説明

生体吸収性フィラメントを作製する方法

【課題】良好な可撓性および取り扱い特性を示し、同時に他の望ましい特性(例えば、結び目強度、結び目保持および所望の吸収特性)を維持する、生体吸収性縫合糸を提供すること。
【解決手段】生体吸収性コポリマーフィラメントを作製するための方法が、本明細書中に提供される。これらの方法は、押し出されるべきポリマーペレットを乾燥させる工程、コポリマー成分を溶融押し出しする工程、これらのフィラメントを1回以上の延伸工程で伸長させる工程、およびこれらの延伸されたフィラメントを弛緩させる工程を包含する。このコポリマーは、好ましくは、グリコリドまたはグリコール酸から誘導された単位、およびアルキレンカーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート)から誘導された単位を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2005年4月1日に出願された米国出願番号10/530,076の利益および優先権を主張する一部継続出願であり、この米国出願は、米国特許法第371条のもとで2003年10月2日に出願された国際出願番号PCT/US2003/031360の国内段階移行である。国際出願番号PCT/US2003/031360は、2002年10月4日に出願された米国仮出願番号60/416,087の利益および優先権を主張する。これらの出願の各々の全内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、縫合糸などの外科手術用物品を製造する際に使用するための、コポリマーフィラメントを作製するための方法に関する。より特定すると、本開示は、外科手術用縫合糸を製造する際に有用な、グリコリドとトリメチレンカーボネートとのコポリマーから作製されたフィラメントに関する。
【背景技術】
【0003】
適切な外科手術用縫合糸であるモノフィラメントを作製するための方法は、一般に、少なくとも1種の生体吸収性ポリマーまたは非生体吸収性ポリマーを押し出してフィラメントを提供する工程、固化したフィラメントを延伸するかまたは伸長させて、分子配向を達成する工程、および延伸したフィラメントをアニーリングして内部応力を軽減する工程を包含する。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、および欧州特許出願番号415,783を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第3,092,891号明細書
【特許文献2】米国特許第3,106,442号明細書
【特許文献3】米国特許第3,630,205号明細書
【特許文献4】米国特許第4,911,165号明細書
【特許文献5】米国特許第5,217,485号明細書
【特許文献6】英国特許出願公開第1,588,081号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
良好な可撓性および取り扱い特性を示し、同時に他の望ましい特性(例えば、結び目強度、結び目保持および所望の吸収特性)を維持する、生体吸収性縫合糸を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
約50重量%〜約80重量%のグリコリド、および約20重量%〜約50重量%のトリメチレンカーボネートを含有するブロックコポリマーから、モノフィラメント縫合糸を製造するための方法であって、該方法は、a)該コポリマーを押し出して、溶融したモノフィラメントを提供する工程;b)該溶融したモノフィラメントを急冷して、固化したモノフィラメントを提供する工程;c)該固化したモノフィラメントを、約25℃〜約40℃の温度で維持された第一のオーブンに通して、約2:1〜約15:1の延伸比で延伸する工程;d)該モノフィラメントを、約30℃〜約150℃の温度で維持された第二のオーブンに通して、約1.1:1〜約5:1の延伸比で延伸する工程;e)該モノフィラメントを、約125℃〜約165℃の温度で維持された第三のオーブンに通して、約0.5:1〜約0.8:1の延伸比で延伸する工程;およびf)該モノフィラメントをアニーリングする工程を包含する、方法。
【0007】
(項目2)
前記コポリマーを押し出す工程が、約170℃〜約240℃の温度で該コポリマーを押し出す工程を包含する、上記項目に記載の方法。
【0008】
(項目3)
前記溶融したモノフィラメントを急冷する工程が、約10℃〜約80℃の温度の急冷浴を利用する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0009】
(項目4)
前記溶融したモノフィラメントを急冷する工程が、約20℃〜約30℃の温度の急冷浴を利用する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0010】
(項目5)
前記固化したモノフィラメントを前記第一のオーブンに通して延伸する工程が、約3:1〜約12:1の延伸比で延伸する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0011】
(項目6)
前記固化したモノフィラメントを前記第一のオーブンに通して延伸する工程が、約5:1〜約7:1の延伸比で延伸する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0012】
(項目7)
前記固化したモノフィラメントを前記第二のオーブンに通して延伸する工程が、約1.2:1〜約3:1の延伸比で延伸する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0013】
(項目8)
前記固化したモノフィラメントを前記第二のオーブンに通して延伸する工程が、約1.25:1〜約1.5:1の延伸比で延伸する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0014】
(項目9)
