説明

現像装置,画像形成装置

【課題】現像ローラ等の現像剤供給手段を清掃する清掃部材に付着した液体現像剤を効果的に除去することができ,且つ設計上の制限を伴うことのない現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供すること。
【解決手段】現像装置Yは,感光体ドラム61と現像ローラ108との接触位置よりも前記現像ローラ108の回転方向下流側における前記現像ローラ108との接触部及び現像剤貯溜部101bに貯溜された液体現像剤との接触部を経由して走行する無端状のクリーニングベルト113と,前記クリーニングベルト113が前記液体現像剤に接触した後,前記現像ローラ108と接触する前に前記クリーニングベルト113に接触して前記クリーニングベルト113上の液体現像剤を除去するクリーニングブレード115と,を具備して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,所定電位に帯電された像担持体に接触して液体現像剤を供給する現像ローラなどの現像剤供給手段を備えてなる現像装置に関し,特に,前記現像剤供給手段を清掃する清掃部材に付着した液体現像剤を効果的に除去する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体現像剤を用いて画像形成を行う複写機やプリンタ装置に代表されるいわゆる湿式の画像形成装置には,所定電位に帯電された感光体ドラム等の像担持体に接触して液体現像剤を供給する現像ローラなどの現像剤供給手段を備えた現像装置が配設される。この現像装置には,前記現像剤供給手段と前記像担持体との接触後に該現像剤供給手段に残存した液体現像剤を除去する清掃部材が設けられる。
また,前記清掃部材に付着した液体現像剤は,別の清掃部材によって除去される。例えば,特許文献1には,現像ローラから液体現像剤を除去するクリーニングローラと,該クリーニングローラから液体現像剤を除去するクリーニングブレードとを備えた現像装置が示されている。
さらに,特許文献2には,現像ローラを清掃するクリーニングブレードから液体現像剤を除去するブラシローラを,液体現像剤の貯溜部に浸した状態で清掃する構成が示されている。このような構成によれば,例えば前記ブラシローラに液体現像剤が固着した場合であっても,その固着した液体現像剤が軟化されて除去されやすくなり,前記ブラシローラに付着した液体現像剤が効果的に除去されると考えられる。
【特許文献1】特開平9−211993号公報
【特許文献2】特許第3202698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,前記ブラシローラが液体現像剤の貯溜部に浸るような構成を実現するためには,前記ブラシローラや前記貯溜部を所定の位置関係や所定のサイズに設計する必要があり,前記ブラシローラや前記貯溜部の配置やサイズを自由に設計することができないという問題を伴う。例えば,この設計上の制限により前記ブラシローラや前記貯溜部を大型化する必要が生じ,装置のコンパクト化が阻害されるおそれがある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,現像ローラ等の現像剤供給手段を清掃する清掃部材に付着した液体現像剤を効果的に除去することができ,且つ設計上の制限を伴うことのない現像装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,所定電位に帯電された像担持体に接触して液体現像剤を供給する現像剤供給手段を備えてなる現像装置に適用されるものであって,前記像担持体と前記現像剤供給手段との接触位置よりも前記現像剤供給手段の走行方向下流側における前記現像剤供給手段との接触部及び貯溜された液体現像剤との接触部を経由して走行する無端状の走行ベルトと,前記走行ベルトが前記液体現像剤に接触した後,前記現像剤供給手段と接触する前に前記走行ベルトに接触して前記走行ベルト上の液体現像剤を除去するクリーニング手段と,を具備してなることを特徴とする現像装置として構成される。ここに,前記現像剤供給手段は,例えばローラ部材やベルト部材で構成される。
このような構成によれば,前記現像剤供給手段を清掃する清掃部材として用いられる前記走行ベルトを装置内において自由に引き回すことが可能であるため,設計上に制限がなく装置の大型化などを防止することができる。また,前記走行ベルト上の液体現像剤が,該走行ベルトが前記液体現像剤に接触することにより軟化した後で前記クリーニング手段によって除去されるため,前記走行ベルト上の液体現像剤を効果的に除去することができ,該走行ベルトによる前記現像剤供給手段の高い清掃効果を得ることが可能である。
