説明

生体印象取得装置、方法及びプログラム

【課題】非接触計測により耳などの生体の形状のかたどりを、簡易な構成で実現する。
【解決手段】生体印象取得プログラムが起動されると、外耳道の中心軸Lを光軸に設定し(ステップ100〜104)、外耳道へ向けたレーザ光射出方向およびラインセンサによる反射光の受光位置から3次元座標を求めることを繰り返して外耳道の表面形状を測定することで印象取得する(ステップ106〜110)。補聴器の装着部分を定めるために、外耳道のモデルである3次元形状モデルを作成して外耳孔及び外耳道の内部に進む第1番目の屈曲部(第1カーブ)を決定し(ステップ112〜116)、その範囲を型領域に決定し(ステップ118)、型モデルを生成してデータを記憶する(ステップ120〜124)。従って、3次元形状測定装置による外耳道の形状測定により取得した表面形状データに基づいて型モデルのデータを容易に取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体印象取得装置、方法及びプログラムに係り、特に、耳の穴等の対象物の印象を取得するための生体印象取得装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体の印象を取得する(かたどりをする)ことは、医療の様々な場面で用いられている。例えば、耳鼻咽喉科の関係では、聴力補助装置である補聴器の装着部分のかたどりが行われている。この補聴器用のかたどりは、耳介、外耳孔及び外耳道など耳の形状を正確に測定しかたどりをする(印象を採る)ことが一般的である。また、補聴器用のかたどりは、現在、軟性(ゴム等)のかたどり剤や液体を硬化させて印象を3〜5分の時間を費やし採取しているが、患者が苦痛や不快感を伴う場合がある。また、例えば鼓膜に穿孔がある患者の場合、中耳にかたどり剤等が流れ込む可能性を有しているため、外耳孔に液体を注入することは本来避けなければならない。さらに、補聴器用のかたどりは、技術を要するものであり、熟練者に頼っていた。
【0003】
この問題を解決するための方法として、耳の形状を3次元形状測定して取得した形状データに基づき、補聴器のかたどりを行うことが提案されている。例えば、特許文献1には外耳孔から3次元形状測定可能なセンサを差込み、外耳道の3次元形状を測定してこの形状データに基づき補聴器のかたどりを行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開平9−10254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の3次元形状測定では外耳道の3次元形状測定はできても、外耳孔周辺の比較的広い部分から外耳道という狭い穴まで形状の異なる部分の複数形状データを連続して採取することができないため、補聴器用のかたどりとして必要なデータすべてを取得することができないという問題がある。このため、現状では、簡便に生体のかたどりを可能にする装置は存在しない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、簡単な構成や操作で、外耳孔周辺から外耳道まで形状の異なる部分の複数形状データを連続して採取することができ、耳などの生体の形状をかたどりできる生体印象取得装置、方法及びプログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る生体印象取得装置は、少なくとも外耳孔を含む耳の穴を対象物として該対象物の表面を光学的に測定し、前記対象物表面の各個所の3次元位置を表す表面形状情報を得る形状計測手段と、前記形状計測手段により取得された表面形状情報に基づいて、前記対象物の3次元形状モデルを作成する作成手段と、前記対象物に挿入する挿入物の前記対象物内の挿入位置を入力する入力手段と、前記作成された3次元形状モデルに、外耳孔の位置を設定すると共に、設定した外耳孔の位置から前記入力した挿入位置までの領域を、型領域と設定する設定手段と、前記3次元形状モデルに基づいて、前記設定された型領域についての3次元形状を表す型モデルを生成すると共に、生成した型モデルのデータを出力する制御手段と、を含んで構成されている。
【0007】
本発明では、形状計測手段により、少なくとも外耳孔を含む耳の穴を対象物として該対象物の表面を光学的に測定し、対象物表面の各個所の3次元位置を表す表面形状情報を得る。この形状計測手段により取得された表面形状情報に基づいて、作成手段は、対象物の3次元形状モデルを作成する。これによって、少なくとも外耳孔を含む耳の穴の3次元形状モデルが得られる。外耳孔から深部に向かう耳の穴は、屈曲部を複数有しているが、補聴器を作成するときには、その一部のかたどりが行われる。その領域は、外耳孔から深部に向かう距離として標準的な値が定められている。そこで、入力手段によって、対象物に挿入する挿入物の対象物内の挿入位置を入力する。一方、少なくとも外耳孔を含む耳の穴の3次元形状モデルから、外耳孔の位置を設定することができる。例えば、3次元形状モデルとして得られた管状部分がらっぱ状に広がる変曲点近傍を外耳孔の位置に設定することができる。そして、設定手段は、3次元形状モデルに外耳孔の位置を設定すると共に、設定した外耳孔の位置から入力した挿入位置までの領域を、型領域と設定する。この型領域が設定されれば、補聴器を作成するときの挿入部分を特定することができる。そこで、制御手段は、3次元形状モデルから設定された型領域についての3次元形状を表す型モデルを生成すると共に、生成した型モデルのデータを出力する。
【0008】
