説明

生体測定装置

【課題】一つの装置で、筋組織の硬度や痛覚の度合いを高精度かつ容易に測定することができる生体測定装置を提供すること。
【解決手段】生体に圧力を加えることにより前記生体の筋組織の硬度を測定する筋組織硬度計と、前記生体に圧力を加えることにより前記生体の痛覚の度合いを測定する圧痛計とが兼用された生体測定装置であって、前記生体に当接される第一の当接面40aを有し、前記生体に圧力を加えるための当接部40と、前記生体に当接される第二の当接面26aを有し、前記第二の当接面26aが、前記第一の当接面40aに対して略面一に配された面一位置と前記第一の当接面40aに対して後退した後退位置との間で往復動するように支持された補助部26と、前記第二の当接面26aが前記後退位置に配された状態で前記補助部をロックするロック機構32,33とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の筋組織の硬度及び生体の痛覚の度合いを測定する生体測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、生体に圧力を加えることにより、筋組織の硬度を測定する筋組織硬度計が利用されている。
これら筋組織硬度計の中には、生体に当接させる主針と、この主針を覆う副筒とを備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、副筒は、主針に対して進退可能に設けられており、付勢部材により先端側に常に付勢されている。
このような構成のもと、被測定部位の周辺を副筒の先端面で押さえることにより皮膚にテンションをかけた状態で、皮膚に対して主針を押し込む。そして、そのときの主針の圧力を測定することにより、生体の筋組織の硬度が測定される。
【0003】
ここで、生体に圧力を加えることにより、生体の痛覚の度合いを測定する圧痛計が従来から利用されている。このような圧痛計においては、被測定者の皮膚に主針を当接させ、圧力が次第に大きくなるように主針を押し込んでいき、被測定者が痛みを感じたときに、被測定者に意思表示してもらい、そのときの主針の圧力を測定することにより、生体の痛覚の度合いが測定される。
【特許文献1】特開平10−179524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような筋組織硬度計及び圧痛計は、それぞれ独立しており、2種類の装置を使用する場合、装置の管理負担が増大してしまうという問題がある。
また、例えば特許文献1に記載の筋組織硬度計を圧痛計として利用しようとしても、痛覚の度合いを精度よく測定することができないという問題がある。なぜなら、筋組織の硬度を測定する際には、副筒により被測定部位の周辺にテンションをかける必要があるが、痛覚の度合いを測定する際には、主針の先端面のみの小さな領域で圧力をかけないと、被測定者がどこで痛みを感じるのかが分かり難くなってしまうからである。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、一つの装置で、筋組織の硬度や痛覚の度合いを高精度かつ容易に測定することができる生体測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、生体に圧力を加えることにより前記生体の筋組織の硬度を測定する筋組織硬度計と、前記生体に圧力を加えることにより前記生体の痛覚の度合いを測定する圧痛計とが兼用された生体測定装置であって、前記生体に当接される第一の当接面を有し、前記生体に圧力を加えるための当接部と、前記生体に当接される第二の当接面を有し、前記第二の当接面が、前記第一の当接面に対して略面一に配された面一位置と前記第一の当接面に対して後退した後退位置との間で往復動するように支持された補助部と、前記第二の当接面が前記後退位置に配された状態で前記補助部をロックするロック機構とを備えることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、ロック機構によって補助部をロックすることにより、第二の当接面を後退位置において保持することができる。
【0008】
また、本発明は、前記第二の当接面が前記往復動するように前記補助部を支持する支持部を備え、前記ロック機構は、前記補助部又は前記支持部のいずれか一方に形成され、かつ前記第二の当接面の往復動方向に延びる第一の長溝と、前記第一の長溝から前記往復動方向に交差する方向に延びる第二の長溝と、前記補助部又は前記支持部の他方に形成され、かつ前記第一の長溝又は前記第二の長溝に配される突部とを備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、簡易な構成により補助部を確実にロックすることができる。
【0010】
また、本発明は、応答信号を出力する応答操作部と、前記応答信号の出力を報知する報知部と、前記報知部の駆動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記応答操作部から応答信号が入力されると、前記報知部を駆動することを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、被験者の痛覚の度合いを高精度に測定することができる。
