説明

甘味食用組成物

本発明は、口腔内にチョコレートが溶けるような、チョコレートに似た満足感のある食体験を口内に提供する、甘味食用組成物に関し、(a)デンプンの水に対する重量比5:95で水と混合した場合に、10/秒のせん断速度において、22℃で約0.03パスカル秒〜約2パスカル秒の粘度を有するデンプンと、(b)水中で実質的に水和され、凝固しないタンパク質含有成分と、(c)実質的に水和された際に、前記食用組成物中において少なくとも約90%が結晶化していない状態で存在する甘味料と、(d)約45℃以下の温度で融解する脂肪含有成分と、(e)約45℃以下の温度で崩壊するゲル・マトリックスの形成を促進する親水コロイドゲル化剤と、(f)食品用であり、約0〜約12のHLB値を有する界面活性剤であって、前記食用組成物が、約10重量%〜約50重量%の総水分含量を有することを特徴とする、界面活性剤と、を含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本願は、参照することにより本明細書に援用される、2006年6月27日出願の米国仮特許出願第60/817,038号の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、チョコレートに比べて、カロリー密度が引き下げられ、水分含量が増加した、チョコレートのように食する、甘味食用組成物に関する。さらに詳細には、本食用組成物は、舌の上でチョコレートのように崩壊し、分散し、広がり、チョコレートのような口当たりを提供する。
【背景技術】
【0003】
チョコレートを食することは、満足感のある甘い体験である。チョコレートの味、食感、さらには匂いさえもが期待を与え、官能を刺激する。口内では、チョコレートは溶けて、複雑な風味に満ちた、栄養豊富で滑らかなクリーム状の塊になる。
【0004】
しかしながら、快感には罪悪感が伴う。多くの人々は、カロリーおよび脂肪について思い起こす。チョコレートのカロリー密度は、1g当たり約5.2〜約5.8キロカロリーである。これは、少量のチョコレートでも、カロリーおよび脂肪が多いことを意味する。
【0005】
低カロリーのチョコレート組成物を製造しようとするさまざまな試みは、消費者が望む、栄養豊富で滑らかでクリーミィな食感および複雑な風味を成し遂げられない、粗悪品を生じる結果に終わった。
【0006】
特許文献1(2004)には、低脂肪チョコレートおよびチョコレート様製品の発明が記載されている。しかしながら、この発明に定義される製品は、腰のない(short)、ファッジタイプの食感をもたらすことを主張している。該発明は、チョコレート様の食物および栄養豊富な脂肪様の食感を模倣する製品について説明しているが、食感特性はファッジに似ており、製品には、砂糖の高水準の結晶化(粒化)が認められ、ファッジを連想させる腰のない食感を生じる結果となる。特許文献1に記載される製品および方法はまた、低い水分活性がかなり低く、水分の少ない製品に関する。例えば、特許文献1に記載される最終製品は、0.0〜0.4の水分活性を保有し、80重量%〜90重量%の固形物含量を有する。
【0007】
特許文献2(1994)には、脂肪、甘味料(sweetening mass)、乳化剤、脱水および脱脂したカカオ、および/または粉末乳製品を含む、低カロリーのチョコレートの発明が記載されている。しかしながら、この発明は、製品のカロリー量の引き下げを、砂糖代替物(低カロリーの糖ポリマーである、マルチトールおよびラクチトール)の使用に依存している。
【0008】
特許文献3(2000)および特許文献4(2000)では、水を含むチョコレート組成物の製造および仕様について詳述されている。これらの特許は、油中水エマルションを調製し、該エマルション中にチョコレートを慎重に取り込み、該エマルションの安定性を損なわないようにすることにより、最終組成物中に水を1重量%〜40重量%の割合で含む製品に関する。
【0009】
特許文献5(1999)は、押出成形機を使用して、増粘剤、または微結晶性セルロースなどのゲル化物質を水に乳化/分散し、チョコレート塊の押出成形物を0〜28℃に維持するように、チョコレート塊を混合し、ノズルを通過させることにより、追加の水を含むように処理された、チョコレートに関する。この特許には、チョコレートに取り込まれた水性ゲルに、AVICEL(商標)RC591F銘柄のセルロース繊維を用いることについても記載されている。
【0010】
特許文献6(1995)には、ショ糖を含まない(すなわち、ソルビトール、イソマルト、ラクチノール、マルチトール、および他の糖アルコールを含む)、2〜16%の水分含量を有する、水分含有ミルクチョコレートの製品およびその製造方法が記載されている。
【0011】
特許文献7(1992)には、水分含有チョコレートの製造方法が記載されている。この発明は、特に、水、液糖、クリーム、ミルク、コンデンスミルク、果汁、ハチミツ、リカー、およびそれらの混合物を、巻き貝状のチョコレート内に導入することについて検討している。
【0012】
特許文献8および9には、カカオ固形物中のデンプンおよびタンパク質でゲルの網目構造を形成して、低カロリーの米国の商品規格(standard of identity)のチョコレートを製造することによる、水中油懸濁液の製造について記載されている。しかしながら、加熱調理する間のチョコレート成分のゲル化が、取り扱いが困難な粘性の塊を生じさせ、酸味のあるチョコレート味をもたらす製品を生じることが分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第 6,773,744号明細書
【特許文献2】米国特許第5,360,621号明細書
【特許文献3】米国特許第6,165,540号明細書
【特許文献4】米国特許第6,159,526号明細書
【特許文献5】米国特許第5,965,179号明細書
【特許文献6】米国特許第5,425,957号明細書
【特許文献7】米国特許第5,120,566号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0121164号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2006/0121175号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来技術の教示は、消費者に対し、口内でチョコレートが溶けるような満足感のある食体験を与えるが、カロリーが低い、甘い可食性製品の提供を成し遂げていない。したがって、多すぎるカロリーを摂取するという罪悪感なしに、甘さをもたらすような製品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、親水コロイド、水、デンプン、タンパク質、界面活性剤、および甘味料の複合マトリックス(complex matrix)を形成して、特に、チョコレートを食する際に口内に生じる脂肪融解体験を模倣する構造を創出することにより、甘味食用組成物を提供することである。
【0016】
本発明は、水分含量が高く、カロリー密度が低い、口腔内でチョコレートが溶けるようなチョコレートに似た満足感のある食体験を口内に提供する、甘味食用組成物であって、
(a)デンプンの水に対する重量比5:95で水と混合し、100℃で10分間加熱調理した場合に、10/秒のせん断速度において、22℃で約0.03〜約2パスカル秒(Pa・s)の粘度を有する、約0.25重量%〜約4.5重量%のデンプンと、
(b)水中で実質的に水和され、凝固しない、約1.5重量%〜約27重量%のタンパク質含有成分と、
(c)実質的に水和された際に、食用組成物中において少なくとも約90%が結晶化していない状態で存在している、約2.5重量%〜約45重量%の甘味料と、
(d)約45℃以下の温度で融解する、約8.5重量%〜約54重量%の脂肪含有成分と、
(e)約45℃以下で崩壊するゲル・マトリックスの形成を促進する、約0.10重量%〜約4.01重量%の親水コロイドゲル化剤と、
(f)食品用であり、約0〜約12のHLB(親水性/親油性バランス)値を有する、約0.005重量%〜約1.35重量%の界面活性剤と、
を含み、
食用組成物が、約10重量%〜約50重量%、さらに好ましくは約15重量%〜約50重量%の最終的な水分含量を有することを特徴とする、
食用組成物に関する。
【0017】
本発明はまた、甘味食用組成物の製造方法であって、
(a)親水コロイドゲル化剤、デンプン、タンパク質含有成分、および水を、約5℃〜約80℃、さらに好ましくは約30℃〜約80℃の温度で混合し、それによって予混合物を形成し、
(b)前記予混合物を加熱し、約60℃〜約100℃の温度で加熱調理し、それによって加熱調理された塊を形成し、
(c)前記加熱調理された塊に界面活性剤および脂肪含有成分を加え、低速せん断下、約50℃〜約85℃の温度で、前記脂肪含有成分が前記加熱調理された塊によく取り込まれるまで混合し、それによって前記甘味食用組成物を形成する、
各工程を有してなる方法に関する。さらには、工程(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも一工程において甘味料を加える。1つの実施の形態では、甘味料は工程(a)において加えられる。
【0018】
別の実施の形態では、甘味食用組成物の調製方法は、
(a)10:1よりも大きい、水の繊維に対する重量比で、前記繊維が水中に分散されるまで、繊維含有成分を水中でせん断することにより、過剰の水を含むスラリーを形成し、
(b)デンプン、タンパク質含有成分、および親水コロイドゲル化剤を、前記過剰の水を含むスラリーと、前記スラリー、前記デンプン、前記タンパク質含有成分、および前記親水コロイドゲル化剤が均等に分散されて塊を形成するまで、約5℃〜約80℃、好ましくは約30℃〜約80℃の温度で混合し、
(c)前記塊を加熱し、約60℃〜約100℃の温度で加熱調理し、それによって、約60重量%〜約75重量%の総固形物含量を有する加熱調理された塊を形成し、
(d)脂肪含有成分および界面活性剤を、前記加熱調理された塊と混合し、それによって前記甘味食用組成物を形成する、
各工程を有してなる。さらには工程(b)、(c)、または(d)のうちの、少なくとも一工程において甘味料を加える。1つの実施の形態では、甘味料は工程(b)において加えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】DOVE(商標)銘柄のミルクチョコレート、およびKOZY SHACK(商標)銘柄のチョコレート風味のプリンと比較した、本発明の製品の食感特性を表すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
「チョコレート」という用語は、すべてのチョコレート、または、脂肪系成分相または脂肪様組成物を含むチョコレート様組成物のことをいう。この用語には、例えば、規格化された、または規格化されていないチョコレートを含む、すなわち、米国商品規格(SOI)に適合する組成物、および米国商品規格に適合しない組成物をそれぞれ含むチョコレートが含まれることが意図されており、特に別記しない限り、ダークチョコレート、料理用チョコレート、ミルクチョコレート、スイートチョコレート、セミスイートチョコレート、バターミルクチョコレート、スキムミルクチョコレート、乳製品混合チョコレート、低脂肪チョコレート、ホワイトチョコレート、エアーチョコレート、化合物コーティングチョコレート、非規格化チョコレート、およびチョコレート様組成物を含む。
【0021】
米国では、チョコレートは、米国連邦食品医薬品化粧品法の下、米国食品医薬品局(FDA)によって制定された商品規格に従わなければならない。さまざまな種類のチョコレートの定義および基準は、米国で確立されている。非規格化チョコレートは、規格化チョコレートの特定の範囲に入らない組成を有するチョコレートである。
【0022】
チョコレートには、クラム固形物(crumb solids)、または、粉砕処理によって生じる、十分にまたはある程度粉砕された固形物を含むものも、含まれる。
【0023】
非規格化チョコレートは、例えば、栄養素を含む炭水化物甘味料が一部または完全に置換された場合;またはカカオバター、カカオバター代替物、カカオバター等価物、カカオバター増量剤(extender)、カカオバター代用物、または乳脂肪が、一部または完全に置換された場合;もしくは、ミルク、バター、またはチョコレートを模倣した香味料を有する成分が加えられるか、あるいは配合に、FDAのチョコレート商品規格外の他の添加または削除が行われた場合、またはそれらの組合せによって、生じる結果となる。チョコレート様の組成物は、パンニング、成形、またはコーティングなどの用途において、チョコレートの代替物として用いることのできる脂肪系組成物であり、例えば、イナゴ豆が挙げられる。
【0024】
本発明の甘味食用組成物は、チョコレートが口内で溶けて舌の上に広がるような、チョコレートの食感特性に似せることにより、満足感のある食体験を提供する。具体的には、食用組成物は、口腔内に置いた場合に、崩壊し、溶融し、それによってチョコレートの口溶けを模倣する、堅い食感を有する製品を提供するために配合される、ゲル・マトリックスである。甘味食用組成物は、(a)デンプン、(b)タンパク質含有成分、(c)甘味料、(d)脂肪含有成分、(e)親水コロイドゲル化剤、および(f)界面活性剤を含む。さらには、食用組成物は、約10重量%〜約50重量%の水分含量を有し、約15重量%〜約50重量%がさらに好ましい。
【0025】
本発明が創出する甘味食用組成物を、9名で構成される、訓練を積んだ官能評価パネルによって行なわれる記述的な食感分析を通じて、「DOVE」銘柄のミルクチョコレートおよび「KOZY SHACK」銘柄のチョコレート風味のプリン菓子と比較した。サンプルは、官能スペクトル記述分析法(Sensory Spectrum Descriptive Analysis Method)を用いて1回に1品を評価し、0〜15の「世界の食品(world of food)」強度スケール上で定量化した(この官能スペクトル記述分析法は、次の参考文献に詳細に記載されている:Sensory Evaluation Techniques, 3rd Edition, Morten Meilgaard, D.Sc., Gail Vance Civille, B. S. & B. Thomas Carr, M. S., CRC Press LLC, Boca Raton, FL, 1999)。表1に、本研究に使用した基準点をまとめる。
【表1−1】