これによって、例えば外耳孔周辺から外耳道という、生体として耳の補助器具となる補聴器の挿入部分を作成するための領域について、型モデルとしてデータを得ることができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の生体印象取得装置において、前記形状計測手段は、前記対象物の表面をレーザ光で走査する走査装置と、前記対象物の表面で反射されたレーザ光を受光することで前記対象物の表面のうちレーザ光が照射された個所の3次元位置を検出する検出手段と、を含んで構成され、前記検出手段による3次元位置の検出を、前記対象物の表面上の各個所をレーザ光で走査しながら繰り返し行うことを特徴とする。
【0010】
これによって、対象物表面形状情報を取得することができる。なお、検出手段による3次元位置の検出は、例えば三角測量法を適用して行うことができる。前記形状計測手段を上記構成とすることにより、対象物、例えば外耳孔周辺から外耳道内部の表面上の各個所の3次元位置を非接触で検出できる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2に記載の生体印象取得装置において、前記形状計測手段は、前記走査装置及び前記検出手段を、耳の穴の中心軸を中心として回転する回転手段を含み、前記回転手段により前記走査装置及び前記検出手段を回転させながら対象物の表面を光学的に測定することを特徴とする。
【0012】
走査装置で走査しながら外耳孔から耳道深部に向かい直線的に3次元位置を検出する場合、管状である耳道の全ての印象を得ようとすると、走査及び検出の向きを変更する必要がある。そこで、回転手段によって走査装置及び検出手段を耳の穴の中心軸を中心として回転することで、管状である耳道の全ての印象を得ることができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の生体印象取得装置において、前記走査装置は、耳の穴の中心軸を中心として回転することにより走査することを特徴とする。
【0014】
耳の穴である対象物の形状を計測する場合、耳の外部から非接触で計測することが最も好ましいが、耳の穴に線状の計測装置を挿入して計測することでも容易に計測が可能となる。この場合、走査装置を、耳の穴の中心軸を中心として回転することにより走査するようにすることで、耳の穴を輪切り状に計測することが可能となる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項2記載の生体印象取得装置において、前記形状計測手段は、前記走査装置及び前記検出手段を、耳の穴の中心軸に沿って伸縮する伸縮手段を含み、前記伸縮手段により前記走査装置及び前記検出手段を伸縮させながら対象物の表面を光学的に測定することを特徴とする。
【0016】
形状計測手段は、その走査により形状計測を行うが、耳の穴に沿って計測するには耳の穴に沿う方向に位置変更することが好ましい。そこで、伸縮手段により耳の穴の中心軸に沿って伸縮するようにすれば、容易に耳の穴に沿う方向の計測が可能になる。
【0017】
請求項6の発明は、請求項1記載の生体印象取得装置において、前記入力手段は、前記作成された3次元形状モデルを表示する表示手段と、表示された3次元モデル上に前記挿入位置を指示する指示手段とを含むことを特徴とする。
【0018】
耳の穴の3次元形状モデルを用いて、対象物に挿入する挿入物の対象物内の挿入位置を入力する場合、操作者は、目視確認しながら適切な位置設定ができることを望む。そこで、表示手段に3次元形状モデルを表示し、表示された3次元モデル上に指示手段によって挿入位置を指示するようにすれば、確実かつ簡単に挿入位置を入力することができる。
【0019】
他の発明に係る生体印象取得方法は、本発明の生体印象取得装置と同様に、耳などの生体の形状をかたどりすることを簡易な装置構成で実現できる。詳細には、請求項7の発明の生体印象取得方法は、少なくとも外耳孔を含む耳の穴を対象物として該対象物の表面を光学的に測定し、前記対象物表面の各個所の3次元位置を表す表面形状情報を取得する工程と、前記取得された表面形状情報に基づいて、前記対象物の3次元形状モデルを作成する工程と、前記対象物に挿入する挿入物の前記対象物内の挿入位置を入力する工程と、前記作成された3次元形状モデルに、外耳孔の位置を設定すると共に、設定した外耳孔の位置から前記入力した挿入位置までの領域を、型領域と設定する工程と、前記3次元形状モデルに基づいて、前記設定された型領域についての3次元形状を表す型モデルを生成すると共に、生成した型モデルのデータを出力する工程と、を含んでいる。
【0020】
また、その他の発明に係る生体印象取得プログラムをコンピュータで実行することにより、コンピュータが本発明の生体印象取得装置として機能することになり、耳などの生体の形状をかたどりすることを簡易な構成で実現できる。