【0012】
また、本発明は、前記当接部が、交換可能であることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、被測定部位の状況に応じて最適な当接部を取り付けることにより、さらに高精度の測定を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ロック機構によって補助部をロックすることにより、第二の当接面を後退位置において保持することができることから、一つの装置で、筋組織の硬度や痛覚の度合いを高精度かつ容易に測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態における生体測定装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態としての生体測定装置を示したものである。
生体測定装置1は、直方体形状の装置本体部2と、この装置本体部2にケーブル8を介して接続されたプローブ3とを備えている。
装置本体部2の天面には、各種情報を表示する矩形状の表示部(報知部)6が設けられている。
表示部6は、例えば液晶からなるものである。
また、装置本体部2の天面には、各種操作を行うための本体操作部7が設けられている。
【0016】
また、装置本体部2には、オン・オフ切り替え可能な応答スイッチ(応答操作部)10がケーブル11を介して接続されている。応答スイッチ10は、解放された自然状態では、オフとなり応答信号を出力しない。一方、応答スイッチ10は、押圧されると、オンとなり応答信号を出力する。
【0017】
また、プローブ3は、使用者が把持するための把持部14を備えている。把持部14は、細長の直方体形状をなしており、その先端部には、有底円筒状のプローブ本体部15が設けられている。このプローブ本体部15は、把持部14と一体的に形成されている。
また、プローブ本体部15は、把持部14の長手方向と交差する方向に向けられている。
プローブ本体部15の開放端には、円筒状の支持筒部(支持部)16が設けられている。支持筒部16の基端部には、プローブ本体部15の開放端と同径の基端フランジ21が設けられている。基端フランジ21は、支持筒部16の径方向外方に延ばされている。そして、基端フランジ21がプローブ本体部15の開放端を覆うようにして、支持筒部16が取り付けられている。
【0018】
支持筒部16の内周面には、図2に示すように、その径方向内方に突出する対をなす突起部(突部、ロック機構)22が設けられている。突起部22は、支持筒部16の中心部Cを挟んで互いに対向配置されている。
また、図3に示すように、支持筒部16の先端部には、径方向内方に向けられた先端フランジ27が設けられている。
支持筒部16の筒孔25内には、円筒状の補助筒部(補助部)26が挿通されている。補助筒部26の外周面には、図4に示すように、補助筒部26の長手方向に延びる一対の第一の長溝(ロック機構)32が設けられている。第一の長溝32は、直線状に延ばされており、補助筒部26の中心部を挟んで対向配置されている。
【0019】
また、補助筒部26の外周面には、第一の長溝32の長手方向の途中位置L1から、その長手方向に直交する方向に延びる第二の長溝(ロック機構)33が設けられている。第二の長溝33は、補助筒部26の周方向の全周にわたって形成されている。また、第二の長溝33の周方向の途中位置L2であって、一対の第一の長溝32同士の中間位置には、補助筒部26の基端側に没する一対の凹部36が形成されている。凹部36は、補助筒部26の中心部を挟んで対向配置されている。
そして、それぞれの第一の長溝32内に、突起部22が配されており、これら突起部22が第一の長溝32内を相対的に移動するようになっている。これにより、補助筒部26は、支持筒部16の軸線方向に往復動可能に支持されている。
【0020】
また、補助筒部26の基端部には、図3に示すように、基端フランジ30が形成されている。基端フランジ30の外径は、先端フランジ27の内径よりも大きくなっている。すなわち、基端フランジ30が先端フランジ27に当接することにより、補助筒部26が支持筒部16から抜け落ちることが防止されるようになっている。
また、補助筒部26の先端部には、先端フランジ31が設けられている。
【0021】
さらに、支持筒部16及び補助筒部26内には、これら支持筒部16及び補助筒部26と同軸上に主針部37が設けられている。主針部37の長手寸法は、支持筒部16及び補助筒部26のそれぞれの長手寸法よりも大きくなっている。そのため、主針部37の先端部は、支持筒部16の先端フランジ27から突出している。
主針部37は、支持筒部16内で軸線方向に移動可能に支持されている。また、主針部37は、有底円筒状の外郭部45と、円柱状の芯部46とを備えている。そして、外郭部45内を芯部46が挿通しており、芯部46は軸線方向に往復動可能に支持されている。
外郭部45は、小径部45aと、この小径部45aの基端部に設けられた大径部45bとを備えている。これら小径部45aと大径部45bとは一体的に形成されている。小径部45aの内周面には、段差部50が形成されている。
