説明

環境情報表示装置

【課題】住宅やオフィスといった建築物や電車や飛行機といった移動手段などの生活空間内に設置され、生活空間内の様々な環境情報を検知し検知された環境情報を利用者に表示する際、本来許容される環境状況に対して現在の計測結果がどの程度の位置にあるのか知ることのできる環境情報表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】環境因子の情報を検知する環境因子検知手段2と、前記環境因子検知手段によって検知された複数の環境因子の情報を元に前記環境因子が人体あるいは環境に許容され得る限度を限界値として計算する環境許容限度計算手段3と、前記環境因子検知手段2によって検知された情報を現在値として表示すると同時に前記限界値を表示する水準表示手段4を備え、水準表示手段4は現在値と限界値を同時に表示することによって、利用者が瞬時に環境情報の程度を認識することのできる環境情報表示装置が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅やオフィスといった建築物や電車や飛行機といった移動手段などの生活空間内に設置され、生活空間内の様々な環境情報を検知し検知された環境情報を利用者に表示することで、生活空間内の環境状況について利用者が正しく認知できるようにすることのできる環境情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の環境情報表示装置は、居住空間における環境の快適度をわかりやすく評価し高齢者住宅や福祉施設等の環境管理の支援を簡便に行えるようにした住環境評価支援システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その住環境評価支援システムについて図12を参照しながら説明する。
【0004】
図に示すように、住環境評価支援システム101は出力制御手段102と評価手段103とデータ記憶手段104を備えており、住環境評価支援システム101は居室やトイレ、浴室、廊下などの居住空間の環境計測を行うよう設置される。 データ記憶手段104は各居室空間の環境計測を行った計測データ及び快適度の評価基準データを格納しており、評価手段103はデータ記憶手段104に格納された評価基準データに基づき計測データの快適度の評価を行い、出力制御手段102は評価手段103により評価された快適度を各居住空間に編集し出力することにより居住空間における環境の快適度をわかりやすく評価し、環境管理の支援を簡便に行う。
【特許文献1】特開2000−331273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の住環境評価支援システムでは、環境情報の計測結果に対する評価結果が示されるが、評価結果の程度に関してはわからないという課題があり、本来許容される環境状況に対して現在の計測結果がどの程度の位置にあるのか知る手段が要求されている。
【0006】
また、現在の環境情報しかわからないという課題があり、現在の環境情報を踏まえた近い将来の環境情報に関して予測する手段が要求されている。
【0007】
また、居住空間は居住空間の外とつながっており外からの物質の流入と外への物質の流出が行われているが、居住空間と外との物質の流出入に関しては環境情報がわからないという課題があり、居住空間と外との物質の流出入に関する環境情報を知る手段が要求されている。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、本来許容される環境状況に対して現在の計測結果がどの程度の位置にあるのか知ることのできる環境情報表示装置を提供することを目的としている。
【0009】
また、現在の環境情報だけでなく、現在の環境情報を踏まえた近い将来の環境情報に関して予測することのできる環境情報表示装置を提供することを目的としている。
【0010】
また、居住空間と外との物質の流出入に関する環境情報を知ることのできる環境情報表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の環境情報表示装置は上記目的を達成するために、環境因子の情報を検知する環境因子検知手段と、前記環境因子検知手段によって検知された複数の環境因子の情報を元に前記環境因子が人体あるいは環境に許容され得る限度を限界値として計算する環境許容限度計算手段と、前記環境因子検知手段によって検知された情報を現在値として表示すると同時に前記限界値を表示する水準表示手段を備えた環境情報表示装置としたものである。
