生体内に移植される回路のためのハウジング及び当該ハウジングを製造する方法
【課題】ハウジング内に包囲された回路を含んでいる生体適合性の回路アセンブリの提供。
【解決手段】ハウジング102はPMMAからなるハウジングであり、回路101は、ハウジング内に包囲される前に光学エポキシ樹脂のブロック内に包囲される。
【解決手段】ハウジング102はPMMAからなるハウジングであり、回路101は、ハウジング内に包囲される前に光学エポキシ樹脂のブロック内に包囲される。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、回路ハウジングに関し、より特定すると、生体内に移植するように設計された回路(すなわち、移植可能な回路)のためのハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
回路が作動環境から保護される必要がある幾つかの用途が存在する。例えば、人体に移植可能なグルコースセンサー回路は、センサーを人体から保護するため及びセンサーから人体を保護するための両方のために、適切なハウジング内に収納されなければならない。米国特許第6,330,464号(その開示内容が本明細書に参考して組み込まれている)は、このようなセンサーを開示している。
【0003】
移植可能な回路を囲繞しているハウジングは、以下の特徴のうちの少なくとも幾つかを有しているべきである。すなわち、(1)生体内の周囲の化学的及び物理的環境からセンサーの電子回路を保護する能力、(2)センサーに隣接する組織を、回路内からの接触(又は浸出)の結果として起こり得るあらゆる有害な反応から保護する能力、(更に、包囲物は、隣接する組織を越えて一般的な体内環境への如何なる検知可能な記号の浸出をも許容してはならない)、(3)回路と電力及び信号のための外部読み取り装置との間の無線電子通信を可能にする能力、(4)センサーの光学的な機能に必要な光の波長の自由な通過を許容する能力、(5)化学的な認識“フロントエンド”を形成するのに必要とされる表面化学を支援する能力、(6)ハウジングは大量生産可能でなければならないこと、(7)ハウジングは毒性が無く且つ“生体適合性”でなければならないこと、(8)医療製品の仕様に適合する十分に高い信頼性を提供すること等の特徴を有しているべきである。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、上に概説した基準のうちの多くに適合するハウジングを提供する。一つの特徴においては、本発明は、完全に包囲されたポリマーハウジング内に包囲された回路を提供する。ハウジングは、PMMAのような有機ポリマーによって作られるのが好ましい。幾つかの実施形態においては、回路は、最初にガラスハウジング内に囲繞される。ガラスハウジング自体は、次いで、例えば有機ポリマーによって作られたハウジングのような第二のハウジング内に移される。他の実施形態においては、回路は、最初にエポキシ樹脂製のブロックに囲繞され、次いで、回路を含んでいるエポキシ樹脂製のブロックがハウジングに囲繞される。
【0005】
もう一つ別の特徴においては、本発明は、ポリマーハウジング内に回路を囲繞する方法を提供する。一つの実施形態においては、この方法は以下のステップを含んでいる。すなわち、(a)回路を型内に配置するステップと、(b)型内にモノマーからなる調合物を注入して、調合物が回路を完全に包囲するようにさせるステップと、(c)モノマーを重合させるステップとを含んでいる。ステップ(b)においては、調合物の全てが一度に注入される必要はない。例えば、幾つかの実施形態においては、調合物は、型が半分充填されるまで型内に注入され、次いで、少し遅れて追加の調合物が型内に注入される。幾つかの実施形態においては、モノマーはMMAモノマーとすることができる。調合物は更にPMMAプレポリマーを含んでいても良い。
【0006】
もう一つ別の実施形態においては、当該方法は、以下のステップを含んでいても良い。すなわち、回路をポリマーハウジング内に挿入するステップと、回路とハウジングの内壁との間の空間を充填するためにポリマーハウジング内へ光学ポリマーを注入するステップ(幾つかの実施形態においては、注入は、捕捉された空気を押し出すために底部から上方へ向かってなされる)と、ハウジングの開口端部をキャップするステップと、光学エポキシ樹脂及び回路を含んでいるハウジングを圧力容器内に配置し且つ容器内の圧力及び温度を増大させるステップと、光学エポキシ樹脂を硬化させるステップと、ハウジングを圧力容器から取り出すステップとを含んでいても良い。
【0007】
もう一つ別の実施形態においては、この方法は、以下のステップを含んでいても良い。すなわち、回路をガラスハウジング内へ挿入するステップと、回路とハウジングの内壁との間の空間を充填するために光学エポキシ樹脂をガラスハウジング内へ注入するステップと、光学エポキシ樹脂をポリマーハウジング内へ注入するステップと、回路を含んでいるガラスハウジングをポリマーハウジング内へ挿入するステップと、ガラスハウジングの開口端部をキャップするステップと、ポリマーハウジングの開口端部をキャップするステップとを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本願に組み入れられており且つ出願書類の一部をなす添付図面は、詳細な説明と共に本発明の種々の実施形態を例示する助けとなると共に、更に、本発明の原理を説明し且つ当業者が本発明を製造し且つ使用することができるようにする機能を果たす。図面内では、同様の符号は同じ又は機能的に類似している部材を示している。更に、参照符号の最も左の数字は、当該参照符号が最初に現れる図面を特定している。
【図1】図1は、本発明による回路アセンブリの一実施形態を示している図である。
【図2】図2は、回路をポリマーハウジング内に入れるための一実施形態による方法を示しているフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による回路アセンブリの断面図である。
【図4】図4は、回路をポリマーハウジング内に入れるための別の実施形態によるプロセスを示しているフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による回路アセンブリの分解図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態による回路アセンブリの断面図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態による回路アセンブリを示している図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態よる回路アセンブリの分解図である。
【図9】図9は、回路をポリマーハウジング内に入れるための別の実施形態による方法を示しているフローチャートである。
