説明

現像装置及び現像方法

【課題】回転しているウエハWの表面に現像液を吐出して現像を行うにあたって、ウエハWの表面の撥水性が大きくてもウエハWの表面全体に亘って現像液の液膜を形成させ、現像欠陥を低減すること。
【解決手段】スピンチャック11に保持されたウエハWを回転させた状態で、現像液ノズル30をウエハWの周縁部上方から中心部上方へ移動させながら当該現像液ノズル30よりウエハWへ現像液の吐出を行う。そして、現像液ノズル30がウエハWの中心部上方に配置されたときにウエハWの回転数を例えば100rpmの低速回転として、ウエハWの中央部に現像液の液溜まりを形成する。その後、ウエハの回転数を例えば2000rpm程度の高速回転として、瞬時に現像液の液溜まりをウエハWの表面全体へ広げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジスト液が塗布され、露光処理された後の基板に対して、現像処理を行う現像方法及び現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面にレジストを塗布し、このレジストを所定のパターンで露光した後に、現像してレジストパターンを形成している。このような処理は、一般にレジストの塗布・現像を行う塗布・現像装置に、露光装置を接続したシステムを用いて行われる。
【0003】
ところで、現像処理の手法には基板保持部であるスピンチャックにウエハを保持させ、当該ウエハを鉛直軸回りに回転させると共に現像液ノズルをウエハの周縁部より中心部へ移動させながら、現像液ノズルより現像液を吐出して現像処理を行う手法がある(特許文献1参照)。前記手法について図11を用いて具体的に説明すると、先ずウエハの回転数を例えば1000rpmとして前処理液を塗布し(時刻t)、ウエハの表面の濡れ性を高め、後に塗布する現像液が広がり易い環境を整える(プリウェット工程)。次に、ウエハの周縁部から中心部へ現像液ノズルを移動させながら現像液を吐出し(時刻t)、回転しているウエハの遠心力により現像液を螺旋状に広げ、ウエハの表面に現像液の液膜を形成する。このときウエハの回転数は例えば1000rpmである。その後、現像液の吐出を停止し(時刻t)、ウエハの回転数を例えば50rpmまで減速することにより現像液をウエハの表面に保持し、現像処理を行う。そして、現像処理後にウエハへ洗浄液を供給して現像液を洗い流し、スピン乾燥を行う。
【0004】
一方、露光機においては、露光の解像度を上げるために例えば純水の液膜をウエハの表面に形成した状態で露光する液浸露光を行うものが知られている。この液浸露光では露光機液浸部(レンズ先端)のスキャンの追随性を高めて従来の露光装置と同等のスループットを確保するために露光処理するウエハの表面に撥水性の高い例えば水の接触角が80〜85度程度の保護膜を形成したり、また保護膜を形成せずに撥水性の高い例えば水の接触角が85度以上のレジストを用いてレジスト膜の形成を行うことが検討されている。なお、接触角とは水滴がウエハの表面に付着しているときに水滴の断面における水滴の外縁を形成する円弧について、基板の表面における接線と当該表面とのなす角度のことである。
【0005】
前述の現像手法においては、図12(a)に示すようにウエハWの中心位置に吐出された現像液Dは遠心力により広がっていくが、ウエハWの周縁に向かう程、液膜が薄くなるのでウエハWの表面の撥水性が高いと均一に広がりにくくなり、図12(b)に示すようにウエハの周縁付近にて現像液Dの液膜が形成されない露出部位Bが生じてしまう場合がある。また、仮にウエハの表面の全体に現像液Dの液膜が形成されたとしても、洗浄工程に移るまでの間に表面張力により液膜が破れてしまうおそれもある。この結果、液膜が形成されずに表面が露出する部位Bがあることによって現像欠陥が発生しやすいという課題がある。また、ウエハWの表面の撥水性が大きいと現像液Dをウエハへ吐出したときに、吐出された現像液Dがウエハの表面より跳ね返って、現像液ノズルの汚れの要因となり、また現像装置内部のパーティクルの原因となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−210059
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情の下に基づいてなされたものであり、回転している基板の表面に現像液を塗布するにあたって、基板の表面の撥水性が大きくても基板の表面全体に亘って現像液の液膜を形成することができ、現像欠陥を低減することができる現像方法及び現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る現像方法は、
