説明

理髪・美容の施術方法及びこの方法に用いる洗浄水供給装置

【課題】シャンプーの使用量を削減し、環境破壊の抑止を図る。
【解決手段】気体を吸引し圧送出する給気装置6の送気口7に送気管8を接続し、該送気管8の下流端を、気液混合ポンプ4の吸引口5に接続した通水管3に合流接続して、気液混合ポンプ4に吸引された水と、給気装置6からの気体を混合攪拌して、水中に多くの微細気泡を含有させることによって、水を構成するクラスター(分子凝集体)を微小化して、浸透力(洗浄力)を高めた活性水を生成し、該活性水を洗浄水として、該洗浄水にて、頭髪や頭皮を洗浄することで、シャンプーを不要にしたり、使用量を少なくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の水道水より多くの酸素を含有し活性化された洗浄水を用いて頭髪や頭皮を洗浄する理髪・美容の施術方法及びこの方法に用いる洗浄水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、理髪店・美容院では、散髪後や、コールドパーマ、毛染め等の薬剤の使用後に洗髪用洗浄剤(シャンプー)と温湯により頭髪や頭皮の洗浄を行っていた。
【0003】
尚、出願人が知り得る範囲では、上記背景技術に記載の分野において、本件発明に関連する技術が開示されている先行技術文献は存在せず、出願人は記載すべき先行技術文献を知りません。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、シャンプーはアレルギー性疾患の原因の一つであるといわれ、また廃棄により河川や海洋の水質を悪化させて自然環境を破壊し、そのため近年では主原料を植物性の油脂とし、人体への刺激が少なく、廃棄後は自然界にて容易に微生物分解されるシャンプーが主流となりつつはあるが、使用量の削減も重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、シャンプーの使用量を削減し、環境破壊を抑止せねばならない課題に鑑み、気体を吸引し圧送出する給気装置の送気口に送気管を接続し、該送気管の下流端を、気液混合ポンプの吸引口に接続した通水管に合流接続して、気液混合ポンプに吸引された水と、給気装置からの気体を混合攪拌して、水中に多くの微細気泡を含有させることによって、水を構成するクラスター(分子凝集体)を微小化して、浸透力(洗浄力)を高めた活性水を生成し、該活性水を洗浄水として、該洗浄水にて、頭髪や頭皮を洗浄することで、シャンプーを不要にしたり、使用量を少なくする様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、気液混合ポンプにより、水と気体を混合し攪拌して圧送する様にしたので、入手が容易な既存の機器にて安価に活性水を生成、供給でき、この活性水は通常の水道水より多くの微細気泡の含有により、クラスターが微小化されているため、頭髪や頭皮の極微細な表面凹凸まで浸透し、良好な洗浄作用を発揮することができ、シャンプーを使用せずとも、汚れや、コールドパーマ又は毛染めに使用の薬剤を綺麗に洗い流すことが出来る。
従って、シャンプーの使用によるアレルギー性疾患の発症を防止できたり、シャンプーの廃棄による自然環境悪化の防止を図ることが出来る。
更には、頭髪に洗浄水が良く浸透するため、トリートメント作用を発揮し、頭髪をしなやか、且つ、ふんわりと仕上げることが出来る。
又、頭髪の抜け毛予防、育毛、増毛には、毛根周囲に付着の皮脂等の老廃物を綺麗に除去し、毛根周囲を清潔に保つことが重要といわれており、そのため市場には頭髪の抜け毛予防専用シャンプーも数多く提供されているが、厳密に化学的に観れば、そもそもシャンプーを完全に洗い流すことは不可能で、極微量が残留するのは当然で、いくら綺麗にしたところで、毛根周囲に残留したシャンプーが毛根に悪影響を及ぼし、抜け毛の新たな原因となってしまっているとの説もあり、シャンプーの使用自体が問題視されているが、本発明の方法では、シャンプーを使わずして、毛根周囲に付着の老廃物を洗い流すことが出来ることから、長期間にわたり反復利用すれば、頭髪の抜け毛予防、育毛、増毛に対する抜本的な解決を図ることが出来る。
