説明

環状エステルを製造かつ精製する方法

【課題】 環状エステルの製造及び精製の方法を提供すること。
【解決手段】 組成物中の環状エステルを精製する方法は、ヒドロキシカルボン酸、又はそのエステル、アミド若しくは塩の環状エステルと、有機溶媒と、不純物とを含む、組成物に、0%〜88%のXAを含有する水溶液を導入し、同組成物を環状エステルおよび有機溶媒を含む第一相と、水溶液および不純物を含む第二相とに分離する工程を含む。その際、組成物中へ導入される水溶液の量は、有機溶媒中の水の相互溶解度の限界値より、同水溶液を加えた後の組成物の重量に対して更に3%未満さらに上回る量である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状エステルの製造、回収および精製の方法、ならびに環状エステル組成物に関する。特定の実施態様では、本発明は、ラクチドおよびラクチド組成物の製造、回収および精製に関する。
【背景技術】
【0002】
環状エステルは様々な用途に役立つ。例えば、ヒドロキシカルボン酸から誘導された環状エステルは、環境により生物分解され得るプラスチック材料の調製の際に、また医学的用途に用いたときに再吸収するプラスチック材料に役立つ。特に役立つのは、α−ヒドロキシカルボン酸、例えば乳酸から誘導される重合体であるが、それは、最も環境的な条件下で、それらが加水分解によって経時的に分解され得るからである。その結果生じるヒドロキシ酸単位(例えば乳酸)またはそのオリゴマーは、次いで、環境中の微生物に容易に吸収され、好気的に二酸化炭素と水とにか、または嫌気的に二酸化炭素とメタンとに転換される。
【0003】
環状エステル、例えばヒドロキシカルボン酸の環状エステルは、多数の機序を通じて製造することができる;しかし、そのような環状エステル生成物は、代表的には、多種類の望ましくない不純物を含有する。そのような不純物は、生成物中の環状エステルを分解して、生成された環状エステルの短い貯蔵寿命を招くことがある。例えば、環状エステル組成物中の遊離酸と水とは、環状エステル結合の加水分解を伝搬して、環状エステルを元のヒドロキシカルボン酸その他の分解産物へと分解することがある。加えて、環状エステル組成物中の不純物は、環状エステルの重合速度と分子量との双方に干渉し、そのため、望ましい、より高分子量の重合生成物の形成を阻害することがある。したがって、化合物を分解するか、またはその後の化学反応、例えば高分子量重合体への環状エステルの重合に干渉する不純物を実質的に含まない、実質的に純粋な環状エステルを得る必要性が存在する。
【0004】
合成された環状エステル組成物を精製するためのいくつかの方法が公知である。そのような方法は、溶媒結晶化、溶媒スクラビング、溶媒抽出、蒸留、溶融結晶化および昇華を包含する。制御された研究室条件では十分な結果が得られるものの、多くの方法は、複雑であるか、操作のパラメータが非実用的であるため、商業的規模で操作するのが困難である。加えて、そのような方法は、高いエネルギーコスト、高い装置コストまたは高い試薬コストを要することがある。その上、これらの方法を商業的規模で実施するための機械類が入手できない可能性がある。
【0005】
その他の方法は、それが滞留時間や温度に方法の制約があるため、精製しようとする環状エステルが分解して、低劣な純度を招く可能性があるために商業的に許容され得ない。さらに、低い収率を与えて、経済的に不適切にする方法もある。
【0006】
したがって、環状エステルを精製するための、廉価で、信頼できる方法に対する必要性が存在する。特に、高分子量重合体を製造するのに十分な純度の環状エステルを得る方法に対する必要性が存在する。その上、環状エステルのすべての異性体型の回収を可能にする、環状エステルの精製方法に対する必要性が存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、環状エステルを精製するための、廉価で、信頼できる方法を提供することにある。特に、高分子量重合体を製造するのに十分な純度の環状エステルを得る方法を提供することにある。更に、環状エステルのすべての異性体型の回収を可能にする、環状エステルの精製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を解決するために、請求項1に記載の発明は、組成物中の環状エステルを精製する方法であって、同組成物は、ヒドロキシカルボン酸、又はそのエステル、アミド若しくは塩の環状エステルと、有機溶媒と、不純物とを含み、同不純物は、単一のヒドロキシカルボン酸、又はそのエステル、塩もしくはアミド(XA);XAの直鎖二員分子(XA);XAの直鎖三員分子(XA);XAの直鎖四員分子(XA);XAの直鎖五員分子(XA);及びそれらの混合物よりなる群から選択される化合物を含み、同方法は、0%〜88%のXAを含有する水溶液を同組成物に導入した後、同組成物を、環状エステルおよび有機溶媒を含む第一相と、同水溶液および不純物を含む第二相とに分離する工程を含み、同組成物中へ導入される同水溶液の量は、有機溶媒中の水の相互溶解度の限界値より、同水溶液を加えた後の組成物の重量に対して3%未満さらに上回る量である方法、を提供する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、組成物中の同不純物の少なくとも80重量%が第二相へと分離されることをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、組成物は、キシレン、トルエン、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、アニソール、2−オクタノンおよびイソプロピルエーテルよりなる群から選択される有機溶媒を含むことをその要旨とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、組成物は、導入工程以前には1重量%以下の水性溶媒を含むことをその要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、組成物からの環状エステルの回収率が、少なくとも90%であることをその要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、組成物に導入される水溶液の量は、有機溶媒中の水の相互溶解度の限界値より、同水溶液を加えた後の組成物の重量に対して1.5重量%未満さらに上回る量であることをその要旨とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、第一相において環状エステルをさらに精製する工程を含むことをその要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の方法において、さらに精製する工程が、吸着、結晶化、蒸留、およびそれらの組合せよりなる群から選択されることをその要旨とする。
【0013】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の方法において、さらに精製する工程が、第一相を第一吸着剤に接触させて、不純物を除去する工程を含むことをその要旨とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の方法において、さらに精製する工程が、第一吸着剤に接触させる工程の後に、同第一相を第二吸着剤に接触させて、不純物を除去する工程を含むことをその要旨とする。
【0014】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の方法において、第二吸着剤によって除去された不純物が、水を含むことをその要旨とする。
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、環状エステルは、乳酸、グリコール酸、酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸、2−ヒドロキシ−2−(2−テトラヒドロフラニル)エタン酸、2−ヒドロキシ−2−(2−フラニル)エタン酸、2−ヒドロキシ−2−フェニルプロピオン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸、2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシオクタン酸及びそれらの対応するエステル、塩又はアミドの環状エステルからなる群より選択されることをその要旨とする。
【0015】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の方法において、環状エステルがラクチドであることをその要旨とする。
請求項14に記載の発明は、環状エステルを製造する方法であって:(a)単一のヒドロキシカルボン酸、またはそのエステル、塩もしくはアミド(XA);XAの直鎖二員分子(XA);XAの直鎖三員分子(XA);XAの直鎖四員分子(XA);XAの直鎖五員分子(XA);およびそれらの混合物よりなる群から選択される化合物を含むXAを有機溶媒中に含む原料流を与える工程と;(b)同原料流から水を除去して、同環状エステルを含む生成物流を形成する工程と、ここで、同生成物流中のXA、およびより高重合度のオリゴマーの濃度が、同方法の際の反応混合物の20重量%未満であることと;(c)同生成物流に水性溶媒を導入し、環状エステルを含む第一相と、同水性溶媒および不純物を含む第二相とに同生成物流を分離させる工程と、を含む方法を提供する。
【0016】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の方法において、(d)第1相と吸着剤とを接触させて、遊離酸、水及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つの不純物を該第1相から除去することにより精製された第1相を形成する工程、を更に含むことをその要旨とする。
【0017】
本発明は、(a)有機溶媒と、単一のヒドロキシカルボン酸、またはそのエステル、塩もしくはアミド、およびそれらのオリゴマー種よりなる群から選ばれる化合物とを含む原料流を与える工程と;(b)該原料流から水を除去して、環状エステルを含む生成物流を形成し、ここで、該生成物流中の五量体、およびより高重合度のオリゴマーの濃度が、工程中の反応混合物の約20重量%未満である工程と;(c)該生成物流に水性溶媒を導入し、該生成物流を、環状エステルを含む第一相と、該水性溶媒および不純物を含む第二相とに分離させる工程とによって、環状エステルを生成する方法に関する。
【0018】
別の実施態様では、本発明は、環状エステル、有機溶媒および不純物を含む組成物中の環状エステルの精製の方法に関する。該方法は、水性溶媒を該組成物に導入し、その後、該組成物を、該環状エステルおよび有機溶媒を含む第一相と、該水性溶媒および不純物を含む第二相とに分離させる工程を包含する。一実施態様では、組成物に導入する水性溶媒の量は、有機溶媒中の水の相互溶解度の限界を、組成物の重量に対して約3%未満上回る。別の実施態様では、組成物に導入する水性溶媒の量は、組成物中のXAのオリゴマー種の加水分解を実施するのに必要な量未満である。
【0019】
本発明のさらに一つの実施態様は、環状エステル、有機溶媒および不純物を含む組成物中の環状エステルを精製する方法を包含する。この方法は、水性溶媒を該組成物に導入し、組成物を、該環状エステルおよび有機溶媒を含む第一相と、該水性溶媒および不純物を含む第二相とに分離させる工程を包含する。さらに、該方法は、第一相に不純物を除去するための第一吸着剤と接触させる工程を包含する。
【0020】