【図10A】図10Aは、種々の量のエポキシ樹脂によって覆われた回路を示している図である。
【図10B】図10Bは、種々の量のエポキシ樹脂によって覆われた回路を示している図である。
【好ましい実施形態の説明】
【0009】
以下、本発明の上記及びその他の特徴及び利点ばかりでなく、本発明の好ましい実施形態の構造及び動作を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明による回路アセンブリ100の一実施形態を示している。図1に示されているように、本発明は、完全に囲繞されたハウジング102内に収容されている回路101を含んでいるアセンブリを提供している。図1に示されているように、ハウジング102はカプセル形状とされるのが好ましいが、他の形状を使用することもできる。回路101は、プリント回路基板110と当該回路基板110に取り付けられた1以上の電気的及び光学的構成部品112とを備えている電子回路とすることができる。回路101は、米国特許6,304,766号に記載されているセンサーのような一般的なセンサーを含んでいても良い。ハウジング102は、メチルメタアクリレート(MMA)モノマーからなるポリマー材料であるPMMA又はその他の有機ポリマーによって作られたハウジングであっても良い。
【0011】
図2は、回路アセンブリ100を形成するための一実施形態による方法200を示しているフローチャートである。方法200は、重合開始剤が型に添加されるステップ202において開始させることができる。ステップ204において、モノマーを含んでいる包囲調合物が型内に注入される(例えば、型の中間まで充填される)。ステップ206において、回路101が型内に配置される。ステップ208において、回路が包囲調合物内に完全に浸漬されるように更に多くの包囲調合物が型内に注入される。一つの実施形態においては、包囲調合物は、MMAモノマーを含むか又はMMAモノマーから実質的に構成されている。このようにして、回路101をモノマーハウジング内に包囲することができる。
【0012】
幾つかの状況、例えば調合物がMMAモノマーを含んでおり且つ回路101が比較的大きい場合には、回路101は、重合過程中(すなわち、ステップ206中)に著しく損傷され得る。この損傷の原因は、通常は、MMAの重合中に自然に起こる収縮に起因する。MMAの正味溶液内に含まれるモノマー間結合を結合させる際に、分子間空間は、反応が進行するにつれてポリマー内で減じられる。これは、良く知られている現象であり、典型的には、全てではないが殆どポリマー反応からなる。モノマーの正味溶液からのPMMAの重合中に起こる体積の収縮はほぼ14%である。
【0013】
この収縮は、幾つかの環境においては、PMMAを回路ハウジングとして使用している場合に特別な問題を生じる。なぜならば、包囲反応が進むときに同時に収縮が起こって粘性が増し、典型的には導電性エポキシ樹脂によって回路基板110上に取り付けられている電子部品112が、重合過程中に回路基板110から引っ張られるからである。
【0014】
構成部品112を定位置に保持するために使用される導電性エポキシ樹脂の相対的強度(前記導電性エポキシ樹脂は、その導電率及び硬化特性が主として且つ最大になるように調合されている)は、包囲反応が進むときにPMMAの収縮による引っ張り及び応力に耐えるのに十分な機械的強度を有していない。結局、MMAモノマーからなる包囲調合物によって回路を包囲する幾つかの試みは、修復不能な機械的損傷により機能しない回路をもたらす。
【0015】
この問題を解決するために、本発明の一つの特徴は、包囲された回路101に対する損傷なく重合反応を行うことができる方法についてのものである。大きな分子量のプレポリマーPMMA(約100万+mwまで)はMMAモノマー内で分解することができ且つ収縮は別個のモノマーからの結合形成の直接的な結果であるので、一つの可能な解決方法は、MMAモノマーからなる部分及びMMAモノマー内に溶解されたプレポリマーPMMAからなる部分を含むように包囲調合物を調合することである。
【0016】
総収縮量は、前記体積内でポリマーになるように反応せしめられるモノマーの量に比例する。包囲調合物の総体積は、例えば、約70%のプレポリマーPMMA及び約30%の未反応MMAモノマー(この中に前記70%のPMMAが溶解されている)を含むように分配されており、次いで、発生する収縮度は、前記体積内のモノマー成分に直接比例して低下する。実際には、100%MMAモノマーの包囲調合物は、体積測定によると全体で約14%収縮する。調合物をほんの30%MMAまで低下させることによって、約0.3×14=4.3%の量の収縮が予想される。実際には、この改良をなすことによって約4%の収縮が測定される。
【0017】
従って、パーセントが変化する固体の結果として、特に包囲過程に対してMMA/PMMAを再調合することによって、例えば、14%乃至4%だけ収縮を減じることによって包囲中における装置の応力に改良が付与される。現在の実際的な刺激により、必要ではないけれども、MMA内の60乃至80%のPMMA調合物の比率が好ましい。ある点においては、調合物の比率が高くなればなるほど比例的に収縮が少なくなることが期待されるけれども、更なる収縮の減少が可能かもしれない。実際問題として、これらのより高いレベルにおいて溶液の粘度は著しく高くなり、これは、ハイソリッドの溶液の取り扱い、搬送等を極めて困難にする。
【0018】
しかしながら、幾つかの状況においては、14%を超す大きな改良である4%の収縮状態においてさえ、回路101の何%か(約40乃至50%)は、包囲物の4%の収縮に耐えることができない。生き残っている回路は、表面取り付け部品の機械的強度を若干高めるためにより大量の導電性エポキシ樹脂を有する傾向がある。しかしながら、導電性エポキシ樹脂は十分に強いわけではなく、接続毎に使用される量を良好な製造基準を超えて増大させることは、次いで他の問題を生じさせる。もう一つ別の重要な問題は、ワイヤボンディングされた回路に対するものである。これらの“フログヘアー”金線は、典型的には、直径が25ミクロンであり、これは、典型的な人間の毛髪の直径の約1/3ないし1/4である。固定された基板構成部品に対する少量の動きは、これらのワイヤを取り付け装置から引き裂き得る。
【0019】
従って、幾つかの用途においては、回路110を機械的に強化して、PMMA包囲硬化反応による残留している収縮に耐えるようにさせるのが望ましい。
【0020】
PMMA(70/30)包囲硬化反応による残留している4%の収縮に耐えるようにさせるために回路101を機械的に強化する一つの方法は、回路を予め適用されたエポキシ樹脂層によって補強することである。例えば、回路基板への電気部品の組み付け及び組み付け品の洗浄に続いて、エポキシ樹脂が回路を覆うように適用される。このエポキシ樹脂は、回路基板に取り付けられた構成部品の下面及び上面の両方に充填される。驚くべきことに、この解決方法は、比較的“滑らかな”表面位相をもたらすような方法でエポキシ樹脂が構成部品を覆うときに最も良好に機能することが発見されたが、これは要件ではない。この“滑らかな”表面位相は図10Aに示されている。比較のために、図10Bは、“非円滑な”エポキシ樹脂コーティングを示している。図10Aに示されているように、エポキシ樹脂コーティングの表面1002は滑らか又は実質的に滑らかである。
