生体液体を分析するための方法およびデバイス
液体の凝固状態を決定するための方法および装置。磁界に置かれた場合に力を受ける材料の粒子は液体サンプルを介して移動させられ、粒子の位置および/または移動が磁界センサによって決定される。粒子に応じた変化を印加された磁界に知らせることによって、液体の凝固状態の変化を決定することが可能である。装置は、電磁石と、それぞれ各対向する端部に配置された関連磁界センサとを具備する、液体サンプルを保持するための細長いチャンバを含んでもよい。方法および装置は特に、血液または血漿の凝固時間の測定に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体サンプルがいつ凝固したかを決定するための方法と、液体の凝固状態を決定するために液体内の少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出するための少なくとも1つの磁界センサの使用と、液体の凝固状態を決定するためのデバイスと、分析読み取り器との併用に適した分析テストストリップと、血液または血漿の凝固時間を決定するための装置と、血液または血漿の凝固時間を決定するための方法とに関する。
【0002】
より具体的には、しかしこれに限られるわけではないが、生体液体のサンプルを分析して、粘度の変化をもたらす止血障害を決定するための方法およびデバイスが開示されている。実施形態において、方法および装置は、血液や血漿のサンプルの凝固またはプロトロンビン時間(PT)を決定するために使用されてもよい。決定可能な他の止血障害は、血小板凝集の度合いの測定と、血栓形成および/または血栓溶解の速度または量と、フィブリン塊の形成に必要な時間と、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)と、活性凝固時間(ACT)と、プロテインC活性化時間(PCAT)と、ラッセル蛇毒時間(RVVT)と、トロンビン時間(TT)と、を含む。
【背景技術】
【0003】
血栓症は世界的にみて主要な死因の1つである。急性冠症候群ならびに虚血性脳梗塞などの心血管系イベントは、脆弱性アテローム斑およびこれに続く血栓症の破裂およびびらんによって特徴付けられる。血栓形成は致命的な器官および組織への血流を妨げ、酸素の供給を制限し、最終的には細胞の壊死をもたらす。これが、それぞれ深部静脈血栓症、急性心筋梗塞、肺塞栓症または急性虚血性脳卒中をもたらす下半身、心臓、肺または脳で起こると、特に生命を脅かす可能性がある。
【0004】
アテローム性動脈硬化症に関連する種々の危険因子は、高コレステロール血症、一酸化窒素形成、喫煙ならびに遺伝因子を含む。従って、他の人よりも心疾患や血管疾患を患う危険性の高い人がいる。
【0005】
内在および外来経路として知られている2つの経路、すなわち凝固カスケードは血栓の形成につながる。これら2つの経路は、共通の経路に沿って収束以外の明確なメカニズムによって開始される。組織の損傷のない異常な血管壁に反応した血栓形成は内在経路の結果であり、組織の損傷に反応した血栓形成は外来経路の結果である。凝固カスケードは非常に複雑で、血栓因子として知られている多数の異なるタンパク質を伴う。
【0006】
心疾患や血管疾患に苦しむ人々や、外科的手術を受けた患者は、生命を脅かす病態をもたらすことがある血栓を患う恐れがある。このような人々はしばしば、ワルファリンやアスピリンなどの血液凝固を防ぐ、すなわち抗凝固薬を処方される。しかしながら、血流の抗凝固薬の量は適切なレベルに維持されなければならない。つまり、少なすぎると望ましくない凝固を起こすことがあるのに対して、多すぎると脳出血を引き起こして生命を脅かす結果となることがある。結果として、通常の凝固スクリーニングテストは、血液や血漿の凝固状態を評価するためになされてきた。
【0007】
凝固とは、人体が血管損傷に続いて損傷した血管壁を閉鎖する方法である。血栓は、不溶性フィブリン粒子の網に組み込まれた血小板栓からなる。血栓を形成するために血液中で使用された物質はフィブリノゲンであり、正常な凝固時にフィブリンペプチドを形成するためにトロンビン酵素によって開裂された肝臓によって合成されたタンパク質である。トロンビンはまた、フィブリンを複合格子に引き続き架橋するフィブリン安定化因子(XIII因子)を活性化させる。凝固時に、フィブリン鎖は血液内で形成が始まり、濃くなる。やがて、濃くなった血液は血栓へと変わる。血栓の形成が必要不可欠であるのに対して、このような血栓の持続は人体にとって危険である。従って、凝固プロセスがその目的を果たした後に人体へのダメージを最小限にするために、血栓の周囲の健康な細胞はプラスミンを解放してフィブリンを消化することによって、血栓を溶解する。
【0008】
有用な凝固測定はいわゆるプロトロンビン時間(PT)テストであり、心血管系イベントに続いてワルファリン療法中の患者に日常的に実行されている。PTテストは、血液や血漿の組織因子誘導凝固時間を測定する。これは外来凝固経路の評価を提供することができ、I、II、V、VIIおよびX因子に敏感である。テストは、トロンボプラスチンおよびCa2+などの凝固剤を患者のサンプルに添加して、次いで血栓形成の時間を測定することによって実行される。非抗凝固毛細管の全血を使用して、プロトロンビン時間をフィンガスティックやランスデバイスから測定する、CoaguChek Plus(商標)凝固メーターなどの携帯凝固モニタが開発されてきた。このようなモニタは、長期にわたる経口抗凝固治療を受けている患者に対して有用なツールとして示されていた。
【0009】
しかしながら、PTテスト結果の従来の表示は、その値が使用されたトロンボプラスチンの性質に左右されるために国際的な比較には不適切である。これは、プロトロンビン時間を表す方法である国際標準比すなわちINRの採用につながった。INRは、
INR=(観察されたPT比)exp ISI
によって定義される。
【0010】
ここでISIは国際感度指数であり、PT比=患者のPT/平均正常PTである。
【0011】
ISIは、特定のトロンボプラスチン対トロンボプラスチンに対する世界保健機関(WHO)の国際基準調合(人的結合67/40)を使用して得られた、多数のサンプルに対するPT値の較正ラインから導出される。使用されたトロンボプラスチンの特定の方法およびタイプを考慮する特定のISI値は、各PTシステムに割り当てられることによって、各PT比は標準比に変換されることが可能である。INRを採用することによって、患者は、使用されたPTシステムに関係なく十分な凝固レベルを維持することができるはずである。正常値よりも高いPT、つまりINR値は、血液が血栓を形成するのに通常よりも長くかかっていることを意味している。INRの正常値は1.0であり、人工心臓弁を有する患者については2.5から3.5が望ましい。INR値は、ビタミンKのレベルなどの他の要因が考慮される必要があるかもしれないが、患者を望ましい範囲内にするようにワルファリン量を調整するために使用されてもよい。
【0012】
血液または血漿のいずれかにおける凝固測定の別の方法は、活性化部分トロンボプラスチン時間テスト(APTT)である。このテストは、内在経路が活性化された場合に生じる凝固時間の測定である。これは、カルシウムイオンとリン脂質(部分トロンボプラスチン)を有するサンプルに活性剤(カオリン)を添加することによって達成される。APTTは、I、II、V、VIII、IX、X、XIおよびXII因子を含む内在凝固経路を評価するために使用される。リン脂質の表面での複合体の形成によってプロトロンビンはトロンビンに変換可能になり、これは血栓形成をもたらす。
【0013】
APTTは、出血傾向の術前スクリーニングテストとして、また患者の凝固システムの能力全体を評価するために、外科的処置時のヘパリン治療を監視するための定期テストとして使用される。このテストは中央検査室で共通に実行される。
【0014】
活性凝固時間テスト(ACT)はAPTTテストに類似しており、大量のヘパリンの投与を伴う、経皮経管冠動脈形成術(PCTA)および心肺バイパス手術などの処置時の、患者の凝固状態を監視するために使用される。ACTテストは、血栓塞栓症の治療を受けている患者と、体外循環中の患者の両方に対する、ヘパリン治療の制御の最良の臨床試験の1つと考えられている。ヘパリンを用いるこれらの患者について、ACTの延長は、血液中のヘパリン濃度に正比例する。監視は重要であり、ヘパリンの過小投与や過剰投与はそれぞれ、病理的血栓形成や深刻な出血症状をもたらすことがある。
【0015】
トロンビン時間テスト(TT)は、正常な血漿制御と比較して、トロンビンやフィブリノゲンの作用による血漿におけるフィブリン血栓の形成速度を測定する。テストは、血小板が奪われている患者の血漿に標準量のトロンビンを添加して、血栓の形成時間を測定することによって実行される。これは、播種性血管内凝固および肝臓疾患の診断で使用されており、一般的に中央検査室で実行される。
【0016】
IX因子欠乏を示すVIIIa因子などの特定の因子を目的とする他の凝固テストが展開されている。別の例はVIII因子の分析であり、これは血友病のテストを構成する。他のテストは、活性ペプチドIXa因子、アンチトロンビン、プロテインCおよびプロテインSのレベルを測定するための分析を含む。免疫化学的分析はまた、凝固および血栓症の種々のマーカーを同定および測定するために開発されてきた。
【0017】
血小板機能のスクリーニングは、重要かつ共通の血液学的テストである。血小板は直径が約2umから4umの無色の細胞片であり、血液中に存在している。正常な血小板数は180,000から400,000/uLの範囲に及ぶが、50,000/uLの血小板数で正常な止血には十分である。血管損傷後、例えば外科手術後、100,000/uLを超える場合があるより多くの血小板数が必要とされる。血小板の目的は、自身または損傷した組織に付着することによって、血管壁のギャップを修復することである。細胞が損傷を受けると、これらは、血小板を円板形から球形に変化させ、粘着性となる、凝集付着反応として知られている特定の薬品を放出する。
【0018】
血小板は虚血性心疾患の発症において重要な役割を果たすと考えられている。急性心筋梗塞および不安定狭心症は、特定の血小板因子の高い濃度と関連した病態である。さらに、血小板機能障害は心肺バイパス後の出血の複数の主要原因の1つである。血小板はまた成長因子の放出による長期間のアテローム形成プロセスに寄与すると考えられており、また血小板の機能は高密度および低密度のリポタンパク質によって影響されることもある。従って、血小板機能のスクリーニングは重要かつ共通の血液学的テストである。
【0019】
種々の機器が検査室での使用のために、またポイントオブケアテスト(POCT)として開発されてきた。これに加えて、患者がその血液凝固を在宅監視できるデバイスが開発されてきた。これらの例は以下に例示される。
【0020】
International Technidyne Corporationに譲渡された米国特許第5,534,226号明細書は、血液が使い捨てキュベット内に配置されたリザーバを介して毛細管に堆積される、凝固時間テストを血液サンプルに実行するための装置および方法を開示している。次いでサンプルは毛細管内を往復移動させられ、血液は制限領域を横断するように強制される。制限領域を横断するのに必要な時間が、前回のときよりも所定の割合だけ長い場合に、凝固が生じたと決定される。
【0021】
Hemosenseに譲渡された米国特許第6,060,323号明細書は、通常は容量15uLの血液サンプルの凝固または溶解の測定用の、使い捨て電子デバイスおよびテストカードを開示している。サンプルは電極に接触させられ、これは、凝固するのに伴うサンプルの粘度の変化に対応するインピーダンスの変化を測定する。
【0022】
Cardiovascular Diagnosticsに譲渡された米国特許第4,849,340号明細書は、プロトロンビン時間の光学的決定用の装置と併用するための反応スライドを開示している。反応スライドは、複数の均一に分布された磁性粒子が埋め込まれた乾燥試薬マトリクスを含有する、反応チャンバを備える。永久磁石からの磁界の影響下において、磁界がスライドの基部に平行ならば、粒子はスライドの基部に対して横になっていると考えられ、電磁石の影響下において、磁界が永久磁石の基部に垂直ならば、粒子は直立していると考えられる。結果として生じる、2方向の磁性粒子の光散乱効果による光強度の変化が検出される。
【0023】
Biotrackに譲渡された米国特許第5,039,617号明細書は、凝固時間が毛細管トラックの血流の中断によって測定される、サンプルをハウジングに含有された毛細管トラックに塗布することによる血液サンプル全体の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の決定を実行するための、デバイスおよび方法を開示している。
【0024】
米国特許第4,319,194号明細書は、全血の血小板分析を実行することができる血小板凝集計を開示している。ワイヤ型電極が、凝集剤が添加される血液サンプルに挿入されて、インピーダンスの変化が時間の関数として記録される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1の態様によると、液体サンプルの凝固状態を決定するための方法であって、磁界に置かれた場合に力を受ける材料を備える少なくとも1つの粒子を含有する液体サンプルを提供するステップと、磁界をサンプルに印加するステップと、少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出するために磁界センサを使用して、液体サンプルの凝固状態を決定するステップとを備える方法が、提供される。