【表1−2】

【0026】
図1は、チョコレートの食体験を模した本発明製品が、「KOZY SHACK」銘柄のチョコレート風味のプリン菓子と比較して、驚くほど良好であることを明確に示唆する、本研究の結果を比較するチャートを示している。特に、融解速度の印象、塊の密集性、塊の凝集性、口蓋への付着性、および堅さなど、本発明の製品特性は、「DOVE」銘柄のミルクチョコレートに記載される特性と非常に似ており、本発明の製品は、チョコレートに似た甘い食体験を与えることを可能にした。結果は、本発明の製品が、チョコレートの特性によく似ているが、プリンとはまったく異なることを示している。
【0027】
デンプンは、食用組成物の必須成分である。デンプンは組成物に食感とコク(body)を加える。
【0028】
デンプンの水に対する重量比5:95で水と混合し、約100℃で10分間加熱調理する場合に、適切なデンプンは、10/秒のせん断速度において、22℃で約0.03〜約2パスカル秒(Pa・s)の粘度示す。粘度の測定は、5cm、1°のコーン・プレート型の構成を用いたPaar Physica MCR500 Modular Compactレオメーター(Paar Physica社製)で行なわれた測定に基づく。
【0029】
例えば改質タピオカデンプン、改質米デンプン、改質トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、特殊デンプン、およびそれらの混合物などのデンプンを使用して構わない。特に好ましいのは、米国ニュージャージー州ブリッジウォーター所在のNational Starch and Chemical Company社から市販される、FRIGEX HV(商標)、FRIGEX(商標)、およびTEXTRA(商標)などの改質タピオカデンプン、ならびに、同じく米国ニュージャージー州ブリッジウォーター所在のNational Starch and Chemical Company社から市販される、PURITY(商標)銘柄、CLEARJEL(商標)、およびNOVATION(商標)系(例えば、「NOVATION」3300および「NOVATION」3600)などの他の特殊デンプンである。
【0030】
デンプンは、処理の間に実質的に水和されているのが理想的である。水和処理は、時間、温度、せん断条件、水分含量、添加剤または他の溶存成分の存在、および用いられるデンプンの種類を含む、幾つかの要素に応じて決まる。
【0031】
食用組成物中のデンプンの量は、食用組成物の総重量に基づいて、約0.25重量%〜約4.5重量%である。さらには、食用組成物の総重量に基づいて、約0.35重量%〜約4.5重量%が好ましく、約0.45重量%〜約4.5重量%がさらに好ましく、約0.55重量%〜約3.15重量%がさらになお好ましく、約0.65重量%〜約2.52重量%がさらに好ましく、約0.70重量%〜約1.80重量%が最も好ましい。
【0032】
乾物重量基準で、食用組成物中のデンプンの量は、食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約0.50重量%〜約5.0重量%である。さらには、食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約0.70重量%〜約5.0重量%が好ましく、約0.90重量%〜約5.0重量%がさらに好ましく、約1.10重量%〜約3.5重量%がさらになお好ましく、約1.3重量%〜約2.8重量%がさらに好ましく、約1.4重量%〜約2.0重量%が最も好ましい。
【0033】
別の必須成分は、組成物にコク、風味、およびクリーム感を提供する役割をする、タンパク質含有成分である。タンパク質はまた、栄養素も提供し、エネルギー源として用いることができる。タンパク質1gで約4キロカロリーのエネルギーを提供する。処理の間に、所望のクリーミィな食感を妨げうる、凝固をタンパク質含有成分に生じさせてはいけないということが重要である。さらには、タンパク質含有成分は、水に実質的に水和する能力を有していなくてはならない。本明細書では、タンパク質含有成分は、乾物重量基準で、10%より多く含まれ、20%より多いことが好ましく、30%より多いことがさらに好ましい。
【0034】
さまざまな乳タンパク質および大豆タンパク質を、食用組成物に使用して差し支えない。
【0035】
適切なタンパク質含有成分としては、例えば、無脂肪粉乳、全脂粉乳、乳タンパク質濃縮物、ホエイ粉末、乳清タンパク質、乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、ナッツおよびナッツ粉末(例えば、ピーナッツ、アーモンド、クルミ、ペカン、ヘーゼルナッツ、およびカシューナッツ)、カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、ラクトアルブミン、卵および卵の構成成分(例えば、アルブミン、全卵粉末、および卵濃縮物)、タンパク質含有穀物粉およびそれらのタンパク質濃縮物およびタンパク質単離物(例えば、小麦、アワ、およびトウモロコシ)、大豆粉末および他のタンパク質含有植物、およびそれらの粉末、タンパク質濃縮物、およびタンパク質単離物、もしくはそれらの混合物が挙げられる。
【0036】
食用組成物にとって好ましいタンパク質源には、乳製品タンパク質が含まれ、粉乳および乳タンパク質濃縮物が最も好ましい。
【0037】
食用組成物中のタンパク質含有成分の量は、食用組成物の総重量に基づいて、約1.5重量%〜約27重量%である。食用組成物の総重量に基づいて、約2.0重量%〜約27重量%が好ましく、約2.5重量%〜約27重量%がさらに好ましく、約3.0重量%〜約22.5重量%がさらになお好ましく、約3.25重量%〜約18重量%がさらになお好ましく、約3.35重量%〜約13.5重量%が最も好ましい。
【0038】
乾物重量基準における、食用組成物中のタンパク質含有成分の量は、食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約3重量%〜約30重量%である。食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約4重量%〜約30重量%が好ましく、約5重量%〜約30重量%がさらに好ましく、約6重量%〜約25重量%がさらになお好ましく、約6.5重量%〜約20重量%がさらになお好ましく、約6.7重量%〜約15重量%が最も好ましい。
【0039】
甘味料も食用組成物に含まれる。重要なことに、甘味料は、最終的な食用組成物中に実質的に水和する際に、少なくとも約90%が結晶化していない状態で存在しなければならない。
【0040】
適切な甘味料としては、限定はしないが、ショ糖、グルコース、D−グルコース、マルトース、デキストリン、転化糖、果糖、レブロース、ガラクトース、ラクトース、コーンシロップ、コーンシロップ固形物、サッカリン、ブラウンシュガー、果汁、タガトース、ハチミツ、糖蜜、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0041】
さらには、無糖甘味料も使用して差し支えない。例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、水素化デンプン加水分解物、マルチトール、およびそれらの混合物などの糖アルコールが本発明の用途に適している。
【0042】
糖代替物も食用組成物中の甘味料として使用して差し支えなく、例えば、スクラロース、アスパルテーム、ネオテームなどのN−置換APM誘導体、アセスルファム塩、アルチターム(altitame)、サッカリンおよびその塩、シクラミン酸およびその塩、グリチルリチン酸塩、ジヒドロカルコン、タウマチン、モネリン、およびそれらの混合物など、高強度の人工甘味料が挙げられる。
【0043】
食用組成物に用いられる甘味料としては、ショ糖、果糖、グルコース、D−グルコース、マルトース、デキストリン、転化糖、レブロース、ガラクトース、ラクトース、コーンシロップ、コーンシロップ固形物、糖アルコール、糖代替物、ブラウンシュガー、果汁、タガトース、ハチミツ、糖蜜、およびそれらの混合物が好ましい。甘味料は、ショ糖、乳糖、グルコース、および/または果糖のうち少なくとも1種類を有することが最も好ましい。
【0044】
食用組成物中の甘味料の量は、食用組成物の総重量に基づいて約2.5重量%〜約45重量%である。食用組成物の総重量に基づいて、約5重量%〜約43.2重量%が好ましく、約7.5重量%〜約41.4重量%がさらに好ましく、約10重量%〜約39.6重量%がさらになお好ましく、約12.5重量%〜約37.8重量%がさらになお好ましく、約15重量%〜約36重量%が最も好ましい。
【0045】
乾物重量基準における、食用組成物中の甘味料の量は、食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約5重量%〜約50重量%である。食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約10重量%〜約48重量%が好ましく、約15重量%〜約46重量%がさらに好ましく、約20重量%〜約44重量%がさらになお好ましく、約25重量%〜約42重量%がさらになお好ましく、約30重量%〜約40重量%が最も好ましい。
【0046】
1つの実施の形態では、食用組成物には、砂糖結晶の形成を抑制するため、コーンシロップおよび/またはコーンシロップ固形物が含まれる。これらの成分を含むことは、食用組成物中に甘味料としてショ糖が用いられる場合に特に好ましい。
【0047】
食用組成物はまた、体温に近い温度で都合よく融解する、脂肪含有成分も含む。したがって、脂肪は、食用組成物が模倣するチョコレートの食感特性、特にチョコレートの溶融特性を妨げないであろう。脂肪含有成分は、約45℃以下の温度で融解するように、慎重に選択される。脂肪含有成分は、約0℃〜約45℃で融解することが好ましい。脂肪含有成分は、約5℃〜約40℃で融解することがさらに好ましい。脂肪含有成分は、約10℃〜約35℃で融解することがさらになお好ましい。脂肪含有成分は、約15℃〜約30℃で融解することがさらになお好ましい。脂肪含有成分は、約20℃〜約25℃で融解することが最も好ましい。本明細書では、脂肪含有成分は、約12重量%よりも高い濃度で脂肪を含み、20重量%よりも高いことが好ましく、25重量%よりも高いことがさらに好ましい。
【0048】
脂肪含有成分が、飽和脂肪を含まないか、または少量を含む場合、脂肪含有成分は、約0℃〜約45℃で融解する。脂肪含有成分は、約0℃〜約40℃で融解することがさらに好ましい。脂肪含有成分は、約0℃〜約35℃で融解することがさらになお好ましい。脂肪含有成分は、約0℃〜約30℃で融解することがさらになお好ましい。脂肪含有成分は、約0℃〜約25℃で融解することがさらになお好ましい。脂肪含有成分は、約0℃〜約20℃で融解することが最も好ましい。
【0049】
食用組成物に用いて差し支えない幾つかの脂肪含有成分として、例えば、チョコレート、カカオバター、チョコレートクラム、カカオバター代替物、カカオバター等価物、カカオバター増量剤(extender)、カカオバター代用物、カカオバター置換物、乳脂肪、カカオ固形物、チョコレートリカー、化合物コーティング、オレストラ、植物油、分画脂肪、ナッツのペースト、バターおよび粉末(例えば、ピーナツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、およびアーモンド)、無水乳脂肪、バター、ラード、獣脂、卵黄、ココナッツ、ヤシ油および抽出物、大豆油、アボカド油、および穀物油(grain oils)(例えば、米、ふすま、トウモロコシ、およびグレープシード)、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
