説明

環境監視を提供するためのシステムおよび方法

この発明は、携帯型環境監視システムを提供するためのシステムおよび方法を記載する。この発明の例示的実施例は、空中浮遊検体を感知することができるセンサを含む携帯型環境監視システムを提供する。携帯型環境監視システムは、さらに、センサと通信し、センサから受取られる情報を処理することができるマイクロプロセッサを含む。さらに、携帯型環境監視システムは、マイクロプロセッサと通信し、マイクロプロセッサから受取られる情報を保存することができるメモリ装置を含む。さらに、ユーザは、携帯型環境監視システムとともに移動することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
この出願は、2008年2月15日に提出された米国暫定特許出願第61/028,939号の利益を主張し、その全内容および実体を、あたかも以下に完全に述べられるかのように、ここに引用により援用する。
【0002】
連邦政府により支援されるリサーチおよび開発に関する声明
この発明は、協定第GALHH0124−04号のもと、米国住宅都市開発省により支援される健全住居および鉛汚染防止補助金プログラム(the Healthy Homes and Lead Hazard Control Grant Program)においてなされた。政府は、この発明に、ある権利を有する。
【0003】
発明の分野
この発明は、一般に、環境監視システムを提供するためのシステムおよび方法に関し、特に、携帯型環境監視システムを提供するためのシステムおよび方法にする。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
よりよい医療処置および医療への全面的なアクセスにもかかわらず、喘息は、国および世界の全体にわたって、特に子供の間で、大きくなりつつある重要な健康問題である。喘息は、米国の人口において最も慢性の呼吸器疾患であり、500万人以上の子供を含む約1730万人の米国人を襲っている。長期的な監視データは、米国の喘息の流行および罹患率の両方が上昇中であることを示す。子供は、この増加の大部分を占める。1980年から1994年まで、子供年齢0〜4歳の喘息罹患率は160%分増加した。図1に示される棒グラフは、年齢、人種および性別のカテゴリにおける喘息罹患率のパーセンテージを示す。図1によって明白に示されるように、青年は喘息の症例の数の大部分を含む。
【0005】
喘息は、年間140億USドルかかると見積もられる。より高所得家庭における11%と比較して、低所得家庭の子供の16%が、喘息を持つ可能性がよりありそうだった。増大する世界的な喘息の流行のコストは、金額においてのみではない。年間、米国では、喘息は、500,000件の入院(214,000件は子供を含む)、4,500件の死、1400万日分の失われた授業日数、1450万日分の失われた労働日数、および1億3400万日分の制限された活動の原因である。米国における喘息の人の全体の数は、1979〜1980年と1993〜1994年との間に102%分増加した。喘息は潜在的に生命を脅かす疾病である。それは患者にとって衰弱的であり、彼らの労働および余暇のための活動を制限し得る。医学界の多数の者が、我々の環境において十分に汚染を規制していないことにより、特に子供の間で、喘息の増加を引き起こしている、と考えている。
【0006】
当該分野の多数の者が、環境曝露が喘息に対して直接の因果関係を有しており、屋内および屋外環境汚染物質が喘息悪化に対する誘因として人生の初期および後期において喘息の発症に重要な役割を果たす、と仮定しているが、現在まで、これらの関係は、空中浮遊汚染物質濃度マトリックスを測定し得、同時に肺機能を測定し得る計装の欠如により、確立されていない。実際の誘因を識別すると同様に、これらの関係を実証することも重要であり、なぜならば、平均的な子供はその時間の80〜90%を屋内で過ごし、屋内の汚染物質に対する曝露からの彼らのリスクを増加させ、屋内の空中浮遊汚染レベルは屋外の何十倍〜何百倍も高いかもしれず;さらに、屋外空気汚染物質、特にオゾンおよび粒子は、建物外壁を貫き、屋内環境に入り得ることが、今認識されているからである。
【0007】
連邦政府は、米国における全面的な生活の質に対する小児喘息の重要性を認識している。クリントン大統領によって出された大統領命令13045は、喘息を悪化させる環境上の危険からすべての喘息の子供を保護するよう連邦活動および戦略を促進するプランを立てることの責務を負った対策委員会を設立した。NIHは、毎年、5月のある1日を、喘息警戒日として指定している。連邦政府の、「健康な人々2010(Healthy People 2010)」のビジョンは、環境衛生および呼吸器疾患を大きな憂慮分野としてリスト化した。いくつかの連邦機関は、喘息の原因、治療および管理を調査する主なリサーチプログラムおよびセンターを有する。しかし、この進行中のリサーチのすべてを以ってしても、喘息、および他の慢性病、および環境曝露の間の関係に対する明確な繋がりはまだない。
【0008】
大気汚染曝露に起因する健康に対する悪影響を特徴づけることにおける当惑的な問題は、汚染された空気が、有機および無機の両方の揮発性ガス、広範囲のサイズの浮遊粒子、バイオエアゾール剤および他の刺激化合物の複雑な混合物であるということである。この混合物の複雑さは、特定の健康の影響を特定の汚染物質に関係づけるという困難な挑戦を呈し、そして、現実には、この混合物の組成は個々の成分より重要かもしれない。
【0009】
この複雑さは増加され、なぜならば、これらの混合物の成分は、付加的にまたは相乗的に作用するかもしれないからである。図2は、環境タバコ煙(ETS)とオゾン(「O」)の雰囲気レベルとの間における相乗効果の関係を示す最近の研究からのデータのグラフを提供する。グラフは、喘息ラットの、ETS、O、および両方の物質の組合せに対する曝露後の、Penhレート、すなわち気道抵抗を示す。喘息のラットは、10分ごとに1本のたばこの割合で3時間ETSに曝露されるか、または3時間O3の雰囲気等価物レベルに曝露されるか、または3時間それら2つの組合せに曝露された。図2は、3時間のETSだけに対する曝露は、空気に曝された対照と比較して、ラットにおけるPenhレベルを著しくは変えなかったことを示す(mean±SEM;0.549±0.12対0.589±0.23;P=0.68)。オゾンは、対照と比較して、ラットにおける曝露後Penhを著しく増加させた(0.773±0.063対0.589±0.023;P=0.04)。さらに、オゾン曝露ラットは、ETS曝露ラットと比較して、著しく増大されたPenh値を示した(P=0.025)。さらに、オゾンおよびETSの組合わされた曝露は、ETS(0.971+.081対0.549+.012;P=0.0004)またはオゾン(0.773+0.063;P=.033)のいずれかの曝露と比較して、Penhを著しく増加させた。