本発明の様々な実施態様は、効率的に統合できる方法を与えることによって、環状エステルの効果的な製造、回収および精製を可能にする。例えば、水を援用する分離精製工程は、環状エステル製造溶媒の、より幅広い選択を上流で用いるのを可能にするばかりでなく、その後の精製工程での除去すべき不純物の負担量を軽減する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、環状エステルを精製するために、廉価で、信頼できる方法が得られる。更に、高分子量重合体を製造するのに十分な純度の環状エステルを得る方法及び環状エステルのすべての異性体型の回収を可能にする環状エステルの精製方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は、環状エステルの製造および精製に役立つ。そのような化合物は、重合体の製造に役立つ。例えば、ラクチドのような環状エステルは、ポリ乳酸の製造に役立つ。特に、本発明は、環状エステルを分解するか、または高分子量重合体への環状エステルの重合に干渉することがある不純物を実質的に含まない、環状エステルの製造および精製に関する。
【0023】
本発明の方法は、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸エステル、ヒドロキシカルボン酸塩またはヒドロキシカルボン酸アミドから誘導される環状エステルの製造および精製を含む。用語「誘導される」は、これらの成分、またはこれらの成分の生成物が反応物である反応によって製造される環状エステルを意味する。環状エステルは、いかなる2種類のヒドロキシカルボン酸、それらのエステル、塩またはアミドから形成されるエステルの、環状ジエステルへの転換によっても形成することができる。環状エステルは、分子内エステルまたは環状モノエステル、例えばラクトンであることもできる。本明細書では、環状エステルをXDと呼ぶ。XAは、ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸エステル、ヒドロキシカルボン酸塩またはヒドロキシカルボン酸アミドを表す。XAは、XA分子の直鎖二量体分子を表す。XAはXA分子の直鎖三量体分子を表し、XAはXA分子の直鎖n量体分子を表す。下付き文字なしのXAは、XA、XA、XAおよびXAのうち1種類もしくはそれ以上、またはこれらの種を含有する溶液を意味する。XがLで置換されているときは、乳酸に基づく対応する化合物の意味であることが理解されるものと思われる。例えば、LAは、LA、LA、LAおよびLAを包含する、乳酸に基づく混合物を表し、LDは、乳酸の環状二量体、例えばラクチドを表す。
【0024】
本発明の環状エステルは、上記のこれらの化合物を包含する。環状エステルの製造に好適なXA種は、下記の酸、および対応するそれらのエステル、塩またはアミドを包含するが、それらに限られない:乳酸、グリコール酸、酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸、2−ヒドロキシ−2−(2−テトラヒドロフラニル)エタン酸、2−ヒドロキシ−2−(2−フラニル)エタン酸、2−ヒドロキシ−2−フェニルプロピオン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸、2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシオクタン酸、およびそれらの混合物。
【0025】
本発明の特定の環状エステル製造法を、より詳細に下記に説明する。しかし、そのような製造法は、米国特許第5,319,107号明細書に記載されたような、XA種からの環状エステルの直接的形成による環状エステルの製造であることができる。これに代えて、環状エステルの製造は、他の公知の方法、例えば、低分子量の直鎖エステルの解重合、またはカルボン酸のα−ハロゲン塩の反応による合成によることもできる。
【0026】
環状エステルの精製
吸着処理
本発明は、環状エステルを含有する原材料からの不純物の除去を包含する。そのような不純物は、例えば:水、XA(例えば遊離酸)、金属イオン、鉱酸、環状エステル合成の触媒および付随する触媒分解産物、ならびにギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、エタノールおよびブタノールのような、代表的な発酵の酸およびアルコールを包含するが、それらはすべて、環状エステルの分解に寄与するか、または有用な高分子量重合体への環状エステルのその後の重合に干渉することがある。
【0027】
原材料は、環状エステルが良好な溶解度を有するが、例えば環状エステルに反応性であることによって、環状エステルを分解することのない溶媒を含むこともできる。そのような溶媒は、下記の環状エステル製造および回収に用いられる溶媒を包含する。そのような溶媒の例は、キシレン、トルエン、ベンゼン、アニソール、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソプロピルエーテル、およびそれらの混合物を包含するが、それらに限られず、好適な溶媒はキシレンを含む。環状エステルに反応性であるために好適でない溶媒は、アルコール、有機酸、アルコールを含むエステルやエーテル、過酸化物および/または酸の不純物、安定的なエノール形を有するケトンおよびアルデヒド、ならびにアミンを包含する。
【0028】
環状エステルの原材料、不純物および溶媒の相対的濃度は、環状エステルの製造に用いられる方法に依存する。XAからの環状エステルの直接的合成について代表的には、原材料は、約0.5〜約10重量%の環状エステル、約10重量%未満の不純物、および約80〜約99重量%の溶媒を含有することになる。一般に、不純物は、約1重量%未満の水、および約10重量%未満のヒドロキシカルボン酸、ならびにそのエステル、塩およびアミドを含む。
【0029】
本発明の精製法では、原材料を吸着工程に付すが、ここでは、原材料中の少なくとも1種類の不純物を吸着剤によって原材料から吸着し、それによって原材料の環状エステル成分を濃縮かつ精製する。用語「吸着」は、原材料中の不純物と吸着剤との間の引力または相互作用を意味する。好ましくは、不純物と吸着剤との間のこの引力または相互作用は、可逆的である非共有結合引力である。そのような引力は、例えば、イオン交換樹脂による分子種の捕捉の際のような、吸着剤と不純物との間の電荷の相違、または電荷分布の相違に基づくことができる。この定義に包含されるのは、吸着剤の表面上または構造内で、荷電種が可逆的に交換されるイオン交換の概念である。下記にさらに詳細に考察するとおり、本発明の方法では、精製環状エステルを含有する得られた精製溶液を、次いで吸着後処理によって処理して、例えば環状エステルを固体形態で回収するか、または、例えば重合によって環状エステルを直接用いる。
【0030】
本発明に用いるのに適した吸着剤は、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ、アルミナ、シリカゲル、活性炭、粘土その他の、当技術に公知の吸着剤を包含する。好適な吸着剤は、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ、シリカゲル、活性炭および粘土であり、特に好適な吸着剤は、イオン交換樹脂およびモレキュラーシーブを包含する。
【0031】
特定の方法に特異的な吸着剤の選択は、原材料から除去しようとする不純物の種類に依存する。例えば、不純物がXAの酸ならば、一般に、強弱いずれかの陰イオン交換樹脂と接触させることによって、不純物を原材料から除去するのが望ましい。しかし、好ましくは、XAのような酸の不純物を原材料から除去するには、弱い陰イオン交換樹脂を用いるのが望ましい。弱い陰イオン交換樹脂は、樹脂の比較的容易な再生も許しつつ、許容され得る不純物除去率を達成することができる。例えば、商業的に入手できる適切な弱い陰イオン交換樹脂は、Reilly Industries,Inc.,Indianapolis,IndianaがREILLEX(登録商標)425という製品名で、またRohm and Haas,Philadelphia,PennsylvaniaがAMBERLYST(登録商標)A−21という製品名で販売している。REILLEX(登録商標)425は、マクロレティキュラービーズ形態の架橋結合させたポリ4−ビニルピリジンである。AMBERLYST(登録商標)A−21は、第三級アミンの官能基を有するジビニルベンゼン−スチレン基材の樹脂である。
【0032】
不純物としての水を原材料から除去するには、モレキュラーシーブ、アルミナおよびシリカゲルよりなる群から選ばれる吸着剤、最も好ましくはモレキュラーシーブに原材料を接触させることができる。本明細書で用いられる限りで、用語「モレキュラーシーブ」は、不純物の吸着を促進し、環状エステルの吸着を除外する構造的特徴を有する吸着剤を意味する。
【0033】
不純物としてのXAのアミドの除去には、一般に、錯化樹脂を用いるのが望ましい。不純物としてのXAの塩の除去には、一般に、強い陰イオン交換樹脂を用いるのが望ましい。
【0034】
不純物としてのアルコールの除去には、一般に、モレキュラーシーブまたはイオン交換樹脂を用いるのが望ましい。これらの吸着剤は、原料中のXAおよびHOのようなより極性である不純物に対してより強い親和性を有するため、一般に、アルコール吸着処理以前にこれらのより極性である不純物を原料から除去するのが望ましい。これらのより極性である不純物の除去は、より低い親和性のアルコールが、原料中のより極性である高親和性不純物と競合する必要もなく、これらの材料に吸着するのを可能にし、こうして、これらのアルコール吸着剤の容量を増大させる。
【0035】
原料流を吸着剤に接触させる工程は、許容され得る吸着率が生じるような適切ないかなる温度でも実施することができる。好ましくは、原料流の温度は、約0〜約100℃、より好ましくは約25〜約45℃である。
【0036】
本発明の吸着工程の好適実施態様では、原材料を第一の吸着に付して第一不純物を除去し、次いで、第二の吸着に付して第二不純物を除去する。場合により、追加の吸着工程を実施することができる。次いで、精製された環状エステル含有原材料を、吸着後処理に付して、下記のとおり環状エステルを回収する。そのような多工程の吸着工程の利用は、原材料からの多種類の不純物の除去を与えるため、本発明に特に役立つ。例えば、第一の吸着を、XAのような不純物を原材料から除去するために実施し、第二の吸着を、水を原材料から除去するために実施することができ、またはその逆も可能である。第三の吸着は、例えば、存在するならばアルコールを除去するために、場合により実施することができる。さらに、第四の吸着を、例えば、存在するならば有色体を除去するために、場合により実施することができる。多工程吸着の場合、工程は、望ましいいかなる順序ででも実施することができる。
【0037】
好適実施態様では、本発明に用いるのに適した吸着剤は、約100℃以上、より好ましくは約130℃以上の温度で熱安定性である。用語「熱安定性」は、吸着剤が、高温に晒されたときに、正常な吸着操作温度への復帰に際して不純物を吸着するその容量を保持できる能力を意味する。例えば、REILLEX(登録商標)425は、約100℃未満の温度で不純物を吸着するのに用いてよいが、約260℃までの温度で熱的に安定である。したがって、そのような樹脂は、正常な操作温度での吸着後に、上昇させた温度で樹脂を再生する精製工程に特に役立つ。
【0038】
本発明の好適な吸着剤は、原材料中の環状エステルを分解しない吸着剤を包含する。例えば、本発明の方法は、好ましくは環状エステルの約25重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、最も好ましくは約5重量%未満の吸着剤との接触によって分解されるような吸着剤を用い、かつそのような条件下で実施する。この点で、イオン交換樹脂のような吸着剤は、環状エステルを分解し得るアルミナのような吸着剤より好ましい。
【0039】
本発明の吸着工程は、当技術に公知のとおりの充填カラムまたは層を用いる固定化吸着剤のような、様々な装置を用いて実施することができる。これらの形式の反応系のいくつかの例は:移動層、模倣移動層、二カラム配置および三カラム配置である。加えて、吸着剤の材料と原材料とから形成したスラリーであるような、原材料中に散在する吸着剤を用いることも可能である。
【0040】
本発明の精製法の吸着操作は、回分または連続のいずれの方式でも実施できる。しかし、そのような吸着方法は、連続的に操作するのが好ましい。