食用組成物中の脂肪含有成分の量は、食用組成物の総重量に基づいて約8.5重量%〜約54重量%である。食用組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約54重量%が好ましく、約12.5重量%〜約54重量%がさらに好ましく、約15重量%〜約49.5重量%がさらになお好ましく、約16重量%〜約46.8重量%がさらになお好ましく、約17.5重量%〜約40.5重量%が最も好ましい。
【0051】
乾物重量基準における、食用組成物中の甘味料の量は、食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約17重量%〜約60重量%である。食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約20重量%〜約60重量%が好ましく、約25重量%〜約60重量%がさらに好ましく、約30重量%〜約55重量%がさらになお好ましく、約32重量%〜約52重量%がさらになお好ましく、約35重量%〜約45重量%が最も好ましい。
【0052】
別の必須成分は、ゲル・マトリックスの形成を促進する、親水コロイドゲル化剤である。親水コロイドゲル化剤は、食用組成物の所望の脂肪に似た特性をもたらす、重要な寄与因子である。ゲル・マトリックスは固体に似た性質を示す構造を形成する。親水コロイドゲル化剤は、該親水コロイドゲル化剤が約45℃以下の温度で崩壊することにより、ゲル・マトリックスを達成するように選択される。
【0053】
適切な親水コロイドゲル化剤としては、例えば、低メトキシペクチン、寒天、カラギーナン、アラビアガム、ゼラチン、ジェラン、ローカストビーンガム、グアーガム、ペクチン、キサンタンガム、マルトデキストリン、ガティガム、カラヤ(karaya)ガム、トラガカントガム、デキストラン、コンニャク粉、アラビノガラクタン、ジェランガム、フルセララン(furcellaran)、アルギン酸塩、およびそれらの分画画分および混合物が挙げられる。好ましい親水ゲル化剤は、低メトキシペクチン、解重合化された寒天、カラギーナン、ゼラチン、およびアルギン酸プロピレングリコールである。最も好ましい親水コロイドゲル化剤は、比較的低い融解温度を有する低メトキシペクチン、および解重合化された寒天であり、これらはDegussa社(Cargill, Inc.社の子会社)から市販されている。これらの親水コロイドはゼラチンに似た融解特性を有し、体温で融解するが、ゼラチンの腰のある食感(long texture)とは異なり、これらの親水コロイドは所望の腰のない(short)食感を与える。
【0054】
食用組成物中の親水コロイドゲル化剤の量は、食用組成物の総重量に基づいて約0.10重量%〜4.01重量%である。食用組成物の総重量に基づいて、約0.15重量%〜約3.83重量%が好ましく、約0.2重量%〜約3.6重量%がさらに好ましく、約0.23重量%〜約3.38重量%がさらになお好ましく、約0.25重量%〜約3.15重量%がさらになお好ましく、約0.50重量%〜約2.25重量%が最も好ましい。
【0055】
乾物重量基準における、食用組成物中の親水コロイドゲル化剤の量は、食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約0.2重量%〜約4.45重量%である。食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約0.3重量%〜約4.25重量%が好ましく、約0.4重量%〜約4重量%がさらに好ましく、約0.45重量%〜約3.75重量%がさらになお好ましく、約0.5重量%〜約3.5重量%がさらになお好ましく、約1重量%〜約2.5重量%が最も好ましい。
【0056】
本発明の食用組成物は、可食性の界面活性剤も含む。界面活性剤は、約0〜約12のHLB(親水性/親油性バランス)値を有し、約2〜約12のHLB値が好ましく、約4〜約12のHLB値がさらに好ましい。
【0057】
適切な可食性の界面活性剤は、例えば、レシチンまたは他のリン脂質、ポリグリセロールポリリシノール酸エステル(PGPR)、モノグリセリド、ジグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウム、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル、MYVATEX(商標)銘柄のマイティクリーム(Mighty Cream)、アセチル化モノグリセリド、モノステアリン酸グリセロール、トリアセチン、脂肪酸、およびそれらの混合物である。
【0058】
特に好ましい可食性の界面活性剤はレシチンである。他の可食性の界面活性剤も、単独で、あるいはレシチンと組み合わせて使用して構わない。
【0059】
好ましい実施の形態では、可食性の界面活性剤は、乳化剤としての機能をも担う。
【0060】
可食性の界面活性剤は、食用組成物の総重量に基づいて、約0.005重量%〜約1.35重量%の量で食用組成物中に存在する。食用組成物の総重量に基づいて、約0.05重量%〜約1.35重量%が好ましく、約0.06重量%〜約1.35重量%がさらに好ましく、約0.075重量%〜約0.81重量%がさらになお好ましく、約0.085重量%〜約0.54重量%がさらになお好ましく、約0.10重量%〜約0.45重量%が最も好ましい。
【0061】
乾物重量基準における、食用組成物中の可食性の界面活性剤の量は、食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約0.01重量%〜約1.5重量%である。食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約0.1重量%〜約1.5重量%が好ましく、約0.12重量%〜約1.5重量%がさらに好ましく、約0.15重量%〜約0.9重量%がさらになお好ましく、約0.17重量%〜約0.60重量%がさらになお好ましく、約0.20重量%〜約0.50重量%が最も好ましい。
【0062】
随意的に、食用組成物に、該組成物のカロリー密度を低下させる繊維含有成分を含めてもよい。例えば、食用組成物には、ポリデキストロース、ラフチロース(Raftilose)、ラフチリン(Raftilin)、フルクトオリゴ糖(NutraFlora(商標))、パラチノースオリゴ糖、グアーガム加水分解物(Sun Fiber(商標))、デキストリンおよびマルトデキストリン(Nutriose(商標)の銘柄でRoquette社より供給される)、難消化性デキストリン(Fibersol(商標))、イヌリンまたはそれらの混合物が含まれていて差し支えない。
【0063】
繊維含有成分は、食用組成物の総重量に基づいて、約0重量%〜約9重量%の量で食用組成物中に存在する。食用組成物の総重量に基づいて、約0.5重量%〜約6.3重量%が好ましく、約1重量%〜約4.5重量%がさらに好ましい。
【0064】
乾物重量基準における、食用組成物中の可食性の界面活性剤の量は、食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約0重量%〜約10重量%である。食用組成物の乾燥総重量に基づいて、約1重量%〜約7重量%が好ましく、約2重量%〜約5重量%がさらに好ましい。
【0065】
食用組成物に、微量栄養素、栄養補給物、食品添加剤、保存料、香味料、着色料、食用インクによる画像、随意的な材料としてのナッツおよび他の食品含有物を含めて、製品にさらなる向上をもたらしてもよい。
【0066】
食品補助物とは、健康増進、疾病予防、または薬理作用を有する、天然の生物活性化合物である。それらはしばしば、植物化学物質または機能食品と称される。
【0067】
加工助剤もまた、含めて差し支えない。例えば、材料を水和する間に生じうる過剰の泡立ちを低減または防ぐことを目的として、消泡剤が用いられる。適切な加工助剤としては、限定はしないが、アルギン酸プロピレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、アルコール、シメチコン・エマルション (simethicone emulsion)、およびポリソルベートが挙げられる。
【0068】
食用組成物の総水分含量、すなわち含水量は、食用組成物の総重量に基づいて、約10重量%〜約50重量%であり、約12重量%〜約46重量%が好ましく、約15重量%〜約44重量%がさらに好ましく、約17重量%〜約42重量%がさらになお好ましく、約20重量%〜約40重量%がさらになお好ましく、約27重量%〜約38重量%が最も好ましい。
【0069】
反対に、食用組成物中の固形物の総含量は、食用組成物の総重量に基づいて、約50重量%〜約90重量%であり、約54重量%〜約88重量%が好ましく、約56重量%〜約85重量%がさらに好ましく、約58重量%〜約83重量%がさらになお好ましく、約60重量%〜約80重量%がさらになお好ましく、約62重量%〜約73重量%が最も好ましい。
【0070】
食用組成物は、約0.95未満の水分活性awを有する。awは、約0.4〜約0.95が好ましく、約0.50〜約0.94がさらに好ましく、約0.6〜約0.93がさらになお好ましく、約0.65〜約0.92がさらになお好ましく、約0.70〜約0.92がさらになお好ましく、約0.75〜約0.92がさらになお好ましく、約0.78〜約0.92が最も好ましい。
【0071】
上記のように、食用組成物は、大幅にカロリーが低減され、チョコレートに似た、甘く満足感のある食体験を提供する。チョコレートは、約5.2〜約5.8kcal/gのカロリー密度を有する。それに対して、本食用組成物のカロリー密度は約5.0kcal/g未満であり、好ましくは約2.2.〜約4.5kcal/g、さらに好ましくは約2.2〜約4.0kcal/gであり、最も好ましくは約2.4〜約3.9kcal/gである。チョコレートに比べてカロリー密度が低減されたことにより、大幅なカロリー低下にもかかわらず甘い、顕著な栄養学上の利益を有する菓子をもたらす。
【0072】
食用組成物はまた、キャラメルまたはコーヒーなど、チョコレート風味ではない、チョコレートに似た甘い食体験をも提供して差し支えない。
【0073】
本発明には、甘味食用組成物の調製方法が含まれる。食用組成物は、
(a)親水コロイドゲル化剤、随意的に甘味料、デンプン、タンパク質含有成分、および水を、約5℃〜約80℃、さらに好ましくは約30℃〜約80℃の温度で混合し、それによって予混合物を形成し、
(b)前記予混合物を加熱し、約60℃〜約100℃の温度で加熱調理し、それによって加熱調理された塊を形成し、
(c)前記加熱調理された塊に界面活性剤および脂肪含有成分を加え、低速せん断下、約50℃〜約85℃の温度で、前記脂肪含有成分が前記加熱調理された塊によく取り込まれるまで混合し、それによって前記甘味食用組成物を形成する、
ことにより、調製される。工程(a)における甘味料が随意として示されているが、該甘味料は、工程(a)、(b)、または(c)のうちの少なくとも一工程において加えられなければならないと認識することが重要である。1つの実施の形態では、甘味料は工程(a)において加えられる。
【0074】
工程(a)では、予混合物は、親水コロイドゲル化剤、随意的に甘味料、デンプン、タンパク質含有成分、および水を混合することにより形成される。予混合物の形成を促進するため、成分を約5℃〜約80℃で混合する。予混合物は、約30℃〜約80℃の温度で混合されることが好ましく、約40℃〜約60℃で混合されることがさらに好ましい。
【0075】
次に、予混合物を、工程(b)において、約60℃〜約100℃の温度で加熱調理する。これは、デンプンの水和およびゼラチン化、および親水コロイド、糖およびタンパク質の水和を促進する。デンプンを適切に水和およびゼラチン化するため、加熱調理温度は60℃を超える温度でなければならない。加熱調理温度は、約65℃〜約100℃が好ましく、約75℃〜約100℃が最も好ましい