さらに,前記現像剤供給手段に所定のバイアス電位を印加し,前記走行ベルトに,前記現像剤供給手段よりも低いバイアス電位または前記現像剤供給手段と逆極性のバイアス電位を印加することが望ましい。これによって前記現像剤供給手段と前記走行ベルトとの間に生じる電位差により,例えば前記現像剤供給手段に付着した液体現像剤のうち荷電粒子であるトナーが前記走行ベルトに移動しやすくなり,該トナーの除去効率が向上する。
【0005】
また,前記現像剤供給手段は,前記走行ベルトを支持する第1の支持ローラへの前記走行ベルトの巻き付き部或いは前記第1の支持ローラによって張架された前記走行ベルトの張架部と接触するように構成される。
ここで,前記現像剤供給手段と前記走行ベルトとの接触位置における各々の走行方向が逆方向であれば,前記現像剤供給手段と前記走行ベルトとに大きな負荷が作用して,該現像剤供給手段や走行ベルトに磨耗や損傷が生じることが懸念される。そこで,前記走行ベルトは,前記現像剤供給手段との接触位置において前記現像剤供給手段と同方向に走行するものであることが好ましい。これにより,前記走行ベルトと前記現像剤供給手段との接触時の負荷が軽く,前記現像剤供給手段や前記走行ベルトの磨耗や損傷を防止することができる。
なお,このとき前記走行ベルトを前記現像剤供給手段の走行速度以上の速度で走行させれば,前記走行ベルトが前記現像剤供給手段に対して摺接しながら走行するため,前記現像剤供給手段上に付着した液体現像剤の除去作用を高めることができる。
【0006】
また,前記クリーニング手段は,前記走行ベルトと前記液体現像剤との接触部の近傍に配設することが望ましい。これにより,前記走行ベルトが液体現像剤に浸されて該走行ベルト上の液体現像剤が軟化されてすぐに,該走行ベルト上の液体現像剤が前記クリーニング手段によって除去されるため,その除去がより効果的に行われる。
ここで,前記走行ベルトを支持する第2の支持ローラによって張架された前記走行ベルトの張架部では,ある程度の撓みが許容されるため,前記クリーニング手段は,前記走行ベルトの張架部に接触させる構成が望ましい。これにより,前記クリーニング手段によって前記走行ベルトを強く押し付けることが可能であり,該走行ベルト上の液体現像剤を十分に除去することができる。もちろん,前記クリーニング手段は,前記第2の支持ローラへの前記走行ベルトの巻き付き部に接触させてもかまわない。
【0007】
また,前記現像剤供給手段によって前記像担持体に供給される液体現像剤を貯溜する第1の貯溜部と,前記走行ベルトが浸される液体現像剤を貯溜すると共に,前記クリーニング手段により前記走行ベルトから除去された液体現像剤を貯溜する第2の貯溜部と,前記第2の貯溜部に貯溜された液体現像剤を攪拌する攪拌手段と,前記第2の貯溜部から前記第1の貯溜部に液体現像剤を搬送する搬送手段と,を更に備えてなる構成が考えられる。
これにより,前記クリーニング手段により前記走行ベルトから除去された液体現像剤が,前記第2の貯溜部において十分に攪拌されて所定の濃度に調整されてから前記第1の貯溜部に搬送された後,前記像担持体に供給されるため,当該現像装置による現像性能が向上する。なお,前記第1の貯溜部と前記第2の貯溜部とを共通の貯溜部で構成してもかまわない。
また,本発明は,前記のように構成された現像装置を備えてなる画像形成装置の発明として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば,前記現像剤供給手段を清掃する清掃部材として用いられる前記走行ベルトを装置内において自由に引き回すことが可能であるため,設計上に制限がなく装置の大型化などを防止することができる。また,前記走行ベルト上の液体現像剤が,該走行ベルトが前記液体現像剤に接触することにより軟化した後で前記クリーニング手段によって除去されるため,前記走行ベルト上の液体現像剤を効果的に除去することができ,該走行ベルトによる前記現像剤供給手段の高い清掃効果を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係るカラープリンタXの概略構成図,図2は本発明の実施の形態に係るカラープリンタXに設けられた現像装置Yの概略構成図である。
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係るカラープリンタXの概略構成について説明する。