本発明のさらなる実施態様では、吸着処理は、主たる結晶化精製工程以前の蒸発によって生成された蒸発溶媒流の吸着処理を包含できる。例えば、溶媒結晶化をはじめとする、様々な結晶法によって、環状エステルを精製できることが公知である。慣用の溶媒結晶法の前に、不純物および溶媒を追加的に含む環状エステル含有生成物流を、溶媒の一部を蒸発させることによって濃縮することができる。そのような場合、形成された蒸発溶媒は、そのために、少量の環状エステルおよび不純物を含む。こうして、蒸発溶媒流を、本明細書で幅広く説明したとおりの吸着処理によって、他の単位操作における蒸発溶媒流の再利用以前に精製することができる。例えば、蒸発溶媒流を一つまたはそれ以上の吸着工程、例えば酸吸着工程や水吸着工程に付して、酸や水の不純物を除去することができる。得られる溶媒流は、吸着工程によって除去されない溶媒、および残留環状エステルを含むと思われる。次いで、そのような流れは、回収工程全体におけるその他の操作で再利用することができる。例えば、そのような溶媒流は、溶媒の最初の蒸発から得られる濃縮環状エステル組成物の溶媒結晶化法の溶媒として用いることができる。そのような結晶化は、多工程再結晶法であることができる。
【0041】
溶媒結晶化から得られる溶媒は、環状エステルの回収および精製工程全体での他の点へとさらに再循環させることができる。例えば、不純物および環状エステルを含むと思われるそのような溶媒流は、環状エステル含有生成物流の濃縮以前の液−液相分離工程へと再循環させることができる。
【0042】
吸着後処理
上記のとおり、吸着による精製に続いて、様々な吸着後処理を用いて、環状エステルを何らかの固体形態で回収するか、または環状エステルを直接合成するかのいずれかができる。回収工程は、当技術に公知のその他のものの中でもとりわけ、濃縮工程、乾燥工程、およびさらに精製することを包含する。
【0043】
回収の一実施態様では、環状エステルを粉末形態で回収するための精製原材料のスプレー乾燥によって、環状エステルを回収することができる。スプレー乾燥は、好ましくは乾燥した不活性の、乾燥気体を用いる向流流れに精製原材料を噴霧して、精製原材料から溶媒を留去することを含む。代表的には、スプレー乾燥は高温で実施する。スプレー乾燥は、包装して販売することができ、重合体材料の製造などに用いるのに適した粉末の製造をに帰着する。
【0044】
別の吸着後処理では、精製された原材料を、例えば蒸発装置を用いて、濃縮することができる。例えば、精製原材料を、溶媒を留去する蒸発装置ユニットを最初に通過させることができる。好適実施態様では、十分な溶媒が留去される結果、残留環状エステル混合物は、約1〜約80重量%、より好ましくは約5〜約50重量%、はるかに好ましくは約15〜約30重量%の溶媒を含む。濃縮の際に除去された溶媒は、例えば、例えば環状エステルの製造以前のXAの回収をはじめとする、工程全体での他の工程へと戻すか、酸吸着ユニットのために流体を再生するか、または下記にさらに詳細に説明するような環状エステル製造操作へと直接戻すように、再循環させ得ることを留意しなければならない。そのような溶媒は、その後の回収または精製操作、例えば溶媒結晶化に用いるために送り出すこともできる。蒸発装置ユニットから出た後、環状エステルを含有する流れは、追加の回収または精製操作の前に冷却することができる。
【0045】
濃縮後は、濃縮、精製した原材料を、直接重合させるか、または最終生成物として乾燥することができる。濃縮環状エステル材料の乾燥のこの実施態様では、濃縮原材料は、場合により、乾燥以前にさらに精製することができる。乾燥は、多数の方法、例えば、上記に考察した濃縮された精製原材料のスプレー乾燥によって達成できる。さらに、濃縮環状エステルを噴射造粒することができる。噴射造粒(prilling)とは、固体材料をペレット化する方法であって、材料を融解し、溶融した材料を噴霧し、それによって材料の小滴が固化する方法を意味する。
【0046】
噴射造粒は、基本的に溶媒を含まない、溶融した精製原材料を、好ましくは乾燥した不活性の、冷却気体を用いる向流流れに噴霧して、精製原材料を冷却かつ固化することを含む。代表的には、噴射造粒は、環境温度付近で実施する。噴射造粒により、包装して販売することができる、重合体材料の製造などに用いるのに適したビーズの製造が行われる。
【0047】
特筆したとおり、乾燥する前に、例えば溶媒冷却結晶化、溶媒蒸発結晶化、溶融結晶化、蒸留、またはそれらの併用によって、回収環状エステルの精製をさらに実施することができる。これらの方法はすべて、望みの環状エステル種が優先的に相変化を受け、不純な原料から取り出されるため、正の精製工程として分類される。逆に、上記に考察した吸着に基づく精製は、不純な原料から特定の不純物を除去するため、負の精製工程として分類される。負の精製工程は、不純物、例えば酸、水およびアルコールのレベルを非常に低いレベルにまで到達させ得るが、正の精製工程を用いないならば、他の望ましくない種が吸着工程を通過し、環状エステル製品中に結局残り得る可能性がある。例えば、工業規格の溶媒、例えばキシレン中に普通に見出されるろうのような残渣は、吸着処理によっては除去されないと思われる。吸着後処理が、蒸発およびスプレー乾燥または噴射造粒のみよりなるにすぎないならば、これらのろう様残渣は、重合に用いられる環状エステル製品中に結局残るものと思われる。この特定の混入物は、重合速度や結果的な分子量に影響することはないとされるが、ともに商業的には重要である環状エステル製品のアッセイ値や外見には確かに否定的に影響する。別の例として、発酵に基づく方法から得られるXAは、代表的には、低レベルのあまり明確に定義されない混入物を含むことになり、それらも吸着精製の工程を通過できると思われる。これらの理由で、これらの正の精製工程の一つを吸着後処理工程に含ませるのが望ましいことが多い。
【0048】
吸着後精製処理の工程以前に吸着工程を用いるについては、いくつかの利点がある。例えば、吸着後結晶化の場合、通常、低レベルの不純物を有する溶液に対して結晶化を実施したときに、結晶の大きさが増大するため、より大きい結晶を形成することができる。大きい結晶は、取扱いがより容易であり、より低い表面積対体積比を有し、一般に、環状エステル製品の潜在的顧客には、より好ましいとされる。別の例としては、正の精製工程以前の吸着によってXAおよび水を除去することによって、吸着後処理の際に、環状エステル製品の著しい分解なしに、より高温での処理を用いることができる。そのため、例えば、噴射造粒や蒸留のような高温処理工程を、顕著なXAまたは水が存在する場合より少ない分解で用いることができる。正の精製型の吸着後処理工程に関する下記の考察は、上昇するレベルの高温処理によって要請される。
【0049】
一実施態様では、濃縮された原材料を溶媒結晶化して、精製されたケークを形成し、次いで、さらに乾燥して、残留溶媒を除去する。溶媒冷却と溶媒蒸発結晶化との双方に用い得る装置の構成は、非常に多い。当技術に精通した者は、与えられた用途に適切である構成を選ぶことができると思われる。
【0050】
溶媒結晶化で用いられる溶媒は、結晶化工程の際に数多くの機能を果たす。溶媒の使用によって、溶媒が全く存在しない場合より低い温度で結晶化を実施することができる。加えて、溶媒の存在は、系の粘性を低下させ、それによって材料の取扱いや圧送を容易にし、かつ伝熱を向上させる。さらに、溶媒の存在は、結晶化の際にXAやXAのオリゴマーのような不純物を含むように媒体を与えることによって、より純粋な結晶化工程を招くことができる。そのため、結晶化混合物からの結晶のその後の分離の際に、XAやXAのオリゴマーのような不純物は、結晶に付着するのではなく、液体流を用いてさらに容易に分離することができる。
【0051】
環状エステル結晶の分離から生じる液体流は、液体流からの環状エステルの追加の回収のためにさらに処理することができる。加えて、この液体流は、液体中に存在するXAおよびXAのオリゴマーの再循環のために処理することができる。
【0052】
ある代替的実施態様では、溶融結晶化によって環状エステルをさらに精製することができる。溶融結晶化法では、環状エステル材料を、有意量の溶媒の存在なしに環状エステルを溶融するのに十分な温度に晒す。次いで、溶融した材料を冷却し、材料の一部を結晶化させる。溶融結晶化には、装置の構成がいくつか存在する。当技術に精通した者は、与えられた用途に適切である構成を選ぶことができると思われる。
【0053】
溶融結晶化は、溶媒結晶化法に勝る多数の特定の利点を有することに留意しなければならない。例えば、取扱う材料の体積は、溶媒の不在下で著しく少なく、同じ製造量を得るのに、より小さい大きさの装置を必要とする。加えて、溶融結晶化によって、より大きい結晶の大きさが得られることが見出されている。より大きい結晶は、一般に、より高い体積対表面積比を有し、それによって不純物の付着に利用できる表面積を減少させるため、より小さい結晶より純粋である。
【0054】
吸着後処理が結晶化のような追加の精製工程を包含するときの本発明のさらに一つの実施態様は、環状エステルの一つより多くの異性体種を含む混合物からの環状エステルの選択的回収である。この方法は、環状エステルの異性体種の一つを選択的に結晶化し、その異性体種を回収することを包含する。この回収法は、XAがキラル分子であり、そのため異性体型を有するときに適切である。例えば、乳酸はXAのキラル種である。乳酸には2種類の光学異性体、すなわちL−乳酸およびD−乳酸が存在する。その結果、ラクチドは、L−LD(二つのL−乳酸分子から形成されるラクチド分子)、D−LD(二つのD−乳酸分子から形成されるラクチド分子)、メソLD(例えばM−ラクチド、すなわち一つのL−乳酸分子と一つのD−乳酸分子とから形成されるラクチド分子)またはD,L−LD(一つのL−LD分子、および一つのD−LD分子よりなる分子間種)のいずれかであることができる。ラクチドの異なる種は、異なる融点を有する。メソLDは52.8℃という最低の融点を有し、異性体として純粋なD−LDおよびL−LDは、ともに98.7℃という融点を有し、純粋なD,L−LDは128℃という最高の融点を有する。
【0055】
例えば、他の異性体種より高い融点を有する、与えられたXD分子の異性体種は、溶融結晶化法で選択的に結晶化することができる。環状エステル全体の融成物を形成し、より低融点の環状エステル種の融点を超える温度で、より高融点の種を結晶化することによって、より高融点の種を選択的に結晶化することができる。これに代えて、他の異性体種より高い融点を有する与えられたXD分子の異性体種は、通常、与えられたいかなる溶媒に対しても溶解度がより低い。より低融点の環状エステル種の溶解度の限界を超える温度で溶媒結晶化を実施することによって、より高融点の種を選択的に結晶化することができる。
【0056】
続いて、例えば遠心分離によって結晶を回収すると、得られる固体は、より高融点の異性体種に加えて、より低融点の異性体種の残留量を有することになる。この結晶化から得られるケークは、XD重合工程への2種類のXD原料の一つとして用い得る可能性がある。XD重合工程への他方の原料は、選択的結晶化の工程によって生成された液体残渣から、スプレー乾燥、噴射造粒、結晶化、蒸留、蒸発、またはそれらの併用のような様々な手法を用いて回収できると思われる。
【0057】
上記に考察したとおり、選択的結晶化は、100%の選択性を達成することはないと思われることに留意しなければならない。したがって、上記に考察の例では、第一の結晶化分画は、残留量の低融点種を含む可能性がある。同様に、第二の回収分画は、有意量の高融点種を含有することになる。しかし、重合操作に望まれる光学異性体比が2種類のXD産物の異性体含有量の間にある限り、単純な混合操作を用いて、重合操作のためのXD供給原料中の光学異性体の実際の比を調整することができる。このことは、それが、XDに基づく重合体の光学異性体含有量に対する制御の一つの可能な方法であって、XDに基づく多くの重合体の物理的および分解特性を制御するものであることから、重要である。
【0058】
吸着後処理の代替的実施態様では、蒸留によって環状エステルをさらに精製することができる。代表的には、センターカットを回分蒸留法での生成物とすることになると思われる。これに代えて、側流の抜取りを生成物流に利用する標準的な一カラム法または二カラム法を用いて、センターカットを連続蒸留系で生成することができると思われる。
【0059】
