説明

理美容用蒸気供給装置

【課題】理美容用蒸気供給装置において、室温(一般的には20℃)の水を給水しても、蒸気生成タンク内の水の温度と蒸気圧力が、給水に起因する低下がない装置を提供する。
【解決手段】蒸気生成タンク3の外周壁面に、熱伝導性のよい材質からなる送水管4Cを密着コイル巻きし、蒸気生成タンク3内の圧力を封止する逆止弁4Eを、送水管4Cの給水ポンプ2側に取り付ける。これにより、密着コイル巻きした送水管4C内に滞在する水の温度と圧力を蒸気生成タンク3内の水と同等にし、スチーム施術中に蒸気生成タンク3内に給水する場合であっても、噴出蒸気の圧力や温度変化を無くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部毛髪あるいは特定皮膚に蒸気を当てて、薬剤の反応促進、保湿、保温などに好適な理美容用蒸気供給装置、特に蒸気生成タンクへ水を送り込む構造を改良した理美容用蒸気供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の理美容用蒸気供給装置として、給水タンクの水を送水管を介して密閉された蒸気生成タンクに送り、蒸気生成タンク内で水を加熱するとともにそれにより生成された蒸気を高圧状態で貯留し、この貯留された蒸気を蒸気開放弁、蒸気導管を介して蒸気噴出部から大気へ噴出させる形式のものが存在する。この形式の理美容用蒸気供給装置では、蒸気を大気へ噴出するに伴い、蒸気生成タンク内の水が減少するため、蒸気生成タンクへ水を補給、すなわち給水する必要がある。
【0003】
この形式の理美容用蒸気供給装置では、手動で給水する構造のものや、電気的に作動するポンプを使用して給水する構造のものがある。手動で給水する構造のもの(例えば、特許文献1)は、特許文献1の図1に示すように、蒸気生成タンク1内の高圧の蒸気を大気中へ放出して蒸気生成タンク1内を大気圧と同等にした後、給水栓13を外して給水口11から手動で給水する。すなわち、給水して再使用するためには、蒸気生成タンク内の圧力を大気圧にした後に手動で給水し、蒸気生成タンクの水を再加熱して蒸気を生成しながら大気圧から規定圧力に上昇するまで待つこととなる。
【0004】
また、電気的に作動する給水ポンプを使用して給水する構造のもの(例えば、特許文献2)は、給水する水を収容する給水タンク、給水タンクの水を送出する給水ポンプ、水を加熱するとともにそれにより生成された蒸気を高圧状態で貯留する蒸気生成タンク、及びそれぞれを順に連結して水を搬送する送水管を主要構成部材としている。この給水ポンプは高圧下でも給水できる、例えば電磁ポンプなどを使用するために、蒸気生成タンク内の高圧の蒸気を大気中へ放出する必要はない。ところで、給水タンクに収容されている水は、理美容用蒸気供給装置が設置されている室温(約20℃)と略同じ温度になっており、その水が給水ポンプにより送水管を通って蒸気生成タンク内へ送出されることになる。一方、蒸気生成タンク内は、水を加熱しているため、その水は高温に維持されている。したがって、高温に維持されている蒸気生成タンク内へ室温(蒸気生成タンク内に比べてはるかに低温)の水を補給すると、蒸気生成タンク内の水は一時的ではあるものの温度が低下する。
【0005】
蒸気生成タンク内の水の温度が低下すると、蒸気生成タンク内の蒸気圧力の低下という現象が発生する。理美容用蒸気供給装置のスチーム施術中、つまり蒸気を大気へ噴出させている状況下において、給水による蒸気圧力の低下という現象が発生した場合、蒸気の噴出速度、あるいは蒸気の噴出量が著しく減少する。また、乾燥感のある蒸気が湿っぽい蒸気に変わって蒸気の質感が変化する。理美容用蒸気供給装置にあっては、スチーム施術中にこのようなスチーム(蒸気)の状態が急激に変化することは好ましくない。
【0006】
