説明

甘味を増強するためのヘスペレチンの使用

下記の式(I)を有するヘスペレチン;式(I)のヘスペレチンの塩;式(I)のヘスペレチンの2種以上の塩を含むまたはそれらの塩からなる混合物;または、式(I)のヘスペレチンおよび式(I)のヘスペレチンの1種以上の塩を含むまたはそれらからなる混合物の、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための使用を開示する:
【化1】


(式(I)のヘスペレチンは、(2S)-鏡像異性体、(2R)-鏡像異性体またはこれら2つの鏡像異性体の任意の所望混合物の形にある)。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、ヘスペレチンおよび/またはその塩類の、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための使用に関する。従って、本発明は、主として、上記物質の甘味増強剤としての使用に関する。また、本発明は、有効量のヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有する特定の調製物、および上記甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感の増強方法に関する。
【0002】
(発明の開示)
本発明は、2つの段階で開発した。この開発歴の結果として、本明細書を2つのパートに分割する。パートAは、さらなる開発前の本発明を説明する。パートBは、さらなる開発後の本発明の補完的な説明である。しかしながら、明らかに、パートAにおいてのみ説明している局面もさらなる開発後の本発明に関連して有効である。また、パートBからの局面も、パートAからの局面と、とりわけ本発明の好ましい実施態様と関連して組合せ得る。
【0003】
パートA:開発前の本発明の説明
本発明は、旨味感、とりわけ甘味感を増強するためのヘスペレチン(4'-メトキシ3',5,7-トリヒドロキシフラバノン)またはその塩類の使用に関する。また、本発明は、有効量のヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有する特定の調製物にも関する。
高糖分含有量(主として、スクロース、ラクトース、グルコースまたはフルクトース、またはこれらの混合物)を有する食品(栄養食、飲料を含む)または準高級食品(semi-luxury foods)(半高級品)は、通常、その甘さ故に、消費者に強く好まれている。一方、高含有量の易代謝性炭水化物は、血糖値を大いに上昇せしめ、脂肪性沈着物の形成をもたらし、最終的には、過剰体重、肥満、インスリン抵抗性、晩期発症型糖尿病およびそれらの後遺症のような健康問題に至り得ることが一般に知られている。とりわけ、多くの上記の炭水化物は、これらの炭水化物が口腔内の特異的タイプの細菌類によって分解されて例えば乳酸となることから、歯科衛生にも影響を与え得、若年層および成人の歯のエナメル質を侵食し得るという重大事(虫歯)も存在する。
【0004】
従って、食品および/または準高級食品の糖分含有量を絶対的必要量に低減する目的が長い間存在している。相応する対策は、甘味化剤の使用からなっている。これらの甘味化剤は、それ自体カロリー値を有しないか或いは極めて低いカロリー値しか有してなく、同時に強い甘味感を与える化学的に均一な物質である。これらの物質は、通常非カロリー性である(参照:Valerie B. Duffy, Madeleine Sigman-Grant, Margaret A. Powers, Denise Elmore, Esther F. Myers, Diane Quagliani, Marie Spano, Kimberly F. Stitzel, Sue Taylor, Robert Earl and Sonja Connor, Journal of the American Dietetic Association 2004, 104 (2), 255-275)。ソルビトール、マンニトール、または他の糖アルコール類のようなバルク甘味化剤として知られているある種のものは、卓越した甘味化剤であり、糖類の残存食品技術関連特性を部分的には置換え得るが、頻繁過ぎる摂取は、ある種の人々の間では浸透圧誘発性消化問題に至っている。使用におけるその低濃度故に、非栄養性高強度甘味化剤は食品に甘味を付けるのに極めて適しているものの、これらの甘味化剤は、多くの場合、糖類と同様ではない時間的強度プロフィールの結果としての味覚関連問題(例えば、スクラロース、ステビオシド、チクロ)、苦いおよび/または渋い後味(例えば、アセスルファムK、サッカリン)または明白なさらなる味覚感(例えば、グリシルレチン酸アンモニウム塩)を示す。ある種の甘味化剤は、熱に対してとりわけ安定でなく(例えば、タウマチン、ブラゼイン、モネリン)、全ての用途において安定でなく(例えば、アスパルテーム)、時には、その甘味効果に関して極めて長持続性である(強い甘味後味、例えば、サッカリン)。
【0005】
味覚特性、とりわけ非栄養性高強度甘味化剤の後味問題の改良は、例えば、WO 98/20753号に記載されているようなタンニン酸または米国特許第3,924,017号におけるようなフェノール酸の使用によって達成され得ている。しかしながら、このタイプの物質は、そのカテコール単位故に、使用するのにとりわけ安定ではない。
さらなる可能性(非栄養性甘味化剤を使用しない)は、食品および/または準高級食品の糖分含有量を減らし、例えばWO 2005/041684号に記載されているような甘味を間接的にまたは直接的に増強する感覚的に弱いまたは微弱な物質を添加することからなる。しかしながら、WO 2005/041684号に記載されている物質は、明らかに非天然起源であり、従って、とりわけその物質が食品または準高級食品において生じているのか或いは食品または準高級食品を得るための原材料に由来するのかどうかを毒物学的見地から評価するのを天然起源の物質よりも困難にしている。EP 1 291 342 A1号は、天然起源のそのような物質(ピリジニウムベタイン類)を記載している。しかしながら、それらの物質は、甘味に選択的に影響を与えるものではなく、むしろ、香味または塩味のような他の味覚が影響を受けている。さらに、開示された物質は、高コストでもってしか精製し得ない。
従って、低濃度において、甘味物質の甘味感、とりわけ、減糖食品または準高級食品の甘味感を、残存香味プロフィールに悪影響を及ぼすことなく有効に増強する天然産物質を見出すことが望ましい。
【0006】
本発明の主目的は、(a) 好ましくは残存香味プロフィールに悪影響を及ぼすことなしに、甘味物質の甘味を増強するのに選択的に適し、(b) 広範囲に使用し得、且つ(c) 食品または準高級食品或いはこれら食品の製造用の相応する原材料中で産生するか、或いは食品もしくは準高級食品の製造中に形成される物質を見出すことであった。
課題とした目的は、本発明によれば、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための(i)下記の式(I)を有するヘスペレチンおよび/または(ii)その塩によって達成される:
【化1】

(I)
(式(I)のヘスペレチンは、(2S)-鏡像異性体、(2R)-鏡像異性体またはこれら2つの鏡像異性体の任意の所望混合物の形にある)。
甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感は、好ましくは、栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物において増強される。
甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するために本発明に従って使用するヘスペレチンまたはその塩類は、好ましくは、即摂取食品および準高級食品において使用し、(i) ヘスペレチンおよび/または(ii) その塩の濃度は、即摂取食品および準高級食品の総質量基準で、0.025質量%未満、好ましくは0.02質量%未満である。
【0007】
甘味物質(これら物質の天然源を含む)は、例えば、甘味炭水化物または糖類(例えば、スクロース(サッカロースと同義)、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリン)、またはこれら炭水化物を主として含有する植物調製物(例えば、甜菜(ベータ ブルガリス(Beta vulgaris)亜種;糖画分、糖シロップ、糖蜜)由来、サトウキビ(サッカラム オフィシナラム(Saccharum officinarum)亜種;例えば、糖蜜、糖シロップ)由来、サトウカエデ(アセル(Acer)亜種)由来、アガーベ(例えば、アガーベ濃厚ジュース)由来);澱粉またはスクロースの合成/酵素による加水分解物(例えば、転化糖シロップ、コーンスターチから製造した高濃縮フルクトースシロップ);果実濃厚物(例えば、リンゴまたは西洋ナシ由来;リンゴシロップ、西洋ナシシロップ);糖アルコール類(例えば、エリスリトール、スレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、ラクチトール);タンパク質(例えば、ミラクリン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン);甘味化剤(例えば、マガップ(magap)、シクラミン酸ナトリウム、アセスルファムK、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルコン、サッカリン-ナトリウム塩、アスパルテーム、スーパーアスパルテーム、ネオテーム、アリテーム、スクラロース、ステビオシド、レバウディオシド、ラグドゥネーム、カレラーム(carrelame)、スクロノネート、スクロオクテート、モナチンおよびフィロズルチン);ある種の甘味アミノ酸(グリシン、D-ロイシン、D-スレオニン、D-アスパラギン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-プロリン);他の甘味低分子物質(例えば、ヘルナンズルチン、ジヒドロカルコン、グリコシド類、グリシルリジン、グリシルレチン酸アンモニウム塩または他のグリシルレチン酸誘導体);甘草抽出物(グリチルヒザ グラブラ(Glycyrrhizza glabra)亜種);リピア ズルチス(Lippia dulcis)抽出物;モモルディカ(Momordica)亜種の抽出物または個々の物質(とりわけ、モモルディカ グロスベノリイ(Momordica grosvenori) [ルオハングオ(Lou Han Guo)]およびそれから得られたモグロシド);ヒドランゲア ズルチス(Hydrangea dulcis)またはステビア(Stevia)亜種(例えば、ステビア レバウディアナ(Stevia reboudiana)の抽出物または個々の物質であり得る。
【0008】
本発明の従って使用すべき上記式(I)のヘスペレチンの塩類においては、ヘスペレチンの脱プロトン化し得る1個、複数または全ての基を脱プロトン化する。その場合、適切量の対イオンが存在し、これらの対イオンは、好ましくは、以下を含む群から選択する:第1の第一級および第二級基の一重正荷電カチオン、アンモニウムイオン、トリアルキルアンモニウムイオン;第2の第一級および第二級基の二重正荷電カチオン;第3の第一級および第二級基の三重正荷電カチオン;およびこれらの混合物。
とりわけ好ましいカチオンは、Na+、K+、NH4+、Ca2+、Mg2+、Al3+およびZn2+である。
【0009】
米国特許第5,580,545号は、味覚改変特性、即ち、ある種のフラボン類(2-フェニルクロム-2-エン-4-オン)において、全身味覚および酸味感を増大させ、とりわけ塩味感を低下させる性質を記載しているが、甘味増強効果は開示されていない。
米国特許第5,703,053号は、5-ヒドロキシフラボンおよびヘスペリジン(ヘスペレチン-7-ルチノシド)を、一般的な不快味覚感の隠蔽剤として開示している。甘味増強効果は、該米国特許からは引出し得ない。
米国特許第2002 188,019号は、ヒドロキシフラバノン類(2-フェニルクロム-4-オン)を、有効な苦味隠蔽剤および非栄養性高強度甘味化剤からの後味でさえの味覚改良剤として記載している。しかしながら、甘味増強効果は、記載していない。
J. Agric. Food Chem. 1981, 29, 305-312は、ヘスペレチン(この場合化合物 13a)は、200ppmの濃度において、極めて弱い甘味を有することに言及しているが、低濃度のヘスペレチンの添加の結果としての他の甘味物質と比較した甘味増強は開示されていない。
【0010】
驚くべきことに、本発明に従って使用するヘスペレチンまたはその塩類は、極めて低濃度(0.025質量%未満、好ましくは0.02質量%未満)においてさえも、甘味物質、とりわけ、スクロース、ラクトース、グルコース、D-タガトースおよび/またはフルクトースのような糖類の甘味感を超比例的(superproportionally)に増強し(とりわけ実施例1および2参照)、従って、相応する食品および準高級食品の糖分含有量を、同時に甘味感を低下させることなく低減し得ることを見出した。好ましく使用する上記低濃度では、本発明に従って使用するヘスペレチンまたはその塩類は、極めて弱い固有の味覚のみを示す。
米国特許第2002 188,019号において好ましい苦味隠蔽剤および味覚改良化合物として特徴付けられている化合物であるナリンゲニン、ホモエリオジクチオール、エリオジクチオールおよびエリオジクチオール7-メチルエーテルとは対照的に、ヘスペレチンは、明白且つ有意な甘味増強効果を有する(実施例1参照)。同じことは、ヘスペレチンの塩類にも当てはまる。
【0011】
ヘスペレチンは、主として硬葉常緑植物の浸出液中に遊離の化合物として産生する。ヘスペレチンは、例えば、アルテミシア キサントクロア(Artemisia xanthochroa) (J. Jakupovic, R.X. Tan, F. Bohlmann, Z.J. Jia and S. Huneck, Phytochemistry 1990, 29, 3683-3685);および、キソタムヌス亜種(Chysothamnus ssp.) (J.F. Stevens, E. Wolenweber, M. Ivancic, V.L. Hsu, S. Sundberg and M.L. Deinzer, Phytochemistry 1999, 51, 771-780)において説明されている。また、ヘスペレチンは、カンキツ産生物中のヘスペリジンおよび/またはネオヘスペリジンの異化産生物としても見出される(Angel Gil-Izquierdo, Maria I. Gil, Federico Ferreres and Francisco A. Tomas-Barberan, J. Agric. Food Chem. 2001, 49 (Part 2), pages 1035-1041)。
既に説明したように、本発明の1つの局面は、式(I)のヘスペレチンまたは相応する塩の、甘味物質の甘味を増強するための、即ち、矯味剤としての使用に関する。
ヘスペレチンおよび/またはその塩類は、好ましくは、栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物において使用し、該調製物は、1種以上の甘味物質を含む。
本発明のさらなる局面は、(i) 下記の式(I):
【化2】

