説明

瓶乳首

【課題】製造が容易で、通気バルブの開口圧力を特定可能とした乳児および幼児用の瓶乳首を提供する。
【解決手段】瓶乳首1.1は、最大径部3から上に向かって乳頭スリーブ2を有し、上部にて、乳頭スリーブ2は、乳頭首部5および乳頭頭部6を有する乳頭4を備え、一方の側において、乳頭頭部は、瓶乳首1.1の中心軸8に対しある角度の通気口を備える。反対側に、飲用口10を有し、下部において、乳頭スリーブ2は縮径部11を有する。縮径部11の下縁において、乳頭スリーブ2は、中心軸8を同心状に取り囲んで放射状に外側へ延伸する乳頭フランジ12.1へ接続する。この乳頭フランジ12.1は、実質的に平坦であるが、外周部分には下方突出凸部13を有する。さらに、乳頭フランジ12は、外縁に周囲縦突出縁ビード14を有する。凸部13の最下点において、乳頭フランジ12.1は、下方突出リップバルブ15を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、乳児および幼児用の瓶乳首に関する。
【背景技術】
【0002】
瓶乳首は、特に乳児および幼児に、ミルクおよびその他の液体栄養を投与するために使用される。瓶乳首は液体栄養を通す貫通口を備えた中空乳頭を有する。乳頭が中空乳頭スリーブと1パーツとして下部で接続される。下部において、乳頭スリーブは環状乳頭フランジを有する。乳頭の断面は、子供の口に適合させてある。乳頭スリーブの領域において、断面は、乳頭フランジに向かって瓶の固定縁の断面まで拡張する。乳頭は、固定リングによって瓶の固定縁へ固定される。固定リングは、瓶の固定手段へ固定される固定手段を備えた円筒状カバーを有する。固定手段は、カバー内周および瓶の外側カバーにあるねじであることが多い。さらに、固定リングは、乳頭フランジと重なり且つ瓶の固定縁を押圧する、下方へ突出した円環板形状のリングフランジを有する。吸い込みに応じて、瓶内に負圧が発生して液体を吸うことを難しくする。瓶乳首は、乳頭を瓶の中へ滑り込ませる負圧でつぶれ得る。これを防止するため、瓶乳首は通気バルブを有する。通気バルブはある程度の負圧が瓶内を占めると開く。これが圧力を周囲環境に調節する。
【0003】
特許文献1は、上記タイプの瓶乳首および瓶へのねじ込みリングによる瓶乳首の固定を開示する。この瓶乳首に備えられた通気バルブは、スリーブ側部の凹所に配置されたスロットバルブである。
【0004】
特許文献2は、仮想多角形の側部に配置された多数の飲用スリットをもつ瓶乳首を開示する。この瓶乳首の通気バルブは、凹所に配置されたスロットバルブである。瓶乳首は、柔らかい弾性材料で形成される。一形態によれば、材料は、天然ゴム、シリコーン、または熱可塑性エラストマー(TPE)である。瓶乳首は、例えば、ラテックス懸濁液での成形体ディッピング、あるいは、射出成形および続いて行われる刃によるスロット一体化により形成される。
【0005】
特許文献3は、スリーブ側部凹所の通気バルブをもつ別の瓶乳首を開示する。凹所は、狭窄部と交差する凹所の基部において互いに接続する、実質的に平坦で対向する側壁を有する。スクリュードライバー、フォークなどで狭窄部が開けられると、側壁は、瓶内の液体により互いに対し押し付けられる。
【0006】
既知の瓶スロットバルブは、追加形成ステップにおいてスロットを提供しなければならないので、形成が難しい。また、スロットにより定められる密閉リップがわずかな圧力で互いによりかかるだけなので、授乳中の子供により及ぼされる負圧より弱い負圧が加えられたときでもリップバルブが開く、という不具合もある。
【0007】
さらに、乳頭フランジとねじ込みリングとの間に通気バルブを備えた乳頭乳首が知られている。特許文献4は、そのような瓶乳首を開示し、乳頭フランジに、ねじ込みリングのリングフランジに向かって狭まるバルブ開口を備えている。上側に、乳頭フランジは、ねじ込みリングの周囲下基部表面の溝において結合する環状台を有する。外側において、乳頭スリーブは、乳頭フランジへ延び、通気チャンネルを形成する凹所を有する。乳頭フランジの外側縁領域は、固定縁とリングフランジとの間にクランプされる。瓶内が負圧になると、乳頭フランジの内部が下方へ動くことができ、これにより台が溝の基部から離れるように移動する。したがって、圧力が、通気チャンネル、リングフランジと乳頭フランジとの間のギャップ、およびバルブ開口を通し平衡化され得る。