【0010】
化学物質が付加的または相乗的に組合わさる能力は、図2に示されるように、喘息に対する誘因の診断をさらに困難にし、なぜならば、化学物質のレベルは、同じ環境においてでさえ、比較的短い時間期間で劇的に変動し得るからである。下記の表1におけるデータは、住宅家屋の内部および外部の両方におけるオゾン濃度間の変動を示す。
【0011】
【表1】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の環境監視システムは、喘息のような多くの呼吸不全に至る複雑な変数の範囲を十分に調べるよう要求される分析およびデータ生成のレベルを可能にしない。したがって、ほとんど任意の環境におけるユーザの空中浮遊検体に対する曝露に関してデータが収集されることを可能にするような携帯型環境監視システムを提供することは有利であろう。
【0013】
ユーザの空中浮遊検体に対する曝露に関するデータを収集するのみならず、ユーザの肺機能に関する情報を提供することもできるよう構成される、携帯型環境監視システムを提供することは有利であろう。
【0014】
さらに、ユーザの空中浮遊検体に対する曝露と不十分な肺機能との間において付随した関係が確立されうる、呼吸不全の誘因を診断するための改善されたシステムおよび方法を提供することは有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
発明の概要
この発明は、携帯型環境監視システムを提供するためのシステムおよび方法を記載する。この発明の例示的実施例は、空中浮遊検体を感知することができるセンサを含む携帯型環境監視システムを提供する。携帯型環境監視システムは、さらに、センサと通信し、センサから受取られる情報を処理することができるマイクロプロセッサを含む。さらに、携帯型環境監視システムは、マイクロプロセッサと通信し、マイクロプロセッサから受取られる情報を保存することができるメモリ装置を含む。さらに、ユーザは、携帯型環境監視システムとともに移動することができる。
【0016】
携帯型環境監視システムに加えて、この発明は、センサ、マイクロプロセッサ、メモリ装置および呼吸監視装置を含む携帯型環境監視システムをユーザに提供することを含む、呼吸不全誘因を診断するための方法を提供する。この方法は、ユーザが複数の環境内にある状態で、センサおよび呼吸監視装置から複数のデータを収集すること、ならびにセンサおよび呼吸監視装置から受取られる複数のデータを分析することをさらに含む。さらに、呼吸不全誘因を診断する方法は、ユーザの空中浮遊検体に対する曝露とユーザによる不十分な肺機能との間に、ある関係が存在するかどうか判断することを含む。
【0017】
この発明のこれらならびに他の目的、特徴および利点は、添付の図面と関連付けて以下の明細書を読むことで、より明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】年齢、人種および性別のカテゴリの喘息罹患率のパーセンテージを示す。
【図2】環境タバコ煙(ETS)とオゾン(「O3」)の雰囲気レベルとの間の相乗効果関係を示すデータのグラフを示す。
【図3A】この発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300のブロック図を示す。
【図3B】この発明に従って携帯型環境監視システム300の代替的実施例のブロック図を示す。
【図4】この発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300を提供されるユーザのブロック図を示す。
【図5A】この発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300を示す。
【図5B】この発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300を示す。
【図6】この発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300の概略を示す。
【図7】この発明の例示的実施例に従って呼吸不全誘因を診断する方法700のブロック図を示す。
【図8】この発明の例示的実施例に従ってO3センサ310Eを備えた携帯型環境監視システム300の例示的実施例から得られる情報の分析のグラフを示す。
【図9】この発明の例示的実施例に従ってVOCセンサ310AおよびCO2センサ310Bを備えた携帯型環境監視システム300の例示的実施例から得られる情報の分析のグラフを示す。
【図10】この発明の例示的実施例に従ってNO2センサ310Dを備えた携帯型環境監視システム300の例示的実施例から得られる情報の分析のグラフを示す。
【図11】VOCセンサ310A、CO2センサ310B、ホルムアルデヒドセンサ310CおよびNO2センサ310Dを含む携帯型環境監視システム300の例示的実施例のこのユーザ現場検査の分析のグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
この発明は、空中浮遊検体を監視することができるシステムを提供できないことに関する先行技術における欠点に対処する。重要なことに、この発明は、携帯型環境監視システムを提供する方法および装置を提供する。この発明に従って提供される携帯型環境監視システムによって、ユーザの環境にある1つ以上の空中浮遊検体の存在を監視し、それらの物質に関するデータを記憶することができる。さらに、この発明は、先行技術の従来の方法およびシステムの欠点を克服し、さまざまな状況および環境においてユーザによって簡便に携帯および操作することができるシステムおよび方法を提供する。
【0020】
この発明の例示的実施例は、空中浮遊検体を感知することができるセンサを含む携帯型環境監視システムを提供する。この携帯型環境監視システムは、さらに、センサと通信し、センサから受取られる情報を処理することができるマイクロプロセッサを含む。さらに、この携帯型環境監視システムは、マイクロプロセッサと通信し、マイクロプロセッサから受取られる情報を保存することができるメモリ装置を含む。さらに、ユーザは、携帯型環境監視システムとともに移動することができる。
【0021】