また、芯部46外周面には、段差部51が形成されている。そして、段差部50,51同士が当接することにより、芯部46が外郭部45の先端から抜け落ちることが防止されるようになっている。
【0022】
さらに、芯部46の先端には、その後端側に没する不図示の雌ネジ部が形成されている。そして、主針部37の先端には、円柱状の先端チップ(当接部)40が設けられている。すなわち、先端チップ40の後端面には、不図示の雄ネジ部が設けられており、この雄ネジ部が芯部46の雌ネジ部に螺合されている。これにより、先端チップ40は、主針部37の先端に着脱可能に取り付けられるようになっている。なお、先端チップ40は、サイズの等しい他の先端チップと交換することができる。したがって、新品の先端チップと交換することにより、衛生状態を向上させることができる。
また、大径部45b内には、例えば半導体からなる第二の圧力センサ53が設けられている。そして、先端チップ40が押圧されると、外郭部45に対して芯部46が後方側に移動し、このときの芯部46の圧力を第二の圧力センサ53が測定するようになっている。
さらに、第二の圧力センサ53の後方であって、大径部45bの外底面には、第一の圧力センサ54が設けられている。そして、補助筒部26と先端チップ40が押圧されると、主針部37が支持筒部16に対して後方側に移動し、このときの主針部37の圧力を第一の圧力センサ54が測定するようになっている。
【0023】
また、主針部37の外周には、コイルばね43が設けられている。すなわち、コイルばね43内を主針部37が挿通している。コイルばね43の長手寸法(弾性変形していない状態における長手寸法)は、小径部45aの長手寸法よりも大きくなっている。また、コイルばね43の内径は、大径部45bの外径及び先端フランジ31の内径よりも大きくなっている。すなわち、コイルばね43は、大径部45bの先端面と、先端フランジ31の内面との間に配置され、これにより、補助筒部26は、先端側に向けて常に付勢されている。そして、基端フランジ30が先端フランジ27に当接することにより、補助筒部26が支持筒部16の先端から突出した状態で保持されている。
【0024】
さらに、外力を加えない自然状態においては、補助筒部26の先端面(第二の当接面)26aは、先端チップ40の先端面(第一の当接面)40aと面一になっている。このときの補助筒部26の配された位置を面一位置P1というものとする。
また、補助筒部26を基端側に向けて押圧すると、図5に示すように、補助筒部26がコイルばね43の付勢力に抗して、支持筒部16内に没する方向に移動するようになっている。このとき、突起部22が第一の長溝32内を相対的に移動する。そして、突起部22が途中位置L1に配された状態で、補助筒部26の軸線を中心として補助筒部26を回転させると、突起部22が第二の長溝33内に配されて、第二の長溝33内を相対的に移動するようになっている。さらに、突起部22が途中位置L2に配された状態で、補助筒部26を解放する(手を離す)と、コイルばね43の付勢力によって補助筒部26が前方に付勢されていることから、補助筒部26が前方に移動し、突起部22が凹部36内に配される。これにより、補助筒部26が支持筒部16内に没した位置で保持される。このとき、補助筒部26の先端面26aは、先端チップ40の先端面40aに対して、後方側に後退した位置に配されており、このときの補助筒部26の配された位置を後退位置P2というものとする。
【0025】
次に、本実施形態における生体測定装置1を機能ごとに説明する。
図6は、生体測定装置1を機能ごとに示すブロック図である。
装置本体部2は、装置全体を制御する制御部57を備えている。制御部57には、表示部6及び本体操作部7が接続されている。
また、制御部57には、プローブ3内の第二の圧力センサ53及び第一の圧力センサ54が接続されている。また、制御部57には応答スイッチ10が接続されている。さらに、制御部57には、各種情報を記憶するメモリ58が接続されている。メモリ58には、第一の圧力センサ54の押圧力の閾値が予め記憶される。
【0026】
このような構成のもと、第二の圧力センサ53及び第一の圧力センサ54から測定信号が出力されると、制御部57は、その測定信号を読み出し、測定信号から所定の演算によって測定値情報を表示部6に逐次表示する。さらに、制御部57は、所定の測定値情報をメモリ58に記憶する。また、応答スイッチ10から応答信号が出力されると、制御部57は、その応答信号を読み出して、表示部6を駆動する。すなわち、制御部57は、表示部6に応答情報を表示する。
【0027】
次に、このように構成された本実施形態における生体測定装置1の動作について説明する。
なお、メモリ58には、使用者が本体操作部7を操作することによって、第一の圧力センサ54の閾値が予め記憶されているものとする。
まず、生体測定装置1を筋組織硬度計として使用するときには、図7に示すように、補助筒部26を面一位置P1に配する。そして、先端チップ40の先端面40aと、補助筒部26の先端面26aとを被測定箇所に当接させて、生体測定装置1を押し込んでいく。
