説明

生体組織の治療のための電気外科用発電機、電気外科用発電機の出力電圧を調整する方法及び該電気外科用発電機の対応する使用方法

本発明は生体組織の治療のための電気外科用発電機に関する。本発明による電気外科用発電機は、電気エネルギーが該生体組織に与えられるように電圧制御信号により設定されたHF(高周波)電圧をHF治療電流として供給する発電機部と、該HF治療電流及び該HF電圧を検出して対応する電流信号及び対応する電圧信号を発生する測定装置と、該電流信号及び電圧信号が供給される変換装置であって該HF治療電流の実数成分に対応する実電流信号が該電流信号及び該電圧信号から生成されるように構成されたものと、該実電流信号とプリセット可能な目標値とを比較しこの比較に基づいて該電圧制御信号を発生する調整装置とを備える。従って本発明によれば、治療電流の実数成分が決定され、発電機部は該実数成分が予め決められた目標値に近づくように調整される。従って、最近のデジタル信号処理装置を用いれば、所定の実数成分を有するHF治療電流はリアルタイムに生成することができる。そこからの偏差は最小化できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、生体組織の治療のための電気外科(手術)用発電機、電気外科用発電機の出力電圧を調整する方法及び該電気外科用発電機の対応する使用方法に関するものである。
高周波手術における既知の課題は、切断及び/又は凝固工程の品質の再現性と安定性である。これらの工程の品質は、実質的にそのために使用されている高周波電圧、及び活性電極と組織との間の電気アークの強度に依存している。しかしながら非接触凝固工程では、これらの変数は、とりわけ組織から使用器具への距離によって影響を受ける。従って該距離と無関係な一定アークを発生する凝固装置及び対応する方法を提供することが望まれる。
【0002】
別の問題は、電気外科用装置の点弧動作を改良するという点にある。これは特に不活性ガスプラズマを発生する電気外科用器具に当て嵌まる。従って、特定の限度内(例えば0mm‐30mm)において距離に関係なくプラズマの信頼性できる点弧を保証することが望ましい。加えて、安全性の理由から、一般的には流れる電流の制限が望ましい。
【0003】
EP 0 495 140 B1からは、適当な実電流センサを用いてHF(高周波)発電機によって発生される治療電流の実数成分を検出することが知られている。電流制御装置はこの変数を処理し最大電流レベルを制限するものである。さらにその実施例では、該電流制御装置は、測定した電流が予め設定した最大電流レベルに達するか又は越えた場合にHF発電機をスイッチオフする。該電流の実数成分を決定することにより、該装置の望ましくないスイッチオフをもたらす望ましくない漏洩電流が付加的に且つ誤って考慮されないようにしている。
DE 25 04 280からは、電気外科用器具のためのHF発電機が知られており、これはそのHF発電機の電力を調整する制御装置を有している。この調整はHF治療電流によって発生されるアークの検出に基づいて行われる。このため、該制御装置は適切なセンサを有している。
【0004】
生体組織の治療のためのプラズマアークを発生させる高周波装置は、WO 00/12019から知られている。ここにおいても、発電機のパワーは制御装置、特に適切に構成された調整回路によって制限される。WO 00/12019の調整回路は不明確で非常に複雑である。
【0005】