前記固化したモノフィラメントを前記第三のオーブンに通して延伸する工程が、約0.55:1〜約0.75:1の延伸比で延伸する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0015】
(項目10)
全延伸比が約6.5:1〜約8.5:1である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0016】
(項目11)
全延伸比が約7:1〜約8:1である、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0017】
(項目12)
延伸速度の送出しが、約5メートル/分〜約70メートル/分の範囲であり得る、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0018】
(項目13)
前記固化したモノフィラメントを前記第三のオーブンに通して延伸する工程が、該モノフィラメントを、約128℃〜約150℃の温度で維持された第三のオーブンに通して延伸する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0019】
(項目14)
前記モノフィラメントをアニーリングする工程が、該モノフィラメントを約100℃〜約180℃の範囲の温度に曝露する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0020】
(項目15)
前記モノフィラメントをアニーリングする工程が、該モノフィラメントを約110℃〜約150℃の範囲の温度に曝露する工程を包含する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0021】
(項目16)
前記アニーリングする工程が、約9時間〜約24時間続く、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0022】
(項目17)
前記モノフィラメント縫合糸が、少なくとも1種の医学外科的に有用な物質をさらに含有する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0023】
(項目18)
前記少なくとも1種の医学外科的に有用な物質が、成長促進因子を含有する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0024】
(項目19)
前記少なくとも1種の医学外科的に有用な物質が、抗菌剤を含有する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0025】
(項目20)
約60重量%〜約70重量%のグリコリド、および約30重量%〜約40重量%のトリメチレンカーボネートを含有するブロックコポリマーから、モノフィラメント縫合糸を製造するための方法であって、該方法は、a)該コポリマーを約170℃〜約240℃の温度で押し出して、溶融したモノフィラメントを提供する工程;b)該溶融したモノフィラメントを約10℃〜約80℃の温度の急冷浴中で急冷して、固化したモノフィラメントを提供する工程;c)該固化したモノフィラメントを、約25℃〜約40℃の温度で維持された第一のオーブンに通して、約3:1〜約12:1の延伸比で延伸する工程;d)該モノフィラメントを、約30℃〜約150℃の温度で維持された第二のオーブンに通して、約1.25:1〜約1.50:1の延伸比で延伸する工程;e)該モノフィラメントを、約125℃〜約165℃の温度で維持された第三のオーブンに通して、約0.55:1〜約0.91:1の延伸比で延伸する工程;およびf)該モノフィラメントを約100℃〜約150℃の範囲の温度でアニーリングする工程を包含する、方法。
【0026】
(項目21)
約50重量%〜約80重量%のグリコリド、および約20重量%〜約50重量%のトリメチレンカーボネートから本質的になるブロックコポリマーから、モノフィラメント縫合糸を製造するための方法であって、該方法は、a)該コポリマーを押し出して、溶融したモノフィラメントを提供する工程;b)該溶融したモノフィラメントを急冷して、固化したモノフィラメントを提供する工程;c)該固化したモノフィラメントを、約25℃〜約40℃の温度で維持された第一のオーブンに通して、約2:1〜約15:1の延伸比で延伸する工程;d)該モノフィラメントを、約30℃〜約150℃の温度で維持された第二のオーブンに通して、約1.1:1〜約5:1の延伸比で延伸する工程;e)該モノフィラメントを、約120℃〜約165℃の温度で維持された第三のオーブンに通して、約0.5:1〜約0.9:1の延伸比で延伸する工程;およびf)該モノフィラメントをアニーリングする工程を包含する、方法。
【0027】
(項目22)
前記ブロックコポリマーが、約65重量%〜約67重量%のグリコリド、および約33重量%〜約35重量%のトリメチレンカーボネートを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0028】
(項目23)
前記ブロックコポリマーが、約65重量%〜約67重量%のグリコリド、および約33重量%〜約35重量%のトリメチレンカーボネートを含有する、上記項目のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
(項目24)
組織を固定する方法であって、該方法は、針付き縫合糸を提供する工程であって、該縫合糸は、上記項目のいずれか一項に記載の方法によって作製されている、工程;該針付き縫合糸を組織に通す工程、および該縫合糸を固定する工程を包含する、方法。
【0030】
(摘要)
生体吸収性コポリマーフィラメントを作製するための方法が、本明細書中に提供される。これらの方法は、押し出されるべきポリマーペレットを乾燥させる工程、コポリマー成分を溶融押し出しする工程、これらのフィラメントを1回以上の延伸工程で伸長させる工程、およびこれらの延伸されたフィラメントを弛緩させる工程を包含する。このコポリマーは、好ましくは、グリコリドまたはグリコール酸から誘導された単位、およびアルキレンカーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート)から誘導された単位を含む。