上記のような弊害を避けるため、通常、蒸気を大気へ噴出させている状況下では蒸気生成タンクへの給水は行わないようにしたり、極めて少量の給水を行うなどの対応により、蒸気生成タンク内の温度を著しく低下させないようにしている。
【0007】
ここで、電気的に作動する給水ポンプを使用して給水する構造を有する理美容用蒸気供給装置の具体構成の一例を図2に示す。この理美容用蒸気供給装置は、給水する水を収容する給水タンク101、給水タンク101の水を送出する給水ポンプ102、水を加熱するとともにそれにより生成された蒸気を高圧状態で貯留する蒸気生成タンク103、これらを順に連結して水を搬送する送水管104(104A、104B)、蒸気生成タンク103に貯留された蒸気の噴出の開閉動作を行う蒸気開放弁105、蒸気開放弁105が開状態になったときに蒸気を導く蒸気導管106、蒸気導管106によって導かれる蒸気を大気へ噴出させる蒸気噴出部107を主要構成部材としている。蒸気生成タンク103内には、電気的に制御されるタンクヒーター103Aが配設されており、このタンクヒーター103Aで加熱されて生成された蒸気が高温高圧(例えば、4気圧、約140℃)の状態で貯留されている。貯留されている蒸気は、蒸気開放弁105、蒸気導管106、蒸気噴出部107を通して大気へ噴出され、毛髪や皮膚などに照射して消費される。その結果、蒸気生成タンク103内の水が少なくなってその水量が所定量に達すると、給水タンク101に収容された水が給水ポンプ102の電気的作動により、連結された送水管104(104A、104B)を通って蒸気生成タンク103内へ送出される。ここで、給水タンク101に収容されている水は、理美容用蒸気供給装置が設置されている室温(約20℃)と略同じ温度になっており、その水が蒸気生成タンク103内へ送出されることになる。また、蒸気生成タンク103と送水管104Bとの連結部に蒸気生成タンク103内の圧力を封止する封止弁(例えば、逆止弁)104Eが取り付けてある。更に、蒸気生成タンク103内の水を排水するための排水弁104Fが装備されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−029503号公報(第7頁、図1)
【特許文献2】特開2007−275251号公報(第17頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図2に示した理美容用蒸気供給装置にあっては、高圧高温(例えば、4気圧、約140℃)状態に維持されている蒸気生成タンク103内の水へ、給水タンク101に収容されている室温(約20℃)の水を給水することで、蒸気生成タンク103内の水の温度が著しく低下して、蒸気生成タンク103内の蒸気圧力が低下してしまう現象及び蒸気噴出中に給水した場合は、噴出蒸気の量や質感が変化することが問題であった。
【0010】
本発明は、係る事由に鑑みてなしたものであり、その目的とするところは、給水しても蒸気生成タンク内の蒸気圧力が給水に起因する蒸気圧力の低下がない理美容用蒸気供給装置を提供することにある。更には、蒸気噴出中に給水した場合には、給水が起因する噴出蒸気の量、質感が変わらない理美容用蒸気供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための、請求項1に記載の理美容用蒸気供給装置は、給水タンクの水を給水ポンプにより送水管を介して密閉された蒸気生成タンクに送り、蒸気生成タンク内で水を加熱するとともにそれにより生成された蒸気を高圧状態で貯留し、この貯留され
