸素、窒素およびフッ素等のヘテロ原子を含んでもよい)をあげることができる。
【0016】
Mの例としては、アルミニウム、イットリウム、チタン、ニオビウム、バナジウム、ジルコニウム、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム等の3族から14族の元素が挙げられる。
【0017】
式(1)の具体的な化合物としては、四塩化珪素、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、塩化アルミニウム、塩化イットリウム、四塩化チタン、シクロペンタジエニルチタニウムクロライド、塩化ニオビウム、塩化バナジウム、塩化ジルコニウム、ジルコニウムブトキサイド、塩化クロム、塩化モリブデン、塩化タングステン、塩化マンガン、塩化鉄、酢酸鉄、塩化ルテニウム、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銅、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、塩化ガリウム、塩化ゲルマニウム等を例示することができる。
【0018】
上記化合物の中でも、ゲルの化学的安定性を向上させるという観点からテトラハロゲノシランを使用してゲルを調製することが好ましい。
【0019】
式(2)の具体的な化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポシキシラン、テトラブトキシシラン、、アルミニウムイソプロポキサイド、チタンエトキサイド、チタンイソプロポキサイド、チタンメトキサイド、チタンブトキサイド等を例示することができる。
上記化合物の中でも、ゲルの化学的安定性を向上させるという観点からテトラアルコシキシランを使用してゲルを調製することが好ましい。
【0020】
珪素酸化物含有ゲルの調製には式(1)および式(2)の化合物をそれぞれ1種類以上混合して用いる。
【0021】
珪素酸化物含有ゲルの調製では溶媒を用いてもよいし、用いなくてもよい。溶媒は水を含んでいても含んでいなくても良いが、水が過剰に含まれる場合は縮合反応速度が加速され、得られる湿潤ゲルの均一性を低下させることがあるため、溶媒には水が含まれていない方が好ましい。
【0022】
溶媒の具体例はアルコール、エーテルや炭化水素、ハロゲン化炭化水素などがあげられる。またそれらは混合物として用いることもできる。加えた溶媒が上記の原料と反応しても構わない。
【0023】
ゲル調製時に1〜3級のアミンや4級アンモニウムイオン、界面活性剤などの構造規定剤(型剤)を別途追加してもよいし、用いなくてもよい。
【0024】
ゲル調製温度は通常−30〜200℃であるが、加熱を行った方が縮合反応が促進される。加熱する場合は、原料および溶媒の気化を避けるために耐圧容器に移して密閉して行うのが好ましい。
【0025】
上記の方法によって得られた湿潤ゲルは式(I)記載のRXおよび/または溶媒を含むので乾燥によってそれらを除去し、珪素酸化物含有乾燥ゲルを得る。乾燥は減圧条件下あるいは窒素等のガス流通下、0〜200℃で実施できる。
【0026】
本発明では珪素酸化物含有ゲルの安定性を高める観点から、縮合反応で得られた珪素酸化物含有ゲルにシリル化処理を施すことが好ましい。
【0027】
シリル化処理は、珪素酸化物含有ゲルをシリル化剤と接触させることにより行われる。シリル化は湿潤ゲルおよび乾燥ゲルについて実施できるが、シリル化の効率の点で乾燥ゲルに実施することが好ましい。
【0028】
シリル化剤は、有機ハロゲノシラン、有機シリルアミン、有機シリルアミドとその誘導体、及び有機シラザン等を使用することができる。具体的にはクロロトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン等があげられる。シリル化処理は気相で行ってもよいし液相でおこなってもよい。また溶媒を用いても良いし用いなくてもよい。
【0029】
液相でシリル化を実施した場合は、乾燥により珪素酸化物含有乾燥ゲルを得るが、乾燥は減圧下あるいは窒素等のガス流通下、0〜200℃で実施できる。
【0030】
かくして、本発明に用いられる珪素酸化物含有乾燥ゲルを得ることができる。
【0031】
以下に、珪素酸化物含有乾燥ゲルを予めゲルを膨張せしめる液体で膨張させた後に液体処理容器に充填する珪素酸化物含有乾燥ゲルの液体処理容器への充填方法を説明する。
【0032】