【0008】
この設計は、製造を複雑にし、洗浄を難しくする。さらに、瓶乳首に作用する軸力が、瓶内の負圧形成を防ぐ通気バルブを開き得る。
同様の設計が、特許文献5により既知である。
【0009】
乳頭フランジの下側にリップバルブを備えた乳頭乳首が、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9により知られている。これら瓶乳首は、射出成形法で製造される。製造上の理由で、密閉リップは、負圧で簡単に開くことができるように、初期テンション無しで互いに対し位置する。圧力は、バルブが開いたときに、乳頭フランジの上側とリングフランジの下側との間のギャップを通して平衡化される。通気バルブの側面に対し液体が位置すると互いに押し付けられて液体が出られなくなる。最後の二つの文献は、乳頭フランジの壁にリップバルブが一体化されている瓶乳首を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】DE19739911C5
【特許文献2】WO2009/087077A1
【特許文献3】DE29906849U1
【特許文献4】DE102005006768A1
【特許文献5】US2007/0102388
【特許文献6】US2005/0252875A1
【特許文献7】WO2006/103379A1
【特許文献8】DE20204357U1
【特許文献9】US2003/0106872A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記背景に鑑み、本発明の目的は、製造が容易で、通気バルブの開口圧力を特定可能とした瓶乳首を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、請求項1の特徴を含む乳頭乳首によって解決される。有益な乳頭乳首の態様が従属項においてあげられている。
本発明に係る乳頭乳首は、特に乳児および幼児用であって、
液体栄養を通す少なくとも1つの貫通口をもつ中空乳頭を有し、前記中空乳頭は、下部で中空乳頭スリーブと接続し、前記中空乳頭スリーブは、下部で実質的に円環板状の乳頭フランジと接続し、前記乳頭フランジは、瓶の固定手段に固定される固定手段および前記乳頭フランジと重なる円環板状リングフランジにより、円筒状カバーをもつ固定リングによって瓶の固定縁へ固定される、乳頭スリーブと、
前記乳頭フランジから下方または上方へ、または、前記乳頭フランジの上の前記乳頭スリーブからリングフランジを置く領域内へ外向きに、突出する当接領域と、
前記乳頭フランジが固定リングにより瓶に固定されていないときに開き、前記当接領域に続く変形領域の前記乳頭フランジまたは前記乳頭スリーブに配置されて、前記乳頭フランジが前記固定リングにより瓶へ固定されるときに、前記当接領域に対する前記固定リングの押圧で生じる前記変形領域の変形によって閉じる、リップバルブと、
を有する。
【0013】
本発明に係る瓶乳首は、乳頭フランジまたは乳頭スリーブに配置されたリップバルブを有する。瓶乳首は、リップバルブが開くように製造される。リップバルブは、瓶乳首の当接領域に続く変形領域に配置される。当接領域は、乳頭フランジから下方または上方へ、あるいは、乳頭フランジの上の乳頭スリーブから外方へ、突出する。したがって、特に瓶乳首が瓶に固定されたときに、固定リングによって変形させられる。当接領域の変形は、リップバルブが配置されている瓶乳首の周辺変形領域に波及する。変形領域の変形でリップバルブが閉じる。密閉リップ間の圧力レベルは、変形領域及びリップバルブの設計により調節可能である。これに従って所定の開口圧力を達成することができる。乳頭乳首は、乳頭乳首に作用する軸力から開口圧力が独立するように、設計され得る。開口リップバルブを備えた乳頭乳首は、射出成形により容易に製造することができる。飲用スリットが実質的に一体形成される必要はない。開口リップバルブは、使用後の瓶乳首の完全洗浄を容易にする。