【0021】
エポキシ樹脂は収縮しつつあるポリマーからの損傷に対して回路101を適切に強化するけれども、残留している4%の収縮によって生じる結果的な応力は、次いで、最終的な包囲物内のエポキシ樹脂とPMMAとの隣接面間の離層として現れる。上記したように、表面がエポキシ樹脂のプレコートの体積及び適用によって滑らかにされた場合に、PMMAが表面位相内で“把持力”を得るのを可能にせず、離層は起こりそうになかったことが発見された。4%の残留している収縮による応力は、次いで、PMMA包囲物本体自体内の内部応力として吸収される。この応力は、最終的な動作において焼き鈍することによって一般的な方法で除去することができる。
【0022】
回路110を補強するために使用されるエポキシ樹脂の幾らか又は全ては、幾つかの実施形態においては、回路の周囲の不所望な光の伝搬及び散乱を防止して装置のノイズ対光学的信号の比率を増加させる(黒又は波長特性のような)遮光色素を含んでいる。
【0023】
幾つかの実施形態においては、回路101の寿命を延ばすために、ハウジング102内に浸出した分子水蒸気が凝縮して液体水になるのを阻止することが望ましいかも知れない。液体水が水蒸気から形成することが出来ない場合には、次いで、存在する潜在するイオン汚染物質は、回路の損傷につながり得る溶媒和状態となることができない。
【0024】
水蒸気が凝縮するのを防止する一つの方法は、包囲ポリマー内に熱によって誘導される気泡の形成を防止することである。MMAモノマーは極めて揮発性が高い。MMAからPMMAへの重合反応はまた発熱性でもある。室温において開始された典型的な反応からの発熱量は、一般的には、残留している未反応モノマーが気化し且つ硬化したポリマー内に捕捉された全てのサイズのポリマーを形成する点まで反応が進むにつれて温度を上昇させるであろう。水蒸気が凝縮し得るハウジング内の熱によって誘発される微少な泡及びボイドの可能性を阻止するためには、重合反応中に実質的に過剰圧力を使用することができる。より特別には、好ましい実施形態においては、PMMA/MMAを含んでいる型が圧力反応器内に配置され、圧力反応器は次いで重合温度でMMAモノマーの蒸気圧を超える圧力まで加圧される。この加圧過程によって、気泡が防止されると共に、下に横たわっているエポキシ樹脂コーティングを備えた極めて密な機械的表面結合が提供され、これは、ひとたび形成されると離層しない。ハウジングは、清潔で且つ水分が凝縮しないように気泡又はボイド欠陥がなく、重要な副産物として、気泡欠陥がなく高い光学的透明度を提供する。
【0025】
図3を参照すると、図3は、一つの実施形態による回路アセンブリ100の線Aに沿った断面図である。図3に示されているように、回路101は、ハウジング102内に包囲されているエポキシ樹脂のブロック302(すなわち、“エポキシ樹脂ブロック302”)内に完全に包囲することができる。
【0026】
図4は、別の実施形態による回路アセンブリ100を形成するためのプロセス400を示しているフローチャートである。プロセス400は、ステップ402において開始され、ステップ402において、ハウジング500(例えば、スリーブ500又は管若しくは開口端部を備えているその他のハウジング(図5)がハウジングの穴を塞ぐためにプラグ504に沿って形成される。)例えば、円筒形のスリーブ500及びプラグ504は、PMMA又はその他の有機ポリマーからなるロッドのようなポリマーロッドを加工して作ることができる。図5に示されているように、スリーブ500は、スリーブ500の開口端部に隣接して切り込み592を有していても良い。スリーブ500及びプラグ504がPMMAによって作られている場合には、スリーブとプラグとは、約80℃で約4時間アニールしても良い(ステップ403)。
【0027】
ステップ404においては、エポキシ樹脂は、回路が部分的に又は完全にエポキシ樹脂ブロック502内に包囲されてアセンブリ503を形成するように回路101を覆うように適用される。ステップ406において、アセンブリ503、スリーブ500及びプラグ504が洗浄される。例えば、アセンブリ503、スリーブ500及びプラグ504は、その表面をIPAを備えた綿棒(Q−チップ)によって擦ることによって洗浄することができる。ステップ408においても光学エポキシ樹脂が準備される。マサチューセッツ州ビルリカにあるEpoxy TechnologyによるEPO−TEK 301−2エポキシ樹脂及びその他のエポキシ樹脂を光学エポキシ樹脂として使用することができる。
【0028】
ステップ410において、エポキシ樹脂ブロックに包囲された回路(すなわち、アセンブリ503)がスリーブ500内に配置される。ステップ412において、前記の準備された光学エポキシ樹脂がスリーブ500内に注入される(すなわち、導入される)。ステップ412中に、光学エポキシ樹脂内には気泡が全く形成されないのが好ましい。ステップ414において、プラグ504がスリーブ500の開口端部内に配置されてスリーブの開口端部が密封される。
【0029】
図6は、ステップ414が行われた後の一実施形態による回路アセンブリ100の線Aに沿った断面図である。図6に示された実施形態においては、回路101は、エポキシ樹脂ブロック502に完全に包囲されている。回路101を収容するエポキシ樹脂ブロック502はスリーブ500内に配置されている。スリーブ500は円筒形スリーブとすることができる。スリーブ500が円筒形スリーブであり、回路101がエポキシ樹脂ブロック内に完全に包囲されているときには、エポキシ樹脂ブロック502の右上方隅部と左下方隅部との間の距離は、スリーブ502の内径に等しいか又は若干小さいのが好ましい。すなわち、幾つかの実施形態においては、w=sqrt((d*d)−(h*h))(式中、wはアセンブリ503の幅であり、hはアセンブリ503の高さであり、dはスリーブ500の内径である)であるのが好ましい。アセンブリ503が均一な幅を有していないか又は円形断面を有している実施形態においては、アセンブリの最大幅は内径と等しいか又は若干小さくても良い。図6に示されているように、光学エポキシ樹脂(例えば、屈折率(RI)適合エポキシ樹脂)は、アセンブリ503とスリーブ500との間の空間を充填する。
【0030】