【0012】
これにより、本来許容される環境状況に対して現在の計測結果がどの程度の位置にあるのか知ることのできる環境情報表示装置が得られる。
【0013】
また、本発明の環境情報表示装置は上記目的を達成するために、環境因子の現在値と限界値とを記憶情報として記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された記憶情報を元に現在値の変化率を計算し現在値が限界値を超え得る時期を予測する予測手段とをさらに備え、水準表示手段は予測された前記時期を表示する環境情報表示装置としたものである。
【0014】
これにより、現在の環境情報だけでなく、現在の環境情報を踏まえた近い将来の環境情報に関して予測することのできる環境情報表示装置が得られる。
【0015】
また、本発明の環境情報表示装置は上記目的を達成するために、特定の空間内に流入あるいは特定の空間内から外部に流出する媒体の通路に環境因子検知手段を設置し、流入する媒体中の環境因子を検知することとした環境情報表示装置としたものである。
【0016】
これにより、居住空間と外との物質の流出入に関する環境情報を知ることのできる環境情報表示装置が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば本来許容される環境状況に対して現在の計測結果がどの程度の位置にあるのか知ることができるという効果のある環境情報表示を提供できる。
【0018】
また、現在の環境情報だけでなく、現在の環境情報を踏まえた近い将来の環境情報に関して予測することができるという効果のある環境情報表示装置を提供できる。
【0019】
また、居住空間と外との物質の流出入に関する環境情報を知ることができる効果のある環境情報表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の請求項1記載の発明は、環境因子の情報を検知する環境因子検知手段と、前記環境因子検知手段によって検知された複数の環境因子の情報を元に前記環境因子が人体あるいは環境に許容され得る限度を限界値として計算する環境許容限度計算手段と、前記環境因子検知手段によって検知された情報を現在値として表示すると同時に前記限界値を表示する水準表示手段を備えた環境情報表示装置としたものであり、検知された現在の環境情報である現在値と許容され得る限界値を同時に水準表示手段が表示することによって利用者が現在の計測結果が許容される限界値に対してどの程度の位置にあるのか知ることができるという作用を有する。
【0021】
また、環境許容限度計算手段が段階的に異なる複数の水準を計算し、水準表示手段が前記複数の水準を表示することを特徴とした請求項1に記載の環境情報表示装置としたものであり、環境許容限度計算手段が異なる水準を計算し、水準表示手段が異なる複数の水準を現在値と同時に表示することによって複数の水準に対して現在の計測結果がどの程度の位置にあるのか知ることができるという作用を有する。
【0022】
また、現在値と限界値をそれぞれ異なる色で表示することを特徴とした請求項1あるいは2のいずれかに記載の環境情報表示装置としたものであり、同時に表示される現在値と限界値がそれぞれ異なる色で表示されることによって、現在値と限界値が一目でわかりやすくなるという作用を有する。
【0023】
また、現在値と限界値の関係を表現する絵あるいは文字をさらに同時に表示することを特徴とした請求項1〜3のいずれかに記載の環境情報表示装置としたものであり、限界値と同時に表示される現在値が限界値に対してどの程度の位置にあるのか表現する絵あるいは文字を現在値と同時に表示することによって、現在値が限界値に対してどの程度の位置にあるのか一目でわかりやすくなるという作用を有する。
【0024】
また、環境因子検知手段は環境因子の情報を一定間隔で連続して検知し、計算手段は一定間隔で連続して検知された環境因子の情報を元に限界値を計算し、水準表示手段は一定間隔で連続して現在値と限界値を同時に表示することを特徴とした、請求項1〜4のいずれかに記載の環境情報表示装置としたものであり、水準表示手段が一定間隔で現在値と限界値を連続して表示することによって、一定間隔で、最新の環境情報に関して情報を得ることができるようになるという作用を有する。
【0025】