このような先行技術から進んで、本発明の目的は、生体組織の治療のための改良された電気外科用発電機を提供することである。特に、改良された点弧動作及び改良された治療結果の再現性を有する電気外科用発電機が提供されることになる。さらに、対応する方法及び対応する使用方法が提供されることになる。
【0006】
このような目的は、生体組織の切断または凝固などの治療を行うための電気外科用発電機であって、
電気エネルギーが該生体組織に与えられるように電圧制御信号により設定されたHF(高周波)電圧をHF治療電流として供給する発電機部と、
該HF治療電流及び該HF電圧を検出して対応する電流信号及び対応する電圧信号を発生する測定装置と、
該電流信号及び電圧信号が供給される変換装置であって、該HF治療電流の実数成分に対応する実電流信号が該電流信号及び該電圧信号から生成されるように構成されたものと、
該実電流信号とプリセット可能な目標値とを比較し、この比較に基づいて該電圧制御信号を発生する調整装置とを備え、
該HF治療電流の実数成分が該目標値によって調整可能になっていることを特徴とする電気外科用発電機、によって達成される。
【0007】
すなわち、本発明は、HF治療電流の実数成分の計算を行い、これに基づき電圧制御信号の調整を行うものであり、従ってあらゆる可能な目標値を調整し維持することができる。これによって多くの用途の可能性が広がる。まず、特定の周波数又は特定の電力レベルを仮定し得る所定の凝固又は切断モードが正確に維持できる。加えて、その点弧手順を、非接触凝固工程に対して大きく信頼あるものとすることができる。対応する器具によって実行される点弧及び治療は組織と器具の電極との距離に影響を受けない。
【0008】
この電気外科用発電機は、電流信号及び電圧信号に基づいて実電力を検出し、これらをプリセット値に制限する電力制限装置を備えている。従って電力制限は実電力に依存した形で行われ、これは制限条件に依存する。考慮される因子としては、特に電極間距離及び/又は電極と組織との距離、使用する器具、電極サイズなどを含んでいる。
【0009】
この電気外科用発電機は電流制限装置を備えており、これは治療電流の実数成分をプリセット値に制限するものである。従って好ましくは、電力制限は電流の調整に基づいて行われる。
【0010】
この電気外科用発電機は、装着した手術器具及び負荷の実抵抗成分及び/又はリアクタンス性インピーダンス成分の入力及び記憶のためのデータ入力及び/又は記憶装置を備えることができ、データ入力装置及び/又は記憶装置は変換装置に接続され、この変換装置は、HF治療電流の実数成分を計算するときのリアクタンス性インピーダンス成分を含むように構成されている。
【0011】
従ってHF治療電流の実数成分を計算するときには、電気外科用装置の種類(タイプ)、特にその特定の実抵抗成分及び/又はリアクタンス性インピーダンス成分を考慮することができる。その実抵抗成分とリアクタンス性インピーダンス成分との組み合わせを記憶すると有利になる。更に、各器具と共に用いられるケーブル及びライン及びケーブル長を考慮することができる。この種のデータ入力及び/又は記憶装置に記憶し得る物理変数は:抵抗(R)、インダクタンス(L)及びキャパシタンス(C)である。
【0012】
この変換装置は、次のいずれか1つを用いて実電流信号を生成するコンピュータ装置を備えたことを特徴とする。
−ヒルベルト変換、
−離散フーリエ変換(DFT)、
−高速フーリエ変換(FFT)、
−平均電力の生成、
(N)サンプル値から
【0013】
【数1】