再度図4を参照すると、ステップ416において、新しいアセンブリ(すなわち、エポキシ樹脂を含んでいる密封されたスリーブ及びアセンブリ503)が圧力容器内に配置されている。ステップ418においては、容器内の圧力は、窒素又はその他の不活性ガスを使用して約125psi(861.8kPa)まで高められる。ステップ420において、光学エポキシ樹脂は、所定の温度(例えば、40℃)において、ある時間(例えば、20時間)硬化される。所定の時間が経過した後に、アセンブリは圧力容器から取り出され、次いで仕上げ加工される(ステップ422)。
【0031】
上記した方法は、回路101に付加的な応力をかけることなく、包囲前にPMMAハウジングをアニールする可能性を許容する。
【0032】
図7は、本発明の代替的な回路アセンブリ700を示している。回路アセンブリ700は、アセンブリ700がハウジング102内に収容されている回路101を含んでいる点で回路アセンブリ100に類似している。しかしながら、アセンブリ700においては、回路101もまた、ガラスハウジング702(例えば、管又はその他の形状のハウジング)内に収容されており、ガラスハウジング702自体はハウジング102内に収容されている。幾つかの実施形態においては、ガラスハウジング702は、一端が閉塞されており、他端は開口している。当該開口端部は、ガラスボール704又はその他の適当なプラグによって密封することができる。図8は、一実施形態によるアセンブリ700の構成部品を示している分解図である。幾つかの実施形態においては、ガラスハウジング702は、赤外線(IR)遮断ガラスによって作ることができる。
【0033】
図9は、一実施形態によるアセンブリ700を製造するためのプロセス900を示しているフローチャートである。プロセス900はステップ902において開始される。ステップ902において、スリーブ500及びプラグ504のようなスリーブ及びプラグが形成される。
【0034】
ステップ904において、スリーブ及びプラグがアニールされる。スリーブ及びプラグは、80℃で約4時間アニールされる。ステップ906において、構成部品(例えば、スリーブ500、プラグ504、ガラスハウジング702、ガラスボール704、エポキシ樹脂ブロック502等)が洗浄される。例えば、スリーブ500及びプラグ504は、IPAによって超音波浴内で洗浄することができ、その後に洗い流しステップが続き、ガラスハウジング702及びガラスボール704もまた、KOH/アルコール溶液によって超音波洗浄し、次いで、水で洗い流す。
【0035】
ステップ908において、結合剤がガラスハウジング702及びガラスボール704に適用される。使用される結合剤は、Sigma−Aldrich Corporationによって購入することができるトリメトキシ[2−(7−オキサビシクロロ[4.1.0]ヘプト−3−yl)エチル]シランとすることができる(カタログNo.413321)。
【0036】
ステップ910において、光学エポキシ樹脂が準備される。ステップ912において、エポキシ樹脂コーティングされた回路基板がガラスハウジング内に挿入される。ステップ914において、準備されたエポキシ樹脂がガラスハウジング702内に注入される。
【0037】
ステップ916において、準備されたエポキシ樹脂のうちの幾らかがスリーブ500内に注入される。ステップ918において、回路を収容しているガラスハウジングがスリーブの開口端部内に挿入される。ステップ920においては、ガラスボール704がガラスハウジング702の開口端部内に挿入され、それによって、ガラスハウジングの開口端部が密封される。ステップ922において、プラグ504を使用してスリーブの開口端部が密封される。
【0038】
ステップ924において、回路101を収容しているガラスハウジング702を収容している密封されたスリーブが圧力容器内に配置され、当該圧力容器内では、不活性ガスを使用して圧力が約125psi(861.8kPa)まで増大せしめられ、温度が約40℃まで高められる。約20時間後に、圧力が次第に減じられ、アセンブリが圧力容器から取り出され、次いで仕上げ加工される(ステップ926)。
【0039】
上記のプロセスは一連のステップとして示されているけれども、当該ステップのうちの少なくとも幾らかは、図示された順序で行う必要がなく、更に、幾らかのステップを省略しても良く、付加的なステップを加えても良いことは、当業者によって理解されるべきである。
【0040】
以上、本発明の種々の実施態様/変形態様を説明したけれども、これらは例示的にのみ提供されたものであり、限定的ではないことは理解されるべきである。従って、本発明の広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、特許請求の範囲及びその等価物によってのみ規定されるべきである。
【発明の分野】
【0001】
本発明は、回路ハウジングに関し、より特定すると、生体内に移植するように設計された回路(すなわち、移植可能な回路)のためのハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
回路が作動環境から保護される必要がある幾つかの用途が存在する。例えば、人体に移植可能なグルコースセンサー回路は、センサーを人体から保護するため及びセンサーから人体を保護するための両方のために、適切なハウジング内に収納されなければならない。米国特許第6,330,464号(その開示内容が本明細書に参考して組み込まれている)は、このようなセンサーを開示している。
【0003】
移植可能な回路を囲繞しているハウジングは、以下の特徴のうちの少なくとも幾つかを有しているべきである。すなわち、(1)生体内の周囲の化学的及び物理的環境からセンサーの電子回路を保護する能力、(2)センサーに隣接する組織を、回路内からの接触(又は浸出)の結果として起こり得るあらゆる有害な反応から保護する能力、(更に、包囲物は、隣接する組織を越えて一般的な体内環境への如何なる検知可能な記号の浸出をも許容してはならない)、(3)回路と電力及び信号のための外部読み取り装置との間の無線電子通信を可能にする能力、(4)センサーの光学的な機能に必要な光の波長の自由な通過を許容する能力、(5)化学的な認識“フロントエンド”を形成するのに必要とされる表面化学を支援する能力、(6)ハウジングは大量生産可能でなければならないこと、(7)ハウジングは毒性が無く且つ“生体適合性”でなければならないこと、(8)医療製品の仕様に適合する十分に高い信頼性を提供すること等の特徴を有しているべきである。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、上に概説した基準のうちの多くに適合するハウジングを提供する。一つの特徴においては、本発明は、完全に包囲されたポリマーハウジング内に包囲された回路を提供する。ハウジングは、PMMAのような有機ポリマーによって作られるのが好ましい。幾つかの実施形態においては、回路は、最初にガラスハウジング内に囲繞される。ガラスハウジング自体は、次いで、例えば有機ポリマーによって作られたハウジングのような第二のハウジング内に移される。他の実施形態においては、回路は、最初にエポキシ樹脂製のブロックに囲繞され、次いで、回路を含んでいるエポキシ樹脂製のブロックがハウジングに囲繞される。
