説明

生体情報伝送装置

【課題】 伝送チャンネル間の混信、生体情報の検出対象の取り違えによる誤った生体情報の伝送が好適に解消される生体情報伝送装置を提供する。
【解決手段】 符号化鍵選択手段59により、識別符号入力手段58により入力された識別符号に対応する符号化鍵が選択され、符号化手段60により、生体情報検出装置MDにより検出された生体情報が、生体情報送信装置TXn による送信に先立って、上記識別符号に応じて選択された符号化鍵を用いて符号化される。次いで、復号化手段62により、生体情報受信装置RXにおいて受信された生体情報が、識別符号に対応する前記符号化鍵またはその符号化鍵に対応して用意された復号化鍵を用いて復号化され、そして、生体情報判定手段64により、伝送チャンネル毎に、上記復号化手段62により復号化された生体情報に基づいて、その伝送チャンネルに対応する生体情報であると判定されると、その生体情報がその伝送チャンネルに対応する生体情報として出力される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の伝送チャンネルを介して生体情報を伝送する生体情報伝送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】複数の生体から心電誘導波形、連続血圧波形、血圧値、脈拍数、体温などの生体情報をそれぞれ検出する複数の生体情報検出装置と、それら生体情報検出装置に対応して設けられ、それら生体情報検出装置により検出された生体情報を変調して、空中、光ファイバーなどの共通の伝送媒体内に形成される複数の伝送チャンネルを介して、電波或いは光波などの形態の伝送信号を伝送する複数個の生体情報送信装置と、それら複数の伝送チャンネルを介して伝送された複数の生体情報を受信してそれぞれ再生する共通の生体情報受信装置とを、備えた生体情報伝送装置が知られている。たとえば、実開昭60−14554号公報、特開平5−56935号公報に記載された生体監視装置に設けられた生体情報伝送装置がそれである。
【0003】一般に、上記のような生体情報伝送装置では、複数種類の変調周波数が生体情報送信装置毎に予め設定されており、各生体情報送信装置は、その複数種類の変調周波数のうちの1つを用いて変調した生体情報を伝送するように構成されるため、変調周波数毎の伝送チャンネルが共通の伝送媒体内に形成される。また、生体情報受信装置は、上記複数種類の変調周波数毎に受信信号を取り出して復調を行うことにより、生体情報検出装置により検出された生体情報が生体毎に識別され、たとえば表示器において生体情報が生体毎に表示される。
【0004】
【発明が解決すべき課題】ところで、上記従来の生体情報伝送装置は、伝送信号が微弱となったり、或いは強力なノイズが混入したりすることによって、複数の伝送チャンネル間で混信が発生する場合がある。このような場合には、他の生体から検出された生体情報が所定の生体の生体情報として受信されることから、生体情報が誤って伝送され、生体の誤診を誘発する原因となり兼ねない。
【0005】また、生体情報の検出対象である生体を取り違えることにより、生体情報検出装置が他の生体の生体情報を誤って検出し、送信される場合にも、他の生体から検出された生体情報が所定の生体の生体情報として受信されることから、生体情報が誤って伝送され、生体の誤診を誘発する原因となり兼ねない。
【0006】本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、伝送チャンネル間の混信や、生体情報の検出対象の取り違えによる誤った生体情報の伝送が好適に解消される生体情報伝送装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、複数の生体から生体情報を検出する複数の生体情報検出装置と、その生体情報検出装置に対応して設けられ、その生体情報検出装置により検出された生体情報を変調して、共通の伝送媒体内に形成される複数の伝送チャンネルを介して伝送する複数の生体情報送信装置と、それら複数の伝送チャンネルを介して伝送された複数の生体情報を受信してそれぞれ再生する共通の生体情報受信装置とを、備えた生体情報伝送装置であって、(a)前記複数の生体情報送信装置毎にそれぞれ設けられ、前記生体情報検出装置により検出される生体の識別符号を入力させる識別符号入力手段と、(b)その識別符号入力手段により入力された識別符号に対応する符号化鍵を選択する符号化鍵選択手段と、(c)