説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】現像剤供給手段にて液体現像剤を攪拌しつつ、潜像保持体と対向する現像領域にトナーを供給できる現像装置及び画像形成装置を得る。
【解決手段】現像装置14の磁性トナー供給部材22として、パドル52を用いており、該パドル52が磁気ドラム10とは非接触となるように、磁性トナー供給部材22を配置している。そして、回転するパドル52によって液体現像剤23を攪拌しつつ、液体現像剤23をすくい上げ、遠心力によってパドル52上の液体現像剤23の液面を盛り上げる。これにより、パドル52とは非接触の状態にある磁気ドラム10の表面へ磁性トナーを供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体現像剤を用いて現像画像を得る湿式画像形成装置において、液体現像剤中のトナー粒子の沈降を防止するために、例えば、特許文献1は、現像容器の最下点近傍に攪拌部材(ローラ)を具備している。
【特許文献1】特開2002−296910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、現像剤供給手段にて液体現像剤を攪拌しつつ、潜像保持体と対向する現像領域にトナーを供給できる現像装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、現像装置において、磁性トナー及び水性媒体を含む液体現像剤を貯留する現像剤貯留槽と、磁気潜像が形成される磁気潜像保持体とは非接触の状態で配置され、前記現像剤貯留槽に浸漬されて回転し、液体現像剤の液面を盛り上げて、該液体現像剤を前記磁気潜像保持体へ供給する現像剤供給手段と、を有している。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記現像剤供給手段が、回転軸と、前記回転軸の表面に軸方向に沿って設けられた回転軸の径方向へ張り出す板部材と、を含んで構成されている。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記現像剤供給手段が、回転体と、前記回転体の表面に軸方向に沿って設けられた凹部と、を含んで構成されている。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の現像装置において、前記回転軸又は前記回転体の周方向に沿った前記現像剤貯留槽の側壁は、回転軸又は回転体から離れる方向へ傾いている。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の現像装置において、前記現像剤貯留槽の最も低い底壁の上方に前記現像剤供給手段が設けられている。
【0009】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の現像装置において、前記現像剤貯留槽の内面の、少なくとも前記現像剤貯留槽の最も低い底壁を基準にして回転軸又は回転体の回転方向の下流側が、前記板部材の先端部の回転軌跡又は前記回転体の外周面と同心円上の円弧面とされている。
【0010】
請求項7に記載の発明は、画像形成装置において、請求項1〜6の何れか1項に記載の現像装置と、表面が撥水性を有する磁気潜像保持体と、前記磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成手段と、前記現像装置によって前記磁気潜像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、現像時の前記回転軸又は前記回転体の回転速度を、非現像時の前記回転軸又は前記回転体の回転速度よりも速くする制御手段と、を有している。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、現像剤供給手段にて液体現像剤を攪拌しつつ、潜像保持体と対向する現像領域にトナーを供給できる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、現像剤貯留槽内の液体現像剤をすくい上げ、磁気潜像保持体の表面に該液体現像剤を供給することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、現像剤貯留槽内の液体現像剤をすくい上げ、磁気潜像保持体の表面に該液体現像剤を供給することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、遠心力で液面が盛り上がった液体現像剤が現像剤貯留槽からこぼれないようにすることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、本構成を用いない場合と比較して、板部材又は凹部で磁性トナーを効率良く、すくい上げることができる。