詳細には、請求項8の発明の生体印象取得プログラムは、少なくとも外耳孔を含む耳の穴を対象物として該対象物の表面を光学的に測定し、前記対象物表面の各個所の3次元位置を表す表面形状情報を取得するステップと、前記取得された表面形状情報に基づいて、前記対象物の3次元形状モデルを作成するステップと、前記対象物に挿入する挿入物の前記対象物内の挿入位置を入力するステップと、前記作成された3次元形状モデルに、外耳孔の位置を設定すると共に、設定した外耳孔の位置から前記入力した挿入位置までの領域を、型領域と設定するステップと、前記3次元形状モデルに基づいて、前記設定された型領域についての3次元形状を表す型モデルを生成すると共に、生成した型モデルのデータを出力するステップと、の各処理をコンピュータで実行させる処理として含んでいる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明は、形状計測により、少なくとも外耳孔を含む耳の穴の表面形状情報を得ることができるので、表面形状情報から3次元形状モデルを作成し、かたどりのための型領域についての3次元形状を表す型モデルのデータを出力して、例えば生体として耳の補助器具となる補聴器の挿入部分を作成するための領域のデータを得ることができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下では本発明を、生体としての患者の耳の印象取得に適用した場合を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0023】
図1には本実施形態に係る生体印象取得装置10が示されている。生体印象取得装置10はパーソナル・コンピュータ(PC)等から成るコンピュータ12を備えている。コンピュータ12はCPU12A、ROM12B、RAM12C及び入出力ポート12Dを備えており、これらはバス12Eを介して互いに接続されている。また、入出力ポート12Dには、操作者が任意の情報を入力したり各種の指示を与えるためのキーボード14及びマウス16、LCD又はCRTから成り任意の情報を表示可能なディスプレイ18、ハードディスクドライブ(HDD)20及びCD−ROMドライブ22が各々接続されている。なお、ディスプレイ18は本発明に係る表示手段に対応している。また、生体印象取得装置10は、請求項1の生体印象取得装置に対応している。
【0024】
コンピュータ12のHDD20には、後述する3次元形状モデルや型モデルの生成を行うための3次元モデル生成プログラムを含む生体印象取得プログラムが予めインストールされている。本実施形態において、コンピュータ12は請求項8に記載のコンピュータに、生体印象取得プログラムは請求項8記載の発明に係る生体印象取得プログラムに対応しており、コンピュータ12は生体印象取得プログラムを実行することで、請求項1に記載の生体印象取得装置として機能することが可能となる。
【0025】
生体印象取得プログラムをコンピュータ12にインストール(移入)するには幾つかの方法があるが、例えば生体印象取得プログラムをセットアッププログラムと共にCD−ROMに記録しておき、このCD−ROMをコンピュータ12のCD−ROMドライブ22にセットし、CPU12Aに対してセットアッププログラムの実行を指示すれば、CD−ROMから生体印象取得プログラムが読み出されてHDD20に順に書き込まれ、必要に応じて各種の設定が行われることで、生体印象取得プログラムのインストールが行われる。
【0026】
また、コンピュータ12の入出力ポート12Dには、成形装置24、及び3次元形状測定装置30が各々接続されている。3次元形状測定装置30は患者の外耳孔から孔の形状測定を行うものである。成形装置24は、生成される型モデルの3次元データから耳への装着部分を成形する装置である。なお、成形装置24は、本発明に必須の構成ではなく、省略可能である。つまり、詳細は後述するように3次元形状モデルや型モデルの生成がなされていれば、再利用可能な形式でデータを取得できるので、この取得したデータを利用可能に格納すればよい。
【0027】
図2(A)に示すように、3次元形状測定装置30は、患者の両耳を覆うように装着可能とするもので(所謂、ヘッドフォン形状)、右耳装着部30R,左耳装着部30L、及びこれらを連結するアーム30Aから構成されている。図2(B)に示すように、右耳装着部30Rの右耳接近側には、3次元形状測定装置30の基本部分である走査計測ユニット48が設けられている。走査計測ユニット48は筐体が箱型とされ、走査計測ユニット48の筐体の底面に矩形状の開口が設けられ、この開口は光透過性のカバー50によって閉止されており、3次元形状測定装置30は、測定/撮像ユニット48の筐体内部のカバー50(開口)に対応する位置に取付けられている。
【0028】
図2(C)に示すように、右耳装着部30Rは、断面円形状の外装部32にイヤーパッド33が取り付けられている。外装部32には外装部32の中心を中心軸CLとする円形状のベース板34が固定されており、ベース板34の耳装着側でかつ中心軸CLから等間隔の3カ所に軸傾斜駆動部36の一端が取り付けられている。軸傾斜駆動部36の他端は、ベアリング44が外周に取り付けられた円形ベース板38に取り付けられる。この円形ベース板38の初期状態は、円形ベース板38の中心が上記中心軸CLと一致するように取り付けられる。軸傾斜駆動部36は、軸の向きを調整する軸方向調整機構として機能するもので、図示しないコントローラからの信号により各々長さが調整される。これら3つの軸傾斜駆動部36について長さを調整することにより、ベース板34に対して円形ベース板38が傾斜され、ベース板34の法線方向に対して円形ベース板38の法線方向を調整することができる。中心軸CLに対して回転ベース板46の法線方向を調整することができる。
【0029】
ベアリング44の内側には円形ベース板38が取り付けられるが、ベアリング44の外側には、回転ベース板46が取り付けられる。この回転ベース板46の初期状態は、回転ベース板46の中心が上記中心軸CLと一致するように取り付けられる。円形ベース板38の軸傾斜駆動部36の取り付け側には、回転軸41を円形ベース板38の半径方向の外周に向けてモータ40が取り付けられる。回転軸41の先端にはプーリ42が取り付けられる。このプーリ42の外周は、回転ベース板46に固定されるベアリング44の外輪側に接触される。これにより、モータ40の回転軸41が回転することで、プーリ42が回転され、接触され連結された回転ベース板46が回転される。回転ベース板46の耳装着側には、走査計測ユニット48が取り付けられる。走査計測ユニット48は、初期状態として後述する走査範囲の中心に上記中心軸CLが位置するように取り付けられる。