次いで、工程(c)では、界面活性剤および脂肪含有成分を加熱調理された塊に加え、低速せん断下、約50℃〜約85℃、好ましくは約50℃〜約70℃、さらに好ましくは約50℃〜約60℃の温度で、脂肪含有成分が加熱調理された塊によく取り込まれるまで混合する。この工程は、製品の早期のゲル化を防ぐため、低速せん断下で混合する間、脂肪含有成分が液体状態を維持するのに十分温かい温度で行うことが好ましい。温度は、混合の間に塊から脂肪が分離するのを避けるのに十分に冷たくなければならない。最終的に、滑らかで均質な甘味食用組成物が得られる。加熱調理工程(b)の後に、例えばカカオバター、チョコレートリカー、カカオ固形物、および/またはチョコレートクラムなどの脂肪含有チョコレート成分を必ず加えることが特に重要である。
【0076】
好ましい実施の形態では、過剰量の水(すなわち、最終的な食用組成物に存在するよりも多い水)を使用して、デンプン、タンパク質含有成分、随意的に甘味料、および親水コロイドゲル化剤を水和させる。過剰の水は、水和の後に実質的に除去される。例えば、水を加え、水分が約16重量%〜約80重量%の水分レベルになるまで工程(a)の予混合物と混合し、その後、予混合物を加熱して水分を除去し、約50重量% 〜約85重量%の総固形物含量を達成して差し支えない。水を加え、予混合物を、約20重量%〜約70重量%の水分レベルになるまで混合することが好ましく、約25重量%〜約60重量%の水分レベルがさらに好ましく、約30重量%〜約50重量%の水分レベルが最も好ましい。予混合物を加熱して水分を除去し、約12.85重量% 〜約90.63重量%の総固形物含量を達成することもまた好ましく、約18.05重量% 〜約88.58重量%がさらに好ましく、約24.21重量% 〜約85.54重量%がさらになお好ましく、約29.85重量% 〜約83.49重量%がさらになお好ましく、約33.73重量% 〜約80.47重量%がさらになお好ましく、約38.15重量% 〜約73.40重量%が最も好ましい。
【0077】
別の好ましい実施の形態では、繊維含有成分を、該繊維が水に分散されるまでせん断することにより、繊維の水分散液が形成され、次に、工程(a)において、繊維分散液を、親水コロイドゲル化剤、随意的に甘味料、デンプン、タンパク質含有成分、および水と混合し、予混合物を形成する。繊維分散液を使用して、さらなるコクを提供し、また最終的な食用組成物のクリーミィな口当たりをさらに増進させてもよい。例えば、微結晶性セルロースなどのセルロースの水分散液を使用して構わない。
【0078】
別の好ましい実施の形態では、上述の2つの好ましい実施の形態と組み合わせて、繊維の水分散液を調製し、工程(a)において、親水コロイドゲル化剤、随意的に甘味料、タンパク質含有成分、および過剰量の水と混合し、水和後に過剰の水を実質的に除去する。幾つかの実施の形態では、繊維分散液における水分の繊維に対する比は、10:1よりも大きい。
【0079】
加圧型の加熱調理系を用いて予混合物を調製する、別の好ましい実施の形態では、約100℃よりも高温を使用して、デンプン、タンパク質、糖および親水コロイドの水和およびゲル化を促進して構わない。
【0080】
幾つかの実施の形態では、ホモジナイザー、ピン・ビーター(pin beater)、モンド(Mondo)ミキサー、または「Shockwave」反応装置(Hydrodynamics, Inc.社により開発された)などの高せん断処理装置を使用して、予混合物の成分を水和し、ゼラチン化する。これらの型の処理装置を使用する場合、予混合物を界面活性剤および脂肪含有成分と混合すると同時に、該混合物を単一処理工程で加熱処理し、加工することも可能であろう。これらの事例では、最終的な食用組成物に滑らかな食感をもたらすようにすべての材料を混合し、水和することを目的として、処理の間または処理後に十分な機械的せん断が必要とされる。処理の間、過剰の水をほとんどまたは全く使用しないことが好ましい。しかしながら、界面活性剤および脂肪含有成分が、加熱調理工程の後方の処理系に供給されることが、さらに好ましい。
【0081】
別の実施の形態では、甘味食用組成物の調製方法は、
(a)10:1よりも大きい水の繊維に対する重量比で、前記繊維が水に分散されるまで、繊維含有成分を水中でせん断することにより、過剰の水を含むスラリーを形成し、
(b)約5℃〜約80℃、好ましくは約30℃〜約80℃の温度で、デンプン、タンパク質含有成分、随意的に甘味料、および親水コロイドゲル化剤を、過剰の水を含むスラリーと、前記スラリー、前記デンプン、前記タンパク質含有成分、前記随意的甘味料、および前記親水コロイドゲル化剤が均等に分散されて塊を形成するまで混合し、
(c)前記塊を加熱し、約60℃〜約100℃の温度で加熱調理して過剰の水分を除去し、それによって、約50重量%〜約85重量%の総固形物含量を有する加熱調理された塊を形成し、
(d)脂肪含有成分および界面活性剤を、低速せん断下、約50℃〜約85℃、好ましくは約50℃〜70℃、さらに好ましくは約50℃〜約60℃の温度で、前記加熱調理された塊と混合し、それによって前記甘味食用組成物を形成する、
各工程を有してなる。甘味料は、工程(b)に随意として示されているが、工程(b)、(c)、または(d)のうちの少なくとも一工程において甘味料を加えなければならない。
【0082】
工程(a)で調製された繊維の水分散液を使用してさらなるコクを加え、最終的な食用組成物のクリーミィな口当たりを向上させてもよい。例えば微結晶性セルロースなどのセルロースの水分散液を使用して差し支えない。
【0083】
工程(b)では、デンプン、タンパク質含有成分、随意的な甘味料、および親水コロイドゲル化剤を、過剰の水を含むスラリーと混合することにより、塊を形成する。塊の形成を促進するため、約5℃〜約80℃で成分を混合する。成分は、約30℃〜約80℃で混合されることが好ましく、約50℃〜約60℃で混合されることがさらに好ましい。
【0084】
次に、デンプンを水和およびゼラチン化し、親水コロイド、糖およびタンパク質を水和するため、工程(c)において、塊を約60℃〜約100℃の温度で加熱調理する。デンプンを適切に水和およびゼラチン化するためには、加熱調理温度は60℃より高温であることが必要である。加熱調理温度は、約65℃〜約100℃が好ましく、約75℃〜約100℃がさらに好ましい。塊の加熱調理はまた過剰の水も除去し、それによって、約50重量%〜約85重量%の総固形物重量を有する加熱調理された塊を形成する。塊を加熱調理して水分を除去し、約12.85%〜約90.63%の総固形物含量を達成することが好ましく、約18.05% 〜約88.58%がさらに好ましく、約24.21% 〜約85.54%がさらになお好ましく、約29.85% 〜約83.49%がさらになお好ましく、約33.73% 〜約80.47%がさらになお好ましく、約38.15% 〜約73.40%が最も好ましい。
【0085】
塊に過剰の水分が存在する場合、水分を塊から除去して所望の総固形物含量を有する加熱調理された塊を形成する。反対に、塊における総固形物含量が所望するよりも高い場合は、塊に水を加えて混合し、加熱して、約50重量%〜約85重量%の総固形物含量を有する加熱調理された塊を形成して差し支えない。好ましい実施の形態では、加熱調理された塊の総固形物含量は、約12.85%〜約90.63%であり、約18.05% 〜約88.58%がさらに好ましく、約24.21% 〜約85.54%がさらになお好ましく、約29.85% 〜約83.49%がさらになお好ましく、約33.73% 〜約80.47%がさらになお好ましく、約38.15% 〜約73.40%が最も好ましい。
【0086】
次に、工程(d)では、加熱調理された塊に界面活性剤および脂肪含有成分を加え、低速せん断下、約50℃〜約85℃、好ましくは約50℃〜約70℃、さらに好ましくは約50℃〜約60℃の温度で、脂肪含有成分が加熱調理された塊によく取り込まれるまで混合する。この工程は、低速せん断下で混合する間に脂肪含有成分が液体状態を維持し、製品の早期のゲル化を防ぐのに十分温かい温度で行うことが好ましい。さらには、温度は、混合の間に塊から脂肪が分離するのを避けるのに十分に冷たいことが好ましい。最終的に、滑らかで均質な甘味食用組成物が得られる。
【0087】
食用組成物の製法に関わらず、組成物を作るのに用いられる材料は、前述の基準を満たしていなければならない。換言すれば、デンプンを、5:95のデンプンの水に対する重量比で水と混合し、100℃で10分間、加熱調理する場合、デンプンは、10/秒のせん断速度において、22℃で約0.03〜約2パスカル秒(Pa・s)の粘度を有する(5cm、1°のコーン・プレート型の構成を使用した、Paar Physica MCR500 Modular Compactレオメーターを用いて測定した)。タンパク質含有成分は実質的に水に水和し、凝固しない。甘味料は、実質的に水和している場合、少なくとも90%が結晶化していない状態で食用組成物中に存在する。脂肪含有成分は、約45℃以下の温度で融解する。親水コロイドゲル化剤は、約45℃以下の温度で崩壊するゲル・マトリックスの形成を促進する。界面活性剤は食品用であり、約0〜約12のHLB値を有する。
【0088】
処理の間、デンプン、タンパク質含有成分、甘味料、および親水コロイドゲル化剤は、少なくとも約70%が水和されている。少なくとも約80%が水和されていることが好ましく、約90%が水和されていることがさらに好ましく、約95%が水和されていることがさらになお好ましく、約98%が水和されていることがさらになお好ましく、デンプン、タンパク質含有成分、甘味料、および親水コロイドゲル化剤が、実質的に完全に水和されている、すなわち、十分に水和されていることが最も好ましい。参考のため、「%水和された」という用語は、一般に食品業界で測定される水和の程度(水和の割合を定量化するために、水和されたデンプンを微視的評価するなどによって)のことをいう。
【0089】
デンプン、タンパク質含有成分、甘味料、および親水コロイドゲル化剤を、過剰量の水を用いて水和してもよい。水和後に残る水は、後に実質的に除去される。
【0090】
しかしながら、最終的な製品においては、デンプン、タンパク質含有成分、甘味料、および親水コロイドゲル化剤は、十分に水和されていなくても構わないものと理解されたい。
【0091】
食用組成物は、75℃および20/秒のせん断速度で、約5〜約40パスカル秒(Pa・s)の粘度を有する。粘度は、約5〜約35パスカル秒であることが好ましい。粘度の測定は、5cm、1°のコーン・プレート型の構成を使用した、Paar Physica MCR500 Modular Compactレオメーターを用いて行なった。
【0092】
食用組成物の取り扱いに、所望の形状を与えるのに必要な任意の手段を使用して差し支えない。一例では、食用組成物を鋳型または包装容器に移し、成型された製品を形成してもよい。別の例では、食用組成物をスラブ(slab)上に移し、小片に切断する。約45℃よりも高温で最終的な組成物を移し、約30℃未満の温度で、最低でも約15分間、ゲル化させることが重要である。
【0093】
食用組成物を他の菓子または甘味のある製品として取り込んでもよい。例えば、食用組成物を、デザート、菓子製品(confectionery product)、飲料または他の菓子食品(confectionery snack)に取り込んで差し支えない。
【0094】
最終的な製品の大きさは、概して、製品設計の必要条件によって決定される。一般に、甘味食用組成物は、約3〜約30gの重量の一口サイズの製品を形成するであろう。
【0095】
次の実施例を参照することにより、本発明の特定の実施の形態が実証されるであろう。これらの実施例は単に本発明を例証する目的で開示されるのであり、当然ながら本発明の精神の範囲内にあるさまざまなバリエーションが予期されるものと理解されたい。
【実施例】
【0096】
実施例1
繊維を含む、本発明のミルクチョコレート風味の組成物
「配合表1」に、繊維を含み、ミルクチョコレート風味を有する甘味食用組成物の製造に用いた材料を示す。この製品は約30重量%の水分含量および0.86の水分活性を有していた。
【0097】