【0031】
(要旨)
生体吸収性コポリマーフィラメントを作製するための方法が、本明細書中に提供される。これらの方法は、押し出されるべきポリマーペレットを乾燥させる工程、コポリマー成分を溶融押し出しする工程、これらのフィラメントを1回以上の延伸工程で伸長させる工程、およびこれらの延伸されたフィラメントを弛緩させる工程を包含する。このコポリマーは、グリコリドまたはグリコール酸から誘導された単位、およびアルキレンカーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート)から誘導された単位を含み得る。これらのコポリマーはまた、医学外科的に有用な物質を含有し得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、グリコリドおよびトリメチレンカーボネートを含有するブロックコポリマーから、モノフィラメント縫合糸を製造するための方法が記載される。例えば、約50重量%〜約80重量%のグリコリド、および約20重量%〜約50重量%のトリメチレンカーボネートを含有するブロックコポリマーから、モノフィラメント縫合糸を製造するための、いくつかの方法が記載され、この方法は、a)このコポリマーを押し出して、溶融したモノフィラメントを提供する工程;b)この溶融したモノフィラメントを急冷して、固化したモノフィラメントを提供する工程;c)この固化したモノフィラメントを、約25℃〜約40℃の温度で維持された第一のオーブンに通して、約2:1〜約15:1の延伸比で延伸する工程;d)このモノフィラメントを、約30℃〜約150℃の温度で維持された第二のオーブンに通して、約1.1:1〜約5:1の延伸比で延伸する工程;e)このモノフィラメントを、約125℃〜約165℃の温度で維持された第三のオーブンに通して、約0.5:1〜約0.8:1の延伸比で延伸する工程;およびf)このモノフィラメントをアニーリングする工程を包含する。
【0033】
特定の実施形態において、約60重量%〜約70重量%のグリコリド、および約30重量%〜約40重量%のトリメチレンカーボネートを含有するブロックコポリマーから、モノフィラメント縫合糸を製造するための方法が記載され、この方法は、a)このコポリマーを約170℃〜約240℃の温度で押し出して、溶融したモノフィラメントを提供する工程;b)この溶融したモノフィラメントを約10℃〜約80℃の温度の急冷浴中で急冷して、固化したモノフィラメントを提供する工程;c)この固化したモノフィラメントを、約25℃〜約40℃の温度で維持された第一のオーブンに通して、約3:1〜約12:1の延伸比で延伸する工程;d)このモノフィラメントを、約30℃〜約150℃の温度で維持された第二のオーブンに通して、約1.25:1〜約1.50:1の延伸比で延伸する工程;e)このモノフィラメントを、約125℃〜約165℃の温度で維持された第三のオーブンに通して、約0.55:1〜約0.9:1の延伸比で延伸する工程;およびf)このモノフィラメントを約100℃〜約150℃の範囲の温度でアニーリングする工程を包含する。
【0034】
特定の他の実施形態において、約50重量%〜約80重量%のグリコリド、および約20重量%〜約50重量%のトリメチレンカーボネートのみから本質的になるブロックコポリマーから、モノフィラメント縫合糸を製造するための方法が記載され、この方法は、a)このコポリマーを押し出して、溶融したモノフィラメントを提供する工程;b)この溶融したモノフィラメントを急冷して、固化したモノフィラメントを提供する工程;c)この固化したモノフィラメントを、約25℃〜約40℃の温度で維持された第一のオーブンに通して、約2:1〜約15:1の延伸比で延伸する工程;d)このモノフィラメントを、約30℃〜約150℃の温度で維持された第二のオーブンに通して、約1.1:1〜約5:1の延伸比で延伸する工程;e)このモノフィラメントを、約120℃〜約165℃の温度で維持された第三のオーブンに通して、約0.5:1〜約0.9:1の延伸比で延伸する工程;およびf)このモノフィラメントをアニーリングする工程を包含する。
【0035】
種々の実施形態が、図面を参照しながら本明細書中に記載される。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、良好な可撓性および取り扱い特性を示し、同時に他の望ましい特性(例えば、結び目強度、結び目保持および所望の吸収特性)を維持する、生体吸収性縫合糸を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本明細書中に記載される方法を実施してフィラメントを形成するのに適切な装置の概略図を示す。
【図2】図2は、本開示に従う針付き縫合糸を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
縫合糸として使用するのに適切なモノフィラメントが、本開示に従って提供される。これらのモノフィラメントは、グリコーレート単位およびアルキレンカーボネート(例えば、トリメチレンカーボネート)から誘導される単位を含有する、生体吸収性コポリマーから作製され得る。
【0039】
本発明のフィラメントの材料になり得るグリコリド−トリメチレンカーボネートコポリマーは、当業者に公知である。適切なコポリマーおよびこれらのコポリマーを作製するための方法は、例えば、米国特許第4,048,256号;同第4,243,775号;同第4,300,565号;同第4,429,080号;および同第4,438,253号に開示されており、これらの開示は、その全体が本明細書中に参考として援用される。いくつかの実施形態において、これらのフィラメントは、約50重量%〜約80重量%のグリコリド、および約20重量%〜約50重量%のトリメチレンカーボネートを含有するブロックコポリマーから作製され得る。他の実施形態において、これらのフィラメントは、約60重量%〜約70重量%のグリコリド、および約30重量%〜約40重量%のトリメチレンカーボネートを含有するブロックコポリマーから作製され得る。特に有用な組成物は、市販のMAXON(登録商標)縫合糸の材料になる、グリコリド−トリメチレンカーボネートコポリマーである。
