説明

生体サンプルの分析方法、及び自動分析装置

【課題】
血液・尿などの試料中に含まれる成分の測定において、ある成分の濃度が異常な値を示す場合に、別の成分の測定において、測定プロセスの変更が必要となるケースがあった。例えば、TP(血清総たんぱく)の測定値が10g/dl以上の場合に、IgM(免疫グロブリン)の測定がレンジオーバとなり、改めて検体を希釈して再測定を要求されるケースがあった。
【解決手段】
相互に関連する複数の分析項目がある場合、一方の成分の測定を実施し、その結果によって、他の成分の測定プロセスを選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿等の生体由来の試料に含まれる成分を分析する生体サンプルの分析方法、及び自動分析装置に係り、特に2つ以上の測定項目の測定を行う生体サンプルの分析方法、及び自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象の物質によっては、検体を測定前に希釈する機能を持つものがある。これは、当該成分の存在濃度範囲が広い一方で、ある濃度範囲では、病態の把握のために所定の分解能が必要な場合である。たとえば、甲状腺ホルモンのように、血中の濃度範囲が0.005μU/mlから50μU/mlと広い。このうち甲状腺機能亢進症では、0.1μU/ml以下の濃度について、精密な測定が求められるのに対して、健常者から機能低下症で0.5 から50μU/mlといった範囲について定量しなければならない。このような場合、高感度の分解能を優先し、高濃度の場合には検体をあらかじめ希釈することにより、検出範囲に調整する方法が用いられる。しかしながら、未知の試料を測定するにあたり、適正な希釈条件が不明な場合は、検体を希釈せずに測定し、その結果がオーバーレンジとなった場合、改めて希釈するという方法が一般的であった。しかしながら、この方法は初回の測定結果が得られたのち、再検査を実施するため、検体をシステムに投入してから、最終的な結果を得るため、少なくとも反応時間分だけ余計な時間がかかる。つまり、検査を依頼する診療者に対して、確証をもって約束できる検体採取から結果報告までの時間の最悪値としては、たとえば1時間といった量を示さなくてはならない。来院もしくは診療開始から診断までの時間を最短にするためには、検査時間がボトルネックとなってしまう。さらに、このような項目に用いられる試薬類は、抗体などの生体由来の材料を利用し、さらに校正や精度管理に用いられる試料も高価なことから、一測定自体の単価が高くなる。そのため、測定回数を抑制することが極めて重要であり、そのために、何らかの情報を用いて、適切な測定条件、たとえば希釈率をあらかじめ用いることが非常に重要である。そのため従来は、たとえばコンピュータシステムにおいて、当該患者の過去のデータを記憶しておき、測定対象の検体と同一の患者の前回値を検索し、前回値において希釈が必要な濃度領域であればこの希釈倍率を自動的に利用するといった方法が考案されている。このような方法は例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−27117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ある分析を行う場合において、分析を阻害する要因があらかじめわかっている場合であって、分析阻害因子を別の手段で第二の測定項目として測定する場合においては、判断基準が明確となっている場合、まず第二の測定項目を測定し、この結果を評価することによって、第一の分析を行うパラメータを適切に選択することが可能である。たとえば、高たんぱく血症は、血液中のたんぱく質濃度が病的な原因によって亢進する症状である。一般にヘテロジーニアス免疫分析においては、検体試料と試薬類を混合攪拌したのち、免疫反応を行い、測定対象物を固相等に吸着する方法がとられている。これらの場合、分析が適切に行われるには、混合攪拌した溶液において、たんぱく質濃度が所定の範囲にあることが臨まれる。たとえば、試料容量1に対して試薬容量を4とした場合、試料容量に含まれるたんぱく質濃度の寄与は20%となる。たとえば、たんぱく質濃度が7g/dl程度と血清程度の濃度であるように設計された試薬系においては、10g/dlといった濃度の試料を用いた場合、都合9g/dlのたんぱく最終濃度となり、30%程度の濃度上昇となり、正確な測定が困難になる場合がある。