基板保持部に保持された基板を回転させながら現像液ノズルから当該基板に現像液を吐出する現像方法において、
前記基板を第1の回転数で回転させながら、前記現像液の吐出位置が基板の周縁部から中心部へ移動するように現像液ノズルを操作する工程と、
次いで前記現像液が基板の中心部に吐出されている状態で、少なくとも基板の中心部に液溜まりを形成するために基板の回転数を前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で回転させる工程と、
その後、基板を前記第2の回転数より高い第3の回転数で回転させて、現像液を基板の表面に広げる工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る現像方法は以下の構成を取っても良い。
前記基板はその表面の水の接触角が85度以上である構成。
前記第1の回転数は500〜1500rpmである構成。
前記第2の回転数は50〜500rpmである構成。
前記第3の回転数は1000〜2500rpmである構成。
【0010】
また本発明に係る現像装置は、
基板保持部に保持された基板を回転させながら現像液ノズルから当該基板に現像液を吐出する現像装置において、
基板を保持する基板保持部と、
この基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転駆動部と、
前記基板保持部に保持された基板へ現像液を塗布する現像液ノズルと、
この現像液ノズルを操作する操作機構と、
前記基板を第1の回転数で回転させながら、前記現像液の吐出位置が基板の周縁部から中心部へ移動するように現像液ノズルを操作するステップと、
次いで前記現像液が基板の中心部に吐出されている状態で、少なくとも基板の中心部に液溜まりを形成するために基板の回転数を前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で回転させるステップと、
その後、基板を前記第2の回転数より高い第3の回転数で回転させて、現像液を基板の表面に広げるステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現像液ノズルから基板の中心部に現像液を供給するときには基板の回転数を低くし、これにより少なくとも基板の中央部に液溜まりが形成され、その後基板の回転数を高くしている。このため少なくとも中央部に溜められた液が高速回転により広がるので液膜が厚い状態で周縁部へ向かうことから、基板の表面の撥水性が高くても均一に広がりやすくなり、現像欠陥の発生を抑制することができる。また、高速回転にしたときに十分に均一に広がることができる程度の液溜まりを低速回転で形成した後、そのまま低速回転で液を周縁部まで広げずに高速回転に移行すれば、スループットの低下を極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係る現像装置の縦断面図である。
【図2】前記現像装置の平面図である。
【図3】前記現像装置に用いられる現像液ノズルの斜視図である。
【図4】前記現像装置を制御する制御部の模式図である。
【図5】ウエハの回転数と現像液の供給のタイミングを説明する説明図である。
【図6】現像液ノズルが移動する様子を模式的に示した模式図である。
【図7】ウエハへ現像液が供給される様子を模式的に示した模式図である。
【図8】本発明の実施形態に係る現像装置が組み込まれた塗布・現像装置を示す平面図である。
【図9】前記塗布・現像装置の斜視図である。
【図10】前記塗布・現像装置の縦断面図である。
【図11】ウエハの回転数と関連付けた従来の現像液の供給レシピである。
