生体適合性および生物活性を改善するための蛋白質の化学修飾
【課題】種々の蛋白質の部位特異的な化学修飾のための新規な方法およびその結果得られる進歩した生体適合性および生物活性を有する組成物を提供する。
【解決手段】N−末端においてのみジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)により修飾されたDTPA−蛋白質単量体を含有する、又は各々のN−末端においてのみジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)により修飾されたDTPA−蛋白質二量体を含有する注射用医薬組成物。
【解決手段】N−末端においてのみジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)により修飾されたDTPA−蛋白質単量体を含有する、又は各々のN−末端においてのみジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)により修飾されたDTPA−蛋白質二量体を含有する注射用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広範には生物活性蛋白質またはその類似体の化学修飾に関する(本明細書中「蛋白質」という用語は特段の記載が無い限り「ポリペプチド」または「ペプチド」と同義とする)。特に本発明は種々の蛋白質の部位特異的な化学修飾のための新規な方法およびその結果得られる組成物を記載するものである。
【背景技術】
【0002】
遺伝子工学光学および細胞工学の最近の進歩により、種々のインビボ薬理作用を示すことが知られている蛋白質を医薬品用途のために大量に製造できるようになった。このような蛋白質にはエリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターフェロン(α、β、γ、コンセンサス)、腫瘍壊死因子結合蛋白質(TNFbp)、インターロイキン−1受容体拮抗剤(IL−1ra)、脳由来神経栄養性因子(BDNF)、角質細胞増殖因子(KGF)、幹細胞因子(SCF)、巨核球生育分化因子(MGDF)、オステオプロテゲリン(OPG)、膠細胞系統由来神経栄養性因子(GDNF)および肥満蛋白質(OB蛋白質)が包含される。OB蛋白質は本明細書ではレプチンとも称する。
【0003】
顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)は造血前駆細胞から好中球への分化を誘発し成熟好中球の活性を亢進させる糖蛋白質である。大腸菌内で発現させた組み換えヒトG−CSF(rhG−CSF)は175のアミノ酸を含み、18,798Daの分子量を有し、そして、生物学的に活性である。現在Filgrastimという組み換えG−CSFが治療用に使用できる。
【0004】
種々の条件下のG−CSFの構造がLu等のJ.Biol.Chem.Vol.267,8770−8777(1992)などで盛んに研究されており、最近rhG−CSFの三次元構造がX線結晶分析により測定された。G−CSFは4つのα−ヘリックス束と2つの長重複連結部の構造モチーフを共有する増殖因子のクラスのメンバーである(Hill等、P.N.A.S.USA,Vol.90,5167−5171(1993))。このファミリーはGM−CSF、生育ホルモン、インターロイキン−2、インターロイキン−4、および、インターフェロンβを包含する。2次構造の範囲は溶媒のpHに影響を受けやすく、蛋白質は酸性pHにおいてより高度のαヘリックス含量となる(Lu等、Arch.Biochem.Biophys.,286,81−92(1989))。
【0005】
レプチンはob/ob突然変異マウス(OB遺伝子産物の生産における欠損による肥満マウス)と正常な野生型マウスの双方においてインビボの活性を示す。生物活性はとりわけ体重減少において顕在化する。一般的文献としてはBarinagaの”Obese” Protein Slims Mice(Science 269:475−476(1995))およびFriedmanの”The Alphabet of Weight Control” (Nature385:119−120(1997))が参照できる。例えば、ob/ob突然変異マウスにおいては、レプチンの投与により血清中インシュリン濃度および血清中グルコース濃度が低下する。また、レプチンの投与により体脂肪が減少することも知られている。このことはob/ob突然変異マウスと非肥満正常マウスの双方で観察されている。Pelleymounter等,Science 269:540−543(1995)、Halaas等、Science 269:543−546(1995)が参照できる。またCampfield等のScience 269:546−549(1995)も参照できる(マイクログラム用量のレプチンを末梢および中枢に投与した場合、摂餌量の低下と体重減少はob/obおよび食餌誘発肥満マウスでは観察されたが、db/db肥満マウスでは観察されなかった)。前記した報告の何れにおいても、最高用量においてさえ毒性は観察されていない。
【0006】
動物モデルに置ける予備レプチン誘発体重減少試験はヒトの肥満を効果的に治療するためには高濃度のレプチン製剤を長期投与する必要性があることを予測するするものである。0.5乃至は1.0mg/kg/日以下のようなキログラム体重当たりミリグラム水準の蛋白質の用量が、ヒトのようなより大型の哺乳類への治療有効量の注射のためには望ましい。即ち、患者にとって不快であり、あるいは痛みを伴う可能性のある大容量注射を避けるためには、蛋白質濃度の上昇が必要となる。
【0007】
残念なことに、ヒトにおける注射のための医薬組成物の調製に関しては、レプチンのアミノ酸配列が約2mg活性蛋白質/ミリリットル液体を超えるような比較的高濃度では生理学的pHで不溶性であることが観察されている。生理学的条件下でレプチンの溶解度が低いことは、低pH製剤中で高用量を投与する際の濃度依存的な注射部位におけるレプチンの沈殿物の形成に寄与すると考えられる。観察されるレプチンの沈殿に伴い、注射部位に炎症応答が起こり、これには好酸球、マクロファージおよび巨大細胞の存在を特徴とする混合細胞浸潤が含まれる。
【0008】
今日まで、生理学的pHにおける少なくとも約2mg/mlの濃度のヒトOB蛋白質の安定な製剤に関する報告は無く、更に、少なくとも約50mg/ml以上の活性ヒトOB蛋白質の安定な濃度の報告も無い。前記した問題を伴うことなく高用量を可能にするレプチン形態の開発は大きな利益をもたらすと考えられる。従って、本発明の1つの目的は蛋白質の部位特異的化学修飾によりレプチンの進歩した形態を与えることである。
【0009】
有用な治療用蛋白質の化学修飾の方法が幾つか報告されている。その内の1つであるスクシニル化では、1つ以上のスクシニル部分を生物学的に活性な蛋白質に結合させる。スクシニル化の伝統的方法は極めて過剰量の無水コハク酸を用いたアルカリ反応条件を用いている。得られるスクシニル蛋白質コンジュゲートは典型的には複数の部位で修飾されており、異なった3次および4次構造を示す場合が多く、しばしば不活性化される。種々のスクシニル化蛋白質の特性についてはHolcenberg等のJ.Biol.Chem.,250:4165−4170(1975)および1988年3月10日公開のWO88/01511(およびその引用文献)に記載されている。重要な点は、引用文献の何れも、生物学的に活性な蛋白質が蛋白質のN−末端のみにおいてモノスクシニル化され、そして、得られる組成物が進歩した溶解度および進歩した注射部位における毒性を示すような方法を記載していないということである。
【0010】
ジエチレントリアミン5酢酸無水物(DTPA)およびエチレンジアミン4酢酸2無水物(以後EDTA2と記載する)は放射標識の目的のために蛋白質に金属キレート形成部位を導入するために伝統的に用いられている。スクシニル化の場合と同様、DTPAおよび/またはEDTA2による修飾は典型的には分子全体に渡る複数の部位で起こり、修飾された蛋白質の電荷と等電点を変化させる。今日まで、溶解度および注射部位における毒性の改善を示すDTPA−および/またはEDTA2−蛋白質の単量体および二量体の報告は無い。
【発明の開示】
【0011】
本発明は化学修飾された蛋白質、例えば、レプチンおよびG−CSFの実質的に均質な製剤およびその製造方法に関する。意外にも、レプチンの部位特異的化学修飾が他のレプチン種で観察されなかった生物学的利用性および生物学的適合性における利点を示した。重要な点は、本明細書に記載する方法が他の蛋白質(またはその類似体)並びにレプチンに広範に適用できる点である。即ち、以下に詳述する通り、本発明は蛋白質(またはその類似体)の化学修飾並びに特定の蛋白質の特異的修飾に関する多くの特徴を有する。
【0012】
1つの態様において、本発明は、モノスクシニル化レプチン(またはその類似体)の実質的に均質な製剤および関連の方法に関する。重要な点は、記載する方法がN−末端においてのみ修飾されているモノスクシニル化蛋白質を高収率で与え、これにより、他の物質種と比較して工程上の利点を与えるという点である。更に、少ないN−末端修飾にもかかわらず、モノ置換されたスクシニル−レプチンは意外にも、1)溶解度の実質的な改善、2)二次構造、インビトロの受容体結合活性およびインビボの生体力価の保持、および、3)非修飾レプチンの高濃度投与で観察された重度の注射部位反応の緩解をもたらした。
【0013】
別の態様において、本発明は、モノスクシニル化されたG−CSFおよびその類似体の実質的に均質な製剤および関連の方法に関する。重要な点は、モノ置換されたスクシニル−G−CSFおよびモノ置換されたスクシニル−G−CSF類似体が意外にも溶解度の実質的改善、4℃および37℃における物理学的安定性、および、インビトロの生物活性の保持を示した点である。
【0014】
別の態様において、本発明はDTPA−レプチン単量体および二量体の実質的に均質な製剤および関連の方法に関する。中性pHでレプチンおよび僅かに化学量論的に過剰なDTPA:蛋白質を用いて反応させた場合、前記試薬は意外にも2個のレプチン分子のN−末端の間の単一の交差結合を高収率で形成した。モノ置換されたDTPA−レプチン単量体および二量体を単離した場合、両方とも、非修飾の蛋白質と比較して実質的に高い溶解度を示す。両方ともインビトロの受容体結合活性およびインビボの生体力価の保持も示す。有意義な点は、モノ置換されたDTPA−レプチンの二量体型がPBS中高濃度で注射しても沈殿せず、非修飾のレプチンで観察されたものと比較して注射部位の反応が極めて改善されていた点である。
【0015】
更に別の態様において、本発明はEDTA2無水物(EDTA2)−レプチン単量体および二量体の実質的に均質な製剤および関連の方法に関する。構造に関してDTPAと同様、EDTA2は化学量論的過剰量未満で中性pHで反応させた場合にN−末端を介して効率的にレプチンと交差結合する。単離したEDTA2−レプチン二量体は非修飾のレプチンと比較して劇的に向上した溶解度を示し、インビトロの受容体結合活性およびインビボの生物活性も完全に維持している。更に、EDTA2−レプチンコンジュゲートはPBS中高濃度で投与しても注射部位において沈殿せず、非修飾のレプチンで観察された注射部位の副反応の点でも実質的な改善を示した。
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は化学修飾蛋白質の実質的に均質な製剤およびそのための方法に関する。本明細書における「実質的に均質な」とは、観察される化学修飾された蛋白質のみが1つの「修飾物質」(例えばDTPA、EDTA2、スクシニル)部分を有するものであることを意味する。製剤は未反応(即ち修飾物質部分を欠く)蛋白質を含有してもよい。ペプチドマッピングおよびN−末端配列決定により確認されるとおり、以下に示す1つの例は少なくとも90%が修飾蛋白質であり最大10%が非修飾蛋白質である製剤を与えるものである。好ましくは、化学修飾物質は製剤の少なくとも95%(以下の製造実施例に示すとおり)であり、そして好ましくは化学修飾物質は製剤の99%以上である。化学修飾物質は生物活性を有する。本明細書において示す本発明の「実質的に均質な」モノスクシニル化蛋白質、DTPA−レプチン、および、EDTA2−レプチンの製剤は、均質な製剤の利点、例えば、ロット毎の薬物動態が予測可能な臨床的用での容易性を示すために十分均質なものである。
