説明

生体情報検出装置並びに被検者監視システム及び方法

【課題】 被検者に装着することが可能なコンパクトかつ軽量で、所望の姿勢・動きができているか検出することが可能で、被検者に負荷を与えることなく被検者の状態を客観的に、かつリアルタイムで把握でき、正しい姿勢・動きが容易に習得できる生体監視システムを提供できる。
【解決手段】 被検者に直接装着可能な生体情報検出ユニット100に、温度センサ140と、3次元加速度センサ150と、生体電極220を備え、被検者がとるべき姿勢。動きをしている場合の上記センサの検出データに対する基準データを基準データ登録部120に登録し、検出データと基準データとを比較して差異が大きいときに警報を出力することにより、被検者が正しいと思われる姿勢・動きをしていることを、あるいは間違った姿勢・動きをしていることを客観的に認識でき、容易に正しい姿勢を維持あるいは但し動きを習得できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者が所望の姿勢や動きができているか否かを客観的に認識することができる生体情報検出装置並びに被検者監視システム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、一般的な職場においても急速なコンピュータ化が進み、長時間いすに座り続けることが多くなってきている。このため、身体的な疲労・自覚症状を感じる割合が高まってきている。更に、多くの職場において精神的ストレスも増大してきている。
【0003】
これらの疲労やストレスを増大させる大きな原因は、無理な姿勢を長時間続けることにもある。このため、正しい姿勢で仕事をすることが重要であり、一定時間毎にストレッチを行うことも予防になる。
【0004】
また、正しい姿勢をとることは、あらゆる場面においても重要であり、自身が正しい姿勢であるか否かは自身では容易に認識できるものではなく、第三者が観察して正しい姿勢か否かを判断していた。
【0005】
このような場合であっても、なかなか自分の姿勢や動きが正しいか否かは容易に認識できるものではなく、自分では正しいと思っていても実は間違っている場合などが多かった。
【0006】
また、正しい所作が求められる各種芸能や各種運動の稽古では、一連の姿勢変化や動作について、正しい動きが求められている。従来は、指導者が正しい姿勢や動作の見本を示し、指導者の姿勢や動きをまねすることで正しい姿勢や動きを収得するようにしていた。あるいは、指導者が具体的に説明して指導者が正しいと考えている所作を行わせることが多かった。
【0007】
このため、自分の姿勢や動作を第三者を介在させることなく簡単に把握することができれば、正しい姿勢や動作を容易かつ確実に身につけることができる。特に精製や動作をリアルタイムで把握することができれば、より確実かつ迅速に正しい姿勢や動作を収得することが可能となる。このためには、人体の姿勢や動作を計測する必要がある。
【0008】
このため、近くにビデオカメラを設置して自分の姿勢や動作を撮影し、後からこれを表示すれば、他人の手を煩わせることなく自身の動作などを客観的に確認することができる。
【0009】
そのほか、特許文献1及び2のように、被検者に直接各種センサを取り付けて姿勢や動作その他を検出していた。特許文献1は、図5に示すように身体の各部分にそれぞれ多数の加速度センサを装着し、それぞれのセンサの検出データをそれぞれ解析して実際に身体の各部分がどの様に動いたかを細部にわたって詳しく解析していた。
【0010】
また、特許文献2では、加速度センサ、角加速度センサ、ジャイロセンサ、外部に固定されたマーカのセンシング等のセンサにより測定した情報から位置姿勢を推定し、GPS信号でその位置を把握するほか、ユーザの発汗量、皮膚電位、眼球運動、筋電、脳波、脳磁場、バイタルサイン、表情、顔色、声紋、震え、体の動作、血糖、体脂肪、血流、唾液の成分、息の成分、排泄物の成分、及び汗の成分の情報等を検出して被検者の状態を測定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−264060号公報
【特許文献2】特開2005−315802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1、特許文献2共に、多数のセンサ類を被検者の身体に装着などするため、被検者にとって大きな負担となるのみならず、センサからの検出データを特別な、かつ大がかりな処理装置に送ってここで解析しなければならず、広く一般の人が利用できるようなものではなかった。
【0013】
また、主に研究用のものであり、実際の使用はほとんど考慮しておらず、特定の姿勢が保たれているか、特定の動作が正しく行われているかを認識するにはあまりにも大がかりであり、使用できる場所なども限定されるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記従来技術の課題を解決することを目的としてなされたもので、一般の人も無理なく使用でき、被検者に負担をかけることなく、かつ場所を選ばず、勤務場所でも、あるいは運動施設や稽古場であっても被検者の姿勢や動作が正しいか否かを容易に把握することができる生体情報検出装置並びに被検者監視システム及び方法を提供することを目的とする。係る目的を達成する一手段として以下の構成を備える。
【0015】
即ち、被検者に装着可能で被検者の身体の動く状態を検出可能な生体情報検出装置であって、被検者の身体の動く状態を検出する状態検出手段と、被検者のとるべき身体の状態に対応する前記状態検出手段の検出情報を基準検出情報として記憶する基準情報記憶手段と、前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報を参照して、前記状態検出手段の検出情報から被検者のとるべき身体の状態と相違した状態かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果を報知可能な報知手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
そして例えば、前記状態検出手段は、被検者の身体の動きを検出可能な加速度センサを含むことを特徴とする。あるいは、前記状態検出手段は、生体よりの電気信号を検出可能な生体電極を含むことを特徴とする。
【0017】
また例えば、前記報知手段は、前記判定手段の判定結果を音響信号として出力する音響出力手段であることを特徴とする。あるいは、更に、前記状態検出手段での検出結果を無線送信する送信手段を備えることを特徴とする。
【0018】