蒸留工程からの生成物は、XD重合で直接用いることができる。これに代えて、生成物をスプレー乾燥または噴射造粒することができ、次いで、後日の使用に貯蔵することができる。
【0060】
吸着後処理が追加の蒸留精製工程を包含するときの、本発明のさらに一つの実施態様は、環状エステルの異性体の選択的回収である。例えば、L−LD、D−LDおよびD,L−LDの沸点は、すべてが非常に近く、これらの種を分離するのに蒸留は用いられないと思われる。しかし、M−LDの沸点は、他の異性体の沸点より著しく低く、そのため、有意に異なる異性体含有量を有する二つの生成物分画を生じるように、蒸留系を設定することができると思われる。これは、XD重合ユニットの原料の異性体含有量を制御して、XDに基づく重合体での異性体含有量を制御する別の方法を表す。
【0061】
環状エステル回収法における主要な問題の一つが、重合に用いる環状エステル生成物の異性体含有量の制御の与え方であることは、前記の考察から明らかなはずである。吸着処理の主な一つの利点は、それらが非立体特異的精製であり、そのため、吸着処理工程の生成物の異性体含有量は、吸着処理工程の原料の異性体含有量と同じであることである。ここで考察した、精製に基づかない吸着後処理工程もすべて、非立体特異的処理工程である。したがって、例えば、吸着後処理工程に濃縮、およびその後のスプレー乾燥を用いようとするならば、製品環状エステルの異性体含有量は、吸着精製工程への原料の異性体含有量によって決定されることになる。この帰結は、異性体の制御が、合成反応器への原料XAの異性体比を制御するか、または反応器に加えるラセミ化剤の温度、滞留時間、レベル等々を変えることによってXD合成反応器内で生じるラセミ化の程度を制御するか、または原料XA異性体の制御とXD合成器の条件とを組合せるかのいずれかによって、容易に実施できることから、重要である。
【0062】
ここで考察した、精製に基づく吸着後処理工程は、様々な程度の立体特異性を有する。結晶化に基づく方法は、一般に、環状エステルの1または2種類の立体異性体のみを含有するにすぎない精製生成物を生じる。前記のとおり、他方の異性体は、結晶化工程の液体残渣から回収できる。これに代えて、XD合成と回収操作との全体を製品環状エステルの望みの様々な異性体の生成の間で時分割する、結晶化に基づく方法で遮断された操作様式を用いることができると思われる。蒸留に基づく方法は、一般に、結晶化法ほどには立体特異的ではない。例えば、M−LDの沸点は、他の異性体に十分近いので、一生成物系または二生成物系のいずれかに向けて設定できると思われる。一生成物系の異性体含有量は、本質的には、吸着ユニットへの原料の異性体含有量と同じであると思われる。前記の二生成物蒸留系は、平行して作動する多重重合ラインの異性体含有量を個別に制御することを可能にすると思われる。
【0063】
吸着剤の再生
本発明の精製法は、消費された吸着剤の再生も包含し、ここで、使用済み吸着剤を処理して、吸着された不純物の少なくとも一部を除去または「脱着」させ、その後、再生された吸着剤を吸着に再利用する。数多くの再生手法が適切であり、用いようとする吸着剤の種類に依存する。一般に、再生は、吸着された不純物を吸着剤から流体(気体、液体または超臨界体)へと脱着させる条件下で吸着剤を流体に接触させることを要する。
【0064】
吸着剤から脱着しようとする不純物が、例えば、モレキュラーシーブから脱着しようとする水である場合は、脱着工程は乾燥法である。そのような乾燥法は、公知の手法を用いて吸着剤を乾燥することによって達成できる。例えば、代表的な乾燥法は、熱した、好ましくは不活性の気体に吸着剤を接触させて、捕捉された水を除去することを包含する。乾燥は、適切ないかなる温度ででも実施することができ、好ましくは、用いようとするモレキュラーシーブの種類に応じて約175〜約300℃の温度で実施する。乾燥は、場合により、水の放散を加速する減圧環境で実施することができる。
【0065】
吸着剤から脱着させようとする不純物がXA種および/またはXAのオリゴマーを含む場合は、脱着流体は有機溶媒、水溶液または熱した不活性気体であることができる。例えば、本来は原材料中の溶媒だった溶媒を、樹脂からの不純物の脱着に用いることができる。これに代えて、不純物が可溶性である別の溶媒も、脱着に許容されることができ、吸着処理に関する考察で上記に特定されたものを包含するが、それらに限られない。好適な脱着溶媒はキシレンである。
【0066】
選択的な実施態様では、脱着流体は、吸着剤との接触以前に加熱して、その効率を向上させることができる。吸着剤との加熱脱着流体の接触は、吸着剤の温度を上昇させる。次いで、これが吸着平衡を降下させるため、吸着されたXA種の一部が吸着剤から脱着されることになる。加熱によって脱着されるXAの量は、吸着剤の温度上昇の量、および与えられた吸着剤と溶媒との組合せについての吸着平衡の温度感受性に依存することになる。代表的には、弱い陰イオン交換樹脂のような弱い吸着剤についての吸着平衡は、強い吸着剤と比較したとき、温度変化により鋭敏である。
【0067】
その他の手段も吸着剤を加熱するのに用いることができる。例えば、吸着剤を多管式熱交換器の管内に通すならば、吸着剤は、水蒸気その他の伝熱媒体を胴側に適用することによって、加熱することができる。この構成では、XA種を樹脂から運び去るのに、やはり脱着流体を用いなければならないが、必要とされる脱着流体の量は、一般に、前記段落で説明した断熱型加熱周期より少ない。
【0068】
吸着剤を再生するための温度は、一般に、約100〜約260℃の範囲内である。吸着容量の実質的低下または喪失を生じることなく許容され得る脱着率を達成するように、適切な温度を選ぶことができる。脱着温度が脱着流体の沸点を超える場合は、加圧下で脱着を実施することができる。
【0069】
熱的再生法の主な利点は、選んだ溶媒中に、XA種以外には廃棄生成物が形成されないことである。そのため、環状エステルの合成工程で追加の処理を僅かしか、または全く伴わずに、再生排液流をいくつかの部所に容易に再循環させることができる。しかし、熱的再生法は、かなり穏やかであり、強く吸着された種は樹脂から脱着させない。これらの強く吸着された種は、代表的には、金属イオン、鉱酸、およびスルホン化キシレンのような触媒分解生成物を包含すると思われる。経時的には、これらの強く吸着された種は、樹脂のXA容量を、より強力な脱着手法が必要とされる点まで低下させる可能性がある。
【0070】
XA種を樹脂から脱着させるのに、化学的再生法を用いることもできる。これらの方法は、熱的方法と比較して、より強力な脱着剤を用いる。化学的再生では、苛性溶液を用いて、XAその他の強く吸着された種を樹脂から脱着させる。苛性溶液は、水を基材とするか、またはこれに代えて、苛性物をメタノールのような極性有機溶媒に溶解することができる。化学的方法は、より強力であるが、それらの利用は、いくつかの追加的問題点を生じる。第一に、脱着周期の終点で、樹脂は、次の吸着周期の前に樹脂から除去しなければならない苛性溶液を含有することになる。これらの溶液は、苛性物、水および/またはアルコールを含有し、そのすべてが環状エステル回収または重合工程のいずれかに不都合であるため、これらの種のかなり厳格な除去が必要とされる。第二に、苛性再生からの排液は、一般に、再循環または廃棄の前に処理しなければならない塩類を含有することになる。この処理装置は、XDの製造および精製ユニット内に置かれる別個の一組みの装置であることができる。これに代えて、合成反応器への供給原料XAを発酵ブイヨンの酸性化によって誘導するならば、再生排液は、XAおよびXDの統合製造施設に向けての発酵回収の際の酸性化工程へと送ることができる。
【0071】
熱的および化学的再生法を併用することもできると思われる。例えば、樹脂の吸着容量が望みの最小値を下回るまでは、熱的再生を多数の再生周期に用い得ると思われる。そうして、1種類またはそれ以上の化学品に基づく再生周期を用いて、樹脂の容量を回復させることになる。そうして、吸着容量が望みの性能を下回るまで、熱的再生周期を再び用いることができると思われる。
【0072】
本発明の別の態様では、様々な保護カラムの構成を、熱的に再生できるXA吸着ユニットの上流で用いることができる。保護カラムの目的は、強く吸着する種を原料から選択的に吸着し、熱的に再生できるXA吸着カラムへとXA種を通過させることである。これは、XA吸着カラムが化学的再生法を用いなければならなくなる頻度を大幅に減少させると思われる。これの別の利点は、保護カラムは、いずれは化学的に再生しなければならなくなるため、保護カラムに用いた樹脂の熱安定性は問題にならないことである。そのため、熱安定性が低い、廉価で大容量の樹脂を保護カラムに用い得ると思われる。保護カラム樹脂の優れた候補の例として、前記のAMBERLYST(登録商標)A−21は、廉価であり、REILLEX(登録商標)425の6倍の容量を有するが、約75℃という熱安定性の上限を有するにすぎない。一方、REILLEX(登録商標)425は、より高価であり、容量が低いが、260℃までの温度で熱的再生が可能であり、そのため、この樹脂を、XA吸着の用途に用いる合理的な選択肢にさせる。
【0073】
脱着した不純物を含有する脱着流体は、環状エステル製造および回収工程全体のその他の工程で用いるために、再循環させることができる。そのような再循環流の行く先は、脱着流体、およびその中の不純物の性質に依存することになる。例えば、脱着流体がキシレンのような有機溶媒であり、不純物がXA種であるならば、再循環工程の際に、少量の環状エステルが生成されることになる。そのため、再循環流を、吸着の前の環状エステル製造後の工程へと仕向けることができる。例えば、下記にさらに詳細に説明するとおり、環状エステル製造工程は、環状エステルの製造後で吸着の前の工程の相分離または抽出を包含することができる。そのような分割/抽出工程へと再生流を再循環させることによって、(1)生成された環状エステルが吸着精製の際に回収され、(2)オリゴマーおよびXAの酸の種が分離され、例えば、環状エステル製造工程の前に加水分解ユニットへと送ることができる。
【0074】
脱着流体が、例えば水である場合、脱着再循環流は、環状エステル製造工程の前に加水分解ユニットへと直接再循環させることができる。このようにして、再循環流中のオリゴマーの加水分解を水によって開始し、それによって、加水分解ユニットの要求される容量を減らすことができる。
【0075】
吸着剤の再生を要する連続工程では、二つまたはそれ以上の吸着剤カラムもしくは層を用いて、工程の連続操作を可能にするようそれらの使用を交代させることができる。一方の吸着カラムまたは層が容量に達したとき、そのカラムまたは層をラインから外し、再生された新たなカラムまたは層を吸着の役目に向けて切り換える。
【0076】
精製環状エステル組成物
本発明のさらに別の態様として、高精製環状エステル組成物が挙げられる。このような組成物は、本発明の方法により生成し得る。ラクチドのような環状エステル組成物は、水および酸の存在下では不安定である。水の存在下で、ラクチドはLAに加水分解され、これはLAに加水分解され得る。さらに、遊離酸が加水分解反応を触媒する。したがって、低レベルの水および遊離酸を有する本発明の環状エステル組成物は、その結果生じる、輸送、貯蔵中の安定性ならびに長期保存寿命のために、非常に有益である。
【0077】
加水分解反応により消費されるラクチド製品中の水10ppmにつき、0.56meq遊離酸/kgLDの遊離酸増大を生じる。市販のラクチドの典型的規格は、水最大200ppmおよび最大1meq遊離酸/kgLDである。したがって、最初は製品規格を満たすラクチド製品でも、十分量以上の水が存在して、その後の貯蔵および加工処理中に許容可能レベルを超える遊離酸レベルを生じ得る。したがって、一般市販製品は、このような高レベルの水によって、加水分解反応が相対的に短時間で遊離酸レベルを規格レベル以上に上昇させるため、長期保存寿命を有していないことは明らかであろう。
【0078】