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、本構成を用いない場合と比較して、攪拌効率を向上させることができる。
【0017】
請求項7に記載の発明によれば、本構成を用いない場合と比較して、高い現像性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。
【0019】
まず、画像形成装置100の概要について説明する。
【0020】
図1及び図2(図1の現像領域を拡大図)に示すように、この画像形成装置100には、磁気ドラム(磁気潜像保持体)10が備えられており、装置本体に対して回転可能に支持されている。この磁気ドラム10の周囲には、磁気ドラム10の回転方向に沿って、磁気ヘッド12、現像装置14、転写装置16及び消磁装置18が順番に設けられている。
【0021】
磁気ドラム10は、磁気ヘッド12によって表面が磁化され、磁気ドラム10の表面には、磁気潜像(磁気潜像部(ハッチング部)34)が形成される。
【0022】
現像装置14は、現像剤貯留槽20と磁性トナー供給部材(現像剤供給手段)22を備えており、磁性トナー供給部材22を現像剤貯留槽20に浸漬し、該現像剤貯留槽20に貯留された液体現像剤23を磁気ドラム10へ供給して、該磁気潜像部34を顕像化させる(トナー像26)。
【0023】
また、転写装置16は転写定着ロール38を備えており、磁気ドラム10と転写定着ロール38の間へ用紙40が送給されると、該用紙40が磁気ドラム10側へ押圧され、磁気ドラム10上のトナー像26が用紙40に転写されて、定着される。
【0024】
ここで、消磁装置18は、新しい画像形成を行なう場合に、磁気ヘッド12で磁気潜像を形成する前に、磁気ドラム10上の磁気潜像を消去する。
【0025】
次に、本実施形態の画像形成装置の各構成を順次説明する。
【0026】
(磁気潜像保持体)
磁気ドラム(磁気潜像保持体)10の構成は、例えばアルミニウムなどの金属でできたドラム上に、Ni、Ni−Pなどの下地層をおよそ1〜30μmの厚さで形成し、この上にCo−Ni、Co−P、Co−Ni−P、Co−Zn−P、Co−Ni−Zn−Pなどの磁気記録層を0.1μm以上10μm以下程度の厚さで形成し、更にNi、Ni−Pなどの保護層を0.1μm以上5μm以下程度の厚さで形成する。下地層のメッキにピンホールなどの欠陥があると、磁気記録層にも欠陥ができてしまうので細密でむらのないメッキを行うことが好適である。
【0027】
メッキ以外にも、スパッタや蒸着などの方法もある。更に、下地層及び保護層については、非磁性であることが望ましい。各層の表面はテープ研磨などで表面精度を保つことが、磁気潜像を形成する磁気ヘッド12との間隙を精度良く維持する上で好適である。
【0028】
磁気記録層の膜厚は0.1μm以上10μm以下の範囲とすることが望ましく、磁気記録層の磁気特性は、保磁力が16000A/m以上80000A/m以下(200エルステッド以上1000エルステッド(Oe)以下)程度、残留磁束密度を100mT以上200mT以下(1000ガウス以上2000ガウス(G)以下)程度とすることが好適である。
【0029】
以上は、水平磁気記録式の場合の磁気ドラム10の構成であるが、垂直磁気記録式の場合には、非磁性層の上にCo−Ni−Pなどの記録層を設けた構成としたり、該記録層の下に透磁率の高い軟磁性層を設けた構成としてもよく、いずれかに限定されるものではない。また磁気潜像保持体としては、本実施形態におけるドラム状のものに限られず、ベルト状に形成されたものでもよい。
【0030】