又は、被検者に装着可能で被検者の身体の動く状態を検出可能な生体情報検出装置と、前記生体情報検出装置よりの検出情報を受信して前記被検者の身体の動く状態を監視して監視結果を報知可能な生体情報監視装置とからなる被検者監視システムであって、前記生体情報検出装置は、被検者の身体の動く状態を検出する状態検出手段と、前記状態検出手段の検出情報を前記生体情報監視装置に送信する送信手段とを備え、前記被検者監視装置は、前記生体情報検出装置より送られる前記検出情報を受信する受信手段と、被検者のとるべき身体の状態に対応する前記状態検出手段の検出情報を基準検出情報として記憶する基準情報記憶手段と、前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報を参照して、前記状態検出手段の検出情報から被検者のとるべき身体の状態と相違した状態かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果を報知可能な報知手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
そして例えば、前記状態検出手段は、被検者の身体の動きを検出可能な加速度センサを含むことを特徴とする。あるいは、前記報知手段は、前記判定手段の判定結果を音響信号として出力する音響出力手段であることを特徴とする。
【0020】
さらに例えば、前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、作業を行う際の作業姿勢情報であり、前記状態検出手段の検出する被検者情報は、作業中の被検者の姿勢に対応した検出情報であることを特徴とする。
【0021】
また例えば、前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、踊るべき踊りを踊った時の模範となる動きをしたときの検出情報の例であり、前記状態検出手段が検出する前記被検者情報は、踊るべき踊りを踊った時の被検者の状態に対応した検出情報であることを特徴とする。
【0022】
さらに例えば、前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、被検者が行おうとする運動をしたときの検出情報の例であり、前記状態検出手段が検出する前記被検者情報は、被検者が行おうとする運動を行ったときの被検者の状態に対応した検出情報であることを特徴とする。
【0023】
また例えば、前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、模範的な姿勢・動きをしたときの検出情報に加え、誤りやすい姿勢・動きをしたときの検出情報に対応する情報を含むことを特徴とする。
【0024】
又は、被検者に被検者の身体の動く状態を検出する状態検出手段を備える被検者情報検出装置を装着して被検者の身体の動く状態を検出すると共に、予め被検者のとるべき身体の状態に対応する前記状態検出手段の検出情報を基準検出情報として用意している被検者監視システムにおける被検者監視方法であって、被検者情報検出装置の前記状態検出手段により検出される検出情報と前記予め用意している基準検出情報とから被検者の身体の状態が被検者がとるべき身体の状態であるかを判定して判定結果を報知することにより、被検者にとるべき姿勢・動作を維持できているかを認識可能とする被検者監視方法であることを特徴とする。
【0025】
そして例えば、前記状態検出手段は、被検者の身体の動きを検出可能な加速度センサを含み、前記判定結果の報知は判定結果を音響信号として出力する被検者監視方法であることを特徴とする。
【0026】
また例えば、前記用意している基準検出情報は、作業を行う際の作業姿勢情報であり、前記状態検出手段の検出する被検者情報は、作業中の被検者の姿勢に対応した検出情報である被検者監視方法であることを特徴とする。
【0027】
また例えば、前記用意している基準検出情報は、踊るべき踊りを踊った時の模範となる動きをしたときの検出情報の例であり、前記状態検出手段が検出する前記被検者情報は、踊るべき踊りを踊った時の被検者の状態に対応した検出情報であることを特徴とする被検者監視方法とする。
【0028】
さらに例えば、前記用意している基準検出情報は、被検者が行おうとする運動をしたときの検出情報の例であり、前記状態検出手段が検出する前記被検者情報は、被検者が行おうとする運動を行ったときの被検者の状態に対応した検出情報であることを特徴とする被検者監視方法とする。
【0029】
さらに例えば、前記用意している基準検出情報は、模範的な姿勢・動きをしたときの検出情報に加え、誤りやすい姿勢・動きをしたときの検出情報に対応する情報を含む被検者監視方法であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、コンパクトかつ軽量で、被検者の負荷となることなく、被検者の姿勢や動作が正しい状態か否かを容易かつ客観的に認識することができる生体情報検出装置並びに被検者監視システム及び方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る一実施の形態例の生体監視システムの全体構成を説明するための図である。
【0032】
【図2】本実施の形態例の動作制御を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0033】
100 生体情報検出ユニット
110、310 制御部
130、340 表示部
140 温度センサ
150 3次元加速度センサ
160、360 通信制御部
170 音響出力部
【0034】
180 電源部
185 電源スイッチ
220 生体電極
300 生体監視装置
320 被検者情報管理部
120,330 基準データ登録部
350 入力部
370 警報出力部
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明に係る一発明の実施の形態例を詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する構成要素の相対配置、数値等に何ら限定されるものではなく、特に特定的な記載がない限り本発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨ではない。
【0036】
本発明に係る一実施の形態例は、装着者に過度な負荷を与えることなく、所望の姿勢がとれているか、あるいは所望の動作が正しく行われているかを監視することができる生体監視システムを提供するものである。
【0037】
以下、図1を参照して本実施の形態例の生体監視システムの詳細構成を説明する。図1は本発明に係る第1の実施の形態例の生体監視システムの全体構成を説明するための図である。
【0038】
なお、図1においては生体情報検出ユニット(合成樹脂ケース)100は一つのみ記載されているが、生体情報処理装置300は複数の生体情報検出ユニットからの検出情報を受信してそれぞれ処理することが可能である。
【0039】
又、以下の説明は生体情報検出ユニット100と生体監視装置300を共に備える例を説明するが、以下の例に限定されるものではなく、生体情報検出ユニットのみで構成してもよい。この場合には後述する通信制御部160による検出情報の送信は不要となる。
【0040】