【0026】
本発明の第2の態様によると、液体の凝固状態を決定するために、磁界に置かれた場合に力を受ける材料を備える、液体内の少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出するための、少なくとも1つの磁界センサの使用が提供される。
【0027】
本発明の第3の態様によると、液体の凝固状態を決定するためのデバイスであって、分析する液体サンプルを受け入れるための容積と、この容積内に配置され、磁界に置かれた場合に力を受ける材料を備える少なくとも1つの粒子と、容積の少なくとも一部に磁界を印加するための手段と、少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出することによって液体の凝固状態を決定するように動作する少なくとも1つの磁界センサとを備えるデバイスが、提供される。
【0028】
本発明の別の態様によると、血液または血漿の凝固時間を決定するための装置が提供されており、装置はコンテナと磁気デバイスを備えており、コンテナは多量の上記血液または血漿を保持するためのチャンバを画定し、チャンバは粒子状材料を保持しており、また磁気デバイスは上記コンテナと協働し、使用中は、未凝固血液または血漿を介してチャンバ内で粒子状材料を前後移動させる磁界を提供するように配置されている。
【0029】
本発明のさらなる態様によると、血液または血漿の凝固時間を決定するための方法が提供されており、この方法は、磁界に置かれた場合に力を受ける材料の粒子を上記血液または血漿を介して移動させるステップと、血液または血漿の特性の変化が上記移動を少なくとも縮小する瞬間を上記凝固時間として示す(noting)ステップとを備える。
【0030】
上記粒子の移動は往復(to and fro)移動であってもよい。
【0031】
方法は、第1および第2の磁界を循環的に提供するステップを備えており、上記第1の磁界は上記粒子を第1の方向に平行移動させるために第1の空間位置から提供され、上記第2の磁界は上記粒子を第2の方向に平行移動させるために第2の空間位置から提供される。
【0032】
この磁界は1mTから100mTであってもよい。一実施形態において、磁界は10mTから50mTであり、別の実施形態では10mTから20mTの範囲にある。
【0033】
各磁石のオンタイムは1秒未満であってもよい。
【0034】
光の使用に対する磁界センサの使用は、液体が含有されている材料の選択に関する自由を大きくする。液体を介して前後移動する粒子の結果として、液体の特性の評価は、従来のいくつかのデバイスの場合同様に、狭い範囲に限定されない。
【0035】
チャンバは任意の適切な容積であってもよい。一実施形態において、チャンバは25μl未満の容積を有する。別の実施形態において、チャンバは5μl未満の容積を有する。チャンバは任意の便利な形状であってもよい。一実施形態において、チャンバは装置から除去可能な使い捨てサポートストリップに形成される。液体は、毛細管を含む任意の便利な手段によってチャンバに導入されてもよい。チャンバは、テストを実行可能にする任意の適切な材料であってもよく、また非磁性材料から構成されてもよい。
【0036】
一実施形態において、コンテナを充填するための充填デバイスは毛細管を含む。別の実施形態では、充填デバイスはプランジャを含む。装置は2つ以上のチャンバを備えてもよい。チャンバは2つ、3つまたはそれ以上のコンパートメントに分割されてもよい。
【0037】
一実施形態において、磁界に置かれた場合に力を受ける材料、またはそれぞれ粒子状の材料は強磁性である。別の実施形態においては常磁性である。さらに別の実施形態では超常磁性である。
【0038】
一実施形態において、少なくとも1つの粒子は一般的に球形である。一実施形態において、これは2μmから500μmの範囲のサイズを有しており、別の実施形態においては、少なくとも一方向において2μmから20μmである。少なくとも1つの粒子は2つ以上の異なる材料を備えてもよく、磁界に暴露された場合には1つの材料だけが力を受ける必要がある。
【0039】
別の実施形態において、粒子は事実上、細長いか対称的であってよい。
【0040】
一群の実施形態において、複数の粒子が使用される。
【0041】
1つまたは複数の粒子は、非凝固液体サンプルの移動を可能にするために十分な数および/またはサイズでなければならない。
【0042】
各テストストリップにおける、または特定のテストストップの各チャンバまたはコンパートメント内の粒子の数および/または量は、測定前に知られてもよい。あるいはまた、数および/または量は、非凝固サンプルの初期測定によって補償されてもよい。
【0043】
2つ以上のチャンバまたはコンパートメントが用いられる場合、各々に配置された試薬は、例えば凝固速度および/または時間を変更するために異なってもよい。あるいはまた、コンパートメントやチャンバのうちの1つは、凝固試薬と無関係の凝固時間が付加的に測定されるように、試薬を有していなくてもよい。
【0044】
さらなる代替例として、コンパートメントの1つが、テストの時間枠内で凝固しないように、サンプルの凝固を示す試薬を有していてもよい。
【0045】
単一の検出器または1対の検出器が、2つ以上のチャンバまたはコンパートメントにあるサンプルの凝固時間を決定するために採用されてもよい。この場合、1つまたは複数の検出器は、チャンバまたはコンパートメントの各々における粒子の磁界強度の合計を測定する。この場合には、チャンバまたはコンパートメントの各々にある粒子および/または試薬の数および/または量は、読み取り器が、どのチャンバまたはコンパートメントが凝固したのかを確立することができるように選択されるべきである。
【0046】
あるいはまた、単一の検出器または1対の検出器が、各チャンバまたはコンパートメントにあるサンプルの凝固時間を決定するために採用されてもよい。
【0047】
試薬はテストストリップの内部サンプルキャビティ内の任意の適切な場所にまず配置されてもよく、分析する液体サンプルの導入前にそこに配置されてもよい。例えば試薬はチャンバおよび/またはコンパートメントに配置されてもよい。代替例として、磁性粒子および/または凝固試薬は、ストリップへの添加前にサンプルと混合されてもよい。
【0048】
印加された磁界は測定中一定の値に維持されてもよく、あるいは変化させられてもよい。
【0049】
磁界の印加時間は測定中一定の値に維持されてもよく、あるいは変化させられてもよい。
【0050】
上記の実施形態において、複数の粒子が、液体サンプルの導入前にチャンバに配置されている。この上記の実施形態において、粒子はチャンバの内壁に対して固定されており、液体サンプルがチャンバに導入される場合に液体サンプルの懸濁を開始するように配置されている。一実施形態において、粒子は乾燥被覆としてチャンバの壁に分布される。
【0051】
凝固試薬は、分析するサンプルの導入前にチャンバに配置されてもよい。PT測定に適した試薬は、Thromborel S(商標)およびInnovin(商標)(Dade製造)と、ThromboTest(商標)(Axis Shield製造)とを含む。
【0052】
磁界を提供するための手段は2つの間隔をあけられた電磁石を備えてもよい。電磁石はチャンバの相互に対向する側面に配置されてもよい。あるいはまた、これらはチャンバの同じ側面に配置されてもよい。各電磁石はソレノイドであってもよい。ソレノイドは実質的に同軸であってもよい。
【0053】
上記一実施形態において、磁石は、定電場を生成するために交互に直流で起動(activate)される。一方の磁石によって生成された磁界の大きさは、他方よりも大きくてよい。
【0054】
少なくとも1つの磁界センサはホール効果センサであってもよい。上記実施形態において、2つ以上のセンサが提供されており、各1つはそれぞれの磁石と関連している。動作において、センサによって測定された磁界は特に、センサに対する少なくとも1つの粒子の位置によって影響されるであろう。従って、センサの出力は、チャンバにおける少なくとも1つの粒子の位置および/または移動を決定するために使用可能である。
【0055】
2つのセンサが異なる測定で使用される場合、感度の上昇が雑音の低下によって作り出される。任意の外部効果が両センサによって同時に検出され、それゆえに相殺される。従って、デバイスはサンプルの変化のみを読み取る。
【0056】
上記実施形態において、2つのセンサが、チャンバとそれぞれの磁石との間にある、細長いチャンバの対向する端部の近くに配置される。チャンバの液体サンプルを分析する際に、各磁石は交互に起動される。各磁石が起動された後、各粒子がチャンバを移動する期間が許容される。次いで、センサの差分出力の一連の測定がなされ、平均値が算出される。次いで他方の磁石が起動され、処理が反復される。
【0057】
装置は、サンプルの導入から凝固が検出されるまでの経過時間を測定するための回路を含んでもよい。装置は制御手段を備えてもよく、これはマイクロプロセッサを備えてもよい。装置は、ユーザに情報を表示するように動作するディスプレイを備えてもよい。装置は凝固時間および/またはINR値を表示してもよい。
【0058】
装置は、分析中のサンプルを所望の温度に維持するために、チャンバを加熱するための手段を備えてもよい。
【0059】
本発明がより明確に理解されるように、以下にこの実施形態が、添付の図面を参照して一例として説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
図1の装置は、測定ユニット1と、使用中、測定ユニット1に挿入される個別サンプルチャンバ2とを備える。
【0061】
本実施形態において、サンプルチャンバ2は、以下ストリップ3(図12を参照)と称されるスライド状の構造内で画定される。チャンバ2を画定する構造の材料は非磁性であり、チャンバは約1μlの容積を有する。チャンバ2は、既知の多数の超常磁性粒子4と、チャンバ2の内面を中心に分布された血液凝固用乾燥試薬4aとを含有する。適切な凝固剤は組み換えヒト組織因子(Innovin(登録商標))である。本実施形態の超常磁性粒子4は実質的に球形であり、約10μmの平均直径を有する。毛細管5は、チャンバ2から離れたストリップ3上のポイントからチャンバ2に延びる。使用中、毛細管5のサンプル受け取り開口105に置かれた血液サンプルは、毛細管作用下で、毛細管に沿ってチャンバ2に流入する。
【0062】
測定ユニット1は、第1および第2の間隔をあけられた実質的に同軸のソレノイド6、7を備える。第1のソレノイド6は、第2のソレノイド7に向けられているその表面上で、第1のホール効果センサ8をサポートする。第2のソレノイド7は、第1のソレノイド6に向けられているその表面上で第2のホール効果センサ9をサポートする。ホール効果センサ8、9はソレノイド6、7と同軸である。測定ユニット1はまた、マイクロプロセッサ10を含む種々の関連電気回路(特に図2を参照)を含む。このユニットはまた、電源(図示せず)と、ディスプレイ11と、分析するサンプルを加熱するための抵抗加熱要素12とを備える。
【0063】
次に図12を参照すると、本例のストリップ3は3つの層100から102を有しており、これの材料は当該用途に応じて選択される。本発明の実施形態は、本発明自体についての任意の特定の光学的特性を必要としないため、材料は、当然非磁性材料が必要とされている点を考慮して、自由に選択可能である。例えば、ガラスや特定のタイプのガラスが望ましくない場合には、ガラスを使用する必要はない。第1の層100はここではポリマー材料の基板であり、本例ではその幅100bの約4倍の長さ100aを有する略矩形のプレートである。第2の層101は同様の材料および外部寸法からなる。内部的に、これは、チャンバ2を形成し、かつ層101の幅の大部分にわたって延びる略矩形の開口2を画定する。毛細管5は、開口2の一端と連通し、かつサンプル受け取り開口の一部を形成する円形開口105aまで延びている、比較的狭いチャネルによって形成される。第3の層102は他の層と同様のサイズであり、第1および第2の円形開口105bおよび106を有する。3つの層が共に接合されると、第3の層の第1の開口105bは第2の層の円形開口105aに一致する。次いで第2の開口106は開口2上に位置して、ベントを形成する。
【0064】
ユニット1は、図示されていないが、ストリップ3用のサポートを有しており、ストリップ3がサポートによって係合されると、チャンバ2はソレノイド6、7間に、かつ実質的にこれらの軸上に位置する。この配置において、第1および第2のホール効果磁界センサ8、9は、チャンバ2と、チャンバ2に接触するその関連ソレノイド6、7の両方に近接して位置する。別の実施形態において、センサ6、7とチャンバ2の間に小空間がある。
【0065】
抵抗加熱要素12もまた、ストリップ3がユニット1に挿入されるとチャンバ2と関連して、チャンバ2内のサンプルを加熱するように動作するように配置される。
【0066】
代替実施形態においては、抵抗加熱要素は提供されない。その代わり、チャンバ2のサンプルの任意の必要な加熱が、ソレノイド6、7の一方または両方を高周波数の交流で駆動して交流磁界を発生させて、超常磁性粒子4の誘導加熱をチャンバ2内において引き起こしてチャンバ2内の任意のサンプルを加熱することによって、達成される。
