説明

現在時刻表示機能付き時刻表の表示装置

【課題】交通機関の駅等に設置される時刻表において、現在時刻に対応する位置を瞬時に知るとともに、現在の時刻に最も近い発車時刻の列車の情報を素早く見つけたり、乗りたい列車の発車までのおおよその時間を直感的に知らしめることが可能な時刻表を提供する。
【解決手段】時刻表2Aの背面に、時刻表の「時・分」を表す表示形式に従って光源7を点列状に設置し、現在時刻に対応する位置の光源のみを点灯ないし点滅させることによって、おおよその現在時刻を表示する機能を持たせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交通機関の駅等に設置される時刻表の表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の交通機関の駅等に設置される時刻表は、図3に示すように、縦に「時」を表す行3が行を分ける区切り線4を伴ってあり、各便(以下、便を列車と表現する。同様に、鉄道を例に表記する。)の発車時刻は該当する「時」の行中に「分」数を示す数字6を羅列することによって示すものであるか、または、横に0分から59分に対応するように幅5を持っていて、左端を0分、右端を59分としておおよそ対応する横位置に「分」数を示す数字6を配置することによって示すものである。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開 2006−201419号公報
【0003】
時刻表内の「時」を表す行中にある列車の発車時刻の「分」数を示す数字6は、例えば特急や急行などといった列車の種別や行き先を細かく示す目的で記号や文字を伴ったり、色を伴ったり、あるいは、その両方を用いたりする場合がある。(例えば、特許文献2参照。)。またこの表自体を複数個利用して、平日用の時刻表2A、土日・休日用の時刻表2Bなどの異なる運行パターンを表示する場合もある。
【特許文献2】特開 2006−215416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上の技術によれば、何らかの方法で現在時刻を知った上で、該当する「時」の行中の「分」に対応する横位置付近の位置をさがし求め、さらにその右方を、場合によりその直下行の左端から右方へと調べるなどによって、現在の時刻に最も近い発車時刻の列車の情報を得たり、乗りたい列車の発車までのおおよその時間を求める必要がある。また、複数の運行パタンがある場合は、最初にその日が平日かそうでないかを思い出すか知った上で、どの時刻表を参照すべきかを判断する必要もある。(時刻表そのまま表として記録するなどの場合を除く。)。
【0005】
また、以上の技術によれば、運休したり遅延するなどの注意を要する列車が突発的に生じた場合に、そのことを周知するためには、時刻表とは別に掲示する必要がある。したがって、そのような列車と現在時刻との関係は判断や暗算等を必要とし、また、その列車と前後する列車との関係などについては、改めて時刻表内に注意を要する列車の位置をさがし求め、前後する列車の種別や行き先などの情報を得たり、場合によっては乗るべき列車の変更を検討したりする必要がある。
【0006】
そこで、この発明は、時刻表の現在時刻に対応する位置を瞬時に知るとともに、現在の時刻に最も近い発車時刻の列車の情報を素早く見つけたり、乗りたい列車の発車までのおおよその時間を直感的に提供することを目的とするものである。
【0007】
加えて、この発明は、注意を要する列車の存在を瞬時に知らせること、注意を要する列車と現在時刻との関係を容易に理解すること、また、注意を要する列車と乗りたい列車との関係を容易に知りうること、それらすべてを時刻表の表示装置内で可能にすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、第一発明は、時刻表の「時・分」を表す表示形式に従って点列状に配置された光源を背面に設けたことを特徴とする、交通機関の駅等に設置される時刻表の表示装置である。
また、第二発明は、点列状に配置された光源を背面に設け、それら光源のうちの任意の位置の光源を複数の異なる方法で点灯ないし点滅させる機能をもつことを特徴とする、交通機関の駅等に設置される時刻表の表示装置である。
【0009】
また、第三発明は、任意の位置の光源を点灯ないし点滅させる機能をもった点列状に配置された光源を背面に設け、それら光源のうち現在時刻の「時」に対応する行中の、現在時刻の「分」に対応する横位置の光源を点灯ないし点滅させることによって、時刻表の「時・分」を表す表示形式にしたがって現在時刻を表示できることを特徴とする、交通機関の駅等に設置される時刻表の表示装置である。
【発明の効果】
【0010】
第一発明によれば、平日用、土日・休日用などの異なる運行パターンを複数の時刻表を用いて表示する場合に、点灯ないし点滅している光源が表内にある方の時刻表が、今日の参照すべき表であると一目瞭然に知ることができる。
【0011】
第一発明、第二発明、第三発明によれば、現在時刻をあらかじめ知っておくことなく、また、現在時刻に対応する表内の該当する「時」の行中の「分」に対応する横位置をさがし求めることもなく、時刻表内の現在時刻に対応する位置を一目瞭然に知ることができ、おおよその現在時刻を時刻表内の位置から容易に知ることができる。
【0012】
第一発明、第二発明、第三発明によれば、現在時刻に最も近い発車時刻の列車の情報や乗りたい列車の情報を、点灯ないし点滅する光源の位置から右方を、場合によりその直下行の左端から右方を調べることで、容易に素早く得ることが可能である。
【0013】
第一発明、第二発明、第三発明によれば、現在時刻に最も近くに発車する列車の発車時刻までの時間や、乗りたい列車の発車時刻までのおおよその時間を、暗算等によることなく、点灯ないし点滅する光源の位置と列車の発車時刻を示す文字までの距離から直感的に得ることが可能である。