前記複数の生体情報送信装置毎にそれぞれ設けられ、前記生体情報検出装置により検出された生体情報を、その送信に先立って、前記符号化鍵選択手段により予め選択された符号化鍵を用いてそれぞれ符号化する複数の符号化手段と、(d)前記生体情報受信装置に設けられ、その生体情報受信装置において受信された生体情報を、前記伝送チャンネル毎に前記識別符号に対応する前記符号化鍵またはその符号化鍵に対応して用意された復号化鍵を用いて復号化する復号化手段と、(e)前記伝送チャンネル毎に、復号化手段により復号化された生体情報に基づいて、伝送チャンネルに対応する生体情報であるか否かを判定し、その判定が肯定された生体情報をその伝送チャンネルに対応する生体情報として出力する生体情報判定手段とを、含むことにある。
【0008】
【発明の効果】このようにすれば、符号化鍵選択手段により、識別符号入力手段により入力された識別符号に対応する符号化鍵が選択され、符号化手段により、生体情報検出装置により検出された生体情報が、生体情報送信装置による送信に先立って、上記符号化鍵選択手段により予め識別符号に応じて選択された符号化鍵を用いて符号化される。次いで、復号化手段により、生体情報受信装置において受信された生体情報が、伝送チャンネル毎に前記識別符号に対応する前記符号化鍵またはその符号化鍵に対応して用意された復号化鍵を用いて復号化される。そして、生体情報判定手段により、上記伝送チャンネル毎に、上記復号化手段により復号化された生体情報に基づいて、その伝送チャンネルに対応する生体情報であるか否かが判定され、この判定が肯定された生体情報がその伝送チャンネルに対応する生体情報として出力される。したがって、本発明によれば、伝送チャンネル間の混信によって他のチャンネルへ伝送された生体情報が上記生体情報判定手段により除去されるので、伝送チャンネル間の混信による誤った生体情報の伝送が好適に解消される。また、生体情報の検出対象の取り違えにより誤った伝送チャンネルへ送信されたとしても、受信側では、識別符号に対応する符号化鍵またはその符号化鍵に対応して用意された復号化鍵を用いて復号化されるので、生体情報の検出対象の取り違えによる誤った生体情報の伝送が好適に解消される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例の生体情報伝送装置が適用された生体監視装置10の構成を説明する図である。
【0010】図1において、生体監視装置10は、たとえば病棟内において、複数のベッド上の生体すなわち患者Pn (n=1〜m)に対応してそれぞれ設けられた複数のローカルモニタ装置LMn と、ナース室など病棟内の所定の場所に配置された共通のセントラルモニタ表示装置CMとから構成される。ローカルモニタ装置LMn は、患者Pn の生体情報を検出する生体情報検出装置MDn と、それら生体情報検出装置MDn により検出された生体情報をそれぞれ送信する送信装置TXnとをそれぞれ備えている。
【0011】上記生体情報検出装置MDn は互いに同様に構成されており、図2はその構成の一例を示している。図2において、生体情報検出装置MDn は、心電誘導装置20、血圧測定装置28、体温測定装置32から構成されている。上記心電誘導装置20は、患者Pn の体表面に貼着される複数の電極22を備え、その体表面に誘導される心電誘導波形を検出し、その心電誘導波形を表す信号をA/D変換器24を介して演算制御装置26へ供給する。血圧測定装置28は、患者Pn の上腕に巻回されるカフ30を備え、そのカフ30により圧迫圧力を変化させる過程でカフ30内の圧力振動として得られるカフ脈波の大きさの変化に基づいて患者Pの最高血圧値および最低血圧値を決定し、それら最高血圧値および最低血圧値を表す信号を演算制御装置26へ供給する。また、体温測定装置32は、患者Pに装着される体温測定プローブ34を備え、たとえばその体温測定プローブ34内の感温抵抗体の抵抗値の変化に基づいて患者Pの体温を測定し、その体温を表す信号をA/D変換器36を介して演算制御装置26へ供給する。