【0014】
一実施態様によれば、リップバルブは、乳頭フランジの外縁から離して乳頭フランジ内に配置される。乳頭フランジは、固定縁とリングフランジとの間の外縁に付加され得る。リップバルブは瓶の開口に臨む。周囲空気が固定リングと瓶乳首との間の隙間を通って流れ、圧力を調節する。
【0015】
他の態様によれば、リップバルブは乳頭フランジの下側から突出する。リップバルブは瓶の開口内に入れられる。
【0016】
他の態様によれば、当接領域は未変形の乳頭フランジにおける凸部であり、ここにリップバルブが配置され、乳頭フランジが固定リングによって瓶に取り付けられるときに、固定縁とリングフランジとの間で平坦に押圧される。瓶乳首は、凸部の領域の開口リップバルブ付きで製造される。凸部が平坦に押圧されるとき、リップバルブのリップは互いによりかかって密閉される。開口圧力は、凸部及びリップバルブの設計により調節可能である。
【0017】
他の態様によれば、乳頭スリーブは、リップバルブの上に、乳頭フランジに向かって半径方向に延在する、凹部を有する。凹部は、乳頭フランジにリップバルブをもつ瓶乳首を単純な射出成形により作成することを容易にし、各部分を単一の見切り面と垂直に引き離すことができる。さらに、凹部は、周囲空気をリップバルブへ供給するために働き得る。
【0018】
他の態様によれば、リップバルブは乳頭スリーブに配置され、リップバルブの下の未変形乳頭フランジに凸部の当接領域があり、乳頭フランジが固定リングにより瓶へ取り付けられるときに固定縁とリングフランジとの間で平坦に押圧される。この瓶乳首もまた、未変形乳頭フランジの凸部及び開口リップバルブ付きで製造される。しかしながら、乳頭バルブは、乳頭フランジに配置されず、むしろ、乳頭フランジの上の乳頭スリーブに配置される。乳頭フランジが固定縁とリングフランジとの間にクランプされると、凸部が平坦に押圧され、これおよびその変形でリップバルブが閉じる。リップバルブのリップ間の圧力は、凸部およびリップバルブの設計に依存し、これにより調節することができる。圧力を平衡化するため、乳頭スリーブの側部から直接リップバルブへ周囲空気が流れ得る。
【0019】
他の態様によれば、未変形乳頭フランジの凸部は、下方へ向けられる。リップバルブが凸部の下側から突出し、リップが放射状に乳頭フランジへ向いている場合、リップは、凸部が平坦に押圧されているときに閉じる。乳頭スリーブのリップバルブが乳頭フランジに対し平行なリップをもって配置されている場合も、リップは凸部が平坦に押圧されるときに閉じる。
【0020】
他の態様によれば、リップバルブは、乳頭スリーブに配置され、当接領域が乳頭スリーブにおける外方突出ビードである。ビードは、リップバルブに隣接し、ねじ込みリングが瓶に乳頭フランジを固定するときにねじ込みリングのリングフランジにより占められる領域に配置される。この瓶乳首もまた開口リップバルブ付きで製造される。瓶乳首が固定リングにより瓶に固定されるとき、固定リングが外方突出ビードを押圧する。これにより、リップバルブの密閉リップが閉じられる。所定の固定リングに対して、密閉リップ間の圧力および開口圧力は、ビードの設計により調節可能である。
【0021】
乳頭スリーブにリップバルブを有する瓶乳首の態様によれば、リップバルブは、乳頭フランジに対し、乳頭スリーブにおいて放射状に配置される。この態様では、リップバルブは乳頭に配置されるので、使用中邪魔にならない。
【0022】