すると、補助筒部26の先端面26aが皮膚にテンションを与え、その状態で、先端チップ40が皮膚内に押されていく。このとき、反作用によって、先端チップ40及び補助筒部26に対して、後方側に押圧力が加えられる。
【0028】
そして、先端チップ40に対する押圧力は、主針部37に直接的に加えられる。すなわち、先端チップ40に対する押圧力は、芯部46に加えられ、そのため、芯部46は、外郭部45に対して後方に移動し、第二の圧力センサ53に押圧力が加えられる。このとき、第二の圧力センサ53は、その押圧力に応じて測定信号を出力する。また、第二の圧力センサ53に対する押圧力は、外郭部45に加えられる。
それとともに、補助筒部26に対する押圧力は、コイルばね43を介して主針部37に間接的に加えられる。そのため、主針部37が支持筒部16に対して後方に移動し、第一の圧力センサ54に押圧力が加えられる。このとき、第一の圧力センサ54は、その押圧力に応じて測定信号を出力する。
【0029】
制御部57は、第二の圧力センサ53及び第一の圧力センサ54から出力された測定信号を読み出して、それぞれの測定値情報を表示部6に逐次表示する。そして、制御部57は、メモリ58に記憶された閾値情報を読み出して、その閾値情報と、第一の圧力センサ54の測定値情報とを比較する。制御部57は、第一の圧力センサ54の測定値情報が閾値情報を超えたと判定すると、そのときの第二の圧力センサ53の測定値情報をメモリ58に記憶する。
これにより、筋組織の硬度が測定され記憶される。
【0030】
一方、生体測定装置1を圧痛計として使用するときには、図8に示すように、補助筒部26を後退位置P2に配してロックする。これにより、先端チップ40が補助筒部26の先端面26aから突出した状態になる。また、応答スイッチ10を被験者に把持してもらう。この状態で、先端チップ40を被測定箇所に当接させて、生体測定装置1を押し込んでいく。
すると、反作用により先端チップ40に対して後方側に押圧力が加えられる。
【0031】
先端チップ40に対する押圧力は、芯部46に直接的に加えられる。そのため、芯部46は、外郭部45に対して後方に移動し、第二の圧力センサ53に押圧力が加えられる。このとき、第二の圧力センサ53は、その押圧力に応じて測定信号を出力する。すると、制御部57は、その測定信号を読み出して、測定値情報を表示部6に逐次表示する。そして、被験者は、痛みを感じた時点で応答スイッチ10を押圧する。すると、応答スイッチ10から応答信号が出力される。制御部57は、その応答信号を読み出して、応答情報を表示部6に表示する。応答情報の表示は、文字や図形によって行われる。それとともに、制御部57は、応答信号を読み出したときの測定値情報をメモリ58に記憶する。
これにより、痛覚の度合いが測定され記憶される。
【0032】
なお、補助筒部26のロックを解除するには、補助筒部26を後方側に押し込み、突起部22を途中位置L2に配してから、補助筒部26を、その軸線を中心として回転させる。すると、突起部22が第二の長溝33内を相対的に移動する。そして、突起部22が途中位置L1に配されたときに、補助筒部26を解放する。すると、コイルばね43の付勢力により、補助筒部26が前方に押され、突起部22が第一の長溝32内を相対的に移動する。そして、補助筒部26は、面一位置P1に配された状態で保持される。
【0033】
以上より、本実施形態における生体測定装置1によれば、補助筒部26を後退位置P2でロックすることができることから、一つの装置で、筋組織の硬度や痛覚の度合いを高精度かつ容易に測定することができる。
また、筋組織硬度計と圧痛計とが兼用されていることから、管理負担を軽減させることができる。
また、第一の長溝32、第二の長溝33及び突起部22が設けられていることから、簡易な構成により補助筒部26を確実にロックすることができる。
また、凹部36が設けられていることから、ロック状態を確実に保持することができる。
【0034】
さらに、応答スイッチ10が設けられていることから、被験者が痛みを感じた瞬間を測定者に直ちに知らせることができる。そのため、被験者の痛覚の度合いを高精度に測定することができる。また、応答スイッチ10の応答信号により、測定値情報を記憶することから、容易かつ高精度に測定することができる。
ここで、被験者が痛みを感じたときに口頭で伝えてもらうようにすると、痛みを感じた瞬間と口頭によって言葉を発する瞬間とのギャップが生じてしまうため、精度よく測定することは困難である。また、動作によって伝えてもらうようにすると、測定者がその動作を見てから、表示部6の表示を見るまでの間にギャップが生じてしまうため、精度の高い測定が困難であることには変わりはない。
本実施形態における生体測定装置1によれば、応答スイッチ10の押圧という簡単な操作だけで、被験者にタイミングを容易に知らしめることができ、高精度な測定を行うことができる。
【0035】