【0030】
従って、軸傾斜駆動部36を調整することで、中心軸CLに対して回転ベース板46の法線方向を調整、すなわち走査計測ユニット48の光軸の方向を調整できる。また、モータ40の回転により、回転ベース板46が回転、すなわち走査計測ユニット48の走査方向を回転できる(詳細は後述。図3参照)。
【0031】
なお、以下の説明では、回転ベース板46の法線方向を中心軸Lとして説明する。また、左耳装着部30Lの構成は、右耳装着部30Rの構成と同様のため、詳細な説明を省略する。また、ここでは、右耳装着部30R,左耳装着部30Lの各々に走査計測ユニット48等を備えた3次元形状測定装置30を想定するが、本発明はこれに限定されるものではなく、右耳装着部30R及び左耳装着部30Lの少なくとも一方に走査計測ユニット48等を備えるようにしてもよい。
【0032】
図3には、3次元形状測定装置30において調整される中心軸及び走査方向を説明するための概念図を示した。図3(A)に示すように、図2の構成により、3次元形状測定装置30は、走査計測ユニット48、走査計測ユニット48を回転するモータ40等からなる回転駆動部、走査計測ユニット48と回転駆動部からなる回転ユニット39、回転ユニット39の軸を傾斜(中心軸Lを傾斜)する軸傾斜駆動部36を含む。モータ40等からなる回転駆動部により中心軸Lを中心として走査計測ユニット48は一方(図3では矢印R方向)に回転可能である。また、軸傾斜駆動部36により、ベース板34に対して中心軸Lの向きを所定方向(図3では矢印u方向及び矢印v方向)に傾斜可能である。また、中心軸Lは、外耳孔80の中央付近に位置するように設定される。図3(B)に示すように、走査計測ユニット48によって、走査範囲52は、外耳孔80を網羅するように設定される。そして、中心軸Lを中心として走査計測ユニット48が回転(図3では角度θ)されることにより、走査方向が変更される。この回転を360度行うことにより、耳の穴の内面(表面)を計測することができる。
【0033】
図4に示すように、3次元形状測定装置30に含まれる走査計測ユニット48は、一対のレール54の間に掛け渡された可動ベース56を備えている。可動ベース56は、レール54と平行に延設されモータ58によって回転されるボールネジ60が螺合しており、ボールネジ60の回転に伴いレール54に沿って摺動移動される。また、可動ベース56にはレーザ光源を含んで構成された発光部62が取付けられており、発光部62のレーザ光(送出レーザ光)射出側には、可動ベース56に取付けられたミラー64、モータ72の回転軸に取付けられモータ72の駆動に伴って向きが変更されるガルバノメータミラー66が順に配置されている。発光部62から射出された送出レーザ光は、ミラー64、ガルバノメータミラー66で反射されることで、カバー50を透過して走査計測ユニット48の筐体外へ射出される。
【0034】
また、走査計測ユニット48の筐体外へ射出された送出レーザ光は、被照射体(例えば外耳孔周辺)で反射され、戻りレーザ光として、カバー50を透過してミラー67に入射される。ミラー67は、ガルバノメータミラー66と同一の向きでモータ72の回転軸に取付けられ、モータ72の駆動に伴って向きが変更されるように構成されている。ミラー67の戻りレーザ光射出側にはミラー68、レンズ69、多数個の光電変換素子が一列に配列されて成るラインセンサ70が順に配置されており、ミラー67に入射された戻りレーザ光はミラー67、68で反射され、レンズ69を透過することで、ラインセンサ70で受光される。ラインセンサ70からの出力信号は増幅器やA/D変換器を介して3次元形状測定装置30のコントローラに入力される(何れも図示省略)。またコントローラには、可動ベース56の位置を検出する位置センサと、ガルバノメータミラー66(及びミラー67)の向きを検出する角度センサも接続されている。
【0035】
コントローラは、ラインセンサ70から増幅器・A/D変換器を経て入力された受光データに基づいて、ラインセンサ70の何れの光電変換素子でレーザ光が受光されたかを判断し、ラインセンサ70上でのレーザ光を受光した光電変換素子の位置と、センサによって検出された可動ベース56の位置及びガルバノメータミラー66の向きに基づいて、被照射体上のレーザ光照射位置の3次元座標(詳しくは、走査計測ユニット48の筐体の位置を基準として設定された3次元座標系(筐体座標系と称する)における3次元座標)を三角測量法により検出(演算)する。また、コントローラにはモータ72、58が各々接続されており、モータ72を駆動してガルバノメータミラー66(及びミラー67)の向きを変化させることで、被照射体上のレーザ光照射位置をモータ72の回転軸の軸線と直交する方向に沿って移動させる(主走査)と共に、モータ58を駆動して可動ベース56を移動させることで、被照射体上のレーザ光照射位置をレール54と平行な方向に沿って移動させる(副走査)。
【0036】
これにより、被照射体の表面形状(被照射体の表面の各個所の3次元座標)が、その全面に亘り、3次元形状測定装置30によって測定されることになる。3次元形状測定装置30はコンピュータ12から指示されると被照射体の表面形状の測定を行い、測定によって得られた被照射体の表面の各個所の3次元座標を表すデータ(以下、このデータを表面測定データと称する)をコンピュータ12へ出力する。