携帯型環境監視システムに加えて、この発明は、センサ、マイクロプロセッサ、メモリ装置および呼吸監視装置を含む携帯型環境監視システムをユーザに提供することを含む、呼吸不全誘因を診断する方法を提供する。この方法は、ユーザが複数の環境内にある状態で、センサおよび呼吸監視装置から複数のデータを収集すること、ならびにセンサおよび呼吸監視装置から受取られる複数のデータを分析することをさらに含む。さらに、呼吸不全誘因を診断する方法は、ユーザの空中浮遊検体に対する曝露とユーザによる不十分な肺機能との間に、ある関係が存在するかどうか判断することを含む。
【0022】
この発明によって可能にされた携帯型環境監視システムは、喘息反応分析の分野に対し、著しい利点を呈する。従来の監視計装では、非常に限定された空中浮遊検体の組の監視のみが可能である。さらに、従来の監視計装は携帯可能ではない。典型的には、従来の監視システムは、これらの永久に固定されるマシンを設置し構成するには、高度な知識があり、訓練された人員を必要とする。たとえば、しかし限定はされないが、従来の監視システムは、1つ以上の感知装置、コンピュータ、電源、モニタおよび付加的装置を必要とする。非常にしばしば、これらの従来の監視システムは、各個々の空中浮遊汚染物質を測定するために、独立した別個の感知装置を必要とする。
【0023】
図3Aはこの発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300のブロック図を示す。図3Aの例示的実施例に示されるように、携帯型環境監視システム300はハウジング305を提供し得る。例示的実施例では、ハウジング305は、携帯型環境監視システム300の構成要素のためのシャーシを提供し得る。例示的実施例におけるハウジング305は、ユーザによる取扱いおよび携帯性に対して修正可能であり、さらに、携帯型環境監視システム300の構成要素に対して十分な保護をあたえるよう修正可能である、軽量で頑丈な材料で構成される。当業者は、軽量のポリマーおよび金属を含むさまざまな好適な材料からハウジング305を形成し得ることを理解するであろう。
【0024】
図3Aに示されるように、携帯型環境監視システム300の例示的実施例はセンサ310を提供し得る。センサ310は、例示的実施例において、1つ以上の空中浮遊検体を感知することができ得る。検体という語は、ここでは、任意の粒子、化学物質、化合物または他の物質を記載するよう用いられる。したがって、センサ310は、携帯型環境監視システム300付近の空中浮遊検体を感知することができ得る。当業者は、ここに記載されるセンサは、特にこの発明のために開発された、市場で入手可能なセンサまたは特許保護されたセンサであり得ることを理解するであろう。例示的実施例では、センサ310はマイクロプロセッサ315と通信するよう構成される。図3Aに示されるマイクロプロセッサ315は、センサ310によって生成されたデータまたは情報を受取ることができ得る。マイクロプロセッサ315の特徴は、携帯型環境監視システム300の特定の実現例の要求によって変動し得る。当業者は、マイクロプロセッサ315は、携帯型環境監視システム300の一実施例のために特に設計された特定用途向けIC(「ASIC」)、または携帯型環境監視システム300のさまざまな異なる実施例における動作のために構成された汎用マイクロプロセッサであるかもしれないことを理解するであろう。携帯型環境監視システム300の例示的実施例は、携帯型環境監視システム300のパワー要件および空間要件を最小限にすることを援助するように、比較的コンパクトで小さな実装面積および最小の電力消費をともなうマイクロプロセッサ315を実現する。
【0025】
図3Aにおけるブロック図に示されるように、携帯型環境監視システム300の例示的実施例は、メモリ装置320をさらに含む。メモリ装置320はマイクロプロセッサ315と通信するよう提供される。携帯型環境監視システム300の例示的実施例では、メモリ装置320は、マイクロプロセッサ315によって処理され、センサ310から受取られるデータを保存することができる。例示的実施例では、メモリ装置320は、不揮発性記憶を提供する、低電力の、コンパクトな構成要素である。したがって、例示的実施例では、携帯型環境監視システム300への電力が失われても、メモリ装置320は保存されたデータを保存するであろう。当業者は、携帯型環境監視システム300の特定の実施例の要件を満たすために、メモリ装置320のためにさまざまなメモリ装置を実現し得ることを理解するであろう。例示的実施例では、センサ310が、携帯型環境監視システム300の環境において1つ以上の空中浮遊検体の存在に関する情報を収集し得、マイクロプロセッサ315にその1つ以上の空中浮遊検体に関する情報を通信し得るように、携帯型環境監視システム300は構成される。マイクロプロセッサ315は、携帯型環境監視システム300の例示的実施例では、センサ310を制御できる。たとえば、しかし限定はされないが、マイクロプロセッサ315は、センサ310が動作中のとき、センサ310はどれくらい長く動作可能か、およびどれだけの情報がセンサ310によって収集されるかを制御し得る。さらに、マイクロプロセッサ315は、センサ310によって生成されたデータがマイクロプロセッサ315によって処理され、メモリ装置320上に保存され得るように、メモリ装置320と通信することができる。
【0026】
携帯型環境監視システム300の例示的実施例は、比較的軽量でコンパクトなシステムを提供し、ユーザがシステム300とともに移動することを可能にする。いくつかの実施例では、携帯型環境監視システム300の具体的な総重量は、5ポンド未満であり、好ましくは1ポンド未満である。したがって、ユーザは、ほとんど任意の環境において、携帯型環境監視システム300を担持および/または着用しながら、幅広くさまざまな業務に従事することができる。たとえば、しかし限定はされないが、ユーザは、家、学校および/またはオフィスなど方々で携帯型環境監視システム300を着用し得る。さらに、ユーザは、携帯型環境監視システム300を、外で、歩いたり、階段を上ったり、ある身体活動に従事しているときなどに、着用し得る。携帯型環境監視システム300の携帯性および利便性は、システムがさまざまな異なる環境で一日のうちいつでもユーザを監視する能力に関して、この発明の著しい利点の多くを可能にする。
【0027】