【0007】
給気装置に酸素濃度が体積比で21%超過の酸素富化空気を吸引させる様にしたので、水中に微細酸素泡がより多く分散含有され、これにより更に活性化されて、上記各効果の向上を図ることが出来る。
【0008】
活性水をスタティックミキサーにて、再攪拌する様にしたので、活性水含有の微細気泡が更に細分化されて、洗浄力が更に向上した高活性水を生成でき、この高活性水を洗浄水として用いる様にしたので、上記各効果の更なる向上を図ることが出来る。
【0009】
頭髪のパーマネントウエーブ形成に用いる酸化剤を洗浄水に含有させる様にしたので、還元剤による一次処理後の毛髪の隅々まで、浸透力の高い洗浄水にて酸化剤が運ばれ、還元剤で切断された毛髪ケラチンの側鎖の再結合度が高まり、形成されたウエーブ形状がより長期間にわたり維持され、また少量の水の使用により酸化剤による二次処理及び頭髪洗浄が可能となり、環境保全についても多大な貢献を果たすことが出来る。
【0010】
必要に応じシャンプーを少しだけ併用しても良く、汚れの酷い場合であっても、シャンプーと洗浄水の相乗効果で綺麗にでき、勿論シャンプーの使用量は極少量で良いから、人体や自然環境に与える影響も少ない。
【0011】
水道管や給湯管を気液混合ポンプに直結せず、貯水槽を備え、該貯水槽の吐水口に通水管を接続すると共に、該通水管の下流端を気液混合ポンプの吸引口に接続し、この通水管の下流端付近に、気体を吸引し圧送出する給気装置の送気口に接続した送気管の下流端を合流接続する一方、前記気液混合ポンプの吐出口に洗浄水送出管を接続したので、例えば貯水槽に水又は温湯を注入し、これに適量のシャンプーや育毛剤、或いは、パーマネントウエーブ形成に用いる酸化剤等を添加する等、所望に応じて様々に調製した洗浄水を供給することが出来、使い勝手が頗る良い。
【0012】
洗浄水送出管の下流端にシャワーヘッドを取付け、洗浄水を拡散飛翔させれば、洗浄し易く、またシャワーヘッドに代え、先細り状のノズルを取付ければ、洗浄水噴流の速度が増大し、噴流を頭皮に衝突させ、マッサージ効果を得ることも出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の洗浄水供給装置につき、実施例を示し、詳細に説明する。
実施例1のものは、図1に示す様に、原料水を貯留する貯水槽1を備え、該貯水槽1に設けた吐水口2に通水管3を接続すると共に、該通水管3の下流端を気液混合ポンプ4の吸引口5に接続している。
又、気体を吸引し圧送出する給気装置6の送気口7に送気管8を接続し、該送気管8の下流端を通水管3の下流端付近に合流させて接続し、一方、気液混合ポンプ4の吐出口9には洗浄水送出管10を接続しており、洗浄水送出管10の経路途中にスタティックミキサー11を介設し、洗浄水送出管10の下流端には、洗浄水送出管10より小径の噴水孔を多数穿設したシャワーヘッド12を取付けている。
尚、シャワーヘッド12に代え、先細り状のノズル13を取付けても良く、またスタティックミキサー11の使用は適宜であり、取り外しても良い。
【0014】
原料とする水は、温湯でも、冷水でも、25℃程度の所謂常温の水でも、被洗浄者(頭髪・頭皮を洗浄される者)の好みで良いが、一般的には35〜45℃程度の温湯が被洗浄者にとって心地よく感じられて好適である。
【0015】
貯水槽1への給水方式としては、適宜であり、例えば、貯水槽1の上部を大きく開口して手汲による給水でも良いし、貯水槽1に注水口14を設けて、該注水口14に水道管15、或いは、給湯器16の給湯管17を接続すると共に、注水口14にボールタップ18を設けて、水洗式トイレの洗浄水タンク等の様に自動給水方式にしても良い。
又、貯水槽1の中に水位を検出する電磁気的センサー19を設け、注水口14には電磁バルブ20を設けて、電磁気的センサー19と電磁バルブ20とにより電磁気的に給水を制御する様にしても良い。
又、気液混合ポンプ4は、一般に市販されている既存のものを使用すれば良い。
【0016】