本実施形態では、撥水性を有する磁気ドラム10を用いる。ここで撥水性とは水をはじく性質のことを意味し、具体的には純水との接触角が70度以上であることをいう。上記磁気ドラム10表面の接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製:CA−X)を用い、25℃、50%RHの環境下で、純水を磁気ドラムの表面に3.1μl滴下し、15秒後の接触角を求めた。なお、測定は端部、中央部で周方向に4点測定し、これらの平均値を接触角とした。磁気ドラム10の表面を上記好適な接触角を有する表面とするには、前記のようにして構成される磁気ドラム表面に表面コートを行うことが望ましい。
【0031】
上記表面コートとしては、フッ素潤滑めっき、フッ素原子やシリコン原子を含有するポリマーを用いたコーティング等が挙げられる。
【0032】
(磁気潜像形成手段)
磁気潜像形成装置(磁気潜像形成手段)は、基本的には磁気ヘッド12とその駆動回路から成る。磁気ヘッド12には、おもにフルライン型磁気ヘッドとマルチチャンネル型磁気ヘッドがあり、フルライン型磁気ヘッドの場合には磁気ヘッド12を走査する必要はないが、マルチチャンネル型磁気ヘッドの場合には磁気ドラム10に対して磁気ヘッド12を走査する必要がある。走査の方法にはシリアル走査とヘリカル走査とがあり、ヘリカル走査の方は潜像形成工程だけ特別に磁気ドラム10の回転速度を変更すれば記録速度は速くなる。
【0033】
一方、フルライン型磁気ヘッドの場合としては、例えば解像度600dpiとするとA4サイズの紙の幅方向の記録幅をカバーするためには500チャネル程度のヘッドが必要である。それらを並べてフルライン化すればヘッドを走査する必要がなく極めて高速な記録が可能になる。また上記フルライン化するためには、ヘッドコアとヘッドコアとの重ね合わせが必要になるが、高解像度になるにしたがいトラックピッチも狭くなるためヘッドコアに挿入されるコイルも可能な限り薄いもの、例えば平面状のシートコイルが用いられる。
【0034】
ここで、磁気ヘッド12の磁極先端部から漏洩磁束が生じることで、磁気ドラム10が磁化され、磁気潜像が形成されるが、磁気ヘッド12からの出力は、磁気ドラム10における磁気記録層の保磁力の2〜3倍必要である。ここで形成した磁気潜像は消磁装置18で消去しない限り消えることはなく、現像、転写、定着、クリーニングの各工程を繰り返せば複数枚コピー機能を有する。また、磁気潜像は湿度の影響を受けにくいため、静電式に比べ環境安定性に優れている。
【0035】
(現像装置)
現像装置14は現像剤貯留槽20と磁性トナー供給部材22とを備えている。磁性トナー供給部材22には回転軸50が設けられており、該回転軸50の外周面には、磁気ドラム10よりも若干長く形成された板状のパドル(板部材)52が回転軸50の軸方向に沿って設けられている(図2参照)。このパドル52は、回転軸50の周方向に沿って等間隔に8枚形成され、放射線状に設けられ、磁気ドラム10とは非接触となるように配置されている。
【0036】
ここで、パドル52によって、すくい上げられた液体現像剤23は、パドル52との表面摩擦によって、簡単に流れ落ちないようになっているが、パドル52の先端部を回転方向に沿って上方へ折曲げ、液体現像剤23の流れ落ち防止としても良い。
【0037】
図3に示すように、回転軸50には、ギア列(図示省略)を介してモータ54が連結されており、回転軸50に回転力を付与する。モータ54には、モータドライバ56が接続されており、該モータドライバ56には制御部58が接続され、該制御部58から出力される制御信号によって、モータドライバ56がモータ54を所定の駆動電圧で駆動制御する。そして、この駆動電圧を可変可能としている。
【0038】
一方、現像剤貯留槽20は平面視にて略箱状を成しており、長手方向の両端部には支持板20Aが設けられ、磁性トナー供給部材22の回転軸50を回転可能に支持している。この現像剤貯留槽20の内面60は、該支持板20Aを除いて曲面を成している。
【0039】
現像剤貯留槽20の内面60では、磁性トナー供給部材22の下部において、パドル52の先端部の回転軌跡によって形成される円弧Pと同心円上の円弧面62が形成されており、回転軸50の軸芯下部が最下点であることが好ましい。また、現像剤貯留槽20の側壁は、開口部20B側がパドル52から離れる方向へ傾くように、この円弧面62よりも緩やかな円弧面を形成し間口を広げている。
【0040】
(液体現像剤)