【0017】
本明細書においては、生物活性剤とは組み換えまたは天然の蛋白質であって、ヒトまたは動物を問わず、予防、治療または診断用とにおいて有用なものを指す。生物活性剤は天然、合成、半合成のものまたはその誘導体であることができる。更に、本発明の生物活性剤は知覚可能である。広範囲の生物活性剤が例示できる。その例としては、ホルモン類、サイトカイン類、造血因子、増殖因子、抗肥満因子、栄養因子、抗炎症因子および酵素が包含されるが、これらに限定されない(有用な生物活性剤のその他の例については米国特許第4,695,463号を参照できる)。当業者は本発明の組成物に所望の生物活性剤を容易に適合させることができる。
【0018】
このような蛋白質はインターフェロン類(米国特許第5,372,808号、第5,541,293号、第4,897,471号および第4,695,623号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、インターロイキン類(米国特許第5,075,222号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、エリスロポエチン類(米国特許第4,703,008号、第5,441,868号、第5,618,698号、第5,547,933号および第5,621,080号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、顆粒球コロニー刺激因子(米国特許第4,810,643号、第4,999,291号、第5,581,476号、第5,582,823号およびPCT公開94/17185号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、幹細胞因子(PCT公開91/05795号、92/17505号および95/17206号参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、およびレプチン(OB蛋白質)(PCT公開96/40912号、96/05309号、97/00128号、97/01010号および97/06816号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)を包含するがこれらに限定されない。1996年2月22日に公開された「Modulators of Body Weight,Corresponding Nucleic Acids and Proteins,and Diagnostic and Therapeutic Uses Thereof」と題されるPCT公開WO96/05309号はOB蛋白質および関連の組成物および方法を完全に記載しており、参考のために本明細書に組み込む。ヒトOB蛋白質のアミノ酸配列はWO96/05309の配列番号4および6(公開明細書の172および174ページ)として記載されており、成熟蛋白質の最初のアミノ酸残基は22位にあり、バリン残基である。成熟蛋白質は146残基(あるいは、49位のグルタミンが非存在の配列番号4の場合は145残基)よりなる。
【0019】
一般的に、本発明の実施において有用なG−CSFは哺乳類生物から単離される形態、または、化学合成法の、または、ゲノムまたはcDNAクローニングによるかまたはDNA合成により得られる外因性DNA配列の原核または真核生物宿主発現の産物であってよい。適当な原核生物宿主には種々の細菌(例えば大腸菌)が包含され、適当な真核生物宿主には酵母(例えば、S.cerevisiae)および哺乳類細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞、サル細胞)が包含される。使用する宿主に応じて、G−CSF発現産物は哺乳類または他の真核生物の炭水化物でグリコシル化してよく、あるいは、非グリコシル化状態であってもよい。G−CSF発現産物はまた最初のメチオニンアミノ酸残基を(−1位に)含んでいてもよい。組み換えG−CSF、特に大腸菌由来のものが、とりわけ商業的現実性が高いことから好ましく用いられるものの、本発明は前記した形態のG−CSFの何れかおよび全ての使用を意図している。
【0020】
特定のG−CSF類似体が生物学的機能を有するものとして報告されており、これらもまた化学修飾してよい。G−CSF類似体は米国特許第4,810,643号に記載されている。生物活性を有すると報告されている他のG−CSF類似体の例としては、報告されている各類似体の活性に関する記述は無いが、AU−A−76380/91号、EP 0 459 630号、EP 0 272 703号、EP 0 473 268号およびEP 0 335 423号に記載されているものが挙げられる。更にまたAU−A−10948/92号、PCT US94/00913号およびEP 0 243 153号も参照できる。一般的に、本発明において有用なG−CSFおよびその類似体は本明細書に記載する化学修飾法を実施し、そして、得られた産物が所望の生物学的特性を有するかどうか試験すること、例えば本明細書に記載する生物活性検定により確認してよい。当然ながら、所望により、非ヒト哺乳類を治療する際には、マウス、ウシ、イヌ由来組み換え体等、組み換え非ヒトG−CSFを使用してよい。例えばPCT WO 9105798号およびPCT WO 8910932号を参照できる。
【0021】
更に、生物活性剤にはまたインシュリン、ガストリン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン類(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、濾胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、モチリン、インターフェロン類(α、β、γ)、インターロイキン類(IL−1〜IL−12)、腫瘍壊死因子(TNF)、腫瘍壊死因子結合蛋白質(TNF−bp)、脳由来神経栄養性因子(BDNF)、膠細胞由来神経栄養性因子(GDNF)、神経栄養性因子3(NT3)、腺維芽細胞増殖因子(FGF)、神経栄養性増殖因子(NGF)、骨増殖因子例えばオステオプロテグリン(OPG)、インシュリン様増殖因子(IGF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、巨核球由来増殖因子(MGDF)、角質細胞増殖因子(KGF)、トロンボポエチン、血小板由来増殖因子(PGDF)、コロニー刺激増殖因子(CSF)、骨形態形成蛋白質(BMP)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、組織プラスミノーゲン活性化物質(TPA)、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよびカリクレインが包含されるが、これらに限定されない。本明細書においては蛋白質という用語はペプチド、ポリペプチド、コンセンサス分子、類似体、誘導体、または、それらの組み合わせを包含するものとする。
【0022】
一般的に、本発明には、化学修飾蛋白質または誘導産物の有効量を投与に必要な製薬上許容しうる希釈剤、保存料、可溶化剤、乳化剤、補助剤および/または担体と供に含有する医薬組成物が包含される(PCT 97/01331が参照され、参考のために本発明に組み込まれる)。所望の生物活性剤のための最適な医薬製剤は投与経路および所望の用量に応じて当業者が決定する。例示される医薬組成物はRemington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co.,18th Ed., Easton, PA, pgs.1435−1712(1990))に開示されている。本発明の医薬組成物は経口用製剤および非経口用製剤(例えば筋肉内、皮下、経皮、内臓、IV(静脈内)、IP(腹腔内)、関節内、耳内設置、ICV(脳室内)、IP(腹腔内)、動脈内、包膜内、嚢胞内、眼窩内、注射、肺内、鼻内、肛門内、および、子宮内−経粘膜投与用の製剤)により投与してよい。
【0023】
本発明の組成物の治療用途は使用される生物活性剤に応じて異なる。当業者は所望の生物活性剤をその意図する治療用途のために本発明に容易に当てはめることができる。そのような治療用途は図面と供に参考のために本発明に組み込まれる以下に示す出版物により詳細に記載されている。治療用途にはインターフェロン類(米国特許第5,372,808号、第5,541,293号参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、インターロイキン類(米国特許第5,075,222号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、エリスロポエチン類(米国特許第4,703,008号、第5,441,868号、第5,618,698号、第5,547,933号および第5,621,080号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、顆粒球コロニー刺激因子(米国特許第4,999,291号、第5,581,476号、第5,582,823号、第4,810,643号およびPCT公開94/17185号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、幹細胞因子(PCT公開91/05795号、92/17505号および95/17206号参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、およびOB蛋白質(PCT公開96/40912号、96/05309号、97/00128号、97/01010号および97/06816号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)のような蛋白質のための使用が包含されるがこれらに限定されない。更に本発明の組成物は生物活性剤により治療されることを意図する症状の治療または緩解のための複数の医薬の製造のためにも使用してよい。
【0024】
モノスクシニル化蛋白質の実質的に均質な製剤の製造のための方法の第1の実施態様は、(a)無水コハク酸3〜7倍モル過剰量に蛋白質を反応させること;(b)4℃において2〜16時間前記反応混合物を攪拌すること;(c)20mMトリス−HCl、pH7.2に対して前記混合物を透析すること;および(d)前記モノスクシニル化蛋白質を単離することを包含する。場合により、方法は、段階(b)の直後に、ヒドロキシルアミンが完全に溶解するまでpHを6.5より高値に維持しながら前記混合物に固体ヒドロキシルアミンを添加する段階、次いで5NNaOHを用いてpHを8.5まで高める段階、次いで、前記混合物を4℃でさらに1〜2時間攪拌することを包含する段階ができる。一般的な工程を実施例1に模式的に示す。
【0025】
DTPA−蛋白質の実質的に均質な製剤の製造のための方法の第1の実施態様は、(a)DTPA1〜5倍モル過剰量に蛋白質を反応させること;(b)4℃において2〜16時間前記反応混合物を攪拌すること;(c)20mMトリス−HCl、pH7.2に対して前記混合物を透析すること;および(d)前記DTPA−蛋白質を単離することを包含する。一般的な工程を実施例1に模式的に示す。
【0026】