そして、基準データ登録部120に登録する基準データを他装置からの無線通信で受信する機能を備える構成でない場合には、通信制御部160を備えなくてもよい。この場合には、後述する基準データ登録部120を着脱自在に構成し、仕様に応じた基準データを用意すれば足りる。
【0041】
図1において、100は本実施の形態例の生体情報検出ユニットであり、例えば小形軽量化を図るため合成樹脂(プラスチック)でモールドされている。合成樹脂としてはポリスチレン系合成樹脂、或いは、ポリメチルメタクリレート系合成樹脂を使用することができる。
【0042】
大きさとしては、例えば、最大でも40×40×10mm程度以下の軽量小型の大きさとしている。このように、小形軽量であるため、被検者に直接装着しても、被検者にほとんど負荷を与えることなく被検者の状態を検出することができる。
【0043】
生体情報検出ユニット100において、110は生体情報検出ユニットの全体制御を司る制御部であり、例えばマイクロプロセッサとメモリ、入出力インタフェース部などを備えている。他の全ての各生体情報検出ユニットにはそれぞれ固有の識別番号、例えば14桁の識別番号が付与されている。この識別番号は制御部110が管理している。
【0044】
制御部110は、詳細を後述する3次元加速度センサ150、その他のセンサよりの検出結果と基準データ登録部120に登録されている基準データとを比較検討して被検者の姿勢・動き等の被検者の身体の状態が望ましい状態と言える状態か否かを判定する機能である姿勢・動き判定手段110aを有する。姿勢・動き判定手段110aはソフトウェアにより実現することでユニットの形状などに影響なく当該機能を実現できる。
【0045】
120は基準データ登録部であり、本ユニット100を装着する被検者が監視したい姿勢あるいは動作に応じた基準データを登録する基準データ登録部であり、監視対象に応じた正しい姿勢あるいは動作の時の検出データを予め収集して登録しておくメモリで構成されている。
【0046】
本ユニット100の仕様を特定の姿勢あるいは動作を監視する専用ユニットとする場合には、基準データ登録部120は、読み出し専用のROMで構成することができる。
【0047】
一方、本ユニット100を汎用品として構成する場合には、基準データ登録部120を読み書き可能なメモリで構成することが望ましく、予め標準的な基準データを登録させたものを使用し、使い方や被検者に合わせて、例えば通信制御部160を介して他の装置、例えば生体監視装置から基準データを受信して基準データ登録部120に格納可能にすることが望ましい。
【0048】
あるいは着脱式のメモリチップに監視するべき姿勢や動きに対応させた基準データを記憶させ、希望する仕様にあわせて基準データの記憶されたメモリチップを本ユニット100に装着しても良い。
【0049】
130は装置の状態を表示可能な表示部であり、例えば複数色で発光する発光ダイオード等で構成され、装置の状態により発光色を変え、正常動作時には連続点灯または「青」で表示し、電源不良や検出結果設定範囲から外れた姿勢や動きであった場合など検出結果に問題がある場合等には点滅点灯または「赤」で表示し、一定時間経過後あるいは非動作時には消灯することなどが考えられる。
【0050】
140は被検者の体表面温度(体温)を検出する温度センサであり、例えば温度により抵抗値が変化するサーミスタ素子を用いている。体温の検出方法は電子体温計などで公知であるため詳細説明を省略する。なお、この温度センサ140は必ず備えなければならないものではなく、省略することも可能である。
【0051】
150は3次元加速度センサであり、本装置装着者(被検者)の3次元の動きを検出してX方向、Y方向、Z方向のそれぞれの3方向の動きに応じた検出電圧値を出力する。3次元加速度センサ150としては、例えばKionix社製のKXM52シリーズを適用できる。KXM52シリーズの加速度センサであればほぼ5mm×5mm×1.8mmの小形DFNパッケージであり、生体情報検出ユニットも小型の構成とできる。
【0052】
本実施の形態例の生体情報検出ユニット100では、制御部110の各センサよりの検出結果の確認間隔は任意で良く、数mS間隔でも、数十mS間隔でも、数百mS間隔で検出してもよい。人間の動きなどを検出するものであるため、短期間で大きく変化することはないからである。
【0053】
160は通信制御部であり、通信モード時に制御部110の制御下で各種検出値(例えば生体電極の検出値、3次元加速度センサの検出値、温度センサの検出値)を生体監視装置300の通信制御部360に一定の間隔でデータ伝送する。
データ伝送は、例えば2.4GHzの周波数で行われる。なお、通信モードを備えず、自ユニットのみで動作する構成とすることも可能であり、この場合には通信制御部160は省略することが可能である。
【0054】
なお、送信データは少なくとも10メートル以上離れた距離まで到達する仕様とすることが望ましく、より好ましくは被検者のいるフロア内に到達する仕様とすることが望ましい。これにより、フロア内のどの位置に生体監視装置300が設置されていても、確実に検出データを送ることができる。
【0055】
170は音響出力部であり、検出データが基準データ登録部120に登録されている基準データと比較して差異が大きく、許容範囲を超えている場合等に、姿勢や動作が予め想定したものと相違するとして例えば警報音を出力する。検知した状態により音響出力パターンを変化させることにより、より詳細に被検者の姿勢や動作の状態を報知できる。
【0056】
180は電源部であり、本実施の形態例ではボタン電池を採用している。しかし、電池に限定されるものではなく、必要な電力供給が可能であれば1次電池であるか2次電池であるかも問わない。185は電源スイッチであり、本実施の形態例に動作電源を供給するか否かを指示する。
【0057】
220は生体表面に貼着可能な皮膚表面電極である生体電極であり、例えば2つの電極パターンが所定距離離れて配設された貼着パットで構成されることが考えられる。生体電極220は、繰り返し使用すると特性が劣化するため、使い捨てタイプの電極パッドを使用することが望ましい。生体電極については、公知の一般的な心電電極等をそのまま転用することが可能であり、広く汎用品として市場に供給されている心電図信号を検出する心電図電極を用いることにより、専用の電極などを用意することなく、廉価で必要な特性を有する生体電極とできる。例えば、日本光電工業製またはフクダ電子製の「ディスポ電極」を使用できる。
【0058】
300は生体情報検出ユニットからの各種検出データなどを受け取って被検者の状態監視を行っている生体監視装置である。本実施の形態例生体情報検出ユニット100は、単独で被検者の姿勢や動作を検視することができ、単独動作モードでは生体監視装置300は不要である。
【0059】
しかしながら、生体情報検出ユニット100よりの各種検出データを受信して解析できれば、より詳細な被検者の状態分析が可能となり、よりきめ細かな管理ができる。また、被検者の検出履歴を記憶することも可能となる。
【0060】
