説明

球体発射玩具

【課題】単純な構造でありながら玩具から発射された球体の動作態様を変化に富んだ動作態様にすることができるとともに、玩具の小型化を図ることができる球体発射玩具を提供すること。
【解決手段】弾き片3a、3b間に収容した球体Bを押し出し部材4で押し出して玩具本体Aの前部に設けられた発射口2から前方に弾き出す球体発射玩具において、上記球体Bを少なくとも2種類の素材を組み合わせて構成し、構成する素材の1つを、他の素材よりも重い素材で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球体発射玩具、詳しくは発射される球体を複数の素材で構成した球体発射玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、球体を発射させる玩具として本出願人より弾性を有する一対の挟持片間に収容した球体を、挟持片の後方から押し出し部材で球体を前方に挟持片を開拡しながら押し出し、挟持片の弾発力で球体を前方に発射する玩具が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この玩具は、挟持片の弾発力で発射されるためその発射の方向や速度が一定であり、単純であるため、その単純さを改善した発射玩具が本出願人より新たに提案されている(例えば、特許文献2)。
【0004】
この発射玩具は、発射する球体の方向や転がりに変化を与え、遊びの幅を広げるとともに、ゲーム性を高めることができる球体発射玩具を提供するために、球体を弾き出す一対の弾き片と、弾き片間に収容した球体4を押し出す押し出し部材とを備え、上記一対の弾き片の先端内側の球体に対する摩擦力を互いに異なるようにするとともに、発射された球体の発射方向を変えるガイド筒を備えたものである。
【特許文献1】実開平06−058999号公報
【特許文献2】特開平09−299621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、特許文献2の玩具は特許文献1の玩具の単調な球体の発射を改善することはできるが、そのためには発射方向を変えるガイド筒を玩具本体に取り付けなければならず、球体の発射方向を変えることができる効果は得られるが、部品の点数が増えるとともに玩具本体の小型化を図ることが難しい点であった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決し、単純な構造でありながら玩具から発射された球体の動作態様を変化に富んだ動作態様にすることができるとともに、玩具の小型化を図ることができる球体発射玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明に係る球体発射玩具は、弾き片間に収容した球体を押し出し部材で押し出して玩具本体の前部に設けられた発射口から前方に弾き出す球体発射玩具において、上記球体を異なる少なくとも2種類の素材を組み合わせて構成したことを特徴とする。
【0008】
なお、前記球体を構成する素材の1つを、他の素材よりも重い素材で構成し、発射された球体の動きが単純にならないようにすることが好ましい。
【0009】
また、前記球体発射玩具は、以下の要件を備えるようにし、球体の動きを強調させるようにしてもよい。
(イ)前記球体の直径方向の周面には摩擦部材が周設されていること
(ロ)上記摩擦部材に対応する前記弾き片の接触面には摩擦部材を配設したこと
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、球体を性質の異なる素材を組み合わせて構成したので、発射玩具から発射すると球体は予想しない回転で転がるので、発射した球体の動きを楽しむことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、球体を構成する素材の中で一方の素材を、他の素材よりも重い素材で構成したので、重い素材の回転が主体をなし、球体の回転時に重い素材がどこにあるのかによって、発射するたびにその軌跡が変わり予測できない軌跡を描いて転がすことができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、球体の直径方向に摩擦部材を周設し、球体の摩擦部材に対応する位置の弾き片にも摩擦部材を設けたので、球体を発射させる時点で回転力を付与することができ、威力のある球体を発射できるので対戦する相手の球体発射玩具を強烈にアタックすることができ、対戦を面白くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
弾き片間に収容した球体を押し出し部材で押し出して玩具本体の前部に設けられた発射口から前方に弾き出す球体発射玩具において、上記球体を異なる性質を有する少なくとも2種類の素材を組み合わせて構成し、前記球体を構成する素材の1つを、他の素材よりも重い素材で構成した。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る球体発射玩具を示し、この球体発射玩具は、玩具本体Aがロボットを模して形成され、この玩具本体Aの胴体部1には前面に発射口2が形成され、内部には球体Bを弾き出す一対の弾き片3a、3bと、弾き片3a、3b間に収容した球体Bを押し出す押し出し部材4とが配置され、胴体部1の内部に収容した球体Bを、押し出し部材4を戻しスプリング5に抗して押し操作することによって、弾き片3a、3bの先端を押し広げながら球体Bを押し出すとともに、球体Bの最大径が弾き片3a、3bの先端を通過した瞬間、弾き片3a、3bの弾性復元力で球体Bを胴体部1に形成された発射口2から前方に勢いよく発射することができるようになっているものである。
【0015】
ところで、この球体発射玩具Aによって発射される球体Bは、全体が同一素材(例えば、ABS樹脂)で形成されている従来の球体と同じものではなく、図2(a)〜(d)に示すように、第1の半球体6と第2の半球体7とを結合して構成されているもので、第1の半球体6の内面6a中央にはネジ孔8が形成され、第2の半球体7の外周面7aの中央にはネジ10の頭部10aを収容する凹部11が形成され、この凹部11の底面にはネジ10を貫通させる貫通孔12が内面7bに開口するように形成されているもので、第1の半球体6と第2の半球体7との内面6a、7b同士を当接させ、貫通孔12に差し込んだネジ10の先端をネジ孔8に捻じ込むことにより、異なる素材から構成される球体Bを形成することができる。