前記カラープリンタXは,プラスの電荷を帯びた荷電粒子からなるトナーとシリコンオイル等の非極性の絶縁性液体からなるキャリア液とを含む液体現像剤を用いて用紙に画像を形成するいわゆる湿式の画像形成装置である。なお,以下で説明するカラープリンタXは,本発明に係る画像形成装置の一例に過ぎず,本発明は,複写機やファクシミリ装置,複合機などの画像形成装置にも適用することが可能である。
図1に示すように,前記カラープリンタXは,用紙が収容される給紙カセット10と,前記給紙カセット10から供給された用紙にカラー画像或いはモノクロ画像を形成する画像形成部20と,前記画像形成部20によって用紙に形成された画像を定着させる定着装置30と,前記定着装置30によって画像が定着された用紙が排出される排紙トレイ40と,当該カラープリンタXを統括的に制御する制御部50と,を備えて概略構成されている。
【0010】
前記画像形成部20は,ブラック(BK),マゼンタ(M),シアン(C),イエロー(Y)用に設けられた4つの画像形成ユニット60と,前記画像形成ユニット60の上方に配設された中間転写装置70と,転写ローラ80とを備えている。
前記画像形成ユニット60は,アモルファスシリコンからなる感光体ドラム61と,前記感光体ドラム61に付着した液体現像剤を除去する感光体ドラム清掃装置62と,前記感光体ドラム61を所定の電位に帯電させる帯電装置63と,前記感光体ドラム61の表面から電位を除去する除電装置64と,前記感光体ドラム61にレーザ光を露光することにより該感光体ドラム61上に静電潜像を形成する露光装置65と,前記感光体ドラム61に形成された静電潜像を液体現像剤を用いてトナー像として現像する現像装置Yと,を備えて概略構成されている。なお,前記感光体ドラム61の帯電電位は,例えば+200V〜+600V程度に設定されるが,過去の経験から+300V〜+400V程度であることが好ましい。
前記中間転写装置70は,不図示のモータによって回転駆動される駆動ローラ71と,該駆動ローラ71の回転に伴って回転する従動ローラ72と,この2つのローラに亘って掛け渡された無端状の中間転写ベルト73と,前記中間転写ベルト73を適度なテンションに保って張架するためのテンションローラ74と,前記感光体ドラム61に形成されたトナー像を前記中間転写ベルト73に転写する中間転写ローラ75と,前記中間転写ベルト73に付着した液体現像剤を除去する清掃装置76と,を備えて概略構成されている。
前記転写ローラ80は,前記駆動ローラ71に対向して配設されており,前記中間転写ベルト73上に形成されたトナー像を用紙に転写するものである。
【0011】
本発明の実施の形態に係る前記カラープリンタXは,前記現像装置Yにおける後述の現像ローラ108に付着した液体現像剤を除去する機構に特徴を有している。以下,図2を用いて,前記カラープリンタXに設けられた前記現像装置Yについて詳説する。
図2に示すように,前記現像装置Yは,液体現像剤が貯溜される現像剤貯溜部101a(第1の貯溜部の一例)及び101b(第2の貯溜部の一例)と,前記現像剤貯溜部101a及び101b内の液体現像剤を攪拌する攪拌ローラ102a及び攪拌フィン102b(攪拌手段の一例)と,前記現像剤貯溜部101bから前記現像剤貯溜部101aに液体現像剤を搬送するための現像剤搬送ポンプ103(搬送手段の一例)と,前記現像剤貯溜部101a及び101b内の液体現像剤のトナー濃度を検出する濃度検出センサ104a及び104bと,前記現像剤貯溜部101a及び101b内の液体現像剤の液面高さを検出する液面高さ検出センサ105a及び105bと,前記現像剤貯溜部101a内の液体現像剤を前記感光体ドラム61に供給するための汲み上げローラ106,供給ローラ107及び現像ローラ108(現像剤供給手段の一例)と,前記供給ローラ107に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード109と,前記現像ローラ108に付着した液体現像剤を除去する現像ローラ清掃装置110と,を備えて構成されている。
【0012】
前記現像剤貯溜部101aには,前記感光体ドラム61に供給するための液体現像剤が貯溜されており,前記現像剤貯溜部101bには,後述するクリーニングベルト113が浸される液体現像剤と共に該クリーニングベルト113から除去された液体現像剤が貯溜される。