【0012】上記演算制御装置26は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェースを有するマイクロコンピュータを備えており、上記心電誘導装置20、血圧測定装置28、体温測定装置32から供給された信号に基づいて、表示器38は心電誘導波形、血圧値、体温などを表示させるとともに、キーボードなどの入力操作装置40を介して入力された患者の識別符号(IDコード)或いは患者の個々の特徴波形を内在する心電誘導波形などの生体情報波形に基づいて決定した識別符号に対応する符号化(暗号化)鍵パターンを選択し、その選択された符号化鍵パターンを用いてそれら生体情報を表す信号を符号(暗号)化した後、送信装置TXn へ供給する。複数種類の変調周波数が送信装置TXn 毎に予め設定されており、各送信装置TXn は、その設定された複数種類の変調周波数のうちの1つを用いて変調した生体情報を表す信号を空中へ送信し、それを伝送する。すなわち変調周波数毎の伝送チャンネルが共通の伝送媒体である空中内に形成される。
【0013】前記図1のセントラルモニタ表示装置CMは、上記ローカルモニタ装置LMnから伝送された信号を受ける受信装置RXと、各患者Pn を監視するために生体情報を表示する画像表示装置50とを備え、各患者Pn 毎の心電誘導波形、血圧値、体温などを表示させる。図3は、セントラルモニタ表示装置CMの構成の一例を示している。図3において、受信装置RXは、たとえば、各送信装置TXnに設定された複数種類の変調周波数による同調によって信号を選択する複数の同調回路と、その同調回路から出力された信号を復調する復調回路とを備え、それら各送信装置TXn から送信された生体情報を表す信号を送信チャンネル毎に再生し、演算制御装置52へ供給する。
【0014】演算制御装置52は、前記演算制御装置26と同様のマイクロコンピュータにより構成されており、各伝送チャンネル毎に、符号化時と同じ符号化鍵パターンを受信信号に含まれる識別符号に基づいて選択し、その選択された識別符号を用いて上記受信装置RXから供給された信号を復号化することにより、測定時と同様の生体情報を表す信号に戻す。次いで、その復号化された生体情報を表す信号に基づいて、各伝送チャンネルに対応する生体情報であるか否かを判定し、その判定が肯定される生体情報をその伝送チャンネルに対応する生体情報として、画像表示装置50へ出力する。
【0015】画像表示装置50は、CRT或いはPDPパネルのような画像を表示できる画素数を備えた表示器54と、その表示器54を駆動する表示制御回路56とを備え、供給された生体情報を表す信号からその生体情報を表示器54に表示させる。
【0016】図4は、上記演算制御装置26および52の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図4において、識別符号入力手段58は、前記複数の生体情報送信装置TXn 毎にそれぞれ設けられ、前記生体情報検出装置MDn により検出される生体を識別するために入力操作装置40を介して入力されるか、或いはその生体から検出された心電誘導波形などの生体情報波形に含まれる特徴波形に基づいて決定される識別符号(IDコード)を、読み込むことにより入力させて採用する。
【0017】符号化鍵選択手段59は、予め登録された関係から、上記の識別符号入力手段58により入力された識別符号に基づいて、その識別符号に対応する符号化鍵Kn を選択する。たとえば、符号化鍵選択手段59では、識別符号が患者P1 を示すC1 であれば符号化鍵K1 が選択され、識別符号が患者P2 を示すC2 であれば符号化鍵K2 が選択される。
【0018】複数のローカルモニタ装置LMn 内の符号化(暗号化)手段60は、各生体情報検出装置MDn により検出された心電誘導波形、血圧値、体温などの生体情報を表す信号を、上記複数のローカルモニタ装置LMn 毎にすなわち前記送信装置TXn 毎に、上記符号化鍵選択手段59により選択された符号化(暗号化)鍵パターンを用いて符号化(暗号化)し、送信装置TXn から各ローカルモニタ装置LMn 毎の搬送周波数で決まる送信チャンネルを通して送信させる。上記符号化手段60による符号化すなわち暗号化は、たとえば、所定のビット単位のブロック毎にビット順位の並べ代え(転字処理)、ビットパターン換字表による置き換え(換字処理)、符号化(暗号化)鍵パターンとの演算(たとえば排他的論理和処理)を所定回数繰り返すことにより、符号化が実行される。
【0019】図4のセントラルモニタ表示装置CMの復号化方式選択手段61では、送信チャンネル毎に、その送信チャンネルで伝送された信号に含まれる識別符号に基づいてその識別符号に対応する前記符号化(暗号化)鍵パターンが選択される。復号化手段62では、所謂DES方式に従って、上記復号化方式選択手段61により選択された符号化鍵パターンを用いて前記符号化手段60による符号化すなわち暗号化処理の逆の処理が実行されることにより、暗号が解かれて符号化(暗号化)前の信号が得られる。たとえば、暗号化鍵パターンとの演算(たとえば排他的論理和処理)、ビットパターン換字表による置き換え(換字処理)、所定のビット単位のブロック毎にビット順位の並べ代え(転字処理)が所定回数繰り返されることにより、送信チャンネル毎に復号化が実行される。