【図12】従来の現像液の供給レシピに基づくウエハが現像液に被膜される様子を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る現像方法の実施の形態を説明する。図1及び図2はこの実施形態を実施するための現像装置を示す図であり、この現像装置は中央に基板例えばウエハWを吸着保持する基板保持部であるスピンチャック11を有している。このスピンチャック11は回転軸12を介して下方に設けられた例えばモータである回転駆動部13に接続されており、ウエハWを保持した状態で鉛直軸回りに回転することができ、また昇降することが可能である。また、現像装置には、スピンチャック11に保持されたウエハWを取り囲むようにカップ体20が設けられている。このカップ体20は、外カップ21と内カップ22とから成り、カップ体20の上方側は開口している。前記外カップ21は上部側が四角形状であり、下部側が円筒状である。また、外カップ21の下端部には段部23が形成されている。さらに、前記外カップ21は下方に設けられた昇降部24により昇降することが可能である。前記内カップ22は円筒状であり、上部側が内側に傾斜している。また、内カップ22は、その下端面が前記外カップ21の昇降時に段部23と当接することによって上方へ押し上げられる。
【0014】
またスピンチャック11に保持されたウエハWの下方側には円形板25が設けられており、この円形板25の外側には縦断面形状が山形のガイド部材26が設けられている。前記ガイド部材26はウエハWよりこぼれ落ちた現像液や洗浄液を後述する液受け部27へ導くためのものである。また円形板25の外側には縦断面が凹部上に形成された液受け部27が全周に亘って設けられている。この液受け部27の底面には、下方より廃液管28が接続されている。また図示していないが廃液管28は廃液タンクに接続され、その途中には気液分離器が設けられ、排気と廃液の分離が行われる。また、図示していないが現像装置には円形板25を下方より貫通する例えば3本の昇降ピンが設けられており、この昇降ピンは図示しない基板搬送アームとの協働作用によってウエハWをスピンチャック11に受け渡すことが可能である。
【0015】
また、現像装置にはスピンチャック11に保持されたウエハWの上方側に、現像液ノズル30及び洗浄液ノズル40が設けられている。前記現像液ノズル30には、図3に示すようにその下端面に例えば長さL1が8〜15mm、幅L2が0.1〜1mmである帯状の吐出口30aが設けられている。
【0016】
現像液ノズル30は現像液供給管31を介して現像液供給源32や液供給制御機器(バルブ、ポンプ等)を含む現像液供給系54に接続されている。また、図2に示すように現像液ノズル30は支持部材であるノズルアーム33の一端に支持されており、このノズルアーム33の他端は図示しない昇降機構を介して移動基体34に接続されている。この移動基体34は、X方向に伸びるガイドレール35沿って移動することが可能である。また、図中36は現像液ノズル30の待機部であり、この待機部36にて現像液ノズル30の先端部の洗浄等が行われる。
【0017】
前記洗浄液ノズル40はウエハWへ洗浄液例えば純水を吐出するためのノズルであり、洗浄液供給管41を介して洗浄液供給源42や洗浄液供給制御機器(バルブ、ポンプ等)を含む洗浄液供給系55に接続されている。また、図2に示すように、洗浄液ノズル40はノズルアーム43の一端に支持されて図示しない昇降機構を介して移動基体44と接続されており、この移動基体44はガイドレール35に沿ってX方向に移動可能である。図中45は洗浄液ノズル40の待機部である。
【0018】
図4は現像装置の各部を制御するための制御部50を示し、この制御部50は例えばCPU51、プログラム格納部52に格納されたプログラム52a、データバス53などから構成されるコンピュータである。前記プログラム52aはプロセスレシピに基づいて回転駆動部13、現像液供給系54、洗浄液供給系55及びノズル駆動系56を制御する。
【0019】
次に、上述の現像装置を用いてウエハWを現像する方法を説明する。現像装置に搬入されるウエハWには、塗布装置にてその表面に撥水性の高い例えば水の静的接触角が85度以上のレジストが塗布され、露光装置にて液浸露光が施されている。先ず、現像装置の外カップ21及び内カップ22が下方へ位置している状態にて、図示しない搬送アームにより現像装置内にウエハWを搬送する。このウエハWを搬送アームと昇降ピンとの協働作用によってスピンチャック11に載置され、吸着保持される。
【0020】
