説明

生ごみ収容容器

【課題】容器本体内に溜めた生ごみを堆肥製造用容器に移す際、生ごみの水切りを行う手間を省き、簡単に生ごみの処理を行うことができるようにする。
【解決手段】容器本体1内に一端を排水部として該排水部に複数の小孔を設けた水切り板6を所定の角度で傾斜させて設け、容器本体1に着脱可能な底蓋2上の空間を貯水部9として、容器本体1に投入された生ごみから出る水分が水切り板6の排水部に流れ、排水部に設けた排水部に小孔から水滴13として貯水部9に落ちて溜まるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭で発生する野菜くずや食べ残しの食品等の生ごみを入れておくための生ごみ収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の生ごみ収容容器として、例えば、特許文献1に示される二重蓋付きポリバケツがある。この二重蓋付きポリバケツは、合成樹脂材で形成されたポリバケツ本体と、このポリバケツ本体の上面開口部を塞ぐ蓋から成り、この蓋の端縁近傍に小孔を設けて、ポリバケツ本体に野菜くずや食べ残しの食品等の生ごみを入れた時、ハエなどが発生した場合、蓋に設けた小孔から殺虫剤を吹き込めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−100103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、以下の問題がある。
すなわち、農村地帯等では、家庭で発生する野菜くずや食べ残しの食品等の生ごみを、屋外に設置したコンポストと呼ばれている堆肥製造用容器(堆肥製造用タンク)に入れ、この生ごみを適度にかき回すことで堆肥を作ることが行われているが、このように堆肥を作る場合、生ごみの水分をよく切っておく必要がある。一方、上述した生ごみ収容容器である二重蓋付きポリバケツに入れられる生ごみの中には、かなり水分が含まれているものもあり、そのためこの二重蓋付きポリバケツに入れられた生ごみを堆肥製造用容器に移す場合、一度生ごみを目の小さいザル等にあけ、水分をよく切った上で堆肥製造用容器に入れなければならず、手間がかかるという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明の生ごみ収容容器は、容器本体と該容器本体に着脱可能な底蓋とを備え、前記容器本体内に、一端を排水部として該排水部に複数の小孔を設けた水切り板を所定の角度で傾斜させて設け、前記底蓋上の空間を貯水部として、該貯水部に前記小孔から落ちる水滴が溜まるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、家庭で発生する野菜くずや食べ残しの食品等の生ごみを容器本体内に溜めておく間に、水切り板により自然に生ごみの水切りを行うことができるので、容器本体内に溜めた生ごみを堆肥製造用容器に移す場合、生ごみを目の小さいザル等にあけて水切りを行う必要がなくなり、堆肥製造用容器に生ごみを移す際に手間がかからず、簡単に生ごみの処理を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例を示す側断面図
【図2】第1の実施例における水切り板の正面図
【図3】水切り板を図2の矢印A方向から見た図
【図4】第2の実施例を示す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による生ごみ収容容器の実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例を示す側断面図で、本実施例の生ごみ収容容器は容器本体1と、この容器本体1の下端に嵌合する底蓋2と、容器本体1の上端に嵌合する上蓋3により構成されており、これら容器本体1、底蓋2、上蓋3はいずれもプラスチックにより形成されている。容器本体1は楕円形の筒状に形成され、底蓋2と上蓋3は容器本体1の形状に合わせてそれぞれ嵌合できる形状に形成されている。尚、容器本体1の容量は4リットル程度にするのが取扱い上好ましいが、これに限定されるものではない。
【0010】
容器本体1の外周面には把手4が設けられ、容器本体1の下端側には底板5が形成されており、底板5の上方には把手4側の端部が低く反対側の端部が高くなるように緩い角度で傾斜させた水切り板6が設けられている。この底板5と水切り板6の間に形成される空間は薬剤収容室7となっていて、容器本体1の周面にはこの薬剤収容室7の出入り口になる開口が形成され、この開口を開閉する小扉8が矢印で示したように回転可能に設けられている。
【0011】
また、底蓋2上の空間、本実施例では底蓋2と底板5とで形成される空間は貯水部9となっており、更に容器本体1内には把手4側の壁面と対向する壁面に沿って通気管10が設けられ、この通気管10の下部は水切り板6を貫通して薬剤収容室7内で開口している。
【0012】
図2は第1の実施例における水切り板6の正面図、図3は水切り板6を図2の矢印方向から見た図で、この図に示したように水切り板6は、容器本体1に設けた把手4側となる一端を所定の角度に曲げて排水部6cとし、この排水部6c以外の斜面となる部分の表面に複数の凸条6aを平行に設けることで、各凸条6a間に排水溝6bを形成すると共に、排水部6cに複数の小径の排水孔6dを設けたものとなっている。尚、この水切り板6は容器本体1と一体に形成するが、別体に形成して容器本体1内に取り付けるようにすることも可能である。
【0013】
上述した構成の作用について説明すると、まず、生ごみ収容容器を家庭の台所の流し付近に置き、小扉8を開いて薬剤収容室7内に消臭剤11aや防虫剤11bを載置した後、小扉8を閉じておく。そして、料理の際や食後に野菜くずや食べ残しの食品等の生ごみ12が発生した場合、容器本体1の上端に嵌合している上蓋3を取外し、容器本体1内に生ごみ12を投入して、上蓋3を容器本体1の上端に嵌合させて閉じておく。
【0014】