【0067】
マイクロプロセッサ10は特に、ソレノイドごとのそれぞれの増幅器13、14によって2つのソレノイド6、7への電流供給を制御するように動作する。
【0068】
2つのホール効果センサ8、9は、ADC回路(図示せず)を介してマイクロプロセッサにセンサの差分出力を供給する差分増幅器15に接続される。
【0069】
使用中、ユーザはユニットのスイッチをオンにし、ストリップ3をユニット1に挿入し、チャンバ2はソレノイド6、7間に位置決めされる。
【0070】
必要ならば、マイクロプロセッサ10はチャンバ2を約37℃の温度まで加熱させる。本実施形態において、マイクロプロセッサは、その抵抗を測定してチャンバの温度を測定するためのホール効果センサ8、9の一方または両方にさらに接続される。加熱要素12の抵抗の測定や個別熱センサの提供を含む他の技術も当然可能である。
【0071】
他の実施形態において、37℃へのチャンバの加熱は必要ない。サンプルの温度情報によって、本発明の装置によって決定された時間は、標準の37℃が使用された場合に達成されるであろう値に補正されるために、その他の、例えばより低い温度が使用可能である。一実施形態においては、加熱は使用されず、温度は、例えばセンサによって測定され、必要な補正が適用される。
【0072】
ストリップ3の挿入時に、装置は基準磁界測定を採用し、その後「待機」状態になり、最終的に測定サイクルを実行するようにプログラミングされる。基準測定を開始するために、ストリップ3はマイクロプロセッサ10を起動させるスイッチ(図示せず)を操作し、第1の大きさの直流を第1のソレノイド6に流す。約200μsの所定の時間が経過して、生成された磁界を形成および定着させた後に、ホール効果センサ8、9の差分出力が、ソレノイド6によって生成された磁界が実質的に一定のままである約800μsの所定の期間にわたって、所定の回数、例えば約500回、順次測定される。これらの測定は記憶されて、平均値が決定される。次いで平均値は第1のソレノイド6の基準値(B1)として記憶される。次いで、第1のソレノイド6を流れる電流は停止されて、プロセスは第2のソレノイド7に対して反復され、使用される電流が第2の大きさであることを別として、ソレノイド7は第1の大きさよりも小さい。これは第2のソレノイド7の基準値(B2)を確立する。各ソレノイド6、7に印加された電流のグラフは図3に示される。基準値B1およびB2が記録および記憶されると、ソレノイド6、7の一方は起動されたままであり、装置は血液サンプルを受け取る用意ができる。インジケータ(図示せず)はユーザにこれを知らせる。インジケータは、LEDなどのライト、ブザーあるいは他の適切なインジケータであってもよい。あるいはまた、ゲートなどのバリアは毛細管5へのアクセスを防止するために提供されてもよく、装置は使用する準備ができると、バリアは移動されたり、ロック解除されたりする。
【0073】
ユーザが血液サンプルを、ストリップ3上の毛細管5の端部に置くと、血液はチャンバ2に流入する。チャンバ2に入る際に、血液は凝固試薬4aと反応する。血液はまた、血液の懸濁において移動可能な超常磁性粒子4がない。
【0074】
チャンバ2における血液の存在は粒子を懸濁状態にする。次いで、これは、差分増幅器15の出力においてホール効果センサ8、9の差分出力の増加をもたらす。超常磁性粒子4は、ソレノイド6、7のどちらが起動されても前方に移動するために、差分出力は一般的に変化し、それゆえにその関連ホール効果センサ8、9は、反対の方向で両センサによって受ける磁界に影響を与える。より小さな効果は、血液の固有の特性によってもたらされる。
【0075】
マイクロプロセッサ10は出力の増加を検出し、これに応答して、測定シーケンスを開始するためにタイマーを開始させる。このシーケンス中に、マイクロプロセッサは非重畳的にソレノイド6、7を交互に励磁し、B1およびB2を測定する際と同じ動作シーケンスを使用して差分増幅器15の平均出力を記録する。動作サイクルごとに、マイクロプロセッサ10は、第1および第2のソレノイド6、7が起動された場合に測定された差分増幅器15のシーケンス平均出力の差が、B1−B2+雑音係数よりも大きいか否かを決定する。この条件が満たされると、これは、サンプルが凝固したことを示す。タイマーは停止される。クロックによって記録された経過時間はサンプルの凝固時間であり、これより、チャンバ2の凝固剤情報によって、マイクロプロセッサによってINR値が算出される。図4は、ストリップ3の導入に続く装置の動作を示すフローチャートである。
【0076】
他の実施形態において、ホールセンサの出力の異なる分析が実行され、例えば出力の変化率が測定される。ホールセンサが1つだけ提供される実施形態においては、異なる配置が可能である。一実施形態において、現在の出力と初期出力の比較が実行されて、この差が設定閾値を超える場合には凝固についての表示が付与される。別の実施形態においては、出力の変化率が決定される。
【0077】
動作をより詳細に説明するために、図5は、基準11を決定する場合と、血液サンプルがチャンバ2に導入された場合17との両方におけるホール効果センサ8、9の通常の差分出力に伴う、基準決定時に各ソレノイド6、7を流れる電流の単一のサイクルと測定シーケンスとを示している。
【0078】
測定シーケンス時に、少なくとも新鮮な血液サンプルがまずチャンバ2に導入される場合に、各ソレノイド6、7は十分な時間励磁されて、超常磁性粒子4がチャンバ2の一方から他方に移動するのを可能にする。
【0079】
チャンバ2の血液が凝固するに伴い、血液を介する超常磁性粒子4の移動は徐々に制限される。選択された血液サンプルについて、また磁界の適切な選択によって、粒子4が第1のソレノイド6によって生成された磁界の影響下でのみ移動する時間に達し、この磁界は供給されるより大きな電流のおかげで第2のソレノイド7の磁界よりも大きい。結果的に、粒子4は累積し、第1のソレノイド6に最も近いチャンバ2の端部にとどまる。
【0080】
移動しない粒子の条件は本実施形態に固有であることが理解されるであろう。つまり他のテスト配置や他の血液サンプルによって、一部の粒子は移動を継続してもよい。
【0081】
チャンバ2における粒子4の位置は、ホール効果センサ8、9の差分出力に影響を与える。粒子4が血液サンプルでの移動を停止し、かつチャンバ2の一方の端に向かってとどまる場合の差分センサ出力の変化は、血液が凝固したことを示す。
【0082】
図6は、血液サンプルの分析中ずっと、第1のソレノイド6が、第2のソレノイド7が励磁される場合(B2未満)より励磁が少ない場合(サンプルにおける超常磁性粒子4の真の効果を示すために、B1未満)の、ホール効果センサ8、9の平均差分出力を示している。
【0083】
最初、血液はチャンバ2にはなく、値は小さい。血液は18で導入されて、値を急激に上昇させる。この時点で、マイクロプロセッサ10はタイマーを開始させる。19で凝固が形成し始めると、差分センサ出力は低下し始め、次いで急激に低下し、20で凝固が完了すると、レベル低下する。差分出力のこの突然の変化は、いつ凝固が生じたかの決定を極めて容易にし、この時点でマイクロプロセッサ10はタイマーを停止させる。そしてタイマーは凝固時間を示す。測定が完了すると、ストリップ3は除去および破棄可能である。新たなストリップはさらなる測定に使用される。
【0084】
測定シーケンスのパラメータは、分析中のサンプルの特徴および求められる正確さに応じて、変更されてもよい。上記の測定シーケンスは約1秒のソレノイド切り替え時間を伴う。すなわち、各ソレノイドは交互シーケンスにおいて約1秒間起動される。サンプルの凝固時間が増加すると、測定された凝固時間の正確さを維持しつつ切り替え時間もまた増加されてもよい。例えば、20秒でINR1に対して5%のエラーが必要とされる場合、1秒の切り替え時間が適切である。同じエラーが60秒でのINR8に対して必要とされる場合、8秒の切り替え時間が適切である。より長い切り替え時間の利点は、血栓形成が潜在的により弱いため、超常磁性粒子4の最終的な移動は、より高いINRが関係する場合に有用な血栓形成についてそれほど破壊的ではないという点である。別の利点は、より長い切り替え時間は装置の電力要件を縮小するという点である。
【0085】
図7は、10秒から100秒のプロトロンビン時間(PT)にわたる2%から5%のエラーの切り替え時間曲線の一例を示している。
【0086】
より高いINRが生じると、一実施形態において、磁界強度は時間と共に低下させられる。これにより血栓形成の障害は小さくなり、装置の電力要件を縮小する。これを達成するために、実施形態は、2つのソレノイドからの基準界強度を所定の時間閾値まで維持し、そして界の強度を徐々に低下させる。
【0087】
凝固時間の決定に加えて、装置はまた、超常磁性粒子4がチャンバ2の反対の端部間の既知の距離に渡って移動する時間を測定することによって、サンプルの粘度を測定することができる。
【0088】
ユニットの評価が以下のようになされた。
【0089】
新鮮な血液はIRN2.2から5.5におよぶローカルホスピタルから得られ、1つの標準INR血液が健康なドナーから得られた。血液サンプルごとのINR値は、ヘマトクリット補正の測定がないAmelung KC10Aマイクロ卓上凝固メーターを使用して決定された。
【0090】
サンプルの1つが実験後に読み取られて、他の既知の値と比較された場合に実施形態の装置がINRの値を付与するか否かを調べるための、ブラインドテストとして取り扱われた。
【0091】
毛細管チューブ(25mmまで切り落とされたCamlab 200□mチューブ製品番号VD/3520−100)が、制御された温度環境(37℃)において測定ユニット1に置かれた。実験での使用について、超常磁性粒子14のLiquid Research Limitedのコード番号PM002粒子、またはPolysciences Inc.のカタログ番号19233 12□範囲のカルボン酸常磁性粒子が選択された。粒子は重み付けされて、Innovinにおける容積懸濁ごとに3重量%まで作られる(5mlの蒸留水に溶解されたDADE BEHRING Innovin 10mlボトル)。
【0092】
粒子およびInnovinの3重量%の懸濁液が、ボルテックスミキサーを使用して混合された。懸濁液の一部(10□l)がエッペンドルフチューブに調合された。
【0093】
血液サンプル(20□l)がエッペンドルフチューブに添加された。同時に、測定ユニット1のコンピュータ上のデータ捕捉システムと、携帯ストップウォッチの両方が開始された。サンプルはボルテックスミキサーで混合されて、血液サンプルの一部(4□l)が毛細管チューブの端部に添加された。
【0094】
サンプルの粒子は視覚的に観察された。粒子が移動を停止すると、ホール効果ジグのデータ収集システムが同じ応答を観察した。
【0095】
エッペンドルフチューブ内に残っているサンプルは、測定ユニット1がテストを実行するのと同時にピペットチップの上部で混合された。エッペンドルフチューブ内のサンプルが凝固したように見えると、ストップウォッチは停止された(エッペンドルフチューブ内に残っている血液サンプルの凝固時間を測定することによって得られたストップウォッチの時間を示している、表1を参照のこと)。
【表1】
【0096】
ホール効果センサ8、9からの読み取りは、信号対時間の変化を示すために表示された(図10参照)。凝固は、信号が負のピークで変化するポイントとして示される。
【0097】
測定ユニット1からの信号変化から得られたデータは、ストップウォッチデータと比較された。比較の結果は図11に示されている。
【0098】
図8および9を参照すると、一実施形態の装置は自己較正している。これを達成するために、各々が異なる割合の凝固剤で内的に被覆され、かつ異なる数の超常磁性粒子4を含有している、3つ以上の個別コンパートメントを具備するチャンバ21が採用される。チャンバ2は、3個の個別コンパートメントA、BおよびCを備える。コンパートメントAは、X個の超常磁性粒子4と、任意のタイプの血液に対して短い既知の凝固時間を有する試薬とを含有している。コンパートメントBは、2X個の超常磁性粒子4と、分析する血液サンプルに対する通常の凝固試薬とを含有している。コンパートメントCは、4X個の超常磁性粒子4と、任意の血液タイプに対して長い既知の凝固時間を有する凝固試薬とを含有している。コンパートメント間の粒子比は先に示されたものとは異なってもよく、各コンパートメントの個々の凝固時間が決定されるように選択される。
【0099】
このチャンバ21が使用されて、各コンパートメントが血液サンプルと同時に充填されると、測定シーケンスが開始される。粒子4がコンパートメントAおよびCでの移動を停止しなければならない相対的な時間は既知であり、粒子4がコンパートメントBでの移動を停止する時間が決定される。各コンパートメントの粒子4の数は異なるため、粒子4が各コンパートメントでの移動を停止するのに伴って、いずれのコンパートメントで粒子4が差分センサ出力の変化によって移動を停止したのかを区別することができる。
【0100】
図9は、図8に示されたチャンバ2を使用する際の装置の例示的出力を示している。グラフは、血液サンプルの導入時の初期の急激な出力増加を示している。一定期間後、出力は、X個の超常磁性粒子4が移動を停止したことを示す量だけ急激に低下し、これはコンパートメントAの血液が凝固したことを示す。さらなる期間の後、出力は、2X個の超常磁性粒子4が移動を停止したことを示す量だけ低下し、これはコンパートメントBの血液が凝固したことを示し、最後に、第3の期間後、出力は、4X個の超常磁性粒子4がチャンバ2での移動を停止したことを示すさらなる量だけ低下する。この第3の低下は、コンパートメントCの血液が凝固したことを示す。