前記現像装置Yでは,前記現像剤貯溜部101a内の液体現像剤を所定量かつ所定濃度に維持するべく,前記濃度検出センサ104a,104b及び前記液面高さ検出センサ105a,105bの検出結果に応じて,前記現像剤貯溜部101bから前記現像剤貯溜部101aへ液体現像剤が搬送されるように前記制御部50によって前記現像剤搬送ポンプ103が制御される。また,前記現像装置Yでは,前記濃度検出センサ104a,104b,前記液面高さ検出センサ105a,105bの検出結果に応じて,不図示の現像剤補給装置から前記現像剤貯溜部101a或いは前記現像剤貯溜部101bに液体現像剤が補給される。
【0013】
前記汲み上げローラ106は,前記現像剤貯溜部101aに貯溜している液体現像剤に一部が浸されており,前記供給ローラ107に接触しながら回転することにより該液体現像剤を前記供給ローラ107に供給する。
前記供給ローラ107は,前記汲み上げローラ106及び前記現像ローラ108に接触しながら回転することにより該汲み上げローラ106から供給された液体現像剤を前記現像ローラ108に供給して,該現像ローラ108上にトナーの薄層を形成する。
前記現像ローラ108は,前記供給ローラ107及び前記感光体ドラム61に接触しながら回転することにより該供給ローラ107から供給された液体現像剤を前記感光体ドラム61に供給して,該感光体ドラム61上の静電潜像をトナー像として現像する。また,前記現像ローラ108は,例えば抵抗値が1.0E+04[Ω]〜1.0E+07[Ω]程度の導電性を有する弾性体であって,該現像ローラ108から前記感光体ドラム61へトナーが効率よく移動されるように,不図示の高圧電源によって前記感光体ドラム61よりも低い電位(例えば+100V〜+500V程度)のバイアス電位が印加されているが,過去の経験から+200V〜+300V程度であることが好ましい。なお,前記現像ローラ108は,前記感光体ドラム61に液体現像剤を供給する現像剤供給手段の一例であって,ローラ部材に限られず,ベルト部材から構成されるものであってもかまわない。
【0014】
前記現像ローラ清掃装置110は,不図示のモータによって回転駆動される駆動ローラ111(第1の支持ローラの一例)と,該駆動ローラ111の回転に伴って回転する従動ローラ112(第2の支持ローラの一例)と,この2つのローラに亘って掛け渡されて支持された無端状のクリーニングベルト113(走行ベルトの一例)と,前記クリーニングベルト113を張架した状態に支持する複数の張架ローラ114と,前記クリーニングベルト113に付着した液体現像剤を除去するクリーニングブレード115(クリーニング手段の一例)と,前記クリーニングベルト113によって除去されなかった前記現像ローラ108上の液体現像剤,特にキャリアを除去するクリーニングブレード116と,を備えている。なお,前記クリーニングブレード115の材質には,ウレタン,プラスチック,或いは金属などが用いられる。
このように構成された現像ローラ清掃装置110を有する前記現像装置Yでは,前記現像ローラ清掃装置110において前記クリーニングベルト113を支持する前記駆動ローラ111,前記従動ローラ112或いは前記張架ローラ114の位置や数を適宜変更することにより,装置内において前記クリーニングベルト113を自由に引き回すことが可能である。即ち,前記現像装置Yでは,前記現像ローラ清掃装置110に係る設計上の制限がないため,該現像装置Yのコンパクト化は阻害されない。
【0015】
前記駆動ローラ111には,不図示の高圧電源によって前記現像ローラ108よりも低いバイアス電位または前記現像ローラ108と逆極性のバイアス電位が印加されている。なお,前記駆動ローラ111のバイアス電位は,+200V〜−1000V程度に設定されるが,過去の経験から−300V〜−600V程度であることが好ましい。例えば,前記現像ローラ108に+300Vのバイアス電位が印加されている場合には,前記駆動ローラ111に−400Vのバイアス電位が印加される。
また,前記クリーニングベルト113は,体積抵抗1.0E+05〜1.0E+11[Ω・cm],好ましくは1.0E+06〜1.0E+09[Ω・cm]程度の導電性を有する部材である。したがって,前記駆動ローラ111のバイアス電位により,前記クリーニングベルト113も該駆動ローラ111とほぼ同電位となる。
【0016】
また,前記現像ローラ108は,該現像ローラ108と前記感光体ドラム61との接触位置よりも該現像ローラ108の回転(走行)方向下流側において,前記駆動ローラ111に巻き付けられた前記クリーニングベルト113の巻き付き部Rに接触している。なお,前記現像ローラ108が,前記駆動ローラ111や前記張架ローラ114などによって張架された前記クリーニングベルト113の張架部Sに接触する構成も他の実施例として考えられる。