【0020】そして、生体情報判定手段64では、上記復号化手段62により復号化された生体情報を表す信号に基づいて、伝送チャンネルに対応する生体情報であるか否かが判定され、その判定が肯定された生体情報を表す信号がその伝送チャンネルに対応する生体情報として、画像表示装置50へ出力される。たとえば、上記生体情報判定手段64では、各伝送チャンネル毎に伝送される生体情報が各患者Pn 固有の分散或いは集中度、絶対値、或いは脈拍周期などの変化周期を備えていることを利用して、所定のチャンネルのものとして得られた生体情報がそのチャンネルに対応する患者Pn のものであるか否かが判断される。分散が用いられる場合には、所定のチャンネルのものとして得られた生体情報の所定の移動区間内のデータ(データ数がN個)の分散σ2 〔=Σ(x−xav2 /N〕が求められ、その分散σ2 が、そのチャンネルに対応する患者Pn の予め求められた固有の分散と不一致であればその生体情報はノイズとして除去されるが、一致していればそのチャンネルに対応する患者Pn の生体情報として採用されて出力されるのである。
【0021】図5および図6は、前記演算制御装置26および52の制御作動の要部を説明するフローチャートであり、図5は送信データ処理ルーチンを、図6は、受信データ処理ルーチンを示している。
【0022】図5において、前記識別符号入力手段58に対応するステップ(以下、ステップを省略する)SA1では、生体情報検出装置MDn により生体情報が検出される生体を識別するために入力操作装置40を介して入力されるか、或いはその生体から検出された心電誘導波形などの生体情報波形に含まれる特徴波形に基づいて決定される識別符号(IDコード)を、読み込む。
【0023】次いで、前記符号化鍵選択手段59に対応するSA2では、予め登録された関係から、上記SA1により入力された識別符号に基づいて、その識別符号に対応する符号化鍵Kn が選択される。そして、SA3では、生体情報検出装置MDnによる測定毎に演算制御装置26の入力インターフェースにラッチされているべき複数種類の生体情報が順次読み込まれる。
【0024】続くSA4では、入力インターフェースに生体情報があったか否かすなわち新たな生体情報がSA3の読み込みによって得られたか否かが判断される。このSA4の判断が否定された場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定された場合は、前記符号化手段60に対応するSA5において、複数のローカルモニタ装置LMn 毎にすなわち前記送信装置TXn 毎に予め設定された符号化(暗号化)鍵パターンが用いられることにより、上記新たな生体情報を表す信号の符号化(暗号化)処理が実行された後、SA6において符号化された信号が送信装置TXnへ出力される。
【0025】図6のSB1では、受信装置RXにより受信される毎に演算制御装置52の入力インターフェースにラッチされているべき複数種類の生体情報のうちの第nチャンネルの受信信号があったか否かすなわち第nチャンネルに新たに受信された生体情報が存在するか否かが判断される。このSB1の判断が否定された場合は、SB2において変数nの内容に「1」が加算された後、本ルーチンが終了させられる。このため、次のサイクルのSB1では、次のチャンネルの受信信号が読み込まれる。たとえば、第1ローカルモニタLM1 により検出された生体情報が第1チャンネルを通して受信されていない場合には、第2ローカルモニタLM2により検出された生体情報が第2チャンネルを通して受信されているか否かが判断されるのである。
【0026】しかし、上記SB1の判断が肯定された場合は、SB3において、上記第nチャンネルに新たに受信された生体情報が読み込まれる。次いで、前記復号化方式選択手段61に対応するSB4では、上記SB3において読み込まれた受信信号に含まれる識別符号に基づいて、その識別符号に対応する前記符号化(暗号化)鍵パターンが選択される。次いで、前記復号化手段62に対応するSB5において、送信された識別符号に対応する符号化(暗号化)鍵パターン、すなわち第nローカルモニタ装置LMn の符号化手段60において送信時に用いられた暗号化鍵パターン換言すれば第nチャンネルに対応する暗号鍵パターンが用いられて、所謂DES方式に従って、前記符号化手段60における逆の処理操作によって受信された信号の復号化処理が行われる。