【0101】
コンパートメントAおよびCの凝固時間は、装置を較正して、コンパートメントBの凝固について測定された時間に必要な、任意の修正をするために使用可能である。
【0102】
上記実施形態は、従来技術の装置および方法に重要な利点を付与する。特に、血液サンプルが凝固する際のセンサ出力の極めて急激なカットオフゆえに、通常は約2μlのごく少量の血液を使用して凝固時間を正確に測定することができる。
【0103】
装置が特に、血液の凝固時間を決定するのに適しているが、これは他のタイプの液体の分析にも使用可能である。
【0104】
上記実施形態は一例としてのみ説明されている。多数の変更が、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明を具現化する装置の概略図である。
【図2】図1の装置のブロック回路図である。
【図3】基準界の値を確立する際の、図1の装置のソレノイドの電流対時間を示す図である。
【図4】図1の装置の動作のフローチャートである。
【図5】通常の検出器出力に伴う、図1の装置のソレノイドの電流対時間を示す図である。
【図6】血液サンプルの差分センサ出力対時間のグラフである。
【図7】切り替え時間対プロトロンビン時間のグラフである。
【図8】本発明と併用するための代替チャンバの概略図である。
【図9】図8のチャンバにおける血液サンプルの検出器出力対時間のグラフである。
【図10】センサ出力対時間を示すデータのグラフである。
【図11】本発明の装置を使用して達成された凝固時間対視覚的方法から導出された凝固時間を示すプロットである。
【図12】本発明と併用するためのサンプルチャンバ構成の展開斜視図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体サンプルがいつ凝固したかを決定するための方法と、液体の凝固状態を決定するために液体内の少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出するための少なくとも1つの磁界センサの使用と、液体の凝固状態を決定するためのデバイスと、分析読み取り器との併用に適した分析テストストリップと、血液または血漿の凝固時間を決定するための装置と、血液または血漿の凝固時間を決定するための方法とに関する。
【0002】
より具体的には、しかしこれに限られるわけではないが、生体液体のサンプルを分析して、粘度の変化をもたらす止血障害を決定するための方法およびデバイスが開示されている。実施形態において、方法および装置は、血液や血漿のサンプルの凝固またはプロトロンビン時間(PT)を決定するために使用されてもよい。決定可能な他の止血障害は、血小板凝集の度合いの測定と、血栓形成および/または血栓溶解の速度または量と、フィブリン塊の形成に必要な時間と、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)と、活性凝固時間(ACT)と、プロテインC活性化時間(PCAT)と、ラッセル蛇毒時間(RVVT)と、トロンビン時間(TT)と、を含む。
【背景技術】
【0003】
血栓症は世界的にみて主要な死因の1つである。急性冠症候群ならびに虚血性脳梗塞などの心血管系イベントは、脆弱性アテローム斑およびこれに続く血栓症の破裂およびびらんによって特徴付けられる。血栓形成は致命的な器官および組織への血流を妨げ、酸素の供給を制限し、最終的には細胞の壊死をもたらす。これが、それぞれ深部静脈血栓症、急性心筋梗塞、肺塞栓症または急性虚血性脳卒中をもたらす下半身、心臓、肺または脳で起こると、特に生命を脅かす可能性がある。
【0004】
アテローム性動脈硬化症に関連する種々の危険因子は、高コレステロール血症、一酸化窒素形成、喫煙ならびに遺伝因子を含む。従って、他の人よりも心疾患や血管疾患を患う危険性の高い人がいる。
【0005】
内在および外来経路として知られている2つの経路、すなわち凝固カスケードは血栓の形成につながる。これら2つの経路は、共通の経路に沿って収束以外の明確なメカニズムによって開始される。組織の損傷のない異常な血管壁に反応した血栓形成は内在経路の結果であり、組織の損傷に反応した血栓形成は外来経路の結果である。凝固カスケードは非常に複雑で、血栓因子として知られている多数の異なるタンパク質を伴う。
【0006】
心疾患や血管疾患に苦しむ人々や、外科的手術を受けた患者は、生命を脅かす病態をもたらすことがある血栓を患う恐れがある。このような人々はしばしば、ワルファリンやアスピリンなどの血液凝固を防ぐ、すなわち抗凝固薬を処方される。しかしながら、血流の抗凝固薬の量は適切なレベルに維持されなければならない。つまり、少なすぎると望ましくない凝固を起こすことがあるのに対して、多すぎると脳出血を引き起こして生命を脅かす結果となることがある。結果として、通常の凝固スクリーニングテストは、血液や血漿の凝固状態を評価するためになされてきた。
【0007】
凝固とは、人体が血管損傷に続いて損傷した血管壁を閉鎖する方法である。血栓は、不溶性フィブリン粒子の網に組み込まれた血小板栓からなる。血栓を形成するために血液中で使用された物質はフィブリノゲンであり、正常な凝固時にフィブリンペプチドを形成するためにトロンビン酵素によって開裂された肝臓によって合成されたタンパク質である。トロンビンはまた、フィブリンを複合格子に引き続き架橋するフィブリン安定化因子(XIII因子)を活性化させる。凝固時に、フィブリン鎖は血液内で形成が始まり、濃くなる。やがて、濃くなった血液は血栓へと変わる。血栓の形成が必要不可欠であるのに対して、このような血栓の持続は人体にとって危険である。従って、凝固プロセスがその目的を果たした後に人体へのダメージを最小限にするために、血栓の周囲の健康な細胞はプラスミンを解放してフィブリンを消化することによって、血栓を溶解する。
【0008】
有用な凝固測定はいわゆるプロトロンビン時間(PT)テストであり、心血管系イベントに続いてワルファリン療法中の患者に日常的に実行されている。PTテストは、血液や血漿の組織因子誘導凝固時間を測定する。これは外来凝固経路の評価を提供することができ、I、II、V、VIIおよびX因子に敏感である。テストは、トロンボプラスチンおよびCa2+などの凝固剤を患者のサンプルに添加して、次いで血栓形成の時間を測定することによって実行される。非抗凝固毛細管の全血を使用して、プロトロンビン時間をフィンガスティックやランスデバイスから測定する、CoaguChek Plus(商標)凝固メーターなどの携帯凝固モニタが開発されてきた。このようなモニタは、長期にわたる経口抗凝固治療を受けている患者に対して有用なツールとして示されていた。
【0009】
しかしながら、PTテスト結果の従来の表示は、その値が使用されたトロンボプラスチンの性質に左右されるために国際的な比較には不適切である。これは、プロトロンビン時間を表す方法である国際標準比すなわちINRの採用につながった。INRは、
INR=(観察されたPT比)exp ISI
によって定義される。
【0010】
ここでISIは国際感度指数であり、PT比=患者のPT/平均正常PTである。
【0011】
ISIは、特定のトロンボプラスチン対トロンボプラスチンに対する世界保健機関(WHO)の国際基準調合(人的結合67/40)を使用して得られた、多数のサンプルに対するPT値の較正ラインから導出される。使用されたトロンボプラスチンの特定の方法およびタイプを考慮する特定のISI値は、各PTシステムに割り当てられることによって、各PT比は標準比に変換されることが可能である。INRを採用することによって、患者は、使用されたPTシステムに関係なく十分な凝固レベルを維持することができるはずである。正常値よりも高いPT、つまりINR値は、血液が血栓を形成するのに通常よりも長くかかっていることを意味している。INRの正常値は1.0であり、人工心臓弁を有する患者については2.5から3.5が望ましい。INR値は、ビタミンKのレベルなどの他の要因が考慮される必要があるかもしれないが、患者を望ましい範囲内にするようにワルファリン量を調整するために使用されてもよい。
【0012】
血液または血漿のいずれかにおける凝固測定の別の方法は、活性化部分トロンボプラスチン時間テスト(APTT)である。このテストは、内在経路が活性化された場合に生じる凝固時間の測定である。これは、カルシウムイオンとリン脂質(部分トロンボプラスチン)を有するサンプルに活性剤(カオリン)を添加することによって達成される。APTTは、I、II、V、VIII、IX、X、XIおよびXII因子を含む内在凝固経路を評価するために使用される。リン脂質の表面での複合体の形成によってプロトロンビンはトロンビンに変換可能になり、これは血栓形成をもたらす。
【0013】
APTTは、出血傾向の術前スクリーニングテストとして、また患者の凝固システムの能力全体を評価するために、外科的処置時のヘパリン治療を監視するための定期テストとして使用される。このテストは中央検査室で共通に実行される。
【0014】
活性凝固時間テスト(ACT)はAPTTテストに類似しており、大量のヘパリンの投与を伴う、経皮経管冠動脈形成術(PCTA)および心肺バイパス手術などの処置時の、患者の凝固状態を監視するために使用される。ACTテストは、血栓塞栓症の治療を受けている患者と、体外循環中の患者の両方に対する、ヘパリン治療の制御の最良の臨床試験の1つと考えられている。ヘパリンを用いるこれらの患者について、ACTの延長は、血液中のヘパリン濃度に正比例する。監視は重要であり、ヘパリンの過小投与や過剰投与はそれぞれ、病理的血栓形成や深刻な出血症状をもたらすことがある。
【0015】
トロンビン時間テスト(TT)は、正常な血漿制御と比較して、トロンビンやフィブリノゲンの作用による血漿におけるフィブリン血栓の形成速度を測定する。テストは、血小板が奪われている患者の血漿に標準量のトロンビンを添加して、血栓の形成時間を測定することによって実行される。これは、播種性血管内凝固および肝臓疾患の診断で使用されており、一般的に中央検査室で実行される。
【0016】
IX因子欠乏を示すVIIIa因子などの特定の因子を目的とする他の凝固テストが展開されている。別の例はVIII因子の分析であり、これは血友病のテストを構成する。他のテストは、活性ペプチドIXa因子、アンチトロンビン、プロテインCおよびプロテインSのレベルを測定するための分析を含む。免疫化学的分析はまた、凝固および血栓症の種々のマーカーを同定および測定するために開発されてきた。
【0017】
血小板機能のスクリーニングは、重要かつ共通の血液学的テストである。血小板は直径が約2umから4umの無色の細胞片であり、血液中に存在している。正常な血小板数は180,000から400,000/uLの範囲に及ぶが、50,000/uLの血小板数で正常な止血には十分である。血管損傷後、例えば外科手術後、100,000/uLを超える場合があるより多くの血小板数が必要とされる。血小板の目的は、自身または損傷した組織に付着することによって、血管壁のギャップを修復することである。細胞が損傷を受けると、これらは、血小板を円板形から球形に変化させ、粘着性となる、凝集付着反応として知られている特定の薬品を放出する。
【0018】
血小板は虚血性心疾患の発症において重要な役割を果たすと考えられている。急性心筋梗塞および不安定狭心症は、特定の血小板因子の高い濃度と関連した病態である。さらに、血小板機能障害は心肺バイパス後の出血の複数の主要原因の1つである。血小板はまた成長因子の放出による長期間のアテローム形成プロセスに寄与すると考えられており、また血小板の機能は高密度および低密度のリポタンパク質によって影響されることもある。従って、血小板機能のスクリーニングは重要かつ共通の血液学的テストである。
【0019】
種々の機器が検査室での使用のために、またポイントオブケアテスト(POCT)として開発されてきた。これに加えて、患者がその血液凝固を在宅監視できるデバイスが開発されてきた。これらの例は以下に例示される。
【0020】
International Technidyne Corporationに譲渡された米国特許第5,534,226号明細書は、血液が使い捨てキュベット内に配置されたリザーバを介して毛細管に堆積される、凝固時間テストを血液サンプルに実行するための装置および方法を開示している。次いでサンプルは毛細管内を往復移動させられ、血液は制限領域を横断するように強制される。制限領域を横断するのに必要な時間が、前回のときよりも所定の割合だけ長い場合に、凝固が生じたと決定される。
【0021】
Hemosenseに譲渡された米国特許第6,060,323号明細書は、通常は容量15uLの血液サンプルの凝固または溶解の測定用の、使い捨て電子デバイスおよびテストカードを開示している。サンプルは電極に接触させられ、これは、凝固するのに伴うサンプルの粘度の変化に対応するインピーダンスの変化を測定する。
【0022】
Cardiovascular Diagnosticsに譲渡された米国特許第4,849,340号明細書は、プロトロンビン時間の光学的決定用の装置と併用するための反応スライドを開示している。反応スライドは、複数の均一に分布された磁性粒子が埋め込まれた乾燥試薬マトリクスを含有する、反応チャンバを備える。永久磁石からの磁界の影響下において、磁界がスライドの基部に平行ならば、粒子はスライドの基部に対して横になっていると考えられ、電磁石の影響下において、磁界が永久磁石の基部に垂直ならば、粒子は直立していると考えられる。結果として生じる、2方向の磁性粒子の光散乱効果による光強度の変化が検出される。