本発明によれば、100万あたり約200部(約200ppm)未満、さらに好ましくは約60ppm未満、最も好ましくは約20ppm未満の含水量を有する環状組成物が提供される。さらに本発明によれば、約1ミリ等量/環状エステル1kg(meq/kg)未満、さらに好ましくは約0.10meq/kg未満、最も好ましくは約0.04meq/kg未満の遊離酸含量を有する環状組成物が提供される。上記のように、環状エステル組成物中の水および遊離酸は相互作用して環状エステルを分解する。したがって、本発明は上記のような低水レベルおよび低酸レベルを有する環状エステル組成物を含む。
【0079】
本発明の環状エステル組成物のさらに別の態様として、含有環状エステル製品の極めて高い水感受性のために高防水性である容器入り環状エステル製品が挙げられる。このような製品は、水および酸含量が低く、有意量の水が環状エステル組成物を入れた包装の内部にしみ込むのを防ぐ包装材料で包装される。特に、本発明の環状エステル組成物は、100°F(37.8℃)および相対湿度90%で約0.1g/(100in)(24hr)未満、さらに好ましくは約0.01g/(100in)(24hr)未満、最も好ましくは約0.001g/(100in)(24hr)未満の水蒸気透過率を有する包装材料中に包装される。
【0080】
上記の要件を満たす適切な包装材料および包装方法は、当業者には公知である。例えば、上質LDPE箔ラミネートは100°F(37.8℃)、相対湿度90%で0.006g/(100in)(24hr)という低い水蒸気透過率を有する。蒸着フィルムも低水蒸気透過率を有することが公知である。袋の間に乾燥剤を入れた二重袋詰めを用いる包装系か、あるいはさらに高い水蒸気遮断袋詰め系、例えば金属容器またはガラス容器をも用い得る。さらに、例えば包装材料が曝露される外部空気の相対湿度を下げる、あるいは貯蔵温度を下げるといったような貯蔵方法は、環状エステル製品の分解をさらに低減し得る。
【0081】
ポリマー組成物
本発明のさらに別の態様として、許容可能な重合条件下での環状エステルからの高分子ポリマーの生成が挙げられる。低重合温度および長期重合時間という極限条件下では、高分子の環状エステルポリマー、例えば多乳酸に達し得ることが公知である。しかし、短い時間枠内で高温で重合を試みると、低分子ポリマーが生じる。環状エステル出発物質中の不純物は、商業的に望ましい重合条件での分子量限定の問題を悪化させると認識される。さらに、環状エステル出発物質中の不純物は、重合速度を低減し、したがって一定の転換を成し遂げるのに必要な反応時間を増大すると認識される。さらに、重合中に起こる混合の程度が反応速度に劇的に作用し、混合度が高いほど、重合速度が有意に速くなると認識される。例えば、本発明の高精製環状エステル組成物を用いて、商業的に許容可能な条件で高分子ポリマーを生成し得ることが確かめられている。
【0082】
上記の点から見て、本発明のさらに別の態様は、約150℃を超える温度で約30時間未満環状エステルを重合し、それによりその結果生じるポリマー組成物の重合度が約1,700を超える(XDが重合度を明示するためのモノマーベースである)であるポリマーの生成方法を含む。本方法のさらに別の実施態様では、温度は約160℃より高く、最も好ましくは約170℃より高い。さらに別の実施態様では、重合時間は約15時間未満、好ましくは約5時間未満、最も好ましくは約15分未満である。本発明のさらに別の実施態様では、その結果生じる高分子組成物の重合度は、約2,100より大で、さらに好ましくは約2,800を超える。
【0083】
本発明の重合方法の好ましい実施態様において、重合される環状エステルとしては、本明細書中に記載される精製方法により生成される上記の環状エステル組成物が挙げられる。
【0084】
本発明の重合方法を用いて高分子ポリマーを調製し得る。例えば、XDがラクチドである場合、Mw=250,000を超える分子量、さらに好ましくはMw=300,000を超え、最も好ましくはMw=400,000を超える分子量を有するポリマーを生成し得る。XDがテトラメチルグリコリドである場合、Mw=300,000を超え、さらに好ましくはMw=360,000を超え、最も好ましくはMw=480,000を超える分子量を有するポリマーを生成し得る。
【0085】
環状エステル生成
Aを環状エステルに直接転換する方法
上記の環状エステル精製方法は、環状エステルを含有するあらゆる組成物の精製に適している。その方法の主な用途は環状エステルのための生成方法による環状エステル含有組成物の精製にあるが、その精製方法は市販供給源からの環状エステル含有組成物の精製にも用い得る。
【0086】
適切な環状エステル製造方法は、例えば米国特許第5,319,107号および同時係属中の米国特許出願第08/128,797号(これらの記載内容は、参照により本明細書中に含まれる)に開示されている。これらの開示は一般に、環状エステルの製造を提供する。好ましい一実施態様としては、XAを含む原料流を提供し、原料流を処理してXAのXA成分から環状エステルを直接生成することによる環状エステルの製造方法が挙げられる。別の好ましい実施態様では、環状エステル製造方法は、(1)溶媒中にXAを含む原料流を提供し、そして(2)原料流から水を除去して上記の環状エステルを含む生成物流を生成する工程であって、生成物流中のXAおよびより高分子のオリゴマーの濃度が工程中は反応混合物の約20重量%未満である工程からなる。環状エステルのさらに好ましい製造方法は、(a)有機溶媒中で希釈されたXAを含む原料流を提供し;そして(b)上記の原料流から水を除去して上記の環状エステルをXAから直接生成する工程からなる。
【0087】
予備吸着処理方法
種々の環状エステル製造方法は、上記のような吸着精製前に一つまたはそれ以上の初期精製工程を含むこともある。第一のこのような初期精製工程は、生成後に反応混合物が平衡した2つの液相を形成してXDと不純物とを実質的に分離するような方法で環状エステル製造方法を実施する工程を含む。このような一相はXDおよび溶媒を主に含有し、第二相はXAおよびXAのオリゴマーを主に含有する。この方法は環状エステル生成混合物に回収溶媒を提供する工程を含み、回収溶媒は環状エステルの製造に用いられる溶媒となる。第二相は第二相溶媒を含むか、または主にXAからなるということに留意すべきである。次に、上記のような吸着処理により、環状エステルを第一相から回収する。環状エステル生成混合物はさらに、好ましくは第二相中に分配する可溶性エステル化触媒、例えば硫酸を含み得る。このように、触媒は環状エステルから容易に分離される。
【0088】
回収溶媒に関する上記の機能性パラメーターによる適切な特性を有するあらゆる溶媒が、本発明に用いるのに適している。より具体的には、適切な回収溶媒としては、キシレン、トルエン、アニソール、ベンゼン、MIBKおよびイソプロピルエーテルが挙げられ、さらに好ましい回収溶媒としては、キシレンおよびトルエンが挙げられる。キシレンがはるかに好ましい。
【0089】
環状エステル生成混合物を第一および第二相に相分離させる工程は、典型的には混合物を冷却させて、あらゆる混合またはその他の攪拌を停止することにより、簡単に達成される。あるいは、多孔性媒質または電場を利用する特殊装置を凝集に用い得る。これらの方法は、当業者に公知の標準相分離装置を回分式でまたは連続的に用いて実行し得る。
【0090】
代替的実施態様のように、相分離を可能にすることによりXAおよびXAのオリゴマーから環状エステルおよび溶媒を分離することの他に、XAおよびXAのオリゴマーが豊富な第二相で、さらに別の溶媒抽出工程を実行し得る。例えば、典型的には回収溶媒である溶媒および第二相を抽出ユニットに導入して、第二相中の残留環状エステルおよび溶媒を回収する。
【0091】
上記の吸着後処理と一緒にまたは別々に用い得る本発明の別の実施態様としては、環状エステルおよび不純物を有する混合物に水性溶媒を導入して、この混合物をXDを含む第一相と水性溶媒ならびに不純物、例えばXAおよびその他の極性不純物、例えば水を含む第二相に分離させる相分離が挙げられる。この実施態様では、加える水性溶媒の量は、混合物中の有機溶媒における水の相互溶解度限界より多い約3%未満(混合物または組成物の重量を基礎にして)である。極性物質である相対的に少量の水性溶媒の添加は、(1)そうでなければ起こらない、XD反応混合物が溶媒、例えばアニソールを含有するような相分離が起こるのを助け、そして(2)水性溶媒が存在しない場合でも別々の相を形成するキシレンのような溶媒に対する第一および第二相中のXDと不純物との間のより望ましい分配係数を提供することが分かった。
【0092】
XD精製のための精製技法としての上記の水促進性相分離の使用は、統合されたXD製造および回収工程に多数の有意の利点を提供する。このような利点の一つは、非水性溶媒中でのXDの製造およびXDの回収のための方法において、XD製造に利用し得る溶媒の範囲が大いに広げられることである。例として、アニソールのように高XD選択性、転換および/または生産性のために、または2−オクタノンのようにより大きな環境許容可能性および/または消費者適用に対する許容可能性のために、許容できないほど低いXDおよびXA種間の分配係数を有するか、あるいはそうでなければ望ましい相分離工程で相分離しない溶媒をここでは用い得る。
【0093】
水促進性相分離法の別の利点は、その後の回収工程が簡単になることである。例えば、その後の吸着回収工程の場合、相分離工程における水性溶媒の添加はXD混合物からの遊離酸種の分離を増強し、それにより吸着による遊離酸の除去の必要を低減する。このような低減は、吸着ユニットの大きさまたは吸着剤再生サイクルの必要頻度を小さくし、したがって操作および資本経費を有意に低減する。水性溶媒添加工程が存在しない場合には、XD含有相中のXAレベルは相対的に高く、頻繁に再生されねばならない許容できないほど大きな吸着ユニットを要する。上記の吸着再生工程は、経費的に、特に吸着再生のための熱エネルギー消費に頼るものである。水性溶媒の添加により達成されるXD含有相中のXAおよびその他の不純物の有意の低減は、吸着再生サイクルの頻度を低くするだけでなく、使用する吸着剤の量を(したがって、吸着剤を含有するために必要な装置の大きさを)有意に低減する。
【0094】
水性溶媒は、水性添加および相分離工程において所望の操作温度および濃度でXDに対して非反応性であるあらゆる水ベースの溶媒である。非反応性という用語は、水性溶媒が有意量のXDを開環させないことを意味する。好ましくは、約10%未満の、さらに好ましくは約5%未満、最も好ましくは約1%未満のXDが添加水性溶媒との反応により分解される。適切な水性溶媒としては、水および0%〜88%のXAを含有する溶液が挙げられる。さらに好ましい水性溶媒としては、水および希釈XA溶液(約0%〜約5%のXAを含有)が挙げられ、水がさらに好ましい。水促進性相分離の一実施態様では、水性溶媒は環状エステル製造ユニットへの原料流のスリップストリーム部分を含む。この実施態様では、相分離後、水性溶媒および、例えばXA種を含む第二相は加水分解工程を経て環状エステル製造ユニットに向けられる。
【0095】
一実施態様において、水性溶媒は実質的には水以外のXD不純物を含まない。このような不純物は、XDおよびその高分子誘導体のその後の処理、および/または高分子誘導体の使用および/または廃棄に問題を生じ得る。不純物としては、一本鎖または直鎖ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル、塩またはアミド、およびXA供給原料からのその他の不純物、およびまたはXD合成反応工程からの副生成物が挙げられる。あるいは、不純物には、多数の金属含有ヒドロキシド、カーボネートおよび塩(例えばアルカリ金属およびアルカリ土類金属のヒドロキシド、カーボネートおよび塩)が含まれる。さらに好ましくは、水性溶媒は約14重量%以下の一本鎖または直鎖ヒドロキシカルボン酸あるいはそのエステル、塩またはアミドを含む。水性溶媒はさらに、約 1重量%以下のXA供給原料からのその他の不純物、および/またはXD合成反応工程からの副生成物を含む。
【0096】