【0040】
図1は、縫合糸を製造するのに適切であり得る、モノフィラメント縫合糸製造操作を概略的に図示する。押し出し機ユニット10は、公知の型または従来の型のものであり、そしてバレル11の温度をその様々なゾーンにおいて制御する(例えば、このバレルの長さに沿った3つの連続的なゾーンA、BおよびCにおいて、次第に温度を高くする)ための制御器を備える。樹脂のペレットまたは粉末は、ホッパ12を通してこの押し出し機に導入される。この樹脂は、このホッパに入れられる前または後のいずれかに、乾燥させられる。この樹脂は、任意の公知の技術を使用して乾燥させられ得る。いくつかの実施形態において、この樹脂は、所望の露点が達成されるまで、この樹脂にくまなく窒素ガスを流すことによって、乾燥させられ得る。1分間あたり5標準立方フィート(scfm)〜20scfm、いくつかの実施形態においては8scfm〜15scfmの範囲の流量が、使用され得る。約−60℃未満の露点、特定の実施形態においては約−40℃未満の露点が、好ましい乾燥レベルである。
【0041】
モータ駆動式計量ポンプ13は、溶融押し出しされた樹脂を一定速度で、紡糸パック14に送達し、その後、紡糸口金15に通す。この紡糸口金は、溶融したモノフィラメント16を提供するために望ましい直径の1つ以上のオリフィスを有する。ポリマーのスループットは、押し出される縫合糸のサイズおよび紡糸口金の開口部の数に依存するが、一般に、約1cc〜約500ccの範囲であり得る。特定の実施形態において、このスループットは、約11cc〜約306ccの範囲であり得る。スループットは、縫合糸直径および紡糸口金のダイ穴の数に依存して変わり得る。スループットを低下させると、操作中に溶融モノフィラメントに加えられる内部応力が減少する。次いで、溶融したモノフィラメント16は、急冷浴17(例えば、水を含む)に入り、ここでこのモノフィラメントが固化する。モノフィラメント16が紡糸口金15から出た後に急冷浴17に入る地点まで移動する距離(すなわち、空気ギャップ)は、変わり得、そして有利には、約0.25cm〜約100cm、特定の実施形態においては、約0.5cm〜約20cmであり得る。所望であれば、筒(図示せず)またはシールドが提供されて、モノフィラメント16を空気流と接触しないように隔離し得る。空気流は、隔離されない場合、モノフィラメントの予測不可能な様式での冷却を引き起こし得る。一般に、押し出し機のバレルゾーンAは、約170℃〜約220℃の温度で維持され得、ゾーンBは、約180℃〜約230℃の温度で維持され得、そしてゾーンCは、約190℃〜約240℃の温度で維持され得る。特定の実施形態において、押し出し機のバレルゾーンAは、約185℃〜約205℃の温度で維持され得、ゾーンBは、約190℃〜約210℃の温度で維持され得、そしてゾーンCは、約195℃〜約215℃の温度で維持され得る。さらなる温度パラメータは、計量ポンプブロック13の約180℃〜約230℃、紡糸パック14の約180℃〜約230℃、および紡糸口金15の約180℃〜約230℃を含み得る。急冷浴17は、約10℃〜約80℃、いくつかの実施形態においては約20℃〜約30℃の範囲の温度で維持され得る。
【0042】
モノフィラメント16は、駆動ローラ18の周りで急冷浴17を通過し得、そして遊びローラ19を越え得る。必要に応じて、ワイパー(図示せず)が、モノフィラメントが急冷浴17から取り出される際に、このモノフィラメントから過剰な水を除去し得る。急冷浴17を出ると、モノフィラメント16は、滑りを防止するためのニップロール22(この滑りは、防止されない場合、引き続く伸長操作により生じ得る)を備える第一のゴデット21の周りに巻かれ、引き続いて、第一のロールステーション100内の第一のロールステーションゴデット101、102、103および104、または他の任意の適切なゴデット配置の周りに巻かれる。第一のロールステーション100を通るモノフィラメント16は、例えば、約2:1〜約15:1、いくつかの実施形態においては約3:1〜約12:1、そして特定の実施形態においては約5:1〜約7:1のおよその第一の延伸比で伸長させられて、その配向をもたらす。モノフィラメント16は、最初に第一の加熱されたゾーン23(例えば、熱液体延伸浴または熱空気対流オーブンチャンバ)を通して、第一のゴデット21ならびに第一のロールステーションゴデット101、102、103、および104より高速で回転する、第二のゴデット24、ならびに第二のロールステーション200の第二のロールステーションゴデット105、106、107および108、または他の任意の適切なゴデットの配置によって延伸されて、所望の第一の延伸比を提供する。第一の加熱されたゾーン23の温度は、約20℃〜約90℃の範囲であり得、そして特定の実施形態においては、約25℃〜約40℃の範囲であり得る。
【0043】
本明細書中に記載される第一の延伸比は、第一のゴデット21、ならびに第一のロールステーション100の第一のロールステーションゴデット101、102、103、および104のうちのいずれかの速度を変化させることによって、変更され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第一のゴデット21は、約2メートル/分(すなわち、「mpm」)の速度(G)で維持され、そして第二のゴデット24は、約10mpmの速度(G)で維持されて、約5:1(G/G)の第一の延伸比を提供し得る。特定の実施形態において、第二のゴデット24の速度は、約5mpm〜約15mpm、いくつかの実施形態においては約9mpm〜約10mpmの範囲の速度で設定され得、変更されないかもしれない。このような実施形態において、第一のゴデット21の速度は、約1mpm〜約5mpmの範囲であり得、そしていくつかの実施形態においては約1.5mpm〜約2.5mpmの範囲であり得る。
【0044】