また、環境因子の現在値と限界値とを記憶情報として記憶する記憶手段をさらに備え、水準表示手段は前記記憶手段から記憶情報を呼び出し表示することができる構成とした事を特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の環境情報表示装置としたものであり、記憶手段に記憶された過去の記憶情報を呼び出し表示することによって、環境情報の変化履歴を知ることができるという作用を有する。
【0026】
また、記憶手段に記憶された記憶情報を元に現在値の変化率を計算し現在値が限界値を超え得る時期を予測する予測手段をさらに備え、水準表示手段は予測された前記時期を表示することを特徴とする請求項6に記載の環境情報表示装置としたものであり、予測手段が記憶手段に記憶された環境情報の変化履歴を元に現在値が限界値を超え得る時期を予測し、水準表示手段が予測される時期を表示することによって、現在の環境情報を踏まえた近い将来の環境情報に関して現在値が限界値を超え得る時期を知ることができるという作用を有する。
【0027】
また、複数の環境因子を統一的な数値に変換し、前記環境因子の人体あるいは環境に許容される限界値を統一的な数値で表示することを特徴とした請求項1〜7の何れかに記載の環境情報表示装置としたものであり、複数の環境因子が人体あるいは環境に与える影響を統一的数値として評価し、その統一的数値と統一的限界値を同時に表示することによって、複数の環境因子が統合された環境情報を簡単に知ることができるという作用を有する。
【0028】
また、環境因子検知手段を特定の空間内に設置し、前記環境因子検知手段は特定の空間内の環境因子を検知することを特徴とした請求項1〜8のいずれかに記載の環境情報表示装置としたものであり、環境因子検知手段が特定の空間内の環境因子を検知し、水準表示手段が特定の空間内の環境因子の現在値と限界値を同時に表示することによって、特定の空間内の環境情報を知ることができるという作用を有する。
【0029】
また、特定の空間内に流入する媒体の通路に環境因子検知手段を設置し、流入する媒体中の環境因子を検知することを特徴とした請求項1〜8のいずれかに記載の環境情報表示装置としたものであり、外部から特定の空間内に流入してくる物質中の環境情報に関して環境因子検知手段が検知し水準表示手段が表示することによって、外部から特定の空間内に流入してくる物質の環境情報に関して知ることができるという作用を有する。
【0030】
また、特定の空間内から外部に流出する媒体の通路に環境因子検知手段を設置し、流出する媒体中の環境因子を検知することを特徴とした請求項1〜8のいずれかに記載の環境情報表示装置としたものであり、特定の空間内から外部に流出する物質中の環境情報に関して環境因子検知手段が検知し水準表示手段が表示することによって、特定の空間内から外部に流出する物質の環境情報に関して知ることができるという作用を有する。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1(A)に示すように、環境情報表示装置1は、環境因子検知手段2と環境許容限度計算手段3と水準表示手段4とを備えている。環境因子検知手段2によって検知された複数の情報を元に環境許容限度計算手段3が限界値を計算し、水準表示手段4が環境因子検知手段2によって検知された情報を現在値として表示すると共に限界値を同時に表示する。 また、図1(B)が示すように、水準表示手段4は環境因子検知手段2によって検知された現在値と環境許容限度計算手段3によって計算された限界値を同時に表示する。環境情報とは例えば住居における温度や湿度あるいは、二酸化炭素やVOCなどの人体に害を及ぼすガス成分の濃度に関する情報であり、環境因子とはこれら温度、湿度、二酸化炭素やVOCの濃度といった環境情報の項目のことである。この場合環境因子検知手段2とは温度計や湿度計、ガス成分濃度を検知するガスセンサが挙げられ、温度計としては例えば白金測温抵抗体やサーミスタや熱伝対等の接触型の温度センサがあり、湿度計としては例えば高分子膜湿度センサやセラミック湿度センサや電解質湿度センサなどの湿度センサがあり、ガスセンサとしては例えば半導体ガスセンサや接触燃焼式ガスセンサあるいは赤外線吸収式ガスセンサがあるが、これら以外であっても環境中の成分に関する情報を検知することのできる検知手段であればいずれの場合であってもかまわない。また、環境許容限度計算手段3とは例えばCPUであり、例えば環境因子検知手段2である温度計や湿度計で検知された温湿度の数値から、人体が許容できる温度、湿度に関する限界値を計算する。
【0033】
例えば、寝室や居間などの居住空間において、温度が一定であれば高湿状態と低湿状態では人体が感じる不快感は異なり、温度条件によって許容できる湿度の範囲は異なる。
【0034】
環境許容限度計算手段3は例えば環境因子検知手段2である温度計や湿度計が検知した温度や湿度を元に現在の温度条件において人体が許容できる湿度、あるいは現在の湿度において人体が許容できる温度をそれぞれ計算し、計算結果を限界値とする。限界値とは例えば快適に感じられる限界として計算することができ、また、生命の存続危機に関する限界として計算することができるが、これら以外の尺度を用いてもかまわない。限界値を計算する方法としては例えば環境許容限度計算手段3であるCPUに温湿度に関する基準となる計算式を予め設定しておくことで、入力されていた計算式を用いて限界値を計算することができる。本来許容される環境状況とは、環境情報である温度や湿度に対して人体が許容できる温度や湿度のことを指し、本発明の環境情報表示装置1によって限界値として表示される値を指す。 水準表示手段4は、例えば液晶モニターであり、環境因子検知手段2によって検知された環境情報である例えば温湿度の数値と環境許容限度計算手段3である例えばCPUによって計算された限界値の数値を同時に表示する。
【0035】
上記構成において、環境因子検知手段2によって検知された環境情報を現在値として表示すると共に、現在値から計算される環境因子の許容限界である限界値が同時に水準表示手段4に同時に表示されることになる。
【0036】
このように本発明の実施の形態1の環境情報表示装置1によれば、環境因子検知手段2によって検知された環境因子に関する現在値と同時に環境因子の許容される限界値を同時に表示することとなり、従って、本発明の環境情報表示装置の利用者が、本来許容される環境状況に対して現在の計測結果がどの程度の位置にあるのか知ることのできる環境情報表示装置が得られることとなる。
【0037】
また、単に評価結果を知らせるだけでなく、現在の環境情報がどの程度許容範囲内であるのかわかりやすくなるため、程度がわからないことによる不安が解消されることにもなる。
【0038】
(実施の形態2)
図2は段階的に異なる水準を表示する水準表示手段4を示している。図2に示すように、水準表示手段4は、環境許容限度計算手段3によって計算された段階的に異なる複数の水準を複数の限界値として環境因子検知手段2が検知した環境因子の現在値と同時に表示する。
【0039】
環境因子検知手段2が計算する複数の水準とは、例えば許容できる上限と下限であり、例えば環境因子が温湿度の場合、一定湿度において人体が許容できる最高温度と最低温度のことであり、また、一定温度において人体が許容できる最高湿度と最低湿度のことである。図2においては限界値Aが人体の許容できる最高温度であり、限界値Bが最低温度を示している。また、水準をさらに段階的に計算し、許容できる限度を段階的に表示することもできる。この場合例えば、予め環境許容限度計算手段3に使用できる計算式を複数設定しておくことで、一定湿度における許容できる温度をある程度我慢できる温度と我慢できない温度と生命の存続に危険を伴う温度というように段階的に表示することがでる。
【0040】
また、上記以外の段階的な計算方法であっても、環境情報に関する水準を複数設けることのできる手段であればいずれの場合であってもかまわない。
【0041】
上記構成において、水準表示手段4は環境許容限度計算手段3によって計算された複数の水準を限界値として、現在値と同時に表示することになる。
【0042】
このように本発明の実施の形態2の環境情報表示装置1によれば、段階的に複数の水準と現在値を比較することができるようになり、従って、本発明の環境情報表示装置の利用者が、本来許容される環境状況に対して現在の計測結果がどの程度の位置にあるのかより詳細に知ることのできる環境情報表示装置が得られることとなる。
【0043】
また、個人差によって環境因子の許容範囲が異なる場合であっても、利用する水準を利用者個人が選ぶことによって、利用者個人に合った環境情報を得ることができるようになる。
【0044】
(実施の形態3)
図3は現在値と限界値をそれぞれ異なる色で表示する水準表示手段4を示している。 図3に示すように、水準表示手段4は、環境許容限度計算手段3によって計算された段階的に異なる複数の水準と環境因子検知手段2が検知した環境因子の現在値をそれぞれ異なる色で表示する。例えば環境因子である温湿度の許容限度である最高温度と最低温度と現在の温度をそれぞれ別の色の赤色と青色を用いて表示する。また、表示される数値の濃淡を変え、それぞれ異なる濃さで数値を表示してもかまわない。
【0045】
上記構成において、水準表示手段4に表示される段階的に異なる複数の水準と現在値がそれぞれ異なる色で表示されるようになる。
【0046】
このように本発明の実施の形態3の環境情報表示装置1によれば、複数の水準である限界値と現在値がそれぞれ異なる色で表示されることによって、表示される数値が限界値を示しているのか現在値を示しているのか一目でわかりやすくなり、従って、利用者が環境情報表示装置1の表示手段4に表示されている数値の内容を瞬時に理解する事ができる。
【0047】
また、限界値を表示する色を例えば注意を促す赤色などの色で表示することで、利用者が限界値の数値に注目するようになり、環境情報に対してより敏感にさせることができるようになる。
【0048】
(実施の形態4)
図4は現在値の限界値に対する相対的評価を表す文字を現在値と同時に表示する水準表示手段4を示している。図4に示すように、水準表示手段4は限界値と同時に表示される現在値が限界値に対してどの程度の位置にあるのか表現する文字と現在値とを同時に表示する。ここでは現在値の限界値に対する相対的評価を表す文字を同時示したが、文字ではなくキャラクタ等の絵を用いることもできる。相対的評価法方法としては、例えば現在値が限界値から程遠い場合には文字である○や絵である笑顔のキャラクタで表示する方法があり、例えば現在値が限界値に接近している場合には文字である△や絵である無表情のキャラクタで表示する方法があり、例えば現在値が限界値を超えてしまっている場合は文字である×や絵である泣き顔のキャラクタで表示する方法がある。
【0049】
上記構成において、環境因子検知手段2によって検知された環境因子の現在値は、現在値の限界値に対する相対的評価を表す文字あるいは絵を同時に表示される事となる。
【0050】
このように本発明の実施の形態4の環境情報表示装置1によれば、現在値の限界値に対する相対的評価を表す文字あるいは絵が現在値と同時に表示される事によって現在値の限界値に対する相対的評価が一目でわかりやすくなり、従って、利用者が環境情報表示装置1の表示手段4に表示されている現在値の限界値に対する相対的評価を瞬時に認知する事ができる。
【0051】
また、現在の環境情報の相対的評価を一目で認識することができるため、利用者に対して環境情報を踏まえた行動を迅速に行うことができるようにする事ができる。
【0052】
(実施の形態5)
図5は一定間隔で連続して検知した現在値と限界値を一定間隔で連続して表示する水準表示手段4を示している。図5に示すように、水準表示手段4は環境因子の現在値と限界値を一定間隔で連続して表示する。例えば環境因子が二酸化炭素濃度であり時間経過と共に濃度が上昇し得る場合、二酸化炭素濃度がいつのまにか上昇してしまうと人体の健康状態に悪影響を及ぼす。従って二酸化炭素濃度をモニタリングし、現在の二酸化炭素濃度が許容される二酸化炭素濃度の限界値に対してどの程度あるか知る必要がある。二酸化炭素濃度が上昇する環境においては、二酸化炭素濃度が0.1%以上になると呼吸器系や循環器系などに影響が出始め、4%以上になると動悸や眩暈が発生し、8%以上になると呼吸が停止する危険性がある。図5が示すように環境因子検知手段2が連続して環境情報である二酸化炭素濃度を一定間隔で検知し、水準表示手段4が二酸化炭素濃度と二酸化炭素濃度の限界値を連続して表示する。 二酸化炭素濃度の現在値と共に現在値の限界値に対する評価を文字で表示するが、例えば二酸化炭素濃度が0.1%以下であれば○、0.1%以上4%以下であれば△、4%以上であれば×というように段階的に表示する。一定間隔とは、表示される数値を認知できる程度の時間のことで、1秒以下の間隔であっても10秒以上の間隔であってもかまわないが、連続して最新の環境情報を表示するためには一定間隔は短い方が望ましい。このように連続して二酸化炭素濃度の数値と二酸化炭素濃度の限界値に対する相対的評価が表示される。
【0053】
上記構成において、水準表示手段4は一定間隔で連続して環境因子の現在値と限界値を表示することとなる。
【0054】