図3Bはこの発明に従って携帯型環境監視システム300の代替的実施例のブロック図を示す。図3Aに示される携帯型環境監視システム300の実施例は、携帯型環境監視システム300の構成要素が一方のハウジング305に含まれる実現例を示す。図3Bにおいて示される代替的実施例に示されるように、携帯型環境監視システム300は、さらに、305A、305Bおよび305Cを含む複数の構成要素ハウジングに分離され得る。図3Bにおける代替的実施例に示されるように、センサ310は、別個のハウジング305Aにおいて構成され得る。さらに、マイクロプロセッサ315およびメモリ装置320への感知情報の無線送信を可能にし、ならびにマイクロプロセッサ315からの命令の受信を可能にするために、センサハウジング305Aは、この代替的実施例においてアンテナ330を備え得る。同様に、図3Bの代替的実施例に示されるように、携帯型環境監視システム300は、別個のハウジング305Bにおいてマイクロプロセッサ315およびメモリ装置320で構成され得る。このハウジング305Bも、センサ310および外部計算装置を含むさまざまなソースとデータを無線で送受信するよう、アンテナ335とともに構成され得る。たとえば、しかし限定はされないが、携帯型環境監視システム300のこの代替的実施例のマイクロプロセッサ315は、遠隔の無線ソースからコマンドおよび制御を受信するよう構成され得、ラップトップのような遠隔の無線ソースから新しいファームウェアアップロードおよび更新を受信するよう構成され得る。図3Bに示される携帯型環境監視システム300の代替的実施例における処理構成要素の分離に加えて、電源325もそれ自体のハウジング305Cに分離され得る。たとえば、しかし限定はされないが、ハウジング305Cにおける電源325は多くの場合携帯型環境監視システム300のより重い構成要素であり、ユーザのバックパック、ファニーパックまたはポケットにしまい込まれるように構成されることもあり得る。図3Bに示される携帯型環境監視システム300は、無線動作のためにアンテナ330および335とともに構成されるが、それは有線通信のためにも構成され得る。当業者は、所与の実現例の要求および要件に依って、携帯型環境監視システム300のさまざまな実施例を分割し構成するさまざまな好適な態様があることを理解するであろう。当業者は、この発明の範囲を逸脱せずに、これらの異なる態様で携帯型環境監視システム300を構成し得ることをさらに理解するであろう。
【0028】
図4は、この発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300を提供されるユーザのブロック図を示す。図4に示される携帯型環境監視システム300の例示的実施例は、ユーザによって便利なように担持されるよう構成される。したがって、携帯型環境監視システム300は、ユーザの1つの衣類、パックまたはポケットに入れて担持され得るように、十分に軽量である。携帯型環境監視システム300の例示的実施例は5ポンド未満であり、好ましくは、2ポンド未満である。図4に示される例示的実施例では、携帯型環境監視システム300は衣服410において着用されるように構成される。衣服410は、ベスト、ジャケット、ズボンまたはシャツを含むさまざまな異なるタイプの衣類で有り得る。衣服410は、下着または上着であるように設計され得る。
【0029】
代替的実施例では、携帯型環境監視システム300はユーザによって着用されるべきバックパックまたはファニーパックに嵌まるよう構成され得る。さらに、携帯型環境監視システム300のいくつかの実施例は、さまざまなポケットおよびパックにおいて着用または隠されるよう、ディスクリートな構成要素に分解され得るよう、別個でディスクリートな構成要素で構成される。たとえば、携帯型環境監視システム300の電源はファニーパックに収め、一方、マイクロプロセッサ315、センサ310およびメモリ装置320はユーザのベスト衣服410のポケットに収めるかもしれない。図4に示されるように、ユーザは屋外を含むさまざまな環境において携帯型環境監視システム300を着用することができ得る。
【0030】
この発明の例示的実施例の著しい利点のうちの1つは、それによってユーザがさまざまな環境で空中浮遊検体を監視することができることである。従来の環境監視システムは、比較的大きな空間および比較的大きな電源を必要とする、固定される、かさばった装置である。したがって、従来の環境監視機器は、それらが位置する部屋しか監視できない。典型的には、従来の環境監視機器はユーザの病室または寝室においてセットアップされる。このように、データは、従来の固定された環境監視装置の付近における空中浮遊検体に対するユーザの曝露に関してしか分析され得ない。異なる環境の分析が望まれる場合、従来のシステムは別の部屋で解体および再構成されなければならない。さらに、ユーザは、従来のシステムでは、屋外環境における空中浮遊検体に対する曝露に関するデータを収集することはできない。図4に示されるように、ユーザは、屋外を含むほとんど任意の環境において携帯型環境監視システム300を着用し得る。したがって、ユーザは、携帯型環境監視システム300によって、広範囲の環境において有意な期間にわたって空中浮遊曝露に関するデータを収集することができる。
【0031】
携帯型環境監視システム300の例示的実施例の付加的な重要な利点は、それが空中浮遊検体曝露データの実時間収集を可能にするということである。上記の表1に示されるように、所与の屋外または屋内環境において大気中において連行される粒子のレベルは、24時間の期間においてさえ大きく変動し得る。携帯型環境監視システム300の例示的実施例は、ユーザが、複数の環境でデータを収集するのみならず、それらの環境において延長されたまたはさまざまな時間期間にわたってデータを収集することを可能にする。さらに、空中浮遊検体は、互いに反応して、物質を修正し、および/または新しい空中浮遊物質を形成するかもしれない。たとえば、しかし限定はされないが、雰囲気O3は、一般に使用される屋内清掃製品に見られるもののような不飽和化合物と反応し、酸化された化合物を生成するかもしれない。したがって、実時間データを得る能力は、ある空中浮遊検体と不十分なユーザ肺機能との関係の判断にとって重大である。
【0032】