このため、作業状態の把握も可能であるほか、各種の動きの上達経過の把握も可能となる。又、生体情報検出ユニット100に送信モードでの動作を実現することで、例えば各種報知音を生体監視装置300より出力する場合に比しより大きな音量での警報出力が可能となり、生体情報検出ユニット100の消費電力の消耗を防ぐことが可能となる。
【0061】
生体監視装置300において、310は全体制御を司る制御部、320は被検者よりの検出データ、動作状態を受け取り被検者毎に受け取った検出情報を管理する被検者情報管理部である。
【0062】
330は生体情報検出ユニットを装着する被検者毎に予め設定される被検者情報、被験者の監視姿勢、各種動作毎の基準データなどを登録する基準データ登録部である。基準データ登録部330に登録されているデータは、生体情報検出ユニット100に登録する正しい姿勢や動作を行ったときの基準となる検出データのほか、誤った姿勢や動作時の検出データパターンを予め複数パターン登録しておき、生体情報検出ユニット100よりの検出データがどのデータパターンと近似しているかを調べることにより、どのように誤っているのかを極めて容易に認識することができ、表示部340にどのように誤っているかの情報を表示することにより、簡単な構成で更に優れた効果を得ることができる。
【0063】
姿勢の監視としては、作業時等の姿勢が望ましい姿勢に保たれているか否か等の姿勢監視があり、動作監視には、踊りの稽古時における正しい動きをした場合のデータとの比較、スポーツを行っている時の一連の動作、またはスポーツトレーニング時の動作と、模範的な動作を行った場合の動作時の検出データの比較などに適用できる。
【0064】
更に、好ましい動作や姿勢が判明している場合の基準データの外に、未熟な人などがよくとる誤った姿勢や動作時のデータを収集し、いくつかの姿勢や動作のパターン毎の検出データを登録しておき、被検者よりの検出データと比較することで、どのように動作しているか(どのように間違っているのか)を識別可能に構成してもよい。この様に構成することで、あたかも専属コーチがいるかのようにトレーニングなどの効果を上げることが可能となる。
【0065】
340は表示部であり、生体情報検出ユニット100より受信データに基づく被検者の動作状態や姿勢状態を表示する。更に緊急時のメッセージ表示なども行う。350は各種指示や情報を入力するキーボードあるいはカードリーダなどからなる入力部である。
【0066】
360は生体情報検出ユニット100とのデータ通信を行う通信制御部であり、生体情報検出ユニット100より一定間隔で送られてくる検出生体情報や被検者の状態を示す情報などを受信する。
【0067】
また、370は警報出力部であり、各種の音響出力の他、各種ブザー音や各種合成音を出力することができる。例えば、通信制御部360を介して検出データを受信する生体情報検出ユニット毎に出力パターンを変えて、どの生体情報検出ユニットに対する警報かを識別可能とし、更に、どのような状態かを例えば音声情報として出力することにより、より詳細に検出状況を被検者に報知できる。この時、例えば生体情報検出ユニット毎に被検者情報を例えば入力部350より入力することにより、具体的に被検者を特定して適切な指示を出力することが可能となる。
【0068】
後述する踊りを踊るときや運動トレーニング中には、ある程度の音量で警報を出力しないと、被検者が聞き逃すおそれがあるが、生体監視装置300に検出データを送信して(または警報出力を生体監視装置300に依頼して)必要な警報を出力することにより、消費電力を気にすることなく被検者に確実に伝えることが可能となる。この時に具体的な検出データ、基準データ及び警報を出力する根拠となった事項を表示部340に表示させることにより、被検者が警報の出力を聞いてその原因をより確実に知ることができ、学習効果などを上げることができる。
【0069】
通信制御部160、360間のデータ通信制御の詳細を以下に説明する。本実施の形態例では、上述したように生体情報検出ユニットからほぼ一定間隔でパケットデータを送信し、これを生体監視装置300で受信している。
【0070】
パケットには、予め各生体情報検出ユニット毎に割り当てられている識別番号(送信元情報)格納領域、パケットを送信する毎に歩進される送信番号情報(位置情報)格納領域、生体情報検出ユニットで測定した送信するべきデータ等が割り当てられているデータ格納領域、誤り訂正符号であるCRCデータを格納するCRC格納領域等からなり、データ格納領域に生体電極検出データ、加速度センサの各方向データ、温度センサ検出データなどが格納される。
【0071】
生体監視装置300では、受信した生体情報検出ユニット毎の受信データ変化をリアルタイムで監視すると共に、表示部340に選択表示している。
【0072】
本実施の形態例においては、生体情報検出ユニット100を被検者に直接装着することを前提としているため、小形軽量化することが特に求められる。このため、生体情報検出ユニット100での検出データを生体情報監視装置300に送信するモードで動作する場合には、温度センサ140、3次元加速度センサ150、生体電極220よりの検出データをメモリ等に一時記憶などすることなく、所定間隔での温度センサ140での温度検出データと生体電極220での検出電位、3次元加速度センサ150のX,Y,Zの各センサ検出とをそれぞれ読み取って基準データを比較すると共に必要に応じて送信パケットの予め設定された領域に格納して送信するようにしてもよい。これにより、生体情報検出ユニットの構成を簡略化でき、負荷も最小限に抑え、更なる小形軽量化が可能となる。
【0073】
次に図2を参照して本実施の形態例の生体監視システムによる生体監視制御を説明する。図2は本実施の形態例の基本的な生体監視制御を説明するためのフローチャート図である。図2では基準データ登録部120に1種類の基準データが登録されている場合の例について説明するが、複数種の基準データを登録している場合には、動作を開始する最初に、登録されている基準データから所望の基準データを選択することになる。
【0074】
まずステップS1で、例えば、予め習得しようとする姿勢あるいは動作のために予め用意されている基準データ(または基準データ及びいくつかの変形データ)を基準データ登録部120に登録、または格納し、この生体情報検出ユニット100を被検者に装着する。
【0075】
被検者への装着は、例えば身体正面の略真中の胸部のの真ん中に加速度計が略垂直となる様に生体電極220と共に装着することが望ましい。しかし、以上の例に限定されるものではなく、例えば生体電極220を備えずにベルトなどに装着するものであっても、姿勢や動作を検出することが可能である。
【0076】
そして続くステップS3において、生体情報検出ユニット100の電源スイッチ185をオンして検出動作を開始させ、被検者の監視を開始する。これに応じて被験者も対象となる姿勢や動作を行う。
【0077】
本実施の形態例の制御部110は、ステップS5で所定間隔で各センサより検出データを読み込む。続くステップS7で送信モードか否かを判断する。送信モードでない場合にはステップS10に進む。
【0078】