EDTA2−蛋白質の実質的に均質な製剤の製造のための方法の第1の実施態様は、(a)EDTA2の0.5〜5倍モル過剰量に蛋白質を反応させること;(b)4℃において2〜16時間前記反応混合物を攪拌すること;(c)前記反応混合物を濾過すること;(d)前記反応混合物を濃縮すること;および(e)前記EDTA2−蛋白質を単離することを包含する。一般的な工程を実施例1に模式的に示す。
【0027】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するために提示するものであり、本発明の範囲を限定する意図はない。実施例1はモノスクシニル化レプチン、モノ置換DTPA−レプチンの単量体および二量体、および、EDTA2−レプチンの単量体および二量体の製剤を記載するものである。実施例2は実施例1で調製した修飾レプチン種の物理化学同定を記載するものである。実施例3は実施例1で調製した修飾レプチン種に対して実施した受容体結合試験を記載するものである。実施例4は実施例1で調製した修飾レプチン種に対して実施した溶解度試験を記載するものである。実施例5は実施例1で調製した修飾レプチン種に対して実施したインビボの生物活性試験を記載するものである。実施例6は実施例1で調製した修飾レプチン種に対して実施した注射部位評価を記載するものである。実施例7はモノスクシニル化G−CSFおよびモノスクシニル化G−CSF(C17A)類似体の製剤について記載するものであり、更に、製剤に関するインビトロの生物活性試験、溶解度検定試験、および、物理的安定性試験を記載するものである。
【実施例1】
【0028】
本実施例はモノスクシニル化レプチン、モノ置換DTPA−レプチンの単量体および二量体、およびEDTA2−レプチンの単量体および二量体の製剤を記載するものである。
【0029】
1.モノスクシニル化レプチン
本発明の蛋白質スクシニル化方法は一般的に以下の通り説明できる。
【0030】
【化1】
【0031】
組み換えヒトメチオニルレプチン(rhu−met−レプチン)蛋白質(後述する材料および方法に記載の通り調製)を2〜3mg/mLの濃度で20mM NaHPO4、pH7.0中、3〜7倍モル過剰量の固体無水コハク酸(Sigma Chemical, St.Louis,MO)、好ましくは5倍モル過剰量と反応させ、反応混合物を4℃で2〜16時間攪拌した。次ぎに固体ヒドロキシルアミン(Sigma Chemical, St.Louis,MO)を反応混合物に添加し、その間pHを6.5より高値に維持した。ヒドロキシルアミンが完全に溶解した後、5NのNaOHを用いてpHを8.5まで上昇させ、反応混合物をさらに1〜2時間4℃で攪拌した(収率が僅かに低下するがヒドロキシルアミン工程は省略してもよい)。最後に、反応混合物を20mMのトリス−塩酸、pH7.2に対して透析する。
【0032】
モノスクシニル化rhu−met−レプチンを20mMトリス、pH7.2中、0〜0.5MのNaClの勾配溶離によるHigh Performance Sepharose Qカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより単離する(図1参照)。生成物は5%ポリアクリルアミド、pH3〜7のゲル(Novex,Inc., San Diego,CA)を用いた等電点電気泳動(IEF)PAGEにより観察される−0.7pI単位の等電点シフトにより溶出液中に確認される(図2)。モノスクシニル化rhu−met−レプチンの最終回収率は典型的には45〜47%である。
【0033】
2.モノ置換されたDTPA−レプチンの単量体および二量体
本発明のDTPA修飾法は一般的に以下の通り説明できる。
【0034】
【化2】
【0035】
組み換えヒトメチオニルレプチン(rhu−met−レプチン)蛋白質(後述する材料および方法に記載の通り調製)を2〜3mg/mLの濃度で20mM NaHPO4、pH7.0中、1〜5倍モル過剰量の固体DTPA(Sigma Chemical, St.Louis,MO)、好ましくは2〜3倍モル過剰量と反応させ、反応混合物を4℃で2〜16時間攪拌した。最後に、反応混合物を20mMのトリス−塩酸、pH7.2に対して透析する。DTPA修飾rhu−met−レプチンを20mMトリス、pH7.2中、0〜0.5MのNaClの勾配溶離によるHigh Performance Sepharose Qカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより単離する。あるいは、モノ置換されたDTPA−rhu−met−レプチンまたはrhu−met−レプチンの単量体型および二量体型をPBS中Sephacryl 100カラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)上のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィーにより分離する(Life Technologies,Grand Island,NY)(図3参照)。生成物は5%ポリアクリルアミド、pH3〜7のゲル(Novex,Inc., San Diego,CA)を用いた等電点電気泳動(IEF)PAGEによる単量体DTPA−レプチンで観察される等電点シフトにより(図2)、または、4〜20%ポリアクリルアミドゲル(Novex,Inc.,San Diego,CA)を用いたSDS−PAGEで観察される交差結合二量体の質量の増大により(図4参照)、溶出液中に確認される。DTPA−rhu−met−レプチンの最終回収率は約30%である。
【0036】
3.モノ置換されたEDTA2−レプチンの単量体および二量体
本発明のEDTA2修飾法は一般的に以下の通り説明できる。
【0037】
【化3】
【0038】
組み換えヒトメチオニルレプチン(rhu−met−レプチン)蛋白質(後述する材料および方法に記載の通り調製)を2〜3mg/mLの濃度で20mM NaHPO4、pH7.0中、固体の、または、DMSOに溶解した0.5〜5倍モル過剰量のEDTA2(Aldrich Chemical Co., Milwaukee,WI)、好ましくは、DMSO中0.75倍モル過剰量のEDTA2と反応させ、反応混合物を4℃で2〜16時間攪拌した。
【0039】
次ぎに反応混合物を0.45ミクロンのフィルター(Nalgene)で濾過し、〜20mg/mLまで10kDa分子量カットオフ膜上の攪拌セルにより濃縮し、そして、次ぎにモノ置換EDTA2−rhu−met−レプチンの単量体型および二量体型をPBS中平衡化したSephacryl 100カラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)上のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィーにより分離する(図5参照)。あるいは、20mM NaHPO4、pH7.0中0.8〜0Mの硫酸アンモニウムの勾配溶離によるHigh Performance Phenyl−Sepharoseカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)を用いた疎水性相互作用クロマトグラフィーにより反応混合物を精製してよい。生成物は、5%ポリアクリルアミド、pH3〜7のゲル(Novex,Inc., San Diego,CA)を用いた等電点電気泳動(IEF)PAGEによる単量体EDTA2−rhu−met−レプチンで観察される等電点シフトにより(図2)、または、4〜20%ポリアクリルアミドゲル(Novex,Inc.,San Diego,CA)を用いたSDS−PAGEで観察される交差結合二量体の質量の増大により(図4参照)、溶出液中に確認される。EDTA2−rhu−met−レプチン二量体の最終回収率は50%を超える。
【実施例2】
【0040】
本実施例は実施例1で調製したレプチンコンジュゲートゲートの物理化学的同定について記載するものである。スクシニル−レプチン、DTPA−レプチンの単量体および二量体、および、EDTA2−レプチンの単量体および二量体の修飾を、逆相HPLC上のLys−C消化のペプチドマッピング、MALDI−TOF質量スペクトル分析およびペプチド配列決定の組み合わせにより評価した。
【0041】
非修飾レプチンおよび種々の修飾レプチンのLys−C消化は、室温で4時間50mMトリス−塩酸、pH8.5(200μL)中エンドプロテイナーゼLys−C(Boehringer Mannheim)4μgに蛋白質100μgを反応させることにより実施した。種々の試料のペプチドマップは0〜90%アセトニトリルの勾配溶離による0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)で平衡化した4.6×250mm、5μC4カラム(Vydak,Hesperia,CA)上の逆相HPLCにより求めた(図6〜8参照)。図6〜8に示したプロットから明らかなとおり、N−末端ペプチド(M1−K6)のみが化学修飾の結果として保持時間の何らかの変化を示している。この結果は6位のリジンは非修飾であり、Lys−C消化に供され得ることを示しており、化学修飾がN−末端のα−アミンで起こることを示唆している。N−末端修飾は更にN−末端配列の寄与も受けており、このことはN−末端がブロックされていることを示唆している(データは示さず)。
【0042】
スクシニル−レプチンおよびDTPA−およびEDTA2−レプチンの二量体の質量の測定は、シナピン酸マトリックス中12pmolの試料を用いてKompact Maldi IV(Kratos,Ramsey,NJ)において実施した。各コンジュゲートは分子当たり単一の化学修飾を示している。
【0043】
【表1】
【0044】
前記した分析に加えて、スクシニル−レプチンの2次構造に対する作用を円偏光二色性スペクトル分析を用いて評価した。リン酸緩衝食塩水中の非修飾およびスクシニル化されたレプチンの遠UV円偏光二色性スペクトルをJasco J−710円偏光二色性分光分析器(Jasco,Tokyo,Japan)中0.05cmのセルを用いて取得した。スペクトルは図9に示す通りであり、スクシニル化−レプチンの2次構造が維持されていることを示している。
【0045】
全体として、実施例2のデータはN−末端におけるスクシニル−レプチン、DTPA−レプチンの単量体および二量体、および、EDTA2−レプチンの単量体および二量体の修飾、並びに、スクシニル−レプチンの2次構造の維持を裏付けるものである。
【実施例3】
【0046】
本実施例は実施例1で調製したレプチンコンジュゲートの各々に対して実施した受容体結合試験を記載するものである。実施例1で調製したレプチンコンジュゲートの各々を、固定化細胞膜内で発現したヒトレプチン受容体における放射標識ヒトレプチンとの置換能力に基づいてレプチンコンジュゲートの相対親和性を測定するインビトロの受容体結合検定を用いて評価した。図10のデータから明らかなとおり、化学修飾されたイソフォームであるスクシニル−、DTPA−、およびEDTA2−レプチンの各々はリガンド結合の全域(〜1から100ng/mL)に渡り非修飾レプチンと等しいヒトレプチン受容体に対する相対的親和性を示し、そのED50値は約10ng/mLであった。
【0047】
即ち、実施例3のデータはモノ置換スクシニル−レプチン、モノ置換DTPA−レプチンの二量体、および、EDTA2−レプチンの二量体が、非修飾レプチンと比較して、インビトロの受容体結合活性を保持していることを示している。
【実施例4】
【0048】
本実施例は実施例1で調製したレプチンコンジュゲートの各々に対して実施した溶解度試験を記載するものである。レプチンコンジュゲートをPBS中に透析し、次ぎにCentriPrep濃縮器、10kDa分子量カットオフ(Amicon)で、沈殿が観察されるようになるまで濃縮した。試料を遠心分離して清澄化し、上澄みのコンジュゲート蛋白質濃度を測定した。次ぎに試料を48時間室温(約22℃)に維持し、一定時間間隔で遠心分離し、上澄みのコンジュゲート蛋白質濃度を反復測定した。即ち、PBS中のコンジュゲート蛋白質の溶解度は遠心分離後の上澄み中で観察される室温における定常状態の蛋白質の濃度として定義される(表2参照)。