【0005】
もう一つ別の特徴においては、本発明は、ポリマーハウジング内に回路を囲繞する方法を提供する。一つの実施形態においては、この方法は以下のステップを含んでいる。すなわち、(a)回路を型内に配置するステップと、(b)型内にモノマーからなる調合物を注入して、調合物が回路を完全に包囲するようにさせるステップと、(c)モノマーを重合させるステップとを含んでいる。ステップ(b)においては、調合物の全てが一度に注入される必要はない。例えば、幾つかの実施形態においては、調合物は、型が半分充填されるまで型内に注入され、次いで、少し遅れて追加の調合物が型内に注入される。幾つかの実施形態においては、モノマーはMMAモノマーとすることができる。調合物は更にPMMAプレポリマーを含んでいても良い。
【0006】
もう一つ別の実施形態においては、当該方法は、以下のステップを含んでいても良い。すなわち、回路をポリマーハウジング内に挿入するステップと、回路とハウジングの内壁との間の空間を充填するためにポリマーハウジング内へ光学ポリマーを注入するステップ(幾つかの実施形態においては、注入は、捕捉された空気を押し出すために底部から上方へ向かってなされる)と、ハウジングの開口端部をキャップするステップと、光学エポキシ樹脂及び回路を含んでいるハウジングを圧力容器内に配置し且つ容器内の圧力及び温度を増大させるステップと、光学エポキシ樹脂を硬化させるステップと、ハウジングを圧力容器から取り出すステップとを含んでいても良い。
【0007】
もう一つ別の実施形態においては、この方法は、以下のステップを含んでいても良い。すなわち、回路をガラスハウジング内へ挿入するステップと、回路とハウジングの内壁との間の空間を充填するために光学エポキシ樹脂をガラスハウジング内へ注入するステップと、光学エポキシ樹脂をポリマーハウジング内へ注入するステップと、回路を含んでいるガラスハウジングをポリマーハウジング内へ挿入するステップと、ガラスハウジングの開口端部をキャップするステップと、ポリマーハウジングの開口端部をキャップするステップとを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本願に組み入れられており且つ出願書類の一部をなす添付図面は、詳細な説明と共に本発明の種々の実施形態を例示する助けとなると共に、更に、本発明の原理を説明し且つ当業者が本発明を製造し且つ使用することができるようにする機能を果たす。図面内では、同様の符号は同じ又は機能的に類似している部材を示している。更に、参照符号の最も左の数字は、当該参照符号が最初に現れる図面を特定している。
【図1】図1は、本発明による回路アセンブリの一実施形態を示している図である。
【図2】図2は、回路をポリマーハウジング内に入れるための一実施形態による方法を示しているフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の一実施形態による回路アセンブリの断面図である。
【図4】図4は、回路をポリマーハウジング内に入れるための別の実施形態によるプロセスを示しているフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の一実施形態による回路アセンブリの分解図である。
【図6】図6は、本発明の別の実施形態による回路アセンブリの断面図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態による回路アセンブリを示している図である。
【図8】図8は、本発明の別の実施形態よる回路アセンブリの分解図である。
【図9】図9は、回路をポリマーハウジング内に入れるための別の実施形態による方法を示しているフローチャートである。
【図10A】図10Aは、種々の量のエポキシ樹脂によって覆われた回路を示している図である。
【図10B】図10Bは、種々の量のエポキシ樹脂によって覆われた回路を示している図である。
【好ましい実施形態の説明】
【0009】
以下、本発明の上記及びその他の特徴及び利点ばかりでなく、本発明の好ましい実施形態の構造及び動作を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明による回路アセンブリ100の一実施形態を示している。図1に示されているように、本発明は、完全に囲繞されたハウジング102内に収容されている回路101を含んでいるアセンブリを提供している。図1に示されているように、ハウジング102はカプセル形状とされるのが好ましいが、他の形状を使用することもできる。回路101は、プリント回路基板110と当該回路基板110に取り付けられた1以上の電気的及び光学的構成部品112とを備えている電子回路とすることができる。回路101は、米国特許6,304,766号に記載されているセンサーのような一般的なセンサーを含んでいても良い。ハウジング102は、メチルメタアクリレート(MMA)モノマーからなるポリマー材料であるPMMA又はその他の有機ポリマーによって作られたハウジングであっても良い。
【0011】
図2は、回路アセンブリ100を形成するための一実施形態による方法200を示しているフローチャートである。方法200は、重合開始剤が型に添加されるステップ202において開始させることができる。ステップ204において、モノマーを含んでいる包囲調合物が型内に注入される(例えば、型の中間まで充填される)。ステップ206において、回路101が型内に配置される。ステップ208において、回路が包囲調合物内に完全に浸漬されるように更に多くの包囲調合物が型内に注入される。一つの実施形態においては、包囲調合物は、MMAモノマーを含むか又はMMAモノマーから実質的に構成されている。このようにして、回路101をモノマーハウジング内に包囲することができる。
【0012】
幾つかの状況、例えば調合物がMMAモノマーを含んでおり且つ回路101が比較的大きい場合には、回路101は、重合過程中(すなわち、ステップ206中)に著しく損傷され得る。この損傷の原因は、通常は、MMAの重合中に自然に起こる収縮に起因する。MMAの正味溶液内に含まれるモノマー間結合を結合させる際に、分子間空間は、反応が進行するにつれてポリマー内で減じられる。これは、良く知られている現象であり、典型的には、全てではないが殆どポリマー反応からなる。モノマーの正味溶液からのPMMAの重合中に起こる体積の収縮はほぼ14%である。
【0013】
この収縮は、幾つかの環境においては、PMMAを回路ハウジングとして使用している場合に特別な問題を生じる。なぜならば、包囲反応が進むときに同時に収縮が起こって粘性が増し、典型的には導電性エポキシ樹脂によって回路基板110上に取り付けられている電子部品112が、重合過程中に回路基板110から引っ張られるからである。
【0014】