図4に示される携帯型環境監視システム300の例示的実施例は、呼吸監視装置410を含む。ユーザは、呼吸監視装置410によって、ユーザの肺機能に関するデータを収集することができ得る。ユーザの肺機能はユーザの肺機能の効力に関する指標である。呼吸監視装置410は、肺機能検査(「PFT」)を行なうことができるさまざまな異なるタイプの装置であり得る。呼吸監視装置410の例示的実施例はピークフローメータである。ピークフローメータは、ユーザの空気を吐く能力を監視するために使用される小さな携帯装置である。ピークフローメータは、気管支を通る気流、およびしたがって気道の妨害の程度を測定し得る。1つの実施例では、呼吸監視装置410は、nSpire Health, Inc.によって製造されるPiKo−I携帯型装置であり、最大流量および1秒努力呼気肺活量(「FEV1」)を測定する。当業者は、ユーザの努力性肺活量(「FVC」)、FEV1および最大呼気流速(「PEF」)データに関するデータを含む、ユーザの肺機能に関するデータを提供するために、携帯型環境監視システム300に他の肺活量測定装置を実現し得ることを理解するであろう。
【0033】
携帯型環境監視システム300の例示的実施例によって提供される著しい利点のうちの1つは、空中浮遊検体に対するユーザの曝露に関するデータ、および空中浮遊検体曝露データとユーザの肺機能に関するデータとの決定的な比較の両方の分析を可能にするということである。したがって、携帯型環境監視システム300は、特定の空中浮遊検体に対するユーザの曝露とユーザの肺機能の減少との間における付随する関係の判断を可能し得る。
【0034】
図5Aおよび図5Bはこの発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300を示す。図5Aに示されるように、携帯型環境監視システム300はハウジング305を含み得る。このハウジング305は、例示的実施例において、矩形の容積であり得る。図5Aに示される例示的実施例では、ハウジング305は長さ4.75インチ、幅2.6インチおよび高さ1.6インチを有する。当業者は、図5Aに示される例示的実施例は単に1つの実現例であり、ハウジング305の寸法は、携帯型環境監視システム300の実施例のパラメータによって変動し得ることを理解するであろう。例示的実施例のハウジング305は、携帯型環境監視システム300の構成要素のうちのいくつかのためのシャーシ、および外部構成要素に対する1つ以上のインタフェースの両方を提供し得る。
【0035】
携帯型環境監視システム300の例示的実施例では、空気ポンプ505はハウジング305内に構成される。空気ポンプは、空気入口510および空気入口チューブ515を介して雰囲気空気を引くことができる。例示的実施例では、空気入口510は、雰囲気空気をフィルタ処理するための微粒子フィルタ550を提供し得る。空気入口510における微粒子フィルタ550は、呼吸可能なサイズの粒子だけがシステム内に渡されることを可能にするように構成され得る。したがって、携帯型環境監視システム300は、呼吸可能なサイズである空中浮遊検体だけを分析することができ得る。ポンプ505は、雰囲気空気を引込み、その空気が携帯型環境監視システム300において1つ以上のセンサの上を通るように構成され得る。図5Aに示されるように、ポンプは空気送りチューブ520に接続され得る。空気送りチューブ520は、入来するフィルタ処理された雰囲気空気を検出のためにセンサ上に向けるようハウジング内に構成され得る。
【0036】
携帯型環境監視システム300のいくつかの実施例では、微粒子フィルタ550はあるサイズより下の粒子を捕捉して含むよう用いられ得る。たとえば、しかし限定はされないが、微粒子フィルタ550は、直径2.5マイクロメータ未満の呼吸可能なサイズの粒状物を捕捉するよう実現され得る(「PM2.5」)。センサ310によって分析された空中浮遊検体に加えて、携帯型環境監視システム300のこれらの例示的実施例は、さらに、微粒子フィルタ550によって捕捉された粒子の後の分析を可能にする。したがって、微粒子フィルタ550は、携帯型環境監視システム300の例示的実施例での一連の検査の後、空気入口510から外され、次いで、アレルゲンおよび微生物を含む組成について実験室で分析され得る。
【0037】
図5Aに示されるように、携帯型環境監視システム300の例示的実施例は複数のセンサを含み得る。図5Aに示される例示的実施例は、複数の空中浮遊検体を検知するために5つのセンサ装置を提供する。図5Aにおける例示的実施例に示されるセンサ310Aは、揮発性有機化合物(「VOC」)センサである。このVOCセンサ310Aはさまざまな異なる揮発性有機化合物を測定するよう構成され得る。下記の表2は、VOCセンサ310Aによって検知および/または測定され得るさまざまなVOCのうちのいくつかのリストを提供する。
【0038】
【表2】

【0039】
図5Aに示されるように、空気送りチューブ520は、VOCセンサ310Aの取入れ領域にわたって空気を運ぶように構成され得る。例示的実施例では、VOCセンサ310Aは、マイクロプロセッサ315(図5Aにおいて可視でない)に情報を中継し得る。マイクロプロセッサ315はVOCセンサ310Aからのこの情報を処理するように構成され得る。さらに、マイクロプロセッサ315は、メモリ装置320においてVOCセンサ310Aから受取られる情報に関係のあるデータの記憶を制御し得る。図5Aに示されるように、メモリ装置320はハウジング内に、センサおよびマイクロプロセッサ315の付近に構成され得る。
【0040】
VOCセンサ310Aに加えて、図5Aにおける携帯型環境監視システム300の例示的実施例は、二酸化炭素(「CO2」)センサ310Bを提供する。CO2センサ310Bは、ポンプ505から雰囲気空気を受取り、その雰囲気空気におけるあるレベルの二酸化炭素の検出することができ得る。さらに、情報がCO2センサ310Bからマイクロプロセッサ315によって受取られるように、CO2センサ310Bは、携帯型環境監視システム300の例示的実施例において、マイクロプロセッサ315と通信するように構成され得る。図5Aにおける携帯型環境監視システム300の例示的実施例は、さらに、ホルムアルデヒドセンサ310Cを提供する。他のセンサと同様に、ホルムアルデヒドセンサ310Cは、携帯型環境監視システム300の例示的実施例の環境において、あるレベルのホルムアルデヒドの検出に関する情報を提供するよう、マイクロプロセッサ315と通信するよう構成され得る。
【0041】
図5Aにおいて示される携帯型環境監視システム300の例示的実施例は、二酸化窒素(「NO2」)センサ310Dおよびオゾンまたはトリオキシジエン(「O3」)センサ310Eをさらに含む。他のセンサと同様に、NO2センサ310DおよびO3センサ310Eの両方は、携帯型環境監視システム300の例示的実施例の環境において、あるレベルの二酸化窒素およびオゾンの検出に関する情報を提供するよう、マイクロプロセッサ315と通信するよう構成される。当業者は、この発明の範囲を逸脱することなく、携帯型環境監視システム300に付加的なセンサを加え得ることを理解するであろう。さらに、センサは、携帯型環境監視システム300によって監視されることになっている検体のタイプに従って、システムから省略され得る。