一方、ステップS7で通信制御部160を備え、生体監視装置300に検出データを送信する送信モードである場合にはステップS9に進み、センサでの検出結果を生体監視装置300の通信制御部360に送信する。そしてステップS10に進む。
【0079】
ステップS10では、センサよりの検出データが一定時間分読み込まれたか否かを調べる。所定量の検出がなされていない場合にはステップS5に戻り、センサの検出データの読み込みを続ける。
【0080】
ステップS10で所定時間分の検出データを読み込んだ場合にはステップS12に進み、制御部110は検出したデータと基準データ登録部120に登録されている基準データとを比較し、検出データが基準データのどの部分かを特定し、両データの比較を行う(姿勢・動き判定手段110a)。
【0081】
所定時間分のデータが揃うのを待つのは、姿勢・動作を監視するにしても、一瞬の時点のセンサ出力をみてもそれだけではどのような姿勢変化が成されたか、どのような動作を行ったかを検出することはできず、監視対象に応じてある所定時間の体の動きなどを検出する必要があるためであり、所定範囲の一連の姿勢変化、動作状況などを基準データと比較する。
【0082】
姿勢検出であれば正しい姿勢の時の基準データと検出データとを比較すれば良く、一連の動作の場合にはステップS3の検出開始からの時間あるいは検出データと登録データとのマッチングを行い、基準データ取得タイミングにおける動作に対応する検出データを特定して比較する。
【0083】
検出対象が動作の場合で、検出時間が短い場合、例えば後述するゴルフのスウィング等の様に数秒間の間の検出データを比較すれば足りる場合には、大きく変化している部分を比較対象とする。状態監視が長時間に及ぶ場合には、リアルタイムで検出データを監視し、設定範囲より外れるかを比較して監視する。
【0084】
更に、温度センサ140による体温の検出、或いは生体電極220による生体信号の検出を行っている場合には、本ユニットが被検者から外れたか否かを直ちに知ることができ、速やかに警報を出力でき、ユニットの紛失なども有効に防止できる。又、温度センサ140による体温の検出により、作業者の健康状態の監視も行え、体調不良の早期発見が期待できる。
【0085】
生体電極220の検出結果から、被検者の運動状況を例えば心拍の状態で確認することができ、3次元加速度センサ150の検出結果と合わせて例えば作業を行っているか、休憩中かも検出可能であり、勤務実態を容易かつ客観的に把握することも可能となる。
【0086】
そして続くステップS14において、制御部110の姿勢・動き判定手段110aによる比較の結果、その差異が予め設定した範囲内の差異か否かを判断する。差異が少なく、設定範囲内の差異である場合には正しい状態であるとしてステップS5に戻り、姿勢や動作の検出を続行する。
【0087】
なお、姿勢・動き判定手段110aによる設定範囲内か否かは、設定範囲を外れた時間が一定時間以上継続しているときに設定範囲外と判断する。これは、ノイズの影響などで一時的に設定範囲を外れる場合があるためで、ノイズの影響を除去する必要があるためである。
【0088】
一方、ステップS14で検出データと基準データとの差異が予め設定した範囲を超えていた場合にはステップS16に進み、警報出力モードか否かを確認する。警報出力モードでない場合にはステップS20に進む。
【0089】
ステップS16で警報出力モードの場合にはステップS18に進み、一定時間警報を出力し、その後ステップS20に進む。警報の出力は、例えば、姿勢が崩れて望ましい範囲から外れた場合に警報案を出力したり、例えば上下動を抑えてすり足で移動しなければならないところ、その姿勢がとれていない場合、ゴルフスイングで重心移動を抑えなければならない動作で重心移動している場合等に警報音を出力する等、基準データ登録部120に登録されている基準データに応じて広範囲の姿勢動作に対応することが可能である。
【0090】
ステップS20では、表示部130に以上の判定結果を表示し、ステップS5に戻り監視を続ける。なお、一連の検出を終了する場合には不図示の停止ボタンを押下するか、または電源スイッチ185をオフするまでセンサでの検出を続ける。
【0091】
しかし、検出終了は以上の例に限定されるものではなく、生体情報検出ユニット100が被検者に装着されていない状態と検知したときに自動的に検出動作を停止し、再び装着されたときに検出動作を再開するように制御してもよい。
【0092】
また例えば、生体電極220が生体信号を検出している状態の時、あるいは、温度センサ140が体温を検出している場合、3次元加速度センサ150が被検者の非静止状態を検出している場合に監視モードとして動作させ、センサよりの検出データの比較などを行い、所定時間これらのセンサよりの検出がない場合に処理を停止することが考えられる。
【0093】
なお、以上の説明では温度センサ140,3次元加速度センサ150及び生体電極220を全て備え、各センサよりの検出データを総合的に判断して判断する場合を例としたが、以上の例に限定されるものではなく、例えばセンサとして3次元加速度センサ150のみ備え、あるいは更に温度センサ140のみを備える構成でも良い。生体電極220を備えなくとも、本実施の形態例ユニットを胸部に装着することにより、呼吸状態の検出や心臓の鼓動も検出することができ、活動中か、就寝中かなどの検出が可能となると共に、姿勢の変化も検出できる。
【0094】
[実施例1]
姿勢監視例として、職場におけるコンピュータ操作業務における正しい姿勢制御及び所定間隔での休養、ストレッチの実施状況の監視に生体情報検出ユニットを使用する例を説明する。
【0095】
一般的に、椅子に座ってディスプレイの表示画面を見ながらキーボードを操作する場合において望ましい姿勢は、骨盤をやや前掲させ、腹部に力を入れて腰椎、胸椎をその上に乗せ、頭を高く、頸椎をのばす、いわゆる自然なS字曲線を保つ姿勢であるといわれている。しかしながら、このような姿勢を意識した継続することは難しく、作業に集中している時などは骨盤が後傾しやすくなり、自然なS字曲線が崩れやすい。
【0096】
また、長時間表示画面を見続けることは身体の硬直などを引き起こすほか、目の疲労にもつながるため、一時間毎に休憩を取ることが求められている。例えば、厚生労働省の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」によれば、
【0097】
(1)連続作業が1時間を超えないようにすること。
(2)連続作業と連続作業の間に10〜15分の作業休止時間を設けること。(3) 一連続作業時間内において1〜2回程度の小休止を設けること。
と策定されており、生体情報検出ユニット100の基準データ登録部120に、例えば以下のファイル及びデータを登録する。
【0098】
【表1】

そして、基準データが登録されている生体情報検出ユニット100を例えば胸部の身体正面中央近傍に装着(3次元加速度センサ150が略垂直になる様に)し監視を開始させる。
【0099】