【0014】
を求め、下式により電圧及び電流の実効値を求め、
【0015】
【数2】

【0016】
【数3】

【0017】
さらに下式により力率を求め、
【0018】
【数4】

【0019】
以て該実電流信号が下式で与えられる。
【0020】
【数5】

【0021】
すなわち、この計算装置は有利な方法で実電流信号を計算することができる。最近のデジタル信号プロセッサは、対応する値、特に実電流信号の計算をリアルタイムで行うことができるように構成されている。従って、複雑な信号処理演算を、HF治療電流の調整においていかなる遅れも生じさせることなく実行することができる。ヒルベルト変換及び高速フーリエ変換並びに平均電力の該生成は、有益かつ誤差耐性があるようにHF治療電流の実数成分を計算するために適している。もし特に該方法が、実効値を用いた実電流を計算するのに用いられるならば、計算用リソースを節約する実施を確実なものとすることができる。この方法は実数成分を決定するために比較的少ない演算で済む。従って、適切な調整ループをより頻繁に走らせることができ、その結果、より正確でより早い治療電流の調整を達成することができる。
【0022】
対処される課題は、生体組織の治療のためにHF(高周波)電圧でHF治療電流を供給する電気外科用発電機の出力電圧を調整する方法によって解決される。この方法は、下記のステップを備える。
【0023】
‐該HF治療電流及び該HF電圧を検出して対応する電流信号及び対応する電圧信号を発生すること、
‐該電流信号及び電圧信号から該HF治療電流の実数成分を形成し、対応する実電流信号を発生すること、
‐該実電流信号とプリセット可能な目標値とを比較し、この比較に基づいて該電圧制御信号を発生すること、及び
‐該HF治療電流の実数成分が該目標値に対応するように該出力電圧を調整すること。
【0024】
この方法は本発明による装置に同様に有利である。
この方法は、下記の選択肢のいずれか1つを用いて実電流信号を生成することができる:
−ヒルベルト変換、
−離散フーリエ変換(DFT)、
−高速フーリエ変換(FFT)、
−実数値の決定を介した平均電力の生成(上記参照)。
【0025】
この方法は特にプラズマガスを用いた場合の治療電流の計算に適している。
この課題は上記電気外科用発電機を用いることによっても解決される。
さらに有利な実施形態が従属請求項によって開示されている。
【0026】
本発明を、図面に示された幾つかの実施例を参照することにより、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による電気外科用装置の基本的な要素を示す図である。
【図2】該電気外科用装置の調整装置を概略的に示す図である。
【図3】電流信号及び電圧信号から実電力及び無効(リアクタンス性)電力を決定するための第一の方法(ヒルベルト演算)を示した図である。
【図4】電流信号及び電圧信号から実電力及び無効電力を決定するための第二の方法(ヒルベルト演算)を示した図である。
【図5】電流信号及び電圧信号から実電力及び無効電力を決定するための第三の方法(FFT)を示した図である。
【0028】
以下の説明においては、同一の記号は同様の且つ同様に作用する部分に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は電気外科用器具の本質的な要素を示している。これらは、切断及び/又は凝固モードを起動し選択するための操作ユニット5と、HF治療電流Iactualを加えるための電気外科用器具20と、HF治療電流Iactualを発生させるためのHF発電機10と、HF治療電流Iactualから電流信号i(t)及び電圧信号u(t)を生成するための測定装置50と、HF発電機10を制御するための制御装置30とを備えている。
【0030】
全体としてみると、時点tでは、HF発電機10は治療電流Iactualを実際の電圧Uactualで提供し、これにより電気外科用器具20が動作する。この値から、測定装置50は特性電流信号i(t)及び電圧信号u(t)をこの皮相電力Sのために求める。制御装置30は電流信号i(t)及び電圧信号u(t)並びに電気外科的器具20のユーザによって操作ユニット5で入力されるオペレータ信号INを処理する。これらの信号に基づき制御装置30は対応する制御信号D(t)を決定し、これによってHF発電機10が調節される。この制御信号D(t)は電圧制御信号
Utargetを含んでいる。HF発電機10が適切な制御を行うことができるようにするため、制御装置30は、電流信号i(t)及び電圧信号u(t)を処理するための種々の演算を行うように構成されたプロセッサと、結果及び/又は設定値及び/又は他のデータが短期間又は継続して記憶されるようにする対応したメモリ装置とを備えている。従って制御装置30は、とりわけ下記に述べる調整器31及び対応する調整ループを実行するように構成されている。
【0031】
図2は、本発明に係るHF発電機10を制御するために用いられる調整ループを概略的に示している。HF発電機10は第1のラインを介して接続された単極電機外科用器具20を動作させる。この電気外科用器具20はHF治療電流Iactualを加えるための第1の電極21を備えている。HF発電機10にラインを介して接続されている第2電極22は、治療すべき組織1に対して直接接触する。これは、治療すべき組織1又は患者の身体と大きな面接触を作り出す中立電極である。
【0032】
調整装置の動作中、実電流Itargetの目標値は操作ユニット5によってプリセットされている。調整器31は比較器又は誤差増幅器34により実電流の目標値Itarget及び実電流Irealから電圧制御記号Utargetを決定する。HF発電機10は対応する電圧を電極21、22に与える。これにより治療電流Iactualが生成される。測定装置50は、電流信号i(t)及び電圧信号u(t)を検出し、実電流計算ユニット33によって実電流Irealを求める。実電流Irealは上述したように誤差増幅器34において治療電流Itargetの設定された目標値と比較され対応する電圧制御信号Utargetに変換される。この電圧制御信号Utargetは、上述したように、HF発電機10に供給される。従って絶えず実電流IrealをHF治療電流Iactualから求める調整ループが生じ、この調整ループにより、実電流Irealと実電流の目標値Itargetとの誤差ができるだけ小さくなるように電圧制御信号Utargetを調整する。
【0033】
本発明の重要な部分は、正確で誤差耐性があるように実電流Ireal又はより一般的に表現すれば上述したシステムの実電力Pと無効電力Qとの比を決定することにある。このため、下記に述べる4つの異なる手法がある。
【0034】
実電流Irealの計算には最初に力率cosφの生成を含んでおり、これは実電流Irealと見かけ上の(皮相)電流Iapparentを相互に関連付けるものである。上記の実施例において、皮相電流Iapparentは治療電流Iactualに対応している。従って、
【0035】
【数6】