た蒸気を蒸気開放弁、蒸気導管を介して蒸気噴出部から大気へ噴出させる理美容用蒸気供給装置であって、前記送水管を介して前記蒸気生成タンクに送られる水を予め加熱することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の理美容用蒸気供給装置は、請求項1に記載の理美容用蒸気供給装置において、前記送水管を介して前記蒸気生成タンクに送られる水を、前記送水管が前記蒸気生成タンクの輻射熱及び/又は伝導熱により加熱されることにより、予め加熱することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の理美容用蒸気供給装置は、請求項1又は請求項2に記載の理美容用蒸気供給装置において、前記送水管は、高熱伝導性材料製であり、前記蒸気生成タンクの周囲に巻回されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の理美容用蒸気供給装置は、請求項3に記載の理美容用蒸気供給装置において、前記蒸気生成タンクと前記給水ポンプ間を連結する前記送水管の蒸気生成タンクの周囲に巻回されている部分より給水ポンプ側に、蒸気生成タンク内の圧力を封止する封止弁を介挿したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の本発明理美容用蒸気供給装置によれば、頭部毛髪や皮膚などへスチーム照射することにより消費した蒸気生成タンク内の水を補給するために、給水ポンプで給水した場合、蒸気生成タンク内の加熱されている水の温度や蒸気圧力を低下させることなく給水できる。また、蒸気噴出中に給水を行っても給水による噴出蒸気の減速、減量、蒸気質感の変化なく使用することが可能となる。
請求項2記載の発明によれば、蒸気生成タンクから放熱される熱を、蒸気生成タンクに供給する水の加熱に有効に活用することができる。請求項3記載の発明によれば、蒸気生成タンクの外表面から放熱される熱で、送水管で送られる水を効率良く加熱することができる。請求項4記載の発明によれば、送水管内の水を蒸気生成タンク内の水と同等の圧力と温度にすることが可能であり、また逆流を防止して安全に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る理美容用蒸気供給装置の構造図
【図2】従来の理美容用蒸気供給装置の構造図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための好ましい形態を説明する。本発明の実施形態に係る理美容用蒸気供給装置は、図1に示すように、給水する水を収容する給水タンク1、給水タンク1の水を送出する給水ポンプ2、水を加熱するとともにそれにより生成された蒸気を高圧状態で貯留する蒸気生成タンク3、これらを順に連結して水を搬送する送水管4A、4B、4C、蒸気生成タンク3に貯留された蒸気の噴出の開閉動作を行う蒸気開放弁5、蒸気開放弁5が開状態になったときに蒸気を導く蒸気導管6、蒸気導管6によって導かれる蒸気を大気へ噴出させる蒸気噴出部7を主要構成部材としている。
【0018】
蒸気生成タンク3には、水を加熱して蒸気を生成するタンクヒーター3A、水量を検知する液面センサー3B、蒸気圧力を手動で大気中へ放出して蒸気生成タンク3内の蒸気圧力を大気圧と同等にする蒸気放出弁部3Cの蒸気通過部分、蒸気開放弁5の蒸気通過部分が内蔵されている。この蒸気生成タンク3は、蒸気生成タンク3内の蒸気圧力を検知する圧力センサー11、蒸気生成タンク3内を大気開放系と密閉系の両方にすることができる電磁弁12、電気回路基板13−1等とともに、筐体である装置本体C内に装備されている。装置本体Cの上側外面には、操作者が装置を操作するための操作パネル基板13−2が配設されている。また、蒸気開放弁5と蒸気放出弁部3Cの各操作軸部も装置本体Cから突出しており、それぞれに操作つまみ5T、3CTが装着されている。
【0019】
蒸気生成タンク3の下方(底)には、三方継手14の一方が装着され、残りニ方はそれぞれ送水管4C、排水弁4Fが接続され装置本体C内に配設されている。尚、送水管4Cの接続口は排水弁4Fの接続口より上方に配置するほうが好ましい。
【0020】