容器本体1内に投入された生ごみ12は水切り板6の凸条6aの上に集積され、生ごみ12から排出する水分は各凸条6a間の排水溝6bに落ちるが、水切り板6は傾斜しているので、排水溝6bに落ちた水分は排水溝6bを伝って排水部6cに流れ、排水部6cに設けられた排水孔6dから水滴13として貯水部9に落ち、貯水部9に貯められる。
【0015】
生ごみは、堆肥製造用容器(堆肥製造用タンク)に移されるまで容器本体1内に溜められるが、その間消臭剤11aや防虫剤11bが気体として通気管10の下端から上端に抜けるように流れて容器本体1内に流入するので、生ごみ12から発生する小バエ等が殺虫され、また生ごみ12から発生する悪臭も消臭される。
【0016】
容器本体1内に溜められた生ごみを、屋外に設置された堆肥製造用容器に移す場合、底蓋2を容器本体1から取り外して、貯水部9に貯められた水を捨て、底蓋2を容器本体1に嵌合して取り付ける(取り外したままでも可)。その後、把手4を持って生ごみ収容容器を堆肥製造用容器の設置位置に運び、上蓋3を取外してから把手4を持ったまま容器本体1を傾けて、容器本体1内に生ごみ12を堆肥製造用容器に落し込み、上蓋3を容器本体1に嵌合させて閉じておく。
【0017】
以上説明した第1の実施例によれば、家庭で発生する野菜くずや食べ残しの食品等の生ごみ12を容器本体1内に溜めておく間に、水切り板6により自然に生ごみの水切りを行うことができるので、容器本体1内に溜めた生ごみ12を堆肥製造用容器に移す場合、生ごみを目の小さいザル等にあけて水切りを行う必要がなくなり、堆肥製造用容器に生ごみを移す際に手間がかからず、簡単に生ごみの処理を行うことができるという効果が得られる。
【0018】
また、生ごみは容器本体1内に溜められている間、薬剤収容室7内に載置された消臭剤11aや防虫剤11bが気体として通気管10により容器本体1内に供給されるので、生ごみ12から発生する小バエ等を殺虫することができるとともに、生ごみ12から発生する悪臭も消臭できることになる。
【実施例2】
【0019】
図4は本発明の第2の実施例を示す側断面図で、この第2の実施例は容器本体1内にガイド板14を設けたもので、このガイド板14は水切り板6と一体に形成され、水切り板6の上部側の端部つまり排水部6cと反対側の端部から急峻な角度で立ち上がり、容器本体1の上部に達するように形成されている。
尚、この他の構成は上述した第1の実施例と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0020】
このような構成による第2の実施例は、第1の実施例と同様に使用するが、容器本体1内に溜められた生ごみを堆肥製造用容器に移す際、上蓋3を取外してから把手4を持ったまま容器本体1を傾けると、容器本体1内の生ごみがガイド板14を滑り落ちて容器本体1内に落下する。
【0021】
従ってこの第2の実施例によれば、第1の実施例と同様の効果が得られる他、容器本体1内に溜められた生ごみを堆肥製造用容器に移す場合の操作がより容易になるという効果が得られる。また、ガイド板14を設けたことで容器本体1をあまり傾けなくとも生ごみを容器本体1から放出でき、それにより貯水部9に水が入ったまま生ごみを容器本体1から堆肥製造用容器に移しても、貯水部9の水が流れ出すのを防止できるという効果も得られる。
【0022】
尚、上述した実施例では容器本体1を楕円形の筒状としたが、円形や三角形、四角形、あるいは五角形以上の多角形としてもよい。また、容器本体1を円形の筒状とした場合、底蓋2を螺合により容器本体1に着脱できるようにすることも可能である。
【0023】
また、上蓋3は容器本体1に嵌合させる構造ではなく、蝶番により開閉させる構造にしてもよく、容器本体1と底蓋2と上蓋3等は、プラスチックではなく金属で形成してもよい。更に、水切り板6は排水部6cを所定の角度に曲げたものとしたが、所定の角度に曲げずに排水部6cを設けるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 容器本体
2 底蓋
3 上蓋
4 把手
5 底板
6 水切り板
7 薬剤収容室
8 小扉
9 貯水部
10 通気管
11a 消臭剤
11b 防虫剤
12 生ごみ
13 水滴
14 ガイド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と該容器本体に着脱可能な底蓋とを備え、
前記容器本体内に、一端を排水部として該排水部に複数の小孔を設けた水切り板を所定の角度で傾斜させて設け、
前記底蓋上の空間を貯水部として、該貯水部に前記小孔から落ちる水滴が溜まるようにしたことを特徴とする生ごみ収容容器。
【請求項2】
請求項1に記載の生ごみ収容容器において、
前記容器本体の周面に把手を設け、
前記水切り板は、容器本体に設けた把手側となる一端を所定の角度に曲げて排水部とし、この排水部以外の斜面となる部分の表面に複数の凸条を設けることにより、各凸条間に排水溝を形成して、生ごみから出る水分が前記排水溝により前記排水部に流れるようにしたことを特徴とする生ごみ収容容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の生ごみ収容容器において、
前記容器本体の下部に底板を設けて、この底板と前記水切り板の間に形成される空間を薬剤収容室とし、
前記水切り板を貫通する通気管を設けて、前記薬剤収容室に収容した薬剤から発生する気体が前記通気管により前記容器本体内に流入するようにしたことを特徴とする生ごみ収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−23361(P2013−23361A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161336(P2011−161336)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(511179035)
【Fターム(参考)】