一方,前記クリーニングブレード115は,前記クリーニングベルト113と前記現像剤貯溜部101b内の液体現像剤との接触部の近傍に配設されており,前記従動ローラ112に巻き付けられた前記クリーニングベルト113の巻き付き部Tに接触している。なお,前記クリーニングブレード115が図2に破線で示す位置に配置される構成,即ち前記従動ローラ112や前記張架ローラ114などによって張架された前記クリーニングベルト113の張架部Uにおいて該クリーニングベルト113と前記クリーニングブレード115とが接触する構成も他の実施例として考えられる。この場合,前記クリーニングブレード115が,ある程度の撓みが許容される柔軟なクリーニングベルト113の張架部Uに接触するため,該クリーニングブレード115を強く前記クリーニングベルト113に圧接させることができ,該クリーニングブレード115による前記クリーニングベルト113上の液体現像剤の除去効率を高めることができる。
【0017】
次に,前記現像ローラ清掃装置110によって行われる前記現像ローラ108に付着した液体現像剤の除去動作について説明する。
前記現像装置Yでは,前記現像ローラ108の回転が開始されると,前記現像ローラ清掃装置110の駆動ローラ111の回転も同時に開始され,前記クリーニングベルト113が駆動される。このとき,前記クリーニングベルト113は,前記現像ローラ108に接触しながら図示する矢印方向,即ち前記現像ロー108との接触部における走行方向が,前記現像ローラ108と同一となる方向に走行する。また,前記クリーニングベルト113は,前記現像ローラ108との接触部において,前記現像ローラ108の走行速度と同等或いはより速い速度で走行する。例えば,前記現像ローラ108の1.0〜1.3倍程度の範囲の速度で走行する。
これにより,前記クリーニングベルト113と前記現像ローラ108との接触部において,前記現像ローラ108に付着した液体現像剤が前記クリーニングベルト113によって除去される。ここで,前述したように前記クリーニングベルト113に,前記現像ローラ108よりも低い電位,または前記現像ローラ108と逆極性のバイアス電位が印加されているため,該現像ローラ108に付着した液体現像剤に含まれたトナーが前記クリーニングベルト113に移行しやすく,該トナーの除去が効果的に行われる。
また,前記クリーニングベルト113と前記現像ローラ108との接触部における各々の走行方向が同一であるため,前記クリーニングベルト113や前記現像ローラ108に大きな負荷が生じることなく磨耗や破損は防止される。
さらに,前記クリーニングベルト113と前記現像ローラ108との接触部における各々の走行速度に差が生じて場合には,前記クリーニングベルト113が前記現像ローラ108に対して摺接しながら走行することとなり,該現像ローラ108上に付着した液体現像剤の除去作用が向上する。
【0018】
次に,前記クリーニングベルト113は,前記現像剤貯溜部101b内の液体現像剤中に浸される。このように,前記クリーニングベルト113が,前記現像ローラ108との接触部及び前記現像剤貯溜部101bに貯溜された液体現像剤との接触部を経由して走行することにより,前記クリーニングベルト113に付着したトナーを含む液体現像剤が,前記現像剤貯溜部101b内の液体現像剤との接触部において軟化される。
そして,前記クリーニングベルト113は,前記現像剤貯溜部101b内の液体現像剤に接触した後,再度前記現像ローラ108に接触する前に,前記クリーニングブレード115に接触する。ここで,前記クリーニングブレード115によって前記クリーニングベルト113に付着した液体現像剤が除去される。このとき,前記クリーニングベルト113に付着した液体現像剤は,前記現像剤貯溜部101bにおける液体現像剤との接触によって軟化されているため,該液体現像剤の除去は効果的に行われる。特に,前記クリーニングブレード115が,前記クリーニングベルト113と前記現像剤貯溜部101b内の液体現像剤との接触部の近傍に配設されており,前記クリーニングベルト113上の液体現像剤が軟化されてすぐに除去されるため,その除去はより効果的に行われる。
なお,本実施の形態では,前記クリーニングベルト113から液体現像剤を除去する手段として前記クリーニングブレード115を用いているが,これに限られず,該クリーニングブレード115に換えてローラやブラシ等のクリーニング手段を用いてもかまわない。
【0019】