スタティックミキサー11とは、静止型の攪拌器で、筒状のケーシングの内部に水等の液体を流通させ、流通時に旋回流等の乱流を発生させ、これにより流通液体を攪拌する様にしており、その構成は例えばケーシングの内面に突起を複数設けたり、ケーシングの内面に翼板を液体流通方向に対し傾斜させた状態に複数突設したり、或いは、ケーシングの内部に複数のハニカムを各ハニカム孔の位相を変えて内装固定し、この様にケーシング内部における液体の実質的な流路を複雑に蛇行させて、乱流を発生させる様にしている。
尚、この様なスタティックミキサー11についての技術は既知で、市場に種々提供されているので、スタティックミキサー11についても、市販の既存のものを用いれば良い。
【0017】
次に、水活性の機構について説明する。
水は、そもそも酸素原子と水素原子の電子親和力の違いにより生じる極性を水分子の中に有し、その極性によって複数の水分子が静電気的に凝集した分子集団(クラスター)を形成しており、このクラスターの大小が、水の洗浄力に影響している。
即ち、クラスターが大きい(凝集分子数が多い)と、水分子の微視的自由が束縛され、表面張力が大きくなり、被洗浄物等の微細な表面凹凸に浸透せず、洗浄力は低く、この様な状態に水道水はなってしまっている。
ところが、例えば渓流では水は岩礁への衝突、滝での落下により衝撃を受け、水中に微細気泡が混入され、水分子の間に空気を形成する酸素や窒素の分子が介在することとなるから、水分子間の距離が開き、静電気による相互吸引力が弱まり、クラスターが細分化されて(凝集分子数が少なくなって)、水分子の微視的な自由度が増大し、活性化されている。
【0018】
つまり、上記の洗浄水供給装置によれば、貯水槽1に温湯等の原料水を注入し、気液混合ポンプ4と給気装置6を作動させると、原料水は通水管3の中を流れ、一方、給気装置6の吸気口21を大気中に開放させているから、通水管3に合流接続した送気管8を通じて空気が圧送され、この空気と原料水が混合され、気液混合ポンプ4に吸引され、気液混合ポンプ4の内部で回転羽根によって激しく攪拌され、衝撃を受けると共に、原料水に空気が細かく分散混入され、これによりクラスターが細分化されて、活性水が生成される。
次いで、活性水は洗浄水送出管10を通ってスタティックミキサー11に送られ、スタティックミキサー11を通過することによって、再び攪拌され、含有空気が更に細分化されて、洗浄力の高い、高活性水となる。
従って、この活性水、高活性水にて頭髪や頭皮の洗浄を行うことで、シャンプーを使わずして、或いは、少量のシャンプーにて、汚れや、コールドパーマ、毛染め等の薬剤は洗い流されることとなる。
【0019】
又、貯水槽1にコールドパーマの二次処理に用いる酸化剤(例えば、臭素酸ナトリウム等)を投入し、該酸化剤を含有の活性水・高活性水としても良く、つまり還元剤(例えば、チオグリコール酸等)にて一次処理してケラチン側鎖であるシスチン結合が切断された毛髪に対し、酸化剤を含有の活性水・高活性水を施すことで、活性水・高活性水が有する浸透作用により、毛髪の隅々まで酸化剤が浸透し、ケラチン側鎖の再結合度が従前の通常のコールドパーマ方法の場合よりも高まり、パーマがより強くかかって形状保持力に優れたウエーブが形成される。
尚、この様に酸化剤を含有の活性水・高活性水により、パーマ処理を施す場合は、洗浄水供給装置を複数台用意し、一方の洗浄水供給装置により生成した酸化剤を含有の活性水・高活性水にて二次処理を施した後、他方の洗浄水供給装置により供給した活性水・高活性水にて頭髪を濯いで、頭髪に残留付着の酸化剤を洗い流す様にすれば良い。
【0020】
次に、洗浄水供給装置の他例について説明する。
実施例2のものは、図2に示す様に、実施例1の洗浄水供給装置の構成に加え、給気装置6の吸気口21に吸気管22を介して、空気と酸素を混合し送出する気体混合器23の混合気送出口24を接続し、この気体混合器23の空気取入口25を大気中に開放する一方、気体混合器23の酸素取入口26に連結管27を介して酸素ボンベ28の酸素放出口29を接続している。
【0021】
通常の空気は、体積比で21%の空気を含むが、この洗浄水供給装置は、気体混合器23により、空気と酸素を混合し、酸素濃度が体積比で21%超過に調製された酸素富化空気を生成し、この酸素富化空気が原料水に分散混入され、酸素分子と、極性を有する水分子が相互作用し、通常の空気を水に混合分散含有させた場合よりも、水のクラスターは細分化されて、洗浄力が更に向上する。