【0042】
例示的実施例では、携帯型環境監視システム300はバッテリで電力を供給される。図5Bに示される例示的実施例では、バッテリは、回路基板525上に構成され、電力コネクタ530に接続される。したがって、例示的実施例では、携帯型環境監視システム300のバッテリは、電源を電力コネクタ530に接続することにより再充電され得る。図5Bに示されるように、携帯型環境監視システム300はデータインタフェースコネクタ535をさらに提供し得る。データインタフェースコネクタ535は、携帯型環境監視システム300の例示的実施例が外部の装置とデータを送受信することを可能にする。たとえば、しかし限定はされないが、図5Bに示される例示的実施例では、データインタフェースコネクタ535は、外部のコンピュータに接続されるシリアルポートである。この実施例において、一旦シリアルケーブルがデータインタフェースコネクタ535に接続されると、携帯型環境監視システム300のメモリ装置320に保存されたデータは、外部の装置にダウンロードされ得る。携帯型環境監視システム300によって出力されたデータは、マイクロソフトエクセルファイルまたは他のデータベースファイルを含むさまざまな形式であり得、データの便利で適切な処理および分析を可能にする。
【0043】
携帯型環境監視システム300の例示的実施例の重要な1つの利点は、携帯型システム300から直接データを出力でき得ることである。したがって、典型的にはセンサ構成要素が個々に外部のコンピュータに接続されるのを必要とする従来のシステムとは異なり、携帯型環境監視システム300の例示的実施例は、センサ情報を処理し、出力のためのデータファイルを生成し得る。携帯型環境監視システム300のマイクロプロセッサ315は、例示的実施例において、センサから情報を受取って処理し、それをメモリ装置320にマイクロソフトエクセルデータファイルのような所望のデータ出力形式で保存するよう構成され得る。
【0044】
図6はこの発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300の概略を示す。図6に示される携帯型環境監視システム300の例示的実施例の概略は、マイクロプロセッサ315とメモリ装置320とセンサ310との間のレイアウトおよび相互接続を提供する。
【0045】
マイクロプロセッサ315は、携帯型環境監視システム300の特定の実施例によるファームウェアの特定の負荷を実行して、携帯型環境監視システム300の動作を制御するためにマイクロプロセッサ315のために必要な機能および命令を供給し得る。例示的実施例では、マイクロプロセッサ315は、さまざまな機能を実行することができる。たとえば、しかし限定はされないが、マイクロプロセッサ315は、センサ310からアナログ信号を受取り、それらの信号のアナログ/デジタル変換を実行するように構成され得る。いくつかの実施例では、マイクロプロセッサ315は信号変換を行なうためにアナログデジタル変換装置に依存する。一旦アナログ信号がデジタル表現に変換されると、例示的実施例におけるマイクロプロセッサ315はそれらのデジタル信号を処理することができ得る。たとえば、しかし限定はされないが、節電動作モードでは、環境における雰囲気空気は一定の間隔で監視され;したがって、マイクロプロセッサ315は必要なときに回路系をパワーアップおよびパワーダウンするよう構成され得る。例示的実施例では、マイクロプロセッサ315はセンサ310の動作を制御するよう構成され得る。さらに、例示的実施例におけるマイクロプロセッサ315は、ポンプがいつ雰囲気空気を引込むか、およびポンプ505がどれくらいの時間動作するかを判断するよう、ポンプ505を制御し得る。さらに、例示的実施例におけるマイクロプロセッサ315は、データインタフェースコネクタ535を介するデータの送受信を制御し得る。
【0046】
例示的実施例では、マイクロプロセッサ315は、携帯型環境監視システム300が多くの異なるモードにおいて動作することを可能にするファームウェアを実行し得る。たとえば、しかし限定はされないが、マイクロプロセッサ315は、ある設定では、携帯型環境監視システム300が「節電」モード動作することを必要とし、他の設定では、マイクロプロセッサ315は、携帯型環境監視システム300が、監視が継続する「常時オン」モード動作することを必要とし得る。さらに、例示的実施例におけるマイクロプロセッサ315は、ユーザが携帯型環境監視システム300をパワーアップされるときのみシステム300が動作中であるように、「ユーザコマンド」モードで動作するよう備えられるかもしれない。当業者は、マイクロプロセッサ315のためのファームウェアは実現例ごとに変動し得、携帯型環境監視システム300の実施例に幅広いさまざまな動作モードおよび特徴セットを提供し得ることを理解するであろう。
【0047】
携帯型環境監視システム300が「節電」モードで動作する例示的実施例では、システム300は、パワーアップで自動的にセンサを初期化し、次いで、送信が所望される任意の以前に記録されたデータを、データインタフェースコネクタ535に送信するよう構成される。さらに、システム300は、2分、3分または20分間隔のような一定間隔でパワーアップし監視を行なうよう構成される。スリープモードから覚めると、携帯型環境監視システム300の例示的実施例はセンサ310に電源を投入し、次に、空気ポンプ505に電源を投入して環境から雰囲気空気を引込み始める。その後、センサ310は、雰囲気空気の検査を実行し、処理されメモリ装置320に保存されるべき信号を出力し得る。
【0048】
図7はこの発明の例示的実施例に従って呼吸不全誘因を診断する方法700のブロック図を示す。呼吸不全誘因という語は、ここでは、ユーザの空中浮遊検体に対する曝露で肺機能の低減をもたらす結果となる空中浮遊検体を記載するよう用いられる。図7に示されるように、呼吸不全誘因を診断する方法700の例示的実施例の第1のステップ705は、センサ、マイクロプロセッサ、メモリ装置および呼吸監視装置を含む携帯型環境監視システムをユーザに提供することを伴う。呼吸不全誘因を診断する方法700の例示的実施例の第2のステップ710は、ユーザが複数の環境にいる状態で、センサおよび呼吸監視装置から複数のデータを収集することを伴う。呼吸不全誘因を診断する方法700の例示的実施例の第3のステップ720は、センサおよび呼吸監視装置から受取られる複数のデータを分析することを伴う。呼吸不全誘因を診断する方法700の例示的実施例の第4のステップ725は、ユーザの空中浮遊検体に対する曝露とユーザによる不十分な肺機能との間に、ある関係が存在するかどうか判断することを伴う。