手順:
80gの繊維含有成分(微結晶性セルロース、「AVICEL」RC591;供給元:FMC Biopolymers社の食品部門)を、IKA銘柄のミキサー(固定子およびモーターを備えた卓上型モデル)を使用して、高速せん断条件下、すべての繊維が水に分散されるまで、1100gの水に分散させた。
【0098】
繊維分散液に、660gの糖、148gの無脂肪粉乳、40gのペクチン、30gのデンプン、および6gの保存料を加え、すべての材料がよく分散され、混合物にダマがなくなるまで混合し、塊を形成する。
【0099】
次に塊を、80℃〜95℃の温度で、混合物にダマが生じたり、膜が張ったりしないように、一定に攪拌しつつ、レンジ上で加熱した。
【0100】
塊が50℃に達したら、攪拌しつつ、加熱調理混合物に1.5gの界面活性剤を入れた。
【0101】
塊を、380gの水が混合物から除去されるまで(すなわち、塊の水分含量が39重量%から最終的な値である27重量%にまで低下するまで)、90〜100℃で加熱調理した。
【0102】
次に、60gのカカオ粉末および2.5gのバニラ抽出物を、温めた(60℃)コーンシロップ200g、および80℃の水100gに混合することにより、チョコレート風味系の水分散液を調製した。すべての材料がよく混合されるまで、ハンドミキサーで材料を混ぜ合わせた。
【0103】
次に、すべての香味料が十分に分散され、均質な風味付けされた塊が得られるまで、香味料の水分散液を加熱調理された塊に混合した。
【0104】
続いて、2種類の脂肪含有成分である、900gのミルクチョコレートおよび40gのチョコレートリカーを、風味付けされた塊に加えた。脂肪含有成分がむらなく、風味付けされた塊に分散されるまで、低速せん断下で混合物を穏やかに混合した。この混合工程の間に、製品を弱火で定期的に加熱し、製品が沈降する前に、脂肪含有成分および風味付けされた塊がゲル化しないことを確保した。脂肪分散工程の間、凝集した塊の温度を55℃〜85℃に維持した。塊が早期にゲル化しないように十分に温かいと同時に、脂肪相が分離するのを妨げるように十分冷たい温度で、凝集した塊を維持することが絶対不可欠であることに注意されたい。
【0105】
脂肪含有成分が風味付けされた塊に均一に分散されたら、スラブを形成するように60℃で混合物を注ぎ、角切りにして食する前に20℃で1時間固めた。
【0106】
製品特質:
9名で構成された内部の官能評価パネルが製品の風味および食感を評価した。パネルは風味がミルクチョコレートに似ており、非常に甘いと判断した。パネルはまた、製品を口内に分散し、融解させた後の食感がチョコレートと似ていると判断した。製品は良好な脂肪融解性およびクリーミィな口当たりを有していた。
【0107】
実施例2
本発明のダークチョコレート風味の組成物
「配合表2」は、ダークチョコレート風味を有する、水分38.8重量%の配合(水分活性=0.91)を表している。
【0108】