監視開始後、正しい姿勢を維持しているか否かを常時監視し、作業中の姿勢が予め設定した範囲外になった場合には、例えば音響出力部170から作業中姿勢の乱れ警告音を出力し、正しい姿勢に戻ると警報音の出力を停止する。警報音は例えば所定間隔のブザー音「ピー・ピー・ピー」などを出力するか、「正しい姿勢にお戻し下さい」等の音声ガイダンスを出力する。
【0100】
また、図2の処理説明では省略しているが、検出開始よりの時間経過の監視も行うように設定し、作業開始より小休止までの時間が経過すると小休止をとることを促す報知音、例えば、「連続作業時間が○○分となりました。小休止して下さい。」などの音声メッセージ、あるいは所定パターンのブザー音を出力する。
【0101】
小休止時間中は、椅子から立ち上がって軽い運動などを行っているか、あるいは、椅子に座ったまま身体を動かすなどのリラックス動作を行ったか否かを監視し、作業を続行していると判断した場合には更に小休止を促す様に報知する。
【0102】
小休止すべき時間が経過すると、小休止停止の報知音を出力する。例えば「小休止をやめて作業にお戻り下さい。」のメッセージや作業開始を報知するブザー音などを出力する。
そして、作業開始より連続作業許容時間が経過した時には、作業休止報知データを出力して作業休止を報知する。例えば、作業休止時間ですので作業を休止して身体を動かしましょう」などのメッセージ、あるいは作業休止を示すブザー音を出力する。
【0103】
そして、作業休止中に椅子から立ち上がって軽い運動などを行っているか、あるいは、椅子に座ったまま身体を動かすなどのリラックス動作を行ったか否かを監視する。作業を続行していると判断した場合には、更に作業中断を促す様に報知する。
【0104】
作業の休止時間、例えば10分〜15分が経過すると、作業再開の報知音(作業開始許可報知音)を出力する。例えば「休止時間が終了しました。作業を開始して下さい。」のメッセージや作業開始を報知するブザー音などを出力する。
【0105】
コンピュータ操作などを行なう作業者に実施例1のユニットを装着するのみで、作業中の姿勢の乱れがリアルタイムで認識できるのみならず、長時間連続作業を防止すると共に、休止中のリラックス動作についても、監視することができる。これらの検出データを生体監視装置300に送信して検出データを累積して解析することにより、作業中の状態を正確に知ることができ、作業者の健康管理に生かすことができる。また、体調不良などがおきた場合や疲労を訴えたような場合であっても、その原因が作業中の態度にあるのかなどを客観的に知ることが可能となる。
【0106】
以上の説明はコンピュータ操作者に装着する場合を例に説明したが、あらゆる作業現場にそのまま適用できる。例えば、学校や塾等の生徒に装着して司政検出を行えば、容易に、良い姿勢を保って授業に集中しているか、集中していないか、眠っているか、等を容易に検出することができ、生徒に注意を喚起させて授業に集中させることが可能となる。
更に、製品の製造現場においても、作業状況をリアルタイムで監視することができ、万が一の事故発生時にも、速やかに状況を警告報知でき、被害を最小限に抑えることにもつながる。
【0107】
また例えば、この場合には生体情報検出ユニット100に携帯電話機の振動機能を具備させる事により、他人に迷惑をかけることなく被検者に自身の状態を認識させることができる。これは、他の例についても共通であり、第三者に報知出力を知られることなく、被検者のみに報知することができ、静かな環境の作業場や、図書館などであっても使用することができる。
〔実施例2〕
【0108】
次に運動トレーニングに適用した例として、ゴルフの練習時に本例のユニットを装着してスイングを行った場合を例として以下に説明する。実際にゴルフコースでゴルフをする場合に装着するようにしてもよい。実施例2の場合には、例えば、基準データ登録部120には以下のデータを登録する。
【0109】
【表2】

このようにきめ細かな各種のスイング時の検出データに対応させることができ、あたかも専用のコーチについているかの如き練習効果を得ることができる。
すなわち、フルスウィング時とハーフスウィング時、アプローチスウィング時、バンカーショット、パタースウィングなどスウィングによって体重移動や回転軸ぶれ、前傾姿勢乱れに対する許容度が異なっているにもかかわらず、適切に対応することができる。
更に、例えば自身が選択したプロ選手のスイング時の検出データを基準データとすることで、より趣味性の高い装置とすることも可能である。
【0110】
例えば、ゴルフ練習場やゴルフスクールが行うゴルフレッスンに適用しようとする場合には、カリキュラムに従ったマスターするべきスイング動作に関する基準データを登録することにより、自分自身の動作を客観的に認識することができ、どのようにしたら正しいスイングになるかを身をもって体験することができる。
【0111】
特に、自分ではただしいスウィングをしているものと信じている例が多くあるが、本例にユニットにより客観的な事実を無理なく自然に認識させることができ、また、どのように動いたときに正しいスウィングとなるのかを、リアルタイムで自分自身が把握することができるため、欠点等を無理なく、積極的に修正しようとする意欲を呼び起こすことができる。また、自宅での素振りなどにもいつでも自身に装着するのみで、自分のどこが誤っているのかを容易に確認でき、容易に正しいスイングに戻すことができる。
【0112】
以上の説明では、基準データを登録して基準データと検出データとを比較する例を説明したが、基準データは一般的に最適と思われるデータ(理論上の理想データ等)に限るものではなく、例えば高度の技術を持っているプロの場合などでは、自分の好調時、あるいは最善と思えるスイングをしたときの検出データを自身の基準データとして登録しておき、調子が悪いとき、例えばスランプ気味の時などに、前もって登録しておいた自身のデータと検出データとを比較することで、その差異が客観的に把握できる。これにより、スランプの脱出のヒントを与えることができる。
【0113】
以上のことはゴルフに限定されるものではなく、運動全般にそのまま適用できる。例えば野球の打者のバッターボックスでの振りや投手の投球フォーム等にもそのまま適用できる。また、あらゆるスポーツにおいて、自身の好調時の検出データを登録しておき、調子が落ちたときに自身の好調時の検出データと容易に比較することで、どこが違って今の結果となるのかを客観的に把握することができ、スランプ等を最小限に抑えることが可能となる。
【0114】
〔実施例3〕
以下の説明は、基準データとして踊りを踊る場合の基準データ(例えばうまく踊れた場合のセンサ検出データを基準データとして基準データ登録部120に登録しておき、例えば踊りを習う人、あるいは覚えたい人が実施例3のユニットを装着して踊りを踊ることで、自分のどの部分を修正しなければならないかを客観的に知ることができる。
【0115】
実施例3の場合においても、実施例2の場合と同様に踊りの種類毎にそれぞれの動きに合わせた基準データ、典型的な誤りパターンにあわせた検出データを登録しておくことにより、専用のコーチに習っているかの如ききめ細かな修正が可能となる。日本舞踊やモダン系ダンス、ラテン系ダンス、民族舞踊、ストリートダンス、タップダンス、フラダンス等、各種の踊り毎に以下の基準データ登録することが望ましい。