このような場合、一般的に検体をたとえば1/5程度に希釈することによって、試料溶液の濃度は2g/dlとなる。この場合、6g/dlの最終濃度になる。この場合15%程度のたんぱく質濃度の低下となるが、希釈液にあらかじめ、6g/dl程度のたんぱく溶液を用意することで、たんぱく質濃度の低下は制御でき、最終たんぱく濃度を+/−5%以内に制御することができる。このため、ヘテロジーニアス免疫分析においては、たんぱく質濃度が高い血清を試料とする場合、希釈をしない測定で測定レンジを超えた場合や、異常が疑われた場合、たんぱくを含む生理食塩水等で希釈する方法が一般的である。血清中に含まれるたんぱく質濃度は、全身状態を理解する上で極めて基本的な測定項目であり、ビュレット法を用いた生化学分析が一般的であり、総たんぱく(Total Protein:TP) として測定される。また、血液中の浸透圧の制御に主要なたんぱくであるアルブミン(Alb)はBCG法により生化学分析で測定される。先に述べた高たんぱく血症は、感染症や骨髄腫といった疾患によりこのアルブミン以外のグロブリンが大量に血液中に分泌される疾患であるため、これらの疾患が疑われる場合には、まず前記の総たんぱくとアルブミンを測定し、これらの差などを用いてA/G比として臨床で活用される。また、血清電気泳動法により、アルブミン,グロブリン等の電気泳動速度の違いを用いて血清中のたんぱく質の成分構成を評価する方法によっても、疾患を推定することができる。近年ではこれらの測定に加え、グロブリンの分画をより詳細に免疫反応を用いて詳細に測定する方法として、ホモジーニアス型免疫分析(免疫比濁法,ラテックス凝集法)が開発され、前記の総たんぱくやアルブミンと同様の装置で測定が可能となった。また、さらに詳細かつ微量な測定においては、ヘテロジーニアス型免疫分析が利用されている。
【0005】
たとえば、体調に不調を来たし来院した患者においては、医師の診断によりこれらの疾患が予想された場合、上記の測定を行うこととなる。近年では、自動分析装置の普及によって、採血からデータ出力まで1時間以内で実施できるケースが一般的となり、患者は来院当日の内により詳細なデータのもとに診断,投薬等の処置を受けることができるようになった。しかしながら、前記のヘテロジーニアス型免疫分析では、反応時間が20分程度必要であり、かつ、測定においてレンジオーバなどの障害が発生した場合、臨床検査技師の判断,前処理等に加えて、再検査が必要となるため、臨床に必要な結果を得るまで時間がかかってしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
複数の測定項目であって、その測定結果に関連や因果関係がすでに知られており、かつ既存の知識によって適切な検査方法の選択が可能な場合に、これらの知識を活用して、検体の処理方法を選択可能とする。すなわち試料中に含まれる少なくとも二つ以上の成分の濃度を測定するにあたり、一方の濃度成分の測定を実施し、その結果をあらかじめ与えられた評価尺度によって評価し、その評価結果によって、第二の成分の濃度測定を実施するに先立ち、分析方法を選択する。
【発明の効果】
【0007】
最短の時間で測定結果を得ることができ、かつ無駄な測定を避けることで試薬の無駄を無くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例について、以下に図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は、実施例1による自動分析システムの構成を概略的に示したものである。本実施例による自動分析システムは、2つの分析モジュール101,102と、検体試料の搬送機構103と、これら全体を制御する制御部104と、前記制御部に接続された操作部
105と、前記制御部に接続された表示部106と、前記制御部に接続された記録媒体
107とを備えている。分析モジュール101として例えば比色分析モジュールを、分析モジュール102として例えばヘテロジーニアス型免疫分析モジュールを用いることができる。
【0010】
図2は、本実施例における表示部106に表示される、関連項目についての情報の登録を行うための画面を示したものである。本画面は、関連項目の登録番号を選択する部分