【0049】
【表2】
【0050】
表2は非修飾レプチンと比較して、モノ置換スクシニル−レプチン、モノ置換DTPA−レプチン、および、モノ置換EDTA2−レプチンが実質的に改善された溶解度を有し、モノ置換EDTA2−レプチンの溶解度が劇的に上昇していたことを示している。
【実施例5】
【0051】
本実施例は実施例1で調製したレプチンコンジュゲートに対して実施したインビボの生物活性試験を記載するものである。記載したレプチンコンジュゲートをマウスおよびイヌの両方の動物モデルで試験し、非修飾レプチンに対する相対的な生体力価を測定した。モノ置換スクシニル−レプチン、DTPA−レプチン二量体、DTPA−レプチン単量体およびEDTA2−レプチン二量体を1、10および50mg/kg体重の用量で5〜7日間毎日マウスに注射した。生体力価は、溶媒のみの対照群に対して標準化し、非修飾蛋白質で観察された体重減少と比較した場合の、0日目からの体重の%減少として測定した。1および10mg/kgの用量の全試料はそれぞれPBS中0.2および2.0mg/mlに調製した。より高用量のものは、化学修飾型については、PBS中20〜50mg/mlに調製したが、非修飾レプチンの溶解度の限界のために、高濃度の調製はpH4の酢酸緩衝液中で行うことが必要であった。更にイヌには28日間に渡り、5mg/mlの濃度でスクシニル−レプチンを0.05、0.15および0.5mg/kgの1日当たり用量で注射し、その間、体重をモニタリングし、その後、回復期間を設けた。
【0052】
スクシニルレプチンに関して動物モデルにおける薬物誘導体重減少により判断される生物活性は、イヌおよびマウスの双方で非修飾レプチンと同等であった(図11)。同様に、DTPA−レプチンの単量体と二量体およびEDTA2−レプチン二量体の何れも、非修飾レプチンと同等の体重減少をマウスにおいてもたらした(図11および12)。
【0053】
図11および12のデータはモノ置換スクシニル−レプチン、モノ置換DTPA−レプチンの単量体および二量体、および、EDTA2−レプチンの二量体が、非修飾レプチンと比較して、インビボの生体力価を維持していたことを示している。
【実施例6】
【0054】
本実施例は実施例1で調製したレプチンコンジュゲートに対して実施した注射部位評価を記載するものである。各投与群3匹のマウスの注射部位から得た組織切片を組織化学的に検査した。確認され評点された注射部位の病理特徴は、壊死、化膿(好酸球および好中球よりなる混合細胞浸潤)、単核細胞(マクロファージ)、レプチン沈殿(微細沈殿または大型の沈着/凝集の何れかを特徴とする)および巨大細胞であった。各反応は以下の等級付け方法を用いて評点した。
【0055】
0.5〜1 最小限の変化
1.5〜2 軽度の変化
2.5〜3 中等度の変化
3.5〜4 顕著な変化
4.5〜5 極度の変化
【0056】
各動物の評点の合計の平均を用い、以下の評点基準に従って全体の生体適合性評点を定義した。
【0057】
0〜2 正常
3〜5 最小限
6〜10 軽度
11〜20 中等度
21〜30 顕著
>30 重度
【0058】
高濃度のスクシニル−レプチンはpH7.0のPBS中の溶解度は限られたものであったが、注射部位試験の目的のためには、20mg/mlのスクシニル−レプチンの試料はpH7.2のPBS中、および50mg/mlはpH7.5のPBS中で可溶性を維持していた。表3は、7日後の、pH4.0の酢酸緩衝液中50mg/mLの非修飾レプチンとpH7.5のPBS中50mg/mLのモノ置換スクシニル−レプチンを比較した注射部位の評価を示す。
【0059】
【表3】
【0060】
表3から明らかなとおり、高濃度で投与したモノ置換スクシニル−レプチンは非修飾レプチンと比較して注射部位の病理特徴の何れの項目においても改善性を示しており、最も劇的な改善は、注射部位におけるレプチン沈殿および巨大細胞のほぼ完全な消失として観察された。
【0061】
表4は、7日後の、pH4.0の酢酸緩衝液中43mg/mLの非修飾レプチンとpH4.0の酢酸緩衝液中43mg/mLのモノ置換スクシニル−レプチンを比較した注射部位の評価を示す。
【0062】
【表4】
【0063】
表4のデータは意外にも、高濃度のモノ置換スクシニル−レプチンがpH4の酢酸緩衝液中に処方でき、更になお、モノ置換スクシニル−レプチンをPBS中に処方した場合に観察された注射部位の反応を劇的に改善したことを示している。
【0064】
表5は、7日後の、pH4.0の酢酸緩衝液中20mg/mLの非修飾レプチンとPBS中20mg/mLのモノ置換DTPA−レプチン二量体を比較した注射部位の評価を示す。
【0065】
【表5】
【0066】
表6は、7日後の、pH4.0の酢酸緩衝液中20mg/mLの非修飾レプチンとPBS中20mg/mLのモノ置換EDTA2−レプチン二量体を比較した注射部位の評価を示す。
【0067】
【表6】
【0068】
表5および6に示すとおり、DTPA−レプチン二量体(表5)およびEDTA2−レプチン二量体(表6)はPBS中高濃度でマウスに投与でき、スクシニル−レプチンで観察された注射部位の病理特徴を同様に改善することを示している。しかしながらこれらのコンジュゲートはpH7のPBSには実質的により可溶であり、このため、この緩衝液中ではより極端な調製も可能とする。
【0069】
全体として、実施例6のデータは、モノ置換スクシニル−レプチン、モノ置換DTPA−レプチンの単量体および二量体、および、EDTA2−レプチンの単量体および二量体は高濃度で投与された場合に注射部位で沈殿しないことを示しており、そして、重要な点は、非修飾レプチンで観察された注射部位の副反応を実質的に改善していることを示している点である。
【実施例7】
【0070】
本実施例はモノスクシニル化G−CSFおよびモノスクシニル化G−CSF(C17A)類似体の製剤を記載し、次ぎに、G−CSF製剤に関するインビトロの生物活性試験、溶解度検定試験および物理的安定性試験の結果を記載するものである。
【0071】
組み換えヒト−メチオニル−G−CSF(rhu−met−G−CSF)蛋白質およびG−CSF(C17A)類似体(後述する材料および方法に記載の通り調製)を2〜3mg/mLの濃度で20mM NaHPO4、pH7.0中、3〜7倍モル過剰量の固体無水コハク酸(Sigma Chemical, St.Louis,MO)、好ましくは5倍モル過剰量と反応させ、反応混合物を4℃で2〜16時間攪拌した。次ぎに固体ヒドロキシルアミン(Sigma Chemical, St.Louis,MO)を反応混合物に添加し、その間pHを6.5より高値に維持した。ヒドロキシルアミンが完全に溶解した後、5NのNaOHを用いてpHを8.5まで上昇させ、反応混合物をさらに1〜2時間4℃で攪拌した(収率が僅かに低下するがヒドロキシルアミン工程は省略してもよい)。最後に、反応混合物を20mMのトリス−塩酸、pH7.2に対して透析する。
【0072】
モノスクシニル化rhu−met−G−CSF(および類似体)を20mMトリス、pH7.2中、0〜0.5MのNaClの勾配溶離によるHigh Performance Sepharose Qカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより単離する。生成物は5%ポリアクリルアミド、pH3〜7のゲル(Novex,Inc., San Diego,CA)を用いた等電点電気泳動(IEF)PAGEにより観察される−0.7pI単位の等電点シフトにより溶出液中に確認される。モノスクシニル化rhu−met−G−CSF(および類似体)の最終回収率は典型的には45〜47%である。
【0073】
非修飾のG−CSFおよびスクシニル化rhu−met−G−CSFの試料を、G−CSF依存性ネズミ造血前駆細胞の増殖を放射標識チミジン取りこみおよびG−CSF濃度の関数として測定するインビトロの生物検定において試験した。生物活性の完全な維持が観察される(図13および15参照)。
【0074】
スクシニル化イソフォームの溶解度を非修飾のrhu−met−G−CSFおよびrhu−met−G−CSF類似体と比較した。G−CSF試料をPBS中に透析し、次にCentriPrep濃縮器、10kDa分子量カットオフ(Amicon)で、沈殿が観察されるようになるまで濃縮した。試料を遠心分離して清澄化し、上澄みのコンジュゲート蛋白質濃度を測定した。次に試料を22時間37℃に維持し、一定時間間隔で遠心分離し、上澄みのコンジュゲート蛋白質濃度を反復測定した。即ち、PBS中の蛋白質の溶解度は遠心分離後の上澄み中で観察される室温における定常状態の蛋白質の濃度として定義される(表7参照)。
【0075】
【表7】
【0076】
非修飾およびスクシニル化されたG−CSFおよびG−CSF(C17A)の物理的安定性は、試料をPBS中5〜6mg/mLに濃縮し、試料を4℃および37℃に維持することにより、比較検討した。溶液中に残存している蛋白質の量は、試料を遠心分離した後に濃度を分光光度計で測定することにより求めた。スクシニル化−G−CSFの物理的安定性(4℃および37℃)は非修飾のG−CSFと比較して実質的に改善されている(図14参照)。
【0077】
(材料および方法)
1.組み換えヒトメチオニル−レプチン蛋白質の調製
本発明の組み換えヒトメチオニル−レプチン(rhu−met−leptin)は前記参照組込文献であるPCT公開WO96/05309号の151〜159ページの記載に従って調製してよい。本製造実施例のためには、(158ページのアミノ酸配列と比較して)アルギニンの変わりに35位にリジンを、そして、イソロイシンの代わりに74位にイソロイシンを有するrhu−met−leptinを使用した。その他の組み換えヒトレプチン蛋白質は組み換えDNA法を用いて蛋白質発現の分野で一般的に知られている方法に従って調製してよい。
【0078】
2.組み換えヒトメチオニル−G−CSF蛋白質およびG−CSF(C17A)類似体の調製
本発明の組み換えヒトメチオニル−レプチン(rhu−met−G−CSF)は前記参照組込文献であるPCT公開WO94/17185号の記載に従って調製してよい。本実施例のためには、システインの代わりに35位にアラニンを有するrhu−met−G−CSF類似体であるG−CSF(C17A)もまた使用した。その他の組み換えヒトG−CSF蛋白質は組み換えDNA法を用いて蛋白質発現の分野で一般的に知られている方法に従って調製してよい。
【0079】
本発明は特定の好ましい実施態様に関して記載したが、当業者は変形や変更を容易に想到できると考えられる。従って、請求する本発明の範囲内に含まれるこのような同等の変形は全て、添付した請求項に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1はスクシニル化レプチンの陰イオン交換クロマトグラフィー分離のクロマトグラムである。280nmにおける吸光度をmL単位の溶出量に対してプロットしてある。モノスクシニル化レプチンのピークは(*)の印を付してある。
【図2】図2は非修飾レプチン(第2列)、スクシニル化レプチン(第3列)、DTPA修飾レプチン二量体(第4列)およびEDTA2修飾レプチン二量体(第5列)を示すpH3〜7のIEF−PAGEゲルである。第1列および第6列は等電点マーカーである。
【図3】図3はDTPA交差結合レプチンの単量体および二量体のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー分離のクロマトグラムである。280nmにおける吸光度をmL単位の溶出量に対してプロットしてある。モノ置換DTPA−レプチンの二量体型は(*)の印を付してある。
【図4】図4は非修飾レプチン(第2列)、スクシニル化レプチン(第3列)、DTPA修飾レプチン二量体(第4列)およびEDTA2修飾レプチン二量体(第5列)を示す4〜20%のSDS−PAGEゲルである。第1列および第6列は分子量マーカーである。