他の態様によれば、乳頭スリーブは、乳頭フランジの上に縮径部を有する。縮径部は、固定リングを取り外しできないように予め瓶乳頭に取り付けておくことを可能にし、取り扱いをより容易にする。さらに、乳頭スリーブが少なくとも部分的に固定リングを覆い、子供の口およびあごに対し広く柔らかい接触領域を提供する。
【0023】
他の態様によれば、リップバルブは、縮径部の上の、より大径の乳頭スリーブ上の領域に配置される。この位置において、固定リングによる瓶乳首の瓶への取り付けをリップバルブが損なうことはない。さらに、リップバルブが子供の口およびあごの接触領域から離れるので、圧力平衡化が制限されない。
【0024】
好ましい態様によれば、リップバルブは、乳頭スリーブの最大径の領域に配置される。
一態様によれば、瓶乳首は、液体栄養用の貫通口又は飲用口から突出するプラグを有する。プラグは、好ましくは乳頭と1パーツとして設計される。プラグは、好ましくは乳頭と同じ材料で作られる。また、プラグは瓶乳首全体と一体的に製造されるのが好ましい。プラグを含む瓶乳首は、シリコーンまたは熱可塑エラストマー、あるいは射出成形可能なプラスチックで作られる。飲用口は、最初の使用までプラグによって確実に封止される。プラグが開封証明封止を形成し、ユーザーは、これを使用前に直接除去して飲用口を露出させることができる。さらに、射出成形で飲用口を定めるためのニードルが不要であり、特に、これが原因の金型の保守に要する労力が排除されるので、射出成形で製造が単純になる。
【0025】
一態様によれば、プラグは小さいハンドルを有する。ハンドルは、特にプラグを乳頭からひねり取ることによって乳頭からプラグを取り除くことをより簡単にする。
【0026】
他の態様によれば、プラグは、材料の脆弱領域を有する。プラグは、特に材料の脆弱領域に沿って分離することができる。また、材料の脆弱領域は、飲用口の内側に配置するのが好ましい。これにより、プラグを、瓶乳頭の外面下の乳頭基部から取り外すことができる。したがって、取り外し点の切り取りエッジが乳児と接触しないようにできる。このために、プラグは、飲用口の内部周面に接続し得る。
【0027】
他の態様によれば、瓶乳首は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー、あるいは射出成形可能なその他の樹脂により作られる。好ましい態様によれば、瓶乳首は射出成形される。
【0028】
しかしながら、一般に、ラテックスの瓶乳首をディッピングプロセスで製造することも可能である。リップバルブは必要に応じてその後にカットされ得る。リップバルブの開口圧力は本発明により調節可能である。
【0029】
さらに、本発明は、固定リングにより瓶に取り付けられた本発明に係る乳頭を備えた哺乳瓶に関する。固定リングは円筒状カバーに固定手段を有し、該固定手段は瓶の固定手段と協働して固定リングを瓶に取り外し可能に固定する。固定リングのリングフランジが乳頭フランジ上の乳頭スリーブ周囲の領域を占める。乳頭フランジは、瓶の固定縁と固定リングのリングフランジとの間にクランプされる。
【0030】
本願における「上」および「下」の用語は、乳頭が上に配置され且つ瓶の底が下に配置される、垂直に立てられた瓶の固定縁の上の瓶乳首の配置に基づく。
本発明は、実施形態を例示する添付の図面を参照して以下により詳細に説明される。図面は次の事項を示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は乳頭フランジにリップバルブをもつ乳頭乳首のリップバルブの未変形状態における縦断面、(b)は開口リップバルブをもつ乳頭フランジの下からの部分断面、(c)は開口リップバルブの下からのアングルの詳細な拡大斜視図、(d)は未変形状態における乳頭乳首の側面図、(e)は閉状態のリップバルブをもつ瓶乳首の同側面図。
【図2】固定リングにより瓶の固定縁に固定された同瓶乳首のリップバルブの縦断面図。
【図3】乳頭フランジの凸部と乳頭フランジにおいてその上に配置された開状態のリップバルブとをもつ瓶乳首を示し、(a)はリップバルブの縦断面、(b)は(c)からの部分正面図および(c)は拡大詳細図。