水性溶媒はそれ自体、XDの安定性およびその後のXDの使用、例えば重合に好ましくない不純物であり、水性溶媒の残留量は好ましくは水吸着工程で上記のように除去される、ということに留意すべきである。したがって、反応混合物と接触して組成物を生成する水性溶媒の量は、好ましくは所望の相分離実行を生じるための最小レベルに維持される。反応混合物と接触する水性溶媒の量は、好ましくは、水性溶媒付加後の組成物の重量を基礎にして有機溶媒中の水の相互溶解度限界より高い約3重量%未満(水性溶媒添加後の全反応混合物の容量を基礎にして)(即ち、反応混合物中の水および有機溶媒が混和性である最大水濃度より高い約3%未満)、さらに好ましくは約1.5重量%未満、最も好ましくは約1重量%未満である。水促進性相分離は連続的にまたは回分式で実行し得ることに留意すべきである。連続工程の場合、使用する水性溶媒の量に関する上記の値は、連続工程の操作中のあらゆる既定時間部分の間のXD含有組成物の全量に添加する水性溶媒の全量を示す。
【0097】
別の態様では、反応混合物に加える水性溶媒の量は、その後の加水分解操作中に反応混合物中でオリゴマーXA種の加水分解を実行するのに必要な量と等しいかそれより少ない。したがって、本発明のこの態様では、反応混合物に加える水性溶媒の量は、オリゴマーXA種におけるエステル結合の加水分解に必要な化学量論的量の水を提供する量に等しいかそれより少ない。
【0098】
水促進性相分離工程における環状エステル含有組成物の温度は、水性溶媒によるXDの有意の加水分解を妨げるのに、そしてXDを有する有機溶媒中の酸不純物の溶解度を許容可能レベルに下げるのに十分な低さでなければならず、さらに水性溶媒の添加時にXDの沈殿を阻止するのに十分な高さでなければならない。好ましくは、水促進性相分離工程における温度は約80℃未満、さらに好ましくは約0℃〜約60℃の範囲、最も好ましくは約25℃〜約50℃である。
【0099】
環状エステルと不純物とを含む環状エステル含有組成物はさらに、有機溶媒を含有する。このような溶媒としてはキシレン、トルエン、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルエーテル、アニソールおよび2−オクタノンが挙げられ、さらに好ましくはこのような溶媒としてはキシレンおよび2−オクタノン、最も好ましくはキシレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
上記のパラメータを用いると、組成物中のXDは第一相に、そして不純物は第二相に属する。好ましくは、第一相に属するXDの量は、組成物の重量に対して少なくとも約80重量%、さらに好ましくは少なくとも約90重量%、最も好ましくは少なくとも約95重量%である。第二相に属する不純物の量は、不純物を含む組成物の重量に対して少なくとも約60重量%、さらに好ましくは少なくとも約80重量%、最も好ましくは少なくとも約95重量%である。
【0101】
水促進性抽出工程の使用の前に、上記のように、水の助けを借りずに一次抽出工程を実行し得る。このような2工程法は、1工程抽出法より高純度を達成し得る。
抽出工程に用い得る装置は、抽出に普通に用いられるあらゆるもの、例えばミキサー−沈降タンク、ミキサー−凝集器、多工程抽出カラム(平板、回転および往復円板)ならびに膜ベースの液体−液体抽出ユニットである。
【0102】
上記の技法により第一相を第二相から分離後、上記の方法により第一相を処理して含有されるXDを精製し、加水分解後に環状エステル製造工程で第二相を原料流に再循環させる。上記のように、吸着、結晶化および蒸留法により第一相中のXDをさらに精製し得るが、吸着が最も好ましい方法である。
【0103】
上記の水促進性相分離後、第一相は好ましくは不純物を実質的に含有しない。特に、第一相は約100meq遊離酸/kg溶液未満、さらに好ましくは約50meq遊離酸/kg溶液未満、最も好ましくは約10meq遊離酸/kg溶液未満を含有する。さらに、第一相は約2000ppm未満の、さらに好ましくは約500ppm未満、最も好ましくは約250ppm未満の水を含有する。
【0104】
上記のように、水促進性相分離の使用は有意の利点を提供するが、その工程はXD生成物流中への水の導入を伴う。水は不純物と考えられるが、例えば他に記載されているようなその後の水の吸着工程が実行される場合には、水の導入は十分耐容され得る。水促進性相分離工程を用いる場合でも、水吸着工程をその後に使用すると、本明細書中の他の部分に記載されているように低含水量の環状エステル組成物が生成される。
【0105】
その他の環状エステル製造方法
その他の環状エステル製造方法は公知であって、本発明の環状エステルの製造に適している。例えば、環状エステルの別の製造方法としては、XAを含む原料流の一部を気化させて、気化部分を気化状態に保持するのに十分な圧力および温度条件に維持した反応帯で原料流の気化部分を反応させて、環状エステルを生成する方法がある。環状エステルは、例えばα−ハロ塩を用いた解重合反応および縮合反応の使用によっても製造し得る。例えば、「バック−バイティング」機序を用いて環状エステルを得るために、多乳酸を含有する組成物を解重合し得る。α−ハロ塩反応では、α−ハロ塩分子の反応により、環状エステルを生成する。
【0106】
統合された環状エステル製造および精製
本発明はさらに、環状エステルの製造および上記の概説のような吸着処理の使用による精製のための連続方法を含む。種々のこのような環状エステル製造方法も、上記されている。好ましい実施態様では、このような統合された方法は、(1)溶媒中にXAを含む原料流を提供し;(2)原料流から水を除去して環状エステルを含有する生成物流を生成し(この場合、生成物流中のXAおよびより高次のオリゴマーは工程中の反応混合物の約20重量%未満である);(3)生成物流を一次吸着剤と接触させて生成物流から遊離酸、水およびその混合物から選択される少なくとも一つの不純物を除去して、精製生成物流を生じさせる工程を含む。
【0107】
図1を参照すると、環状エステルラクチドに関する本発明の統合された製造および精製方法を説明する本発明の一実施態様の流れ図が示されている。図1では、乳酸100を加水分解ユニット102に供給し、水104および異性体制御剤106を併合してこれも加水分解ユニット102に供給する。LD反応器110への主にLAおよびLA供給路108を生成するために、LAとして示される乳酸および高次オリゴマーを加水分解ユニット102中で加水分解する。加水分解ユニット102からの使用済水112を系からパージする。LD反応器110への乳酸供給路108中の乳酸を溶媒114と、そして必要な場合には触媒116と併合し、その両方もLD反応器110に供給する。例えば前記の方法により、ラクチドがLD反応器110中で生成される。ラクチド生成反応で除去された水を再循環させて、前記のように加水分解ユニット102中の水104として用い得る。LD反応器110中で生成されたラクチド、不純物および溶媒混合物118を次に、ラクチドおよび溶媒混合物から不純物(例えばXAおよびXAオリゴマー)を最初に除去するために、相分離または抽出工程120に供給する。ラクチド、不純物および溶媒混合物から除去されたXA不純物122を加水分解ユニット102に戻して再循環させる。精製ラクチドおよび溶媒混合物124に一次吸着処理126を施して、酸不純物を含むXA不純物の少なくとも一部分を、例えば陰イオン交換樹脂を用いて、除去する。一次吸着処理からの精製ラクチドおよび溶媒混合物128を次に二次吸着処理130に供給して、精製ラクチドおよび溶媒混合物128中に依然として存在する可能性のある水を除去する。二次吸着処理からの精製ラクチドおよび溶媒混合物132を次に、例えば蒸発ユニット134を用いて濃縮し、ここで溶媒136は蒸発して再循環されるか、または別のさらなる溶媒138と併合されてラクチド反応器110に溶媒流114として供給される。蒸発ユニット134から得られた濃縮され、かつ精製されたラクチドおよび溶媒溶液140をさらに上記と同様に精製するか、またはラクチドの重合のために多乳酸中に用い得る。
【0108】
図1に示した実施態様はさらに、一次吸着126および二次吸着130における吸着剤の再生を示す。吸着物質上で不純物を脱着させるために、LD反応器110に関して供給原料として用いたような溶媒142を一次吸着装置126中で吸着剤と接触させる。その結果生じた、不純物144を含有する溶媒を、ラクチドおよび溶媒混合物118の初期精製のために相分離/抽出装置120中で利用し得る。二次吸着130で用いた吸着剤も、吸着剤を乾燥させて水および溶媒混合物146を生成し、これを前記のように加水分解ユニット102に戻して再循環させることにより、再生し得る。
【0109】
ここで図2を参照すると、環状エステルラクチドに関する本発明の統合された製造および精製法の関連における水性溶媒の添加を説明する本発明の別の実施態様の流れ図が示されている。乳酸200を再循環乳酸202と併合してラクチド反応器204に供給する。溶媒206、および必要な場合には触媒208を、ラクチド反応器204中で乳酸と併合する。例えば上記の技法によって、ラクチド反応器204中でラクチドが生成される。ラクチド生成反応で除去された水210は再循環しうる。ラクチド反応器204中で生成されたラクチド、不純物および溶媒混合物212を次に相分離または抽出工程214に供給して、最初に不純物、例えばXAおよび水をラクチドおよび溶媒混合物から除去する。水性溶媒216を工程214の間に混合物に加える。水性溶媒216は、他の処理ユニットからの乳酸200の一部217、水210、清浄水218および/または希釈乳酸である。混合物212から除去された不純物220を加水分解ユニット222に送り、水210で加水分解して、再循環乳酸202を生成する。ラクチド反応器204中で所望の溶媒およびXAレベルを保持するために、溶媒パージ223およびXAパージ224を加水分解ユニット222から除去する。精製ラクチドおよび溶媒混合物226を一次吸着工程228で処理して、例えば陰イオン交換樹脂を用いて、XA不純物の少なくとも一部を除去する。一次吸着工程228からの精製ラクチドおよび溶媒混合物230を次に二次吸着工程232に供給して、精製ラクチドおよび溶媒混合物228中に依然として存在し得る水および水性溶媒を除去する。二次吸着工程からの精製ラクチドおよび溶媒混合物234を次に、例えば蒸発ユニット236を用いて濃縮し、ここで溶媒238を留去して、別の溶媒240と併合して、溶媒流206としてラクチド反応器204に供給する。蒸発ユニット236から得られた濃縮精製ラクチドおよび溶媒溶液242を上記と同様にさらに精製するか、またはラクチドの重合のために多乳酸中に用い得る。
【0110】
図2の実施態様はさらに、一次吸着228および二次吸着232における吸着剤の再生を示す。溶媒244を一次吸着装置228中で吸着剤と接触させて、吸着物質上にXAを脱着する。その結果生じた脱着化XAを含有する溶媒246を不純物220と併合して加水分解ユニット222に送る。二次吸着に用いた吸着剤を上記と同様に再生して、水248を得て、これを溶媒246および不純物220と一緒に加水分解ユニット222に戻して再循環させる。
【0111】
本発明の説明のために以下の実施例および試験結果を示すが、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【実施例1】
【0112】
以下の実施例は、ヒドロキシカルボン酸の精製環状エステルを生成するための本発明の精製方法の一実施態様の有効性を説明する。
環状エステル生成
ラセミ2−ヒドロキシオクタン酸の試料5g、酸性形態の(反応触媒としての)Dowex−50陽イオン交換樹脂0.22gおよびトルエン195mlを、加熱マントル、ポット温度計、磁気攪拌機、Dean−Stark管、還流冷却器およびゴム隔膜を装備した三首フラスコに加えた。混合物を加熱して、約116℃の温度で還流し、約48時間そこに保持した。
【0113】
反応混合物のアリコートをジアゾメタンで誘導して、ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS)で分析した。以下のものに関して、別々のピークを同定した:2−ヒドロキシオクタン酸、2分子の2−ヒドロキシオクタン酸から生成される直鎖エステル;2−ヒドロキシオクタン酸の環状ジエステルのメソ異性体;2−ヒドロキシオクタン酸の環状ジエステルのDおよびL異性体;ならびに一つまたはそれ以上の高級直鎖エステル化物質であると考えられる未知の化合物に関するより長い保持時間ピーク。
【0114】
環状エステル精製