【0014】
第一発明、第二発明によれば、時刻表内の特定の列車の発車時刻を示す「分」数の背面に位置する光源を、現在時刻と異なる方法で点灯ないし点滅させることにより、遅延、運休等といった注意を要する列車であることを示すことができる。現在時刻と異なる方法で点灯ないし点滅させる方法としては、例えば、点灯する強さを違えたり、あるいは、点滅の時間間隔を違えたり、あるいは、点灯ないし点滅する色を違えたり、などによる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の一実施形態を、図1および図2に示す。
図1に示すように、自立型の時刻表の表示装置を例にする。この時刻表の表示装置の表示部分1は半透明の板からなる。この表示部分1には従来からの時刻表2が描かれる。この表示部分1には平日用の時刻表2Aと土曜・休日用の時刻表2Bなどのように複数の表をもつ場合も多い。また、図2に示すように、両面に表示部分を、すなわち、表面の表示部分1Aと裏面の表示部分1Bを、もつ場合も多い。
【0016】
この従来からの時刻表2は、縦に「時」を表す行3があり、横に行を分ける区切り線4が描かれ、横方向にはおおよそ0分から59分を示す幅5を持っている。また、この表内には各列車の発車時刻に対応する位置に、すなわち、該当する「時」の行中の、幅5の左端を0分、幅5の右端を59分としておおよそ対応する横位置に、発車時刻の「分」数を表す数字6が示されている。
【0017】
この表示部分1の時刻表2の背面には、図2に示すように、時刻表の「時・分」を表す表示形式に従って光源7が点列状に設置されている。すなわち、幅5と同じ長さの点列状の光源7が光源列8をつくり、この光源列8が行3の数だけ縦に並べられている。この光源7は時刻表2内の発車時刻の「分」数を示す数字6を浮き上がらせる程度の大きさで、かつ、グレアとならない程度の強さで点灯ないし点滅することができる。
【0018】
この光源7は、時刻表の「時・分」を表す表示形式にのっとり現在時刻に対応する位置の光源7のみを点灯ないし点滅させることにより、おおよその現在時刻を表示することができる。平日用の時刻表2Aと土曜・休日用の時刻表2Bのように複数の時刻表2を表示部分1にもつ場合は、その日に参照すべき側の時刻表2の、現在時刻に対応する位置の光源7のみを点灯ないし点滅させることにより、現在時刻と同時に参照すべき時刻表がどの時刻表かを示すことができる。
【0019】
この光源7は、同様に特定の列車の発車時刻を示す「分」数の背面に位置する光源7のみを、現在時刻とは異なる方法で点灯ないし点滅させることにより、遅延や運休等といった注意を要する列車であることを示すことができる。
【0020】
「実施形態の効果」
この実施形態によれば、時刻表の表示装置の表示部分1に複数の時刻表2がある場合に、その日はどの時刻表を参照すべきなのかを、点灯ないし点滅する光源7の有無により容易に知ることができる。列車の発車時刻を示す数字6とおおよその現在時刻を示す光源7による光を同時に見ることにより、現在時刻に最も近い乗るべき列車をいち早く見つけること、乗るべき列車が発車するまでのおおよその時間を知ることが容易に可能である。また、特定の列車の発車時刻を示す数字6のすぐ背面にある光源7が、現在時刻を示すものと異なる方法で点灯ないし点滅することで、遅延・運休等するなど注意をすべき列車の存在することや、注意をすべき列車が現在時刻とおおよそどのぐらい前後する列車なのかを、容易に知ることができる。
【0021】
「他の実施形態」
図1の実施形態では、時刻表の「時・分」を表す表示形式に従って点列状に配置された光源列8が、「時」に対応する行毎に1列設けられているが、他の実施形態では、「時」に対応する行毎に複数の列からなる光源列8を設けたものでもよい。また、複数の光色を点灯のしかたにより発光することができるように、複数色ないし赤・緑・青等の3色からなるより小さい光源を用いた光源列ないし光源行列面を各行に設けたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明の一実施形態を示す立面図である。
【図2】この発明の一実施形態を示す断面図である。図1中のA−Aを切断面とする。
【図3】従来技術を示す立面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 表示部分 1A 表面の表示部分(両面にある場合)
1B 裏面の表示部分(両面にある場合)
2 時刻表 2A 平日用の時刻表
2B 土曜・休日用の時刻表
3 「時」表す行 4 行を分ける区切り線
5 0分から59分を示す幅 6 列車の発車時刻の「分」数を表す数字
7 光源 8 光源列


【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻表の「時・分」を表す表示形式に従って点列状に配置された光源を背面に設けたことを特徴とする交通機関の駅等に設置される時刻表の表示装置。
【請求項2】
前記光源は、任意の位置の光源を複数の異なる表示形式で点灯ないし点滅させる機能をもつことを特徴とする、請求項1に記載した交通機関の駅等に設置される時刻表の表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の光源は、現在時刻の「時」に対応する行中の、現在時刻の「分」に対応する横位置の光源のみを点灯ないし点滅させることによって、時刻表の「時・分」を表す表示形式に従って現在時刻を表示できることを特徴とする、請求項1に記載した交通機関の駅等に設置される時刻表の表示装置。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate