説明

環境検出器

医薬品パッケージ(11)内の環境状態を検出するための環境センサ装置(1)である。センサ装置は、センサ装置(1)の外形寸法を規定するハウジング(9)、湿度センサ(3)、温度センサ(4)、制御回路(5)、メモリ回路(6)、電源(7)、および通信インタフェース(8)を備えたスタンドアロン装置である。ハウジング(9)は、センサ装置を医薬品パッケージ(11)内部に合わせた外形寸法を有する。また、医薬品の有効期限を評価するために提供されたシステムおよび医薬品の有効期限を評価するための方法がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境検出器の技術に関し、特に、医薬品パッケージ内の環境状態を検出するための検出器、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの医薬品は、温度および/または湿度などの環境に関する影響に敏感である。それゆえ、製品を周囲の環境からシールドする密閉可能な容器または製品パッケージ内に提供される。このような医薬品の製品パッケージには、例えばネジ式またはスナップ式の再度密閉可能なふたを有するさまざまな形状の錠剤瓶、再度密閉不可能な大小のブリスタ・パックなどの多くの異なるタイプがある。製品パッケージのすべてのタイプの1つの共通の特徴は、中に入れられた医薬品のために本質的に密閉された環境を提供することである。市販されている製品パッケージの基本的なデザインは比較的似ているが、外部の環境に関する影響によって、性能および構造安定性は変わる。
【0003】
従って、特定の製品パッケージの医薬品の有効期限を決定するとき、調査されるべき1つの主なパラメータは、製品のパッケージのシールド能力である。従来、これは1以上の環境センサを製品パッケージ内に入れ、パケットを環境室内に入れることによって、実行されていた。このセンサは、パッケージ内の環境パラメータを即時に登録するために有線または無線接続によって制御ユニットと接続される。センサが有線によって制御ユニットと接続されるとき、パッケージの壁を通る貫通接続を提供しなければならず、従って、シールド性能に影響を与えないように適切に密閉されなければならない。WO0391679A1(特許文献1)は、ブリスタ・パックの形状の医薬品パッケージ内の温度を登録するための無線センサを開示する。このセンサは、制御ユニットとの無線接続が機能することを要求するが、どんな貫通接続も必要とせず密閉されたパッケージ内の温度の検出を提供する。その後、登録されたデータは評価され、特定の製品および製品パッケージの組み合わせの有効期限が推定される。このような推定は、製品パッケージが例えば配送中および/または格納中にさらされる外部の環境状態の推定に限定される。
【0004】
上記有効期限の推定の代わりとして、製品パッケージがさらされる実際の外部の状態を登録するための装置がある。US6810350(特許文献2)及びEP1262161(特許文献3)は、パッケージ内の環境パラメータを登録するための一体化されたセンサユニットを有する医薬品パッケージを開示する。US6810350は、より詳細に医薬品の有効期限を能動的に決定するためのシステムを開示する。それは、温度を登録し、登録された温度履歴に基づいて有効期限を計算する。US4972099(特許文献4)、EP0511807A1(特許文献5)、EP1319928A1(特許文献6)、WO8903020(特許文献7)はすべて、データ記録能力を有するスタンドアロン環境センサユニットの例を開示する。センサユニットは、例えば食物、医薬品などの温度に敏感な商品の配送中に、環境状態を自動的に管理するために使用されることを目的としている。その後、このように格納された環境データはコンピュータに分析のため転送される。
【0005】
【特許文献1】国際公開第0391679号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6810350号明細書
【特許文献3】欧州特許第1262161号明細書
【特許文献4】米国特許第4972099号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第0511807号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第1319928号明細書
【特許文献7】国際公開第8903020号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記センサユニットおよびシステムを用いた外部環境に関する影響の推定は、精度に限界があり、実際の状態に対応する十分に信頼性のある内部環境データを提供しない。
【0007】
本発明の目的は、有効期限を決定するための新しい環境センサ装置、システム、および医薬品パッケージにより提供される環境の保全を評価する方法を提供することである。本発明は、従来技術の1以上の欠点を克服する。これは独立請求項に定義された本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
新しいセンサ装置はスタンドアロンタイプであり、パッケージ内にすっぽり入るほど十分に小さいので、新しいセンサ装置の1つの利点は、医薬品パッケージ内の実際の環境状態を記録するのに使用され得ることである。
【0009】
別の利点は、製品パッケージ内に多量の医療品と共に入れられるほど小さいことである。それによって、記録される環境データはさらに実際的なものとなる。
【0010】
さらに別の利点は、センサ装置はデータを格納するためのメモリ回路を備えているので、接続線のための貫通接続がパッケージ内に備え付けられる必要がなく、そして評価期間中必要とされる直接的な無線接続の必要もない。
【0011】
さらに別の利点は、本発明に係る方法が、環境に関する影響に敏感である医薬品の有効期限をより正確に決定することを提供することである。
【0012】
本発明の実施形態は従属請求項において定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明に係る医薬品パッケージ内の環境状態を検出するための環境センサ装置1およびシステム2のブロック図を示す。センサ装置1は、湿度センサ3、温度センサ4、制御回路5、メモリ回路6、電源7、および通信インタフェース8を有するスタンドアロン装置である。さらに、センサ装置1は、センサ装置1を医薬品パッケージ内部に合わせる外形寸法を規定するハウジング9を有する。医薬品パッケージにおいて、サイズおよび形状に幅広いバリエーションがあるものが市販されている。従って、センサ装置の寸法は、特定の機能を維持しながら可及的に小さいものである。ある実施形態によれば、センサ装置は直径25mm以下および長さ50mm以下の円柱として形成される。ある実施形態によれば、1以上のセンサおよび回路はいくつかの機能を実行する集積回路において提供される。要するに、電源は別としてすべてのセンサのコンポーネントは1つの集積回路において提供され得る。それによって、センサ装置は非常に小さなサイズになる。
【0014】
センサシステム2は、評価用環境パラメータデータを受信するために、センサ装置1と通信インタフェースを介して通信するように配置される制御ユニット14をさらに含む。
【0015】
好ましくは、図2に示すように、センサ装置の外形寸法は、センサ装置1に加えて多量の医薬品10が医薬品パッケージ11内に入れられ得るほど小さい。図2に示す医薬品パッケージ11は、シーリングガスケット13を含むねじ式のふたを有する錠剤瓶である。センサ装置1を多量の医薬品10と共にパッケージ11内に入れることによって、断熱、吸水などの製品への影響が登録されるので、登録された環境パラメータは、製品およびパッケージの組み合わせ10、11をよりよく代表するものである。
【0016】
電力を節約し、必要以上のデータ登録を避けるために、装置1は所定の間隔で、温度および湿度の記録を取るように配置される。ある実施形態によれば、間隔の時間は任意である。別の実施形態によれば、環境パラメータの記録は、所定の基準に合う温度および/または湿度の1以上の読み込みによって開始される。記録の開始基準は、例えば温度および/または湿度のある上昇の傾きであってもよい。
【0017】
本発明に係る環境センサ装置1は、好ましくは医薬品パッケージ11によって提供される環境の保全を評価するために使用される。また、医薬品パッケージ11内の乾燥剤の機能を評価するために使用されてもよいし、輸送中の医薬品10への環境に関する影響を評価するために使用されてもよいし、医薬品パッケージ11内の製品10の有効期限を決定するために使用されてもよい。
【0018】
別の実施形態によれば、医薬品パッケージ11内に入っている医薬品10の有効期限を決定するために提供されたシステム2であって、
予め規定された外部の環境評価サイクル中に医薬品パッケージ11内の環境パラメータを検出するための、医薬品パッケージ11内部にぴったり合うサイズであるスタンドアロン環境センサ装置1と、
評価用環境パラメータデータを受信するために、センサ装置1と通信インタフェース8を介して通信するように配置される制御ユニット14と、を含むシステム2がある。
【0019】
システム2の1つの実施形態によれば、センサ装置は環境パラメータデータを格納するためのメモリ6を備える。制御ユニット14は、評価サイクル後センサ装置1から格納された環境データを読み込むように配置される。また、通信インタフェース8は無線であり、制御ユニット14は評価サイクル中、即時にセンサ装置1から環境データを読み込むように配置される。
【0020】
さらに、医薬品パッケージ11によって提供される環境の保全を評価する方法であって、
登録された環境データを格納することができる環境パラメータセンサ装置1を製品パッケージ11内に入れるステップと、
センサ装置1を含む製品パッケージ11を環境変化にさらすステップと、
登録された環境データを制御ユニット14に取り戻すステップと、
保全を評価するステップと、を含む方法が提供される。
【0021】
できるだけ現実的な環境データとして登録するために、上記方法はさらに、
多量の医薬品10を製品パッケージ11内に入れるステップと、
乾燥剤を製品パッケージ11内に配置するステップと、
実際の充填状況において医薬品パッケージ11を閉じるのと同様に、医薬品パッケージ11を閉じるステップのうち1以上のステップを含む。
【0022】
これらの方法によって、製品それ自体からのどんな影響、乾燥剤、または充填プロセスも記録され、従って評価され得る。当該方法は、特に医薬品内の見込み残留含水量を検出し、湿度を予め規定されたレベルに保つのに必要とされる乾燥剤の量を最適化するのに有用である。また、実際の充填状況において閉じられたパッケージの環境データが、最適な状態で閉じられたパッケージからのデータと比較されるとき、その方法は充填プロセスにおいて効果的にどんな問題をも識別する。
【0023】
上述したように、製品が輸送中や格納中など頻繁にさらされる環境パラメータにより医薬品の有効期限を決めることは複雑な仕事である。このように不確定であるため、有効期限は、ほとんどの場合、起こる可能性が低い最悪のシナリオに基づいている。しかしながら、本発明は、輸送および/または格納などの後、有効期限を評価するために使用され得る方法であって、
センサ装置1が入っている製品パッケージを一回の輸送分に入れるステップと、
制御ユニット14を用いて、目的地に到着したときまたは格納後に環境履歴を登録するステップと、を含む方法を提供する。
このような方法により、環境履歴が完全であれば、推定誤りは大いに小さくなるので、有効期限は著しく延期され得る。
【0024】
上述したように、パッケージ内の環境パラメータを登録するための一体化されたセンサユニットを有する医薬品の製品パッケージ/容器、および医薬品の有効期限を能動的に決定するためのシステムがある。しかしながら、多くの医薬品は、非常に制限された期間での使用を対象としている。例えば、抗生物質は細菌感染のために1週間または10日間、1日2錠で処方される。このような製品(特に敏感な製品)の有効期限のより効果的な決定を得るために、上記方法は使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る環境センサ装置およびシステムのブロック図である。
【図2】環境センサ装置が内部に設置された医薬品パッケージの断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品パッケージ(11)内の環境状態を検出するための環境センサ装置(1)であって、
センサ装置(1)の外形寸法を規定するハウジング(9)と、
湿度センサ(3)と、
温度センサ(4)と、
制御回路(5)と、
メモリ回路(6)と、
電源(7)と、
通信インタフェース(8)と、を含むスタンドアロン装置であり、
前記ハウジング(9)は、医薬品パッケージ(11)内部に合わせた外形寸法を有することを特徴とする環境センサ装置。
【請求項2】
前記センサ装置(1)の前記外形寸法は、前記センサ装置(1)を加えて多量の医薬品(10)を医薬品パッケージ(11)内に入れることができるほど小さいことを特徴とする請求項1に記載の環境センサ装置(1)。
【請求項3】
所定の間隔で、温度および湿度の記録をとるように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の環境センサ装置(1)。
【請求項4】
前記間隔の時間は任意であることを特徴とする請求項3に記載の環境センサ装置(1)。
【請求項5】
環境パラメータの記録は、所定の基準に合う温度および/または湿度の1以上の読み込みによって開始されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の環境センサ装置(1)。
【請求項6】
記録の開始基準は、温度および/または湿度のある上昇の傾きであることを特徴とする請求項5に記載の環境センサ装置(1)。
【請求項7】
医薬品パッケージ(11)によって提供される環境の保全を評価するための請求項1乃至6のいずれか1つに記載の環境センサ装置(1)の使用。
【請求項8】
医薬品パッケージ(11)内の乾燥剤の機能を評価するための請求項1乃至6のいずれか1つに記載の環境センサ装置(1)の使用。
【請求項9】
輸送中の医薬品への環境に関する影響を評価するための請求項1乃至6のいずれか1つに記載の環境センサ装置(1)の使用。
【請求項10】
医薬品パッケージ(11)内の医薬品(10)の有効期限を決定するための請求項1乃至6のいずれか1つに記載の環境センサ装置(1)の使用。
【請求項11】
医薬品パッケージ(11)内に含まれる医薬品(10)の有効期限を決定するためのシステム(2)であって、
予め規定された外部の環境評価サイクル中に医薬品パッケージ11内の環境パラメータを検出するための、医薬品パッケージ(11)内部にぴったり合うサイズであるスタンドアロン環境センサ装置(1)と、
評価用環境パラメータデータを受信するために、センサ装置(1)と通信インタフェース(8)を介して通信するように配置される制御ユニット(14)と、を含むことを特徴とするシステム。
【請求項12】
前記センサ装置(1)は、環境パラメータデータを格納するためのメモリ(6)を含み、
前記制御ユニット(14)は、評価サイクル後センサ装置(1)から格納された環境データを読み込むように配置されることを特徴とする請求項11に記載のシステム(2)。
【請求項13】
前記通信インタフェース(8)は、無線であり
前記制御ユニット(14)は、評価サイクル中、即時にセンサ装置1から環境データを読み込むように配置されることを特徴とする請求項11に記載のシステム(2)。
【請求項14】
医薬品パッケージ(11)によって提供される環境の保全を評価する方法であって、
環境センサ装置(1)を前記医薬品パッケージ(11)内に入れるステップと、
前記センサ装置(1)が入っている前記医薬品パッケージ(11)を環境変化にさらすステップと、
登録された環境データを制御ユニット14に取り出すステップと、
上記保全を評価するステップと、を含む方法。
【請求項15】
多量の医薬品(10)を前記医薬品パッケージ(11)内に入れるステップをさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
乾燥剤を前記医薬品パッケージ(11)内に配置するステップをさらに含む請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
実際の充填状況において、医薬品パッケージ(11)を閉じるのと同様に、前記医薬品パッケージ(11)を閉じるステップをさらに含む請求項14乃至16のいずれか1つに記載の方法。
【請求項18】
センサ(1)が入っている前記医薬品パッケージ(11)を1回の輸送分に入れるステップと、
目的地に到着したときまたは格納後に、環境履歴を登録するステップと、
登録された環境履歴からその分の医薬品(10)の有効期限を決定するステップと、
を含む請求項14乃至17のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−500903(P2009−500903A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519223(P2008−519223)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000792
【国際公開番号】WO2007/004948
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】