【0027】次いで、前記生体情報判定手段64に対応するSB6では、SB5において復号化された生体情報を表す信号が、その復号に用いられた符号化(暗号化)鍵パターンを選択した識別符号Cn に対応したものであるか否かがその生体情報を表す信号に基づいて判断される。たとえば、第1の患者P1 すなわち第1伝送チャンネルとして受信された生体情報を表す信号が第1生体情報検出装置MD1 により検出された生体情報であるか否かが、患者P1 固有の分散或いは集中度、絶対値、或いは脈拍周期などの変化周期を備えていることを利用して、受信された生体情報がその固有の分散或いは集中度、絶対値、或いは脈拍周期などを備えているか否かに基づいて判定される。
【0028】上記SB6の判断が否定された場合は、受信された生体情報は他の伝送チャンネルから混入した信号であるか或いは生体情報の検出対象の取り違えであると考えられるので、SB7の表示出力が実行されることなく、SB8が直接に実行され、その受信された生体情報を表す信号が画像表示装置50へ出力されない。しかし、上記SB6の判断が肯定された場合は、SB7において、受信された生体情報を表す信号の伝送チャンネルに対応する患者Pn の生体情報として採用され、画像表示装置50へ出力される。
【0029】次いで、SB8では、変数nの内容が予め設定された数値mと一致したか否かが判断される。この予め設定された数値mは、患者Pn の人数、生体情報検出装置MDn の患者への設置台数、或いは伝送チャンネル数を示している。当初はこのSB8の判断が否定されるので、SB2において変数nの内容に「1」が加算された後、SB1以下の制御ルーチンが繰り返し実行されるが、変数nの内容が予め設定された数値mに到達すると、SB8の判断が肯定されるので、SB9において変数nの内容が再び「1」にセットされる。これにより、SB1において再び第1チャンネルにより伝送された信号が読み込まれるようになる。
【0030】上述のように、本実施例によれば、符号化手段60(SA5)により、生体情報検出装置MDn により検出された生体情報が、生体情報送信装置TXn による送信に先立って、予め設定された符号化鍵パターンを用いて符号化される。次いで、復号化手段62(SB5)により、生体情報受信装置RXにおいて受信された生体情報が、伝送チャンネル毎に前記符号化鍵パターンを用いて復号化される。そして、生体情報判定手段64(SB6)により、上記伝送チャンネル毎に、上記復号化手段62により復号化された生体情報に基づいて、その伝送チャンネルに対応する生体情報であるか否かが判定され、この判定が肯定された生体情報がその伝送チャンネルに対応する生体情報として出力される。したがって、本実施例によれば、伝送チャンネル間の混信によって他のチャンネルへ伝送された生体情報が上記生体情報判定手段により除去されるので、伝送チャンネル間の混信による誤った生体情報の伝送が好適に解消される。
【0031】また、本実施例によれば、符号化鍵選択手段59(SA2)により、識別符号入力手段58(SA1)により入力された識別符号に対応する符号化鍵が選択され、符号化手段60(SA5)により、上記符号化鍵選択手段59により予め識別符号に応じて選択された符号化鍵を用いて生体情報が符号化される。次いで、復号化手段62(SB5)により、生体情報受信装置RXにおいて受信された生体情報が、伝送チャンネル毎に上記識別符号に対応する前記符号化鍵を用いて復号化されることから、たとえ生体情報の検出対象の取り違えにより誤った伝送チャンネルへ送信されたとしても、受信側では、識別符号に対応する符号化鍵またはその符号化鍵に対応して用意された復号化鍵を用いて復号化されるので、生体情報の検出対象の取り違えによる誤った生体情報の伝送が好適に解消される。
【0032】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0033】例えば、前述の実施例の符号化手段60および復号化手段62では、所謂DES方式に従って、生体情報を表す信号が符号化され且つ復号化されていたが、たとえば、符合化に際しては、伝送チャンネル毎にすなわち送信装置TXn および受信装置RXn 毎に予め設定された復号化鍵パターンを用いるRSA方式や、鍵パターンを用いないで単に符号の並べ替えをする暗号方式など、他の符号化或いは復号化方式が用いられてもよい。請求項に言う符号化鍵は、前記符号化鍵パターンのみならず、上記符号の並べ替えを示す関係などを含む広義に解釈されるべきである。