図1に示すように、本実施形態では、磁気現像のための現像剤として、水性媒体中に磁性トナーを分散させた液体現像剤23を用いるが、ここで、上記水性媒体とは、水を50質量%以上含む溶媒を意味する。また、「水」とは、蒸留水、イオン交換水、超純水等、精製した水を意味する。
【0041】
液体現像剤23における分散媒として水性媒体を用いることにより、水が水素結合により表面張力が大きいため、撥水性の磁気ドラム10と組み合わせることで、現像の際に液体現像剤23が磁気ドラム10と接触しても分散媒である液体が磁気ドラム10に転移しにくい。
【0042】
さらに、現像の際には表面張力の大きい水性媒体は磁気ドラム10表面に濡れ広がり難く、一方現像剤中に高い易動性を有して均一に分散している磁性トナーは、磁気ドラム10との接触と同時に磁気潜像部34のみに磁力で転移するため、画像かぶりの発生しにくい現像環境がつくり出される。
【0043】
なお本明細書において、前記分散等に関する「均一」とは、系内に磁性粉、重合体粒子等の1次粒子が十数個以上集まった程度の大きさの凝集体が存在しないことをいう。以下もこれに準ずる。
【0044】
本実施形態に適用される画像形成プロセスは、いわゆる電子写真プロセスや、誘電体上にイオンなどで静電潜像を形成するプロセス(イオノグラフィ)、帯電した誘電体にサーマルヘッドの熱により画像情報に応じて静電潜像を形成するプロセスなど、静電潜像を利用するものではなく、像保持体上に磁気潜像を形成してトナー像を形成するプロセスであり、その構成は、現像剤として水性媒体を含む液体現像剤、像保持体として撥水性を有する像保持体を用いる以外特に制限されない。
【0045】
一方、磁性トナーとしては、一般的に高分子化合物中に磁性粉を含む磁性重合体粒子を用いる。なお、上記磁性重合体粒子とは、磁性粉が重合体中に分散されてなる磁性粉分散粒子で構成されるものである。
【0046】
(転写装置)
転写方式としては、一般に静電転写方式、圧力転写方式、これらを併用した静電圧力方式などがあるが、前記のように、本実施形態ではトナー粒子が電荷を有していないため、静電転写方式や静電圧力方式は使用できない。一方、前記圧力転写方式は、通常は磁気ドラム10及び転写媒体間の圧力により、トナー像を塑性変形させながら転写媒体の表面に付着させ転写するものであり、シアリング転写と併用することができる。
【0047】
図1における磁気ドラム10を挟んで現像装置14の反対側には、転写定着ロール38が磁気ドラム10に対して押圧するように配置されており、磁気ドラム10上のトナー像26にタイミングを合わせて、用紙40が磁気ドラム10及び転写定着ロール38間の挟持領域へ送給される。
【0048】
転写定着ロール38は、例えば、ステンレス基体、シリコーンゴム層、フッ素ゴム層により構成されており、挟持領域を通過する用紙40を磁気ドラム10に押圧することにより、磁気ドラム10上のトナー像が用紙40に転写される。
【0049】
本実施形態では、磁気ドラム10から用紙40にトナー像26が転写されると同時に、該トナー像26が用紙40に定着される構成となっている。すなわち、用紙40が転写定着ロール38と磁気ドラム10による挟持領域を通過する際、転写定着ロール38により用紙40が磁気ドラム10から押圧され、用紙40にトナー像が転写されると共に、これにより、トナー像を構成するトナー粒子が軟化すると共に用紙40の繊維中に浸潤する。
【0050】
用いるトナー粒子によっては、この状態でも用紙40への固定が可能であるが、定着が十分でない場合には、転写定着ロール38に加熱手段を設け、該転写定着ロール38を加熱することで、トナー像が溶融し用紙40の繊維の中まで入り込み固着して定着像41となる。
【0051】
なお、本実施形態では用紙40への転写と同時に定着を行っているが、転写工程と定着工程とを別々として、転写を行った後に定着を行ってもよい。
【0052】
(消磁装置)
消磁装置18には、永久磁石式と電磁石式との2通りがある。永久磁石式の場合には、磁気ドラム10の円周方向に磁化して局所的に磁束が漏洩しないようにするもので、電力等のエネルギーが不要で安価である。ただし、磁気潜像を消去しない場合には、消磁装置18を磁気ドラム10に対して移動させ磁気的な距離を大きくして消去磁界を弱くする必要がある。
【0053】
これに対して電磁石式は、ヨークとコイルとから成り電流を流す必要があるが、磁気潜像を消去する必要がない場合には電流を切ることにより消去磁界がゼロになるため制御が比較的自由である。
【0054】