珪素酸化物含有乾燥ゲルを膨張させる方法は該ゲルとゲルを膨張せしめる液体を接触させれば良く、接触させる時間および温度の組み合わせは特に限定されないが、湿潤ゲルのかさ体積が乾燥ゲルの1.1倍以上になる時間および温度の組み合わせが好ましく、さらに好ましくは湿潤ゲルが膨張し到達する最大体積の90%以上となる時間および温度の組み合わせである。ゲルの膨張が不完全であると充填後にさらに膨張し、許容できない程度の圧損が生ずる。
【0033】
予めゲルを膨張せしめる液体を入れた液体処理容器に珪素酸化物含有乾燥ゲルを充填する場合は、ゲルを膨張せしめる液体を予め液体処理容器に供給し、次いで珪素酸化物含有乾燥ゲルを供給する。珪素酸化物含有乾燥ゲルの供給は予定量を一度に行っても良いし、膨張の度合いを確認しながら数回に分割して供給しても良い。また、2回目以降の珪素酸化物含有乾燥ゲルの供給前にゲルを膨張せしめる液体を追加供給しても良い。
【0034】
該珪素酸化物含有乾燥ゲルは液体処理容器へ充填後に液体処理に用いられるが、液体処理の例としては、液相触媒反応、液相分離、吸着除去が挙げられる。
【0035】
液体処理の例として、オレフィン化合物とハイドロパーオキサイドを反応させるオキシラン化合物の製造方法について以下に説明する。
【0036】
オレフィン化合物は、非環状化合物または環状化合物であってよく、モノオレフィン、ジオレフィン又はポリオレフィンであってよい。オレフィン結合が2以上ある場合には、これは共役結合又は非共役結合であってよい。炭素原子2〜60個のオレフィン化合物が一般に好ましい。オレフィン化合物は置換基を有していてもよいが、置換基は比較的安定な基であることが好ましい。置換基の例としてはハロゲン原子があげられ、更にまた、酸素、硫黄、窒素原子を、水素及び/又は炭素原子と共に含有する種々の置換基が存在してもよい。このようなオレフィン化合物の例にはエチレン、プロピレン、ブテン−1、イソブチレン、ヘキセン−1、ヘキセン−2、ヘキセン−3、オクテン−1、デセン−1、スチレン、シクロヘキセン、ブタジエン、イソプレン、アリルアルコール、クロチルアルコール、塩化アリルが挙げられるが、プロピレンが好ましい。
【0037】
オレフィン化合物との反応に用いられるハイドロパーオキサイド類としては有機ハイドロパーオキサイドおよび過酸化水素をあげることができるが、有機ハイドロパーオキサイドが好ましい。
【0038】
有機ハイドロパーオキサイドとしてはクメンハイドロパーオキサイド、エチルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等を例示することができる。
【0039】
原料物質として使用される有機ハイドロパーオキサイド及び過酸化水素は、希薄又は濃厚な精製物又は非精製物であってよい。
【0040】
本反応は、溶媒の存在下あるいは非存在下に液相中で実施できる。溶媒は反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ反応体及び生成物に対して実質的に不活性なものが好ましい。溶媒は使用されるハイドロパーオキサイド溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たとえばクメンハイドロパーオキサイドがクメンハイドロパーオキサイドとその原料であるクメンとからなる混合物である場合には、特に溶媒を添加することなく、これを溶媒の代用とすることも可能である。
【0041】
エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、反応混合物を液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。一般に圧力は100〜10000kPaであることが有利である。
【0042】
本発明の方法は、スラリー、固定床の形で行うことができる。本反応は、回分法、半連続法又は連続法によって実施できるが、液体処理容器の体積効率を有効に利用する観点からは固定床による連続法が好ましい。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1
【0044】
珪素酸化物含有ゲルの調製
珪素酸化物含有ゲルを以下の手順で得た。
4.0gの四塩化珪素、6.7gのテトライソプロポキシ珪素、1.3gのテトライソプロポキシチタニウム、2.7gのトリメチルシリルクロライドおよび33.5gのジクロロメタンを窒素雰囲気下で混合し、耐圧製のテフロン(登録商標)容器に封入後、110℃で219時間加熱することにより調製直後の珪素酸化物含有湿潤ゲルを得た。さらに150℃で4時間、10mmHgの減圧下で乾燥し、珪素酸化物含有乾燥ゲルを得た。