【0049】
呼吸不全誘因を診断する方法700の例示的実施例では、ユーザによる不十分な肺機能は、ユーザが喘息の発作を経験することに相当する。したがって、呼吸不全誘因を診断する方法700は、ユーザによる不十分な肺機能(つまり喘息の発作の発症)に関するデータを得ること、およびユーザが喘息の発作の時間の頃に曝された空中浮遊検体に関するデータを得ることの両方を含む。得られたデータの分析を通じて、ユーザの特定の空中浮遊検体に対する曝露と喘息の発作の発症との間に関係を引出し得る。たとえば、しかし限定はされないが、呼吸監視装置およびオゾンセンサから得られたデータが、喘息の発作のタイミングがあるレベルのオゾン曝露に相当することを示す場合、データの分析は、高いレベルのオゾン曝露とユーザの喘息の発作との間において付随する関係を判断する結果となり得る。当業者は、喘息の発作は不十分な肺機能の単に1つの形態であり、呼吸不全誘因を診断する方法700を用いて、慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)、慢性気管支炎、肺線維症およびサーコイドーシスを含むさまざまな呼吸不全を検知し得ることを理解するであろう。
【0050】
図8は、この発明の例示的実施例に従ってO3センサ310Eを有する携帯型環境監視システム300の例示的実施例から得られる情報の分析のグラフを示す。図8に示されるグラフは、この発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300のO3センサ310Eによって検知されたオゾンのレベルの出力のグラフを提供する。図8に示される鋸歯状の線は、図8に示される携帯型環境監視システム300の特定の実施例のための較正制御としてあたえられるオゾン監視装置の平滑線応答に対応して、O3センサ310Eの例示的実施例の出力信号をあたえる。図8に示されるように、O3センサ310Eは、携帯型環境監視システム300のこの特定の実施例では、約725ppbを超えるオゾンのレベルを測定することができる。携帯型環境監視システム300の特定の実施例における特定のセンサ310の検出のレベル(「LOD」)は、センサ310の能力によって変動することになる。当業者は、この発明の範囲を逸脱することなく、携帯型環境監視システム300のさまざまな実施例において、異なるLOD能力を備えたさまざまな異なるセンサ310を実現し得ることを理解するであろう。
【0051】
図9は、この発明の例示的実施例に従ってVOCセンサ310AおよびCO2センサ310Bを備えた携帯型環境監視システム300の例示的実施例から得られる情報の分析のグラフをあたえる。図9に示されるグラフは、この発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300のCO2センサ310Bによって検知された二酸化炭素のレベルの出力のグラフを提供する。図9に示されるように、携帯型環境監視システム300のこの特定の実施例におけるCO2センサ310Bは、約350ppmを超えるオゾンのレベルを測定することができる。したがって、携帯型環境監視システム300のこの実施例は、ユーザの環境において350ppmを超えるCO2レベルに関する実行可能な情報を送り得る。さらに、図9に示されるように、携帯型環境監視システム300のこの特定の実施例におけるVOCセンサ310Aは、あるVOC、この特定の例ではイソブチレンを、約10レベルppbを超えるレベルで検知することができる。
【0052】
図10は、この発明の例示的実施例に従ってNO2センサ310Dを備えた携帯型環境監視システム300の例示的実施例から得られる情報の分析のグラフを示す。図10に示されるグラフは、この発明の例示的実施例に従って携帯型環境監視システム300のNO2センサ310Dによって検知された二酸化窒素のレベルの出力のグラフを提供する。図10に示されるように、携帯型環境監視システム300のこの特定の実施例におけるNO2センサ310Dは、約140ppbを超えるオゾンのレベルを測定することができる。したがって、携帯型環境監視システム300のこの実施例は、ユーザの環境において140ppmを超えるNO2レベルに関する実行可能な情報を送り得る。
【0053】
この発明の著しい利点のうちの1つは、ユーザがさまざまな環境において曝される空中浮遊検体に関する情報をユーザが追跡し、得ることができるということである。たとえば、しかし限定はされないが、携帯型環境監視システム300の例示的実施例を、特定の現場検査において用いて、システム300のセンサ310によって監視されるさまざまな空中浮遊検体に対するユーザの曝露を調べて分析した。その後、携帯型環境監視システム300のこの例示的実施例の現場検査によって生成されたデータは、外部のコンピュータに出力され分析された。
【0054】
図11は、VOCセンサ310A、CO2センサ310B、ホルムアルデヒドセンサ310CおよびNO2センサ310Dとともに構成される携帯型環境監視システム300の例示的実施例のこのユーザ現場検査の分析のグラフを示す。図11に示されるグラフは、センサ310の各々から生成されたデータを提供する。図11のグラフにおいて顕著な応答を有すると示された唯一の空中浮遊検体は、携帯型環境監視システム300の例示的実施例のVOCセンサ310Aによる比較的高いレベルの検出である。図11にグラフ化された感知データは、ユーザの1日に対応する24時間の過程にわたって示される。図11におけるグラフは、夕刻のある時点、午後5:00〜6:00時頃に、ユーザが比較的高いレベルのVOCに曝露されたことを示す。さらに、VOC曝露は、朝の午前7:00〜8:00頃まで、図11にグラフの右側の長方形のチャート線によって示されるように、上昇のままであることとなった。携帯型環境監視システム300の例示的実施例のこの現場検査によって提供されるデータに基づいて、ユーザは、夜帰宅した際、通常よりも高いVOC曝露を経験し、朝家を出るまでその曝露を維持していたことが確立された。この特定の現場検査でのユーザの家のさらなる分析は、ユーザのガレージの開いた気体源の発見をもたらした。この開いた気体源は、ユーザのガレージにおいてのみならず、ユーザの家全体においても、通常よりも高いVOCレベル濃度をもたらしていた。
【0055】