【図5】図5はEDTA2交差結合レプチンの単量体および二量体のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー分離のクロマトグラムである。280nmにおける吸光度をmL単位の溶出量に対してプロットしてある。モノ置換EDTA2−レプチンの二量体型は(*)の印を付してある。
【図6】図6は無水コハク酸によるN−末端ペプチド(M1−K6)の化学修飾により起こる保持時間のシフトを示すLys−C消化物の逆相HPLCクロマトグラムである。
【図7】図7はDTPAによるN−末端ペプチド(M1−K6)の化学修飾により起こる保持時間のシフトを示すLys−C消化物の逆相HPLCクロマトグラムである。
【図8】図8はEDTA2によるN−末端ペプチド(M1−K6)の化学修飾により起こる保持時間のシフトを示すLys−C消化物の逆相HPLCクロマトグラムである。
【図9】図9は非修飾の天然レプチンおよびモノスクシニル化レプチンのFar−UVCDスペクトルを示す。両試料とも周囲温度においてリン酸緩衝食塩水中0.25mg/mlで測定した。
【図10】図10は固定化ヒトレプチン受容体由来の放射標識ヒトレプチンの置換による、非修飾レプチン、スクシニル化レプチン、DTPA修飾レプチン二量体またはEDTA2―レプチン二量体のインビトロ受容体結合を示すグラフである。リガンドの濃度(ng/mL)は%リガンド結合に対してプロットしてある。
【図11】図11は非修飾レプチン、スクシニル化レプチン、DTPA−レプチン二量体またはDTPA−レプチン単量体の何れかで治療されているマウスにおける体重減少を示すグラフである。マウスにはPBS中2mg/mLの濃度で10mg/kgを毎日投与した。時間(日)を%体重減少に対してプロットした。
【図12】図12は20mg/mLの非修飾レプチン、2mg/mLの非修飾レプチン、20mg/mLのEDTA2−レプチン二量体または2mg/mLのEDTA2−レプチン二量体の何れかで治療されているマウスにおける体重減少を示すグラフである。マウスにはPBS中20mg/mLの濃度で100mg/kgまたは2mg/mLの濃度で10mg/kgを毎日投与した(100mg/kgおよび20mg/mLで投与した非修飾のレプチンは、PBS中の溶解度が低いため酢酸塩緩衝液中pH4.0に調製した)。時間(日)を%体重減少に対してプロットした。
【図13】図13は非修飾G−CSFおよびスクシニル化G−CSFのインビトロの生物活性を示すグラフである。CPM−BGNDをlog(ng/ウエル)に対してプロットしてある。
【図14】図14は4℃における非修飾G−CSF、4℃におけるスクシニル化G−CSF、37℃における非修飾G−CSFおよび37℃におけるスクシニル化G−CSFの物理的安定性試験の結果を示すグラフである。蛋白質濃度(mg/mL)を時間(時間)に対してプロットしてある。
【図15】図15は非修飾G−CSF、非修飾G−CSF(C17A)およびスクシニル化G−CSF(C17A)のインビトロの生物活性を示すグラフである。CPM−BGNDをlog(ng/ウエル)に対してプロットしてある。
【技術分野】
【0001】
本発明は広範には生物活性蛋白質またはその類似体の化学修飾に関する(本明細書中「蛋白質」という用語は特段の記載が無い限り「ポリペプチド」または「ペプチド」と同義とする)。特に本発明は種々の蛋白質の部位特異的な化学修飾のための新規な方法およびその結果得られる組成物を記載するものである。
【背景技術】
【0002】
遺伝子工学光学および細胞工学の最近の進歩により、種々のインビボ薬理作用を示すことが知られている蛋白質を医薬品用途のために大量に製造できるようになった。このような蛋白質にはエリスロポエチン(EPO)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターフェロン(α、β、γ、コンセンサス)、腫瘍壊死因子結合蛋白質(TNFbp)、インターロイキン−1受容体拮抗剤(IL−1ra)、脳由来神経栄養性因子(BDNF)、角質細胞増殖因子(KGF)、幹細胞因子(SCF)、巨核球生育分化因子(MGDF)、オステオプロテゲリン(OPG)、膠細胞系統由来神経栄養性因子(GDNF)および肥満蛋白質(OB蛋白質)が包含される。OB蛋白質は本明細書ではレプチンとも称する。
【0003】
顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)は造血前駆細胞から好中球への分化を誘発し成熟好中球の活性を亢進させる糖蛋白質である。大腸菌内で発現させた組み換えヒトG−CSF(rhG−CSF)は175のアミノ酸を含み、18,798Daの分子量を有し、そして、生物学的に活性である。現在Filgrastimという組み換えG−CSFが治療用に使用できる。
【0004】
種々の条件下のG−CSFの構造がLu等のJ.Biol.Chem.Vol.267,8770−8777(1992)などで盛んに研究されており、最近rhG−CSFの三次元構造がX線結晶分析により測定された。G−CSFは4つのα−ヘリックス束と2つの長重複連結部の構造モチーフを共有する増殖因子のクラスのメンバーである(Hill等、P.N.A.S.USA,Vol.90,5167−5171(1993))。このファミリーはGM−CSF、生育ホルモン、インターロイキン−2、インターロイキン−4、および、インターフェロンβを包含する。2次構造の範囲は溶媒のpHに影響を受けやすく、蛋白質は酸性pHにおいてより高度のαヘリックス含量となる(Lu等、Arch.Biochem.Biophys.,286,81−92(1989))。
【0005】
レプチンはob/ob突然変異マウス(OB遺伝子産物の生産における欠損による肥満マウス)と正常な野生型マウスの双方においてインビボの活性を示す。生物活性はとりわけ体重減少において顕在化する。一般的文献としてはBarinagaの”Obese” Protein Slims Mice(Science 269:475−476(1995))およびFriedmanの”The Alphabet of Weight Control” (Nature385:119−120(1997))が参照できる。例えば、ob/ob突然変異マウスにおいては、レプチンの投与により血清中インシュリン濃度および血清中グルコース濃度が低下する。また、レプチンの投与により体脂肪が減少することも知られている。このことはob/ob突然変異マウスと非肥満正常マウスの双方で観察されている。Pelleymounter等,Science 269:540−543(1995)、Halaas等、Science 269:543−546(1995)が参照できる。またCampfield等のScience 269:546−549(1995)も参照できる(マイクログラム用量のレプチンを末梢および中枢に投与した場合、摂餌量の低下と体重減少はob/obおよび食餌誘発肥満マウスでは観察されたが、db/db肥満マウスでは観察されなかった)。前記した報告の何れにおいても、最高用量においてさえ毒性は観察されていない。
【0006】
動物モデルに置ける予備レプチン誘発体重減少試験はヒトの肥満を効果的に治療するためには高濃度のレプチン製剤を長期投与する必要性があることを予測するするものである。0.5乃至は1.0mg/kg/日以下のようなキログラム体重当たりミリグラム水準の蛋白質の用量が、ヒトのようなより大型の哺乳類への治療有効量の注射のためには望ましい。即ち、患者にとって不快であり、あるいは痛みを伴う可能性のある大容量注射を避けるためには、蛋白質濃度の上昇が必要となる。
【0007】
残念なことに、ヒトにおける注射のための医薬組成物の調製に関しては、レプチンのアミノ酸配列が約2mg活性蛋白質/ミリリットル液体を超えるような比較的高濃度では生理学的pHで不溶性であることが観察されている。生理学的条件下でレプチンの溶解度が低いことは、低pH製剤中で高用量を投与する際の濃度依存的な注射部位におけるレプチンの沈殿物の形成に寄与すると考えられる。観察されるレプチンの沈殿に伴い、注射部位に炎症応答が起こり、これには好酸球、マクロファージおよび巨大細胞の存在を特徴とする混合細胞浸潤が含まれる。
【0008】
今日まで、生理学的pHにおける少なくとも約2mg/mlの濃度のヒトOB蛋白質の安定な製剤に関する報告は無く、更に、少なくとも約50mg/ml以上の活性ヒトOB蛋白質の安定な濃度の報告も無い。前記した問題を伴うことなく高用量を可能にするレプチン形態の開発は大きな利益をもたらすと考えられる。従って、本発明の1つの目的は蛋白質の部位特異的化学修飾によりレプチンの進歩した形態を与えることである。
【0009】
有用な治療用蛋白質の化学修飾の方法が幾つか報告されている。その内の1つであるスクシニル化では、1つ以上のスクシニル部分を生物学的に活性な蛋白質に結合させる。スクシニル化の伝統的方法は極めて過剰量の無水コハク酸を用いたアルカリ反応条件を用いている。得られるスクシニル蛋白質コンジュゲートは典型的には複数の部位で修飾されており、異なった3次および4次構造を示す場合が多く、しばしば不活性化される。種々のスクシニル化蛋白質の特性についてはHolcenberg等のJ.Biol.Chem.,250:4165−4170(1975)および1988年3月10日公開のWO88/01511(およびその引用文献)に記載されている。重要な点は、引用文献の何れも、生物学的に活性な蛋白質が蛋白質のN−末端のみにおいてモノスクシニル化され、そして、得られる組成物が進歩した溶解度および進歩した注射部位における毒性を示すような方法を記載していないということである。
【0010】
ジエチレントリアミン5酢酸無水物(DTPA)およびエチレンジアミン4酢酸2無水物(以後EDTA2と記載する)は放射標識の目的のために蛋白質に金属キレート形成部位を導入するために伝統的に用いられている。スクシニル化の場合と同様、DTPAおよび/またはEDTA2による修飾は典型的には分子全体に渡る複数の部位で起こり、修飾された蛋白質の電荷と等電点を変化させる。今日まで、溶解度および注射部位における毒性の改善を示すDTPA−および/またはEDTA2−蛋白質の単量体および二量体の報告は無い。
【発明の開示】
【0011】
本発明は化学修飾された蛋白質、例えば、レプチンおよびG−CSFの実質的に均質な製剤およびその製造方法に関する。意外にも、レプチンの部位特異的化学修飾が他のレプチン種で観察されなかった生物学的利用性および生物学的適合性における利点を示した。重要な点は、本明細書に記載する方法が他の蛋白質(またはその類似体)並びにレプチンに広範に適用できる点である。即ち、以下に詳述する通り、本発明は蛋白質(またはその類似体)の化学修飾並びに特定の蛋白質の特異的修飾に関する多くの特徴を有する。
【0012】
1つの態様において、本発明は、モノスクシニル化レプチン(またはその類似体)の実質的に均質な製剤および関連の方法に関する。重要な点は、記載する方法がN−末端においてのみ修飾されているモノスクシニル化蛋白質を高収率で与え、これにより、他の物質種と比較して工程上の利点を与えるという点である。更に、少ないN−末端修飾にもかかわらず、モノ置換されたスクシニル−レプチンは意外にも、1)溶解度の実質的な改善、2)二次構造、インビトロの受容体結合活性およびインビボの生体力価の保持、および、3)非修飾レプチンの高濃度投与で観察された重度の注射部位反応の緩解をもたらした。
【0013】
別の態様において、本発明は、モノスクシニル化されたG−CSFおよびその類似体の実質的に均質な製剤および関連の方法に関する。重要な点は、モノ置換されたスクシニル−G−CSFおよびモノ置換されたスクシニル−G−CSF類似体が意外にも溶解度の実質的改善、4℃および37℃における物理学的安定性、および、インビトロの生物活性の保持を示した点である。
【0014】