【図4】乳頭スリーブのリップバルブおよび隣接ビードをもつ瓶乳首を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図、および(c)はリップバルブの縦断面図。
【図5】リップバルブおよび開封証明封止をもつ瓶乳首の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の異なる例示的形態の説明において、対応するまたは実質的に対応する要素は同じ参照符号をもって示される。
図1によると、瓶乳首1は、最大径部3から上に向かって先細りのふいご状乳頭スリーブ2を有する。上部において、乳頭スリーブ2は、乳頭首部5および乳頭頭部6を有する乳頭4を備えている。一方の側において、乳頭頭部7は、瓶乳首1.1の中心軸5に対しある角度の通気口9を備える。反対側には、少なくとも1つの飲用口10を有する。
【0033】
下部において、乳頭スリーブ2は縮径部11を有する。縮径部11の下縁において、乳頭スリーブ2は、中心軸8を同心状に取り囲んで放射状に外側へ延伸する乳頭フランジ12.1へ接続する。この乳頭フランジ12.1は、実質的に平坦であるが、その外周部分には下方突出凸部13.1を有する。さらに、乳頭フランジ12は、外縁に周囲縦突出縁ビード14を有する。凸部13の最下点において、乳頭フランジ12.1は、下方突出リップバルブ15を有する。
【0034】
図1(b)によれば、乳頭フランジ12.1は、バルブ15のリップの領域で内方へ延びている。
図1(c)によれば、リップバルブ15.1は、2つの平坦側壁16,17をもつ実質的漏斗形である。側壁16,17の下縁が、リップバルブ15のリップ18,19を形成する。瓶乳首1.1は、リップバルブが未変形状態で開くように製造される。レンズ形バルブ開口20がリップ18,19の間にある。リップ18,19は、乳頭フランジ12で半径方向に配置される。瓶乳首1.1が図1(d)に示されている。
リップバルブ15.1の上方に、乳頭スリーブ2は、半径方向内方への凹部21を有する。
乳頭フランジ12.1の凸部13が平坦である場合、リップ18,19が互いに接してバブル開口20を閉じるように、バルブ15.1のリップに作用する。これが図1(e)に示されている。
【0035】
図2によれば、瓶乳首1.1は、固定リング23により瓶22へ取り付けられる。固定リング23を瓶22にねじ込むことができるように、概略円筒状のカバー24の内周に固定リング23は内部ねじ25を有し且つネック部26の外周に瓶22は外部ねじ27を有する。固定リング23の上縁から内方へ突出するのが、実質的に円環板状のリングフランジ26である。
瓶乳首1.1の乳頭スリーブ2は、固定リング23の中央開口28を通って延伸し、乳頭フランジ12.1の上側面の上に直接リングフランジ28が位置する。瓶乳首1.1が固定リング23によりねじ止めされると、乳頭フランジ12.1の下側が、瓶22の開口30の周囲を巡っている瓶22の固定縁29に対し押し付けられる。これが凸部13を平坦に押圧し、開口28内に入るリップバルブ15.1が閉じる。
瓶乳首1.1が吸われると、瓶22内に負圧が発生する。負圧がリップバルブ15の開口圧力以上になると、固定リング23と乳頭フランジ12.1の上側との間の隙間を通って空気が流れる。これにより、瓶乳首1.1がつぶれず、子供が過度の吸い込みをせずに済む。
【0036】
図3の瓶乳首1.2は、瓶乳首1.1とは異なり、乳頭バルブ15.2が、凸部13の上の乳頭スリーブ2に配置されている。リップバルブ15.2は、乳頭スリーブ2の最大径部の領域に配置される。この設計において、下部リップ18は、乳頭スリーブ2の内側で乳頭フランジ12.1に対して半径方向に配置されたバー31により安定させられる。バー31は、下側壁16の内側および乳頭スリーブ2の隣接領域に接続する。バー31は、乳頭フランジ12.1に対して縦方向に配置される。リップ18,19は、横方向へ乳頭フランジ12.1に対して平行に配置される。