第一のゴデット21の速度のわずかな変化でさえも、モノフィラメントの張力特性(すなわち、結び目引き強度、伸長、弾性率、およびインビトロ強度)のうちのいくつかを変更し得る。例えば、変化量が約0.1mpmでの第一のゴデット21の速度の低下は、モノフィラメントの結び目引き値、伸長値、およびインビトロ値を低下させ得るが、弾性率値を増加させ得る。逆に、変化量が約0.1mpmでの第一のゴデット21の速度の増加は、モノフィラメントの結び目引き値、伸長値、およびインビトロ値を増加させ得るが、弾性率値を低下させ得る。
【0045】
図1に戻ると、モノフィラメント16は、第二のロールステーションゴデット105、106、107および108を通過した後に、2回目の延伸に供され得る。具体的には、第二のロールステーション200を通るモノフィラメント16は、例えば、約1.1:1〜約5:1、いくつかの実施形態においては約1.2:1〜約3:1、いくつかの他の実施形態においては約1.25:1〜約1.5:1のおよその延伸比で伸長させられて、そのさらなる配向をもたらし得る。モノフィラメント16は、第二の加熱されたゾーン25(例えば、熱液体延伸浴または熱空気対流オーブンチャンバ)を通して、第二のゴデット24ならびに第二のロールステーションゴデット105、106、107、および108より高速で回転する、第三のゴデット26、ならびに第三のロールステーション300の第三のロールステーションゴデット109、110、111および112、または他の任意の適切なゴデットの配置によって延伸されて、所望の延伸比を提供し得る。第二の加熱されたゾーン25の温度は、有利には、約30℃〜約150℃の範囲であり得、そしていくつかの実施形態においては、約110℃〜約120℃の範囲であり得る。
【0046】
本明細書中に記載される第二の延伸比は、第三のゴデット26、ならびに第三のロールステーション300の第三のロールステーションゴデット109、110、111、および112のうちのいずれかの速度を変化させることによって、変更され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第三のゴデット26は、13.5mpmの速度(G)で維持され、そして第二のゴデット24は、約9.5mpmの速度(G)で維持されて、約1.42:1(G/G)の第二の延伸比を提供し得る。特定の実施形態において、第二のゴデット24の速度は、約5mpm〜約15mpm、いくつかの実施形態においては約9mpm〜約10mpmの範囲の速度で設定され得、変更されないかもしれない。このような実施形態において、第三のゴデット26の速度は、約5.5mpm〜約25mpmの範囲であり得、そしていくつかの実施形態においては約13mpm〜約16mpmの範囲であり得る。
【0047】
第三のゴデット26の速度のわずかな変化でさえも、モノフィラメントのインビトロ強度を変更し得る。例えば、変化量が約0.2mpmでの第三のゴデット26の速度の低下は、モノフィラメントのインビトロ張力値を低下させ得る。逆に、変化量が約0.1mpmでの第三のゴデット26の速度の増加は、モノフィラメントのインビトロ張力値を増加させ得る。ある実施形態において、結び目引き値、伸長値、および弾性率は、第三のゴデット26の速度のこのようなわずかな変化によっては、影響を受けないかもしれない。
【0048】
2回目の延伸後、モノフィラメント16は、第三のロールステーションゴデット109、110、111および112を通過した後に、3回目の延伸に供され得る。具体的には、第三のロールステーション300を通過するモノフィラメント16は、例えば、約0.5:1〜約0.9:1、いくつかの実施形態においては約0.55:1〜約0.8:1のおよその延伸比で弛緩させられて、材料「クリープ」の可能性を排除し得、そしてモノフィラメントの引っ張り伸張を増加させ得る。モノフィラメント16は、第三の加熱されたゾーン27(例えば、熱液体延伸浴または熱空気対流オーブンチャンバ)を通して、第三のゴデット26ならびに第三のロールステーションゴデット109、110、111、および112より低速で回転する、第四のゴデット28、ならびに第四のロールステーション400の第四のロールステーションゴデット113、114、115および116、または他の任意の適切なゴデットの配置によって延伸されて、所望の延伸比を提供し得る。第三の加熱されたゾーン27の温度は、有利には、約125℃〜約165℃の範囲であり得、そしていくつかの実施形態においては、約128℃〜約150℃の範囲であり得る。なお他の実施形態において、第三の加熱されたゾーン27の温度は、有利には、約130℃で維持され得る。
【0049】
本明細書中に記載される第三の延伸比は、第四のゴデット28、ならびに第四のロールステーション400の第四のロールステーションゴデット113、114、115および116のうちのいずれかの速度を変化させることによって、変更され得る。例えば、いくつかの実施形態において、第四のゴデット28は、9.9mpmの速度(G)で維持され、そして第三のゴデット26は、約13.5mpmの速度(G)で維持されて、約0.73:1(G/G)の第三の延伸比を提供し得る。特定の実施形態において、第四のゴデット28の速度は、約3mpm〜約15mpmの範囲であり得、そしていくつかの実施形態においては約8mpm〜約10mpmの範囲であり得る。
【0050】
第四のゴデット28の速度は、モノフィラメントの張力特性を変更するために、変化させられ得る。例えば、変化量が約0.1mpmでの第四のゴデット28の速度の低下は、モノフィラメントの結び目引き値および伸長値を増加させ得るが、弾性率値を低下させ得る。逆に、変化量が約0.1mpmでの第四のゴデット28の速度の増加は、モノフィラメントの結び目引き値および伸長値を低下させ得るが、弾性率値を増加させ得る。
【0051】
モノフィラメント16の全延伸比は、約5:1〜約10:1、いくつかの実施形態においては約6.5:1〜約8.5:1、そして他の実施形態においては約7:1〜約8:1の範囲であり得る。ある実施形態において、延伸速度の送出しは、約5メートル/分(mpm)〜約70メートル/分の範囲であり得、いくつかの実施形態において延伸速度の送出しは、約8mpm〜約60mpmの範囲であり得る。
【0052】