なお、上記実施形態においては、先端チップ40が一種類あるものとしているが、これに限ることはなく、サイズの異なる数種類の先端チップを予め用意しておき、それらサイズの異なる先端チップを選択的に交換可能としてもよい。なお、「サイズ」とは、寸法だけでなく形状なども含まれるものである。例えば、図9に示すように、円柱状の大径部60の先端に小径部61が設けられた先端チップ40bを取り付けることができる。また、図10に示すように、円柱状の小径部63の先端に大径部(円板部)64が設けられた先端チップ40cを取り付けることができる。これにより、被測定部位の状況に応じて最適な先端チップを取り付けることにより、さらに高精度の測定を行うことができる。
【0036】
また、補助筒部26に第一の長溝32及び第二の長溝33を設け、支持筒部16に突起部22を設けるとしたが、これに代えて、補助筒部26に突起部22を設け、支持筒部16に第一の長溝32及び第二の長溝33を設けてもよい。
また、凹部36を設けるとしたが、これはなくてもよい。すなわち、突起部22を第2の長溝33内に配するだけでも補助筒部26をロックすることができる。ただし、凹部36を設けた方が、ロック状態を確実に保持することができる点で好ましい。
また、応答スイッチ10を設けるとしたが、これはなくてもよい。ただし、応答スイッチ10を設けた方が、高精度な測定を行うことができる点で好ましい。
また、応答スイッチ10の応答を表示部6により報知するものとしたが、これに限ることはなく、適宜変更可能である。例えば、音声や振動などにより報知するものでもよい。
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る生体測定装置の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1の支持部を示す正面図である。
【図3】図1のプローブの一部を側面から示す断面図である。
【図4】図1の補助筒部を示す斜視図である。
【図5】図1のプローブの一部を破断した様子を示す図であって、補助筒部が後退位置に配された様子を示す斜視図である。
【図6】生体測定装置を機能ごとに示すブロック図である。
【図7】生体測定装置を筋組織硬度計として使用するときの図であって、補助筒部が面一位置に配された様子を示す斜視図である。
【図8】生体測定装置を圧痛計として使用するときの図であって、補助筒部が後退位置に配された様子を示す斜視図である。
【図9】図1の先端チップの第一の変形例を示す斜視図である。
【図10】図1の先端チップの第二の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1 生体測定装置
6 表示部(報知部)
10 応答スイッチ(応答操作部)
16 支持筒部(支持部)
26 補助筒部(補助部)
26a 先端面(第二の当接面)
22 突起部(突部、ロック機構)
32 第一の長溝(ロック機構)
33 第二の長溝(ロック機構)
40 先端チップ(当接部)
40a 先端面(第一の当接面)
57 制御部
P1 面一位置
P2 後退位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体に圧力を加えることにより前記生体の筋組織の硬度を測定する筋組織硬度計と、前記生体に圧力を加えることにより前記生体の痛覚の度合いを測定する圧痛計とが兼用された生体測定装置であって、
前記生体に当接される第一の当接面を有し、前記生体に圧力を加えるための当接部と、
前記生体に当接される第二の当接面を有し、前記第二の当接面が、前記第一の当接面に対して略面一に配された面一位置と前記第一の当接面に対して後退した後退位置との間で往復動するように支持された補助部と、
前記第二の当接面が前記後退位置に配された状態で前記補助部をロックするロック機構と
を備えることを特徴とする生体測定装置。
【請求項2】
前記第二の当接面が前記往復動するように前記補助部を支持する支持部を備え、
前記ロック機構は、
前記補助部又は前記支持部のいずれか一方に形成され、かつ前記第二の当接面の往復動方向に延びる第一の長溝と、
前記第一の長溝から前記往復動方向に交差する方向に延びる第二の長溝と、
前記補助部又は前記支持部の他方に形成され、かつ前記第一の長溝又は前記第二の長溝に配される突部とを備えることを特徴とする請求項1に記載の生体測定装置。
【請求項3】
応答信号を出力する応答操作部と、
前記応答信号の出力を報知する報知部と、
前記報知部の駆動を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記応答操作部から応答信号が入力されると、前記報知部を駆動することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生体測定装置。
【請求項4】
前記当接部が、交換可能であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の生体測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−307172(P2008−307172A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156380(P2007−156380)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(591032518)伊藤超短波株式会社 (69)
【Fターム(参考)】