構成部品112を定位置に保持するために使用される導電性エポキシ樹脂の相対的強度(前記導電性エポキシ樹脂は、その導電率及び硬化特性が主として且つ最大になるように調合されている)は、包囲反応が進むときにPMMAの収縮による引っ張り及び応力に耐えるのに十分な機械的強度を有していない。結局、MMAモノマーからなる包囲調合物によって回路を包囲する幾つかの試みは、修復不能な機械的損傷により機能しない回路をもたらす。
【0015】
この問題を解決するために、本発明の一つの特徴は、包囲された回路101に対する損傷なく重合反応を行うことができる方法についてのものである。大きな分子量のプレポリマーPMMA(約100万+mwまで)はMMAモノマー内で分解することができ且つ収縮は別個のモノマーからの結合形成の直接的な結果であるので、一つの可能な解決方法は、MMAモノマーからなる部分及びMMAモノマー内に溶解されたプレポリマーPMMAからなる部分を含むように包囲調合物を調合することである。
【0016】
総収縮量は、前記体積内でポリマーになるように反応せしめられるモノマーの量に比例する。包囲調合物の総体積は、例えば、約70%のプレポリマーPMMA及び約30%の未反応MMAモノマー(この中に前記70%のPMMAが溶解されている)を含むように分配されており、次いで、発生する収縮度は、前記体積内のモノマー成分に直接比例して低下する。実際には、100%MMAモノマーの包囲調合物は、体積測定によると全体で約14%収縮する。調合物をほんの30%MMAまで低下させることによって、約0.3×14=4.3%の量の収縮が予想される。実際には、この改良をなすことによって約4%の収縮が測定される。
【0017】
従って、パーセントが変化する固体の結果として、特に包囲過程に対してMMA/PMMAを再調合することによって、例えば、14%乃至4%だけ収縮を減じることによって包囲中における装置の応力に改良が付与される。現在の実際的な刺激により、必要ではないけれども、MMA内の60乃至80%のPMMA調合物の比率が好ましい。ある点においては、調合物の比率が高くなればなるほど比例的に収縮が少なくなることが期待されるけれども、更なる収縮の減少が可能かもしれない。実際問題として、これらのより高いレベルにおいて溶液の粘度は著しく高くなり、これは、ハイソリッドの溶液の取り扱い、搬送等を極めて困難にする。
【0018】
しかしながら、幾つかの状況においては、14%を超す大きな改良である4%の収縮状態においてさえ、回路101の何%か(約40乃至50%)は、包囲物の4%の収縮に耐えることができない。生き残っている回路は、表面取り付け部品の機械的強度を若干高めるためにより大量の導電性エポキシ樹脂を有する傾向がある。しかしながら、導電性エポキシ樹脂は十分に強いわけではなく、接続毎に使用される量を良好な製造基準を超えて増大させることは、次いで他の問題を生じさせる。もう一つ別の重要な問題は、ワイヤボンディングされた回路に対するものである。これらの“フログヘアー”金線は、典型的には、直径が25ミクロンであり、これは、典型的な人間の毛髪の直径の約1/3ないし1/4である。固定された基板構成部品に対する少量の動きは、これらのワイヤを取り付け装置から引き裂き得る。
【0019】
従って、幾つかの用途においては、回路110を機械的に強化して、PMMA包囲硬化反応による残留している収縮に耐えるようにさせるのが望ましい。
【0020】
PMMA(70/30)包囲硬化反応による残留している4%の収縮に耐えるようにさせるために回路101を機械的に強化する一つの方法は、回路を予め適用されたエポキシ樹脂層によって補強することである。例えば、回路基板への電気部品の組み付け及び組み付け品の洗浄に続いて、エポキシ樹脂が回路を覆うように適用される。このエポキシ樹脂は、回路基板に取り付けられた構成部品の下面及び上面の両方に充填される。驚くべきことに、この解決方法は、比較的“滑らかな”表面位相をもたらすような方法でエポキシ樹脂が構成部品を覆うときに最も良好に機能することが発見されたが、これは要件ではない。この“滑らかな”表面位相は図10Aに示されている。比較のために、図10Bは、“非円滑な”エポキシ樹脂コーティングを示している。図10Aに示されているように、エポキシ樹脂コーティングの表面1002は滑らか又は実質的に滑らかである。
【0021】
エポキシ樹脂は収縮しつつあるポリマーからの損傷に対して回路101を適切に強化するけれども、残留している4%の収縮によって生じる結果的な応力は、次いで、最終的な包囲物内のエポキシ樹脂とPMMAとの隣接面間の離層として現れる。上記したように、表面がエポキシ樹脂のプレコートの体積及び適用によって滑らかにされた場合に、PMMAが表面位相内で“把持力”を得るのを可能にせず、離層は起こりそうになかったことが発見された。4%の残留している収縮による応力は、次いで、PMMA包囲物本体自体内の内部応力として吸収される。この応力は、最終的な動作において焼き鈍することによって一般的な方法で除去することができる。
【0022】
回路110を補強するために使用されるエポキシ樹脂の幾らか又は全ては、幾つかの実施形態においては、回路の周囲の不所望な光の伝搬及び散乱を防止して装置のノイズ対光学的信号の比率を増加させる(黒又は波長特性のような)遮光色素を含んでいる。
【0023】
幾つかの実施形態においては、回路101の寿命を延ばすために、ハウジング102内に浸出した分子水蒸気が凝縮して液体水になるのを阻止することが望ましいかも知れない。液体水が水蒸気から形成することが出来ない場合には、次いで、存在する潜在するイオン汚染物質は、回路の損傷につながり得る溶媒和状態となることができない。
【0024】
水蒸気が凝縮するのを防止する一つの方法は、包囲ポリマー内に熱によって誘導される気泡の形成を防止することである。MMAモノマーは極めて揮発性が高い。MMAからPMMAへの重合反応はまた発熱性でもある。室温において開始された典型的な反応からの発熱量は、一般的には、残留している未反応モノマーが気化し且つ硬化したポリマー内に捕捉された全てのサイズのポリマーを形成する点まで反応が進むにつれて温度を上昇させるであろう。水蒸気が凝縮し得るハウジング内の熱によって誘発される微少な泡及びボイドの可能性を阻止するためには、重合反応中に実質的に過剰圧力を使用することができる。より特別には、好ましい実施形態においては、PMMA/MMAを含んでいる型が圧力反応器内に配置され、圧力反応器は次いで重合温度でMMAモノマーの蒸気圧を超える圧力まで加圧される。この加圧過程によって、気泡が防止されると共に、下に横たわっているエポキシ樹脂コーティングを備えた極めて密な機械的表面結合が提供され、これは、ひとたび形成されると離層しない。ハウジングは、清潔で且つ水分が凝縮しないように気泡又はボイド欠陥がなく、重要な副産物として、気泡欠陥がなく高い光学的透明度を提供する。
【0025】