本実施形態では、永久磁石式及び電磁石式のいずれも用いることができる。
【0055】
(作用・効果)
まず、この画像形成装置100の動作について簡単に説明する。
【0056】
図1に示す磁気ヘッド12が、例えば図示しない情報機器と接続され、該情報機器から送られた2値化された画像データを受ける。磁気ドラム10は、磁気ヘッド12の各チャンネルのコイルに電流が流れることで該磁気ヘッド12の磁極先端部から漏洩磁束が生じて、表面が磁化される。これによって、磁気ドラム10の表面には、磁気潜像(磁気潜像部(ハッチング部)34)が形成される。
【0057】
次に、現像装置14では、現像剤貯留槽20に貯留された液体現像剤23を磁性トナー供給部材22ですくい上げ、磁気ドラム10の表面へ供給する(後述する)。これにより、磁気ドラム10表面には、液体現像剤23中の磁性トナーが付着し、磁気ドラム10の磁気潜像部34は顕像化されてトナー像26となる。
【0058】
現像されたトナー像26は、矢印方向に回転する磁気ドラム10によって搬送され、磁気ドラム10上のトナー像26にタイミングを合わせて、磁気ドラム10と転写定着ロール38の間へ用紙40が送給される。この用紙40を磁気ドラム10側へ押圧することにより、磁気ドラム10上のトナー像が用紙40に転写され、定着される。
【0059】
そして、新しい画像形成を行なう場合は、磁気ヘッド12で磁気潜像を形成する前に、磁気ヘッド12と転写装置16の間に配置された消磁装置18によって、磁気ドラム10上の磁気潜像を消去する。
【0060】
ここで、磁気ドラム10から用紙40へのトナー像の転写効率が100%未満の場合、転写後の磁気ドラム10上にトナー像26の一部分が残留することになるため、この場合は、消磁装置18の、磁気ドラム10の回転方向上流側に、磁気ドラム10上に残留したトナー像26を除去するためのクリーナを配設しても良い。
【0061】
以上の動作を繰返すことによって、前記情報機器から次々に送られてくる画像を連続的に短時間で形成する。なお、上記画像形成装置100に備えられた磁気ヘッド12、現像装置14、転写定着ロール38、及び消磁装置18は、すべて磁気ドラム10の回転速度と同期をとって動作している。
【0062】
ところで、本実施形態では、図1及び図2に示すように、現像装置14において、磁性トナー供給部材22として、パドル52を用いており、該パドル52が磁気ドラム10とは非接触となるように、磁性トナー供給部材22を配置している。そして、回転するパドル52によって液体現像剤23をすくい上げ、磁気ドラム10の表面へ該磁性トナーを供給する。
【0063】
ここで、回転軸50の回転により、遠心力によって、パドル52上の液体現像剤23がパドル52の外側へ押し出されるようにして、液体現像剤23の液面が盛り上がる。これにより、パドル52とは非接触の状態にある磁気ドラム10の表面へ磁性トナーが供給される。
【0064】
また、ここでは、現像剤貯留槽20の内面60を、支持板20Aを除いて曲面とし、いわゆる隅部を設けないようにして、磁性トナーが溜まりやすい死水域を作らないようにしている。
【0065】
磁性トナー供給部材22としてパドル52を用いることで、パドル52の回転により、現像剤貯留槽20内の液体現像剤23がかき回され、液体現像剤23の磁性トナーが、現像剤貯留槽20の底壁に溜まらないように攪拌される。
【0066】
そして、このように、パドル52によって、液体現像剤23を攪拌しながら、該液体現像剤23をすくい上げ、液体現像剤23の磁性トナーの濃度の変動を抑制している。
【0067】
また、現像剤貯留槽20の内面60では、磁性トナー供給部材22の下部において、パドル52の先端部の回転軌跡によって形成される円弧Pと同心円上の円弧面62を形成し、回転軸50の軸芯下部が最下点となるようにしている。
【0068】
つまり、現像剤貯留槽20の底壁では、磁性トナーが溜まりやすいため、磁性トナー供給部材22の下部において、パドル52の先端部と現像剤貯留槽20の底壁との離間距離を同じにすることで、該離間距離が回転軸50の周方向で異なる場合と比較して、現像剤貯留槽20内の攪拌効率が向上する。
【0069】
また、現像剤貯留槽20の側壁の、開口部20B側をパドル52から離れる方向へ傾け、間口を広げるようにしている。このように、現像剤貯留槽20の間口を広げることで、遠心力で液面が盛り上がった液体現像剤23が現像剤貯留槽20からこぼれないようにしている。