【0037】
なお、走査計測ユニット48がモータ40により回転されると、3次元座標系(筐体座標系)の座標軸の原点と座標軸の向きが変わるので、各回転角度で測定された表面測定データは、定められた回転角度における3次元座標系(筐体座標系)のデータに座標変換する必要がある。この座標変換を行うための座標変換係数は、各々の回転角度毎に予めコンピュータ12内に記憶されている。この座標変換係数を求める方法を説明する。
【0038】
図8に示すように、走査計測ユニット48からのレーザー光照射により3次元形状測定が可能な領域内に、基準測定子51としてそれぞれ反射率の異なる3つの球体51A,51B,51Cを設置し、それぞれの回転角度で3次元形状測定を行う。この場合、球体51A,51B,51Cの位置関係及び球体から走査計測ユニット48までの距離関係が既知であることが好ましい。3つの球体の表面データは反射光量により区別することができるため、それぞれの球体の表面データから最小2乗法により、球体中心座標を計算する。ある座標系による座標を別の座標系による座標に変換するための座標変換式は次の(1)式である。
【0039】
【数1】

【0040】
上記(1)式に定められた回転角度と各々の回転角度における3つの球体中心座標と、3つの球体中心座標が含まれる平面の法線ベクトルの単位成分とをこの座標変換式の(X1,Y1,Z1)と(X2,Y2,Z2)に代入すると4つ式がある3組の連立方程式が形成される。この3組の連立方程式を解くことで、座標変換式の行列式の値g11〜g33およびベクトル成分a,b,cを求めることができる。各々の回転角度における行列式の値g11〜g33およびベクトル成分a,b,cが各々の回転角度における座標変換係数としてコンピュータ12内に記憶される。
【0041】
なお、表面測定データは本発明に係る表面形状情報に対応しており、レール54、可動ベース56、モータ58、ボールネジ60、発光部62、ミラー64、ガルバノメータミラー66及びモータ72は請求項2に記載の走査装置に、ミラー67、68、レンズ69、ラインセンサ70及びモータ72は請求項2に記載の検出手段に各々対応している。
【0042】
次に本実施形態の作用を説明する。本実施形態では、患者の耳の印象取得を実行し、補聴器の装着部分を作成するための(かたどり後の)データ出力をする場合を説明する。まず、電源投入されたコンピュータ12に対して生体印象取得プログラムの起動が指示されることで、3次元形状モデルや型モデルの生成を含む生体印象取得処理(図5)が実行される。この生体印象取得処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
まず、患者の頭部(より詳しくは、耳を覆うよう)に、3次元形状測定装置30を固定する。なお、後述するように、外耳孔近傍から外耳道の3次元形状を測定するが、測定精度向上のために、患者のあご、前額、側頭部を軽く押さえる台に顔面を固定することが好ましい。固定が完了した後には、印象取得処理に移行することを表す情報がキーボード14を介して操作者によって入力されると、ステップ100で肯定される。ステップ100はキーボード14により生体印象取得プログラムの起動が指示(印象取得処理に移行することを表す情報が入力)されるまで否定判定を繰り返し、肯定によりステップ102へ進む。ステップ102では、外耳孔近傍に初期位置(焦点)を設定する。ここでは、外耳孔の中心位置が3次元形状測定装置30の走査計測ユニット48の移動範囲の中心位置に対応したものとして、その中心位置(中心軸CL)を初期値に設定する(図2)。なお、この設定は、外耳孔の中心位置を目視しながら手動にて行っても良い。
【0044】
次のステップ104では、外耳道の中心軸Lを導出(光軸を傾斜)する。この中心軸Lとは、外耳道の表面に接触することなく貫通することが可能な軸線であり、その軸線が外耳孔から最も長い距離の深さを得ることができるものを導出する。具体的には、軸傾斜駆動部36の初期角度について、患者の耳内部(外耳道)へ向けてレーザ光を射出し、患者の耳内部(外耳道)で反射された戻りレーザ光のラインセンサ70上での受光位置に基づいてレーザ光の照射位置の最深部の3次元座標を検出(演算)することを、ガルバノメータミラー66(及びミラー67)の向きを変化させると共に可動ベース56を移動させながら繰り返すことで、患者の耳内部(外耳道)の表面形状のうちの最深部測定を行う。これにより、外耳道の中心軸に対しての走査方向X(図3)について最深部を測定できる。
【0045】
ところが、外耳道は走査計測ユニット48の法線方向である中心軸CLに直交するとは限らず、傾斜していることが一般的であり、最深部でのレーザ光の反射光が得られない場合がある。そこで、走査計測ユニット48を角度θ(図3)で回転させて再度、最深部測定を行う。この処理を所定角度づつ回転させて各々行い、一回転について処理することで、現在設定されている中心軸Lにおいての最深部を測定できる。以上の処理を、初期角度から矢印u、矢印v(図3)に所定角度づつ傾斜させた状態について、各々処理し、計算結果が最も最深となる外耳道の中心軸Li=(ui,vi)を導出する。なおiは、任意の自然数である。また、矢印u、矢印vの傾斜は、軸傾斜駆動部36により実行することができる。
【0046】