【0023】
Biotrackに譲渡された米国特許第5,039,617号明細書は、凝固時間が毛細管トラックの血流の中断によって測定される、サンプルをハウジングに含有された毛細管トラックに塗布することによる血液サンプル全体の活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の決定を実行するための、デバイスおよび方法を開示している。
【0024】
米国特許第4,319,194号明細書は、全血の血小板分析を実行することができる血小板凝集計を開示している。ワイヤ型電極が、凝集剤が添加される血液サンプルに挿入されて、インピーダンスの変化が時間の関数として記録される。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の第1の態様によると、液体サンプルの凝固状態を決定するための方法であって、磁界に置かれた場合に力を受ける材料を備える少なくとも1つの粒子を含有する液体サンプルを提供するステップと、磁界をサンプルに印加するステップと、少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出するために磁界センサを使用して、液体サンプルの凝固状態を決定するステップとを備える方法が、提供される。
【0026】
本発明の第2の態様によると、液体の凝固状態を決定するために、磁界に置かれた場合に力を受ける材料を備える、液体内の少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出するための、少なくとも1つの磁界センサの使用が提供される。
【0027】
本発明の第3の態様によると、液体の凝固状態を決定するためのデバイスであって、分析する液体サンプルを受け入れるための容積と、この容積内に配置され、磁界に置かれた場合に力を受ける材料を備える少なくとも1つの粒子と、容積の少なくとも一部に磁界を印加するための手段と、少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出することによって液体の凝固状態を決定するように動作する少なくとも1つの磁界センサとを備えるデバイスが、提供される。
【0028】
本発明の別の態様によると、血液または血漿の凝固時間を決定するための装置が提供されており、装置はコンテナと磁気デバイスを備えており、コンテナは多量の上記血液または血漿を保持するためのチャンバを画定し、チャンバは粒子状材料を保持しており、また磁気デバイスは上記コンテナと協働し、使用中は、未凝固血液または血漿を介してチャンバ内で粒子状材料を前後移動させる磁界を提供するように配置されている。
【0029】
本発明のさらなる態様によると、血液または血漿の凝固時間を決定するための方法が提供されており、この方法は、磁界に置かれた場合に力を受ける材料の粒子を上記血液または血漿を介して移動させるステップと、血液または血漿の特性の変化が上記移動を少なくとも縮小する瞬間を上記凝固時間として示す(noting)ステップとを備える。
【0030】
上記粒子の移動は往復(to and fro)移動であってもよい。
【0031】
方法は、第1および第2の磁界を循環的に提供するステップを備えており、上記第1の磁界は上記粒子を第1の方向に平行移動させるために第1の空間位置から提供され、上記第2の磁界は上記粒子を第2の方向に平行移動させるために第2の空間位置から提供される。
【0032】
この磁界は1mTから100mTであってもよい。一実施形態において、磁界は10mTから50mTであり、別の実施形態では10mTから20mTの範囲にある。
【0033】
各磁石のオンタイムは1秒未満であってもよい。
【0034】
光の使用に対する磁界センサの使用は、液体が含有されている材料の選択に関する自由を大きくする。液体を介して前後移動する粒子の結果として、液体の特性の評価は、従来のいくつかのデバイスの場合同様に、狭い範囲に限定されない。
【0035】
チャンバは任意の適切な容積であってもよい。一実施形態において、チャンバは25μl未満の容積を有する。別の実施形態において、チャンバは5μl未満の容積を有する。チャンバは任意の便利な形状であってもよい。一実施形態において、チャンバは装置から除去可能な使い捨てサポートストリップに形成される。液体は、毛細管を含む任意の便利な手段によってチャンバに導入されてもよい。チャンバは、テストを実行可能にする任意の適切な材料であってもよく、また非磁性材料から構成されてもよい。
【0036】
一実施形態において、コンテナを充填するための充填デバイスは毛細管を含む。別の実施形態では、充填デバイスはプランジャを含む。装置は2つ以上のチャンバを備えてもよい。チャンバは2つ、3つまたはそれ以上のコンパートメントに分割されてもよい。
【0037】
一実施形態において、磁界に置かれた場合に力を受ける材料、またはそれぞれ粒子状の材料は強磁性である。別の実施形態においては常磁性である。さらに別の実施形態では超常磁性である。
【0038】
一実施形態において、少なくとも1つの粒子は一般的に球形である。一実施形態において、これは2μmから500μmの範囲のサイズを有しており、別の実施形態においては、少なくとも一方向において2μmから20μmである。少なくとも1つの粒子は2つ以上の異なる材料を備えてもよく、磁界に暴露された場合には1つの材料だけが力を受ける必要がある。
【0039】
別の実施形態において、粒子は事実上、細長いか対称的であってよい。
【0040】
一群の実施形態において、複数の粒子が使用される。
【0041】
1つまたは複数の粒子は、非凝固液体サンプルの移動を可能にするために十分な数および/またはサイズでなければならない。
【0042】
各テストストリップにおける、または特定のテストストップの各チャンバまたはコンパートメント内の粒子の数および/または量は、測定前に知られてもよい。あるいはまた、数および/または量は、非凝固サンプルの初期測定によって補償されてもよい。
【0043】
2つ以上のチャンバまたはコンパートメントが用いられる場合、各々に配置された試薬は、例えば凝固速度および/または時間を変更するために異なってもよい。あるいはまた、コンパートメントやチャンバのうちの1つは、凝固試薬と無関係の凝固時間が付加的に測定されるように、試薬を有していなくてもよい。
【0044】
さらなる代替例として、コンパートメントの1つが、テストの時間枠内で凝固しないように、サンプルの凝固を示す試薬を有していてもよい。
【0045】
単一の検出器または1対の検出器が、2つ以上のチャンバまたはコンパートメントにあるサンプルの凝固時間を決定するために採用されてもよい。この場合、1つまたは複数の検出器は、チャンバまたはコンパートメントの各々における粒子の磁界強度の合計を測定する。この場合には、チャンバまたはコンパートメントの各々にある粒子および/または試薬の数および/または量は、読み取り器が、どのチャンバまたはコンパートメントが凝固したのかを確立することができるように選択されるべきである。
【0046】
あるいはまた、単一の検出器または1対の検出器が、各チャンバまたはコンパートメントにあるサンプルの凝固時間を決定するために採用されてもよい。
【0047】
試薬はテストストリップの内部サンプルキャビティ内の任意の適切な場所にまず配置されてもよく、分析する液体サンプルの導入前にそこに配置されてもよい。例えば試薬はチャンバおよび/またはコンパートメントに配置されてもよい。代替例として、磁性粒子および/または凝固試薬は、ストリップへの添加前にサンプルと混合されてもよい。
【0048】
印加された磁界は測定中一定の値に維持されてもよく、あるいは変化させられてもよい。
【0049】
磁界の印加時間は測定中一定の値に維持されてもよく、あるいは変化させられてもよい。
【0050】
上記の実施形態において、複数の粒子が、液体サンプルの導入前にチャンバに配置されている。この上記の実施形態において、粒子はチャンバの内壁に対して固定されており、液体サンプルがチャンバに導入される場合に液体サンプルの懸濁を開始するように配置されている。一実施形態において、粒子は乾燥被覆としてチャンバの壁に分布される。
【0051】
凝固試薬は、分析するサンプルの導入前にチャンバに配置されてもよい。PT測定に適した試薬は、Thromborel S(商標)およびInnovin(商標)(Dade製造)と、ThromboTest(商標)(Axis Shield製造)とを含む。
【0052】
磁界を提供するための手段は2つの間隔をあけられた電磁石を備えてもよい。電磁石はチャンバの相互に対向する側面に配置されてもよい。あるいはまた、これらはチャンバの同じ側面に配置されてもよい。各電磁石はソレノイドであってもよい。ソレノイドは実質的に同軸であってもよい。
【0053】
上記一実施形態において、磁石は、定電場を生成するために交互に直流で起動(activate)される。一方の磁石によって生成された磁界の大きさは、他方よりも大きくてよい。
【0054】
少なくとも1つの磁界センサはホール効果センサであってもよい。上記実施形態において、2つ以上のセンサが提供されており、各1つはそれぞれの磁石と関連している。動作において、センサによって測定された磁界は特に、センサに対する少なくとも1つの粒子の位置によって影響されるであろう。従って、センサの出力は、チャンバにおける少なくとも1つの粒子の位置および/または移動を決定するために使用可能である。
【0055】
2つのセンサが異なる測定で使用される場合、感度の上昇が雑音の低下によって作り出される。任意の外部効果が両センサによって同時に検出され、それゆえに相殺される。従って、デバイスはサンプルの変化のみを読み取る。
【0056】
上記実施形態において、2つのセンサが、チャンバとそれぞれの磁石との間にある、細長いチャンバの対向する端部の近くに配置される。チャンバの液体サンプルを分析する際に、各磁石は交互に起動される。各磁石が起動された後、各粒子がチャンバを移動する期間が許容される。次いで、センサの差分出力の一連の測定がなされ、平均値が算出される。次いで他方の磁石が起動され、処理が反復される。
【0057】
装置は、サンプルの導入から凝固が検出されるまでの経過時間を測定するための回路を含んでもよい。装置は制御手段を備えてもよく、これはマイクロプロセッサを備えてもよい。装置は、ユーザに情報を表示するように動作するディスプレイを備えてもよい。装置は凝固時間および/またはINR値を表示してもよい。
【0058】
装置は、分析中のサンプルを所望の温度に維持するために、チャンバを加熱するための手段を備えてもよい。
【0059】
本発明がより明確に理解されるように、以下にこの実施形態が、添付の図面を参照して一例として説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
図1の装置は、測定ユニット1と、使用中、測定ユニット1に挿入される個別サンプルチャンバ2とを備える。
【0061】
本実施形態において、サンプルチャンバ2は、以下ストリップ3(図12を参照)と称されるスライド状の構造内で画定される。チャンバ2を画定する構造の材料は非磁性であり、チャンバは約1μlの容積を有する。チャンバ2は、既知の多数の超常磁性粒子4と、チャンバ2の内面を中心に分布された血液凝固用乾燥試薬4aとを含有する。適切な凝固剤は組み換えヒト組織因子(Innovin(登録商標))である。本実施形態の超常磁性粒子4は実質的に球形であり、約10μmの平均直径を有する。毛細管5は、チャンバ2から離れたストリップ3上のポイントからチャンバ2に延びる。使用中、毛細管5のサンプル受け取り開口105に置かれた血液サンプルは、毛細管作用下で、毛細管に沿ってチャンバ2に流入する。
【0062】
測定ユニット1は、第1および第2の間隔をあけられた実質的に同軸のソレノイド6、7を備える。第1のソレノイド6は、第2のソレノイド7に向けられているその表面上で、第1のホール効果センサ8をサポートする。第2のソレノイド7は、第1のソレノイド6に向けられているその表面上で第2のホール効果センサ9をサポートする。ホール効果センサ8、9はソレノイド6、7と同軸である。測定ユニット1はまた、マイクロプロセッサ10を含む種々の関連電気回路(特に図2を参照)を含む。このユニットはまた、電源(図示せず)と、ディスプレイ11と、分析するサンプルを加熱するための抵抗加熱要素12とを備える。
【0063】
次に図12を参照すると、本例のストリップ3は3つの層100から102を有しており、これの材料は当該用途に応じて選択される。本発明の実施形態は、本発明自体についての任意の特定の光学的特性を必要としないため、材料は、当然非磁性材料が必要とされている点を考慮して、自由に選択可能である。例えば、ガラスや特定のタイプのガラスが望ましくない場合には、ガラスを使用する必要はない。第1の層100はここではポリマー材料の基板であり、本例ではその幅100bの約4倍の長さ100aを有する略矩形のプレートである。第2の層101は同様の材料および外部寸法からなる。内部的に、これは、チャンバ2を形成し、かつ層101の幅の大部分にわたって延びる略矩形の開口2を画定する。毛細管5は、開口2の一端と連通し、かつサンプル受け取り開口の一部を形成する円形開口105aまで延びている、比較的狭いチャネルによって形成される。第3の層102は他の層と同様のサイズであり、第1および第2の円形開口105bおよび106を有する。3つの層が共に接合されると、第3の層の第1の開口105bは第2の層の円形開口105aに一致する。次いで第2の開口106は開口2上に位置して、ベントを形成する。