(I)
(式(I)のヘスペレチンは、(2S)-鏡像異性体、(2R)-鏡像異性体またはこれら2つの鏡像異性体の任意の所望混合物の形にある)
を有するヘスペレチン、および/または(ii) その塩類;そして、1種以上のさらなる(iii)甘味物質および/または(iv)甘味臭感を与える着香剤を含む、栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物に関し、上記調製物中の(i)ヘスペレチンおよび(ii)その塩類の量は、甘味物質の甘味感または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を感覚的に増強するのに十分な量である。従って、1種以上の甘味物質、とりわけ、スクロース、ラクトース、フルクトースおよび/またはグルコースまたはこれらの混合物のような糖類の含有量を、(i)ヘスペレチンまたは(ii)その塩類を含まない調製物と比較して、甘味感を処理中に低下させることなく5〜60%(甘味物質基準)減少させることが可能である。
【0012】
従って、好ましいのは、甘味物質または甘味物質として、1種以上の糖類を含み、(i)ヘスペレチンおよび(ii)その塩類の量が、他は同一組成を有し、(i) ヘスペレチンもその塩類も含有しないが少なくとも1.05倍、好ましくは少なくとも1.4倍の量の糖類を含有する調製物と比較して、同じまたは増強された甘味感を与えるに十分であるような本発明に従う(減糖)調製物である。糖類は、この場合、好ましくは、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトースおよびこれらの混合物を含む群から選択する。
【0013】
甘味臭感を与える着香剤は、狭い意味での甘味はないが広い意味(臭覚を含む)での甘味を示し得る着香剤である。このタイプの着香剤は、とりわけ、バニリン、エチルバニリン、フラネオール(FuraneolR、(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン))および誘導体、マルトールおよび誘導体(例えば、エチルマルトール)、クマリン、デルタラクトン類(例えば、4-メチルデルタラクトン、マッソイラクトン、デルタデカラクトン、ツベロラクトン)、メチルソルベート、ジバニリン、4-ヒドロキシ-2(または5)-エチル-5(または2)-メチル-3(2H)-フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、果実エステルおよびフェニルアセトアルデヒドである。
上記調製物中の(i)ヘスペレチンまたは(ii)その塩類の量は、好ましくは、他は同一組成を有し、ヘスペレチンもその塩類も含まない比較調製物を基準として、少なくとも10%甘味または甘味臭感を十分に増強するのに十分な量である。
【0014】
遊離の、即ち、ヘスペリジンまたはネオヘスペリジンにおけるような糖残基を有しないヘスペレチンが、主として硬葉常緑植物の浸出液中の天然産生物中で産生し、また、カンキツ産生物中のヘスペリジンおよび/またはネオヘスペリジンの異化産生物として産生するという事実については、上記で既に述べている。本発明に従う調製物は、このタイプの天然産生物ではない。この点、天然産生物においては、(i)ヘスペレチンおよび(ii)その塩類の量は、天然産生物中の物質の甘味感または天然産生物中の甘味臭感を与える着香物質の甘味臭感を感覚的に有意に増強するには通常十分ではないことに留意すべきである。
とりわけ、天然産生物中の(i)ヘスペレチンまたは(ii)その塩類の量は、甘味または甘味臭感を増強するには十分でなく、従って、1種以上の甘味物質、とりわけ、スクロース、ラクトース、フルクトース、グルコースまたはこれらの混合物のような糖類の含有量を、甘味感を処理中に低下させることなく、例えば、5〜60%(甘味物質基準)有意に減少させることは可能ではない。
【0015】
上記の説明によれば、本発明に従う調製物においては、ヘスペレチンおよび/またはその塩類は、好ましくは、(a) 硬葉常緑植物、とりわけ、アルテミシア キサントクロアまたはキソタムヌス亜種の浸出液の形ではなく、さらに、(b) 同じカンキツ産生物の成分としての他のフラバノン類と一緒には使用しない。
とりわけ適切であるのは、少なくとも1種の甘味物質、好ましくはスクロース、ラクトース、グルコースおよび/またはフルクトースのような糖を含み、甘味物質の量が、ヘスペレチン、その塩または混合物を含まないが他は同一の組成を有する比較用組成物において、満足し得る甘味として認識されるほどには十分ではなく、調製物中のヘスペレチン、その塩または混合物の量が甘味物質の甘味感を感覚的に増強するのに十分であるような本発明に従う調製物である。
【0016】
栄養食または摂取用に使用する本発明に従う調製物は、例えば、パン、ケーキおよびペストリー類(例えば、パン、ビスケット、ケーキ、他のベーカリー品目)、製菓(例えば、チョコレート、チョコレート棒タイプ製品、他の棒タイプ製品、フルーツガム、硬質および軟質タフィー類、チューインガム)、アルコールまたはノンアルコール飲料(例えば、コーヒー、ティー、ワイン、ワイン含有飲料、ビール、ビール含有飲料、リキュール類、シュナップス類、ブランディー、果実含有ソフトドリンク、アイソトニック飲料、ソフトドリンク、果汁類、フルーツおよび野菜ジュース、果実または野菜調製物)、インスタント飲料(例えば、インスタントココア飲料、インスタントティー飲料、インスタントコーヒー飲料)、肉製品(例えば、ハム、フレッシュソーセージまたは生ソーセージ調製物、酢漬けまたは油漬けの生または塩肉製品)、卵または卵製品(乾燥卵、卵白、卵黄)、シリアル製品(例えば、朝食シリアル、ミューズリ棒、加熱処理済み米製品)、乳製品(例えば、乳飲料、乳アイスクリーム、ヨーグルト、ケフィア、クリームチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乾燥粉乳、乳清、バター、バターミルク、部分または完全加水分解乳タンパク質含有製品)、大豆タンパク質または他の大豆画分から製造した製品(例えば、豆乳および豆乳から製造した製品、大豆レシチン含有調製物、豆腐またはテンペのような発酵製品またはこれらから製造した製品、醤油)、果実調製物(例えば、ジャム、シャーベット、フルーツソース、果実充填物)、野菜調製物(例えば、ケチャップ、ソース類、乾燥野菜、冷凍野菜、加熱処理済み野菜、酢漬け野菜、保存野菜)、スナック類(例えば、ベークドまたはフライドポテトチップまたはポテト生地製品、パン生地製品、トウモロコシまたはピーナツをベースとする押出物)、油脂をベースとする製品またはその乳化物(例えば、マヨネーズ、レムラード、ドレッシング、薬味調製物)、他のインスタント食品およびスープ類(例えば、乾燥スープ、インスタントスープ、加熱処理済みスープ)、薬味、薬味混合物、とりわけ、例えばスナック部門で使用する調味料である。
【0017】
本発明に従う調製物は、半製品、香料、着香剤または香味料組成物、または薬味混合物の形であり得る。
半製品として使用する本発明に従う調製物は、好ましくは、調製物の総質量基準で、合計0.0001質量%〜95質量%、好ましくは0.001質量%〜80質量%、とりわけ0.01質量%〜50質量%の本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有する。
【0018】
本発明に従う調製物は、とりわけ、栄養食または摂取用に使用するさらなる調製物を製造するための、とりわけスプレー乾燥形の半製品として使用し得る。本発明に従う調製物は、カプセル、錠剤(コーティーングしていないまたはコーティーングした錠剤、例えば、胃液抵抗性コーティーング)、砂糖コーティーングピル、顆粒、ペレット、固形混合物、液相中の分散液、エマルジョン、粉末、溶液、ペースト、または食品補助物として飲み込みまたは咀嚼し得る他の調製物の形であり得る。
口内衛生用に使用する本発明に従う調製物は、とりわけ、口内および/またはデンタルケア製品、例えば、練り歯磨き、ゲル歯磨き、歯磨粉、洗口剤、チューインガムおよび他の口内衛生製品である。
栄養食、口内衛生または摂取用に本発明に従って使用する調製物用のさらなる通常の活性成分、原材料、助剤および添加剤は、調製物の総質量基準で、5〜99.999999質量%、好ましくは10〜80質量%の量で使用し得る。また、調製物は、調製物の総質量基準で、99.999999質量%までの、好ましくは5〜80質量%の量の水も含有し得る。
【0019】
ヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有する本発明に従う調製物は、好ましい実施態様によれば、物質としての、溶液(例えば、エタノール、水、1,2-プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド中の)としてのまたは固形もしくは液体担体(例えば、マルトデキストリン、澱粉、シリカゲル)との混合物の形の式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類;香味料または着香剤;および任意成分としてのさらなる補助剤および/または安定剤(例えば、加工澱粉またはアラビアゴムのような天然または合成多糖類および/または植物ゴム類)を、栄養食、口内衛生または摂取用に使用するベース調製物中に混入することによって製造する。また、溶液および/またはエマルジョンまたは懸濁液の形の本発明に従う調製物は、有利には、スプレー乾燥により、本発明に従う固形調製物(半製品)に転換し得る。
【0020】
本発明に従うスプレー乾燥固形調製物は、好ましくは、調製物の総質量基準で1〜50質量%のヘスペレチンおよび/またはその塩類、調製物の総質量基準で0〜10質量%の他の香味料、調製物の総質量基準で50〜99質量%の担体、および調製物の総質量基準で0〜50質量%のさらなる補助剤および/または安定剤を含有する。
本発明に従うスプレー乾燥固形調製物は、本発明に従って使用するヘスペレチンおよび/またはその塩類の溶解性が、上記担体および/または補助剤により、とりわけ、マルトデキストリン;澱粉;加工澱粉またはアラビアゴムのような天然または合成多糖類および/または植物ゴムによって有意に改良されるので、本発明に従うさらなる調製物を製造するための半製品としてとりわけ適する。本発明に従うスプレー乾燥調製物は、好ましくは、50〜95質量%の担体、とりわけマルトデキストリンおよび/または澱粉、5〜40%の補助剤、好ましくは加工澱粉またはアラビアゴムのような天然または合成多糖類および/または植物ゴム、および1〜45%のヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有する。
【0021】
さらに好ましい実施態様によれば、本発明に従って使用するヘスペレチンおよび/またはその塩類並びに本発明に従う調製物の任意成分としての他の成分を、先ず、食品および準高級食品用に適するマトリックス、例えば、澱粉、澱粉誘導体(例えば、加工澱粉)、セルロースまたはセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、他の多糖類(例えば、デキストリン、アルギン酸塩、カードラン、カラギーナン、キチン、キトサン、プルラン)、天然油脂、天然ワックス(例えば、蜜蝋、カルナバワックス)、タンパク質、例えば、ゼラチン、または他の天然産生物(例えば、シェラック)のエマルジョン、例えばホスファチジルコリンから出発するリポソーム、ミクロスフィア、ナノスフィア、カプセル、顆粒または押出加工物中に混入して、本発明に従う調製物を製造する。マトリックスに応じて、上記生成物は、スプレー乾燥、スプレー造粒、溶融造粒、コアセルベーション、凝集、押出加工、溶融押出、エマルジョン法、コーティーングまたは他の適切なカプセル化方法、および必要に応じてのこれら方法の適切な組合せによっても得ることができる。本発明に従う調製物のさらに好ましい製造方法においては、ヘスペレチンおよび/またはその塩類を、先ず、1種以上の適切な複合体化剤により、例えば、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体、好ましくはα-またはβ-シクロデキストリンにより複合体化し、この複合体化形で使用する。
とりわけ好ましいのは、マトリックスを、ヘスペレチンおよび/またはその塩類をマトリックスから遅延して遊離させ、それによって、長持続性効果が得られるように選定した本発明に従う調製物である。この点、とりわけ好ましいのは、油脂、ワックス、多糖類またはタンパク質マトリックスである。
【0022】
栄養食または摂取用に使用する本発明に従う調製物用のさらなる成分としては、食品または準高級食品用の通常の原材料、補助剤および添加剤、例えば、水;生または加工した野菜または動物基本原材料の混合物(例えば、生の、焼いた、乾燥させた、発酵させた、燻製のおよび/または加熱処理した肉、骨、軟骨、魚、野菜、果実、ハーブ類、ナッツ類、野菜または果実ジュースまたはペースト、またはこれらの混合物);消化性または非消化性炭水化物(例えば、サッカロース、マルトース、フルクトース、グルコース、デキストリン類、アミロース、アミロペクチン、イヌリン、キシラン、セルロース、タガトース);糖アルコール類(例えば、ソルビトール、エリスリトール)、天然または硬化油脂(例えば、獣脂、ラード、パームバター、ココナツ油、水素化植物油脂);油類(例えば、ヒマワリ油、ピーナツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、魚油、大豆油、ゴマ油);脂肪酸またはその塩類(例えば、ステアリン酸カリウム);タンパク質形成性または非タンパク質形成性アミノ酸および関連化合物(例えば、γ-アミノ酪酸、タウリン);ペプチド類(例えば、グルタチオン);天然または加工タンパク質(例えば、ゼラチン類);酵素類(例えば、ペプチダーゼ類);核酸類;ヌクレオチド類;不愉快味覚に対する矯味剤;さらなる一般的には不愉快でない味覚に対するさらなる味覚調整剤;他の味覚調整物質(例えば、イノシトールホスフェート;グアノシンモノホスフェート、アデノシンモノホスフェートのようなヌクレオチド類;またはグルタミン酸ナトリウムまたは2-フェノキシプロピオン酸のような他の物質);乳化剤(例えば、レシチン類、ジアシルグリセリン類、アラビアゴム)、安定剤(例えば、カラギーナン、アルギン酸塩);防腐剤(例えば、安息香酸、ソルビン酸);酸化防止剤(例えば、トコフェロール、アスコルビン酸);キレート化剤(例えば、クエン酸)、有機または無機酸(例えば、リンゴ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸);苦味成分(例えば、キニーネ、カフェイン、リモニン、アマロゲンチン、フモロン、ルポロン、カテキン類、タンニン類);ミネラル塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸ナトリウム);酵素による褐変を防止する物質(例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸);エーテル油;植物抽出物;天然または合成着色剤または着色用顔料(例えば、カロチノイド類、フラボノイド類、アントシアン類、クロロフィルおよびその誘導体);薬味;三叉神経活性物質またはそのような三叉神経活性物質を含む植物抽出物;合成、天然または天然同等性着香剤または香料;および矯臭剤を使用し得る。
【0023】
本発明に従って使用するヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有するデンタルケア製品(口内衛生用に使用する調製物の基本としての)は、例えば、ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび/またはヒドロキシルアパタイトのような研磨系(研磨剤または艶出し剤);例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウムおよび/またはコカミドプロピルベタインのような表面活性物質;例えば、グリセリンおよび/またはソルビトールのような保湿剤;例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール類、カラギーナンおよびLaponiteRのような増粘剤;例えば、サッカリンのような甘味化剤;不愉快味覚に対する矯味剤;さらなる一般的には不愉快でない味覚に対する矯味剤;味覚調整物質(例えば、イノシトールホスフェート;グアノシンモノホスフェート、アデノシンモノホスフェートのようなヌクレオチド類;またはグルタミン酸ナトリウムまたは2-フェノキシプロピオン酸のような他の物質);例えば、メントール、メントール誘導体(例えば、L-メントール、L-メンチルラクテート、L-メンチルアルキルカーボネート、メントンケタール類、メタン炭酸アミド類)、2,2,2-トリアルキル酢酸アミド類(例えば、2,2-ジイソプロピルプロピオン酸メチルアミド)、イチリンおよびイチリン誘導体のような冷却活性成分;例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、二フッ化スズ、フッ化第四級アンモニウム、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ピロリン酸スズ、二塩化スズ、各種ピロリン酸塩の混合物、トリクロサン、セチルピリジニウムクロライド、乳酸アルミニウム、クエン酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、過酸化水素のような安定剤および活性成分;香味料および/または重炭酸ナトリウム;または矯臭剤を含む。
【0024】
本発明に従って使用するヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有するチューインガム(口内衛生用に使用する調製物のさらなる例としての)は、一般に、チューインガム基材、即ち、咀嚼時に可塑化する咀嚼用配合物;各種タイプの糖、糖代替物、他の甘味物質、糖アルコール;不愉快味覚に対する矯味剤;さらなる一般的には不愉快でない味覚に対する味覚物質(例えば、イノシトールホスフェート;グアノシンモノホスフェート、アデノシンモノホスフェートのようなヌクレオチド類;またはグルタミン酸ナトリウムまたは2-フェノキシプロピオン酸のような他の物質);保湿剤;増粘剤;乳化剤;香味料;および安定剤または矯臭剤を含む。
【0025】
また、本発明に従う調製物は、好ましくは、調製物の香味および/または匂いを丸み付けし純化する香味料組成物も含有する。適切な香味料組成物は、例えば、合成、天然または天然同等性着香剤、香料および香味料、並びに適切な補助剤および担体を含有する。とりわけ好ましいのは、“甘味”臭感を与える1種以上の着香剤を含有する本発明に従う調製物である(この点に関しては上記参照)。
半製品の形にある本発明に従う調製物は、該半製品調製物を使用して製造する即使用調製物の甘味感を増強するのに使用し得る。
本発明のとりわけ好ましい実施態様においては、本発明に従って使用するヘスペレチンおよび/またはその塩類を、本発明に従う調製物において、不愉快な(苦い、チョークぽい、酸っぱい、渋い)味覚を隠蔽または低減し得る或いは好ましい味覚(甘味、塩味、香味)を増強するための少なくとも1種の(さらなる)物質と組合せ使用する。甘味のとりわけ有効な増強は、例えば、このようにして達成し得る。本発明に従って使用するヘスペレチンまたはその塩類と不愉快な、とりわけ苦い味覚の矯味剤または好ましい、とりわけ甘い味覚の香味増強剤との組合せは、とりわけ好ましい。
【0026】
上記(さらなる)矯味剤は、例えば、以下の目録から選択する:ヌクレオチド類(例えば、アデノシン-5'-モノホスフェート、キチジン-5'-モノホスフェート)またはその製薬上許容し得る塩類;ラクチソール類、ナトリウム塩類(例えば、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム);とりわけ米国特許第2002 188,019号に従う、さらなるヒドロキシフラバノン類(例えば、エリオジクチオール、ホモエリオジクチオールまたはこれらのナトリウム塩類);ヒドロキシ安息香酸アミド類(例えば、2,4-ジヒドロキシ安息香酸バニリルアミド、2,4-ジヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド、2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド、2-ヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド、4-ヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド、2,4-ジヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド-モノナトリウム塩、2,4-ジヒドロキシ安息香酸-N-2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチルアミド、2,4-ジヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド、2,4-ジヒドロキシ安息香酸-N-(3,4-ジヒドロキシベンジル)アミドおよび2-ヒドロキシ-5-メトキシ-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]アミド(アズンカミド(aduncamide))、4-ヒドロキシ安息香酸バニリルアミド);ヒドロキシデオキシベンゾイン類(例えば、2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1-(2,4,6-トリヒドロキシフェニル)エタノン、1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタノン、1-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタノン);アミノ酸類(例えば、ガンマ-アミノ酪酸);または乳精タンパク質とレシチンとの混合物。
【0027】
また、本発明は、下記の工程を含むことを特徴とする、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感の増強方法にも関する:
‐甘味物質または1種以上の甘味臭感を与える着香剤を、上記甘味物質の甘味感または上記甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を感覚的に増強するのに十分である量の(i)ヘスペレチンおよび/または(ii)その塩類と混合する工程。
(i)ヘスペレチンおよび/または(ii)その塩類の好ましい量については上記を参照されたい。少なくとも10ppmの濃度が、多くの場合、とりわけ好ましい。
上記ヘスペレチンおよび/またはその塩は、本発明に従う方法においては、(a) 硬葉常緑植物、とりわけ、アルテミシア キサントクロアまたはキソタムヌス亜種の浸出液の形ではなく、さらに、(b) 同じカンキツ産生物の成分としての他のフラバノン類と一緒には使用しない。
【0028】
(実施例)
実施例を使用して本発明を明確にするが、それによって本発明を限定するものではない。
応用例1:ヘスペレチンの添加による糖溶液の甘味感の増強
ヘスペレチンの添加による甘味感の増強を定量するために、5質量%のスクロース含有溶液並びに5%スクロースと100ppmのヘスペレチン(供給元:Sigma-Aldrich社、製造番号:H 4125、カタログ番号:41001-90-5)或いは所定量の比較用ヒドロキシフラバノン類のナリンゲニン、エリオジクチオール、ホモエリオジクチオールまたはエリオジクチオール-7-メチルエーテル(米国特許2002 188,019号参照)と含ませた各サンプルそれぞれの甘味を、熟練者グループによって判定した[格付け:0 (甘味無し)〜10 (極めて甘い)]。評価は、スクロース溶液またはスクロースおよび化合物2-含有溶液の評価の平均値からの甘味感の増強(%での)の演算として行った。
【0029】