電力三角形により、実電力Pと無効電力Qと皮相電力Sとの間には下記の関係が存在する。
【0036】
【数7】

【0037】
第1の実施例においては、実電力Pと無効電力Qを計算するため、ヒルベルト変換を用いる(図3参照)。既知のヒルベルト変換は、周波数と独立し且つ振幅中立の時間信号(frequency-independent and amplitude-neutral phase shift of time signals)を90度だけ移相させるものである。しかしながら、この信号の更なる処理に関する限り、デジタルヒルベルト演算子(これはFIRフィルタとして実行される)がFIR構造に特有なスループット時間を有していることが重要である。従って時系列に関連付けた電流と電圧の値は常に一緒に処理されることが重要である。第1の実施例においては、無効電力平均値Qmは、ヒルベルト演算子を、時間依存電流信号i(t)及び続く遅延電圧信号u(t)に関して適用することにより決定される。無効電力Qの平均値、すなわち無効電力平均値Qmは少なくとも一つの電圧波形期間又は電流波形期間に渡って平均化することにより得られる。実電力平均値Pmの計算は、電流記号i(t)と電圧信号u(t)との直接乗算によって行われ、この場合、ここでも平均化は少なくとも一つの期間にわたって行われる。
【0038】
直角電力三角形における関係(皮相電力Sが斜辺、実電力Pが隣接辺及びQが角度φの反対側)を評価することにより、力率cosφは次の2つの手法(式1も参照)によって計算することができる。
【0039】
【数8】

【0040】
【数9】

【0041】
従って、上述した制御装置30は、実電流Irealをヒルベルト変換を用い、式1及び3又は1及び4により求めることができる。
【0042】
実電力P及び無効電力Qを計算するための第2の手法もヒルベルト変換を用いて提供することができる(図4参照)。この場合は、電圧信号u(t)が変換され遅延電流信号i(t)と乗算される。無効電力平均値Qmは、このようにして計算された値を平均化することにより得られる。実電力平均値Pmは電流信号i(t)と電圧信号u(t)とを乗算しこれらの値を平均化することによって求められる。
【0043】
無効電力平均値Qmと実電力平均値Pmとを用いることにより、力率cosφを上記の式により求めることができるので、実電流Irealと皮相電流Iapparentとの間の関係を確立することが出来る。
実電力Pを決定するための3番目の手法が図5に示されている。まず、電流信号i(t)と電圧信号u(t)が離散又は高速フーリエ変換(DFT、FFT)を受ける。必要な計算量を最小とするため、好ましくはFFTが選ばれる。FFTの結果、複素数値のベクトルが求められ、これは電流信号i(t)の実数部と虚数部から成っている。
【0044】
共役複素数乗算により、電力が得られ、下記の通り実数成分(P)及び無効成分(Q)に分離される。
【0045】
【数10】

【0046】
実電力Pのベクトル値を合計し更に別途無効電力Qを合計することにより、実電力平均値Pm及び無効電力平均値Qmが求められる。力率cosφは、式3又は4を用いることにより上記の通り求めることができる。
【0047】
本発明によれば、皮相電流Iapparentを決定するための2つの手法がある。皮相電流
Iapparentの値はFFTの複素数値から絶対値をとることにより求めることができる。
【0048】
【数11】

あるいは、或る期間に渡る電流の実数値瞬時値の合計を取ればよい。
【0049】
第4の手法においては、実電流Pを、電流ieff及び電圧ueffの実効値から求めることができる。正弦関数の電流及び電圧波形について、実電力Pは力率cosφによって定義される。
【0050】
【数12】

【0051】
実電力Pを実電力平均値Pmと置換えると、力率cosφは、実電力平均値Pm及び電流及び電圧変動値i(t)、u(t)の実効値から求めることができる。このようにして、力率cosφについては下記の式が適応される。
【0052】
【数13】