本開示により作製されたモノフィラメントを紡糸および延伸するのに適切なパラメータは、以下の表I〜表IIIのいずれかに要約されたものであり得る。これらのパラメータのうちのいくつかは、紡糸および延伸されるモノフィラメントのサイズに従って変わり得る。例えば、表I、表IIおよび表IIIは、それぞれサイズ0、サイズ1およびサイズ2/0のフィラメントを形成するのに適切なパラメータを表す。各フィラメントは、本開示によるグリコリド−トリメチレンカーボネートコポリマーから作製される。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
【表3】

他の実施形態において、アニーリングプロセスがオフラインで実施され得、この場合、モノフィラメント16は、減圧および/または加圧ありまたはなしで、約100℃〜約150℃、いくつかの実施形態においては約120℃〜約130℃の範囲の温度で、単層として大きいドラムの周りに巻かれ得る。大きいドラムは、窒素ガスでパージされ得る。アニーリングプロセスは、約9時間〜約24時間、いくつかの実施形態においては約12時間〜約18時間続き得る。このような実施形態において、サイクル時間の増大および/またはアニーリング温度の低下は、モノフィラメント16を作製するために使用された材料の融点(すなわち、約185℃)の近くの温度にモノフィラメント16を曝露することなく、モノフィラメント16の完全な結晶化、モノマー除去および内部応力低下を達成し得る。また、アニーリングドラム上の単層の材料は、交差巻きによる凹みの可能性を排除し、これによって、より良好なモノフィラメントを与える。交差巻きによる凹みは、モノフィラメントが重なり得るかまたは多層になり得る場合に起こり得る。
【0056】
本明細書中に記載されるような縫合糸(縫合糸501)は、図2に示されるように、当該分野において周知である方法によって、外科手術用針500に取り付けられ得る。この針付き縫合糸を組織に通して創傷閉鎖を作製することによって、創傷が縫合され得る。次いで、この針がこの縫合糸から取り外され得、そしてこの縫合糸が結ばれ得る。
【0057】
1種以上の医学外科的に有用な物質(例えば、粒子が外科手術的修復部位に塗布される際に治癒プロセスを加速するかまたは有利に改変する物質)を本開示に組み込むことが、さらに本開示の範囲内である。従って、例えば、縫合糸は、修復部位に堆積する治療剤を担持し得る。この治療剤は、その抗菌特性、修復もしくは再構成を促進する能力、および/または新たな組織成長について選択され得る。組織内にゆっくりと放出される抗菌剤(例えば、スペクトルが広い抗生物質(硫酸ゲンタマイシン、エリスロマイシンまたは誘導体化糖ペプチド))は、この様式で塗布されて、組織修復部位における臨床的感染および無症状感染と戦うことを補助し得る。修復および/または組織成長を促進するために、1種または数種の成長促進因子(例えば、線維芽細胞増殖因子、骨成長因子、上皮増殖因子、血小板由来増殖因子、マクロファージ由来増殖因子、歯槽由来増殖因子、単球由来増殖因子、およびマガイニンなど)が、この縫合糸に導入され得る。いくつかの治療適応症は、血栓症を引き起こすための、組織プラスミノゲンアクチベーターまたは腎臓プラスミノゲンアクチベーターと組み合わせられたグリセロール、組織を損傷するフリーラジカルを捕捉するスーパーオキシドジムターゼ、がん治療のための腫瘍壊死因子、あるいは免疫系を増強するためのコロニー刺激因子およびインターフェロン、インターロイキン−2または他のリンホカインである。
【0058】
本開示に従って利用され得る治療剤のクラスの例としては、例えば、接着防止剤、抗菌薬、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、鎮痙薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心臓血管薬剤、診断剤、交感神経様作用薬、コリン様作用薬、抗ムスカリン薬、鎮痙薬、ホルモン、増殖因子、成長因子、筋弛緩薬、アドレナリン作用性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性薬剤、免疫抑制薬、胃腸薬、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、血小板活性化薬物、凝結因子、および酵素が挙げられる。治療剤の組み合わせが使用され得ることもまた意図される。
【0059】
治療剤として含有され得る適切な抗菌剤としては、例えば、トリクロサン(triclosan)(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、および硫酸クロルヘキシジンが挙げられる)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、プロテイン銀、およびスルファジアジン銀が挙げられる)、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン)、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil))、ノンオキシノール9、フシジン酸、セファロスポリン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、抗菌タンパク質およびペプチド(例えば、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシン(lactoferricin)B)が、治療剤として含有され得る。
【0060】