表中:(a)スクロース溶液および(b)スクロースとヒドロキシフラバノン-含有溶液の甘味;標準偏差は、誤差として示している。最後の列では、括弧内に、試験溶液の方を甘いと判定した味見試験者の数に対す味見試験者の総数を示している。
【0030】
応用例2:減糖試験溶液の甘味感
スクロース含有量を少量のヘスペレチンで置換えた場合の甘味感の保有力を定量するために、(a) 5質量%スクロース含有溶液に対する6質量%スクロース含有溶液および(b) 5%のスクロースと所定量のヘスペレチン(供給元:Sigma-Aldrich社、製造番号:H 4125、カタログ番号:41001-90-5)を含ませた溶液に対する6質量%スクロース含有溶液のそれぞれの甘味を、熟練者グループによって判定した[格付け:0 (甘味無し)〜10 (極めて甘い)]。評価を、6%または5%スクロース含有溶液或いは5%スクロースと100ppmヘスペレチン-含有溶液の評価の平均値からの甘味感の増強(%での)の演算として行った。
【0031】

表中:(a) 5質量%のスクロース溶液に対する6質量%のスクロース溶液、(b) 5質量%スクロースと100ppmヘスペレチン含有溶液に対する6質量%スクロース含有溶液の甘味;標準偏差は、誤差として示している。最後の列では、括弧内に、5%スクロースと任意成分としての100ppmヘスペレチンを含有する試験溶液の方を甘いと判定した味見試験者数に対する味見試験者の総数を示す。
【0032】
応用例3:最終製品を着香するための半製品としてのスプレー乾燥調製物



飲料水を容器に入れ、マルトデキストリンとアラビアゴムをその中に溶解させた。その後、ヘスペレチンを上記担体溶液中にTurraxを使用し乳化した。スプレー溶液の温度は、30℃を超えるべきではない。その後、混合物をスプレー乾燥させた(入口の所望温度:185〜195℃、出口の所望温度:70〜75℃)。スプレー乾燥半製品は、およそ18〜22%のヘスペレチンを含有していた。
【0033】
応用例4:甘味物質との混合
90gのスクロースと10gのタガトースを配合し、応用例3からの0.5gのスプレー乾燥半製品と混合した。得られた生成物は、例えば、コーヒーまたはティー用の甘味料として使用し得る。
ティーと上記生成物を混合し、濾紙製のティーバッグ内にパックした。使用においては、100〜250mlの沸騰水をティーバッグに注ぎ、2〜5分間浸出させた。
応用例5:甘味を増強するための低脂肪ヨーグルトにおける使用
5%のスクロースを、0.1%の油脂含有量を有する商業的に入手可能なナチュラルヨーグルト(添加物を含まない)中に撹拌した(サンプル1)。5%のスクロースを、さらにまた200ppmをヘスペレチンもサンプル2中に撹拌した。サンプル1および2を、16名の味見試験者に、異なるが所定の順序で味見するようにコード化した形で与えた。この方法において、味見試験者は、甘味感を、0 (甘味無し)〜10 (極めて甘い)の尺度で格付けしなければならならなかった。さらに、味見試験者は、他の旨味感も格付けしなければならなかった。
結果:サンプル2が、平均で15%ほど甘いと報告された。
【0034】
応用例6:チューインガムにおける使用


区分A〜Dを混合し激しく混練した。原料混合物は、例えば、薄いストリップの形で、即摂取チューインガムとして加工し得る。
【0035】
応用例7:練り歯磨きにおける使用



区分AおよびBの成分を、各々独自に予備混合し、真空下に25〜30℃で30分間一緒に十分に撹拌した。区分Cを予備混合し、AおよびBに添加した;Dを添加し、混合物を、真空下に25〜30℃で30分間十分に撹拌した。緩和させた後、練り歯磨き粉を仕上げ、容器に傾注した。
【0036】
応用例8:減糖ソフトドリンクにおける使用
通常のスクロース含有量を有する比較用調製物(A)
低減したスクロース含有量を有する比較用調製物(B)
低減したスクロース含有量を有しヘスペレチンを含む調製物(C)



固形物質を容器に入れ、水を補給し溶解させた。味見結果は、下記の表に示す。



高めの酸含有量も有する調製物Cにより、10%スクロース含有比較用調製物Aの甘味がほぼ達成された;11%の甘味の僅かな低下は、統計的に有意ではない。
有意により明確な甘味を、比較用調製物Bと比較した調製物Cにおいて一様に認められた。
【0037】
応用例9:無糖硬質キャンディにおける使用



パラチニットを水と混合し、混合物を165℃で溶融させ、次いで、115℃に冷却せしめた。ペパーミント香味料とヘスペレチンを添加し、十分に混合した後、混合物をモールド内に注入し、モールド内で固化させた。
【0038】
応用例10:減糖ホットブラマンジェタイプのプディングにおける使用
通常のスクロース含有量を有する比較用調製物(A)
低減したスクロース含有量を有する比較用調製物(B)
低減したスクロース含有量を有しヘスペレチンを含む調製物(C)
低減したスクロース含有量を有しD-タガトースおよびヘスペレチンを含む調製物(D)



固形物質を容器に入れ、牛乳と一緒に撹拌した。混合物を十分に撹拌しながら95℃に2時間加熱し、容器に傾注し、5〜8℃に冷却した。
調製物Cにより、7.8%スクロース含有比較用調製物Aの甘味が、僅かに遅れた甘味感でもって達成し得た。比較用調製物Bと比較して、調製物Cの方が有意に甘かった。調製物DをCと匹敵し得るが、初期甘味の改善を示した。
【0039】
応用例11:低脂肪ヨーグルトにおける甘味化剤と一緒の使用
甘味化剤混合物を含む比較用調製物(A)
甘味化剤混合物とヘスペレチンを含む調製物(B)



各成分を混合し、5℃に冷却した。調製物Bの甘味は、味見において、有意に強いと報告された。
【0040】
本発明の実施態様
1.(i) 下記の式(I)を有するヘスペレチンおよび/または(ii)その塩類の、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための使用:
【化3】

(I)
(式(I)のヘスペレチンは、(2S)-鏡像異性体、(2R)-鏡像異性体またはこれら2つの鏡像異性体の任意の所望混合物の形にある)。
2.栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物における、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための、実施態様1に従う使用。
3.即摂取食品および準高級食品における、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための、(i)ヘスペレチンおよび/または(ii)その塩類の濃度が、即摂取食品および準高級食品の総質量基準で、0.025質量%未満、好ましくは0.02質量%未満である、実施態様1または2に従う使用。
4.下記の成分を含む栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物;
(i)下記の式(I):
【化4】