図3を参照すると、図3は、一つの実施形態による回路アセンブリ100の線Aに沿った断面図である。図3に示されているように、回路101は、ハウジング102内に包囲されているエポキシ樹脂のブロック302(すなわち、“エポキシ樹脂ブロック302”)内に完全に包囲することができる。
【0026】
図4は、別の実施形態による回路アセンブリ100を形成するためのプロセス400を示しているフローチャートである。プロセス400は、ステップ402において開始され、ステップ402において、ハウジング500(例えば、スリーブ500又は管若しくは開口端部を備えているその他のハウジング(図5)がハウジングの穴を塞ぐためにプラグ504に沿って形成される。)例えば、円筒形のスリーブ500及びプラグ504は、PMMA又はその他の有機ポリマーからなるロッドのようなポリマーロッドを加工して作ることができる。図5に示されているように、スリーブ500は、スリーブ500の開口端部に隣接して切り込み592を有していても良い。スリーブ500及びプラグ504がPMMAによって作られている場合には、スリーブとプラグとは、約80℃で約4時間アニールしても良い(ステップ403)。
【0027】
ステップ404においては、エポキシ樹脂は、回路が部分的に又は完全にエポキシ樹脂ブロック502内に包囲されてアセンブリ503を形成するように回路101を覆うように適用される。ステップ406において、アセンブリ503、スリーブ500及びプラグ504が洗浄される。例えば、アセンブリ503、スリーブ500及びプラグ504は、その表面をIPAを備えた綿棒(Q−チップ)によって擦ることによって洗浄することができる。ステップ408においても光学エポキシ樹脂が準備される。マサチューセッツ州ビルリカにあるEpoxy TechnologyによるEPO−TEK 301−2エポキシ樹脂及びその他のエポキシ樹脂を光学エポキシ樹脂として使用することができる。
【0028】
ステップ410において、エポキシ樹脂ブロックに包囲された回路(すなわち、アセンブリ503)がスリーブ500内に配置される。ステップ412において、前記の準備された光学エポキシ樹脂がスリーブ500内に注入される(すなわち、導入される)。ステップ412中に、光学エポキシ樹脂内には気泡が全く形成されないのが好ましい。ステップ414において、プラグ504がスリーブ500の開口端部内に配置されてスリーブの開口端部が密封される。
【0029】
図6は、ステップ414が行われた後の一実施形態による回路アセンブリ100の線Aに沿った断面図である。図6に示された実施形態においては、回路101は、エポキシ樹脂ブロック502に完全に包囲されている。回路101を収容するエポキシ樹脂ブロック502はスリーブ500内に配置されている。スリーブ500は円筒形スリーブとすることができる。スリーブ500が円筒形スリーブであり、回路101がエポキシ樹脂ブロック内に完全に包囲されているときには、エポキシ樹脂ブロック502の右上方隅部と左下方隅部との間の距離は、スリーブ502の内径に等しいか又は若干小さいのが好ましい。すなわち、幾つかの実施形態においては、w=sqrt((d*d)−(h*h))(式中、wはアセンブリ503の幅であり、hはアセンブリ503の高さであり、dはスリーブ500の内径である)であるのが好ましい。アセンブリ503が均一な幅を有していないか又は円形断面を有している実施形態においては、アセンブリの最大幅は内径と等しいか又は若干小さくても良い。図6に示されているように、光学エポキシ樹脂(例えば、屈折率(RI)適合エポキシ樹脂)は、アセンブリ503とスリーブ500との間の空間を充填する。
【0030】
再度図4を参照すると、ステップ416において、新しいアセンブリ(すなわち、エポキシ樹脂を含んでいる密封されたスリーブ及びアセンブリ503)が圧力容器内に配置されている。ステップ418においては、容器内の圧力は、窒素又はその他の不活性ガスを使用して約125psi(861.8kPa)まで高められる。ステップ420において、光学エポキシ樹脂は、所定の温度(例えば、40℃)において、ある時間(例えば、20時間)硬化される。所定の時間が経過した後に、アセンブリは圧力容器から取り出され、次いで仕上げ加工される(ステップ422)。
【0031】
上記した方法は、回路101に付加的な応力をかけることなく、包囲前にPMMAハウジングをアニールする可能性を許容する。
【0032】
図7は、本発明の代替的な回路アセンブリ700を示している。回路アセンブリ700は、アセンブリ700がハウジング102内に収容されている回路101を含んでいる点で回路アセンブリ100に類似している。しかしながら、アセンブリ700においては、回路101もまた、ガラスハウジング702(例えば、管又はその他の形状のハウジング)内に収容されており、ガラスハウジング702自体はハウジング102内に収容されている。幾つかの実施形態においては、ガラスハウジング702は、一端が閉塞されており、他端は開口している。当該開口端部は、ガラスボール704又はその他の適当なプラグによって密封することができる。図8は、一実施形態によるアセンブリ700の構成部品を示している分解図である。幾つかの実施形態においては、ガラスハウジング702は、赤外線(IR)遮断ガラスによって作ることができる。
【0033】
図9は、一実施形態によるアセンブリ700を製造するためのプロセス900を示しているフローチャートである。プロセス900はステップ902において開始される。ステップ902において、スリーブ500及びプラグ504のようなスリーブ及びプラグが形成される。
【0034】
ステップ904において、スリーブ及びプラグがアニールされる。スリーブ及びプラグは、80℃で約4時間アニールされる。ステップ906において、構成部品(例えば、スリーブ500、プラグ504、ガラスハウジング702、ガラスボール704、エポキシ樹脂ブロック502等)が洗浄される。例えば、スリーブ500及びプラグ504は、IPAによって超音波浴内で洗浄することができ、その後に洗い流しステップが続き、ガラスハウジング702及びガラスボール704もまた、KOH/アルコール溶液によって超音波洗浄し、次いで、水で洗い流す。
【0035】
ステップ908において、結合剤がガラスハウジング702及びガラスボール704に適用される。使用される結合剤は、Sigma−Aldrich Corporationによって購入することができるトリメトキシ[2−(7−オキサビシクロロ[4.1.0]ヘプト−3−yl)エチル]シランとすることができる(カタログNo.413321)。
【0036】
ステップ910において、光学エポキシ樹脂が準備される。ステップ912において、エポキシ樹脂コーティングされた回路基板がガラスハウジング内に挿入される。ステップ914において、準備されたエポキシ樹脂がガラスハウジング702内に注入される。
【0037】