他の例の治療剤としては、局所麻酔薬;非ステロイド性避妊薬;副交感神経様作用剤;精神療法剤;トランキライザ;うっ血除去薬;鎮静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経様作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛薬;抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);鎮痙薬;抗コリン作用性剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心臓血管薬剤(例えば、冠状血管拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイノン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチレート、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗がん剤;鎮痙薬;制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性薬剤;化学療法剤;エストロゲン;抗菌剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝固薬;鎮痙薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;ならびに免疫学的薬剤が挙げられる。
【0061】
モノフィラメントに含有され得る適切な治療剤の他の例としては、例えば、ウイルスおよび細胞;ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそのアナログ、ムテイン、および活性フラグメント;免疫グロブリン;抗体;サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン);血液凝固因子;造血因子;インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6);インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN);エリスロポイエチン;ヌクレアーゼ;腫瘍壊死因子;コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF);インスリン;抗腫瘍剤および腫瘍抑制因子;血液タンパク質(例えば、フィブリン、トロンビン、フィブリノゲン、合成トロンビン、合成フィブリン、合成フィブリノゲン);性腺刺激ホルモン(例えば、FSH、LH、CGなど);ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン);ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原およびウイルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子または成長因子(例えば、神経発育因子、インスリン様成長因子);骨形成タンパク質;TGF−β;タンパク質インヒビター;タンパク質アンタゴニスト;タンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNA、RNA、RNAi);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ならびにリボザイムが挙げられる。
【0062】
外科手術分野における縫合糸の可視性を高めるために、本発明の縫合糸が染色されることが望ましくあり得ることもまた、想定される。縫合糸に組み込むのに適切であることが公知である色素が使用され得る。このような色素としては、Handbook of U.S.Colorants for Food,Drugs and Cosmetics (Daniel M.Marrion,1979)に記載されるような、カーボンブラック、ボーンブラック、D&C Green No.6、およびD&C Violet No.2が挙げられるが、これらに限定されない。このような縫合糸は、本開示によれば、およそ数%まで、いくつかの実施形態においては約0.2%の色素(例えば、D&C Violet No.2)を、押出し前の樹脂に添加することによって、染色され得る。
【0063】
上記説明は、多くの具体例および実施例を含むが、これらの具体例および実施例は、本開示の範囲に対する限定であると解釈されるべきではなく、単に、本開示の詳細な実施形態の例示であると解釈されるべきである。当業者は、本開示の範囲および趣旨内で、他の多くの可能なバリエーションを予測する。
【符号の説明】
【0064】
16 (溶融した)モノフィラメント
17 急冷浴
23 第一の加熱されたゾーン
25 第二の加熱されたゾーン
27 第三の加熱されたゾーン
100 第一のロールステーション
200 第二のロールステーション
300 第三のロールステーション
400 第四のロールステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約50重量%〜約80重量%のグリコリド、および約20重量%〜約50重量%のトリメチレンカーボネートを含有するブロックコポリマーから、モノフィラメント縫合糸を製造するための方法であって、該方法は、a)該コポリマーを押し出して、溶融したモノフィラメントを提供する工程;b)該溶融したモノフィラメントを急冷して、固化したモノフィラメントを提供する工程;c)該固化したモノフィラメントを、約25℃〜約40℃の温度で維持された第一のオーブンに通して、約2:1〜約15:1の延伸比で延伸する工程;d)該モノフィラメントを、約30℃〜約150℃の温度で維持された第二のオーブンに通して、約1.1:1〜約5:1の延伸比で延伸する工程;e)該モノフィラメントを、約125℃〜約165℃の温度で維持された第三のオーブンに通して、約0.5:1〜約0.8:1の延伸比で延伸する工程;およびf)該モノフィラメントをアニーリングする工程を包含する、方法。
【請求項2】