このように本発明の実施の形態5の環境情報表示装置1によれば、環境情報を一定間隔で連続して表示することによって、環境情報に関して最新の情報を表示することができるようになり、従って、利用者が最新の環境情報を瞬時に認知する事ができる。
【0055】
(実施の形態6)
図6は記憶手段5を備えた環境情報表示装置1を示している。 図6(A)に示すように、環境因子検知手段2によって検知された環境因子の現在値と環境許容限度計算手段3によって計算された環境因子の限界値は記憶手段5に記憶情報として入力され記憶保持される。記憶手段5としては、RAMやROMなどの半導体記憶装置や、ハードディスクやフロッピー(登録商標)ディスクなどの記憶補助装置がある。図6(B)に示すように、準表示手段4が記憶手段5によって記憶保持された記憶情報を、新しく検知された現在値と限界値と共に表示する。環境許容限度計算手段3である例えばCPUが記憶手段5に記憶保持されたデータを読み取り、最新の現在値と限界値と共に水準表示手段4に表示させることで、水準表示手段4は最新の環境情報と過去の環境情報を同時に表示することができる。
【0056】
上記構成において、記憶手段5は現在値と限界値を記憶保持し、記憶手段5に記憶保持されたデータを水準表示手段4が最新の環境情報と共に表示することとなる。
【0057】
このように本発明の実施の形態6の環境情報表示装置1によれば、記憶手段5によって検知された現在値と限界値が記憶情報として記憶され、水準表示手段4が記憶情報を最新の環境情報と同時に表示することとなり、従って、利用者は過去の環境情報と最新の環境情報を比較することによって現在の環境因子の変化を認知することができる。
【0058】
(実施の形態7)
図7は記憶手段5に記憶保持された記憶情報を元に現在値の変化率を計算し現在値が限界値を超え得る時期を予測する予測手段6を備えた環境情報表示装置1を示している。
【0059】
図7(A)に示すように、環境因子検知手段2によって検知された環境因子の現在値と環境許容限度計算手段3によって計算された環境因子の限界値は記憶手段5に記憶情報として入力され記憶保持され、記憶情報を元に予測手段6が現在値の変化率を計算し、現在値が限界値を超え得る時期を予測し、予測された予測時期を水準表示手段4に表示させる。予測手段6としては、例えばCPUであって記憶情報のデータを読み取り、過去の現在値の時間変化率を計算し、環境因子検知手段によって計算された限界値を超え得る時期を予測する。なお、環境許容限度計算手段3と予測手段6は分離した物であっても同一のCPUを用いてもかまわない。図7(B)に示すように、例えば現在値の変化が時間経過と共に一次関数的に上昇していた場合、後どのくらい時間が経過することで計算される限界値を超え得るか単純な一次関数を求めることで予測できる。予測する式としては一次関数だけでなく、現在値の変化を反映する物であればいずれの関数を用いることもできる。図7(C)に示すように、予測手段6によって予測された予測時期は水準表示手段4によって、記憶情報と最新の現在値と限界値と共に同時に表示される。
【0060】
上記構成において、予測手段6は現在値が限界値を超え得る時期を予測し、予測された予測時期を水準表示手段4が記録情報と最新の現在値と限界値と共に同時に表示することとなる。
【0061】
このように本発明の実施の形態7の環境情報表示装置1によれば、現在値が限界値を超え得る時期を表示することによって、環境情報に関する今後の傾向を表示することができるようになり、従って、利用者が未来における環境情報の時間変化に関して予測情報を認知することができる。
【0062】
(実施の形態8)
図8は複数の環境因子を統一的な数値に変換し、現在値と限界値を統一的数値に表示する水準表示手段4を示している。図8(A)が示すように、複数の環境因子に関してそれぞれ別々に現在値と限界値を表示した場合、現在値の限界値に対する相対評価をそれぞれの環境因子ごとに表示している。図8(B)が示すように、水準表示手段4が複数の環境情報に関して統一的な現在値と統一的限界値を表示する。環境許容限度計算手段3である例えばCPUが複数の環境因子検知手段2によって検知された環境情報をもとに統一的現在値と統一的限界値を計算する。統一的現在値とは、例えばPMV(Predicted Mean Vote:環境指標値)であり、この場合環境因子としては、温度と湿度と周壁温度と室内気流と着衣量と活動量であり、例えば温室時計や気流系や赤外線センサを利用して着衣量と活動量を検知するセンサなどを利用することによって検知することができるが、これ以外の環境情報を用いて統一的現在値を計算してもかまわない。