この発明をその好ましい形態で開示したが、この発明の精神および範囲ならびに特許請求の範囲に述べられるようなその等価物から逸脱せずに、多くの修正、追加および削除をそこになし得ることは、当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯型環境監視システムであって:
空中浮遊検体を感知することができるセンサ;
前記センサと通信し、前記センサから受取られる情報を処理することができるマイクロプロセッサ;および
前記マイクロプロセッサと通信し、前記マイクロプロセッサから受取られる情報を保存することができるメモリ装置を含み、
ユーザは、前記システムとともに移動することができる、携帯型環境監視システム。
【請求項2】
呼吸監視装置をさらに含む、請求項1に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項3】
前記呼吸監視装置は、ユーザの肺機能に関するデータを提供することができる、請求項2に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項4】
前記呼吸監視装置はユーザの喘息の発作を記録し得る、請求項3に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項5】
前記センサ、前記マイクロプロセッサおよび前記メモリ装置はハウジング内に含まれる、請求項1に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項6】
前記センサ、前記マイクロプロセッサおよび前記メモリ装置を含む前記ハウジングは、5ポンド未満の特定の総重量を有する、請求項5に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項7】
前記センサ、前記マイクロプロセッサおよび前記メモリ装置を含む前記ハウジングは、1ポンド未満の特定の総重量を有する、請求項6に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項8】
前記センサは揮発性有機化合物センサである、請求項1に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項9】
二酸化炭素センサ、二酸化窒素センサ、オゾンセンサおよびホルムアルデヒドセンサをさらに含む、請求項8に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項10】
呼吸不全誘因を診断する方法であって:
センサ、マイクロプロセッサ、メモリ装置および呼吸監視装置を含む携帯型環境監視システムをユーザに提供するステップと;
ユーザが複数の環境内にある状態で、前記センサおよび前記呼吸監視装置から複数のデータを収集するステップと;
前記センサおよび前記呼吸監視装置から受取られる前記複数のデータを分析するステップと;
ユーザの空中浮遊検体に対する曝露とユーザによる不十分な肺機能との間に、ある関係が存在するかどうか判断するステップとを含む、方法。
【請求項11】
ユーザは、前記携帯型環境監視システムとともに移動することができる、請求項10に記載の喘息の誘因を診断する方法。
【請求項12】
ユーザによる不十分な肺機能は喘息の反応に相当する、請求項10に記載の喘息の誘因を診断する方法。
【請求項13】
前記空中浮遊検体に対するユーザの曝露とユーザによる不十分な肺機能との間の関係の判断に基づいて喘息の誘因を確立するステップをさらに含む、請求項12に記載の喘息の誘因を診断する方法。
【請求項14】
前記センサから複数のデータを収集するステップは前記携帯型環境監視システムによって自動的に行なわれる、請求項10に記載の喘息の誘因を診断する方法。
【請求項15】
前記センサから複数のデータを収集するステップは一定間隔で行われる、請求項14に記載の喘息の誘因を診断する方法。
【請求項16】
前記センサからの前記複数のデータを分析するステップは、前記携帯型環境監視システムからは独立した外部のコンピュータによって実行される、請求項15に記載の喘息の誘因を診断する方法。
【請求項17】
ユーザによって着用されることができ、
空中浮遊検体を感知することができるセンサと、
前記センサと通信し、前記センサから受取られる情報を処理することができるマイクロプロセッサと、
前記マイクロプロセッサと通信し、前記マイクロプロセッサから受取られる情報を保存することができるメモリ装置とを含む衣服を含み、
ユーザは前記衣服を着用しながら移動できる、携帯型環境監視システム。
【請求項18】
呼吸監視装置をさらに含む、請求項17に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項19】
前記呼吸監視装置は、ユーザの肺機能に関するデータを提供することができる、請求項18に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項20】
前記センサは揮発性有機化合物センサである、請求項17に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項21】
二酸化炭素センサ、二酸化窒素センサ、オゾンセンサおよびホルムアルデヒドセンサをさらに含む、請求項20に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項22】
前記センサ、前記マイクロプロセッサおよび前記メモリ装置はハウジング内に含まれる、請求項17に記載の携帯型環境監視システム。
【請求項23】
前記センサ、前記マイクロプロセッサおよび前記メモリ装置を含む前記ハウジングは、2ポンド未満の特定の総重量を有する、請求項22に記載の携帯型環境監視システム。

【図1】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2011−515657(P2011−515657A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−546950(P2010−546950)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/034210
【国際公開番号】WO2009/103047
【国際公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(500020357)ジョージア テック リサーチ コーポレイション (39)
【Fターム(参考)】