手順:
用いる材料の量を上記表に示すように変更し、繊維分散工程を除外したほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。糖、無脂肪粉乳、改質タピオカデンプン、および低メトキシペクチンを1300gの水と混合した。温めた(60℃)コーンシロップ200gを水性混合物に加えた。混合物を加熱し、ダマまたは膜が生じないように加熱調理し、270mgの水を混合物から除去し、加熱調理された塊を得た。温水100mg中のバニラ抽出物およびカカオ粉末の水分散液に加熱調理された塊を加え、ダークチョコレートおよびチョコレートリカーを実施例1と同様の条件で塊に加えた。
【0109】
製品特質:
内部の官能評価パネルは、本製品を甘いダークチョコレート様の風味を有する製品と判断した。本製品は、実施例1の製品より若干やわらかい食感を有し、口内に滞留する間、やわらかく、クリーミィな融解印象を提供する。
【0110】
実施例3
繊維、寒天/ペクチン、および高濃度のデンプンを含む、比較用のミルクチョコレート風味の組成物
「配合表3」は、本発明の製品よりも高濃度のデンプンを含む、水分30重量%の配合(水分活性=0.84)を表している。
【0111】

手順:
用いる材料の量を上記表に示すように変更し、寒天を低メトキシペクチンと共に水に分散したほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。
【0112】
製品特質:
内部の官能評価パネルは、本製品を、口内において非常にペースト状で高粘度であり、所望のように口内で溶失しない食感を有すると判断された。
【0113】
実施例4
繊維および濃度を増加させた親水コロイドゲル化剤を含む、本発明のミルクチョコレート風味の組成物
「配合表4」は、実施例1よりも高濃度の親水コロイド(ペクチン)を含むが、なお本発明の製品の所望の範囲内にある、水分30.3重量%の配合(水分活性=0.86)を表している。
【0114】

手順:
用いる材料の量を上記表に示すように変更したほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。この配合は、実施例1の製品よりも硬いが、許容される食感を有する。製品は成形された型で十分にゲル化された。
【0115】
製品特質:
本製品は、内部の官能評価パネルによって、良好なチョコレート風味および脂肪の融解印象、ならびに硬い食感を有すると表現された。
【0116】
実施例5
繊維およびカラギーナンを含む、本発明のミルクチョコレート風味の組成物
「配合表5」は、親水コロイドゲル化剤としてカラギーナンを使用した、水分39.4重量%の配合(水分活性=0.86)を表している。
【0117】

手順:
用いる材料の量を上記表に示すように変更したほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。本製品は、実施例4におけるよりも軟らかいが、固形物マトリックスとしてよくゲル化されていた。
【0118】
製品特質:
内部の官能評価パネルは、本製品を、脂肪の融解印象が、実施例4の製品よりもやや軟らかく、速いと表現した。本製品は、口内の滞留時間全体を通して持続する、良好なチョコレート風味および甘味を有していた。
【0119】
実施例6
繊維および濃度を低下させたデンプンを含む、比較用のミルクチョコレート風味組成物
「配合表6」は、本発明の製品に望ましいよりも濃度を低下させたデンプンを含む、水分30重量%の配合(水分活性=0.86)を表している。
【0120】