一方,前記クリーニングブレード115によって前記クリーニングベルト113から除去されたトナーを多く含む液体現像剤は,前記現像剤貯溜部101bに落下して,前記攪拌フィン102bによって攪拌されることにより,既存の液体現像剤と混合される。このように,前記現像装置Yでは,前記現像ローラ清掃装置110によって除去された液体現像剤が混合される液体現像剤が,前記現像ローラ108に供給するための液体現像剤が貯溜された前記現像剤貯溜部101aと異なる貯溜部である前記現像剤貯溜部101bに貯溜される。そして,前記現像剤貯溜部101b内の前記攪拌フィン102bによって所定の濃度に調整された液体現像剤が,前述したように,必要に応じて前記現像剤搬送ポンプ103により前記現像剤貯溜部101aに搬送される。
したがって,前記現像装置Yでは,前記クリーニングブレード115によって前記クリーニングベルト113から除去されたトナーを含む液体現像剤を有効に再利用することが可能である。しかも,前記現像剤貯溜部101aにおける液体現像剤のトナー濃度にムラが生じないため,前記現像装置Yによる高い現像性能を確保することができる。
【0020】
以上説明したように,前記カラープリンタXに設けられた現像装置Yでは,前記現像ローラ108に付着した液体現像剤を除去するための手段として,装置内で自由に引き回しが可能な前記クリーニングベルト113を用いている。そのため,前記現像装置Yでは,前記現像ローラ108と前記現像剤貯溜部101bの液体現像剤との両方に接触するように前記クリーニングベルト113を配置することについて特段の設計上の制限がない。即ち,前記現像装置Yでは,前記現像ローラ108を清掃するクリーニングベルト113に付着した液体現像剤を効果的に除去することができ,且つ設計上の制限を伴うことがないため,例えば当該現像装置Yの大型化を防止してコンパクト化を実現することが可能である。
【実施例】
【0021】
以下,前記カラープリンタXに設けられた前記現像装置Yの変形例について説明する。ここに,図3は,本実施例に係るカラープリンタXに設けられた現像装置Y1の概略構成を示す図である。なお,前記現像装置Y1において前記現像装置Y(図2参照)と同様の構成については,同じ符号を付してその説明を省略する。
図3に示すように,前記現像装置Y1は,前記現像ローラ108に供給するための液体現像剤と,前記現像ローラ清掃装置110によって除去されたトナーが混合される液体現像剤とが,共通の現像剤貯溜部101cに貯溜される点で,前記現像装置Yと構成を異にする。
具体的には,前記現像装置Y1は,液体現像剤が貯溜される現像剤貯溜部101cと,前記現像剤貯溜部101c内の液体現像剤を攪拌する攪拌ローラ102c及び攪拌フィン102dと,前記現像剤貯溜部101c内の液体現像剤のトナー濃度を検出する濃度検出センサ104cと,前記現像剤貯溜部101c内の液体現像剤の液面高さを検出する液面高さ検出センサ105cと,を備えて構成されている。前記現像装置Y1では,前記濃度検出センサ104c及び前記液面高さ検出センサ105cの検出結果に応じて,不図示の現像剤補給装置から液体現像剤が補給されることにより,前記現像剤貯溜部101c内の液体現像剤が,所定量かつ所定濃度に維持される。
このように構成された前記現像装置Y1では,前記現像ローラ清掃装置110において前記クリーニングブレード115によって前記クリーニングベルト113から除去されたトナーが,前記現像剤貯溜部101cに落下して前記攪拌フィン102d及び前記攪拌ローラー102cによって攪拌されて既存の液体現像剤に混合される。そして,これにより所定の濃度に調整された液体現像剤が,前記汲み上げローラ106,前記供給ローラ107及び前記現像ローラ108によって,前記感光体ドラム61に供給される。このように,前記現像装置Y1のような構成によっても,前記現像ローラ清掃装置110において前記クリーニングブレード115によって前記クリーニングベルト113から除去されたトナーを有効に再利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るカラープリンタの概略構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係るカラープリンタに設けられた現像装置の概略構成図。
【図3】本発明の実施例に係るカラープリンタに設けられた現像装置の概略構成図。
【符号の説明】
【0023】
61…感光体ドラム(像担持体の一例)
101a…現像剤貯溜部(第1の貯溜部の一例)
101b…現像剤貯溜部(第2の貯溜部の一例)