【0064】
ユニット1は、図示されていないが、ストリップ3用のサポートを有しており、ストリップ3がサポートによって係合されると、チャンバ2はソレノイド6、7間に、かつ実質的にこれらの軸上に位置する。この配置において、第1および第2のホール効果磁界センサ8、9は、チャンバ2と、チャンバ2に接触するその関連ソレノイド6、7の両方に近接して位置する。別の実施形態において、センサ6、7とチャンバ2の間に小空間がある。
【0065】
抵抗加熱要素12もまた、ストリップ3がユニット1に挿入されるとチャンバ2と関連して、チャンバ2内のサンプルを加熱するように動作するように配置される。
【0066】
代替実施形態においては、抵抗加熱要素は提供されない。その代わり、チャンバ2のサンプルの任意の必要な加熱が、ソレノイド6、7の一方または両方を高周波数の交流で駆動して交流磁界を発生させて、超常磁性粒子4の誘導加熱をチャンバ2内において引き起こしてチャンバ2内の任意のサンプルを加熱することによって、達成される。
【0067】
マイクロプロセッサ10は特に、ソレノイドごとのそれぞれの増幅器13、14によって2つのソレノイド6、7への電流供給を制御するように動作する。
【0068】
2つのホール効果センサ8、9は、ADC回路(図示せず)を介してマイクロプロセッサにセンサの差分出力を供給する差分増幅器15に接続される。
【0069】
使用中、ユーザはユニットのスイッチをオンにし、ストリップ3をユニット1に挿入し、チャンバ2はソレノイド6、7間に位置決めされる。
【0070】
必要ならば、マイクロプロセッサ10はチャンバ2を約37℃の温度まで加熱させる。本実施形態において、マイクロプロセッサは、その抵抗を測定してチャンバの温度を測定するためのホール効果センサ8、9の一方または両方にさらに接続される。加熱要素12の抵抗の測定や個別熱センサの提供を含む他の技術も当然可能である。
【0071】
他の実施形態において、37℃へのチャンバの加熱は必要ない。サンプルの温度情報によって、本発明の装置によって決定された時間は、標準の37℃が使用された場合に達成されるであろう値に補正されるために、その他の、例えばより低い温度が使用可能である。一実施形態においては、加熱は使用されず、温度は、例えばセンサによって測定され、必要な補正が適用される。
【0072】
ストリップ3の挿入時に、装置は基準磁界測定を採用し、その後「待機」状態になり、最終的に測定サイクルを実行するようにプログラミングされる。基準測定を開始するために、ストリップ3はマイクロプロセッサ10を起動させるスイッチ(図示せず)を操作し、第1の大きさの直流を第1のソレノイド6に流す。約200μsの所定の時間が経過して、生成された磁界を形成および定着させた後に、ホール効果センサ8、9の差分出力が、ソレノイド6によって生成された磁界が実質的に一定のままである約800μsの所定の期間にわたって、所定の回数、例えば約500回、順次測定される。これらの測定は記憶されて、平均値が決定される。次いで平均値は第1のソレノイド6の基準値(B1)として記憶される。次いで、第1のソレノイド6を流れる電流は停止されて、プロセスは第2のソレノイド7に対して反復され、使用される電流が第2の大きさであることを別として、ソレノイド7は第1の大きさよりも小さい。これは第2のソレノイド7の基準値(B2)を確立する。各ソレノイド6、7に印加された電流のグラフは図3に示される。基準値B1およびB2が記録および記憶されると、ソレノイド6、7の一方は起動されたままであり、装置は血液サンプルを受け取る用意ができる。インジケータ(図示せず)はユーザにこれを知らせる。インジケータは、LEDなどのライト、ブザーあるいは他の適切なインジケータであってもよい。あるいはまた、ゲートなどのバリアは毛細管5へのアクセスを防止するために提供されてもよく、装置は使用する準備ができると、バリアは移動されたり、ロック解除されたりする。
【0073】
ユーザが血液サンプルを、ストリップ3上の毛細管5の端部に置くと、血液はチャンバ2に流入する。チャンバ2に入る際に、血液は凝固試薬4aと反応する。血液はまた、血液の懸濁において移動可能な超常磁性粒子4がない。
【0074】
チャンバ2における血液の存在は粒子を懸濁状態にする。次いで、これは、差分増幅器15の出力においてホール効果センサ8、9の差分出力の増加をもたらす。超常磁性粒子4は、ソレノイド6、7のどちらが起動されても前方に移動するために、差分出力は一般的に変化し、それゆえにその関連ホール効果センサ8、9は、反対の方向で両センサによって受ける磁界に影響を与える。より小さな効果は、血液の固有の特性によってもたらされる。
【0075】
マイクロプロセッサ10は出力の増加を検出し、これに応答して、測定シーケンスを開始するためにタイマーを開始させる。このシーケンス中に、マイクロプロセッサは非重畳的にソレノイド6、7を交互に励磁し、B1およびB2を測定する際と同じ動作シーケンスを使用して差分増幅器15の平均出力を記録する。動作サイクルごとに、マイクロプロセッサ10は、第1および第2のソレノイド6、7が起動された場合に測定された差分増幅器15のシーケンス平均出力の差が、B1−B2+雑音係数よりも大きいか否かを決定する。この条件が満たされると、これは、サンプルが凝固したことを示す。タイマーは停止される。クロックによって記録された経過時間はサンプルの凝固時間であり、これより、チャンバ2の凝固剤情報によって、マイクロプロセッサによってINR値が算出される。図4は、ストリップ3の導入に続く装置の動作を示すフローチャートである。
【0076】
他の実施形態において、ホールセンサの出力の異なる分析が実行され、例えば出力の変化率が測定される。ホールセンサが1つだけ提供される実施形態においては、異なる配置が可能である。一実施形態において、現在の出力と初期出力の比較が実行されて、この差が設定閾値を超える場合には凝固についての表示が付与される。別の実施形態においては、出力の変化率が決定される。
【0077】
動作をより詳細に説明するために、図5は、基準11を決定する場合と、血液サンプルがチャンバ2に導入された場合17との両方におけるホール効果センサ8、9の通常の差分出力に伴う、基準決定時に各ソレノイド6、7を流れる電流の単一のサイクルと測定シーケンスとを示している。
【0078】
測定シーケンス時に、少なくとも新鮮な血液サンプルがまずチャンバ2に導入される場合に、各ソレノイド6、7は十分な時間励磁されて、超常磁性粒子4がチャンバ2の一方から他方に移動するのを可能にする。
【0079】
チャンバ2の血液が凝固するに伴い、血液を介する超常磁性粒子4の移動は徐々に制限される。選択された血液サンプルについて、また磁界の適切な選択によって、粒子4が第1のソレノイド6によって生成された磁界の影響下でのみ移動する時間に達し、この磁界は供給されるより大きな電流のおかげで第2のソレノイド7の磁界よりも大きい。結果的に、粒子4は累積し、第1のソレノイド6に最も近いチャンバ2の端部にとどまる。
【0080】
移動しない粒子の条件は本実施形態に固有であることが理解されるであろう。つまり他のテスト配置や他の血液サンプルによって、一部の粒子は移動を継続してもよい。
【0081】
チャンバ2における粒子4の位置は、ホール効果センサ8、9の差分出力に影響を与える。粒子4が血液サンプルでの移動を停止し、かつチャンバ2の一方の端に向かってとどまる場合の差分センサ出力の変化は、血液が凝固したことを示す。
【0082】
図6は、血液サンプルの分析中ずっと、第1のソレノイド6が、第2のソレノイド7が励磁される場合(B2未満)より励磁が少ない場合(サンプルにおける超常磁性粒子4の真の効果を示すために、B1未満)の、ホール効果センサ8、9の平均差分出力を示している。
【0083】
最初、血液はチャンバ2にはなく、値は小さい。血液は18で導入されて、値を急激に上昇させる。この時点で、マイクロプロセッサ10はタイマーを開始させる。19で凝固が形成し始めると、差分センサ出力は低下し始め、次いで急激に低下し、20で凝固が完了すると、レベル低下する。差分出力のこの突然の変化は、いつ凝固が生じたかの決定を極めて容易にし、この時点でマイクロプロセッサ10はタイマーを停止させる。そしてタイマーは凝固時間を示す。測定が完了すると、ストリップ3は除去および破棄可能である。新たなストリップはさらなる測定に使用される。
【0084】
測定シーケンスのパラメータは、分析中のサンプルの特徴および求められる正確さに応じて、変更されてもよい。上記の測定シーケンスは約1秒のソレノイド切り替え時間を伴う。すなわち、各ソレノイドは交互シーケンスにおいて約1秒間起動される。サンプルの凝固時間が増加すると、測定された凝固時間の正確さを維持しつつ切り替え時間もまた増加されてもよい。例えば、20秒でINR1に対して5%のエラーが必要とされる場合、1秒の切り替え時間が適切である。同じエラーが60秒でのINR8に対して必要とされる場合、8秒の切り替え時間が適切である。より長い切り替え時間の利点は、血栓形成が潜在的により弱いため、超常磁性粒子4の最終的な移動は、より高いINRが関係する場合に有用な血栓形成についてそれほど破壊的ではないという点である。別の利点は、より長い切り替え時間は装置の電力要件を縮小するという点である。
【0085】
図7は、10秒から100秒のプロトロンビン時間(PT)にわたる2%から5%のエラーの切り替え時間曲線の一例を示している。
【0086】
より高いINRが生じると、一実施形態において、磁界強度は時間と共に低下させられる。これにより血栓形成の障害は小さくなり、装置の電力要件を縮小する。これを達成するために、実施形態は、2つのソレノイドからの基準界強度を所定の時間閾値まで維持し、そして界の強度を徐々に低下させる。
【0087】
凝固時間の決定に加えて、装置はまた、超常磁性粒子4がチャンバ2の反対の端部間の既知の距離に渡って移動する時間を測定することによって、サンプルの粘度を測定することができる。
【0088】
ユニットの評価が以下のようになされた。
【0089】
新鮮な血液はIRN2.2から5.5におよぶローカルホスピタルから得られ、1つの標準INR血液が健康なドナーから得られた。血液サンプルごとのINR値は、ヘマトクリット補正の測定がないAmelung KC10Aマイクロ卓上凝固メーターを使用して決定された。
【0090】
サンプルの1つが実験後に読み取られて、他の既知の値と比較された場合に実施形態の装置がINRの値を付与するか否かを調べるための、ブラインドテストとして取り扱われた。
【0091】
毛細管チューブ(25mmまで切り落とされたCamlab 200□mチューブ製品番号VD/3520−100)が、制御された温度環境(37℃)において測定ユニット1に置かれた。実験での使用について、超常磁性粒子14のLiquid Research Limitedのコード番号PM002粒子、またはPolysciences Inc.のカタログ番号19233 12□範囲のカルボン酸常磁性粒子が選択された。粒子は重み付けされて、Innovinにおける容積懸濁ごとに3重量%まで作られる(5mlの蒸留水に溶解されたDADE BEHRING Innovin 10mlボトル)。
【0092】
粒子およびInnovinの3重量%の懸濁液が、ボルテックスミキサーを使用して混合された。懸濁液の一部(10□l)がエッペンドルフチューブに調合された。
【0093】
血液サンプル(20□l)がエッペンドルフチューブに添加された。同時に、測定ユニット1のコンピュータ上のデータ捕捉システムと、携帯ストップウォッチの両方が開始された。サンプルはボルテックスミキサーで混合されて、血液サンプルの一部(4□l)が毛細管チューブの端部に添加された。
【0094】
サンプルの粒子は視覚的に観察された。粒子が移動を停止すると、ホール効果ジグのデータ収集システムが同じ応答を観察した。
【0095】
エッペンドルフチューブ内に残っているサンプルは、測定ユニット1がテストを実行するのと同時にピペットチップの上部で混合された。エッペンドルフチューブ内のサンプルが凝固したように見えると、ストップウォッチは停止された(エッペンドルフチューブ内に残っている血液サンプルの凝固時間を測定することによって得られたストップウォッチの時間を示している、表1を参照のこと)。
【表1】
【0096】
ホール効果センサ8、9からの読み取りは、信号対時間の変化を示すために表示された(図10参照)。凝固は、信号が負のピークで変化するポイントとして示される。
【0097】
測定ユニット1からの信号変化から得られたデータは、ストップウォッチデータと比較された。比較の結果は図11に示されている。
【0098】
図8および9を参照すると、一実施形態の装置は自己較正している。これを達成するために、各々が異なる割合の凝固剤で内的に被覆され、かつ異なる数の超常磁性粒子4を含有している、3つ以上の個別コンパートメントを具備するチャンバ21が採用される。チャンバ2は、3個の個別コンパートメントA、BおよびCを備える。コンパートメントAは、X個の超常磁性粒子4と、任意のタイプの血液に対して短い既知の凝固時間を有する試薬とを含有している。コンパートメントBは、2X個の超常磁性粒子4と、分析する血液サンプルに対する通常の凝固試薬とを含有している。コンパートメントCは、4X個の超常磁性粒子4と、任意の血液タイプに対して長い既知の凝固時間を有する凝固試薬とを含有している。コンパートメント間の粒子比は先に示されたものとは異なってもよく、各コンパートメントの個々の凝固時間が決定されるように選択される。