別の態様において、本発明はDTPA−レプチン単量体および二量体の実質的に均質な製剤および関連の方法に関する。中性pHでレプチンおよび僅かに化学量論的に過剰なDTPA:蛋白質を用いて反応させた場合、前記試薬は意外にも2個のレプチン分子のN−末端の間の単一の交差結合を高収率で形成した。モノ置換されたDTPA−レプチン単量体および二量体を単離した場合、両方とも、非修飾の蛋白質と比較して実質的に高い溶解度を示す。両方ともインビトロの受容体結合活性およびインビボの生体力価の保持も示す。有意義な点は、モノ置換されたDTPA−レプチンの二量体型がPBS中高濃度で注射しても沈殿せず、非修飾のレプチンで観察されたものと比較して注射部位の反応が極めて改善されていた点である。
【0015】
更に別の態様において、本発明はEDTA2無水物(EDTA2)−レプチン単量体および二量体の実質的に均質な製剤および関連の方法に関する。構造に関してDTPAと同様、EDTA2は化学量論的過剰量未満で中性pHで反応させた場合にN−末端を介して効率的にレプチンと交差結合する。単離したEDTA2−レプチン二量体は非修飾のレプチンと比較して劇的に向上した溶解度を示し、インビトロの受容体結合活性およびインビボの生物活性も完全に維持している。更に、EDTA2−レプチンコンジュゲートはPBS中高濃度で投与しても注射部位において沈殿せず、非修飾のレプチンで観察された注射部位の副反応の点でも実質的な改善を示した。
【0016】
(発明の詳細な説明)
本発明は化学修飾蛋白質の実質的に均質な製剤およびそのための方法に関する。本明細書における「実質的に均質な」とは、観察される化学修飾された蛋白質のみが1つの「修飾物質」(例えばDTPA、EDTA2、スクシニル)部分を有するものであることを意味する。製剤は未反応(即ち修飾物質部分を欠く)蛋白質を含有してもよい。ペプチドマッピングおよびN−末端配列決定により確認されるとおり、以下に示す1つの例は少なくとも90%が修飾蛋白質であり最大10%が非修飾蛋白質である製剤を与えるものである。好ましくは、化学修飾物質は製剤の少なくとも95%(以下の製造実施例に示すとおり)であり、そして好ましくは化学修飾物質は製剤の99%以上である。化学修飾物質は生物活性を有する。本明細書において示す本発明の「実質的に均質な」モノスクシニル化蛋白質、DTPA−レプチン、および、EDTA2−レプチンの製剤は、均質な製剤の利点、例えば、ロット毎の薬物動態が予測可能な臨床的用での容易性を示すために十分均質なものである。
【0017】
本明細書においては、生物活性剤とは組み換えまたは天然の蛋白質であって、ヒトまたは動物を問わず、予防、治療または診断用とにおいて有用なものを指す。生物活性剤は天然、合成、半合成のものまたはその誘導体であることができる。更に、本発明の生物活性剤は知覚可能である。広範囲の生物活性剤が例示できる。その例としては、ホルモン類、サイトカイン類、造血因子、増殖因子、抗肥満因子、栄養因子、抗炎症因子および酵素が包含されるが、これらに限定されない(有用な生物活性剤のその他の例については米国特許第4,695,463号を参照できる)。当業者は本発明の組成物に所望の生物活性剤を容易に適合させることができる。
【0018】
このような蛋白質はインターフェロン類(米国特許第5,372,808号、第5,541,293号、第4,897,471号および第4,695,623号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、インターロイキン類(米国特許第5,075,222号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、エリスロポエチン類(米国特許第4,703,008号、第5,441,868号、第5,618,698号、第5,547,933号および第5,621,080号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、顆粒球コロニー刺激因子(米国特許第4,810,643号、第4,999,291号、第5,581,476号、第5,582,823号およびPCT公開94/17185号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、幹細胞因子(PCT公開91/05795号、92/17505号および95/17206号参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、およびレプチン(OB蛋白質)(PCT公開96/40912号、96/05309号、97/00128号、97/01010号および97/06816号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)を包含するがこれらに限定されない。1996年2月22日に公開された「Modulators of Body Weight,Corresponding Nucleic Acids and Proteins,and Diagnostic and Therapeutic Uses Thereof」と題されるPCT公開WO96/05309号はOB蛋白質および関連の組成物および方法を完全に記載しており、参考のために本明細書に組み込む。ヒトOB蛋白質のアミノ酸配列はWO96/05309の配列番号4および6(公開明細書の172および174ページ)として記載されており、成熟蛋白質の最初のアミノ酸残基は22位にあり、バリン残基である。成熟蛋白質は146残基(あるいは、49位のグルタミンが非存在の配列番号4の場合は145残基)よりなる。
【0019】
一般的に、本発明の実施において有用なG−CSFは哺乳類生物から単離される形態、または、化学合成法の、または、ゲノムまたはcDNAクローニングによるかまたはDNA合成により得られる外因性DNA配列の原核または真核生物宿主発現の産物であってよい。適当な原核生物宿主には種々の細菌(例えば大腸菌)が包含され、適当な真核生物宿主には酵母(例えば、S.cerevisiae)および哺乳類細胞(例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞、サル細胞)が包含される。使用する宿主に応じて、G−CSF発現産物は哺乳類または他の真核生物の炭水化物でグリコシル化してよく、あるいは、非グリコシル化状態であってもよい。G−CSF発現産物はまた最初のメチオニンアミノ酸残基を(−1位に)含んでいてもよい。組み換えG−CSF、特に大腸菌由来のものが、とりわけ商業的現実性が高いことから好ましく用いられるものの、本発明は前記した形態のG−CSFの何れかおよび全ての使用を意図している。
【0020】
特定のG−CSF類似体が生物学的機能を有するものとして報告されており、これらもまた化学修飾してよい。G−CSF類似体は米国特許第4,810,643号に記載されている。生物活性を有すると報告されている他のG−CSF類似体の例としては、報告されている各類似体の活性に関する記述は無いが、AU−A−76380/91号、EP 0 459 630号、EP 0 272 703号、EP 0 473 268号およびEP 0 335 423号に記載されているものが挙げられる。更にまたAU−A−10948/92号、PCT US94/00913号およびEP 0 243 153号も参照できる。一般的に、本発明において有用なG−CSFおよびその類似体は本明細書に記載する化学修飾法を実施し、そして、得られた産物が所望の生物学的特性を有するかどうか試験すること、例えば本明細書に記載する生物活性検定により確認してよい。当然ながら、所望により、非ヒト哺乳類を治療する際には、マウス、ウシ、イヌ由来組み換え体等、組み換え非ヒトG−CSFを使用してよい。例えばPCT WO 9105798号およびPCT WO 8910932号を参照できる。
【0021】
更に、生物活性剤にはまたインシュリン、ガストリン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン類(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、濾胞刺激ホルモン(FSH)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、モチリン、インターフェロン類(α、β、γ)、インターロイキン類(IL−1〜IL−12)、腫瘍壊死因子(TNF)、腫瘍壊死因子結合蛋白質(TNF−bp)、脳由来神経栄養性因子(BDNF)、膠細胞由来神経栄養性因子(GDNF)、神経栄養性因子3(NT3)、腺維芽細胞増殖因子(FGF)、神経栄養性増殖因子(NGF)、骨増殖因子例えばオステオプロテグリン(OPG)、インシュリン様増殖因子(IGF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、巨核球由来増殖因子(MGDF)、角質細胞増殖因子(KGF)、トロンボポエチン、血小板由来増殖因子(PGDF)、コロニー刺激増殖因子(CSF)、骨形態形成蛋白質(BMP)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、組織プラスミノーゲン活性化物質(TPA)、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼおよびカリクレインが包含されるが、これらに限定されない。本明細書においては蛋白質という用語はペプチド、ポリペプチド、コンセンサス分子、類似体、誘導体、または、それらの組み合わせを包含するものとする。
【0022】
一般的に、本発明には、化学修飾蛋白質または誘導産物の有効量を投与に必要な製薬上許容しうる希釈剤、保存料、可溶化剤、乳化剤、補助剤および/または担体と供に含有する医薬組成物が包含される(PCT 97/01331が参照され、参考のために本発明に組み込まれる)。所望の生物活性剤のための最適な医薬製剤は投与経路および所望の用量に応じて当業者が決定する。例示される医薬組成物はRemington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Co.,18th Ed., Easton, PA, pgs.1435−1712(1990))に開示されている。本発明の医薬組成物は経口用製剤および非経口用製剤(例えば筋肉内、皮下、経皮、内臓、IV(静脈内)、IP(腹腔内)、関節内、耳内設置、ICV(脳室内)、IP(腹腔内)、動脈内、包膜内、嚢胞内、眼窩内、注射、肺内、鼻内、肛門内、および、子宮内−経粘膜投与用の製剤)により投与してよい。
【0023】
本発明の組成物の治療用途は使用される生物活性剤に応じて異なる。当業者は所望の生物活性剤をその意図する治療用途のために本発明に容易に当てはめることができる。そのような治療用途は図面と供に参考のために本発明に組み込まれる以下に示す出版物により詳細に記載されている。治療用途にはインターフェロン類(米国特許第5,372,808号、第5,541,293号参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、インターロイキン類(米国特許第5,075,222号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、エリスロポエチン類(米国特許第4,703,008号、第5,441,868号、第5,618,698号、第5,547,933号および第5,621,080号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、顆粒球コロニー刺激因子(米国特許第4,999,291号、第5,581,476号、第5,582,823号、第4,810,643号およびPCT公開94/17185号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、幹細胞因子(PCT公開91/05795号、92/17505号および95/17206号参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)、およびOB蛋白質(PCT公開96/40912号、96/05309号、97/00128号、97/01010号および97/06816号を参照。図面と供に参考のために本明細書に組み込む)のような蛋白質のための使用が包含されるがこれらに限定されない。更に本発明の組成物は生物活性剤により治療されることを意図する症状の治療または緩解のための複数の医薬の製造のためにも使用してよい。