(I)
(式(I)のヘスペレチンは、(2S)-鏡像異性体、(2R)-鏡像異性体または2つの鏡像異性体の任意の所望混合物の形にある)
を有するヘスペレチンおよび/または(ii)その塩類;および、
1種以上のさらなる(iii)甘味物質および/または(iv)甘味臭感を与える1種以上の着香剤;
(上記において、上記調製物中の(i)ヘスペレチンおよび(ii)その塩の量は、上記甘味物質の甘味または上記甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を感覚的に増強するのに十分な量である)。
5.甘味物質または甘味物質として、1種以上の糖類を含み、(i)ヘスペリレンまたは(ii)その塩の量が、他は同一組成物を有し且つヘスペリレンもその塩も含有しないが少なくとも1.05倍の量の糖類を含有する調製物と比較して、同等または増強された甘味感を与えるのに十分である、実施態様4に従う調製物。
【0041】
6.ヘスペレチンおよび/またはその塩を、(a) 硬葉常緑樹植物、とりわけアルテミシアキサントクロアまたはキソタムヌス亜種の浸出液の形では或いは(b) 同じカンキツ産生物の成分としての他のフラバノン類と一緒には使用しない、実施態様4または5に従う調製物。
7.調製物が、半製品、香料、着香剤または香味料組成物、または薬味混合物の形にある、実施態様4または6のいずれか1つに従う調製物。
8.調製物をスプレー乾燥させる、実施態様7に従う調製物。
9.調製物の総質量基準で0.0001質量%〜95質量%、好ましくは0.001質量%〜80質量%、とりわけ好ましくは0.001質量%〜50質量%の合計量の(i)ヘスペレチンおよび(ii)その塩を含む、実施態様7または8のいずれか1つに従う半製品。
10.苦味、金属味、チョーク味、酸味または渋み感を隠蔽または低減するための或いは甘味、塩味または香味感を増強するための少なくとも1種のさらなる物質も含む、実施態様4〜9のいずれか1つに従う調製物。
11.下記の工程を含むことを特徴とする、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感の増強方法:
‐1種以上の甘味物質または1種以上の甘味臭感を与える着香剤を、上記甘味物質の甘味感または上記甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を感覚的に増強するのに十分な量の(i)ヘスペレチンおよび/または(ii)その塩と混合する工程。
12.ヘスペレチンおよび/またはその塩を、(a) 硬葉常緑樹植物、とりわけアルテミシアキサントクロアまたはキソタムヌス亜種の浸出液の形では或いは(b) 同じカンキツ産生物の成分としての他のフラバノン類と一緒には使用しない、実施態様11に従う方法。
【0042】
パートB:さらなる開発後の本発明の説明
本発明は、主として、ヘスペレチンおよび/またはその塩類の、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための使用に関する。従って、本発明は、主として、上記物質の甘味増強剤としての使用に関する。また、本発明は、有効量のヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有する特定の調製物、および上記甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感の増強方法に関する。
高糖分含有量(主として、スクロース(=サッカロース)、ラクトース、グルコースまたはフルクトース、またはこれらの混合物)を有する食品(栄養食、飲料を含む)または半高級食品(半高級品)は、通常、その甘さ故に、消費者に強く好まれている。一方、高含有量の易代謝性炭水化物は、血糖値を大いに上昇せしめ、脂肪性沈着物の形成をもたらし、最終的には、過剰体重、肥満、インスリン抵抗性、晩期発症型糖尿病およびそれらの後遺症のような健康問題に至り得ることが一般に知られている。とりわけ、多くの上記の炭水化物は、これらの炭水化物が口腔内の特異的タイプの細菌類によって分解されて例えば乳酸となることから、歯科衛生にも影響を与え得、若年層および成人の歯のエナメル質を侵食し得るという重大事(虫歯)も存在する。
従って、食品および/または半高級食品の糖分含有量を絶対的必要量に低減する目的が長い間存在している。相応する対策は、甘味化剤の使用からなっている。これらの甘味化剤は、それ自体カロリー値を有しないか或いは極めて低いカロリー値しか有してなく、同時に強い甘味感を与える化学的に均一な物質である。これらの物質は、通常非カロリー性である(参照は、例えば、Journal of the American Dietetic Association 2004, 104 (2), 255-275において見出される)。ソルビトール、マンニトール、または他の糖アルコール類のようなバルク甘味化剤として知られているある種のものは、卓越した甘味化剤であり、糖類の残存食品技術関連特性を部分的には置換え得るが、頻繁過ぎる摂取は、ある種の人々の間では浸透圧誘発性消化問題に至っている。使用におけるその低濃度故に、非栄養性高強度甘味化剤は食品に甘味を付けるのに極めて適しているものの、これらの甘味化剤は、多くの場合、糖類と同様ではない時間的強度プロフィールの結果としての味覚関連問題(例えば、スクラロース、ステビオシド、チクロ)、苦いおよび/または渋い後味(例えば、アセスルファムK、サッカリン)または明白なさらなる味覚感(例えば、グリシルレチン酸アンモニウム塩)を示す。ある種の甘味化剤は、熱に対してとりわけ安定でなく(例えば、タウマチン、ブラゼイン、モネリン)、全ての用途において安定でなく(例えば、アスパルテーム)、時には、その甘味効果に関して極めて長持続性である(強い甘味後味、例えば、サッカリン)。
【0043】
味覚特性、とりわけ非栄養性高強度甘味化剤の後味問題の改良は、例えば、WO 98/20753号に記載されているようなタンニン酸または米国特許第3,924,017号におけるようなフェノール酸の使用によって達成され得ている。しかしながら、このタイプの物質は、そのカテコール単位故に、使用するのにとりわけ安定ではない。
さらなる可能性(非栄養性甘味化剤を使用しない)は、食品および/または半高級食品の糖分含有量を減らし、例えばWO 2005/041684号に記載されているような甘味を間接的にまたは直接的に増強する感覚的に弱いまたは微弱な物質を添加することからなる。しかしながら、WO 2005/041684号に記載されている物質は、明らかに非天然起源であり、従って、とりわけ上記物質が食品または半高級食品において生じているのか或いは食品または半高級食品を得るための原材料に由来するのかどうかを毒物学的見地から評価するのを天然起源の物質よりも困難にしている。EP 1 291 342 A1号は、天然起源のそのような物質(ピリジニウムベタイン類)を記載している。しかしながら、それらの物質は、甘味に選択的に影響を与えるものではなく、むしろ、香味または塩味のような他の味覚が影響を受けている。さらに、開示された物質は、高コストでもってしか精製し得ない。
従って、低濃度において、甘味物質の甘味感、好ましくは、減糖食品または半高級食品の甘味感を、残存香味プロフィールに悪影響を及ぼすことなく有効に増強する物質を見出すことが望ましい。また、甘味臭感を与える着香剤の甘味感を低濃度において有効に増強する物質を見出すことも望ましい。
【0044】
さらなる適切な文献は、米国特許第5,580,545号、米国特許第5,703,053号、WO 2005/006891号、EP 1 258 200号、EP 0 577 143号、EP 0 691 886号、EP 0 920 870号、EP 0 960 572号、EP 1 072 265号、EP 1 127 572号、EP 1 177 728号、EP 1 283 037号、EP 1 382 329号、EP 1 400 579号、EP 1 514 540号、EP 1 534 082号、米国特許第2001 055627号、米国特許第2003 166584号、米国特許第5,763,414号、米国特許第6,221,357号、米国特許第6,426,362号、米国特許第6,528,042号、米国特許第6,749,875号、WO 00/15174号、WO 00/23073号、WO 00/64282号、WO 01/14396号、WO 01/17374号、WO 02/34073号、WO 02/47615号、WO 02/47680号、WO 03/039452号、WO 03/043570号、WO 2004/002496号、WO 2004/021806号、WO 2004/100981号、WO 2005/058255号、WO 2005/067915号、WO 91/11117号、WO 99/21549号、WO 99/48982号、WO 99/62358号、WO 01/51482号およびJP 62051613号である。
【0045】
本発明の主目的は、(a) 好ましくは残存香味プロフィールに悪影響を及ぼすことなしに、甘味物質の甘味感および/または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するのに選択的に適し、(b) 広範囲に使用し得、且つ(c) 好ましくは、好ましくは食品または半高級食品或いはこれら食品の製造用の相応する原材料中で自然に産生するか、或いは食品もしくは半高級食品の製造中に形成される物質を見出すことであった。
本発明の第1の局面によれば、課題とした目的は、下記の式(I)を有するヘスペレチン;式(I)のヘスペレチンの塩;式(I)のヘスペレチンの2種以上の塩を含むまたはそれらの塩からなる混合物;または、式(I)のヘスペレチンおよび式(I)のヘスペレチンの1種以上の塩を含むまたはそれらからなる混合物の、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための使用によって達成される:
【化5】

(I)
(式(I)のヘスペレチンは、(2S)-鏡像異性体、(2R)-鏡像異性体またはこれら2つの鏡像異性体の任意の所望混合物の形にある)。
【0046】
本発明に従うこのタイプの使用においては、式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体および式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体の塩の物質量画分の合計は、式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体、式(I)のヘスペレチンの(2R)-鏡像異性体およびこれら鏡像異性体の塩の総物質量画分基準で、50%よりも多いかまたは50%に等しく、好ましくは80%よりも多いかまたは80%に等しく、とりわけ好ましくは100%である。
本発明の従って使用する上記式(I)のヘスペレチンの塩類においては、脱プロトン化し得るヘスペレチンの1個、複数または全ての基を脱プロトン化する。その場合、適切量の対イオンが存在し、これらの対イオンは、好ましくは、以下を含む群から選択する:第1の第一級および第二級基の一重正荷電カチオン、アンモニウムイオン、トリアルキルアンモニウムイオン;第2の第一級および第二級基の二重正荷電カチオン;第3の第一級および第二級基の三重正荷電カチオン;およびこれらの混合物。
とりわけ好ましいカチオンは、Na+、K+、NH4+、Ca2+、Mg2+、Al3+およびZn2+である。
【0047】
本発明に従って使用する上記物質および物質混合物は、好ましくは、栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物において、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するために使用する。
上述の特定の物質または物質混合物の使用に加えて、さらなる局面によれば、本発明は、上記物質または物質混合物を本発明に従う方法で使用する相応する調製物にも関する。
本発明に従う調製物は、好ましくは、栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物;半製品;香料;着香剤または香味料組成物;または薬味混合物を含む群から選ばれる。本発明に従う調製物は、下記の成分を含む:
(a) 下記の式(I):
【化6】