【0034】また、前述の実施例の生体情報検出装置MDn は、心電誘導装置20、血圧測定装置28、体温測定装置32を備えたものであったが、それらのうちの一部を備えたものであってもよいし、パルスオキシメータなど他の生体情報測定装置或いは生体情報センサを備えたものであっても差し支えない。
【0035】また、前述の実施例の送信装置TXn は、所定の搬送周波数で変調された信号の電波を空中へ出力するものであったが、電線へ出力するものであってもよいし、所定の搬送周波数で変調された信号の光波を空中或いは光ファイバー内へ出力するものであってもよい。また、ローカルモニタ装置LMn から一旦フロッピディスクへ出力し、そのフロッピディスクからセントラルモニタ表示装置CMへオフラインで入力するオフライン伝送であってもよい。要するに、共通の伝送媒体内に形成される複数の伝送チャンネルを介して伝送するものであればよい。
【0036】また、前述の実施例において、演算制御装置26は、生体情報検出装置MD内のたとえば血圧測定装置28に備えられた演算制御装置と兼用されても差し支えない。
【0037】その他、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の生体情報伝送装置が適用された生体監視装置の構成を説明する図である。
【図2】図1の実施例のローカルモニタ装置の電気的構成を説明するブロック線図である。
【図3】図1の実施例のセントラルモニタ表示装置の電気的構成を説明するブロック線図である。
【図4】図1の実施例の演算制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図5】図1の実施例のローカルモニタ装置に設けられた演算制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【図6】図1の実施例のセントラルモニタ表示装置に設けられた演算制御装置の制御作動の要部を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
10:生体監視装置(生体情報伝送装置)
58:識別符号入力手段
59:符号化鍵選択手段
60:符号化手段
61:復号化方式選択手段
62:復号化手段
64:生体情報判定手段
MD:生体情報検出装置
TX:(生体情報)送信装置
RX:(生体情報)受信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の生体から生体情報を検出する複数の生体情報検出装置と、該生体情報検出装置に対応して設けられ、該生体情報検出装置により検出された生体情報を変調して、共通の伝送媒体内に形成される複数の伝送チャンネルを介して伝送する複数の生体情報送信装置と、該複数の伝送チャンネルを介して伝送された複数の生体情報を受信してそれぞれ再生する共通の生体情報受信装置とを、備えた生体情報伝送装置であって、前記複数の生体情報送信装置毎にそれぞれ設けられ、前記生体情報検出装置により検出される生体の識別符号を入力させる識別符号入力手段と、該識別符号入力手段により入力された識別符号に対応する符号化鍵を選択する符号化鍵選択手段と、前記複数の生体情報送信装置毎にそれぞれ設けられ、前記生体情報検出装置により検出された生体情報を、その送信に先立って、前記符号化鍵選択手段により予め選択された符号化鍵を用いてそれぞれ符号化する複数の符号化手段と、前記生体情報受信装置に設けられ、該生体情報受信装置において受信された生体情報を、前記伝送チャンネル毎に前記識別符号に対応する前記符号化鍵または該符号化鍵に対応して用意された復号化鍵を用いて復号化する復号化手段と、前記伝送チャンネル毎に、該復号化手段により復号化された生体情報に基づいて、該伝送チャンネルに対応する生体情報であるか否かを判定し、その判定が肯定された生体情報をその伝送チャンネルに対応する生体情報として出力する生体情報判定手段とを、含むことを特徴とする生体情報伝送装置。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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