201と、監視対象とする測定項目を選択する部分202と、監視項目に対する被監視条件を入力する部分203と、プロセス変更対象とする項目を選択する部分204と、プロセス変更の内容を選択する部分205と、この画面に表示されている内容を記録媒体107に登録するボタン206と、この画面に表示されている内容を記録媒体107に登録せずに別の画面に移動するボタン207と、プロセス変更対象として登録されている項目にのみ依頼が入っており、その監視対象として登録されている項目に依頼が入っていない場合に、監視対象項目を自動で測定するか否かを選択可能な部分208とを備えている。
【0011】
関連項目の登録番号を選択する部分201では、1つの番号を選択した際に、その番号に対応する関連項目の情報が記録媒体107から読み出され、画面に表示される。202から205までの部分には、リストからの選択あるいはキーボードによる直接入力などによって情報の入力が可能である。なお、このうち203以外の部分には、複数の情報を入力することも可能である。また、203の部分は、濃度範囲を指定するような形式で入力する部分とすることも可能である。
【0012】
図3は、本実施例による自動分析システムにおける、関連項目処理の流れをフローチャートで示したものである。
【0013】
まず、ユーザは、操作部105などを用いて、関連項目についての情報を予め記録媒体107に登録しておく。例えば、図2の状態で登録を行った場合、「GPT(glutamic-
puruvic aminase)の測定値が400IU/L以上の場合に、HbsAg(HBs抗原) 測定において検体試料を100倍希釈する」という情報が登録されている。この希釈率などの変更内容は、ヘテロジーニアス型免疫分析モジュールにおける制約や、試薬系の測定可能濃度範囲等によって決定することができる。
【0014】
検体試料が搬送機構103に投入されると、まず、ステップ301において、検体容器や検体搬送ラックに付与されたIDからの読み取りや、ユーザからの操作部105による手動入力などの手段によって、検体試料に対する測定依頼項目が記録媒体107に登録される。
【0015】
次に、ステップ302において制御部103は、測定依頼項目と、予め登録されている関連項目とを照合する。測定依頼項目の中に関連項目が存在する場合はステップ303に、関連項目が存在しない場合はステップ304に進む。
【0016】
また、関連項目のうち、測定プロセスの変更が可能な項目のみが依頼されている場合、監視対象の測定項目を、予め指定されていれば、自動的に測定しても良い。例えば、測定プロセスの変更が可能な項目が非常に高価な場合に、再検査を削減することはユーザによって有効である。
【0017】
ステップ303では、1つの分析モジュールにおいて、監視項目として登録されている依頼項目の測定を行い、測定結果を記録媒体107に登録する。
【0018】
ステップ304では、別の分析モジュールにおいてプロセス変更対象項目を測定するにあたり、プロセスの変更を行わずに、通常のプロセスにて測定を行う。
【0019】
ステップ305において制御部103は、監視項目の測定結果と、予め記録媒体107に登録されている監視条件とを照合する。監視項目の測定結果が監視条件を満たす場合には、ステップ306に進む。監視項目の測定結果が監視条件を満たさない場合には、ステップ307に進む。
【0020】
なお、監視項目の測定を行っている間、別試料や別項目の測定を行っても良い。こうすることによっても、分析システムの全体としての処理能力を損なうことはない。監視項目の結果が、例えば、分析開始後10分経過してから監視項目の測定結果と、予め記録媒体107に登録されている監視条件とを照合しても良い。
【0021】
ステップ306において制御部103は、別の分析モジュールにおいてプロセス変更対象項目を測定するにあたり、予め記録媒体107に登録されているプロセス変更内容を適用する。
【0022】
ステップ307では、別の分析モジュールにおいてプロセス変更対象項目を測定するにあたり、プロセスの変更を行わずに、通常のプロセスにて測定を行う。
【実施例2】
【0023】
図4は、実施例2による自動分析装置の構成を概略的に示したものである。本実施例による自動分析装置は、少なくとも2つの分析手段を有する分析部401と、前記分析部を制御する制御部402と、前記制御部に接続された操作部403と、前記制御部に接続された表示部404と、前記制御部に接続された記録媒体405とを備えている。分析部