【0063】
上記構成において、複数の環境情報から統一的現在値と統一的限界値が水準表示手段4によって表示されることとなる。
【0064】
このように本発明の実施の形態8の環境情報表示装置1によれば、複数の環境情報から統一的現在値と統一的限界値が水準表示手段4によって表示されることによって複数の環境因子に関して統一的な情報を表示することとなり、従って、利用者が統一的な環境情報を瞬時に認知する事ができる。
【0065】
(実施の形態9)
図9は特定の空間内に設置された環境情報表示装置1を示している。図9に示すように、環境情報表示装置1は特定の空間である活動空間7内に設置されており、活動空間7内の環境情報に関して検知するよう配置されている。活動空間7とは、例えば住居やオフィスなどの建築物内の空間や、電車や車などの構造物内の空間があるが、これ以外のものであっても区切られた空間であればいずれの場合であってもかまわない。
【0066】
上記構成において、環境情報表示装置1は活動空間7内の環境情報を検知し表示することとなる。
【0067】
このように本発明の実施の形態9の環境情報表示装置1によれば、活動空間7内の環境情報を検知し活動空間7内の環境情報を表示することとなり、従って、利用者は活動空間内のみの環境情報を瞬時に認知することができる。
【0068】
(実施の形態10)
図10は特定の空間内に流入する媒体の通路である流入路8内に設置された環境情報表示装置1を示している。活動空間7内に流入してくる媒体とは例えば空気や水であり、この場合、流入路8とはエアーダクトや水道管があるが、媒体及び流入路8はこれ以外のものであってもかまわない。流入してくる媒体が空気の場合、空気中の環境因子として例えば大気中粒子状物質やSOxやNOxなどの排気ガス成分が挙げられ、大気中粒子状物質やSOxやNOxは大気汚染源として特に喘息患者にとっては重要な環境情報であり活動空間内に流入してくる量をモニターする必要があるが、これ以外のものであってもかまわない。
【0069】
上記構成において、環境情報表示装置1が活動空間7内に流入してくる媒体の環境情報を検知し表示することとなる。
【0070】
このように本発明の実施の形態10の環境情報表示装置1によれば、活動空間7内に流入してくる媒体の環境情報を表示することとなり、従って利用者は活動空間7内に流入してくる媒体の環境情報を瞬時に認識することができる。
【0071】
(実施の形態11)
図11は特定の空間内から外部に流出する媒体の通路である流出路9内に設置された環境情報表示装置1を示している。活動空間7内から外部に流出する媒体とは例えば空気や水であり、この場合、流出路9とはエアーダクトや水道管があるが、媒体及び流出路9はこれ以外のものであってもかまわない。流出する媒体が水の場合、水中の環境因子として例えば油や環境ホルモンなどの環境汚染物質が挙げられるが、これ以外のものであってもかまわない。
【0072】
上記構成において、環境情報表示装置1が活動空間7内から外部に流出する媒体の環境情報を検知し表示することとなる。
【0073】
このように本発明の実施の形態11の環境情報表示装置1によれば、活動空間7内から外部に流出する媒体の環境情報を表示することとなり、従って利用者は活動空間7内から外部に流出する媒体の環境情報を瞬時に認識することができる。
【0074】
また、例えば住居から環境中へ放出される水中の環境汚染物質の量をモニターすることは環境保全の観点から重要であり、利用者が環境中にどの程度環境汚染物質を放出しているかを認識させることによって、環境汚染物質の放出量を抑制するよう働きかける効果もある。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の環境情報表示装置1を用いることで、温度や湿度または二酸化炭素やホルムアルデヒド等のガス成分といった環境因子の現在値がわかると同時に、現在値がこれら環境因子の人体に許容されるレベルに対してどの程度であるか知ることができるようになり、単に現在の環境状況を知るだけでなく程度を正しく認知することができるため、利用者が客観的な評価をすることができるようになる。また、環境因子が人体に及ぼす影響には個人差があるため、人によっては環境因子の許容されるレベルは異なるが、複数の異なる水準を同時に表示することができるので、個人差があっても利用者それぞれに合わせて適切に環境因子を評価できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態1記載の環境情報表示装置を示す図