ここで、動作フローに従って理美容用蒸気供給装置全体の形態を説明する。まず最初に操作パネル基板13−2上に備えられている運転スイッチを押すと、電磁弁12が開いて蒸気生成タンク3内を大気開放系にし、給水ポンプ2が作動して給水タンク1に収容した水を送水管4A、4B、4Cを通して蒸気生成タンク3の底部にある3方継手14から蒸気生成タンク3内へ給水する。蒸気生成タンク3に内蔵されている液面センサー3Bが満水(例えば水量2000ml)を検知すると、給水ポンプ2の作動が停止して給水が止まる。また、電磁弁12が閉じて蒸気生成タンク3内を密閉系とする。
【0021】
タンクヒーター3Aへの通電が開始され、蒸気生成タンク3内の水が加熱される。加熱された水は水蒸気を生成し、満水でも蒸気生成タンク3内の上方に確保された空間(例えば500ml容量)に圧力を有しながら蓄積される。圧力センサー11の計測値の上限設定値(例えば4気圧)に達すると、タンクヒーター3Aへの通電が停止し、水の加熱が停止される。蒸気の噴出動作や時間経過による蒸気圧力の低下があり、圧力センサー11の計測値の下限設定値(例えば3.5気圧)に達すると、タンクヒーター3Aへの通電が再び開始され、水を加熱して蒸気を生成する。蒸気生成タンク3内はこれらを繰り返して蒸気圧力を規定圧力に維持される。
【0022】
頭部毛髪へのパーマやカラーリングの施術反応促進などを目的に、開放弁部5の操作つまみ5Tを回して蒸気を開放すると、蒸気は蒸気導管6を介して蒸気噴出部7から頭部毛髪へ照射される。蒸気噴出量は、開放弁部5、蒸気導管6、蒸気噴出部7の蒸気経路の断面積などにより決定されるが、例えば、40ml/分である。つまり、頭部毛髪などへ2分間蒸気噴射使用すると、蒸気生成タンク3内の蒸気(水)が80ml消費されることになる。このように施術などを目的に、蒸気噴射使用を繰り返すと、蒸気生成タンク3内の水が消費されるため、給水ポンプ2による給水が必要となってくる。
【0023】
それでは、本発明に係る給水構造を図1に沿って詳細に説明する。蒸気生成タンク3内へ水を送り込む部位である三方継手14に、給水の送水管4Cが接続されている。送水管4Cは熱伝導性のよい材質で更に145℃以上の耐熱性のある材質(例えば銅管、SUS管など)からなり、蒸気生成タンク3の外周壁面に密着するようにコイル巻き加工を施している。送水管4Cの外形が円状(丸管)であれば、蒸気生成タンク3の外周に接触する面積を大きくするように面取り加工を施せば更によい。蒸気生成タンク3の外周壁面にコイル巻きする送水管4Cの長さは、水量に換算して100ml程度が保有できる長さが適性であるが、特に限定するものではない。例えば、送水管4Cを内径4mm、肉厚1mmの銅管を使用すると、内径の断面積から計算して、約100mlの水を保有するコイル巻きの長さは約800cmである。蒸気生成タンク3の外周壁面に添ってコイル巻きした送水管4Cは、蒸気生成タンク3の下方側の三方継手14へ接続され、上方側は逆止弁4Eと接続され、更に送水管4Bを介して給水ポンプ2と連結されている。尚、蒸気生成タンク3内へ給水する場合、蒸気生成タンク3の上方部(蒸気層)から水を入れ込むより、下方部の水層部へ入れた方がよいため、三方継手14に送水管4Cを接続している。
【0024】
前述したように、蒸気生成タンク3内の水が加熱されて、例えば4気圧の飽和蒸気圧力で保持されている状態は、蒸気生成タンク3内の水と蒸気温度は約140℃となっている。この蒸気と水の熱量は蒸気生成タンク3の壁面を通してコイル巻きしてある送水管4Cと送水管4C内に滞在している水を加熱して同等の約140℃で維持される。また、逆止弁4Eまでの経路は蒸気生成タンク3内の圧力と同じ圧力(4気圧)を有することになるため、送水管4C内に滞在する水は、4気圧を有する約140℃の水となる。
1気圧下(大気圧下)では、水は100℃で沸騰して100℃以上にはならないが、送水管4C内を蒸気生成タンク3内と同じ条件下にすることで、送水管4C内に滞在する水を140℃まで上げることができる。
【0025】