【0037】
リップバルブ15.2は、乳頭スリーブ2の最大径部の領域に漏斗形凹部を形成する。
瓶乳首1.2がつぶれていない状態で、リップ18,19は開く。これが図3(c)に示されている。瓶乳首1.2が、図2の瓶乳首1.1同様に固定リング23によって瓶22へ固定されると、凸部13が平坦に押圧される。この瓶乳首1.2の変形がリップ15.2に作用し、リップ18,19が所定の表面圧力で互いに押し付けられる。したがって、瓶12内が所定の負圧を越えるときに、圧力が周囲環境と平衡化される。
【0038】
図4の瓶乳首1.3は、瓶乳首1.2と異なり、特に、乳頭フランジ12.2が未変形状態における凸部をもたない。リップバルブ15.2の漏斗形開口の下縁にビード32がある。例えば、ビード32は三日月形である。また、乳頭4.2は、ドーム型端部を有するコーン形である。
瓶乳首1.3に備えられたリップバルブ15.2は、未変形状態において開く。瓶乳首1.3が固定リング23により瓶22へ取り付けられると、固定リング23のリングフランジ26がビード32に圧力をかける。リップバルブ15.2はそれにより変形し、リップ18,19が所定表面圧力で互いに当接して開口20が閉じられる。
瓶1.3内が所定の負圧を越えると、リップバルブ15.2が開き、圧力が平衡化される。
【0039】
図5の瓶乳首1.4は、図1の瓶乳首と異なり、リップバルブ15が、乳頭フランジ12.1で90°オフセットしている。
さらに、飲用口10は、乳頭5と同じ材料で1パーツとして形成されたプラグ33により封止されている。プラグ33は、瓶乳首1.4と一体形成される。プラグ33は、飲用口10の縁で乳頭の壁と接続する。プラグ33はハンドル34を有する。ハンドル34は、プラグ33をひねり取って飲用口10を開くことを簡単にできるようにする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に乳児および幼児用の瓶乳首であって、
液体栄養を通す少なくとも1つの貫通口(10)をもつ中空乳頭(4)を有し、前記中空乳頭は、下部で中空乳頭スリーブ(2)と接続し、前記中空乳頭スリーブは、下部で実質的に円環板状の乳頭フランジ(12)と接続し、前記乳頭フランジは、前記乳頭スリーブ(2)に接続して、固定リング(23)により瓶(22)の固定縁(29)へ固定され、前記固定リングは、下側で、前記乳頭フランジ(12)と重なる円環板状のリングフランジ(26)を提供する、乳頭スリーブと、
前記乳頭フランジ(12)から下方または上方へ、または、前記乳頭フランジ(12)の上の前記乳頭スリーブ(2)から前記リングフランジ(26)を置く領域内へ外向きに、突出する当接領域(13,31)と、
前記乳頭フランジ(12)が瓶(22)に固定されていないときに開き、前記当接領域(13,31)に隣接する変形領域に配置されて、前記乳頭フランジ(12)が前記固定リング(23)により瓶(22)へ取り付けられるときに、前記当接領域(13,31)に対する前記固定リング(23)の押圧で生じる前記乳頭フランジ(12)および前記乳頭スリーブ(2)のいずれかまたは両方の変形によって閉じる、リップバルブ(15)と、
を含む、瓶乳首。
【請求項2】
前記リップバルブ(15)は、前記乳頭フランジ(12)の外縁から離して前記乳頭フランジ(12)内に配置される、請求項1に記載の瓶乳首。
【請求項3】
前記リップバルブ(15)は、前記乳頭フランジ(12)の下側から突出する、請求項1又は請求項2に記載の瓶乳首。
【請求項4】
前記当接領域(13)は、未変形の前記乳頭フランジ(12)の凸部であり、ここに前記リップバルブ(15.1)が配置され、前記乳頭フランジ(12)が前記固定リング(23)によって瓶(22)に取り付けられるときに、前記固定縁(29)と前記リングフランジ(26)との間で平坦に押圧される、請求項2又は請求項3に記載の瓶乳首。
【請求項5】