実施例3の各踊りの種対毎の基準データ登録部120の登録例を以下に示す。
【0116】
【表3】

【0117】
例えば、日本舞踊では、少し腰を落とし気味にして腰の上下動を抑え、静かに滑るような足さばき、しなやかな動きが求められる。このような場合であっても、例えばどのような動きをしたときに動きを修正しなければならないかをリアルタイムで認識することができる。
【0118】
また、社交ダンスなどの場合には、踊りの種類によって身体の動かし形が異なるが、それぞれの踊りによってとるべき姿勢や足運びに独特のものがあり、模範的な動きをした場合に検出されるべきデータを基準データとして登録しておくことにより、各種踊りにおける基本的な動きを容易に習得できる。特にステップの取り方やリズム感良く踊れているか等を客観的に確認することができ、早い上達が望める。
【0119】
更に、ジャズダンスやヒップホップ系のダンス等どのような対象であっても、容易に基準となる動きとの差異、自身のテンポを確認することができる。一方、伝統音楽に基づく踊りに適用した場合にも、基準となる動きやリズムとの相違を容易かつ客観的に認識することができ、コーチや師匠に直接教えて貰う機会が少ない知育に居住するものであっても効率の良い練習が可能となる。更に、愛好者の数が少なく、教える師匠が近くにいない場合、あるいは一時的または長期に離れなければならないような場合であっても、基準データさえ登録すれば練習効果を上げることができる。
【0120】
このように、日本舞踊やモダン系ダンス、ラテン系ダンス、民族舞踊、ストリートダンス、タップダンス、フラダンス等、各種の踊りの練習時に、模範的な踊りを踊った場合の検出結果に対応する情報を基準情報とすることにより、又、よく間違える姿勢・動きをした場合の検出結果に対応する情報を比較情報として用意し、踊りを練習したときにどのような姿勢・動きが正しい姿勢・動きとなるかを身をもって知ることができると共に、誤った姿勢・動きとなったときにもその原因を客観的に把することができる。
【0121】
〔実施例4〕
以下の説明は、ウォーキングを行う場合の正しいフォームでのセンサ検出データを基準データとして基準データ登録部120に登録しておき、例えばウォーキングを行う人、あるいは正しいウォーキングフォームを身につけたい人が実施例3のユニットを装着して歩くことで、自分のどの部分を修正しなければならないかを客観的に知ることができる。
【0122】
実施例4の場合には、例えば、基準データ登録部120には以下のデータを登録する。
【表4】

【0123】
例えば、エクササイズウォーキングでは、キック力(推進力)を高めることがポイントであり、例えば、ひじを90度に曲げて特に後方に良く振れるようにすることが求められる。この動きは3次元加速度センサ150のよる左右方向への動きなどでも検出可能である。
【0124】
また、足のはこびは、後ろ足に腰をのせるような感覚で、踵から着地し、もう片方の足を一歩前へ踏み込み、その後前に出した足に腰をのせ、重心を自然と前に押し出す様にし、重心が前に移動する力を利用して最後に後ろ足の親指で地面を蹴る様にすれば疲れず、効率の良い歩きができる。この動きは3次元加速度センサ150により検出可能である。
【0125】
また呼吸も、例えば、8歩で1呼吸を目指し、呼吸時間を歩幅に合わせて長くとるように、例えば、1歩ずつ「吸う、吸う、吸う、吸う、吐く、吐く、吐く、吐く」を繰り返すことなどが考えられます。この動きも3次元加速度センサ150のよる前後、左右方向への動きなどでも検出可能である。
【0126】
なお、呼吸法は以上の例に限定されるものではなく、4歩で1呼吸であっても良く、更に呼吸については検出を省略してもよい。
以上の様に、本実施の形態例では被検者の姿勢が正しい姿勢か監視できるほか、勤務実態を制御することも可能となり、容易に適切な環境での作業であるかが認識できる。このため知らず知らずの間に無理な負荷を与えることを有効に防止できる。
【0127】
又、各種運動の練習時に、模範的な姿勢及び動きをしたときの検出結果に対応する情報を基準情報とすることにより、あるいはよく間違える姿勢・動きをした場合の検出結果に対応する情報を比較情報として用意し、どのように動くと正しい動きとなるかを身をもって知ることができると共に、誤った動きとなったときにもその原因を客観的に把握することができる。
【0128】
以上説明したように本実施の形態例によれば、各人が自分自身の状態を客観的に認識することができ、正しい姿勢や動作を確実かつ正確に認識できる。この特性から、例えば身体の動きを向上させるような通信教育の基準データとして本実施の形態例ユニットを教材の一部として配布することにより、自身の動きを自分自身で確認することができる。このため、学習効果を飛躍的に上げることができる。
【0129】
更に、生体電極と被検者の姿勢や移動状態を検出できる加速度センサ、温度センサ等を備える生体情報検出ユニットを被検者に装着することを可能とするのみならず、無線通信によりリアルタイムで測定データを監視装置に送ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者に装着可能で被検者の身体の動く状態を検出可能な生体情報検出装置であって、
被検者の身体の動く状態を検出する状態検出手段と、
被検者のとるべき身体の状態に対応する前記状態検出手段の検出情報を基準検出情報として記憶する基準情報記憶手段と、
前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報を参照して、前記状態検出手段の検出情報から被検者のとるべき身体の状態と相違した状態かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果を報知可能な報知手段とを備えることを特徴とする生体情報検出装置。
【請求項2】
前記状態検出手段は、被検者の身体の動きを検出可能な加速度センサを含むことを特徴とする請求項1記載の生体情報検出装置。
【請求項3】
前記状態検出手段は、生体よりの電気信号を検出可能な生体電極を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
更に、前記状態検出手段での検出結果を無線送信する送信手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
前記報知手段は、前記判定手段の判定結果を音響信号として出力する音響出力手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の生体情報検出装置。
【請求項6】
前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、作業を行う際の作業姿勢情報であり、前記状態検出手段の検出する被検者情報は、作業中の被検者の姿勢に対応した検出情報であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の生体情報検出装置。