【0070】
一方、本実施形態では、モータドライバ56と接続する制御部58から出力される制御信号によって、モータ54を所定の駆動電圧で駆動制御しており、該駆動電圧を可変可能としている。
【0071】
つまり、現像時の回転軸50の回転速度と、非現像時の回転軸50の回転速度を変えることができる。具体的には、現像時の回転軸50の回転速度(例えば、500〜700rpm)を、非現像時の回転軸50の回転速度(例えば、200〜300rpm)よりも速くする。
【0072】
非現像時は回転軸50によって液体現像剤23を攪拌する効果を得ることができればよいが、現像時はパドル52によってかき上げられた液体現像剤23の液面を遠心力で盛り上げなければならないため、その分、回転軸50の回転速度を速くする必要が生じる。
【0073】
なお、画像形成装置100の停止後、現像前は、素早く液体現像剤23を攪拌した方が良いため、この場合は、回転軸50の回転速度を前述の非現像時の回転軸50の回転速度よりも速くするように設定しても良い。
【0074】
また、本実施形態では、現像剤貯留槽20の底壁62を、パドル52の先端部の回転軌跡によって形成される円弧Pと同心円上の円弧面となるようにしたが、この底壁62は必ずしも曲面である必要はない。例えば、図4に示すように、磁性トナー供給部材22の下部を最下部とする平坦面64で形成し、該平坦面64の両端側に曲面66、68を設けても良い。
【0075】
なお、図示はしないが、曲面66、68を傾斜面としても良い。この場合、現像剤貯留槽20の内面60において、隅部が形成されることとなってしまうが、この隅部は鈍角となるため、隅部の角度が直角以下である場合と比較して磁性トナーは溜まりにくい。
【0076】
また、図1において、回転軸50を中心に、現像剤貯留槽20が左右対称となるように回転軸50を配置しているが、磁性トナー供給部材22の下部に、現像剤貯留槽20の内面60の最も低い底壁を設けることができれば良いため、これに限るものではない。
【0077】
例えば、図5に示すように、回転軸50の軸芯下部を基準として、回転軸50の回転方向の上流側において、現像剤貯留槽20の内面60とパドル52の隙間を、回転軸50の回転方向の下流側よりも大きくしても良い。
【0078】
そして、回転軸50の回転方向の上流側から回転軸50の軸芯下部に亘って、回転軸50の軸芯下部に磁性トナーが溜まるように曲面65又は傾斜面(図示省略)を設ける。この場合、図1と比較すると、現像剤貯留槽20の容積を大きくすることができる。
(その他の実施形態)
本実施形態では、図2に示すように、磁性トナー供給部材22として、回転軸50の外周面に、板状のパドル52を回転軸50の軸方向に沿って設け、8枚のパドル52を放射線状に配置したが、パドル52の回転によって液体現像剤23をすくい上げることができれば良いため、磁性トナー供給部材22の構成はこれに限るものではない。
【0079】
例えば、図6に示すように、回転軸50の外周面に接線を引くようにして、回転軸50の回転方向に合わせて8枚のパドル70を渦巻き状に配置しても良い。この場合、パドル52と比較すると、パドル70の長さは若干長くなり、すくい上げられる磁性トナーの量が増加する。
【0080】
また、図7に示すように、回転軸50の外周面を筒状のロール72で被覆し、該ロール72の外周面にパドル74を配置しても良い。この場合、パドル52、70と比較すると、パドル74の長さは短くなる。このため、パドル52、70によってすくい上げられる磁性トナーの量は減ってしまうが、パドル74内の磁性トナーが磁気ドラム10の表面に振りかけられるまでに該磁性トナーが移動する距離は短くなる。
【0081】
また、これ以外にも、図8に示すように、回転軸50の外周面を筒状のロール76で被覆し、該ロール76の外周面にロール76の軸方向に沿って溝78を設け、該溝78で液体現像剤23をすくい上げ、磁気ドラム10の表面に供給するようにしても良い。溝の軸方向に対し直交する断面形状は、例えば、図8に示す円弧形状、あるいは、図9に示すのこ歯形状であってもよく、これら形状に限定されない。
【0082】