(I)
(式(I)のヘスペレチンは、(2S)-鏡像異性体、(2R)-鏡像異性体またはこれら2つの鏡像異性体の任意の所望混合物の形にある)
を有するヘスペレチン;式(I)のヘスペレチンの塩;式(I)のヘスペレチンの2種以上の塩を含むまたはこれらの塩からなる混合物;または、式(I)のヘスペレチンおよび式(I)のヘスペレチンの1種以上の塩を含むまたはこれらからなる混合物;および、
(b) 1種以上のさらなる甘味物質;および/または、
(c) 甘味臭感を与える1種以上の着香剤;
(上記において、前記調製物中の成分(a)の総量は、甘味物質(b)の甘味感または甘味臭感を与える着香剤(c)の甘味臭感を感覚的に好ましくは超比例的に(即ち、固有の甘さによって生じる効果を越えて)増強するのに十分な量である)。
【0048】
本発明に従う調製物においては、式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体および式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体の塩の物質量画分の合計は、式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体、式(I)のヘスペレチンの(2R)-鏡像異性体およびこれら鏡像異性体の塩の総物質量画分基準で、50%よりも多いかまたは50%に等しく、好ましくは80%よりも多いかまたは80%に等しく、とりわけ好ましくは100%である。
この点においては、本発明に従う使用、本発明に従う調製物または本発明に従う方法の好ましい実施態様に関する全ての説明は、各々の場合において、それ相応に、本発明の他の局面にも当てはまることに留意すべきである。
本発明に従う好ましい調製物は、成分(b)として1種以上の糖類を含み、この調製物中の式(I)のヘスペレチン(i)およびその塩(ii) (成分(a))の総量は、他は同一成分を含み且つ式(I)のヘスペレチン(i)もその塩(ii)も含有しないが少なくとも1.05倍の量(好ましくは少なくとも1.2倍、好ましくは1.4倍の量)の糖類を含有する調製物または半製品と比較して、同等または増強された甘味感を与えるのに十分な量である。糖類は、好ましくは、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトースおよびこれらの混合物を含む群から選択する。
本発明に従って使用するヘスペレチン(またはその塩類および混合物)は、天然起源(例えば、植物部分抽出物由来)であり得る。しかしながら、本発明に従って使用する上記物質または混合物は、純粋合成物でもあり得る。
【0049】
本発明に従う好ましい調製物(とりわけ、好ましい実施態様において上述したような)は、下記を含む:
(b) 1種以上のさらなる甘味物質であって、該さらなる甘味物質は下記を含む群から選ばれる:
(i) スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリン、およびこれら炭水化物の1種以上を含有する植物調製物(好ましくは、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも15質量%の含有量で)を含む群から選ばれる1種以上の炭水化物(糖類)、これらの炭水化物は、天然のまたは合成的に製造した混合物の形であり得る(例えば、ハチミツ、転化糖シロップ、コーンスターチから製造した高濃縮フルクトースシロップ(高フルクトースコーンシロップ)として);
(ii) グリセリン、エリスリトール、スレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ズルシトールおよびラクチトールを含む群から選ばれる1種以上の糖アルコール;
(iii) ミラクリン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、グリシン、D-ロイシン、D-スレオニン、D-アスパラギン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-プロリンを含む群からの1種以上のタンパク質および/またはアミノ酸類;
(iv) マガップ(magap)、シクラミン酸ナトリウム、アセスルファムK、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルコン、サッカリンナトリウム塩、アスパルテーム、スーパーアスパルテーム、ネオテーム、アリテーム、スクラロース、ステビオシド、レバウディオシド、ラグデゥネーム、カレラーム(carrelame)、スクロノネート、スクロオクテート、モナチンおよびフィロズルチンを含む群からの1種以上の甘味料;
およびこれらの混合物;
および/または、
(c) 甘味臭感を与える1種以上の着香剤であって、該甘味臭感を与えるさらなる着香剤は下記を含む群から選ばれる:
バニリン、エチルバニリン、エチルバニリンイソブチレート(= 3-エトキシ-4-イソブチリルオキシベンズアルデヒド)、FuraneolR (2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)および誘導体(例えば、ホモフラネオール、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン)、ホモフラノール (2-エチル-5-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)および5-エチル-2-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)、マルトールおよび誘導体(例えば、エチルマルトール)、クマリンおよび誘導体、ガンマ-ラクトン類(例えば、ガンマ-ウンデカラクトン、ガンマ-ノナラクトン)、デルタ-ラクトン類(例えば、4-メチルデルタラクトン、マッソイラクトン、デルタデカラクトン、ツベロラクトン)、メチルソルベート、ジバニリン、4-ヒドロキシ-2(または5)-エチル-5(または2)-メチル-3(2H)-フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、果実エステルおよび果実ラクトン類(例えば、酢酸-n-ブチルエステル、酢酸イソアミルエステル、プロピオン酸エチルエステル、酪酸エチル、酪酸-n-ブチルエステル、酪酸イソアミルエステル、酪酸3-メチル-エチル、n-カプロン酸エチルエステル、n-カプロン酸アリルエステル、n-カプロン酸-n-ブチルエステル、n-オクタン酸エチルエステル、エチル-3-メチル-3-フェニルグリシデート、エチル-2-トランス-4-シス-デカジエノエート)、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキサン、2,6-ジメチル-5-ヘプタン-1-アルおよびフェニルアセトアルデヒド。
【0050】
下記:
(a) スクロース、ラクトース、D-グルコース、D-タガトースおよびD-フルクトース(これらの炭水化物は、天然のまたは合成的に製造した混合物の形であり得る(例えば、ハチミツ、転化糖シロップ、コーンスターチから製造した高濃縮フルクトースシロップ(高フルクトースコーンシロップ)として);
(b) エリスリトール、スレイトール、アラビトール、リボトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ズルシトールおよびラクチトール;
(d) シクラミン酸ナトリウム、アセスルファムK、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルコン、サッカリンナトリウム塩、アスパルテーム、スーパーアスパルテーム、ネオテーム、アリテーム、スクラロース、ステビオシドを含む群からの甘味化剤;
を含む群から選ばれた甘味物質の使用が好ましく、調製物中の添加(i)ヘスペレチンおよび(ii)その塩類の量は、甘味物質(1種以上)の甘味感を感覚的に増強するのに十分な量である。式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類の合計量は、調製物の総質量基準で、好ましくは0.1〜500ppmの範囲内、とりわけ好ましくは1〜250ppmの範囲内、とりわけ好ましくは5〜100ppmの範囲内である。
甘味感の相乗的増強は、とりわけこれらの組合せ(上述したような)によって達成し得る。
【0051】
好ましい甘味物質は、上記で示している。しかしながら、一般的には、甘味物質(これら物質の天然源を含む)は、例えば、甘味炭水化物または糖類(例えば、スクロース(サッカロースと同義)、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリン)、またはこれら炭水化物を主として含有する植物調製物(例えば、甜菜(ベータ ブルガリス(Beta vulgaris)亜種;糖画分、糖シロップ、糖蜜)由来、サトウキビ(サッカラム オフィシナラム(Saccharum officinarum)亜種;例えば、糖蜜、糖シロップ)由来、サトウカエデ(アセル(Acer)亜種)由来、アガーベ(例えば、アガーベ濃厚ジュース)由来);澱粉またはスクロースの合成/酵素加水分解物(例えば、転化糖シロップ、コーンスターチから製造した高濃縮フルクトースシロップ);果実濃厚物(例えば、リンゴまたは西洋ナシから製造した;リンゴシロップ、西洋ナシシロップ);糖アルコール類(例えば、グリセリン、エリスリトール、スレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、ラクチトール);タンパク質(例えば、ミラクリン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン);甘味化剤(例えば、マガップ、シクラミン酸ナトリウム、アセスルファムK、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルコン、サッカリン-ナトリウム塩、アスパルテーム、スーパーアスパルテーム、ネオテーム、アリテーム、スクラロース、ステビオシド、レバウディオシド、ラグデゥネーム、カレラーム、スクロノネート、スクロオクテート、モナチンおよびフィロズルチン);ある種の甘味アミノ酸(グリシン、D-ロイシン、D-スレオニン、D-アスパラギン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-プロリン);他の甘味低分子物質(例えば、ヘルナンズルチン、フィロズルチンまたはヒドランゲノールのようなイソコウマリン類、ネオヘスペリジンのようなジヒドロカルコングリコシド類、ジヒドロカルコン、グリシルリジン、グリシルレチン酸アンモニウム塩または他のグリシルレチン酸誘導体);甘草抽出物(グリチルヒザ グラブラ(Glycyrrhizza glabra)亜種);リピア ズルチス(Lippia dulcis)抽出物;モモルディカ(Momordica)亜種の抽出物または個々の物質(とりわけ、モモルディカ グロスベノリイ(Momordica grosvenori) [ルオハングオ]およびそれから得られたモグロシド);ヒドランゲア ズルシス(Hydrangea dulcis)またはステビア(Stevia)亜種(例えば、ステビア レバウディアナ(Stevia reboudiana)の抽出物または個々の物質であり得る。
【0052】
上述した好ましい着香剤は、甘味臭感を与える着香剤、即ち、狭い意味での甘味はないが広い意味(とりわけ臭覚を含む)での甘味を示し得る着香剤である。
本発明は、本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチン(または、上述したようなその塩類および混合物)が、極めて低い濃度(0.05質量%未満、好ましくは0.025質量%未満、とりわけ好ましくは0.01質量%未満;この点に関しては、下記に示す濃度範囲も参照されたい)においてさえも、甘味物質(上述したような)、とりわけ、例えば、スクロース、ラクトース、グルコース、D-タガトースおよびフルクトースのような糖類並びに、例えば、グリセリン、エリスリトール、スレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、ラクチトールのような糖アルコールの甘味感を超比例的に(即ち、相乗的に)増強し、従って、相応する食品および半高級食品の糖分含有量を、同時に甘味感を低下させることなく低減し得るという驚くべき認識に基づく。低濃度においては(この点、下記で使用する好ましい範囲と比較されたい)、本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンまたはその塩類は、極めて弱い固有の味覚のみを示す。
甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感は、栄養食(食品)、口内衛生または摂取(半高級食品)用に使用する調製物中で、好ましく増強される。
好ましい調製物は、調製物の総質量基準で、0.05質量%(500ppm)未満、好ましくは0.025質量%(250ppm)未満、とりわけ0.01質量%(100ppm)未満の合計量の(i) 式(I)のヘスペレチンおよび(ii)その塩を含む、栄養食、口内衛生または摂取用に使用する(好ましくは即摂取または即使用の)調製物(とりわけ、とりわけ好ましいと上記で示した実施態様の1つにおける)である。
従って、好ましいのは、即摂取食品および半高級食品における、式(I)のヘスペレチン(および/または上述したようなその塩類および混合物)の甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための使用であり、この場合、(i)ヘスペレチンおよび(ii)その塩の濃度は、即摂取食品および半高級食品の総質量基準で、0.05質量%未満、好ましくは0.025質量%未満、とりわけ好ましくは0.02質量%未満、最も好ましくは0.01質量%未満である。
これらの低濃度においてさえも、使用するヘスペレチンおよび/またはその塩類または相応する混合物は、甘味物質または甘味臭感を与える着香剤の感覚的効果を有意に増強する。
とりわけ好ましいのは、調製物の総質量基準で、0.1〜500ppmの範囲内、好ましくは1〜250ppmの範囲内、とりわけ好ましくは5〜100ppmの範囲内の合計量の(i)式(I)のヘスペレチンおよび(ii)その塩を含む食品、口内衛生または摂取用に使用する調製物(とりわけ、好ましいと上記で示した実施態様において説明したような)である。
【0053】
本発明に従う(i)式(I)のヘスペレチンおよび(ii)その塩類の使用により、甘味物質、とりわけ、スクロース、ラクトース、フルクトースおよび/またははグルコースまたはこれらの混合物の含有量を、本発明に従って使用する(i)式(I)のヘスペレチンおよび(ii)その塩類を含まない調製物と比較して、甘味感を処理中に減じることなく5〜60%(甘味物質基準)低減させることがとりわけ可能である。
無糖分、減糖分であり得或いは糖分を含有し、とりわけ、栄養食、口内衛生または摂取用に使用する好ましい調製物は、下記を含む群から選ばれる:
(A) 製菓 (例えば、ホワイト、ミルクまたはダークチョコレート、詰め物チョコレート(例えば、アフターエイト(After-Eight)タイプの着香フォンダン塊を詰めた)、チョコレート棒、他の棒タイプ製品、咀嚼甘味物、フルーツガム、硬質および軟質タフィー類、チューインガム、砂糖ドロップ、棒付きキャンディ(lollipop)類);カプセル菓子(好ましくはゼラチンおよび/またはアルギン酸塩をベースとするコーティーングを有する直接摂取用のシームレスカプセル);チューインガム(例えば、ストリップ、トローチ、ペレット、クッション、ボール、中空ボールの形状の);
(B) アルコールまたはノンアルコール飲料、またはインスタント飲料、とりわけ、コーヒー、ティー、ワイン、ワイン含有飲料、ビール、ビール含有飲料、リキュール類、シュナップス類、ブランディー類、果実含有ソフトドリンク、アイソトニック飲料、ソフトドリンク、果汁類、未変性カンキツ(とりわけオレンジ)ジュース製品以外のフルーツおよび野菜ジュース、果実または野菜調製物、インスタントココア飲料、インスタントティー飲料、インスタントコーヒー飲料);
(C) シリアル製品および/またはナッツ製品、とりわけ、朝食シリアル、コーンフレーク、オートフレーク、バルクミューズリ、ミューズリ棒、ナッツおよびレーズン類、スウィートポップコーン、ナッツ棒、ナッツおよびフルーツ棒、加熱処理済み米製品;
(D) 乳製品、とりわけ、乳飲料、乳アイスクリーム、糖尿病用アイスクリーム、ヨーグルト、ブラマンジェタイプのプディング、ケフィア、クリームチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乾燥粉乳、乳清、バター、バターミルク、部分または完全加水分解乳タンパク質含有製品;
(E) 果実および/または野菜調製物、とりわけ、ジャム、糖尿病用ジャム、シャーベット、フルーツソース、自然カンキツ産生物以外の果実充填物、ケチャップ、ソース類、乾燥野菜、冷凍野菜、加熱処理済み野菜、酢漬け野菜、保存野菜;
(F) 油脂をベースとする製品またはその乳化物、とりわけ、マヨネーズ、レムラード、ドレッシング、薬味調製物;
(G) 練り歯磨き、歯クリーム、ゲル歯磨き、歯磨き粉、歯洗浄液、歯洗浄発泡液、洗口剤、洗口剤濃縮物、歯クリームと洗口剤との2:1(1部中2部)製品、硬質キャンディ(boiled sweet)、口内スプレー、デンタルフロス、チューインガムまたは歯科治療用チューインガムの形の口内衛生製品。
【0054】
(i)式(I)のヘスペレチンおよび(ii)その塩類の量は、好ましくは、本発明に従う調製物においては、他は同一の組成を有し且つ式(I)のヘスペレチンもその塩類も含有していない比較配合物基準で、甘味または甘味臭感を少なくとも10%有意に増強するのに十分な量である。
従って、とりわけ適切であるのは、少なくとも1種の甘味物質、好ましくは、スクロース、ラクトース、グルコースおよび/またはフルクトースのような糖を含み、甘味物質の量が、式(I)のヘスペレチン(および/または相応する塩または相応する混合物を含有しないが他は同一の組成を有する比較用の調製物へ満足し得る甘味を与えるには十分でなく、調製物中に存在する式(I)のヘスペレチン(および/または相応する塩または相応する混合物、好ましくは上記で好ましいと説明した上記実施態様の1つにおける)の量が、甘味物質の甘味感を、好ましくは、全体として、満足し得る甘味が与えられる程度に感覚的に増強するのに十分であるような本発明に従う調製物である。調製物中の(i)式(I)のヘスペレチンおよび(ii)その塩類(成分(a))の合計量は、好ましくは、他は同一の組成を有し且つ(i)式(I)のヘスペレチンも(ii)その塩類も含有しないが少なくとも1.5倍の量(好ましくは少なくとも1.2倍の量、とりわけ好ましくは少なくとも1.4倍の量)の糖分を含有する調製物と比較して、同等または増強された甘味感を与えるのに十分な量であることは、既に上記で説明している。
本発明に従う好ましい調製物は、上記で説明したことがその組成に関して当てはまる栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物である。
栄養食、口内衛生または摂取用に本発明に従って使用する調製物は、一般に、ヒトの口腔内に導入され、そこで一定時間残存し、その後そこで摂取されるか(例えば、即摂取食品)或いは再び口腔から取出されるか(例えば、チューインガムまたは練り歯磨き)のいずれかを意図する製品である。本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類または相応する混合物の使用は、この種の製品の全ての態様に対して活用する。これらの製品は、ヒトによって口腔内に加工した、部分加工したまたは加工していない状態で取込まれることを意図する全ての物質または生産物を含む。また、生産物は、その製造、加工または栽培中に食物に付加され、ヒトの口腔内に導入することを意図する物質も含む。
【0055】
本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類または相応する混合物は、とりわけ、食品において使用し得ることを理解されたい。本明細書の範囲内では、“食品”とは、とりわけ、変化させない、調製したまたは加工した状態でヒトによって飲み込まれ、その後消化されることを意図する物質を意味する。この点、食品は、この場合も飲み込まれることを意図するか或いは飲み込むことが予測されるカプセル化物、コーティーング物または他のタイプの封入物も意味する。通常口内から再び取出されるある種の製品(例えば、チューインガム)は、これら製品が少なくとも部分的に飲み込まれることを無視できないので、本明細書の範囲内の食品として理解すべきである。
本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類または相応する混合物は、とりわけ、即摂取食品において使用する。即摂取食品は、この場合、味覚に不可欠な物質に関しては既に十分に構成されている食品を意味する。また、用語“即摂取食品”は、相応する飲料および固形または半固形の即摂取食品も包含する。例としては、解凍して摂取前に摂取温度に加熱しなければならない冷凍製品がある。ヨーグルトまたはアイスクリームのような製品並びにチューインガムまたは硬質キャンディも即摂取食品を構成する。
本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類は、食品半製品においても使用し得る。用語“食品半製品”は、この場合、感覚的印象を(共同)決定する着香剤または香味料の添加後にさらに加工した状態だけで摂取することを意図する食品を称する。
本発明に従う口内衛生用に使用する調製物(口内衛生調製物とも称する口内衛生製品)は、口腔および咽頭腔を清浄化し手入れするため、さらに呼気をきれいにするための調製物を意味する。このことは、明らかに、歯および歯茎の手入れも含む。一般的な口内衛生製剤の投与剤形は、クリーム、ゲル、ペースト、発泡液、エマルジョン、懸濁液、エアゾール、スプレー並びにカプセル、顆粒、トローチ、錠剤、甘味物またはチューインガムであるが、この一覧を、本発明の目的への限定として理解すべきではない。
【0056】
栄養食、口内衛生または摂取用に使用する本発明に従う調製物用のさらなる通常の活性成分、原材料、補助剤および添加剤は、調製物の総質量基準で、5〜99.999999質量%、好ましくは10〜80質量%の量で使用し得る。また、調製物は、調製物の総質量基準で、99.999999質量%までの、好ましくは5〜80質量%の量の水も含有し得る。
本発明に従うさらに好ましい調製物は、半製品、香料、着香剤または香味料組成物、または薬味混合物である。
用語“半製品”は、この場合、とりわけ、食品半製品、即ち、感覚的印象を(共同)決定する着香剤または香味料の添加後にさらに加工した状態だけで摂取することを意図する食品を包含する。
また、本発明に従う半製品は、スプレー乾燥形でもあり得る。また、本発明に従う調製物は、カプセル、錠剤(コーティーングしていないまたはコーティーングした錠剤、例えば、胃液抵抗性コーティーング)、砂糖コーティーングピル、顆粒、ペレット、固形混合物、液相中の分散液、エマルジョン、粉末、溶液、ペースト、または食品補助物として飲み込みまたは咀嚼し得る他の調製物の形であり得る。
半製品の形にある本発明に従う調製物は、とりわけ、該半製品調製物を使用することによって製造する栄養食、口内衛生または摂取用に使用する最終製品調製物の甘味感を増強するのに使用し得る。
本発明に従うスプレー乾燥固形調製物は、とりわけ食品、口内衛生または摂取用に使用し得る本発明に従う調製物を製造するに当っての半製品としてとりわけ適する。スプレー乾燥半製品においては、とりわけ本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類の溶解性が、上記担体および/または補助剤により、とりわけ、マルトデキストリン;澱粉;加工澱粉またはアラビアゴムのような天然または合成多糖類および/または植物ゴムによって有意に改良される。本発明に従うスプレー乾燥固形半製品は、好ましくはスプレー乾燥固形調製物の総質量基準で、50〜95質量%の担体、とりわけマルトデキストリンおよび/または澱粉、5〜40質量%の補助剤、好ましくは加工澱粉またはアラビアゴムのような天然または合成多糖類および/または植物ゴム、および本発明に従って使用する1〜45質量%の式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有する。
半製品、香料、着香剤または香味料組成物、または薬味混合物を含む群から選ばれる本発明に従う調製物は、調製物の総質量基準で、0.0001質量%〜95質量%、好ましくは0.001質量%〜80質量%、とりわけ好ましくは0.01質量%〜50質量%の範囲内の合計量の(i)式(I)のヘスペレチンまたは(ii)その塩類を含有する。
【0057】
本発明に従う半製品調製物は、通常、さらなる香味料および/または着香剤、とりわけ甘味臭感を与える着香剤(上記参照)、並びに適切な溶媒(例えば、エタノール、グリセリン、1,2-プロピレングリコール、乳酸、乳酸のアルキルエステル類、有機果実酸のエチルエステル類(例えば、マロン酸ジエチル、酒石酸ジエチル、リンゴ酸ジエチル、クエン酸トリエチル、コハク酸ジエチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル))およびさらなる補助剤(例えば、着色剤、顔料、酸化防止剤、防腐剤、乳化剤、粘度調整物質)も含む。
本発明に従うスプレー乾燥固形半製品は、好ましくは、調製物の総質量基準で、1〜50質量%の本発明に従って使用するヘスペレチンおよび/またはその塩および相応する混合物、さらに各々の場合調製物の総質量基準で、0〜10質量%、好ましくは1〜10質量%の他の香味料、50〜99質量%の担体、および0〜50質量%、好ましくは1〜50質量%のさらなる補助剤および/または安定剤を含む。
本発明に従うスプレー乾燥固形調製物における有利な担体は、炭水化物および/または炭水化物ポリマー(多糖類)である。本発明に従って使用する香味料粒子における好ましい担体の例は、澱粉、分解澱粉、化学的または物理的に加工した澱粉、加工セルロース、アラビアゴム、インドゴム、トラガンス、カラヤ、カラギーナン、グアールゴム、イナゴマメゴム、アルギン酸塩、ペクチン、イヌリンまたはキサンタンゴム、デキストリンおよびマルトデキストリンのような親水コロイドである。
澱粉分解の度合は、長鎖グルコースポリマーに対して0、純粋グルコースに対して100の限定値を想定し得る固有値“デキストロース当量(DE)”を使用して測定する。
本発明に従うスプレー乾燥固形調製物用のとりわけ好ましい担体は、マルトデキストリンであり、10〜30の範囲内のDE値を有するマルトデキストリンがこの場合有利である。
スプレー乾燥固形半製品が、栄養食、口内衛生または摂取用に使用すべき本発明に従う調製物を製造するのにとりわけ適切であることは、既に説明している。
【0058】
既に説明しているように(i) 式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類は、常に、通常の溶媒(摂取するのに適切な)にあまり可溶性ではない。従って、本発明のフレームワーク内において、本発明に従って使用する(i) 式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類および相応する混合物の、とりわけ香料、着香剤または香味料組成物中のみならず、一般的には栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物中での溶解性を改善するという関連する目的が課された。この目的は、本発明によれば、本発明に従う調製物中でさらなる成分(d)を使用することによって達成される;成分(d)は、特定のエステル類および/または溶媒類を含む。
本発明に従う好ましい調製物は、さらなる成分(d)として、下記を含む:
乳酸-C1〜C6-エステル、酒石酸-ジ-C1〜C4-エステル、コハク酸-ジ-C1〜C4-エステル、マロン酸-ジ-C1〜C4-エステル、リンゴ酸-ジ-C1〜C4-エステル、クエン酸-ジ-C1〜C4-エステルおよびクエン酸-トリ-C1〜C4-エステルを含む群から選ばれる1種以上のエステル;
および/または、
1,2-プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、乳酸、エタノールおよびエタノール/水混合物を含む群から選ばれる1種以上の溶媒。
上記さらなる成分(d)とは別に、好ましくは、1種以上のさらなる着香剤、とりわけ、甘味臭感を与え、好ましくは、このタイプの上述した群の着香剤から選ばれる着香剤も存在する。
本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類および相応する混合物の溶解性を増大させるのにとりわけ好ましいのは、乳酸エチル、乳酸n-プロピル、乳酸n-ブチル、酒石酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、リンゴ酸ジメチル、リンゴ酸ジエチルおよびクエン酸トリエチルを含む群から選ばれるエステル類、並びに溶媒の1,2-プロピレングリコールである。
上記のエステル類は、基礎をなす酸に応じて、純粋物質または可能性ある立体異性体混合物としての全ての可能性ある立体異性体の形にあり得る。
上記のエステル類または溶媒類を含む本発明に従う香料、着香剤または香味料組成物は、極めて良好な溶解性を誘発させ、本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類および相応する混合物の再結晶化する有意の性向を阻止する。従って、これらの組成物は、栄養食、口内衛生または摂取用に本発明に従って使用する調製物中に混入するのにとりわけ適している。本発明に従う香料、着香剤または香味料組成物中のヘスペレチンまたはその塩類の好ましい濃度に関しては、上記の説明を参照されたい。
【0059】
栄養食、口内衛生または摂取用に使用する本発明に従う調製物は、好ましくは、物質としての、溶液(例えば、エタノール、水、乳酸、1,2-プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド中の、必要に応じて、上述のエステル類または溶媒類の1つの存在する)としてのまたは固形もしくは液体担体(例えば、マルトデキストリン、澱粉、シリカゲル)との混合物の形の式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類または相応する混合物;香味料または着香剤;および任意成分としてのさらなる補助剤および/または安定剤(例えば、加工澱粉またはアラビアゴムのような天然または合成多糖類および/または植物ゴム類)を、即ち、半製品の形で、栄養食、口内衛生または摂取用に使用するベース調製物中に混入することによって製造する。溶液および/またはエマルジョンまたは懸濁液の形の本発明に従う調製物は、有利には、これを栄養食、口内衛生または摂取用に本発明に従って使用する調製物の製造前に、スプレー乾燥により、最初に本発明に従う固形調製物(半製品)に転換し得る。栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物を製造するためのスプレー乾燥半製品の特定の適応性については、上記の説明を参照されたい。
さらに好ましい実施態様によれば、本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類並びに本発明に従う調製物の任意成分としての他の成分を、先ず、エマルジョン、例えばホスファチジルコリンから出発するリポソーム中に、食品および半高級食品用に適するマトリックス、例えば、澱粉、澱粉誘導体(例えば、加工澱粉)、セルロースまたはセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)、他の多糖類(例えば、デキストリン、アルギン酸塩、カードラン、カラギーナン、キチン、キトサン、プルラン)、天然油脂、天然ワックス(例えば、蜜蝋、カルナバワックス)、タンパク質、例えば、ゼラチン、または他の天然産生物(例えば、シェラック)のミクロスフィア、ナノスフィア、カプセル、顆粒または押出加工物中に混入して、本発明に従う調製物を製造する。この方法において、製品を、マトリックスに応じて、スプレー乾燥、スプレー造粒、溶融造粒、流動床法(例えば、WO 97/16078号またはWO 2004/022642号に従う)、流動床スプレー造粒法(例えば、WO 00/36931号または米国特許第4,946,654号に従う)、コアセルベーション、凝集、押出加工、溶融押出(例えば、WO 2003/092412号、EP 1 123 660号またはEP 1 034 705号に従う)、エマルジョン法、コーティーングまたは他の適切なカプセル化方法、および必要に応じてのこれら方法の適切な組合せによって得ることができる。本発明に従う調製物のさらに好ましい製造方法においては、本発明に従って使用するヘスペレチンまたはその塩類を、先ず、1種以上の適切な複合体化剤により、例えば、シクロデキストリンまたはシクロデキストリン誘導体、好ましくはアルファ-またはベータ-シクロデキストリンにより複合体化し、この複合体化形で使用する。
ある場合においては、本発明に従う調製物は、好ましくは、マトリックスを、本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類をマトリックスから遅延して放出させ、それによって、長持続性効果が得られるように選定した調製物である。この点、とりわけ好ましいのは、油脂、ワックス、多糖類またはタンパク質マトリックスである。
【0060】
栄養食または摂取用に使用する本発明に従う調製物用のさらなる成分としては、食品または半高級食品用の通常の原材料、補助剤および添加剤、例えば、水;生または加工した野菜または動物の基本または原材料の混合物(例えば、生の、焼いた、乾燥させた、発酵させた、燻製のおよび/または加熱処理した肉、骨、軟骨、魚、野菜、果実、ハーブ類、ナッツ類、野菜または果実ジュースまたはペースト、またはこれらの混合物);消化性または非消化性炭水化物(例えば、サッカロース、マルトース、フルクトース、グルコース、デキストリン類、アミロース、アミロペクチン、イヌリン、キシラン、セルロース、タガトース);糖アルコール類(例えば、ソルビトール、エリスリトール);天然または硬化油脂(例えば、獣脂、ラード、パームバター、ココナツ油、水素化植物油脂);油類(例えば、ヒマワリ油、ピーナツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、魚油、大豆油、ゴマ油);脂肪酸またはその塩類(例えば、ステアリン酸カリウム);タンパク質形成性または非タンパク質形成性アミノ酸および関連化合物(例えば、γ-アミノ酪酸、タウリン);ペプチド類(例えば、グルタチオン);天然または加工タンパク質(例えば、ゼラチン類);酵素類(例えば、ペプチダーゼ類);核酸;ヌクレオチド類;不愉快味覚に対する矯味剤;さらなる一般的には不愉快でない味覚に対するさらなる味覚調整剤;他の味覚調整物質(例えば、イノシトールホスフェート;グアノシンモノホスフェート、アデノシンモノホスフェートのようなヌクレオチド類;またはグルタミン酸ナトリウムまたは2-フェノキシプロピオン酸のような他の物質);乳化剤(例えば、レシチン類、ジアシルグリセリン類、アラビアゴム)、安定剤(例えば、カラギーナン、アルギン酸塩);防腐剤(例えば、安息香酸、ソルビン酸);酸化防止剤(例えば、トコフェロール、アスコルビン酸);キレート化剤(例えば、クエン酸)、有機または無機酸(例えば、リンゴ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リン酸);苦味成分(例えば、キニーネ、カフェイン、リモニン、アマロゲンチン、フモロン、ルポロン、カテキン類、タンニン類);ミネラル塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、リン酸ナトリウム);酵素による褐変を防止する物質(例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸);エーテル油;植物抽出物;天然または合成着色剤または着色用顔料(例えば、カロチノイド類、フラボノイド類、アントシアン類、クロロフィルおよびその誘導体);薬味;三叉神経活性物質またはそのような三叉神経活性物質を含む植物抽出物;合成、天然または天然同等性着香剤または香料;および矯臭剤を使用し得る。
【0061】
本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有するデンタルケア製品(本発明に従う口内衛生製品の例としての)は、一般に、例えば、ケイ酸、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウムおよび/またはヒドロキシルアパタイトのような研磨系(研磨剤または艶出し剤);例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウムおよび/またはコカミドプロピルベタインのような表面活性物質;例えば、グリセリンおよび/またはソルビトールのような保湿剤;例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール類、カラギーナンおよびLaponiteRのような増粘剤;例えば、サッカリンのような甘味化剤;不愉快味覚に対する矯味剤;さらなる一般的には不愉快でない味覚に対する矯味剤;味覚調整物質(例えば、イノシトールホスフェート;グアノシンモノホスフェート、アデノシンモノホスフェートのようなヌクレオチド類;またはグルタミン酸ナトリウムまたは2-フェノキシプロピオン酸のような他の物質);例えば、メントール、メントール誘導体(例えば、L-メントール、L-メンチルラクテート、L-メンチルアルキルカーボネート、メントンケタール類、メタン炭酸アミド類)、2,2,2-トリアルキル酢酸アミド類(例えば、2,2-ジイソプロピルプロピオン酸メチルアミド)、イチリンおよびイチリン誘導体のような冷却活性成分;例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、二フッ化スズ、フッ化第四級アンモニウム、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ピロリン酸スズ、二塩化スズ、各種ピロリン酸塩の混合物、トリクロサン、セチルピリジニウムクロライド、乳酸アルミニウム、クエン酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、塩化ストロンチウム、過酸化水素のような安定剤および活性成分;香味料および/または重炭酸ナトリウム;または矯臭剤を含む。
【0062】
本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類を含有するチューインガム(口内衛生用に使用する調製物のさらなる例としての)は、一般に、チューインガム基材、即ち、咀嚼時に可塑化する咀嚼用配合物;各種タイプの糖、糖代替物、他の甘味物質、糖アルコール;不愉快味覚に対する矯味剤;さらなる一般的には不愉快でない味覚に対する他の味覚調整剤(例えば、イノシトールホスフェート;グアノシンモノホスフェート、アデノシンモノホスフェートのようなヌクレオチド類;またはグルタミン酸ナトリウムまたは2-フェノキシプロピオン酸のような他の物質);保湿剤;増粘剤;乳化剤;香味料;および安定剤または矯臭剤を含む。
本発明に従うとりわけ好ましい調製物は、苦味、金属味、チョークぽい味、酸味または渋味感を隠蔽または低減するための或いは甘味、塩味または香味感を増強するための少なくとも1種のさらなる物質を含む。本発明に従って使用するヘスペレチンおよび/またはその塩類または相応する混合物は、そのように、不愉快な(苦い、チョークぽい、酸っぱい、渋い)味覚を隠蔽または低減するための或いは好ましい味覚(甘味、塩味、香味)を増強するのに適する少なくとも1種の(さらなる)物質と組合せて使用する。これらの特定の調製物は、甘味物質を含有する本発明に従う調製物の甘味のとりわけ有効な増強を達成するのに極めて適している。本発明に従って使用するヘスペレチンおよび/またはその塩類と、不愉快な、とりわけ苦い味覚の矯味剤または好ましい、とりわけ甘い味覚の香味増強剤との組合せは、とりわけ好ましい。
【0063】
とりわけ好ましいのは、4-ヒドロキシジヒドロカルコン類(構造については下記参照)またはその塩類を含む本発明に従う調製物である。
4-ヒドロキシジヒドロカルコン類は、下記の構造式を有する:
【化7】