なお、ステップ104の処理は、外耳道の中心軸Lの自己導出の処理であるため、詳細な3次元座標の導出は不要であり、また表面全てについて求める必要もない。このため、計算量は削減することが容易である。なお、外耳道の中心軸Lの導出は、上記では、外耳道の最深部まで接触することなく貫通する軸線を設定したが、これに限定されるものではない。例えば、最深部を位置や距離で設定するようにしてもよい。図6には、導出された外耳道の中心軸Lのイメージを示した。図6では、中心軸Lとして外耳道の最深部までを達成した中心軸L1と、外耳孔近傍の外耳道にのみ着目した中心軸L2とを示している。
【0047】
外耳道の中心軸Lの導出が終了すると、ステップ106へ進み、印象取得を開始する。印象取得では、3次元形状測定装置30に対して表面形状の測定を指示する。これにより、3次元形状測定装置30では、患者の外耳孔を含む患者の外耳道へ向けてレーザ光を射出し、患者の表面で反射された戻りレーザ光のラインセンサ70上での受光位置に基づいてレーザ光の照射位置の3次元座標を検出(演算)することを、ガルバノメータミラー66(及びミラー67)の向きを変化させると共に可動ベース56を移動させながら繰り返すことで、患者の外耳道の表面形状(各個所の3次元座標)の測定を行う。この3次元形状測定装置30による表面形状の測定結果として出力される表面測定データは筐体座標系における3次元座標値である。
【0048】
ステップ106の印象取得は、外耳道の孔の帯形状測定である。すなわち、3次元形状測定装置30による測定は、外耳孔近傍から外耳道の3次元形状を、レーザー光の反射により三角測量法の原理で測定・記録する。従って、外耳道内面の全てを測定できない。そこで、3次元形状測定装置30による1回の測定では、外耳道内面について所定幅の帯状の領域を測定するものとする(図3(B)の範囲k)。
【0049】
次のステップ108では、走査計測ユニット48の回転が、360度(一回転)を終了したか否かを判断し、肯定されると、ステップ112へ進む。一方、否定されると、ステップ110で予め定めた所定角度θだけ走査計測ユニット48を回転させた後にステップ106へ戻る。従って、走査計測ユニット48が所定角度θづつ回転しながら、範囲kの帯状の外耳道内面形状が測定される。なお、角度θは、範囲kの一部が重複するように定められている。
【0050】
以上の処理により範囲kづつ帯状の外耳道内面形状の測定データ(3次元座標値)が得られると、ステップ112において、帯状の外耳道内面形状の測定データを各々の角度θにおける座標変換係数により座標変換して定められた角度θにおける筐体座標系のデータにすることにより外耳道の3次元形状を構築する。ここでは、外耳道の3次元形状構築により、筐体座標系による3次元形状モデルを生成する。その結果、図6に示すように、耳として外部に露出した部分と、内部に隠れた外耳道の表面形状として3次元形状モデルが生成される。この3次元形状モデル84についてのデジタルデータをコンピュータ(のハードディスクドライブ20)に保存する。
【0051】
なお、上記では、帯状測定(範囲kづつ走査)し、順次走査計測ユニット48を回転させる処理を繰り返す場合を説明したが、外耳道断面の中心に測定器の中心を置き、レーザーは出力部と受光部(リネアフォトダイドードアレイ)を180度の角度で対角に配置し、それを回転させながら手前に移動させ(ラセンに回転させ)、外耳道の奥から手前の外耳孔まで走査するようにしてもよい。以上の処理により、外耳道の奥から手前の外耳孔周辺までの形状を一つの装置で測定できる。
【0052】
ここで、補聴器の装着部分は、外耳道の直線的な領域であることが想定される。一方、外耳道は、頭部内部に進むに従い幾つかの屈曲部を有している。外耳道は、耳として外部に露出した部分までとするが、その領域を外耳孔80という。従って、外耳孔80から外耳道の内部に進む第1番目の屈曲部までを、補聴器の装着検討部分に設定すれば充分な補聴器の装着部分を確保できる。そこで、ステップ114では、外耳道の内部に進む第1番目の屈曲部を、第1カーブ82として決定する。次のステップ116では、外耳孔を決定する。この外耳孔80の決定は、外耳道の屈曲部の内、屈曲度合いが最大の位置を自動的に検出することにより行われる。なお、3次元形状モデルで外部に露出する部分を操作者により設定し、最初の屈曲部を外耳孔80と設定してもよい。また、上記ステップ112で記憶したデジタルデータを、ディスプレイ18に表示したり、デジタルデータから3次元形状モデル84を再構築したモデルイメージをディスプレイ18に表示して、マウス16やキーボード14により入力された数値や位置によって決定してもよい。
【0053】
次のステップ118では、外耳孔80から第1カーブ82までの間を型領域として決定し、補聴器の装着部分の深さを設定する。この型領域は、補聴器の装着部分に対応する領域であり、補聴器を作成するときに検討するものである。そこで、本実施の形態では、上記ステップ112で記憶したデジタルデータから3次元形状モデル84を再構築したモデルイメージをディスプレイ18に表示して、マウス16やキーボード14により型領域を入力設定することによって決定する。なお、この設定は、外耳孔80から予め定めた距離(例えば10mm)の深さまでの領域を補聴器の装着部分として設定してもよい。
【0054】
図6に示すように、3次元形状モデル84をディスプレイ18に表示し、外耳孔80から予め定めた距離(例えば10mm)の深さS(中心軸L1の場合の距離S1、及び中心軸L2の場合の距離S2)までの領域を補聴器の装着部分の検討領域として提示する。操作者は、ディスプレイ18を目視しながら、どこからどこまでの形状を必要とするかを入力(本実施形態ではマウス16でトレース)する。この入力結果から、型領域を決定し、その外面形状の型モデル86を得る。