101c…現像剤貯溜部
102a,102c…攪拌ローラ
102b,102d…攪拌フィン(攪拌手段の一例)
103…現像剤搬送ポンプ(搬送手段の一例)
104a,104b,104c…濃度検出センサ
105a,105b,105c…液面高さ検出センサ
106…汲み上げローラ
107…供給ローラ
108…現像ローラ(現像剤供給手段の一例)
109,116…クリーニングブレード
110…現像ローラ清掃装置
111…駆動ローラ(第1の支持ローラの一例)
112…従動ローラ(第2の支持ローラの一例)
113…クリーニングベルト(走行ベルトの一例)
114…張架ローラ
115…クリーニングブレード(クリーニング手段の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定電位に帯電された像担持体に接触して液体現像剤を供給する現像剤供給手段を備えてなる現像装置であって,
前記像担持体と前記現像剤供給手段との接触位置よりも前記現像剤供給手段の走行方向下流側における前記現像剤供給手段との接触部及び貯溜された液体現像剤との接触部を経由して走行する無端状の走行ベルトと,
前記走行ベルトが前記液体現像剤に接触した後,前記現像剤供給手段と接触する前に前記走行ベルトに接触して前記走行ベルト上の液体現像剤を除去するクリーニング手段と,
を具備してなることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤供給手段が,ローラ部材或いはベルト部材からなる請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像剤供給手段に所定のバイアス電位が印加されてなり,
前記走行ベルトに,前記現像剤供給手段よりも低いバイアス電位または前記現像剤供給手段と逆極性のバイアス電位が印加されてなる請求項1又は2のいずれかに記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像剤供給手段が,前記走行ベルトを支持する第1の支持ローラへの前記走行ベルトの巻き付き部或いは前記第1の支持ローラによって張架された前記走行ベルトの張架部と接触してなる請求項1〜3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記走行ベルトが,前記現像剤供給手段との接触位置において前記現像剤供給手段と同方向に走行するものである請求項1〜4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
前記走行ベルトが,前記現像剤供給手段の走行速度以上の速度で走行するものである請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記クリーニング手段が,前記走行ベルトと前記液体現像剤との接触部の近傍に配設されてなる請求項1〜6のいずれかに記載の現像装置。
【請求項8】
前記クリーニング手段が,前記走行ベルトを支持する第2の支持ローラへの前記走行ベルトの巻き付き部或いは前記第2の支持ローラによって張架された前記走行ベルトの張架部に接触してなる請求項1〜7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像剤供給手段によって前記像担持体に供給される液体現像剤を貯溜する第1の貯溜部と,
前記走行ベルトが浸される液体現像剤を貯溜すると共に,前記クリーニング手段により前記走行ベルトから除去された液体現像剤を貯溜する第2の貯溜部と,
前記第2の貯溜部に貯溜された液体現像剤を攪拌する攪拌手段と,
前記第2の貯溜部から前記第1の貯溜部に液体現像剤を搬送する搬送手段と,
を更に備えてなる請求項1〜8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
前記第1の貯溜部と前記第2の貯溜部とが共通の貯溜部からなる請求項9に記載の現像装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の現像装置を備えてなる画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−93759(P2007−93759A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280256(P2005−280256)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】