(式中、R1、R2、R3およびR4は、互いに個々に、H、OHまたはO-アルキル (好ましくは1〜4個の炭素原子を有する、即ち、好ましくはC1〜C4アルコキシ)を示す;但し、上記の基の少なくとも1つは、R1、R2またはR3 OHを示すことを条件とする)。
即ち、上記甘味物質、とりわけ、糖類の甘味を増強するための、式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類または相応する混合物の4-ヒドロキシジヒドロカルコン類またはその塩(とりわけ、Na+、K+、NH4+、Ca2+、Mg2+、Al3+および/またはZn2+塩)との一緒の使用によるとりわけ好ましい組合せが生ずる。4-ヒドロキシジヒドロカルコン類の甘味増強効果に関しては、米国特許仮出願第60/784,444号およびこれに基づく文献(Symrise)も参照されたい。式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類または相応する混合物の合計含有量は、この場合、好ましくは多くとも0.01質量%(100ppm)であり、4-ヒドロキシジヒドロカルコン類またはその塩の合計含有量は、好ましくは多くとも0.01質量%(100ppm)である(各々の場合、調製物の総質量基準)。上記の合計含有量は、栄養食、口内衛生または摂取用に使用する即使用調製物に関する。半製品、香料、着香剤または香味料組成物においては、その合計量は、相応して、はるかに高い。(i)ヘスペレチンと(ii)その塩類の合計量対4-ヒドロキシジヒドロカルコン類またはその塩の合計量の比は、好ましくは1000:1〜1:1000の範囲内、好ましくは10:1〜1:10の範囲内、とりわけ好ましくは5:1〜1:5の範囲内、さらにとりわけ好ましくは7:3〜3:7の範囲内で使用する。
【0064】
上記(さらなる)矯味剤は、例えば、以下の目録から選択する:ヌクレオチド類(例えば、アデノシン-5'-モノホスフェート、キチジン-5'-モノホスフェート)またはその製薬上許容し得る塩類;ラクチソール類;ナトリウム塩類(例えば、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム);とりわけ米国特許第2002 188,019号に従う、さらなるヒドロキシフラバノン類(例えば、エリオジクチオール、ホモエリオジクチオールまたはこれらのナトリウム塩類);DE 10 2004 041 496号に従う、ヒドロキシ安息香酸アミド類(例えば、2,4-ジヒドロキシ安息香酸バニリルアミド、2,4-ジヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド、2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド、2-ヒドロキシ安息香酸-N-4-(ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド、4-ヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド、2,4-ジヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド-モノナトリウム塩、2,4-ジヒドロキシ安息香酸-N-2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチルアミド、2,4-ジヒドロキシ安息香酸-N-(4-ヒドロキシ-3-メトキシベンジル)アミド、2,4-ジヒドロキシ安息香酸-N-(3,4-ジヒドロキシベンジル)アミドおよび2-ヒドロキシ-5-メトキシ-N-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エチル]アミド(アズンカミド)、4-ヒドロキシ安息香酸バニリルアミド);米国特許仮出願第60/668,189号およびこれに基づく文献(Symrise)に従う、苦味隠蔽用ヒドロキシデオキシベンゾイン類(例えば、2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1-(2,4,6-トリヒドロキシフェニル)エタノン、1-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタノン、1-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)エタノン);アミノ酸類(例えば、苦味のような不愉快な味覚を低減または隠蔽するためのWO 2005/096841号に従うガンマ-アミノ酪酸);WO 2006/003107号に従うリンゴ酸グリコシド類;米国特許仮出願第60/728,744号およびこれに基づく文献(Symrise)に従う、塩味混合物;PCT/EP 2005/056335号およびこれに基づく文献(Symrise)に従うジアセチルトリマー類;乳精タンパク質とレシチンおよび/または苦味隠蔽物質(米国特許仮出願第60/696,670号およびこれに基づく文献(Symrise)に従うジンジャージオン(gingerdione)のような)との混合物。
【0065】
本発明に従う調製物が、とりわけ、栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物;半製品;香料;着香剤または香味料組成物;または薬味混合物を含む群から選ばれることは、既に数回説明している。好ましい本発明に従う調製物を以下に示す:パン、ケーキおよびペストリー類(例えば、パン、ビスケット、ケーキ、マフィン、ワッフル、ベーキング混合物、他のベーカリー品目);
製菓(例えば、ホワイト、ミルクまたはダークチョコレート、詰め物チョコレート(例えば、アフターエイトタイプの香ばしいフォンダン塊を詰めた)、チョコレート棒、他の棒タイプ製品、咀嚼甘味物、フルーツガム、硬質および軟質タフィー類、チューインガム、砂糖ドロップ、棒付きキャンディ類)、カプセル菓子(好ましくは、好ましくはゼラチンおよび/またはアルギン酸塩をベースとするコーティーングを有する直接摂取用のシームレスカプセル);油脂配合物(例えば、パン、ケーキおよびペストリー用の詰め物、例えば、ビスケットの詰め物、チョコレート油脂詰め物、棒油脂詰め物);トッピング類;アルコールまたはノンアルコール飲料(例えば、コーヒー、ティー、ワイン、ワイン含有飲料、ビール、ビール含有飲料、リキュール類、シュナップス類、ブランディー、果実含有ソフトドリンク、アイソトニック飲料、ソフトドリンク、果汁類、フルーツおよび野菜ジュース(天然カンキツ産生物以外の果実または野菜調製物));インスタント飲料またはインスタント粉末(例えば、インスタントココア飲料、インスタントティー飲料、インスタントコーヒー飲料、ブラマンジェ粉末またはジェリーのような粉末形のインスタントデザート類);肉製品(例えば、ハム、フレッシュソーセージまたは生ソーセージ調製物、酢漬けまたは油漬けの生または塩肉製品);卵または卵製品(例えば、乾燥卵粉末);シリアル製品および/またはナッツ製品(例えば、朝食シリアル、コーンフレーク、オートフレーク、バルクミューズリ、ミューズリ棒、ナッツおよびレーズン類、スウィートポップコーン、ナッツ棒、ナッツおよびフルーツ棒、加熱処理済み米製品);乳製品(例えば、乳飲料、乳アイスクリーム、ヨーグルト、ブラマンジェ、ケフィア、クリームチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、乾燥粉乳、乳清、バター、バターミルク、部分または完全加水分解乳タンパク質含有製品);大豆タンパク質または他の大豆画分から製造した製品(例えば、豆乳および豆乳から製造した製品、大豆レシチン含有調製物、豆腐またはテンペのような発酵製品またはこれらから製造した製品、醤油);果実調製物(例えば、ジャム、シャーベット、フルーツソース、天然カンキツ産生物以外の果実充填物);野菜調製物(例えば、ケチャップ、ソース類、乾燥野菜、加熱処理済み野菜、酢漬け野菜、保存野菜);スナック類(例えば、ベークドまたはフライドポテトチップまたはポテト生地製品、パン生地製品、トウモロコシまたはピーナツをベースとする押出物);油脂をベースとする製品または相応する乳化物(例えば、マヨネーズ、レムラード、ドレッシング、薬味調製物)、他のインスタント食品およびスープ類(例えば、乾燥スープ、インスタントスープ、加熱処理済みスープ)、薬味、薬味混合物、とりわけ、例えばスナック部門で使用する調味料。
【0066】
また、本発明に従う調製物は、カプセル、錠剤(コーティーングしていないまたはコーティーングした錠剤、例えば、胃液抵抗性コーティーング)、砂糖コーティーングピル、顆粒、ペレット、固形混合物、液相中の分散液、エマルジョン、粉末、溶液、ペースト、または食品補助物として飲み込みまたは咀嚼し得る他の調製物の形であり得る。
また、本発明は、下記の工程を含むことを特徴とする、甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感の増強方法にも関する:
‐1種以上の甘味物質(成分(b))または1種以上の甘味臭感を与える着香剤(成分(c))を、上記で定義したような合計量の成分(a)と、即ち、上記調製物中の成分(a)の合計量が上記甘味物質(b)の甘味感または上記甘味臭感を与える着香剤(c)の甘味臭感を感覚的に増強するのに十分であるような式(I)のヘスペレチンおよび/または(ii)その塩類または相応する混合物の合計量と混合する工程。
本発明に従って使用する式(I)のヘスペレチンおよび/またはその塩類および相応する混合物の好ましい量については上記を参照されたい。口内衛生用に使用する即使用調製物または栄養食または摂取用に使用する即摂取調製物における少なくとも5ppmおよび多くとも100ppmの合計濃度が、多くの場合、とりわけ好ましい。
しかしながら、全体として、本発明に従う使用および本発明に従う調製物に関して上記で行った説明は、本発明に従う方法に対しても当てはまる。
【0067】
(実施例)
以下の実施例により本発明を明確にするが、それによって本発明を限定するものではない。特に断らない限り、詳細は、全て質量を示す。
以下の実施例において使用するヘスペレチンは、>90、好ましくは>95質量%の純度および-20〜-60°の[α]D25 (エタノール中c = 1 %、l = 1 dm) の回転量を有する。-37.6°の回転量が文献に示されている(Merck Index, 12th edition, Merck & Co., page 798, entry 4704)。
応用例3:最終製品の着香用半製品としてのスプレー乾燥調製物