AMBERLYST(登録商標)A−21イオン交換樹脂の試料300mlを吸着剤として用いた。樹脂を先ずアセトンで数回洗浄した。樹脂を直径1インチのカラムに入れ、次いでトルエン:アセトン溶液の1:1混合物で洗浄して保持されたあらゆる初期水を樹脂に置き換えた。環状エステル反応混合物をアセトンで希釈して1:1 トルエン:アセトン混合物とし、予め調製しておいたAMBERLYST(登録商標)A−21イオン交換樹脂層上を通した。流出液を収集し、蒸発乾燥した。固体生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。2つのピークが見出された:即ち2−ヒドロキシオクタン酸の環状ジエステルのメソ異性体、ならびに2−ヒドロキシオクタン酸の環状エステルのDおよびL異性体であった。したがって、環状エステルの精製は、非立体特異的方法で達成され、それにより吸着工程への供給の異性体的組成に対応する環状エステルの混合異性体集団の回収が可能になった。ヒドロキシカルボン酸の酸および直鎖エステル化生成物は認められなかった。計0.6629gの固体生成物を得たが、これはモルを基礎にして算出した理論的収量の34%の単離収率を示した。
【実施例2】
【0115】
以下の実施例は、本発明の一実施態様による環状エステルの生成および精製を、そしてその後のポリマーの生成を説明し、重合時の2つの比較的精製方法および試みを提供する。
【0116】
環状エステル生成
溶媒としてm−キシレンを、触媒としてp−トルエンスルホン酸を用いて、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸から直接液相合成により、粗製テトラメチルグリコリドを調製した。水を除去するためにDean−Stark管を用いて、混合物を還流した。
【0117】
2.1 環状エステルの精製および重合
粗製テトラメチルグリコリドを炭酸ナトリウムで洗浄し、中和し、乾燥して、アセトンに溶解した。粗製テトラメチルグリコリド/アセトン溶液を吸着剤としてAMBERLYST(登録商標)A−21イオン交換樹脂を含有するカラムに通して、酸不純物を除去した。カラム流出物を蒸発、乾燥した。その結果生じた固体を、石油エーテルを用いて再結晶化し、乾燥した。得られたテトラメチルグリコリドの試料を示差走査熱量計により分析し、80.9℃で開始する鮮明な融点を有することが判明した。
【0118】
リチウムtert−ブトキシド触媒を用いて、130℃で約8時間、精製テトラメチルグリコリドを重合した。その結果生じたポリマーの分子量を、ゲル透過クロマトグラフィーを用いて測定し、Mw=520,000およびMn=354,000という値を得た。
【0119】
2.2 一次比較環状エステル精製および重合
粗製テトラメチルグリコリドを炭酸ナトリウムで洗浄し、中和し、乾燥した。粗製テトラメチルグリコリドを溶解し、溶媒としてイソプロパノールを用いて再結晶化した。再結晶化物質の試料を示差走査熱量計により分析し、79.0℃で開始する広範な融点を有することが分かった。
【0120】
触媒としてオクタン酸第一錫を用いた精製物質の重合時の最初の試験は失敗した。検出可能な重合は起きず、未反応テトラメチルグリコリドが長期反応時間後に回収された。
精製物質の重合時の第二の試験は、部分的に成功した。触媒としてリチウムtert−ブトキシドを用いて、130℃で重合を実施した。その結果生じたポリマーの分子量をゲル透過クロマトグラフィーを用いて測定し、Mw=17,200およびMn=14,525という値を得た。出発モノマーの42%だけがポリマーに転換された。
【0121】
この比較例における低分子量および不十分な転換は、溶媒再結晶化テトラメチルグリコリドが高分子ポリマーを生成するのに十分な純度を有していなかったことを示す。これに対して、実施例2.1に記載した吸着に基づく精製では、高分子ポリマーの生成に適した高純度テトラメチルグリコリドを生成できた。
【0122】
2.3 二次比較環状エステルの精製および重合
粗製テトラメチルグリコリドを炭酸ナトリウムで洗浄し、中和し、乾燥して、アセトンに溶解した。粗製テトラメチルグリコリド/アセトン溶液をAMBERLYST(登録商標)A−21イオン交換樹脂を含有する樹脂層に通して、あらゆる残留の酸種を除去した。カラム流出物を蒸発、乾燥した。その結果生じた固体を、イソプロパノールから再結晶化し、乾燥した。得られたテトラメチルグリコリドの試料を示差走査熱量計により分析し、81.0℃で開始する鮮明な融点を有することが判明した。
【0123】
リチウムtert−ブトキシド触媒を用いて、130℃で精製テトラメチルグリコリドを重合する試験は失敗した。8時間後、重合の証拠はほとんど認められなかった。精製テトラメチルグリコリド中にイソプロパノールが残留する痕跡は、重合の失敗を引き起こしたことを確信させた。精製テトラメチルグリコリドの乾燥は結晶の外側に付着した溶媒を除去したが、結晶の吸蔵内側に閉じ込められた溶媒を除去しなかったと思われる。したがって、精製物質中に微量レベルのアルコールが認められたものと考えられた。
【0124】
本実施例の鮮明な融点は、テトラメチルグリコリドの純度が実施例2.1のテトラメチルグリコリドの純度に匹敵したことを示す。本実施例は、吸着に基づく方法の後に溶媒再結晶化のような陽性(正の)精製工程を実施した場合でも、結晶化のためのアルコール溶媒の使用は環状エステル組成物中にアルコール不純物を導入し、これが重合失敗を引き起こしたことを示す。
【実施例3】
【0125】
以下の実施例は、本発明の精製および回収方法の一実施態様としての混合異性体ラクチド生成物の回収を説明する。
環状エステル生成
混合キシレンの試料1025g、硫酸50μlおよびいくつかの煮沸チップを、Dean−Stark管、冷却器および加熱マントルを装備した2000ml三首フラスコに入れた。内容物を加熱、還流して、乳酸溶液50mlを加えた。出発物質中の全体のL:D比を95:5にするために、乳酸溶液は、88%L−乳酸9部と88%ラセミ乳酸1部から作られた。反応混合物を大気圧で約4.5時間沸騰させ、その間、全体で15mlの水をDean−Stark管に収集した。混合物を室温に冷却し、相分離させた。
【0126】
環状エステル精製
ラクチドを含有する上部相物質の試料977gを、酸吸着剤として予め共沸蒸留したREILLEX(登録商標)425イオン交換樹脂214g、水吸着剤として3Aモレキュラーシーブ144gおよび着色体用吸着剤として活性炭50gを含有するジャーに加えた。この混合物を約4時間攪拌し、溶液の試料を採集して、0.45μmフィルターを通して濾過した後、分析した。
【0127】
溶液の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、検出可能な遊離酸を示さなかった。この適用におけるHPLCの低検出限界は、2meq遊離酸/kg溶液であった。HPLC結果はさらに、物質のL:D:M異性体比が吸着処理によって変化しなかったことを示した。Karl−Fisher滴定は、処理溶液が16.6ppmの水を含有したことを示した。
【0128】
混合異性体ラクチド生成物の回収
次に、処理溶液を回転蒸発させて乾燥し、スプレー乾燥機の操作をシミュレートした。ケーク残渣は白色雪様粉末であった。ケークの分析は、L:D:M異性体比が96.70:1.04:2.26であることを示したが、これはM−ラクチドの一部が蒸発中に失われたことを示す。これは意外なことではなく、他の異性体と比較して、M−ラクチドのより高い蒸発圧を示す。簡易なストリッピング部分を使用して工業装置にM−ラクチドを保持することができた。本粉末の高速液体クロマトグラフィーは、検出可能な遊離酸を示さなかった。この適用におけるHPLCの低検出限界は、9meq遊離酸/ラクチド1kgであった。
【実施例4】
【0129】
以下の実施例は、本発明の吸着剤に関する再生方法の一実施態様を説明する。
各々約5フィート(約152.4cm)の長さの直径1mmの4つの絶縁ステンレススチール管からなる吸着装置をカートに垂直に載せ、一列に接続した。試料口を、供給ライン、各カラム間、および流出ラインに設置した。REILLEX(登録商標)425樹脂を調製して、キシレンとの共沸蒸留によりあらゆる水分を除去した。4つのカラムを311.6g、356.4g、370.1gおよび352.3gの湿潤樹脂で充填して、全床長さを約16フィート(約487.68cm)とした。新鮮なキシレンをポンプで装置に入れ、空気を系から流出させた。
【0130】
一次吸着
キシレン、乳酸、直鎖乳酸エステルおよびラクチドを含有する室温供給溶液を吸着装置を通して上流方向に約45g/分でポンプ輸送して、0.39フィート(11.89cm)/分の上流表面速度を得た。5つの試料口で30分毎に試料を採集し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析にかけた。最初のキシレンが系から追い出された後、第4カラム流出物の試料は、カラムの漏出まで、検出可能なレベルの遊離酸は示さなかった。第4カラムの漏出は、供給溶液開始後約270分で起きた。この適用におけるHPLCの低検出限界は、2meq遊離酸/kg溶液であった。精製流の保持試料807gを漏出前に第4カラムから採集した。3Aモレキュラーシーブの試料178gを保持試料に加えた。次に保持試料を攪拌し、後に使用するまで保存した。
【0131】
約270分でおよびそれを超えると、酸成分が、逆分子量順に第4カラムを漏出した。この観察は、直鎖乳酸エステルの鎖長が増大すると樹脂容量が低減することを示す。供給溶液を、それが開始してから約480分後に停止したが、この時、樹脂のほぼ完全な飽和が観察された。
【0132】
吸着剤再生
一次カラムからの樹脂を取り出し、加熱マントルおよび冷却器を装備した三首フラスコ中に入れた。十分量のキシレンを加えて樹脂を覆い、混合物を約133℃で沸騰するまで加熱した。沸騰後約2〜3分で、樹脂を熱い間に濾過した。樹脂を、同様の方法でキシレン中でもう一度沸騰させて、濾過し、次いでカラムに戻した。この熱再生操作を第2、第3および第4カラムに関して反復した。次に新鮮なキシレンを装置中にポンプ輸送して、空気を系から流出させた。
【0133】
二次吸着
一次吸着サイクルで用いたのと同一のキシレン/乳酸/ラクチド溶液を用いて、二次室温吸着サイクルを実施した。二次吸着サイクルに関する流速は約47g/分で、0.41フィート(12.5cm)/分の上流表面速度を得た。30分毎に試料を採集し、HPLC分析にかけた。最初のキシレンが系から追い出された後、第4カラム流出物の試料は、カラムの漏出まで、検出可能なレベルの遊離酸は示さなかった。第4カラムの漏出は、供給溶液開始後約240分で起きた。一次吸着サイクルと同様に、この適用におけるHPLCの低検出限界は、2meq遊離酸/kg溶液であった。精製流の保持試料2580gを漏出前に第4カラムから採集した。3Aモレキュラーシーブの試料570gを保持試料に加えた。次に保持試料を攪拌し、後に使用するまで保存した。
【0134】
(1)樹脂がほぼ完全に飽和状態になるまで一次吸着サイクルを実施し、(2)漏出前の二次吸着サイクルの長さが一次吸着サイクルの長さとほぼ同じであったため、樹脂の熱再生は実質的に完全であったと考えられた。
【0135】
一次吸着および二次吸着からの2つの保持試料を併合し、70℃で、部分真空で物質を回転蒸発させてキシレンの一部を除去した。回転蒸発後、残渣を室温に冷却したが、この間にL−ラクチドの針状結晶が残渣フラスコ中に生じた。結晶を濾過し、3Aモレキュラーシーブを用いて乾燥させておいた新鮮なキシレンで洗浄した後、真空オーブン中で35℃で乾燥した。結晶生成物の遊離酸レベルは、カリウムメトキシド滴定法の検出限界以下であった。この適用におけるカリウムメトキシド滴定法の検出限界は、0.02meq遊離酸/ラクチド1kgであった。
【実施例5】
【0136】
以下の比較実施例は、本発明の生成および精製法の一実施態様により得られる精製環状エステルを用いて生成し得る高分子ポリマーを、市販の環状エステルを用いて得られる分子量のポリマーに対して説明する。
【0137】
吸着剤調製
実施例4に記載した吸着装置の最初の2つの管にREILLEX(登録商標)425を充填した。REILLEX(登録商標)425は、キシレンとの共沸蒸留により予め調製しておいた。第3および4管には3Aモレキュラーシーブビーズを充填した。キシレンを系中にポンプ輸送し、モレキュラーシーブを脱気させて、カラムから空気をパージした。