手順:
用いる材料の量を上記表に示すように変更し、配合に比較的少ない量のデンプンを用いたほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。非常に粘度が低いため、本製品を板状にして取り出す(slabbed out)ことができなかったため、本組成物をカップ内に保存した。
【0121】
製品特質:
内部の官能評価パネルによれば、本製品は軟らかすぎ、プリンの様であり、口内であまりに速く溶失した。そのチョコレートの後味は、実施例1の製品のように強くはなかった。
【0122】
実施例7
繊維および特定の界面活性剤を用いた、本発明のミルクチョコレート風味の組成物
「配合表7」は、水分30重量%の配合(水分活性=0.85)を表している。界面活性剤、「MYVATEX」P14K(一般名:モノおよびジグリセリド)を実施例7のバッチの半分に取り込ませた。
【0123】

手順:
用いる材料の量を上記表に示すように変更し、温度を維持しつつ(70℃〜72℃)、界面活性剤であるモノおよびジグリセリドの混合物(製品名「MYVATEX」P14K)を完成品のバッチの半分に入れてよく攪拌し、製品をゲル化させたほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。
【0124】
製品特質:
内部の官能評価パネルによれば、モノ、およびジグリセリドの添加は、界面活性剤を添加しないバッチ部分と比較して、製品の脂肪の口当たりおよびクリーミィさが増強された。
【0125】
実施例8
繊維を含み、親水コロイドゲル化剤を含まない、比較用のミルクチョコレート風味の組成物
「配合表8」は、配合に繊維を含み、親水コロイドゲル化剤を用いない、水分30重量%の配合(水分活性=0.87)を表している。
【0126】

手順:
用いる材料の量を上記表に示すように変更し、配合に親水コロイドゲル化剤を含めないほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。
【0127】
製品特質:
本製品は、内部の官能評価パネルによって評価されたとおり、許容できない食感を有していた。物理的構造に欠ける、この最終的製品は、非常に粘着性で、非常に粘り気が多く、歯に貼りつく、粘土の様な食感品質を有していた。
【0128】
実施例9
繊維および親水コロイドゲル化剤を含む、比較用のミルクチョコレート風味の組成物
「配合表9」は、本発明の製品に望ましいよりも濃度を上昇させた親水コロイドゲル化剤を含む、水分29.9重量%の配合(水分活性=0.86)を表している。
【0129】

手順:
用いる材料の量を上記表に示すように変更し、親水コロイドゲル化剤の濃度を上昇させたほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。最終的な製品を55℃で注ぎ、ゲル化させた。
【0130】
製品特質:
内部の官能評価パネルは、本製品を、食するには弾力性がありすぎ、また堅すぎて、甘味菓子製品として許容できないと判断した。食する間に甘味およびチョコレート風味が放出されるまでに、時間が長くかかりすぎた。
【0131】
実施例10
微結晶性セルロースおよびポリデキストロースの形態で繊維を含む、本発明のミルクチョコレート風味の組成物
「配合表10」は、実施例1と比較して、濃度を低くしたショ糖、および微結晶性セルロースと共に繊維含有成分としてポリデキストロースを使用した、水分32.5重量%の配合(水分活性=0.89)を表している。
【0132】

手順:
用いる材料の量を上記表に示すように変更し、微結晶性セルロースと共に繊維含有成分としてポリデキストロースを用いたほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。
【0133】
製品特質:
内部の官能評価パネルは、本製品を、実施例1の製品よりも甘味が押さえられた、良好なチョコレート風味および食感を有すると表現した。
【0134】
実施例11
繊維、および親水コロイドゲル化剤としての寒天を含む、本発明のミルクチョコレート風味の組成物
「配合表11」は、低メトキシペクチンを寒天で置き換えた、水分30.1重量%の配合(水分活性=0.86)を表している。
【0135】

手順:
用いる材料の量を、上記表に示すように変更し、親水コロイドゲル化剤としてのペクチンを寒天で置き換えたほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。
【0136】
製品特質:
内部の官能評価パネルは、この最終的な製品を、最初は実施例1の製品よりも堅い噛み応えを有し、崩壊すると急に口内に滑らかでクリーミィな食感をもたらすと報告した。
【0137】
実施例12
繊維を含む、本発明のミルクチョコレート・モカ風味の組成物
「配合表12」は、モカ風味を有する、水分30.2重量%の配合(水分活性=0.88)を表している。
【0138】

手順:
用いる材料の量を、上記表に示すように変更し、実施例1の香味料の水分散液に、カカオ粉末の代わりにインスタントコーヒーの結晶を混合したほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。
【0139】
製品特質:
内部の官能評価パネルは、本製品を、満足感のある食体験を提供する良好なモカ風味と共に、良好な食感およびクリーミィな口当たりを有すると判断した。
【0140】
実施例13
繊維を含む本発明のキャラメル風味の組成物
「配合表13」は、キャラメル風味を与えるために、乳清タンパク質分離物、キャラメルシュガー、無水乳脂肪、および植物油を用いて調製された、水分28.3重量%の配合(水分活性=0.84)を表している。
【0141】

手順:
用いる材料の量を、上記表に示すように変更し、脂肪含有成分として、チョコレートおよびチョコレートリカーを植物油(キャノーラ油)および無水乳脂肪に置き換え、キャラメルシュガーを取り込むことによってキャラメル風味を与えたほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。
【0142】
製品特質:
キャラメル風味の製品は、内部の官能評価パネルによって、良好なキャラメルフレーバー、および口内で非常にクリーミィな食感を有すると表現された。
【0143】
実施例14
繊維および低い脂肪含有成分を含む、比較のためのチョコレート風味の組成物
「配合表14」は、本発明の製品において望ましいよりも脂肪含有成分の濃度を低下させて調製された、水分28.8重量%の配合(水分活性=0.83)を表している。
【0144】