実電力平均値Pmの計算は、Nサンプル値について下記の通り行うことができる。
【0053】
【数14】


電圧の実効値ueffは、Nサンプル値に渡って下記の式から求められる。
【0054】
【数15】


同様にして、電流の実効値ieffを求めることができる。
【0055】
【数16】

このようにして求めた力率cosφを利用して、電流の実数成分を下記の通り求めることができる。
【0056】
【数17】

【0057】
この最後の手法は、特に、比較的少ない演算を行うことによって実電流Irealが求められるとして特徴付けられる。しかしながら、最近のデジタル信号処理装置を用いて手法1‐3を実行することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1 組織
5 操作ユニット
10 HF発電機
20 電気外科用器具
21 第1電極
22 第2電極
30 制御装置
31 調整器
33 実電流計算ユニット
34 誤差増幅器
50 測定装置
S(t) 皮相電力
D(t) 制御信号
Iactual 治療電流
Itarget 実電流の目標値
Iapparent 皮相電流
Ireal 実電流
Uactual 実電圧
Utarget 電圧制御信号
IN オペレータ信号
S 皮相電力
Q 無効電力
Qm 無効電力の平均値
P 実電力
Pm 実電力の平均値
i(t) 電流信号
ieff 電流の実効値
u(t) 電圧信号
ueff 電圧の実効値
cosφ 力率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織の切断または凝固などの治療を行うための電気外科用発電機であって、
電気エネルギーが該生体組織に与えられるように電圧制御信号(Utarget)により設定されたHF(高周波)電圧をHF治療電流(Iactual)として供給する発電機部(10)と、
該HF治療電流及び該HF電圧を検出して対応する電流信号(i(t))及び対応する電圧信号(u(t))を発生する測定装置と、
該電流信号(i(t))及び電圧信号(u(t))が供給される変換装置であって、該HF治療電流の実数成分(Iactual)に対応する実電流信号が該電流信号(i(t))及び該電圧信号(u(t))から生成されるように構成されたものと、
該実電流信号とプリセット可能な目標値(Qm)とを比較しこの比較に基づいて該電圧制御信号(Utarget)を発生する調整装置とを備え、
該HF治療電流の実数成分が該目標値によって調整可能になっていることを特徴とする電気外科用発電機。
【請求項2】
請求項1において、
該電流信号(i(t))及び該電圧信号(u(t))に基づいて実電力を決定すると共に該実電力をプリセット値に制限する電力制限装置を設けたことを特徴とする電気外科用発電機。
【請求項3】
請求項1又は2において、
該治療電流の実数成分をプリセット値に制限する電流制限装置を設けたことを特徴とする電気外科用発電機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
装着した手術器具(20)及び負荷の実抵抗成分及び/又はリアクタンス性インピーダンス成分の入力及び記憶のためのデータ入力及び/又はデータ記憶装置を設け、該データ入力及び/又はデータ記憶装置が該変換装置に接続され、更に該変換装置が、該HF治療電流(Iactual)の実数成分を計算するときのリアクタンス性インピーダンス成分を含むように構成されていることを特徴とする電気外科用発電機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
該変換装置が次のいずれか1つを用いて実電流信号を生成するコンピュータ装置を備えたことを特徴とする電気外科用発電機。
−ヒルベルト変換、
−離散フーリエ変換(DFT)、
−高速フーリエ変換(FFT)、
−平均電力の生成、
(N)サンプル値から
【数1】

を求め、下式により電圧及び電流の実効値を求め、
【数2】


【数3】

さらに下式により力率を求め、
【数4】

以て該実電流信号が下式で与えられる。
【数5】

【請求項6】
生体組織の治療のためにHF(高周波)電圧でHF治療電流(Iactual)を供給する電気外科用発電機の出力電圧を調整する方法であって、
該HF治療電流及び該HF電圧を検出して対応する電流信号(i(t))及び対応する電圧信号(u(t))を発生すること、
該電流信号(i(t))及び電圧信号(u(t))から該HF治療電流の実数成分を形成し、対応する実電流信号を発生すること、
該実電流信号とプリセット可能な目標値(Qm)とを比較し、この比較に基づいて該電圧制御信号(Utarget)を発生すること、及び
該HF治療電流の実数成分が該目標値に対応するように該出力電圧を調整すること、
を備えたことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6において、
該実電流信号が、下記のいずれか1つを用いて生成されることを特徴とした方法。
−ヒルベルト変換、
−離散フーリエ変換(DFT)、
−高速フーリエ変換(FFT)、
−平均電力の生成、
(N)サンプル値から
【数6】

を求め、下式により電圧及び電流の実効値を求め、
【数7】

【数8】

さらに下式により力率を求め、
【数9】

以て該実電流信号が下式で与えられる。
【数10】

【請求項8】
請求項6又は7において、
該治療電流が不活性ガスプラズマを介して該組織に供給されることを特徴とした電気外科用発電機。
【請求項9】
請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、
不活性ガスプラズマ凝固器具を用いて組織の凝固のための電気外科用発電機を用いる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−526169(P2011−526169A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515147(P2011−515147)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【国際出願番号】PCT/EP2009/003964
【国際公開番号】WO2010/000362
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(503053099)エルベ エレクトロメディツィン ゲーエムベーハー (50)
【Fターム(参考)】