【0099】
このチャンバ21が使用されて、各コンパートメントが血液サンプルと同時に充填されると、測定シーケンスが開始される。粒子4がコンパートメントAおよびCでの移動を停止しなければならない相対的な時間は既知であり、粒子4がコンパートメントBでの移動を停止する時間が決定される。各コンパートメントの粒子4の数は異なるため、粒子4が各コンパートメントでの移動を停止するのに伴って、いずれのコンパートメントで粒子4が差分センサ出力の変化によって移動を停止したのかを区別することができる。
【0100】
図9は、図8に示されたチャンバ2を使用する際の装置の例示的出力を示している。グラフは、血液サンプルの導入時の初期の急激な出力増加を示している。一定期間後、出力は、X個の超常磁性粒子4が移動を停止したことを示す量だけ急激に低下し、これはコンパートメントAの血液が凝固したことを示す。さらなる期間の後、出力は、2X個の超常磁性粒子4が移動を停止したことを示す量だけ低下し、これはコンパートメントBの血液が凝固したことを示し、最後に、第3の期間後、出力は、4X個の超常磁性粒子4がチャンバ2での移動を停止したことを示すさらなる量だけ低下する。この第3の低下は、コンパートメントCの血液が凝固したことを示す。
【0101】
コンパートメントAおよびCの凝固時間は、装置を較正して、コンパートメントBの凝固について測定された時間に必要な、任意の修正をするために使用可能である。
【0102】
上記実施形態は、従来技術の装置および方法に重要な利点を付与する。特に、血液サンプルが凝固する際のセンサ出力の極めて急激なカットオフゆえに、通常は約2μlのごく少量の血液を使用して凝固時間を正確に測定することができる。
【0103】
装置が特に、血液の凝固時間を決定するのに適しているが、これは他のタイプの液体の分析にも使用可能である。
【0104】
上記実施形態は一例としてのみ説明されている。多数の変更が、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明を具現化する装置の概略図である。
【図2】図1の装置のブロック回路図である。
【図3】基準界の値を確立する際の、図1の装置のソレノイドの電流対時間を示す図である。
【図4】図1の装置の動作のフローチャートである。
【図5】通常の検出器出力に伴う、図1の装置のソレノイドの電流対時間を示す図である。
【図6】血液サンプルの差分センサ出力対時間のグラフである。
【図7】切り替え時間対プロトロンビン時間のグラフである。
【図8】本発明と併用するための代替チャンバの概略図である。
【図9】図8のチャンバにおける血液サンプルの検出器出力対時間のグラフである。
【図10】センサ出力対時間を示すデータのグラフである。
【図11】本発明の装置を使用して達成された凝固時間対視覚的方法から導出された凝固時間を示すプロットである。
【図12】本発明と併用するためのサンプルチャンバ構成の展開斜視図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプルの凝固状態を決定するための方法であって、
磁界に置かれた場合に力を受ける材料からなる少なくとも1つの粒子を含有する液体サンプルを提供するステップと、
サンプルに磁界を印加するステップと、
少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出するための磁界センサを使用することによって、液体サンプルの凝固状態を決定するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
第1および第2の磁界を循環的に提供するステップを備える方法であって、前記第1の磁界は、前記粒子を第1の方向に平行移動させるために第1の空間位置から提供され、前記第2の磁界は、前記粒子を第2の方向に平行移動させるために第2の空間位置から提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1および第2の磁界が異なる大きさである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
印加された磁界の大きさが1mTから100mTの範囲にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
印加された磁界の大きさが10mTから50mTの範囲にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1および第2の磁界が各々、1秒未満の期間、循環的に印加される、請求項2または、請求項2に従属する請求項3から5のいずれか一項とに記載の方法。
【請求項7】
液体サンプルの容積が25μl未満である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
液体サンプルの容積が5μl未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
粒子または各粒子は、少なくとも一方向において2μmから500μmの範囲のサイズである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
粒子または各粒子は、少なくとも一方向において2μmから20μmの範囲のサイズである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
粒子または各粒子は超常磁性材料を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
液体サンプルが、液体の凝固速度および/または時間を変更する試薬と結合される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
液体が血液である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
液体の凝固状態を決定するためのデバイスであって、
分析する液体サンプルを受け取るための容積と、
前記容積内に配置され、磁界に置かれた場合に力を受ける材料を備える、少なくとも1つの粒子と、
容積の少なくとも一部に磁界を印加するための手段と、
前記少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出することによって、前記液体の凝固状態を決定するように動作する、少なくとも1つの磁界センサと、
を備える、デバイス。
【請求項15】
磁界を印加するための手段が、第1および第2の磁界を循環的に提供するように配置されており、前記第1の磁界は、前記粒子を第1の方向に平行移動させるように第1の空間位置から提供され、前記第2の磁界は、前記粒子を第2の方向に平行移動させるように第2の空間位置から提供される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
磁界を印加するための手段が、1mTから100mTの範囲の大きさの磁界を印加する、請求項14または15に記載のデバイス。
【請求項17】
磁界を印加するための手段が、10mTから50mTの範囲の大きさの磁界を印加する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
磁界を印加するための手段が、1秒未満の期間、第1および第2の磁界を循環的に印加するように配置された、請求項15または、請求項14に従属する請求項16または17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
磁界を印加するための手段は、それぞれ容積の対向する側面に配置された2つの電磁石を備える、請求項14から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
一方の電磁石が他方よりも大きい磁界を生成するように、2つの電磁石を交互に励磁するように配置された手段を備える、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
容積が、デバイスの残りの部分から除去可能な使い捨てサポートストリップによって画定される、請求項14から20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
容積を充填するための充填デバイスを備える、請求項14から21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
2つ以上の容積を備える、請求項14から22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
容積または各容積は、25μl未満の容積のチャンバによって画定される、請求項14から23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
容積または各容積は、5μl未満の容積のチャンバによって画定される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
粒子または各粒子は、少なくとも一方向において2μmから500μmの範囲のサイズである、請求項14から25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
粒子または各粒子は、少なくとも一方向において2μmから20μmの範囲のサイズである、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
粒子または各粒子は超常磁性材料からなる、請求項14から27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
液体の凝固速度および/または時間を変更する試薬が、容積または少なくとも1つの容積に配置されている、請求項14から28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
各容積における前記液体の凝固速度または時間が試薬の有無によって様々に影響されるように、試薬のタイプおよび/または数は容積間で異なる、請求項23に従属する請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
磁界に置かれた場合に力を受ける材料からなる、異なるタイプおよび/または質量の粒子または複数の粒子が各容積に配置される、請求項23、または請求項23に従属する請求項24から30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
容積または各容積の反対の側面にそれぞれ位置するように配置された2つの磁界センサを備える、請求項1から31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
磁石および磁界センサが、容積を画定する細長いチャンバの各端部に配置され、センサがその関連する磁石とチャンバとの間に配置される、請求項19に従属する請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記2つの磁界センサの差分出力を決定するように配置された、請求項32または33に記載のデバイス。
【請求項35】
サンプルの導入から凝固が検出されるまでの経過時間を測定するための手段を備える、請求項14から34のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項36】
制御手段と、凝固時間および/またはINR値を備える情報をユーザに表示するように動作するディスプレイとを備える、請求項14から36のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
分析中のサンプルを所望の温度に維持するように、容積を画定するチャンバを加熱するための手段を備える、請求項14から36のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項38】
血液または血漿の凝固時間を決定するための、請求項14から37のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
液体の凝固状態を決定するように、液体内の少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出するための、少なくとも1つの磁界センサの使用であって、粒子は、磁界に置かれた場合に力を受ける材料を備える、使用。
【請求項40】
液体が血液または血漿である、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
血液または血漿の凝固時間を決定するための方法であって、磁界に置かれた場合に力を受ける材料の粒子を、前記血液または血漿を介して移動させるステップと、前記血液または血漿の特性の変化が少なくとも前記移動を削減する瞬間を、前記凝固時間として示すステップとを備える、方法。
【請求項42】
材料の粒子が磁界の印加によって移動させられる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