続いて、ウエハWを第1の回転数で回転させながら、現像液の吐出位置が当該ウエハWの周縁部から中心部へ移動するように現像液ノズル30を操作する工程を説明する。図5に示すようにウエハWを第1の回転数例えば500rpmで回転させ、現像液ノズル30をその吐出口30aの長さ方向がウエハWの中央部と周縁部を結ぶラインに一致するように、例えばウエハWの半径方向と一致するように、当該ウエハWの周縁部の上方に配置し(図6参照)、ウエハWへ現像液を吐出する(図5の時刻t)。吐出された現像液はウエハWの回転による遠心力によって展伸される。この現像液を吐出している状態のまま現像液ノズル30をウエハWの中心部の上方へ移動させる(図6参照)。前記現像液ノズル30をウエハWの周縁部の上方から中央部の上方へ移動するのに要する時間は例えば1秒程度である。このように現像液ノズル30をウエハWの周縁部の上方から中央部の上方へ移動させながら、吐出口30aより現像液を帯状に吐出していることから、ウエハWの表面に隙間無く現像液を塗布することができ、現像液が塗布された部位では現像処理が行われる。
【0021】
次に、現像液ノズル30がウエハWの中心部上方まで移動したときに(図5の時刻t)、ウエハWの回転数を第2の回転数例えば100rpmまで落とし、例えば2秒間引き続き現像液の吐出を行う。そして、ウエハWの中心部へ現像液Dの供給を行っている状態で、ウエハWの回転数を第2の回転数より高い第3の回転数例えば2000rpmまで上昇させ(図5の時刻t)、例えば10秒後に現像液Dの供給を停止する。そして、その直後にウエハWを例えば20000rpm/sの減速度で一気に減速して、第4の回転数例えば50rpmまで落とし(図5の時刻t)、現像液ノズル30を待機部36へ退避させる。この第4の回転数は、現像液Dの周縁がその表面張力でウエハWの中央部へ引き戻されずにウエハWの周縁部に形成した状態とするのに十分な回転数である。この第4の回転数にて例えば2秒程度、ウエハWを回転させ、その後ウエハWの回転を例えば45秒間停止させる。
【0022】
しかる後に洗浄液ノズル40からウエハWの中心部に洗浄液の吐出を行う。このときのウエハWの回転数は例えば500rpmであり、吐出された洗浄液はウエハWの中心から周縁へ向かって広げられて、現像液Dの洗浄が行われる。その後、洗浄液の供給を停止して、洗浄液ノズル40を待機部45へ退避させ、昇降機構によって外カップ21及び内カップ22を上昇させて、ウエハWを例えば2000rpmの回転数として所定の時間スピン乾燥させる。その後、ウエハWは現像装置より搬送アームによって搬出され現像処理を終了する。
【0023】
以上のように現像液ノズル30をウエハWの中心部の上方に位置させたときに、ウエハWの回転数を例えば100rpm程度の低速回転とすることにより、吐出された現像液DはウエハWの遠心力により徐々に外方へ広がってゆくが、低速回転であるためにウエハWの中央部に液溜まりができる(図7(a))。その後、ウエハWの回転数を例えば2000rpmの高速回転とすることで大きな遠心力により一気に広がろうとするが、中央部に液溜まりが存在するので広がっていく液膜の源の液量が多い。このため液膜が厚いことから、ウエハWの表面の撥水性が高くても液膜が途切れにくく、ウエハWの中心部から周縁部へ向かって均一に広がる(図7(b))。また、一部の現像液DはウエハWの周縁より外方へこぼれ落ちるが、前述のガイド部材26を伝って流れてゆき、液受け部27に一時的に溜められ、廃液管28より現像装置の外部へ排出される。
【0024】
前記第2の回転数は、ウエハWの中心部に現像液Dの液溜まりを形成するための回転数であるから、その回転数が高過ぎるとウエハWの遠心力が大きくなって、現像液の吐出が追いつかず液溜まりが形成されなくなる。逆に第2の回転数が低過ぎると、既にウエハWの表面に形成されている液膜が破れてしまうことから、50〜500rpmが好ましく、より好ましくは50〜200rpmである。また、ウエハWを第2の回転数で回転させている時間は、ウエハWの中央部に液溜まりが形成されるのに十分な時間以上であればよい。この時間が長くても処理に対する影響は無いが、中央部に液溜まりが形成されていれば、その後低速回転を維持させておく必要はないので、スループットを向上させる観点からは速やかに例えば既述のように1秒後に第3の回転数まで上昇させる(高速回転に移行する)ことが好ましい。従って、本発明は少なくともウエハWの中央部に液溜まりが形成されることが必要であると言える。
【0025】
前記第3の回転数は現像液D(液溜まり)を瞬時にウエハWの周縁部まで広げるための回転数である。前記液溜まりを瞬時に広げる理由は、ウエハWの表面が高い撥水性例えば接触角85度にもなると、ウエハWの表面の乾燥速度が大きく乾燥しやすいため、液膜が薄い状態で現像液Dを広げるのに長い時間を費やすと液膜が部分的に乾燥して、引きちぎれ、均一に広がらないためである。従って、ここでいう瞬時とはウエハWの中央部の液溜まりが均一に広がる状態を確保できる程度に速やかに第3の回転数に移行するという意味である。