ステップ916において、準備されたエポキシ樹脂のうちの幾らかがスリーブ500内に注入される。ステップ918において、回路を収容しているガラスハウジングがスリーブの開口端部内に挿入される。ステップ920においては、ガラスボール704がガラスハウジング702の開口端部内に挿入され、それによって、ガラスハウジングの開口端部が密封される。ステップ922において、プラグ504を使用してスリーブの開口端部が密封される。
【0038】
ステップ924において、回路101を収容しているガラスハウジング702を収容している密封されたスリーブが圧力容器内に配置され、当該圧力容器内では、不活性ガスを使用して圧力が約125psi(861.8kPa)まで増大せしめられ、温度が約40℃まで高められる。約20時間後に、圧力が次第に減じられ、アセンブリが圧力容器から取り出され、次いで仕上げ加工される(ステップ926)。
【0039】
上記のプロセスは一連のステップとして示されているけれども、当該ステップのうちの少なくとも幾らかは、図示された順序で行う必要がなく、更に、幾らかのステップを省略しても良く、付加的なステップを加えても良いことは、当業者によって理解されるべきである。
【0040】
以上、本発明の種々の実施態様/変形態様を説明したけれども、これらは例示的にのみ提供されたものであり、限定的ではないことは理解されるべきである。従って、本発明の広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、特許請求の範囲及びその等価物によってのみ規定されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングによって回路を完全に包囲する方法であって、
回路をハウジング内に挿入するステップと、
前記ハウジング内に光学エポキシ樹脂を注入するステップと、
前記光学エポキシ樹脂と回路とを含んでいる前記ハウジングを圧力容器内に配置するステップと、
前記圧力容器内の温度を上げるステップと、
前記光学エポキシ樹脂を硬化させるステップと、
前記圧力容器から前記ハウジングを取り出すステップと、
前記ハウジングの開口端部にキャップをするステップとを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハウジングがPMMAを含んでいる方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハウジングが本質的にPMMAによって構成される方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記回路を前記ハウジング内に配置する前に、前記回路をエポキシ樹脂ブロックによって包囲するステップを更に含んでいる方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記圧力が少なくとも約125psi(861.8kPa)まで増大せしめられる方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記温度が約40℃まで上げられる方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記光学エポキシ樹脂が前記ハウジング内に注入された後に、前記回路が前記ハウジング内に挿入される方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記光学エポキシ樹脂が前記ハウジング内に注入される前に、前記回路が前記ハウジング内に挿入される方法。
【請求項1】
ハウジングによって回路を完全に包囲する方法であって、
回路をハウジング内に挿入するステップと、
前記ハウジング内に光学エポキシ樹脂を注入するステップと、
前記光学エポキシ樹脂と回路とを含んでいる前記ハウジングを圧力容器内に配置するステップと、
前記圧力容器内の温度を上げるステップと、
前記光学エポキシ樹脂を硬化させるステップと、
前記圧力容器から前記ハウジングを取り出すステップと、
前記ハウジングの開口端部にキャップをするステップとを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハウジングがPMMAを含んでいる方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハウジングが本質的にPMMAによって構成される方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記回路を前記ハウジング内に配置する前に、前記回路をエポキシ樹脂ブロックによって包囲するステップを更に含んでいる方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記圧力が少なくとも約125psi(861.8kPa)まで増大せしめられる方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記温度が約40℃まで上げられる方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記光学エポキシ樹脂が前記ハウジング内に注入された後に、前記回路が前記ハウジング内に挿入される方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記光学エポキシ樹脂が前記ハウジング内に注入される前に、前記回路が前記ハウジング内に挿入される方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【公開番号】特開2012−143578(P2012−143578A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−52982(P2012−52982)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2007−508385(P2007−508385)の分割
【原出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(501078166)センサーズ・フォー・メデセン・アンド・サイエンス・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52982(P2012−52982)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2007−508385(P2007−508385)の分割
【原出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【出願人】(501078166)センサーズ・フォー・メデセン・アンド・サイエンス・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】
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