粒子は往復で移動させられる、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
血液または血漿の凝固時間を決定するための装置であって、この装置はコンテナと磁気デバイスとを備えており、コンテナは多量の前記血液または血漿を保持するためのチャンバを画定し、チャンバは粒子状材料を保持し、磁気デバイスは前記コンテナと協働して、粒子状材料を未凝固の血液または血漿を介してチャンバ内を往復で移動させる磁界を使用中に提供するように配置されている、装置。
【請求項45】
粒子状材料の位置および/または移動を決定するように動作する1つ以上の磁気センサをさらに備える、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
チャンバに導入された血液または血漿のサンプルを介する粒子状材料の移動が、サンプルの凝固によっていつ影響されるかを決定することによって、サンプルの凝固時間を決定するように動作する制御手段を備える、請求項45に記載の装置。
【請求項1】
液体サンプルの凝固状態を決定するための方法であって、
磁界に置かれた場合に力を受ける材料からなる少なくとも1つの粒子を含有する液体サンプルを提供するステップと、
サンプルに磁界を印加するステップと、
少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出するための磁界センサを使用することによって、液体サンプルの凝固状態を決定するステップと、
を備える、方法。
【請求項2】
第1および第2の磁界を循環的に提供するステップを備える方法であって、前記第1の磁界は、前記粒子を第1の方向に平行移動させるために第1の空間位置から提供され、前記第2の磁界は、前記粒子を第2の方向に平行移動させるために第2の空間位置から提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1および第2の磁界が異なる大きさである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
印加された磁界の大きさが1mTから100mTの範囲にある、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
印加された磁界の大きさが10mTから50mTの範囲にある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第1および第2の磁界が各々、1秒未満の期間、循環的に印加される、請求項2または、請求項2に従属する請求項3から5のいずれか一項とに記載の方法。
【請求項7】
液体サンプルの容積が25μl未満である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
液体サンプルの容積が5μl未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
粒子または各粒子は、少なくとも一方向において2μmから500μmの範囲のサイズである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
粒子または各粒子は、少なくとも一方向において2μmから20μmの範囲のサイズである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
粒子または各粒子は超常磁性材料を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
液体サンプルが、液体の凝固速度および/または時間を変更する試薬と結合される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
液体が血液である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
液体の凝固状態を決定するためのデバイスであって、
分析する液体サンプルを受け取るための容積と、
前記容積内に配置され、磁界に置かれた場合に力を受ける材料を備える、少なくとも1つの粒子と、
容積の少なくとも一部に磁界を印加するための手段と、
前記少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出することによって、前記液体の凝固状態を決定するように動作する、少なくとも1つの磁界センサと、
を備える、デバイス。
【請求項15】
磁界を印加するための手段が、第1および第2の磁界を循環的に提供するように配置されており、前記第1の磁界は、前記粒子を第1の方向に平行移動させるように第1の空間位置から提供され、前記第2の磁界は、前記粒子を第2の方向に平行移動させるように第2の空間位置から提供される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
磁界を印加するための手段が、1mTから100mTの範囲の大きさの磁界を印加する、請求項14または15に記載のデバイス。
【請求項17】
磁界を印加するための手段が、10mTから50mTの範囲の大きさの磁界を印加する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
磁界を印加するための手段が、1秒未満の期間、第1および第2の磁界を循環的に印加するように配置された、請求項15または、請求項14に従属する請求項16または17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
磁界を印加するための手段は、それぞれ容積の対向する側面に配置された2つの電磁石を備える、請求項14から18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
一方の電磁石が他方よりも大きい磁界を生成するように、2つの電磁石を交互に励磁するように配置された手段を備える、請求項19に記載のデバイス。
【請求項21】
容積が、デバイスの残りの部分から除去可能な使い捨てサポートストリップによって画定される、請求項14から20のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項22】
容積を充填するための充填デバイスを備える、請求項14から21のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項23】
2つ以上の容積を備える、請求項14から22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
容積または各容積は、25μl未満の容積のチャンバによって画定される、請求項14から23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
容積または各容積は、5μl未満の容積のチャンバによって画定される、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
粒子または各粒子は、少なくとも一方向において2μmから500μmの範囲のサイズである、請求項14から25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
粒子または各粒子は、少なくとも一方向において2μmから20μmの範囲のサイズである、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
粒子または各粒子は超常磁性材料からなる、請求項14から27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
液体の凝固速度および/または時間を変更する試薬が、容積または少なくとも1つの容積に配置されている、請求項14から28のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項30】
各容積における前記液体の凝固速度または時間が試薬の有無によって様々に影響されるように、試薬のタイプおよび/または数は容積間で異なる、請求項23に従属する請求項29に記載のデバイス。
【請求項31】
磁界に置かれた場合に力を受ける材料からなる、異なるタイプおよび/または質量の粒子または複数の粒子が各容積に配置される、請求項23、または請求項23に従属する請求項24から30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
容積または各容積の反対の側面にそれぞれ位置するように配置された2つの磁界センサを備える、請求項1から31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
磁石および磁界センサが、容積を画定する細長いチャンバの各端部に配置され、センサがその関連する磁石とチャンバとの間に配置される、請求項19に従属する請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記2つの磁界センサの差分出力を決定するように配置された、請求項32または33に記載のデバイス。
【請求項35】
サンプルの導入から凝固が検出されるまでの経過時間を測定するための手段を備える、請求項14から34のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項36】
制御手段と、凝固時間および/またはINR値を備える情報をユーザに表示するように動作するディスプレイとを備える、請求項14から36のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項37】
分析中のサンプルを所望の温度に維持するように、容積を画定するチャンバを加熱するための手段を備える、請求項14から36のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項38】
血液または血漿の凝固時間を決定するための、請求項14から37のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項39】
液体の凝固状態を決定するように、液体内の少なくとも1つの粒子の移動および/または位置を検出するための、少なくとも1つの磁界センサの使用であって、粒子は、磁界に置かれた場合に力を受ける材料を備える、使用。
【請求項40】
液体が血液または血漿である、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
血液または血漿の凝固時間を決定するための方法であって、磁界に置かれた場合に力を受ける材料の粒子を、前記血液または血漿を介して移動させるステップと、前記血液または血漿の特性の変化が少なくとも前記移動を削減する瞬間を、前記凝固時間として示すステップとを備える、方法。
【請求項42】
材料の粒子が磁界の印加によって移動させられる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
粒子は往復で移動させられる、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
血液または血漿の凝固時間を決定するための装置であって、この装置はコンテナと磁気デバイスとを備えており、コンテナは多量の前記血液または血漿を保持するためのチャンバを画定し、チャンバは粒子状材料を保持し、磁気デバイスは前記コンテナと協働して、粒子状材料を未凝固の血液または血漿を介してチャンバ内を往復で移動させる磁界を使用中に提供するように配置されている、装置。
【請求項45】
粒子状材料の位置および/または移動を決定するように動作する1つ以上の磁気センサをさらに備える、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
チャンバに導入された血液または血漿のサンプルを介する粒子状材料の移動が、サンプルの凝固によっていつ影響されるかを決定することによって、サンプルの凝固時間を決定するように動作する制御手段を備える、請求項45に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2006−527363(P2006−527363A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508399(P2006−508399)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002401
【国際公開番号】WO2004/109277
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505448866)アイ・ブイ・エム・デイ(ユー・ケイ)リミテツド (1)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/GB2004/002401
【国際公開番号】WO2004/109277
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(505448866)アイ・ブイ・エム・デイ(ユー・ケイ)リミテツド (1)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】
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