【0026】
上述の実施形態によれば、ウエハWを回転させながら周縁部から中心部へ現像液の吐出位置を移動させて現像を行うにあたって、現像液ノズル30よりウエハWの中心部へ現像液Dを吐出するときには、ウエハWを低速な第2の回転数とし少なくともウエハWの中心部に現像液Dの液溜まりを形成している。その後、ウエハWを高速な第3の回転数とし、中心部に溜められた現像液Dが、その液膜が厚い状態で周縁部まで広がることから、ウエハWの表面の撥水性が高くても均一に広がりやすく、現像欠陥の発生を抑制することができる。また、高速回転(第3の回転数)にしたときに十分に均一に広がることができる程度の液溜まりを低速回転(第2の回転数)で形成した後、そのまま低速回転で液を周縁部まで広げずに高速回転に移行すれば、スループットの低下を極力抑えることができる。
【0027】
続いて本発明の現像装置を適用した塗布、現像装置の一例について簡単に説明する。図8は前記塗布、現像装置の平面図であり、図9は前記塗布、現像装置の斜視図である。この装置には、キャリアブロックS1が設けられており、このブロックS1では、載置台101上に載置された密閉型のキャリア100から受け渡しアームCがウエハWを取り出して、当該ブロックS1に隣接された処理ブロックS2に受け渡すと共に、前記受け渡しアームCが、処理ブロックS2にて処理された処理済みのウエハWを受け取って前記キャリア100に戻すように構成されている。
【0028】
前記処理ブロックS2は、図9に示すように、この例では現像処理を行うための第1のブロック(DEV層)B1、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜の形成処理を行なうための第2のブロック(BCT層)B2、レジスト液の塗布処理を行うための第3のブロック(COT層)B3、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜の形成処理を行なうための第4のブロック(TCT層)B4を下から順に積層して構成されている。
【0029】
前記第2のブロック(BCT層)B2と第4のブロック(TCT層)B4とは、各々反射防止膜を形成するための薬液をスピンコーティングにより塗布する液処理装置と、この液処理装置にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための加熱・冷却系の処理ユニット群と、前記塗布処理装置と処理ユニット群との間に設けられ、これらの間でウエハWの受け渡しを行なう搬送アームA2,A4とを備えている。第3のブロック(COT層)B3においては、前記薬液がレジスト液であり、疎水化処理ユニットが組み込まれることを除けば同様の構成である。一方、第1の処理ブロック(DEV層)B1については、例えば一つのDEV層B1内に本発明の現像ユニットが2段に積層されている。そして当該DEV層B1内には、これら2段の現像ユニットにウエハWを搬送するための共通の搬送アームA1が設けられている。さらに処理ブロックS2には、図8及び図10に示すように、棚ユニットU1が設けられ、この棚ユニットU1の各部同士の間では、前記棚ユニットU1の近傍に設けられた昇降自在な受け渡しアームD1によってウエハWが搬送される。
【0030】
このような塗布、現像装置では、キャリアブロックS1からのウエハWは前記棚ユニットU1の一つの受け渡しユニット、例えば第2のブロック(BCT層)B2の対応する受け渡しユニットCPL2に受け渡しアームCによって順次搬送され、ここからウエハWは受け渡しユニットCPL3及び搬送アームA3を介して第3のブロック(COT層)B3に搬入され、疎水化処理ユニットにおいてウエハ表面が疎水化された後、液処理装置2にてレジスト膜が形成される。レジスト膜形成後のウエハWは、搬送アームA3により、棚ユニットU1の受け渡しユニットBF3に受け渡される。
【0031】
その後、この場合はウエハWは受け渡しユニットBF3→受け渡しアームD1→受け渡しユニットCPL4を介して搬送アームA4に受け渡され、レジスト膜の上に反射防止膜が形成された後、搬送アームA4により受け渡しユニットTRS4に受け渡される。なおレジスト膜の上の反射防止膜を形成しない場合や、ウエハWに対して疎水化処理を行う代わりに、第2のブロック(BCT層)B2にて反射防止膜が形成される場合もある。
【0032】