【0055】
次のステップ120では、上記ステップ118で決定した型領域の形状を抽出する。この型領域の形状抽出は、型モデル86の3次元座標群を抽出する処理である。そして、次のステップ122では、この型モデル86についてのデジタルデータ(3次元座標群)をコンピュータに保存すると共に、成形装置24へデジタルデータ(3次元座標群)を出力する。これによって、成形装置24では、入力されたデジタルデータ(3次元座標群)を基にして型モデルと一致する耳への装着部分を成形することができる。なお、ステップ122では、成形装置24へのデジタルデータ(3次元座標群)の出力は必須ではない。すなわち、デジタルデータ(3次元座標群)をハードディスクドライブ20に保存するのみでよい。
【0056】
次のステップ124では、操作者によるディスプレイ18の目視確認を完了したことを示す確認完了の指示がキーボード14やマウス16で、なされたか否かを判断する。否定されるとステップ102へ戻り、上記処理を繰り返す。一方、肯定されると、本処理ルーチンを終了する。
【0057】
なお、上記では、外耳道の表面形状を走査計測ユニット48(3次元形状測定装置30)により測定できるものとしたが、外耳道には、うぶ毛等の反射光を阻害する物体が存在する場合がある。この場合、走査計測ユニット48はSNが低下するが、走査計測ユニット48の精度により、そのうぶ毛までも測定することができる。そこで、上記ステップ118において、操作者が、ディスプレイ18を目視しながら、外耳道表面の毛など、実際に不要な形状は、どこからどこまでの形状を必要とするかを入力(マウスでトレース)する段階で切り捨てられるようにすることが好ましい。
【0058】
以上説明したように、本実施形態の生体印象取得装置10では、3次元形状測定装置30によって対象物(本実施形態では外耳道の形状)の表面が光学的に測定されることで得られた表面形状データを容易に取得することができる。例えば、耳の形状の合わせた補聴器を作成する場合には、外耳孔から外耳道の形状を計測する必要がある。現在は、外耳孔周辺から外耳道までの形状を連続的に計測する装置がないため、鋳型を採取するごとく、接触させる方法でかたどりをしている。健常な耳のかたどりはこれで問題ないが、病的状態(炎症・感染などの危険性がある)では、非接触でのかたどりが必要である。また、接触させる方法に伴う不快感を解消するためにも非接触が望ましい。従って、本実施の形態の生体印象取得装置10により、簡便な装置・操作で、患者に苦痛を与えることなく、非接触で外耳孔周辺から外耳道までの形状をかたどりすることができる。また、採取したデータをデジタル化して扱えることにより、保存が容易になり、直接加工に使用する装置(成形装置24)を駆動することを容易に実行することができる。これにより、予期せぬ効果として、まず試着するための(補聴器としての機能のない)器械を試作し、形状の適合を試してから、その結果に基づいて実際の補聴器を作成できるなど利点がある。
【0059】
なお、本実施の形態の生体印象取得装置10は、補聴器の装着部を作成する場合を一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、非接触によりかたどりが要求される他の生体部分についても容易に適用することが可能である。また、本実施形態に係る生体印象取得装置10は、3次元形状測定装置30、生体印象取得プログラムをインストールしたコンピュータ12のみで実現できるので、かたどりに熟練を必要とすることはない。
【0060】
上記実施形態の3次元形状測定装置30では、患者の外耳孔を含む患者の外耳道へ向けてレーザ光を射出し、表面で反射された戻りレーザ光のラインセンサ70上での受光位置に基づいてレーザ光の照射位置の3次元座標を検出(演算)することを、ガルバノメータミラー66(及びミラー67)の向きを変化させると共に可動ベース56を移動させながら繰り返すことで、患者の外耳道の表面形状(各個所の3次元座標)の測定を行う場合を説明した。この3次元形状測定装置30と同様の効果を得ることができる表面形状の測定の他例を図7を参照して説明する。
【0061】
図7に示すように、他例の3次元形状測定装置31は、投受光部30A、伸縮回転部30B、及び固定部30Cを備えている。投受光部30Aは、図4に示す発光部62に相当する投光部とラインセンサ70に相当する受光部を備えたものである。伸縮回転部30Bは、図3に示すモータ40に相当する投受光部30Aを中心軸Lを軸として(矢印R方向に)回転する回転駆動部と、投受光部30Aを中心軸Lを軸として(矢印G方向に)伸縮棒37Bを伸縮する伸縮駆動部37Cとを備えている。固定部30Cは、中心軸Lの向きを調整するために、投受光部30Aに連結された伸縮回転部30Bに取り付けられており、図示しない外部筐体に固定される。
【0062】
外耳道の中心軸Lは、固定部30Cによる調整により決定される。そして、図7の3次元形状測定装置31では、患者の外耳道内に投受光部30Aを挿入し、中心軸Lを軸として回転することにより、外耳道表面形状を得るために、外耳道表面へ向けてレーザ光を射出し、表面で反射された戻りレーザ光のラインセンサ70上での受光位置に基づいてレーザ光の照射位置の3次元座標を検出(演算)することを、回転駆動部による回転と、伸縮駆動部37Cの駆動による投受光部30Aの位置を変化させることを繰り返すことで、患者の外耳道表面形状(各個所の3次元座標)を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】生体印象取得装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】3次元形状測定装置の構成を示す概念図であり、(A)は外観図、(B)は走査計測ユニットに対する目視図、(C)は(B)の断面図である。