前記コポリマーを押し出す工程が、約170℃〜約240℃の温度で該コポリマーを押し出す工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶融したモノフィラメントを急冷する工程が、約10℃〜約80℃の温度の急冷浴を利用する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶融したモノフィラメントを急冷する工程が、約20℃〜約30℃の温度の急冷浴を利用する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記固化したモノフィラメントを前記第一のオーブンに通して延伸する工程が、約3:1〜約12:1の延伸比で延伸する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記固化したモノフィラメントを前記第一のオーブンに通して延伸する工程が、約5:1〜約7:1の延伸比で延伸する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記固化したモノフィラメントを前記第二のオーブンに通して延伸する工程が、約1.2:1〜約3:1の延伸比で延伸する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記固化したモノフィラメントを前記第二のオーブンに通して延伸する工程が、約1.25:1〜約1.5:1の延伸比で延伸する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記固化したモノフィラメントを前記第三のオーブンに通して延伸する工程が、約0.55:1〜約0.75:1の延伸比で延伸する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
全延伸比が約6.5:1〜約8.5:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
全延伸比が約7:1〜約8:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
延伸速度の送出しが、約5メートル/分〜約70メートル/分の範囲であり得る、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記固化したモノフィラメントを前記第三のオーブンに通して延伸する工程が、該モノフィラメントを、約128℃〜約150℃の温度で維持された第三のオーブンに通して延伸する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記モノフィラメントをアニーリングする工程が、該モノフィラメントを約100℃〜約180℃の範囲の温度に曝露する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記モノフィラメントをアニーリングする工程が、該モノフィラメントを約110℃〜約150℃の範囲の温度に曝露する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記アニーリングする工程が、約9時間〜約24時間続く、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記モノフィラメント縫合糸が、少なくとも1種の医学外科的に有用な物質をさらに含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の医学外科的に有用な物質が、成長促進因子を含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1種の医学外科的に有用な物質が、抗菌剤を含有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
約60重量%〜約70重量%のグリコリド、および約30重量%〜約40重量%のトリメチレンカーボネートを含有するブロックコポリマーから、モノフィラメント縫合糸を製造するための方法であって、該方法は、a)該コポリマーを約170℃〜約240℃の温度で押し出して、溶融したモノフィラメントを提供する工程;b)該溶融したモノフィラメントを約10℃〜約80℃の温度の急冷浴中で急冷して、固化したモノフィラメントを提供する工程;c)該固化したモノフィラメントを、約25℃〜約40℃の温度で維持された第一のオーブンに通して、約3:1〜約12:1の延伸比で延伸する工程;d)該モノフィラメントを、約30℃〜約150℃の温度で維持された第二のオーブンに通して、約1.25:1〜約1.50:1の延伸比で延伸する工程;e)該モノフィラメントを、約125℃〜約165℃の温度で維持された第三のオーブンに通して、約0.55:1〜約0.91:1の延伸比で延伸する工程;およびf)該モノフィラメントを約100℃〜約150℃の範囲の温度でアニーリングする工程を包含する、方法。
【請求項21】
約50重量%〜約80重量%のグリコリド、および約20重量%〜約50重量%のトリメチレンカーボネートから本質的になるブロックコポリマーから、モノフィラメント縫合糸を製造するための方法であって、該方法は、a)該コポリマーを押し出して、溶融したモノフィラメントを提供する工程;b)該溶融したモノフィラメントを急冷して、固化したモノフィラメントを提供する工程;c)該固化したモノフィラメントを、約25℃〜約40℃の温度で維持された第一のオーブンに通して、約2:1〜約15:1の延伸比で延伸する工程;d)該モノフィラメントを、約30℃〜約150℃の温度で維持された第二のオーブンに通して、約1.1:1〜約5:1の延伸比で延伸する工程;e)該モノフィラメントを、約120℃〜約165℃の温度で維持された第三のオーブンに通して、約0.5:1〜約0.9:1の延伸比で延伸する工程;およびf)該モノフィラメントをアニーリングする工程を包含する、方法。
【請求項22】
前記ブロックコポリマーが、約65重量%〜約67重量%のグリコリド、および約33重量%〜約35重量%のトリメチレンカーボネートを含有する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記ブロックコポリマーが、約65重量%〜約67重量%のグリコリド、および約33重量%〜約35重量%のトリメチレンカーボネートを含有する、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−451(P2012−451A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122560(P2011−122560)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】