前記乳頭スリーブ(2)は、前記リップバルブ(15)の上に、半径方向へ前記乳頭フランジ(12)に向いた凹部(21)を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の瓶乳首。
【請求項6】
前記リップバルブ(15)は、前記乳頭スリーブ(2)に配置され、
前記当接領域(13)は、前記バルブ(15.2)のリップ下の前記変形乳頭フランジ(12)の凸部であり、前記乳頭フランジ(12)が固定リング(23)により瓶(22)へ取り付けられるときに前記固定縁(29)と前記リングフランジ(26)との間で平坦に押圧される、請求項1に記載の瓶乳首。
【請求項7】
前記凸部(13)が下向きである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の瓶乳首。
【請求項8】
前記リップバルブ(15)は、前記乳頭スリーブ(2)に配置され、
前記当接領域(31)は、前記リップバルブに隣接する前記乳頭スリーブ(2)の外方突出ビードであり、前記ビードは、前記固定リング(23)が瓶(22)に前記乳頭フランジ(12)を固定するときに前記固定リング(23)の前記リングフランジ(26)により占められる領域に配置される、請求項1に記載の瓶乳首。
【請求項9】
前記リップバルブ(15.2)は、前記乳頭フランジ(12)に対し、前記乳頭スリーブ(2)内へ放射状に延在する、請求項6〜8のいずれか1項に記載の瓶乳首。
【請求項10】
前記乳頭スリーブ(2)は、前記乳頭フランジの上に縮径部(11)を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の瓶乳首。
【請求項11】
前記リップバルブ(15.2)は、前記縮径部(11)の上で前記乳頭スリーブ(2)のより大径の領域に配置される、請求項10に記載の瓶乳首。
【請求項12】
前記リップバルブ(15.2)は、前記乳頭スリーブ(2)の最大径の領域(3)に配置される、請求項11に記載の瓶乳首。
【請求項13】
前記飲用口(10)を封止するプラグ(33)を有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の瓶乳首。
【請求項14】
前記プラグ(33)は、他の瓶乳首部分と1パーツとして且つ同じ材料で設計される、請求項13に記載の瓶乳首。
【請求項15】
シリコーンまたは熱可塑性エラストマー、あるいは射出成形可能なその他の樹脂により作られる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の瓶乳首。
【請求項16】
射出成形される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の瓶乳首。
【請求項17】
前記固定リング(23)により瓶(22)に取り付けられ、
前記固定リング(23)が固定手段を有すると共に前記瓶(22)が別の固定手段を有し、これら固定手段が互いに接続して当該瓶乳首(1)を前記瓶(22)に固定し、
前記固定リング(23)の前記リングフランジ(26)が前記乳頭フランジ(12)上の前記乳頭スリーブ(2)周囲の領域を占め、
前記乳頭フランジ(12)は、前記瓶(22)の前記固定縁(29)と前記固定リング(23)の前記リングフランジ(26)との間にクランプされる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の乳頭を有する瓶乳首(1)。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−183311(P2012−183311A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−47147(P2012−47147)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【出願人】(508336377)マーパ ゲーエムベーハー (8)
【Fターム(参考)】