【図2】本発明の実施の形態2記載の環境情報表示装置の水準表示手段を示す図
【図3】本発明の実施の形態3記載の環境情報表示装置の水準表示手段を示す図
【図4】本発明の実施の形態4記載の環境情報表示装置の水準表示手段を示す図
【図5】本発明の実施の形態5記載の環境情報表示装置の水準表示手段を示す図
【図6】本発明の実施の形態6記載の環境情報表示装置を示す図
【図7】本発明の実施の形態7記載の環境情報表示装置を示す図
【図8】本発明の実施の形態8記載の環境情報表示装置の水準表示手段を示す図
【図9】本発明の実施の形態9記載の環境情報表示装置を示す図
【図10】本発明の実施の形態10記載の環境情報表示装置を示す図
【図11】本発明の実施の形態11記載の環境情報表示装置を示す図
【図12】従来の住環境評価支援システムを示す図
【符号の説明】
【0077】
1 環境情報表示装置
2 環境因子検知手段
3 環境許容限度計算手段
4 水準表示手段
5 記憶手段
6 予測手段
7 活動空間
8 流入路
9 流出路
101 住環境評価支援システム
102 出力制御手段
103 評価手段
104 データ記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境因子の情報を検知する環境因子検知手段と、前記環境因子検知手段によって検知された複数の環境因子の情報を元に前記環境因子が人体あるいは環境に許容され得る限度を限界値として計算する環境許容限度計算手段と、前記環境因子検知手段によって検知された情報を現在値として表示すると同時に前記限界値を表示する水準表示手段を備えた環境情報表示装置。
【請求項2】
環境許容限度計算手段が段階的に異なる複数の水準を計算し、水準表示手段が前記複数の水準を表示することを特徴とした請求項1に記載の環境情報表示装置。
【請求項3】
現在値と限界値をそれぞれ異なる色で表示することを特徴とした請求項1あるいは2のいずれかに記載の環境情報表示装置。
【請求項4】
現在値と限界値の関係を表現する絵あるいは文字をさらに同時に表示することを特徴とした請求項1〜3のいずれかに記載の環境情報表示装置。
【請求項5】
環境因子検知手段は環境因子の情報を一定間隔で連続して検知し、計算手段は一定間隔で連続して検知された環境因子の情報を元に限界値を計算し、水準表示手段は一定間隔で連続して現在値と限界値を同時に表示することを特徴とした、請求項1〜4のいずれかに記載の環境情報表示装置。
【請求項6】
環境因子の現在値と限界値とを記憶情報として記憶する記憶手段をさらに備え、水準表示手段は前記記憶手段から記憶情報を呼び出し表示することができる構成とした事を特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の環境情報表示装置。
【請求項7】
記憶手段に記憶された記憶情報を元に現在値の変化率を計算し現在値が限界値を超え得る時期を予測する予測手段をさらに備え、水準表示手段は予測された前記時期を表示することを特徴とする請求項6に記載の環境情報表示装置。
【請求項8】
複数の環境因子を統一的な数値に変換し、前記環境因子の人体あるいは環境に許容される限界値を統一的な数値で表示することを特徴とした請求項1〜7の何れかに記載の環境情報表示装置。
【請求項9】
環境因子検知手段を特定の空間内に設置し、前記環境因子検知手段は特定の空間内の環境因子を検知することを特徴とした請求項1〜8のいずれかに記載の環境情報表示手段。
【請求項10】
特定の空間内に流入する媒体の通路に環境因子検知手段を設置し、流入する媒体中の環境因子を検知することを特徴とした請求項1〜8のいずれかに記載の環境情報表示装置。
【請求項11】
特定の空間内から外部に流出する媒体の通路に環境因子検知手段を設置し、流出する媒体中の環境因子を検知することを特徴とした請求項1〜8のいずれかに記載の環境情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−275720(P2006−275720A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−94249(P2005−94249)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)