蒸気噴出部7から蒸気を噴射して消費した蒸気生成タンク3内の水を、給水ポンプ2を作動させて蒸気生成タンク3内へ給水する場合、送水管4C内に滞在している水が蒸気生成タンク3内へ送出されるが、蒸気生成タンク3内と同じ約4気圧、約140℃の水が給水されるため、蒸気生成タンク3内の蒸気圧力および、温度を下げることなく給水される。つまり、蒸気を噴射使用中であっても、噴射する蒸気の質を変化させることがなく、給水できるものである。
【0026】
例えば、200mlを給水する場合、送水管4C内に滞在する水量100ml分の長さの管を蒸気生成タンク3の外周壁面にコイル巻きした条件下では、100mlの水量を1回分の連続給水量とし、時間経過後(それぞれの熱伝導の効率に依存するが、例えば2分後)に再び残りの100mlを連続給水するシーケンスフローとすることで、給水による蒸気質変化を全く伴わない給水が可能となる。
【0027】
このように、送水管4Cを蒸気生成タンク3の外周壁面に密着コイル巻きにし、送水管4Cの給水ポンプ2側の接続口に逆止弁4Eを取り付けることで、送水管4C内の水を蒸気生成タンク3内の加熱されている水と略同等の圧力、温度にすることができ、その水を蒸気生成タンク3内へ給水しても、蒸気生成タンク3内に貯蓄されている蒸気質を変化させることがない。言い換えれば、蒸気生成タンク3のサブタンクが存在する形と言える。
【0028】
ここで、上記記載の送水管4Cから給水タンク1までの構成を説明する。送水管4Cの給水ポンプ2側は逆止弁4Eと連結されている。逆止弁4Eと給水ポンプ2の送水口側が送水管4Bで連結されている。送水管4Bは、送水管4Cのように熱伝導性などを配慮した材質である必要はなく、給水ポンプ2の送水圧力に耐える材質(例えばシリコンホース)であればよい。また、給水ポンプ2は電気回路基板13−1を介して電気的制御された電磁ポンプなどが使用される。
【0029】
給水ポンプ2の吸水側は、送水管4Aと連結される。送水管4Aのもう一方の端にはゴミなどを吸い込まないようにフィルター1Aが先端に取り付けられ、給水タンク1内へ挿入されている。給水タンク1は市販のポリタンクなどが使用される。
装置本体C、給水ポンプ2、給水タンク1などがテーブル15に設置される。
【実施例1】
【0030】
内容量2600ml、外径133mm、SUS材質で壁面厚み1.5mmの蒸気生成タンク3の外周に、送水管4Cとして内径4mm、肉厚1mm、長さ800cmの銅丸管を密着コイル巻きし、図1と同じ構造体の蒸気供給装置にて次のような実験を行った。尚、実験であるため、給水ポンプ2は、電源回路基板13−1を介さないで、電源を入り/切りできるように単独で電源ラインを設けた。
【0031】
給水タンク1へ水温20℃の水道水を4000ml入れ、蒸気生成タンク3内へ水2000mlを、給水ポンプ2を作動させて給水し、蒸気生成タンク3内の蒸気圧力上限4気圧、下限3.5気圧設定で稼動させた。蒸気生成タンク3内の蒸気圧力値が4.0気圧の時に蒸気を蒸気噴出部7から噴出量40ml/分で噴出開始し、その後の蒸気生成タンク3内の蒸気圧力低下を時間経過とともに観察した。
【0032】
以下の条件での比較を行った。
(1)給水は全く行わない時の蒸気生成タンク3内の蒸気圧力低下度合い
(2)蒸気圧力4気圧で蒸気噴出開始と同時に100ml(約140℃水温)を給水した時の蒸気生成タンク3内の蒸気圧力低下度合い
(3)上記(2)と同様にして、水温20℃ 100mlを直接、蒸気生成タンク3内へ給水した時の蒸気圧力低下度合い
結果を表1に示す。
【0033】
【表1】

結果から判断して、(2)の条件の給水では、給水していない状態と概ね同じ状態に蒸気生成タンク3内が維持されていると考えられる。給水中であっても噴出している蒸気にも全く変化はなかった。一方、(3)の条件の給水では、給水された水により蒸気生成タンク3内の熱量が低下して蒸気圧力も低下したと考えられる。尚、給水ポンプ2による100mlの給水時間は24秒を要した。また、送水管4C内に滞在している水は実測値142℃であった。