一方DEV層B1内の上部には、棚ユニットU1に設けられた受け渡しユニットCPL11から棚ユニットU2に設けられた受け渡しユニットCPL12にウエハWを直接搬送するための専用の搬送手段であるシャトルアームEが設けられている。レジスト膜やさらに反射防止膜が形成されたウエハWは、受け渡しアームD1により受け渡しユニットBF3、TRS4を介して受け渡しユニットCPL11に受け渡され、ここからシャトルアームEにより棚ユニットU2の受け渡しユニットCPL12に直接搬送され、インターフェイスブロックS3に取り込まれることになる。なお図10中のCPLが付されている受け渡しユニットは、温調用の冷却ユニットを兼ねており、BFが付されている受け渡しユニットは、複数枚のウエハWを載置可能なバッファユニットを兼ねている。
【0033】
次いで、ウエハWはインターフェイスアームBにより露光装置S4に搬送され、ここで液浸露光処理が行われた後、棚ユニットU2の受け渡しユニットTRS6に載置されて処理ブロックS2に戻される。戻されたウエハWは、第1のブロック(DEV層)B1にて現像処理が行われ、搬送アームA1により棚ユニットU5における受け渡しアームCのアクセス範囲の受け渡し台に搬送され、受け渡しアームCを介してキャリア100に戻される。なお図8においてU3は各々加熱部と冷却部等を積層した処理ユニット群である。
【符号の説明】
【0034】
W ウエハ
11 スピンチャック
13 回転駆動部
20 カップ体
30 現像液ノズル
30a 吐出孔
32 現像液供給源
40 洗浄液ノズル
42 洗浄液供給源
50 制御部
52a プログラム
56 ノズル駆動系
D 現像液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持部に保持された基板を回転させながら現像液ノズルから当該基板に現像液を吐出する現像方法において、
前記基板を第1の回転数で回転させながら、前記現像液の吐出位置が基板の周縁部から中心部へ移動するように現像液ノズルを操作する工程と、
次いで前記現像液が基板の中心部に吐出されている状態で、少なくとも基板の中心部に液溜まりを形成するために基板の回転数を前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で回転させる工程と、
その後、基板を前記第2の回転数より高い第3の回転数で回転させて、現像液を基板の表面に広げる工程と、を備えたことを特徴とする現像方法。
【請求項2】
前記基板はその表面の水の接触角が85度以上であることを特徴とする請求項1に記載の現像方法。
【請求項3】
前記第1の回転数は500〜1500rpmであることを特徴とする請求項1または2に記載の現像方法。
【請求項4】
前記第2の回転数は50〜500rpmであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項5】
前記第3の回転数は1000〜2500rpmであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の現像方法。
【請求項6】
基板保持部に保持された基板を回転させながら現像液ノズルから当該基板に現像液を吐出する現像装置において、
基板を保持する基板保持部と、
この基板保持部を鉛直軸回りに回転させる回転駆動部と、
前記基板保持部に保持された基板へ現像液を塗布する現像液ノズルと、
この現像液ノズルを操作する操作機構と、
前記基板を第1の回転数で回転させながら、前記現像液の吐出位置が基板の周縁部から中心部へ移動するように現像液ノズルを操作するステップと、
次いで前記現像液が基板の中心部に吐出されている状態で、少なくとも基板の中心部に液溜まりを形成するために基板の回転数を前記第1の回転数よりも低い第2の回転数で回転させるステップと、
その後、基板を前記第2の回転数より高い第3の回転数で回転させて、現像液を基板の表面に広げるステップと、を実行するように制御信号を出力する制御部と、を備えたことを特徴とする現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−199323(P2010−199323A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42961(P2009−42961)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】