尚、空気と酸素の混合比率は、適宜であり、例えば連結管27の経路途中に流量計30を設けて、酸素ボンベ28のバルブ31の開閉操作により酸素流量を調整する様にすれば良い。
【0022】
又、図示しないが、気体混合器23を設けず、給気装置6の吸気口21に吸気管22を介して酸素ボンベ28の酸素放出口29を接続して、酸素のみを給気装置6に吸引させる様にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例1として説明の洗浄水供給装置の構成を示す模式図である。
【図2】実施例2として説明の洗浄水供給装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0024】
1 貯水槽
2 吐水口
3 通水管
4 気液混合ポンプ
5 吸引口
6 給気装置
7 送気口
8 送気管
9 吐出口
10 洗浄水送出管
11 スタティックミキサー
12 シャワーヘッド
13 ノズル
21 吸気口
22 吸気管
23 気体混合器
24 混合気送出口
25 空気取入口
26 酸素取入口
27 連結管
28 酸素ボンベ
29 酸素放出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を吸引し圧送出する給気装置の送気口に送気管を接続し、該送気管の下流端を、気液混合ポンプの吸引口に接続した通水管に合流接続することによって、気液混合ポンプに吸引された水と、給気装置からの気体を混合攪拌して、前記気体を含有の活性水を生成し、該活性水を洗浄水として、該洗浄水にて、頭髪や頭皮を洗浄する様にしたことを特徴とする理髪・美容の施術方法。
【請求項2】
給気装置に酸素濃度が体積比で21%超過の酸素富化空気を吸引させる様にしたことを特徴とする請求項1記載の理髪・美容の施術方法。
【請求項3】
活性水をスタティックミキサーにて、再攪拌することによって、活性水含有の気体を更に細分化して高活性水と成し、該高活性水を洗浄水として用いる様にしたことを特徴とする請求項1又は2記載の理髪・美容の施術方法。
【請求項4】
頭髪のパーマネントウエーブ形成に用いる酸化剤を洗浄水に含有させる様にしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の理髪・美容の施術方法。
【請求項5】
洗髪用洗浄剤を併用する様にしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の理髪・美容の施術方法。
【請求項6】
理髪・美容の施術における頭髪や頭皮の洗浄に用いる洗浄水供給装置であって、貯水槽の吐水口に通水管を接続すると共に、該通水管の下流端を気液混合ポンプの吸引口に接続し、この通水管の下流端付近に、気体を吸引し圧送出する給気装置の送気口に接続した送気管の下流端を合流接続する一方、前記気液混合ポンプの吐出口に洗浄水送出管を接続したことを特徴とする洗浄水供給装置。
【請求項7】
給気装置の吸気口に吸気管を介して酸素ボンベの酸素放出口を接続したことを特徴とする請求項6記載の洗浄水供給装置。
【請求項8】
給気装置の吸気口に吸気管を介して、空気と酸素を混合し送出する気体混合器の混合気送出口を接続し、この気体混合器の空気取入口を大気中に開放する一方、気体混合器の酸素取入口に連結管を介して酸素ボンベの酸素放出口を接続したことを特徴とする請求項6記載の洗浄水供給装置。
【請求項9】
洗浄水送出管の経路途中にスタティックミキサーを介設したことを特徴とする請求項6、7又は8記載の洗浄水供給装置。
【請求項10】
洗浄水送出管の下流端にシャワーヘッド、或いは先細り状のノズルを取付けたことを特徴とする請求項6、7、8又は9記載の洗浄水供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−55145(P2008−55145A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184469(P2007−184469)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(506266920)
【Fターム(参考)】