401が有する分析手段としては、例えば、比色分析とヘテロジーニアス型免疫分析が挙げられるが、単一の検出部を使用する分析部であっても、複数の手段による測定が可能な分析部であれば良く、例えば試薬系により総たんぱくにおける呈色反応と、ラテックス凝集法によるCRP(C反応性たんぱく)などが挙げられる。
【0024】
図5は、本実施例における表示部404に表示される、関連項目についての情報の登録を行うための画面を概略的に示したものである。本画面は、関連項目の登録番号を選択する部分501と、監視対象とする測定項目を選択する部分502と、監視項目に対する監視条件を入力する部分503と、プロセス変更対象とする項目を選択する部分504と、プロセス変更の内容を選択する部分505と、この画面に表示されている内容を記録媒体406に登録するボタン506と、この画面に表示されている内容を記録媒体406に登録せずに別の画面に移動するボタン507と、プロセス変更対象として登録されている項目にのみ依頼が入っており、その監視対象として登録されている項目に依頼が入っていない場合に、監視対象項目を自動で測定するか否かを選択可能な部分508とを少なくとも備えている。関連項目の登録番号を選択する部分501では、1つの番号を選択した際に、その番号に対応する関連項目の情報が記録媒体405から読み出され、画面に表示される。
【0025】
502から505までの部分には、リストからの選択あるいはキーボードによる直接入力などによって情報の入力が可能である。なお、このうち503以外の部分には、複数の情報を入力することも可能である。また、503の部分は、濃度範囲を指定するような形式で入力する部分とすることも可能である。
【0026】
図6は、本実施例による自動分析装置における、関連項目処理の流れをフローチャートで示したものである。
【0027】
まず、ユーザは、操作部403などを用いて、関連項目についての情報を予め記録媒体406に登録しておく。例えば、図5の状態で登録を行った場合、「TPの測定結果が
10g/dl以上の場合に、IgM(免疫グロブリン)測定において検体試料を20倍希釈する」という情報が登録されている。
【0028】
検体試料が分析部401に投入されると、まず、ステップ601において、検体容器や検体搬送ラックに付与されたIDからの読み取りや、ユーザからの操作部403による手動入力などの手段によって、検体試料に対する測定依頼項目が記録媒体405に登録される。
【0029】
次に、ステップ602において制御部403は、測定依頼項目と、予め登録されている関連項目とを照合する。測定依頼項目の中に関連項目が存在する場合はステップ603に、関連項目が存在しない場合はステップ604に進む。
【0030】
また、関連項目のうち、測定プロセスの変更が可能な項目のみが依頼されている場合、監視対象の測定項目を、予め指定されていれば、自動的に測定しても良い。例えば、測定プロセスの変更が可能な項目が非常に高価な場合に、再検査を削減することはユーザによって有効である。
【0031】
ステップ603では、1つの分析手段において、監視項目として登録されている依頼項目の測定を行い、測定結果を記録媒体405に登録する。
【0032】
ステップ604では、別の分析手段においてプロセス変更対象項目を測定するにあたり、プロセスの変更を行わずに、通常のプロセスにて測定を行う。
【0033】
ステップ605において制御部403は、監視項目の測定結果と、予め記録媒体405に登録されている監視条件とを照合する。監視項目の測定結果が監視条件を満たす場合には、ステップ606に進む。監視項目の測定結果が監視条件を満たさない場合には、ステップ607に進む。
【0034】
なお、監視項目の測定を行っている間、別試料や別項目の測定を行っても良い。こうすることによっても、分析システムの全体としての処理能力を損なうことはない。監視項目の結果が、例えば、分析開始後10分経過してから監視項目の測定結果と、予め記録媒体107に登録されている監視条件とを照合しても良い。
【0035】
ステップ606において制御部403は、別の分析手段においてプロセス変更対象項目を測定するにあたり、予め記録媒体405に登録されているプロセス変更内容を適用する。
【0036】
ステップ607では、別の分析手段においてプロセス変更対象項目を測定するにあたり、プロセスの変更を行わずに、通常のプロセスにて測定を行う。
【実施例3】
【0037】