【図3】3次元形状測定装置で調整される中心軸及び走査方向の説明図であり、(A)はブロック図、(B)は走査範囲の図である。
【図4】走査計測ユニットの内部構成を示す斜視図である。
【図5】生体印象取得処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】3次元形状モデルから型モデルが生成されるまでの説明図である。
【図7】3次元形状測定装置の他の構成を示す概念図である。
【図8】3次元形状測定装置のの走査計測ユニットを回転したときの座標変換係数を求める過程の説明図である。
【符号の説明】
【0064】
10 生体印象取得装置
12 コンピュータ
18 ディスプレイ
22 ドライブ
30 3次元形状測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも外耳孔を含む耳の穴を対象物として該対象物の表面を光学的に測定し、前記対象物表面の各個所の3次元位置を表す表面形状情報を得る形状計測手段と、
前記形状計測手段により取得された表面形状情報に基づいて、前記対象物の3次元形状モデルを作成する作成手段と、
前記対象物に挿入する挿入物の前記対象物内の挿入位置を入力する入力手段と、
前記作成された3次元形状モデルに、外耳孔の位置を設定すると共に、設定した外耳孔の位置から前記入力した挿入位置までの領域を、型領域と設定する設定手段と、
前記3次元形状モデルに基づいて、前記設定された型領域についての3次元形状を表す型モデルを生成すると共に、生成した型モデルのデータを出力する制御手段と、
を含む生体印象取得装置。
【請求項2】
前記形状計測手段は、前記対象物の表面をレーザ光で走査する走査装置と、前記対象物の表面で反射されたレーザ光を受光することで前記対象物の表面のうちレーザ光が照射された個所の3次元位置を検出する検出手段と、を含んで構成され、前記検出手段による3次元位置の検出を、前記対象物の表面上の各個所をレーザ光で走査しながら繰り返し行うことを特徴とする請求項1に記載の生体印象取得装置。
【請求項3】
前記形状計測手段は、前記走査装置及び前記検出手段を、耳の穴の中心軸を中心として回転する回転手段を含み、前記回転手段により前記走査装置及び前記検出手段を回転させながら対象物の表面を光学的に測定することを特徴とする請求項2に記載の生体印象取得装置。
【請求項4】
前記走査装置は、耳の穴の中心軸を中心として回転することにより走査することを特徴とする請求項2に記載の生体印象取得装置。
【請求項5】
前記形状計測手段は、前記走査装置及び前記検出手段を、耳の穴の中心軸に沿って伸縮する伸縮手段を含み、前記伸縮手段により前記走査装置及び前記検出手段を伸縮させながら対象物の表面を光学的に測定することを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか1項に記載の生体印象取得装置。
【請求項6】
前記入力手段は、前記作成された3次元形状モデルを表示する表示手段と、表示された3次元モデル上に前記挿入位置を指示する指示手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の生体印象取得装置。
【請求項7】
少なくとも外耳孔を含む耳の穴を対象物として該対象物の表面を光学的に測定し、前記対象物表面の各個所の3次元位置を表す表面形状情報を取得する工程と、
前記取得された表面形状情報に基づいて、前記対象物の3次元形状モデルを作成する工程と、
前記対象物に挿入する挿入物の前記対象物内の挿入位置を入力する工程と、
前記作成された3次元形状モデルに、外耳孔の位置を設定すると共に、設定した外耳孔の位置から前記入力した挿入位置までの領域を、型領域と設定する工程と、
前記3次元形状モデルに基づいて、前記設定された型領域についての3次元形状を表す型モデルを生成すると共に、生成した型モデルのデータを出力する工程と、
を含む生体印象取得方法。
【請求項8】
少なくとも外耳孔を含む耳の穴を対象物として該対象物の表面を光学的に測定し、前記対象物表面の各個所の3次元位置を表す表面形状情報を取得するステップと、
前記取得された表面形状情報に基づいて、前記対象物の3次元形状モデルを作成するステップと、
前記対象物に挿入する挿入物の前記対象物内の挿入位置を入力するステップと、
前記作成された3次元形状モデルに、外耳孔の位置を設定すると共に、設定した外耳孔の位置から前記入力した挿入位置までの領域を、型領域と設定するステップと、
前記3次元形状モデルに基づいて、前記設定された型領域についての3次元形状を表す型モデルを生成すると共に、生成した型モデルのデータを出力するステップと、
の各処理をコンピュータで実行させる処理として含む生体印象取得プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−209532(P2007−209532A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−32606(P2006−32606)
【出願日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(504300181)国立大学法人浜松医科大学 (96)
【出願人】(000112004)パルステック工業株式会社 (179)