【0034】
水は1気圧下(大気圧下)では100℃で沸騰して100℃以上にはならないが、本発明に係る給水構造では、逆止弁4Eを送水管4Cの給水ポンプ2側に取り付けることで、送水管4C内が、蒸気生成タンク3内と同じ圧力条件となり、4気圧の蒸気生成タンク3内の圧力設定では、約140℃の水が給水できる。
【0035】
なお、製造面、コスト面、若干の性能面を考慮して、送水管4Cをコイル巻きとしない手段として、送水管4Cを蒸気生成タンク3の外周壁面とは分離し、別に設けた電気的ヒーターにより、給水する水を予備加熱する手段も略同等の効果が得られる。また、送水管4Cと同等の材質を少量容器(例えば立方体で100ml容量容器)の形状にし、蒸気生成タンク3の壁面に密着させて、蒸気生成タンク3の輻射熱を得て給水する水を予備加熱する手段へ変更してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 給水タンク(蒸気生成タンク3へ給水する水を収容する)
2 給水ポンプ
3 蒸気生成タンク(水を加熱して圧力蒸気を貯蓄するタンク)
3A タンクヒーター(蒸気生成タンク3内の水を加熱するヒーター)
3B 液面センサー(蒸気生成タンク3内の水の量を検知する)
4A 送水管
4B 送水管
4C 送水管(蒸気生成タンク3の外周壁面へ密着コイル巻きした管)
4E 逆止弁
4F 排水弁
5 蒸気開放弁
6 蒸気導管
7 蒸気噴出部
11 圧力センサー(蒸気生成タンク3内の蒸気圧力を検知する)
12 電磁弁(蒸気生成タンク3内を大気開放系または密閉系にする)
13−1 電気回路基板
13−2 操作パネル基板
14 三方継手(蒸気生成タンクの底、送水管4C、排水弁4Fを接続する)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水タンクの水を給水ポンプにより送水管を介して密閉された蒸気生成タンクに送り、蒸気生成タンク内で水を加熱するとともにそれにより生成された蒸気を高圧状態で貯留し、この貯留された蒸気を蒸気開放弁、蒸気導管を介して蒸気噴出部から大気へ噴出させる理美容用蒸気供給装置であって、前記送水管を介して前記蒸気生成タンクに送られる水を予め加熱することを特徴とする理美容用蒸気供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の理美容用蒸気供給装置において、
前記送水管を介して前記蒸気生成タンクに送られる水を、前記送水管が前記蒸気生成タンクの輻射熱及び/又は伝導熱により予め加熱することを特徴とする理美容用蒸気供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の理美容用蒸気供給装置において、
前記送水管は、高熱伝導性材料製であり、前記蒸気生成タンクの周囲に巻回されていることを特徴とする理美容用蒸気供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の理美容用蒸気供給装置において、
前記蒸気生成タンクと前記給水ポンプ間を連結する前記送水管の蒸気生成タンクの周囲に巻回されている部分より給水ポンプ側に、蒸気生成タンク内の圧力を封止する封止弁を介挿したことを特徴とする理美容用蒸気供給装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−130535(P2012−130535A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285487(P2010−285487)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(508188282)株式会社ティ.オー.エス (6)
【Fターム(参考)】