図7は、実施例3による情報システムの構成を概略的に示したものである。本実施例による情報分析システムは、少なくとも2つの分析装置701,702と、これらを制御する情報システムの制御部703と、前記制御部に接続された操作部704と、前記制御部に接続された表示部705と、前記制御部に接続された記録媒体706とを備えている。分析装置701,702としては、例えば、電気泳動分析装置とヘテロジーニアス型免疫分析装置や、血球分析装置と生化学分析装置の組み合わせなどが考えられる。
【0038】
図8は、本実施例における表示部705に表示される、関連項目についての情報の登録を行うための画面を概略的に示したものである。本画面は、関連項目の登録番号を選択する部分801と、監視対象とする測定項目を選択する部分802と、監視項目に対する監視条件を入力する部分803と、プロセス変更対象とする項目を選択する部分804と、プロセス変更の内容を選択する部分805と、この画面に表示されている内容を記録媒体706に登録するボタン806と、この画面に表示されている内容を記録媒体706に登録せずに別の画面に移動するボタン807と、プロセス変更対象として登録されている項目にのみ依頼が入っており、その監視対象として登録されている項目に依頼が入っていない場合に、監視対象項目を自動で測定するか否かを選択可能な部分808とを少なくとも備えている。関連項目の登録番号を選択する部分801では、1つの番号を選択した際に、その番号に対応する関連項目の情報が記録媒体706から読み出され、画面に表示される。
【0039】
802から805までの部分には、リストからの選択あるいはキーボードによる直接入力などによって情報の入力が可能である。なお、このうち803以外の部分には、複数の情報を入力することも可能である。また、803の部分は、濃度範囲を指定するような形式で入力する部分とすることも可能である。
【0040】
図3は、本実施例による情報システムにおける、関連項目処理の流れをフローチャートで示したものである。
【0041】
まず、ユーザは、操作部704などを用いて、関連項目についての情報を予め記録媒体706に登録しておく。例えば、図8の状態で登録を行った場合、「白血球数が11000/μl以上の場合に、CRP測定において検体試料を5倍希釈する」という情報が登録されている。
【0042】
検体試料が一方の分析装置701に投入されると、まず、ステップ901において、検体容器や検体搬送ラックに付与されたIDからの読み取りや、ユーザからの操作部704による手動入力などの手段によって、検体試料に対する測定依頼項目が記録媒体706に登録される。
【0043】
次に、ステップ902において制御部703は、測定依頼項目と、予め登録されている関連項目とを照合する。測定依頼項目の中に関連項目が存在する場合はステップ903に、関連項目が存在しない場合はステップ904に進む。
【0044】
また、関連項目のうち、測定プロセスの変更が可能な項目のみが依頼されている場合、監視対象の測定項目を、予め指定されていれば、自動的に測定しても良い。例えば、測定プロセスの変更が可能な項目が非常に高価な場合に、再検査を削減することはユーザによって有効である。
【0045】
ステップ903では、1つの分析装置において、監視項目として登録されている依頼項目の測定を行い、測定結果を記録媒体706に登録する。
【0046】
ステップ904では、別の分析装置においてプロセス変更対象項目を測定するにあたり、プロセスの変更を行わずに、通常のプロセスにて測定を行う。
【0047】
ステップ905において制御部703は、監視項目の測定結果と、予め記録媒体706に登録されている監視条件とを照合する。監視項目の測定結果が監視条件を満たす場合には、ステップ906に進む。監視項目の測定結果が監視条件を満たさない場合には、ステップ907に進む。
【0048】
なお、監視項目の測定を行っている間、別試料や別項目の測定を行っても良い。こうすることによっても、分析システムの全体としての処理能力を損なうことはない。監視項目の結果が、例えば、分析開始後10分経過してから監視項目の測定結果と、予め記録媒体107に登録されている監視条件とを照合しても良い。
【0049】
ステップ906において制御部703は、別の分析装置においてプロセス変更対象項目を測定するにあたり、予め記録媒体706に登録されているプロセス変更内容を適用する。
【0050】