【0016】
なお、本実施例では、第1の半球体6を従来の球体と同じ素材(例えば、ABS樹脂)、第2の半球体7を第1の半球体6よりも重い金属(例えば、鉄、ステンレスなど)で構成した。
【0017】
上記構成の球体Bを上述の玩具本体Aから発射する際は、図3に示すように、玩具本体Aの弾き片3a、3b間に収容された球体Bを、押し出し部材5を押し操作して発射すると、第1の半球体6と第2の半球体7とからなる球体Bは、発射口2から発射されるが、第1の半球体6と第2の半球体7との位置が常に同じ状態になるとは限らないので、発射された球体Bは重心が第2の半球体7側に偏っているので不規則な軌跡を描いて転がることになり、ユーザーの意図する方向とは必ずしも一致しない、予想外の軌跡を描いて発射させることができる。
【実施例2】
【0018】
図4は球体発射玩具の他の例を示し、この球体発射玩具は、直径方向の周面に帯状に摩擦部材20を周設した球体B´と、この球体B´を発射する玩具本体A´とで構成されているものである。この玩具本体A´は、3つの弾き片21a、21b、21cを発射口22の周囲に等間隔に配置したもので、最下端に位置する弾き片21aの内側面には、摩擦部材23が取り付けられている。この摩擦部材23はスチレン系エラストマーやゴム等の摩擦係数の高い素材で構成され、摩擦部材23の内側面は弾き片21aの内側面から突出して球体B´に押し付けられるように、弾き片21aの内側面に形成された図示しない凹部に接着剤等で固定されている。
【0019】
一方、球体B´は、図5(a)〜(d)に示すように、第1の半球部25、第2の半球体26と、リング状の摩擦部材20とで構成されている。第1の半球対25と第2の半球体26との内側面には、それぞれ摩擦部材20を嵌め合わせる嵌合凸部27、28が形成され、この嵌合凸部27、28の高さは摩擦部材20の幅の半分に形成されている。第1の半球体25の嵌合凸部27の中央にはネジ孔29が形成され、第2の半球体26の外側面26aの中央にはネジ31の頭部31aを収容する凹部30が形成され、この凹部30の底部にはネジ31の先端を貫通させる貫通孔32が内側面26bに開口するように形成されているもので、第1の半球体25の嵌合凸部27に摩擦部材20を嵌め合わせ、第2の半球体26の嵌合凸部28を摩擦部材20に嵌め合わせるとともに、第1の半球体25と第2の半球体26との嵌合凸部27、28同士を当接させ、貫通孔32に差し込んだネジ31をネジ孔29に捻じ込むことにより、摩擦部材20が周設された球体B´を形成することができる。
【0020】
上記構成の球体B´を発射する場合は、先ず球体B´を弾き片21a、21b、21c間に収容する。この際、球体B´の摩擦部材20が垂直状態になるように玩具本体A´の弾き片21a、21b、21c間に収容することにより球体B´の摩擦部材20と弾き片21aの摩擦部材23とを当接した状態にすることができる。
【0021】
球体B´を玩具本体A´に収容したならば、押し出し部材35を戻しスプリング36に抗して前方に向かって押し操作する。球体B´は弾き片21a、21b、21cを押し広げながら押し出され、球体Bの最大径が弾き片21a、21b、21cの先端を通過した瞬間、弾き片21a、21b、21cの復元力で球体Bを胴体部1に形成された発射口22から前方に勢いよく発射されるが、球体B´の摩擦部材20と弾き片21aの摩擦部材23とが圧接しているので球体3には前方に回転する回転力が与えられ、発射された球体B´は前転しながら直進し、速いスピードでしかも長い距離を転がすことができる。
【0022】
上述したように玩具本体には、特別な機構を取り付けることがなく、従来の発射玩具と同じ大きさでありながら、球体の動作態様を変化に富んだ動作態様にすることができ、新たな遊び方を模索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る球体発射玩具の一例を示す斜視図
【図2】(a)〜(d)は球体の構成を説明する斜視図、断面図及び分解斜視図
【図3】上記球体が発射された状態を説明する平面図
【図4】球体発射玩具の他の例を説明する斜視図
【図5】(a)〜(d)は上記他の例の球体発射玩具に用いられる球体の構成を説明する斜視図、断面図及び分解斜視図
【図6】上記他の例の球体が発射される状態を説明する側面図
【符号の説明】
【0024】
1 胴体部
2 発射口
3a、3b 弾き片
4 押し出し部材
6 第1の半球体
7 第2の半球体
A 玩具本体
B 球体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾き片間に収容した球体を押し出し部材で押し出して玩具本体の前部に設けられた発射口から前方に弾き出す球体発射玩具において、上記球体を異なる少なくとも2種類の素材を組み合わせて構成したことを特徴とする球体発射玩具。
【請求項2】
前記球体を構成する素材の1つを、他の素材よりも重い素材で構成した、請求項1記載の球体発射玩具。
【請求項3】
以下の要件を備えることを特徴とする、請求項1記載の球体発射玩具。
(イ)前記球体の直径方向の周面には摩擦部材が周設されていること
(ロ)上記摩擦部材に対応する前記弾き片の接触面には摩擦部材を配設したこと
前記弾き片の1つには上記球体に接触する接触面に摩擦部材を配設し、該摩擦部材と球体の摩擦部材とが対応した状態で発射されること



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−136505(P2006−136505A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−328668(P2004−328668)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000132998)株式会社タカラ (35)
【Fターム(参考)】