【0024】
モノスクシニル化蛋白質の実質的に均質な製剤の製造のための方法の第1の実施態様は、(a)無水コハク酸3〜7倍モル過剰量に蛋白質を反応させること;(b)4℃において2〜16時間前記反応混合物を攪拌すること;(c)20mMトリス−HCl、pH7.2に対して前記混合物を透析すること;および(d)前記モノスクシニル化蛋白質を単離することを包含する。場合により、方法は、段階(b)の直後に、ヒドロキシルアミンが完全に溶解するまでpHを6.5より高値に維持しながら前記混合物に固体ヒドロキシルアミンを添加する段階、次いで5NNaOHを用いてpHを8.5まで高める段階、次いで、前記混合物を4℃でさらに1〜2時間攪拌することを包含する段階ができる。一般的な工程を実施例1に模式的に示す。
【0025】
DTPA−蛋白質の実質的に均質な製剤の製造のための方法の第1の実施態様は、(a)DTPA1〜5倍モル過剰量に蛋白質を反応させること;(b)4℃において2〜16時間前記反応混合物を攪拌すること;(c)20mMトリス−HCl、pH7.2に対して前記混合物を透析すること;および(d)前記DTPA−蛋白質を単離することを包含する。一般的な工程を実施例1に模式的に示す。
【0026】
EDTA2−蛋白質の実質的に均質な製剤の製造のための方法の第1の実施態様は、(a)EDTA2の0.5〜5倍モル過剰量に蛋白質を反応させること;(b)4℃において2〜16時間前記反応混合物を攪拌すること;(c)前記反応混合物を濾過すること;(d)前記反応混合物を濃縮すること;および(e)前記EDTA2−蛋白質を単離することを包含する。一般的な工程を実施例1に模式的に示す。
【0027】
以下の実施例は本発明をより詳細に説明するために提示するものであり、本発明の範囲を限定する意図はない。実施例1はモノスクシニル化レプチン、モノ置換DTPA−レプチンの単量体および二量体、および、EDTA2−レプチンの単量体および二量体の製剤を記載するものである。実施例2は実施例1で調製した修飾レプチン種の物理化学同定を記載するものである。実施例3は実施例1で調製した修飾レプチン種に対して実施した受容体結合試験を記載するものである。実施例4は実施例1で調製した修飾レプチン種に対して実施した溶解度試験を記載するものである。実施例5は実施例1で調製した修飾レプチン種に対して実施したインビボの生物活性試験を記載するものである。実施例6は実施例1で調製した修飾レプチン種に対して実施した注射部位評価を記載するものである。実施例7はモノスクシニル化G−CSFおよびモノスクシニル化G−CSF(C17A)類似体の製剤について記載するものであり、更に、製剤に関するインビトロの生物活性試験、溶解度検定試験、および、物理的安定性試験を記載するものである。
【実施例1】
【0028】
本実施例はモノスクシニル化レプチン、モノ置換DTPA−レプチンの単量体および二量体、およびEDTA2−レプチンの単量体および二量体の製剤を記載するものである。
【0029】
1.モノスクシニル化レプチン
本発明の蛋白質スクシニル化方法は一般的に以下の通り説明できる。
【0030】
【化1】
【0031】
組み換えヒトメチオニルレプチン(rhu−met−レプチン)蛋白質(後述する材料および方法に記載の通り調製)を2〜3mg/mLの濃度で20mM NaHPO4、pH7.0中、3〜7倍モル過剰量の固体無水コハク酸(Sigma Chemical, St.Louis,MO)、好ましくは5倍モル過剰量と反応させ、反応混合物を4℃で2〜16時間攪拌した。次ぎに固体ヒドロキシルアミン(Sigma Chemical, St.Louis,MO)を反応混合物に添加し、その間pHを6.5より高値に維持した。ヒドロキシルアミンが完全に溶解した後、5NのNaOHを用いてpHを8.5まで上昇させ、反応混合物をさらに1〜2時間4℃で攪拌した(収率が僅かに低下するがヒドロキシルアミン工程は省略してもよい)。最後に、反応混合物を20mMのトリス−塩酸、pH7.2に対して透析する。
【0032】
モノスクシニル化rhu−met−レプチンを20mMトリス、pH7.2中、0〜0.5MのNaClの勾配溶離によるHigh Performance Sepharose Qカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより単離する(図1参照)。生成物は5%ポリアクリルアミド、pH3〜7のゲル(Novex,Inc., San Diego,CA)を用いた等電点電気泳動(IEF)PAGEにより観察される−0.7pI単位の等電点シフトにより溶出液中に確認される(図2)。モノスクシニル化rhu−met−レプチンの最終回収率は典型的には45〜47%である。
【0033】
2.モノ置換されたDTPA−レプチンの単量体および二量体
本発明のDTPA修飾法は一般的に以下の通り説明できる。
【0034】
【化2】
【0035】
組み換えヒトメチオニルレプチン(rhu−met−レプチン)蛋白質(後述する材料および方法に記載の通り調製)を2〜3mg/mLの濃度で20mM NaHPO4、pH7.0中、1〜5倍モル過剰量の固体DTPA(Sigma Chemical, St.Louis,MO)、好ましくは2〜3倍モル過剰量と反応させ、反応混合物を4℃で2〜16時間攪拌した。最後に、反応混合物を20mMのトリス−塩酸、pH7.2に対して透析する。DTPA修飾rhu−met−レプチンを20mMトリス、pH7.2中、0〜0.5MのNaClの勾配溶離によるHigh Performance Sepharose Qカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより単離する。あるいは、モノ置換されたDTPA−rhu−met−レプチンまたはrhu−met−レプチンの単量体型および二量体型をPBS中Sephacryl 100カラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)上のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィーにより分離する(Life Technologies,Grand Island,NY)(図3参照)。生成物は5%ポリアクリルアミド、pH3〜7のゲル(Novex,Inc., San Diego,CA)を用いた等電点電気泳動(IEF)PAGEによる単量体DTPA−レプチンで観察される等電点シフトにより(図2)、または、4〜20%ポリアクリルアミドゲル(Novex,Inc.,San Diego,CA)を用いたSDS−PAGEで観察される交差結合二量体の質量の増大により(図4参照)、溶出液中に確認される。DTPA−rhu−met−レプチンの最終回収率は約30%である。
【0036】
3.モノ置換されたEDTA2−レプチンの単量体および二量体
本発明のEDTA2修飾法は一般的に以下の通り説明できる。
【0037】
【化3】
【0038】
組み換えヒトメチオニルレプチン(rhu−met−レプチン)蛋白質(後述する材料および方法に記載の通り調製)を2〜3mg/mLの濃度で20mM NaHPO4、pH7.0中、固体の、または、DMSOに溶解した0.5〜5倍モル過剰量のEDTA2(Aldrich Chemical Co., Milwaukee,WI)、好ましくは、DMSO中0.75倍モル過剰量のEDTA2と反応させ、反応混合物を4℃で2〜16時間攪拌した。
【0039】
次ぎに反応混合物を0.45ミクロンのフィルター(Nalgene)で濾過し、〜20mg/mLまで10kDa分子量カットオフ膜上の攪拌セルにより濃縮し、そして、次ぎにモノ置換EDTA2−rhu−met−レプチンの単量体型および二量体型をPBS中平衡化したSephacryl 100カラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)上のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィーにより分離する(図5参照)。あるいは、20mM NaHPO4、pH7.0中0.8〜0Mの硫酸アンモニウムの勾配溶離によるHigh Performance Phenyl−Sepharoseカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)を用いた疎水性相互作用クロマトグラフィーにより反応混合物を精製してよい。生成物は、5%ポリアクリルアミド、pH3〜7のゲル(Novex,Inc., San Diego,CA)を用いた等電点電気泳動(IEF)PAGEによる単量体EDTA2−rhu−met−レプチンで観察される等電点シフトにより(図2)、または、4〜20%ポリアクリルアミドゲル(Novex,Inc.,San Diego,CA)を用いたSDS−PAGEで観察される交差結合二量体の質量の増大により(図4参照)、溶出液中に確認される。EDTA2−rhu−met−レプチン二量体の最終回収率は50%を超える。
【実施例2】
【0040】
本実施例は実施例1で調製したレプチンコンジュゲートゲートの物理化学的同定について記載するものである。スクシニル−レプチン、DTPA−レプチンの単量体および二量体、および、EDTA2−レプチンの単量体および二量体の修飾を、逆相HPLC上のLys−C消化のペプチドマッピング、MALDI−TOF質量スペクトル分析およびペプチド配列決定の組み合わせにより評価した。
【0041】
非修飾レプチンおよび種々の修飾レプチンのLys−C消化は、室温で4時間50mMトリス−塩酸、pH8.5(200μL)中エンドプロテイナーゼLys−C(Boehringer Mannheim)4μgに蛋白質100μgを反応させることにより実施した。種々の試料のペプチドマップは0〜90%アセトニトリルの勾配溶離による0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)で平衡化した4.6×250mm、5μC4カラム(Vydak,Hesperia,CA)上の逆相HPLCにより求めた(図6〜8参照)。図6〜8に示したプロットから明らかなとおり、N−末端ペプチド(M1−K6)のみが化学修飾の結果として保持時間の何らかの変化を示している。この結果は6位のリジンは非修飾であり、Lys−C消化に供され得ることを示しており、化学修飾がN−末端のα−アミンで起こることを示唆している。N−末端修飾は更にN−末端配列の寄与も受けており、このことはN−末端がブロックされていることを示唆している(データは示さず)。
【0042】
スクシニル−レプチンおよびDTPA−およびEDTA2−レプチンの二量体の質量の測定は、シナピン酸マトリックス中12pmolの試料を用いてKompact Maldi IV(Kratos,Ramsey,NJ)において実施した。各コンジュゲートは分子当たり単一の化学修飾を示している。
【0043】
【表1】
【0044】
前記した分析に加えて、スクシニル−レプチンの2次構造に対する作用を円偏光二色性スペクトル分析を用いて評価した。リン酸緩衝食塩水中の非修飾およびスクシニル化されたレプチンの遠UV円偏光二色性スペクトルをJasco J−710円偏光二色性分光分析器(Jasco,Tokyo,Japan)中0.05cmのセルを用いて取得した。スペクトルは図9に示す通りであり、スクシニル化−レプチンの2次構造が維持されていることを示している。