【0045】
シリル化
得られた珪素酸化物含有乾燥ゲルの重量に対してヘキサメチルジシラザンを0.67倍量およびトルエンを10倍量、珪素酸化物含有乾燥ゲルに添加し、110℃で1.5時間加熱した。デカンテーションにてシリル化後の反応液を除いた後に110℃で1.5時間減圧乾燥することによりシリル化珪素酸化物含有乾燥ゲルを得た。
【0046】
かさ体積測定
珪素酸化物含有乾燥ゲルのかさ体積の測定は0.5〜1.0mmにサイズを揃えた後、メスシリンダーで測定した。
珪素酸化物含有湿潤ゲルの体積の測定は、0.5〜1.0mmにサイズを揃えた珪素酸化物含有乾燥ゲルをゲルを膨張せしめる液体に室温で30分間浸漬させ、ろ過によって回収した珪素酸化物含有湿潤ゲルをメスシリンダーで測定した。
【0047】
液体処理容器への充填
珪素酸化物含有乾燥ゲルを粉砕し、0.5mmから1.0mmの間のサイズに分級し回収した。分級後回収したシリル化珪素酸化物含有乾燥ゲル(かさ体積1.3ml)を液体(クミルアルコール;25wt%、プロピレンオキサイド;7wt%およびクメン;68wt%)に室温で30分浸漬することにより膨張させた。ろ過によりゲルを膨張せしめる液体を除去したところかさ体積は2.5mlとなり、シリル化珪素酸化物含有乾燥ゲルはゲルを膨張せしめる液体を吸収することにより1.9倍の体積に膨張した。得られたシリル化珪素酸化物含有湿潤ゲルを内径8mmの円筒状ステンレス製リアクターに充填した。
【0048】
プロピレンのエポキシ化反応
シリル化珪素酸化物含有湿潤ゲルを充填した円筒状ステンレス製リアクターにプロピレンの連続フィードを開始し、それに追加してクメンハイドロパーオキサイドのクメン溶液を連続フィードし、プロピレンオキサドの合成を行った。この時液フィードによる円筒状ステンレス製リアクターに圧損は観測されなかった。
【0049】
比較例1
事前にゲルを膨張せしめる液体に浸漬して膨張さないこと以外は実施例1と同様に、内径8mmの円筒状ステンレス製リアクターにシリル化珪素酸化物含有乾燥ゲルを充填した。シリル化珪素酸化物含有乾燥ゲルを充填した円筒状ステンレス製リアクターにプロピレンの連続フィードを開始し、それに追加してクメンハイドロパーオキサイドのクメン溶液の連続フィードを試みたが、円筒状ステンレス製リアクターに圧損が生じ、フィードできなかった。円筒状ステンレス製リアクターからシリル化珪素酸化物含有ゲルを回収したところ、液入り口側のゲルが粉化し円筒状ステンレス製リアクター入り口を閉塞させていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
珪素酸化物含有乾燥ゲルを液体処理容器に充填する方法であって、該珪素酸化物含有乾燥ゲルを予めゲルを膨張せしめる液体で膨張させた後に液体処理容器に充填する珪素酸化物含有乾燥ゲルの液体処理容器への充填方法。
【請求項2】
珪素酸化物含有乾燥ゲルを液体処理容器に充填する方法であって、予めゲルを膨張せしめる液体を入れた液体処理容器に珪素酸化物含有乾燥ゲルを充填する珪素酸化物含有乾燥ゲルの液体処理容器への充填方法。
【請求項3】
珪素酸化物含有乾燥ゲルが、液相中、下記式(I)で表される反応によって調製されたものである請求項1又は請求項2記載の充填方法。
(L1)n(L2)o(L3)p(L4)q(L5)rM-X + (L6)s(L7)t(L8)u(L9)v(L10)wM-OR
→ (L1)n(L2)o(L3)p(L4)q(L5)rM-O-M(L6)s(L7)t(L8)u(L9)v(L10)w + RX (I)
(ここで、Mは珪素単独または珪素と3族から14族の元素からなる2種類以上の元素を表し、Xはハロゲノ基またはカルボキシレート基を表し、Rは水素または炭化水素基を表し、L1〜L10はアルコキシ基、ハロゲノ基、カルボキシレート基、水素または炭化水素基のうちのいずれかを表し、n、o、p、q、r、s、t、u、vおよびwは0から5の整数を表し、n+o+p+q+rおよびs+t+u+v+wはそれぞれ1以上である。)

【公開番号】特開2008−290909(P2008−290909A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137634(P2007−137634)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】