飲料水を容器に入れ、マルトデキストリンとアラビアゴムを飲料水中に溶解させた。次いで、ヘスペレチンおよび/またはフロレチンを、Turraxを使用して、担体溶液中に乳化させた。スプレー溶液の温度は、30℃を超えてはならない。引続き、混合物をスプレー乾燥させた(入口の所望温度:185〜195℃、出口の所望温度:70〜75℃)。スプレー乾燥半製品は、およそ18〜22%のヘスペレチンを含有していた。
【0068】
応用例4:さらなる味覚調整物質を使用することによる最終製品の着香用半製品としてのスプレー乾燥調製物



飲料水を容器内に入れ、マルトデキストリンとアラビアゴムを飲料水中に溶解させた。引続き、着香剤を、ミキサー(Turrax)を使用して、担体溶液中に乳化させた。得られる混合物の温度は、30℃を超えてはならない。その後、混合物をスプレー乾燥させた(入口の所望温度:185〜195℃、出口の所望温度:70〜75℃)。スプレー乾燥半製品は、およそ18〜22%着香剤を含有していた。
【0069】
応用例5:甘味料として各甘味物質の組合せ



各成分を所定の順序で混合した。得られた生成物は、食品または半高級食品、例えば、コーヒーまたはティー用の甘味料として使用し得る。
使用の例として、ティーと上記生成物を混合し、濾紙製のティーバッグにパックした。使用に当っては、100〜250mlの沸騰水をティーバッグに注ぎ、2〜5分間浸出させた。
【0070】
応用例6:甘味増強用香味料混合物



表に示した各成分を所定の順序で撹拌することによって混合し、必要に応じ、20〜-50℃に加熱することによって完全に均質化した。明らかに無色ないし黄色味の溶液を得、これは香味料として使用することができた。
【0071】
応用例7:チューインガム
応用例7a



区分A〜Dを混合し激しく混練した。該原料混合物は、例えば、薄いストリップ形状に加工して、即摂取チューインガムとし得る。
【0072】
応用例7b:非粘着性チューインガム
チューインガム基材 K1は、2.0%のブチルゴム(イソブテン-イソプレン-コポリマー、MW 400000)、6.0%のポリイソブテン(MW = 43800)、43.5%のポリ酢酸ビニル(MW = 12000)、31.5%のポリ酢酸ビニル(MW = 47000)、6.75%のトリアセチンおよび10.25%の炭酸カルシウムからなっていた。チューインガム基材 K1およびチューインガムは、米国特許第5,601,858号と同様にして製造し得る。


【0073】
応用例7c:風船ガム
風船ガムは、米国特許第5,093,136号と同様にして製造し得る。



レシピ(I)のチューインガムを、モールドから、圧縮ボールとして取出し、レシピ(II)のチューインガムを中空ボールとして取出した。
【0074】
応用例7d:チューインガム
チューインガム基礎剤 K2は、28.5%のテルペン樹脂、33.9%のポリ酢酸ビニル(MW = 14000)、16.25%の水素化植物油、5.5%のモノ-およびジグリセリド、0.5%のポリイソブテン(MW 75000)、2.0%のブチルゴム(イソブテン-イソプレンコポリマー)、4.6%の非晶質二酸化ケイ素(水分含有量約2.5%)、0.05%の酸化防止剤 tert.-ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、0.2%のレシチン、および8.5%の炭酸カルシウムからなっていた。チューインガム基礎剤K2およびチューインガムは、米国特許第6,986,907号と同様にして製造し得る。



レシピ(I)および(II)のチューインガムを、モールドから、ストリップとして取出し、レシピ(III)のチューインガムをペレットとして取出した。
【0075】
応用例8:練り歯磨き



区分AおよびBの成分は、各々、独自に予備混合し、真空下に25〜30℃で30分間一緒に十分に撹拌した。区分Cを予備混合し、AおよびBに加える;Dを添加し、混合物を真空下に25〜30℃で30分間十分に撹拌した。緩和させた後、練り歯磨きを仕上げ、複数の容器に傾注した。
【0076】
応用例9:減糖ソフトドリンク
通常のスクロース含有量を有する比較用調製物(A)
低減したスクロース含有量を有する比較調製物(B)
本発明に従う調製物(C〜H)



各物質を容器に入れ、水を補給し、溶解させる。
【0077】
応用例10:他の着香剤および香味料と一緒の減糖ソフトドリンクにおけるの使用



各物質を容器に入れ、水を補給し100%にして、溶解させた。生成物を複数のボトルに傾注し、必要に応じて炭酸化した。
【0078】
応用例11:無糖硬質キャンディ



パラチナイトを水と混合し、混合物を165℃で溶融し、次いで、115℃に冷却した。ペパーミント香味料とヘスペレチンを添加し、十分に混合した後、混合物をモールド内に注入し、固化させた後、モールドから取出し、その後、個々に包装した。
【0079】
応用例12:減糖ホットブラマンジェタイプのプディング
通常のスクロース含有量を有する比較用調製物(A)
低減したスクロース含有量を有する比較調製物(B)
低減したスクロース含有量を有しヘスペレチンを含む本発明に従う調製物(C)
低減スクロース含有量を有し、D-タガトースとヘスペレチンを含む本発明に従う調製物(D)


各固形物質を容器に入れ、牛乳と一緒に撹拌する。混合物を、十分に撹拌しながら、95℃に2時間加熱し、デカンテーションし、5〜8℃に冷却した。
7.8%スクロース含有比較用調製物Aの甘味を、味見試験者による味見中に、僅かに遅れた甘味感でもって調製物Cによって達成し得ていた。調製物Cは、比較用調製物Bと比較して、有意に甘かった。調製物Dは、Cと匹敵していたが、改良された初期甘味を有していた。
【0080】
応用例13:低脂肪ヨーグルト
糖分を含む比較用調製物(A)
甘味料混合物およびヘスペレチンを有する本発明に従う調製物(B〜C)



各成分を混合し、5℃に冷却した。
【0081】
応用例14:低脂肪ヨーグルトにおける甘味料と一緒の使用
甘味料混合物を含む比較用調製物(A)
甘味料混合物およびヘスペレチンを含む本発明に従う調製物(B〜C)



各成分を混合し、5℃に冷却した。
【0082】
応用例15:乳混合飲料
糖分を含む比較用調製物(A〜B)
糖およびヘスペレチンを有する本発明に従う調製物(C〜D)



各成分を混合し、牛乳を補給し、十分に撹拌し、複数のボトルに傾注し、5℃に冷却保存した。
【0083】
応用例16:減糖トマトケチャプ
糖分を含む比較用調製物(A)
低減した糖含有物を有する比較用調製物(B)
糖分およびヘスペレチンを含む本発明に従う調製物(C〜I)



各成分を所定の順序で混合し、完成ケチャップを、撹拌機を使用して均質化し、複数のボトルに傾注し、滅菌した。
【0084】
応用例17:減糖アイスクリーム
糖分を含む比較用調製物(A)
低減した糖含有量を有する比較調製物(B)
糖分およびヘスペレチンを含む本発明に従う調製物(C〜F)