ステップ907では、別の分析装置においてプロセス変更対象項目を測定するにあたり、プロセスの変更を行わずに、通常のプロセスにて測定を行う。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1による自動分析システムの構成を概略的に説明した図。
【図2】実施例1による自動分析システムの表示部に表示される、関連項目に対する情報を登録する画面を説明した図。
【図3】実施例1による自動分析システムにおける、関連項目に対する処理の流れをフローチャートで説明した図。
【図4】実施例2による自動分析装置の構成を概略的に説明した図。
【図5】実施例2による自動分析装置の表示部に表示される、関連項目に対する情報を登録する画面を説明した図。
【図6】実施例2による自動分析装置における、関連項目に対する処理の流れをフローチャートで説明した図。
【図7】実施例3による情報システムの構成を概略的に説明した図。
【図8】実施例3による情報システムの表示部に表示される、関連項目に対する情報を登録する画面を説明した図。
【図9】実施例3による情報システムにおける、関連項目に対する処理の流れをフローチャートで説明した図。
【符号の説明】
【0052】
101,102 分析モジュール
103 検体試料の搬送機構
104,402,703 制御部
105,403,704 操作部
106,404,705 表示部
107,405,706 記録媒体
201,501,801 登録番号選択部
202,502,802 監視対象項目選択部
203,503,803 被監視条件選択部
204,504,804 変更対象項目選択部
205,505,805 変更内容選択部
206,506,806 登録ボタン
207,507,807 移動ボタン
208,508,808 自動測定機能選択部
401 分析部
701,702 分析装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体サンプルの分析方法において、
分析結果が相互に関連する複数の分析項目については、一方の分析項目の測定結果に基づき、他方の分析項目の分析条件を調整することを特徴とする生体サンプルの分析方法。
【請求項2】
請求項1記載の生体サンプルの分析方法において、
前記分析結果が相互に関連する複数の分析項目が、
一方の分析項目が分析阻害因子が存在する分析であり、
他方の分析項目が該分析阻害因子を測定する分析である、
ことを特徴とする生体サンプルの分析方法。
【請求項3】
請求項1記載の生体サンプルの分析方法において、
前記分析結果が相互に関連する複数の分析項目が、
GPTとHBsAg,TPとIgM,白血球数とCRPのいずれかであることを特徴とする生体サンプルの分析方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の生体サンプルの分析方法であって、
前記分析結果が相互に関連する複数の分析項目が、異なる分析装置で分析され、分析結果が通信回線を介して通信されることを特徴とする生体サンプルの分析方法。
【請求項5】
分析結果が相互に関連する複数の分析項目を予め登録する分析項目登録手段を備えた自動分析装置であって、
前記分析項目登録手段は、一方の分析項目の測定結果について、他方の分析項目の分析条件を調整するかどうかの閾値を設定する閾値設定手段と、
前記一方の分析項目の測定結果が前記閾値設定手段により設定された閾値内に入る場合での他方の分析項目の分析条件を設定する分析条件設定手段と、
を備えたことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項5記載の自動分析装置において、
前記一方の分析項目を分析する分析装置と、前記他方の分析項目を分析する分析装置が異なる分析装置であり、かつ前記分析項目登録手段,閾値設定手段,分析条件設定手段の少なくともいずれかは、それら分析装置に通信回線を介して接続された制御装置に備えられていることを特徴とする自動分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−215856(P2008−215856A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49926(P2007−49926)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】