なお、ここでは、パドル52、70、74や溝78、80を回転軸50の周方向に沿って8つ設けたが、回転軸50の回転バランスを上手くとることができれば良いため、これに限るものではなく、パドル52、70、74や溝78、80が1つであっても勿論良い。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る現像装置の磁性トナー供給部材を斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る現像装置の磁性トナー供給部材の構成を示す概略ブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る画像形成装置の第1変形例を示す概略構成図である。
【図5】本実施の形態に係る画像形成装置の第2変形例を示す概略構成図である。
【図6】本実施の形態に係る現像装置の磁性トナー供給部材の第1変形例を示す斜視図である。
【図7】本実施の形態に係る現像装置の磁性トナー供給部材の第2変形例を示す斜視図である。
【図8】本実施の形態に係る現像装置の磁性トナー供給部材の第3変形例を示す斜視図である。
【図9】本実施の形態に係る現像装置の磁性トナー供給部材の第4変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0084】
10 磁気ドラム(磁気潜像保持体)
12 磁気ヘッド(磁気潜像形成手段)
14 現像装置
16 転写装置(転写手段)
20 現像剤貯留槽
20A 支持板(現像剤貯留槽)
20B 開口部(現像剤貯留槽)
22 磁性トナー供給部材(現像剤供給手段)
23 液体現像剤
38 転写定着ロール(転写手段)
50 回転軸(現像剤供給手段)
52 パドル(板部材、現像剤供給手段)
58 制御部(制御手段)
60 内面(現像剤貯留槽の内面)
62 円弧面
70 パドル(板部材、現像剤供給手段)
72 ロール(回転軸、現像剤供給手段)
74 パドル(板部材、現像剤供給手段)
76 ロール(回転体、現像剤供給手段)
78 溝(凹部、現像剤供給手段)
80 溝(凹部、現像剤供給手段)
82 ロール(回転体、現像剤供給手段)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性トナー及び水性媒体を含む液体現像剤を貯留する現像剤貯留槽と、
磁気潜像が形成される磁気潜像保持体とは非接触の状態で配置され、前記現像剤貯留槽に浸漬されて回転し、液体現像剤の液面を盛り上げて、該液体現像剤を前記磁気潜像保持体へ供給する現像剤供給手段と、
を有する現像装置。
【請求項2】
前記現像剤供給手段が、回転軸と、前記回転軸の表面に軸方向に沿って設けられ回転軸の径方向へ張り出す板部材と、を含んで構成された請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤供給手段が、回転体と、前記回転体の表面に軸方向に沿って設けられた凹部と、を含んで構成された請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記回転軸又は前記回転体の周方向に沿った前記現像剤貯留槽の側壁は、回転軸又は回転体から離れる方向へ傾いている請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像剤貯留層の最も低い底壁の上方に前記現像剤供給手段が設けられた請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像剤貯留槽の内面の、少なくとも前記現像剤貯留槽の最も低い底壁を基準にして回転軸又は回転体の回転方向の下流側が、前記板部材の先端部の回転軌跡又は前記回転体の外周面と同心円上の円弧面とされている請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の現像装置と、
表面が撥水性を有する磁気潜像保持体と、
前記磁気潜像保持体上に磁気潜像を形成する磁気潜像形成手段と、
前記現像装置によって前記磁気潜像保持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
現像時の前記回転軸又は前記回転体の回転速度を、非現像時の前記回転軸又は前記回転体の回転速度よりも速くする制御手段と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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