【0138】
環状エステル精製
L−ラクチド85gの試料をキシレン4リットルに溶解させた。Lラクチドは解重合に基づく反応から作られると考えられる商業等級であった。溶解前に、ラクチドを長時間空気に曝露して、水を出させ、遊離酸を生成した。出発ラクチドは、カリウムメトキシドを用いた滴定により測定した場合、91meq遊離酸/ラクチド1gを含有した。出発ラクチド、出発キシレンおよびラクチド−キシレン溶液のKarl−Fisher滴定は、それぞれ260.78ppmおよび84ppmの水を示した。
【0139】
粗製ラクチド−キシレン溶液を、46g/分でポンプで吸着装置を通した。最初のキシレンが系から追い出された後、4リットルの保持試料を第4カラム流出物から採取した。保持試料の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析は、検出可能な遊離酸を示さなかった。この適用におけるHPLC法の低い方の検出限界は、2meq遊離酸/kg溶液であった。保持試料のKarl−Fisher滴定は、7.7ppmの水を示した。
【0140】
環状エステルの回収
部分真空下で65℃で物質を回転蒸発することにより、保持試料からキシレンの一部を除去した。回転蒸発後、残渣を室温に冷却し、その間にL−ラクチドの針状結晶が残渣フラスコ中に生じた。結晶を濾過し、3Aモレキュラーシーブを用いて乾燥させておいた新鮮なキシレンで洗浄した後、真空オーブン中で35℃で乾燥した。結晶生成物の遊離酸レベルは、カリウムメトキシド滴定法により0.04meq遊離酸/ラクチド1kgと測定された。結晶生成物のKarl−Fisher滴定は、49ppmの水を示した。
【0141】
環状エステルの重合
6本のガラス管の各々に10gの吸着精製ラクチド、市販ラクチドまたは出発ラクチド材料を充填した。市販ラクチドは、カリウムメトキシド滴定法およびKarl−Fisher滴定により測定した場合、1.1meq遊離酸/ラクチド1kgおよび59ppm水を含有した。キシレン溶液中のオクタン酸第一錫の10重量%溶液の試料24μlを各管に加えたが、これは80ppmモルまたは12500:1モノマー対触媒比に相当した。管を加熱し、内容物を重合させた。ゲル透過クロマトグラフィー分析により、下記の分子量が確定された:
【0142】
【表1】

精製ラクチドから得られたポリマーの分子量は出発ラクチドから得られたポリマーより約2000%高かったため、精製工程は成功であった。精製ラクチドからのポリマーは、市販ラクチドからのポリマーと比較した場合、分子量が50〜125%高かった。重合条件は同一であったため、分子量の差はモノマー(ラクチド)純度の差によるものである。
【実施例6】
【0143】
以下の実施例は、本発明の精製方法の別の実施態様を説明する。
吸着剤調製
乾燥AMBERLYST(登録商標)A−21樹脂100mlを直径1インチの清浄ガラスカラムに入れた。それをアセトンの100ml部分で2回、50%水/50%アセトン 100mlで1回洗浄した。最初のアセトン洗浄液はpH9で、黄色であり、この処理により除去された樹脂中の不純物を示した。硫酸マグネシウム(15g)および3Aモレキュラーシーブ40mlをカラムの上部に加えた。
【0144】
不純物の吸着
L−ラクチドの試料10g、無水乳酸5g、多乳酸2gおよび蒸留水約0.5gをアセトン約20mlと混合し、上記で調製したような吸着剤を含有するカラムに加えた。ラクチド調製物をカラムから溶離した。カラムからの溶離分画を回転蒸発器に載せて、徐々に加熱しながら溶媒を除去した。五酸化リン上のオーブン中に分画を置いて、残留アセトンをさらに蒸発させた。残りのアセトンを留去すると、真っ白の、軽いフレーク状物質が残渣として残った。生成したラクチドの収率は、約93.5%であった。
【実施例7】
【0145】
以下の実施例は、本発明の包装環状エステル製品の保存寿命および安定性の改良を説明する。
ラクチド試料5kgを、約0.39g/(100in・24hr)の水蒸気透過率を有する4ミル厚の低密度ポリエチレン(LDPE)袋に入れ、別のラクチド試料5kgを、約0.0006g/(100in・24hr)の水蒸気透過率を有するLDPE箔ラミネート袋に入れた。どちらの袋も表面積が418平方インチ(0.2697平方メートル)であった。次に、ラクチドの袋を100°F(37.8℃)、相対湿度90%で6カ月間保存した。4ミル厚LDPE袋中のラクチドの遊離酸レベルを測定し、LDPE袋を透過した水により3332meq遊離酸/ラクチド1kgだけ上昇したことが判明した。これに対して、LDPE箔ラミネート袋中のラクチドの遊離酸レベルを測定すると、透過水蒸気により5.4meq遊離酸/ラクチド1kgだけしか上昇しなかったことが判明した。
【実施例8】
【0146】
以下の実施例は、溶媒およびラクチドから別々の相に乳酸およびそのオリゴマーならびに水を除去する場合の水性溶媒の有効性を説明する。
1.139重量%のラクチドならびに0.728重量%の乳酸および乳酸オリゴマー(残りはキシレンである)を含有するラクチド反応器からの流れを、0.6重量%の水と接触させた。混合物を2つの別々の相に分けると、一方の相はラクチドおよびキシレンを含有し、他方の相は乳酸、乳酸オリゴマーおよび水を含有した。前者の相をサンプリングすると、1.127重量%のラクチドならびに0.05重量%の乳酸および乳酸オリゴマーを含有することが、そして後者の相は0.626重量%のラクチドならびに55.1重量%の乳酸および乳酸オリゴマーを含有することが分った。これらの濃度および2相の相対容量を基礎にして、前者の相は99%のラクチドならびに7%の乳酸および乳酸オリゴマーを含有した。
【0147】
本発明の種々の実施態様を詳細に述べていたが、それらの実施態様の変更および修正が生じることは当業者には明らかである。しかし、このような変更および修正は、添付の請求の範囲に記載したように本発明の範囲内であると明白に理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】統合された環状エステル製造および精製法の一実施態様の流れ図である。
【図2】統合された環状エステル製造および精製法の別の実施態様の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物中の環状エステルを精製する方法であって、
前記組成物は、ヒドロキシカルボン酸、又はそのエステル、アミド若しくは塩の環状エステルと、有機溶媒と、不純物とを含み、
前記不純物は、単一のヒドロキシカルボン酸、又はそのエステル、塩もしくはアミド(XA);XAの直鎖二員分子(XA);XAの直鎖三員分子(XA);XAの直鎖四員分子(XA);XAの直鎖五員分子(XA);及びそれらの混合物よりなる群から選択される化合物を含み、
前記方法は、0%〜88%のXAを含有する水溶液を前記組成物に導入した後、該組成物を、前記環状エステルおよび有機溶媒を含む第一相と、前記水溶液および不純物を含む第二相とに分離する工程を含み、
前記組成物中へ導入される前記水溶液の量は、有機溶媒中の水の相互溶解度の限界値より、前記水溶液を加えた後の組成物の重量に対して3%未満さらに上回る量である、方法。
【請求項2】
前記組成物中の前記不純物の少なくとも80重量%が前記第二相へと分離される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物は、キシレン、トルエン、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、アニソール、2−オクタノンおよびイソプロピルエーテルよりなる群から選択される有機溶媒を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物は、前記導入工程以前には、1重量%以下の水性溶媒を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物からの環状エステルの回収率が、少なくとも90%である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物に導入される前記水溶液の量は、有機溶媒中の水の相互溶解度の限界値より、前記水溶液を加えた後の組成物の重量に対して1.5重量%未満さらに上回る量である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一相において前記環状エステルをさらに精製する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記さらに精製する工程が、吸着、結晶化、蒸留、およびそれらの組合せよりなる群から選択される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記さらに精製する工程が、前記第一相を第一吸着剤に接触させて、不純物を除去する工程を含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記さらに精製する工程が、前記第一吸着剤に接触させる工程の後に、該第一相を第二吸着剤に接触させて、不純物を除去する工程を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第二吸着剤によって除去された前記不純物が、水を含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記環状エステルは、乳酸、グリコール酸、酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、1−ヒドロキシ−1−シクロヘキサンカルボン酸、2−ヒドロキシ−2−(2−テトラヒドロフラニル)エタン酸、2−ヒドロキシ−2−(2−フラニル)エタン酸、2−ヒドロキシ−2−フェニルプロピオン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸、2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシオクタン酸及びそれらの対応するエステル、塩又はアミドの環状エステルからなる群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記環状エステルがラクチドである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
環状エステルを製造する方法であって:
(a)単一のヒドロキシカルボン酸、またはそのエステル、塩もしくはアミド(XA);XAの直鎖二員分子(XA);XAの直鎖三員分子(XA);XAの直鎖四員分子(XA);XAの直鎖五員分子(XA);およびそれらの混合物よりなる群から選択される化合物を含むXAを有機溶媒中に含む原料流を与える工程と;
(b)前記原料流から水を除去して、前記環状エステルを含む生成物流を形成する工程と、ここで、前記生成物流中のXA、およびより高重合度のオリゴマーの濃度が、前記方法の際の反応混合物の20重量%未満であることと;
(c)前記生成物流に水性溶媒を導入し、環状エステルを含む第一相と、前記水性溶媒および不純物を含む第二相とに前記生成物流を分離させる工程と
を含む方法。
【請求項15】
(d)前記第1相と吸着剤とを接触させて、遊離酸、水及びそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも一つの不純物を該第1相から除去することにより精製された第1相を形成する工程、を更に含む請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−120826(P2008−120826A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−24205(P2008−24205)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【分割の表示】特願平8−530411の分割
【原出願日】平成8年4月1日(1996.4.1)
【出願人】(398074751)ネイチャーワークス・エル・エル・シー (8)
【Fターム(参考)】