【請求項7】
前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、踊るべき踊りを踊った時の模範となる動きをしたときの検出情報の例であり、前記状態検出手段が検出する前記被検者情報は、踊るべき踊りを踊った時の被検者の状態に対応した検出情報であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の生体情報検出装置。
【請求項8】
前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、被検者が行おうとする運動をしたときの検出情報の例であり、前記状態検出手段が検出する前記被検者情報は、被検者が行おうとする運動を行ったときの被検者の状態に対応した検出情報であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の生体情報検出装置。
【請求項9】
前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、模範的な姿勢・動きをしたときの検出情報に加え、誤りやすい姿勢・動きをしたときの検出情報に対応する情報を含むことを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の生体情報検出装置。
【請求項10】
被検者に装着可能で被検者の身体の動く状態を検出可能な生体情報検出装置と、前記生体情報検出装置よりの検出情報を受信して前記被検者の身体の動く状態を監視して監視結果を報知可能な生体情報監視装置とからなる被検者監視システムであって、
前記生体情報検出装置は、被検者の身体の動く状態を検出する状態検出手段と、前記状態検出手段の検出情報を前記生体情報監視装置に送信する送信手段とを備え、
前記被検者監視装置は、前記生体情報検出装置より送られる前記検出情報を受信する受信手段と、被検者のとるべき身体の状態に対応する前記状態検出手段の検出情報を基準検出情報として記憶する基準情報記憶手段と、前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報を参照して、前記状態検出手段の検出情報から被検者のとるべき身体の状態と相違した状態かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果を報知可能な報知手段とを備えることを特徴とする被検者監視システム。
【請求項11】
前記状態検出手段は、被検者の身体の動きを検出可能な加速度センサを含むことを特徴とする請求項10記載の被検者監視システム。
【請求項12】
前記報知手段は、前記判定手段の判定結果を音響信号として出力する音響出力手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の被検者監視システム。
【請求項13】
前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、作業を行う際の作業姿勢情報であり、前記状態検出手段の検出する被検者情報は、作業中の被検者の姿勢に対応した検出情報であることを特徴とする請求項10または請求項11記載の被検者監視システム。
【請求項14】
前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、踊るべき踊りを踊った時の模範となる動きをしたときの検出情報の例であり、前記状態検出手段が検出する前記被検者情報は、踊るべき踊りを踊った時の被検者の状態に対応した検出情報であることを特徴とする請求項10または請求項11記載の被検者監視システム。
【請求項15】
前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、被検者が行おうとする運動をしたときの検出情報の例であり、前記状態検出手段が検出する前記被検者情報は、被検者が行おうとする運動を行ったときの被検者の状態に対応した検出情報であることを特徴とする請求項11乃至請求項14のいずれかに記載の被検者監視システム。
【請求項16】
前記基準情報記憶手段の記憶する基準情報は、模範的な姿勢・動きをしたときの検出情報に加え、誤りやすい姿勢・動きをしたときの検出情報に対応する情報を含むことを特徴とする請求項10乃至請求項15のいずれかに記載の被検者監視システム。
【請求項17】
被検者に被検者の身体の動く状態を検出する状態検出手段を備える被検者情報検出装置を装着して被検者の身体の動く状態を検出すると共に、予め被検者のとるべき身体の状態に対応する前記状態検出手段の検出情報を基準検出情報として用意している被検者監視システムにおける被検者監視方法であって、
被検者情報検出装置の前記状態検出手段により検出される検出情報と前記予め用意している基準検出情報とから被検者の身体の状態が被検者がとるべき身体の状態であるかを判定して判定結果を報知することにより、被検者にとるべき姿勢・動作を維持できているかを認識可能とすることを特徴とする被検者監視方法。
【請求項18】
前記状態検出手段は、被検者の身体の動きを検出可能な加速度センサを含み、前記判定結果の報知は判定結果を音響信号として出力することを特徴とする請求項17記載の被検者監視方法。
【請求項19】
前記用意している基準検出情報は、作業を行う際の作業姿勢情報であり、前記状態検出手段の検出する被検者情報は、作業中の被検者の姿勢に対応した検出情報であることを特徴とする請求項17又は請求項18記載の被検者監視方法。
【請求項20】
前記用意している基準検出情報は、踊るべき踊りを踊った時の模範となる動きをしたときの検出情報の例であり、前記状態検出手段が検出する前記被検者情報は、踊るべき踊りを踊った時の被検者の状態に対応した検出情報であることを特徴とする請求項17又は請求項18記載の被検者監視方法。
【請求項21】
前記用意している基準検出情報は、被検者が行おうとする運動をしたときの検出情報の例であり、前記状態検出手段が検出する前記被検者情報は、被検者が行おうとする運動を行ったときの被検者の状態に対応した検出情報であることを特徴とする請求項17又は請求項18記載の被検者監視方法。
【請求項22】
前記用意している基準検出情報は、模範的な姿勢・動きをしたときの検出情報に加え、誤りやすい姿勢・動きをしたときの検出情報に対応する情報を含むことを特徴とする請求項17乃至請求項20のいずれかに記載の被検者監視方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−240047(P2011−240047A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116646(P2010−116646)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(509131339)株式会社アール・アイ・イー (8)
【Fターム(参考)】