脱脂乳とグルコースシロップを55℃に加熱し、糖、脱脂粉乳および乳化剤を添加した。植物脂肪を予備加熱し、塊状物全体を58℃に加熱した。香味料を添加した後、混合物を、スルーフロー高圧ホモジナイザーを使用して均質化した(180/50バール)。得られた塊状物を78℃に1分間加熱し、その後、2〜-4℃に冷却し、この温度で10時間インキュベートしてエージングした。その後、エージングした塊状物を、デカンテーションし、-18℃で凍結保存した。
【0085】
応用例18:糖尿病に適するアイスクリーム
糖尿病に適するアイスクリームを、下記の成分から製造し、複数のチューブに、各々95mL部で傾注した:
濃縮脱脂乳、フルクトースシロップ、イチゴ片およびイチゴピューレ(15%)、植物油脂、糖尿病用チョコレートチップ(3.5%、大豆レシチンを含む乳化剤を含む)、乳清生成物、赤カブジュース、イナゴマメガム、グアーガム、カラギーン、乳化剤(E 471)、ゼラチン、酸、クエン酸、イチゴ香味料(イチゴ香味料の総質量基準で1質量%のヘスペレチンを含有する)、カロチン着色剤。
栄養価(95mL当り):タンパク質1.8g、炭水化物13.3g(そのうち、フルクトース9.5g)、脂肪4.2g。
【0086】
応用例19:マルチトールをベースとする糖尿病用チョコレート
糖尿病に適するチョコレートを、下記の成分から製造し、 矩形ブロック中に注入した:
マルチトール、へーゼルナッツ配合物、ココアバター、脱脂粉乳、ココア塊、イヌリン、濃縮バター、乳化剤大豆レシチン、バニラ香味料(バニラ鞘抽出物、バニリンおよびバニラ香味料の総質量基準で1質量%のヘスペレチンを含有する)。
栄養価(100g当り):タンパク質8g、炭水化物43g(そのうち、マルチトール34g)、脂肪34g。
【0087】
応用例20:フルクトースをベースとする糖尿病用チョコレート
糖尿病に適するチョコレートを、下記の成分から製造し、 矩形ブロック中に注入した:
ココア塊、フルクトース、脱脂粉乳、ココアバター、イヌリン、濃縮バター、乳化剤大豆レシチン、クルミナッツ、調理塩、バニラ香味料(バニリンおよびバニラ香味料の総質量基準で1質量%のヘスペレチンを含有する)。
栄養価(100g当り):タンパク質8.8g、炭水化物34g(そのうち、フルクトース23g、ラクトース7.5g、サッカロース1.4g)、脂肪36g;繊維18.5 (そのうち、12.2gのイヌリン);ナトリウム:0.10g。
少なくとも50質量%のココア含有量。
【0088】
応用例21:減糖ミューズリ混合物



番号1〜6の成分の各々を回転ドラム内で混合する(混合物1)。番号7〜9の成分の各々を加熱し、番号10の成分を添加する(レシピBにおいては、番号11の成分も添加する) (混合物2)。各々の場合において混合物2を混合物1に添加し、十分に混合する。最後に、得られたミューズリ混合物をベーキングシート上に置き、130℃のオーブン内で8分間乾燥させる。
レシピAの全糖変形物とレシピBの30%少ない糖を含むミューズリ混合物間の甘味覚は、熟練者グループによって同等に明白であると格付けされた。甘味感における差異は、さらなる三点試験法においても見出せなかった。
【0089】
応用例22:減糖フルーツガム
下記に示すレシピAの全糖フルーツガムとレシピBの減糖フルーツガム(サッカロース含有量を76%減少させている)間の甘味覚は、双方の場合において、熟練者グループによって同等に明白であると格付けされた。甘味感における差異は、さらなる三点試験法においても見出せなかった。



ポリデキストロースは、それ自体は甘味を示さない多糖類であり、低カロリー値を有する。
【0090】
応用例23:チョコレート・カプチーノアイスクリーム
下記に示すレシピAの全糖アイスクリームとレシピBの減糖アイスクリーム(サッカロース含有量を25%減少させている)間の甘味覚を、双方の場合において、熟練者グループによって同等に明白であると格付けされた。甘味感における差異は、さらなる三点試験法においても見出せなかった。


【0091】
応用例24:直接摂取用のゼラチンカプセル



直接摂取用に適するゼラチンカプセルは、WO 2004/050069号に従って製造し、5mmの直径を有し、コア材料:ケーシング材料の質量比は、90:10であった。カプセルは、口内で10秒未満で開き、50秒未満で完全に溶解した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)を有するヘスペレチン;式(I)のヘスペレチンの塩;式(I)のヘスペレチンの2種以上の塩を含むまたはそれらの塩からなる混合物;または、式(I)のヘスペレチンおよび式(I)のヘスペレチンの1種以上の塩を含むまたはそれらからなる混合物の、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための使用:
【化1】

(I)
(式(I)のヘスペレチンは、(2S)-鏡像異性体、(2R)-鏡像異性体またはこれら2つの鏡像異性体の任意の所望混合物の形にある)。
【請求項2】
式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体および式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体の塩の物質量画分の合計が、式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体、式(I)のヘスペレチンの(2R)-鏡像異性体およびこれら鏡像異性体の塩の総物質量画分基準で、50%よりも多いかまたは50%に等しく、好ましくは80%よりも多いかまたは80%に等しく、とりわけ好ましくは100%である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物における、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための、請求項1または2記載の使用。
【請求項4】
即摂取食品および準高級食品における、(i) ヘスペレチンおよび/または(ii) その塩の濃度が、即摂取食品および準高級食品の総質量基準で、0.05質量%未満、好ましくは0.025質量%未満、好ましくは0.02質量%未満、とりわけ好ましくは0.01質量%未満である、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感を増強するための、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用。
【請求項5】
下記の成分を含む、栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物;半製品;香料;着香剤または香味料組成物;または薬味混合物を含む群からの調製物:
(a) 下記の式(I):
【化2】

(I)
(式(I)のヘスペレチンは、(2S)-鏡像異性体、(2R)-鏡像異性体またはこれら2つの鏡像異性体の任意の所望混合物の形にある)
を有するヘスペレチン;式(I)のヘスペレチンの塩;式(I)のヘスペレチンの2種以上の塩を含むまたはこれらの塩からなる混合物;または、式(I)のヘスペレチンおよび式(I)のヘスペレチンの1種以上の塩を含むまたはこれらからなる混合物;および、
(b) 1種以上のさらなる甘味物質;および/または、
(c) 甘味臭感を与える1種以上の着香剤;
(上記において、前記調製物中の成分(a)の総量は、甘味物質(b)の甘味感または甘味臭感を与える着香剤(c)の甘味臭感を感覚的に超比例的に増強するのに十分な量である)。
【請求項6】
式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体およびその塩の物質量画分の合計が、式(I)のヘスペレチンの(2S)-鏡像異性体、式(I)のヘスペレチンの(2R)-鏡像異性体およびこれら鏡像異性体の塩の総物質量画分基準で、50%よりも多いかまたは50%に等しく、好ましくは80%よりも多いかまたは80%に等しく、とりわけ好ましくは100%である、請求項5記載の調製物。
【請求項7】
成分(b)として1種以上の糖類を含み、前記調製物中の式(I)のヘスペレチン(i)およびその塩(ii) (成分(a))の総量が、他は同一成分を含み且つ式(I)のヘスペレチン(i)もその塩(ii)も含有しないが少なくとも1.05倍の量の糖類を含有する調製物または半製品と比較して、同等または増強された甘味感を与えるのに十分な量である、請求項5または6記載の調製物。
【請求項8】
前記ヘスペレチンおよび/またはその塩が、(a) 硬葉常緑植物、とりわけ、アルテミシア キサントクロア(Artemisia xanthochroa)またはキソタムヌス(Chysothamnus)亜種の浸出液の形ではなく、さらに、(b) 同じカンキツ産生物の成分としての他のフラバノン類とは一緒に使用しない、請求項5〜7のいずれか1項記載の調製物。
【請求項9】
下記を含む、請求項5〜8のいずれか1項記載の調製物:
(b) 1種以上のさらなる甘味物質であって、該さらなる甘味物質は下記を含む群から選ばれる:
(i) スクロース、トレハロース、ラクトース、マルトース、メリジトース、メリビオース、ラフィノース、パラチノース、ラクツロース、D-フルクトース、D-グルコース、D-ガラクトース、L-ラムノース、D-ソルボース、D-マンノース、D-タガトース、D-アラビノース、L-アラビノース、D-リボース、D-グリセルアルデヒド、マルトデキストリン、およびこれら炭水化物の1種以上を含有する植物調製物を含む群から選ばれる1種以上の炭水化物;
(ii) グリセリン、エリスリトール、スレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ズルシトールおよびラクチトールを含む群から選ばれる1種以上の糖アルコール;
(iii) ミラクリン、モネリン、タウマチン、クルクリン、ブラゼイン、グリシン、D-ロイシン、D-スレオニン、D-アスパラギン、D-フェニルアラニン、D-トリプトファン、L-プロリンを含む群からの1種以上のタンパク質および/またはアミノ酸類;
(iv) マガップ、シクラミン酸ナトリウム、アセスルファムK、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルコン、サッカリン-ナトリウム塩、アスパルテーム、スーパーアスパルテーム、ネオテーム、アリテーム、スクラロース、ステビオシド、レバウディオシド、ラグドゥネーム、カレラーム、スクロノネート、スクロオクテート、モナチンおよびフィロズルチンを含む群からの1種以上の甘味料;および、
これらの混合物;
および/または、
(c) 甘味臭感を与える1種以上の着香剤であって、該甘味臭感を与えるさらなる着香剤は下記を含む群から選ばれる:
バニリン、エチルバニリン、エチルバニリンイソブチレート(= 3-エトキシ-4-イソブチリルオキシベンズアルデヒド)、フラネオール(FuraneolR、(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン))および誘導体(例えば、ホモフラネオール、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-3(2H)-フラノン)、ホモフラノール (2-エチル-5-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)および5-エチル-2-メチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノン)、マルトールおよび誘導体(例えば、エチルマルトール)、クマリンおよび誘導体、ガンマ-ラクトン類(例えば、ガンマ-ウンデカラクトン、ガンマ-ノナラクトン)、デルタ-ラクトン類(例えば、4-メチルデルタラクトン、マッソイラクトン、デルタデカラクトン、ツベロラクトン)、メチルソルベート、ジバニリン、4-ヒドロキシ-2(または5)-エチル-5(または2)-メチル-3(2H)-フラノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン、3-ヒドロキシ-4,5-ジメチル-2(5H)-フラノン、果実エステルおよび果実ラクトン類(例えば、酢酸-n-ブチルエステル、酢酸イソアミルエステル、プロピオン酸エチルエステル、酪酸エチル、酪酸-n-ブチルエステル、酪酸イソアミルエステル、酪酸3-メチル-エチル、n-カプロン酸エチルエステル、n-カプロン酸アリルエステル、n-カプロン酸-n-ブチルエステル、n-オクタン酸エチルエステル、エチル-3-メチル-3-フェニルグリシデート、エチル-2-トランス-4-シス-デカジエノエート)、4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキサン、2,6-ジメチル-5-ヘプタン-1-アルおよびフェニルアセトアルデヒド。
【請求項10】
調製物の総質量基準で、0.05質量%(500ppm)未満、好ましくは0.025質量%(250ppm)未満、とりわけ好ましくは0.01質量%(100ppm)未満の合計量の(i) 式(I)のヘスペレチンおよび(ii) その塩を含む、請求項5〜9のいずれか1項記載の栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物。
【請求項11】
前記調製物の総質量基準で、0.1〜500ppm、好ましくは1〜250ppm、とりわけ好ましくは5〜100ppmの範囲内の合計量の(i) 式(I)のヘスペレチンおよび(ii) その塩を含む、請求項5〜10のいずれか1項記載の食品、口内衛生または摂取用に使用する調製物。
【請求項12】
前記調製物が、(A)製菓、(B)アルコールもしくはノンアルコール飲料またはインスタント飲料、(C)シリアル製品またはナッツ製品、(D)乳製品、(E)果実および/または野菜調製物、(F)油脂をベースとする製品またはそのエマルジョン、(G)口内衛生製品を含む群から選ばれる、請求項5〜11のいずれか1項記載の栄養食、口内衛生または摂取用に使用する調製物。
【請求項13】
前記調製物の総質量基準で、0.0001質量%〜95質量%、好ましくは0.001質量%〜80質量%、とりわけ好ましくは0.001質量%〜50質量%範囲の合計量の(i)式(I)のヘスペレチンまたは(ii)その塩を含む、半製品、香料、着香剤または香味料組成物または薬味混合物を含む群から選ばれる、請求項5〜9のいずれか1項記載の調製物。
【請求項14】
スプレー乾燥されていることを特徴とする、請求項5〜9または13のいずれか1項記載の半製品。
【請求項15】
さらなる成分(d)として、下記を含む、請求項5〜14のいずれか1項記載の調製物:
乳酸-C1〜C6-エステル、酒石酸-ジ-C1〜C4-エステル、コハク酸-ジ-C1〜C4-エステル、マロン酸-ジ-C1〜C4-エステル、リンゴ酸-ジ-C1〜C4-エステル、クエン酸-ジ-C1〜C4-エステルおよびクエン酸-トリ-C1〜C4-エステルを含む群から選ばれる1種以上のエステル;および/または、
1,2-プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、乳酸、エタノールおよびエタノール/水混合物を含む群から選ばれる1種以上の溶媒。
【請求項16】
苦味、金属味、チョーク味、酸味または渋味感を隠蔽または回避するための或いは甘味、塩味または香味感を増強するための少なくとも1種のさらなる物質も含む、請求項5〜14のいずれか1項記載の調製物。
【請求項17】
4-ヒドロキシジヒドロカルコン類またはその塩も含む、請求項5〜16のいずれか1項記載の調製物。
【請求項18】
下記の工程を含むことを特徴とする、甘味物質の甘味または甘味臭感を与える着香剤の甘味臭感の増強方法:
‐1種以上の甘味物質(成分(b))または1種以上の甘味感を与える着香剤(成分(c))を請求項5において定義したような成分(a)の総量と混合する工程;
(上記において、調製物中の成分(a)の総量は、甘味物質(b)の甘味感または甘味臭感を与える着香剤(c)の甘味臭感を感覚的に増強するのに十分な量である)。
【請求項19】
前記ヘスペレチンおよび/またはその塩が、(a) 硬葉常緑植物、とりわけ、アルテミシア キサントクロアまたはキソタムヌス亜種の浸出液の形ではなく、さらに、(b) 同じカンキツ産生物の成分としての他のフラバノン類とは一緒に使用しない、請求項18記載の方法。

【公表番号】特表2009−502153(P2009−502153A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523351(P2008−523351)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/064633
【国際公開番号】WO2007/014879
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(503236223)シムライズ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンジツト・ゲゼルシヤフト (51)
【Fターム(参考)】