手順:
用いる材料の量を、上記表に示すように変更し、配合において脂肪含有成分の濃度を低下させたほかは、実施例1のようにして食用組成物を調製した。
【0145】
製品特質:
内部の官能評価パネルによれば、この製品は、甘い食体験を提供しなかった。本製品は、チョコレートというよりも、チョコレートまたはカカオ風味のトフィーに似ていた。本製品は、口内から素早く溶失せず、所望の脂肪融解の模倣に欠けていた。
【0146】
本発明の特定の実施の形態に関して述べてきたが、多くの変更、変形、およびバリエーションが、本明細書に記載される本発明の概念から逸脱することなく、行われうることは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神および広範な範囲内にある、このような変更、変形、およびバリエーションのすべてが包含されることが意図されている。本明細書中で引用したすべての特許出願、特許および他の刊行物は、参照することにより、それらの全体を本明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内でチョコレートが溶けるような、チョコレートに似た満足感のある食体験を口内に提供する甘味食用組成物であって、
(a)約0.25重量%〜約4.5重量%のデンプンであって、デンプンの水に対する重量比5:95で水と混合し、100℃で10分間加熱調理した場合に、10/秒のせん断速度において、22℃で約0.03パスカル秒〜約2パスカル秒の粘度を有するデンプンと、
(b)水中で実質的に水和され、凝固しない、約1.5重量%〜約27重量%のタンパク質含有成分と、
(c)実質的に水和された際に、食用組成物中において少なくとも約90%が結晶化していない状態で存在する、約2.5重量%〜約45重量%の甘味料と、
(d)約45℃以下の温度で融解する、約8.5重量%〜約54重量%の脂肪含有成分と、
(e)約45℃以下で崩壊するゲル・マトリックスの形成を促進する、約0.10重量%〜約4.01重量%の親水コロイドゲル化剤と、
(f)食品用であり、約0〜約12のHLB値を有する、約0.005重量%〜約1.35重量%の可食性の界面活性剤と、
を含み、
前記重量百分率が、前記組成物の総重量に基づいており、
前記食用組成物が、約10重量%〜約50重量%の最終的な水分含量を有する、
ことを特徴とする食用組成物。
【請求項2】
前記デンプン、前記タンパク質含有成分、前記甘味料、および前記親水コロイドゲル化剤の少なくとも70%が水和していることを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項3】
前記デンプン、前記タンパク質含有成分、前記甘味料、および前記親水コロイドゲル化剤が、過剰の水を使用して水和されており、水和後に残った水が実質的に除去されていることを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項4】
前記デンプンが、改質タピオカデンプン、改質米デンプン、改質トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、特殊デンプン、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項5】
前記タンパク質含有成分が、乳タンパク質または大豆タンパク質であることを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項6】
前記タンパク質含有成分が、無脂肪粉乳、全脂粉乳、乳タンパク質濃縮物、乳清タンパク質単離物、大豆および他の植物タンパク質、大豆および他の植物タンパク質単離物、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項7】
前記甘味料が、ショ糖、果糖、グルコース、D−グルコース、マルトース、デキストリン、転化糖、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ、コーンシロップ固形物、タガトース、糖アルコール、糖代替物、ブラウンシュガー、果汁、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項8】
前記脂肪含有成分が、チョコレート、カカオバター、チョコレートクラム、カカオバター代替物、カカオバター等価物、カカオバター増量剤、カカオバター代用物、カカオバター置換物、乳脂肪、カカオ固形物、チョコレートリカー、化合物コーティング、オレストラ、植物油、分画脂肪、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項9】
前記親水コロイドゲル化剤が、低メトキシペクチン、寒天、カラギーナン、アラビアガム、ゼラチン、ジェラン、ローカストビーンガム、グアーガム、ペクチン、キサンタンガム、マルトデキストリン、ガティガム、カラヤガム、トラガカントガム、デキストラン、コンニャク粉、アラビノガラクタン、ジェランガム、フルセララン、アルギン酸プロピレングリコール、およびそれらの分画画分および混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項10】
前記可食性の界面活性剤が、約2〜約12のHLB値を有することを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項11】
前記可食性の界面活性剤が、レシチンまたは他のリン脂質、ポリグリセロールポリリシノール酸エステル(PGPR)、モノグリセリド、ジグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウム、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル、アセチル化モノグリセリド、モノステアリン酸グリセロール、トリアセチン、脂肪酸、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項12】
前記食用組成物が約0.95よりも低い水分活性を有することを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項13】
前記甘味料がコーンシロップを含むことを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項14】
前記食用組成物がさらに消泡剤を含むことを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項15】
前記食用組成物が、20/秒のせん断速度下において、75℃で約5パスカル秒〜約40パスカル秒の粘度を有することを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項16】
前記食用組成物が約5kcal/g未満のカロリー密度を有することを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項17】
前記食用組成物が、約2.2〜約4.5kcal/gのカロリー密度を有することを特徴とする請求項16記載の食用組成物。
【請求項18】
甘味食用組成物の製造方法であって、
(a)親水コロイドゲル化剤、デンプン、タンパク質含有成分、および水を、約5℃〜約80℃の温度で混合し、それによって予混合物を形成し、
(b)前記予混合物を加熱し、約60℃〜約100℃の温度で加熱調理し、それによって加熱調理された塊を形成し、
(c)前記加熱調理された塊に界面活性剤および脂肪含有成分を加え、低速せん断下、約50℃〜約85℃の温度で、前記脂肪含有成分が前記加熱調理された塊によく取り込まれるまで混合し、それによって前記甘味食用組成物を形成する、
各工程を有してなり、
5:95のデンプンの水に対する重量比で水と混合する際に、前記デンプンが、10/秒のせん断速度において、22℃で約0.03パスカル秒〜約2パスカル秒の粘度を有し、
前記タンパク質含有成分が、水に実質的に水和され、凝固せず、
前記甘味料が、工程(a)、(b)、または(c)の少なくとも一工程において加えられ、前記甘味料が実質的に水和される場合に、前記食用組成物中に、少なくとも90%が結晶化していない状態で存在し、
前記脂肪含有成分が、約45℃以下の温度で融解し、
前記親水コロイドゲル化剤が、約45℃の温度で崩壊するゲル・マトリックスの形成を促進し、
前記可食性の界面活性剤が食品用であり、約0〜約12のHLB値を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記食用組成物を成形する工程をさらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記成形工程が、前記食用組成物を鋳型または包装容器内に移すことを含むことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記成形工程が、前記食用組成物をスラブ上に移し、前記スラブを小片に切断し、前記食用組成物の形状にゲル化させることを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項22】
繊維含有成分を、前記繊維が水中に分散されるまでせん断することにより、繊維の水分散液を形成し、前記繊維の分散液を前記親水コロイドゲル化剤、前記甘味料、前記デンプン、前記タンパク質含有成分、および前記水と混合し、それによって工程(a)において前記予混合物を形成することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記脂肪含有成分が固形脂肪を含む場合に、前記可食性の界面活性剤、前記脂肪含有成分、および前記加熱調理された塊を約65℃〜約100℃で加熱すると同時に、低速せん断下で混合することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項24】
過剰の水を加え、約16重量%〜約80重量%の水分レベルに達するまで前記予混合物と混合し、前記予混合物を加熱して、約50重量%〜約85重量%の総固形物含量を達成することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項25】
前記親水コロイドゲル化剤が、低メトキシペクチンであることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項26】
前記甘味料が工程(a)において加えられ、かつ、前記甘味料がショ糖であることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項27】
前記甘味料がショ糖である場合に、工程(a)において形成された前記予混合物が、さらにコーンシロップを含むことを特徴とする請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記タンパク質含有成分が、乳タンパク質であることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項29】
前記予混合物が、工程(b)において、約75℃〜約100℃の範囲の温度まで加熱されることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項30】
前記脂肪含有成分が、チョコレート、カカオバター、チョコレートクラム、カカオバター代替物、カカオバター等価物、カカオバター増量剤、カカオバター代用物、カカオバター置換物、乳脂肪、カカオ固形物、チョコレートリカー、化合物コーティング、オレストラ、植物油、分画脂肪、およびそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項31】
前記食用組成物が、約10重量%〜約50重量%の水分、および約0.95未満の水分活性を有することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項32】
前記食用組成物が、20/秒のせん断速度において、75℃で約5パスカル秒〜約40パスカル秒の粘度を有することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項33】
前記食用組成物が、約5kcal/g未満のカロリー密度を有することを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項34】
前記食用組成物が、約2.2〜約4.5kcal/gの範囲のカロリー密度を有することを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
請求項18記載の方法に従って調製された、甘い、チョコレート味の食用組成物。
【請求項36】
甘味食用組成物の調製方法であって、
(a)10:1よりも大きい、水の繊維に対する重量比で、前記繊維が水中に分散されるまで、繊維含有成分を水中でせん断することにより、過剰の水を含むスラリーを形成し、
(b)デンプン、タンパク質含有成分、および親水コロイドゲル化剤を、過剰の水を含む前記スラリーと、前記スラリー、前記デンプン、前記タンパク質含有成分、および前記親水コロイドゲル化剤が均等に分散されて塊を形成するまで、約5℃〜約80℃の温度で混合し、
(c)前記塊を加熱し、約60℃〜約100℃の温度で加熱調理して過剰の水を除去し、それによって、約50重量%〜約85重量%の総固形物含量を有する加熱調理された塊を形成し、
(d)脂肪含有成分および界面活性剤を、低速せん断下、約50℃〜約85℃の温度で、前記加熱調理された塊と混合し、それによって前記甘味食用組成物を形成する、
各工程を有してなり、
5:95のデンプンの水に対する重量比で水と混合する際に、前記デンプンが、10/秒のせん断速度において、22℃で約0.03パスカル秒〜約2パスカル秒の粘度を有し、
前記タンパク質含有成分が、水中で実質的に水和され、凝固せず、
前記甘味料が、工程(b)、(c)、または(d)のうちの少なくとも一工程において加えられ、前記甘味料が、実質的に水和される場合に、前記食用組成物中に少なくとも90%が結晶化していない状態で存在し、
前記脂肪含有成分が、約45℃以下の温度で融解し、
前記親水コロイドゲル化剤が、約45℃の温度で崩壊するゲル・マトリックスの形成を促進し、
前記可食性の界面活性剤が食品用であり、約0〜約12のHLB値を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項37】
工程(a)における前記スラリーがさらに、滑らかな一貫性を有するまで繊維含有成分および水を混合することによって形成された、繊維および水の混合物を含むことを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記スラリーに水を加え、混合し、前記スラリーを加熱して、約60重量%〜約75重量%の総固形物重量を達成することを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記食用組成物を成形する工程をさらに含むことを特徴とする請求項36記載の方法。
【請求項40】
前記成形工程が、鋳型または包装容器に前記食用組成物を移すことを含むことを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記食用組成物をスラブ上に移し、前記スラブを小片に切断して、前記食用組成物の形状にゲル化させることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項42】
請求項1に記載の甘味食用組成物を含む食品組成物。
【請求項43】
前記組成物の乾燥重量に基づいて、約0重量%〜約10重量%の繊維含有成分をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項44】
1種類以上の微量栄養素、または、1種類以上の栄養補給物をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の食用組成物。
【請求項45】
1種類以上の微量栄養素、または、1種類以上の栄養補給物をさらに含むことを特徴とする請求項42記載の食品組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−542223(P2009−542223A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518543(P2009−518543)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/072271
【国際公開番号】WO2008/002995
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(390037914)マース インコーポレーテッド (80)
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
【Fターム(参考)】