【0045】
全体として、実施例2のデータはN−末端におけるスクシニル−レプチン、DTPA−レプチンの単量体および二量体、および、EDTA2−レプチンの単量体および二量体の修飾、並びに、スクシニル−レプチンの2次構造の維持を裏付けるものである。
【実施例3】
【0046】
本実施例は実施例1で調製したレプチンコンジュゲートの各々に対して実施した受容体結合試験を記載するものである。実施例1で調製したレプチンコンジュゲートの各々を、固定化細胞膜内で発現したヒトレプチン受容体における放射標識ヒトレプチンとの置換能力に基づいてレプチンコンジュゲートの相対親和性を測定するインビトロの受容体結合検定を用いて評価した。図10のデータから明らかなとおり、化学修飾されたイソフォームであるスクシニル−、DTPA−、およびEDTA2−レプチンの各々はリガンド結合の全域(〜1から100ng/mL)に渡り非修飾レプチンと等しいヒトレプチン受容体に対する相対的親和性を示し、そのED50値は約10ng/mLであった。
【0047】
即ち、実施例3のデータはモノ置換スクシニル−レプチン、モノ置換DTPA−レプチンの二量体、および、EDTA2−レプチンの二量体が、非修飾レプチンと比較して、インビトロの受容体結合活性を保持していることを示している。
【実施例4】
【0048】
本実施例は実施例1で調製したレプチンコンジュゲートの各々に対して実施した溶解度試験を記載するものである。レプチンコンジュゲートをPBS中に透析し、次ぎにCentriPrep濃縮器、10kDa分子量カットオフ(Amicon)で、沈殿が観察されるようになるまで濃縮した。試料を遠心分離して清澄化し、上澄みのコンジュゲート蛋白質濃度を測定した。次ぎに試料を48時間室温(約22℃)に維持し、一定時間間隔で遠心分離し、上澄みのコンジュゲート蛋白質濃度を反復測定した。即ち、PBS中のコンジュゲート蛋白質の溶解度は遠心分離後の上澄み中で観察される室温における定常状態の蛋白質の濃度として定義される(表2参照)。
【0049】
【表2】
【0050】
表2は非修飾レプチンと比較して、モノ置換スクシニル−レプチン、モノ置換DTPA−レプチン、および、モノ置換EDTA2−レプチンが実質的に改善された溶解度を有し、モノ置換EDTA2−レプチンの溶解度が劇的に上昇していたことを示している。
【実施例5】
【0051】
本実施例は実施例1で調製したレプチンコンジュゲートに対して実施したインビボの生物活性試験を記載するものである。記載したレプチンコンジュゲートをマウスおよびイヌの両方の動物モデルで試験し、非修飾レプチンに対する相対的な生体力価を測定した。モノ置換スクシニル−レプチン、DTPA−レプチン二量体、DTPA−レプチン単量体およびEDTA2−レプチン二量体を1、10および50mg/kg体重の用量で5〜7日間毎日マウスに注射した。生体力価は、溶媒のみの対照群に対して標準化し、非修飾蛋白質で観察された体重減少と比較した場合の、0日目からの体重の%減少として測定した。1および10mg/kgの用量の全試料はそれぞれPBS中0.2および2.0mg/mlに調製した。より高用量のものは、化学修飾型については、PBS中20〜50mg/mlに調製したが、非修飾レプチンの溶解度の限界のために、高濃度の調製はpH4の酢酸緩衝液中で行うことが必要であった。更にイヌには28日間に渡り、5mg/mlの濃度でスクシニル−レプチンを0.05、0.15および0.5mg/kgの1日当たり用量で注射し、その間、体重をモニタリングし、その後、回復期間を設けた。
【0052】
スクシニルレプチンに関して動物モデルにおける薬物誘導体重減少により判断される生物活性は、イヌおよびマウスの双方で非修飾レプチンと同等であった(図11)。同様に、DTPA−レプチンの単量体と二量体およびEDTA2−レプチン二量体の何れも、非修飾レプチンと同等の体重減少をマウスにおいてもたらした(図11および12)。
【0053】
図11および12のデータはモノ置換スクシニル−レプチン、モノ置換DTPA−レプチンの単量体および二量体、および、EDTA2−レプチンの二量体が、非修飾レプチンと比較して、インビボの生体力価を維持していたことを示している。
【実施例6】
【0054】
本実施例は実施例1で調製したレプチンコンジュゲートに対して実施した注射部位評価を記載するものである。各投与群3匹のマウスの注射部位から得た組織切片を組織化学的に検査した。確認され評点された注射部位の病理特徴は、壊死、化膿(好酸球および好中球よりなる混合細胞浸潤)、単核細胞(マクロファージ)、レプチン沈殿(微細沈殿または大型の沈着/凝集の何れかを特徴とする)および巨大細胞であった。各反応は以下の等級付け方法を用いて評点した。
【0055】
0.5〜1 最小限の変化
1.5〜2 軽度の変化
2.5〜3 中等度の変化
3.5〜4 顕著な変化
4.5〜5 極度の変化
【0056】
各動物の評点の合計の平均を用い、以下の評点基準に従って全体の生体適合性評点を定義した。
【0057】
0〜2 正常
3〜5 最小限
6〜10 軽度
11〜20 中等度
21〜30 顕著
>30 重度
【0058】
高濃度のスクシニル−レプチンはpH7.0のPBS中の溶解度は限られたものであったが、注射部位試験の目的のためには、20mg/mlのスクシニル−レプチンの試料はpH7.2のPBS中、および50mg/mlはpH7.5のPBS中で可溶性を維持していた。表3は、7日後の、pH4.0の酢酸緩衝液中50mg/mLの非修飾レプチンとpH7.5のPBS中50mg/mLのモノ置換スクシニル−レプチンを比較した注射部位の評価を示す。
【0059】
【表3】
【0060】
表3から明らかなとおり、高濃度で投与したモノ置換スクシニル−レプチンは非修飾レプチンと比較して注射部位の病理特徴の何れの項目においても改善性を示しており、最も劇的な改善は、注射部位におけるレプチン沈殿および巨大細胞のほぼ完全な消失として観察された。
【0061】
表4は、7日後の、pH4.0の酢酸緩衝液中43mg/mLの非修飾レプチンとpH4.0の酢酸緩衝液中43mg/mLのモノ置換スクシニル−レプチンを比較した注射部位の評価を示す。
【0062】
【表4】
【0063】
表4のデータは意外にも、高濃度のモノ置換スクシニル−レプチンがpH4の酢酸緩衝液中に処方でき、更になお、モノ置換スクシニル−レプチンをPBS中に処方した場合に観察された注射部位の反応を劇的に改善したことを示している。
【0064】
表5は、7日後の、pH4.0の酢酸緩衝液中20mg/mLの非修飾レプチンとPBS中20mg/mLのモノ置換DTPA−レプチン二量体を比較した注射部位の評価を示す。
【0065】
【表5】
【0066】
表6は、7日後の、pH4.0の酢酸緩衝液中20mg/mLの非修飾レプチンとPBS中20mg/mLのモノ置換EDTA2−レプチン二量体を比較した注射部位の評価を示す。
【0067】
【表6】
【0068】
表5および6に示すとおり、DTPA−レプチン二量体(表5)およびEDTA2−レプチン二量体(表6)はPBS中高濃度でマウスに投与でき、スクシニル−レプチンで観察された注射部位の病理特徴を同様に改善することを示している。しかしながらこれらのコンジュゲートはpH7のPBSには実質的により可溶であり、このため、この緩衝液中ではより極端な調製も可能とする。
【0069】
全体として、実施例6のデータは、モノ置換スクシニル−レプチン、モノ置換DTPA−レプチンの単量体および二量体、および、EDTA2−レプチンの単量体および二量体は高濃度で投与された場合に注射部位で沈殿しないことを示しており、そして、重要な点は、非修飾レプチンで観察された注射部位の副反応を実質的に改善していることを示している点である。
【実施例7】
【0070】
本実施例はモノスクシニル化G−CSFおよびモノスクシニル化G−CSF(C17A)類似体の製剤を記載し、次ぎに、G−CSF製剤に関するインビトロの生物活性試験、溶解度検定試験および物理的安定性試験の結果を記載するものである。
【0071】
組み換えヒト−メチオニル−G−CSF(rhu−met−G−CSF)蛋白質およびG−CSF(C17A)類似体(後述する材料および方法に記載の通り調製)を2〜3mg/mLの濃度で20mM NaHPO4、pH7.0中、3〜7倍モル過剰量の固体無水コハク酸(Sigma Chemical, St.Louis,MO)、好ましくは5倍モル過剰量と反応させ、反応混合物を4℃で2〜16時間攪拌した。次ぎに固体ヒドロキシルアミン(Sigma Chemical, St.Louis,MO)を反応混合物に添加し、その間pHを6.5より高値に維持した。ヒドロキシルアミンが完全に溶解した後、5NのNaOHを用いてpHを8.5まで上昇させ、反応混合物をさらに1〜2時間4℃で攪拌した(収率が僅かに低下するがヒドロキシルアミン工程は省略してもよい)。最後に、反応混合物を20mMのトリス−塩酸、pH7.2に対して透析する。
【0072】
モノスクシニル化rhu−met−G−CSF(および類似体)を20mMトリス、pH7.2中、0〜0.5MのNaClの勾配溶離によるHigh Performance Sepharose Qカラム(Pharmacia, Piscataway, NJ)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィーにより単離する。生成物は5%ポリアクリルアミド、pH3〜7のゲル(Novex,Inc., San Diego,CA)を用いた等電点電気泳動(IEF)PAGEにより観察される−0.7pI単位の等電点シフトにより溶出液中に確認される。モノスクシニル化rhu−met−G−CSF(および類似体)の最終回収率は典型的には45〜47%である。
【0073】
非修飾のG−CSFおよびスクシニル化rhu−met−G−CSFの試料を、G−CSF依存性ネズミ造血前駆細胞の増殖を放射標識チミジン取りこみおよびG−CSF濃度の関数として測定するインビトロの生物検定において試験した。生物活性の完全な維持が観察される(図13および15参照)。
【0074】
スクシニル化イソフォームの溶解度を非修飾のrhu−met−G−CSFおよびrhu−met−G−CSF類似体と比較した。G−CSF試料をPBS中に透析し、次にCentriPrep濃縮器、10kDa分子量カットオフ(Amicon)で、沈殿が観察されるようになるまで濃縮した。試料を遠心分離して清澄化し、上澄みのコンジュゲート蛋白質濃度を測定した。次に試料を22時間37℃に維持し、一定時間間隔で遠心分離し、上澄みのコンジュゲート蛋白質濃度を反復測定した。即ち、PBS中の蛋白質の溶解度は遠心分離後の上澄み中で観察される室温における定常状態の蛋白質の濃度として定義される(表7参照)。
【0075】
【表7】
【0076】
非修飾およびスクシニル化されたG−CSFおよびG−CSF(C17A)の物理的安定性は、試料をPBS中5〜6mg/mLに濃縮し、試料を4℃および37℃に維持することにより、比較検討した。溶液中に残存している蛋白質の量は、試料を遠心分離した後に濃度を分光光度計で測定することにより求めた。スクシニル化−G−CSFの物理的安定性(4℃および37℃)は非修飾のG−CSFと比較して実質的に改善されている(図14参照)。
【0077】
(材料および方法)
1.組み換えヒトメチオニル−レプチン蛋白質の調製
本発明の組み換えヒトメチオニル−レプチン(rhu−met−leptin)は前記参照組込文献であるPCT公開WO96/05309号の151〜159ページの記載に従って調製してよい。本製造実施例のためには、(158ページのアミノ酸配列と比較して)アルギニンの変わりに35位にリジンを、そして、イソロイシンの代わりに74位にイソロイシンを有するrhu−met−leptinを使用した。その他の組み換えヒトレプチン蛋白質は組み換えDNA法を用いて蛋白質発現の分野で一般的に知られている方法に従って調製してよい。
【0078】
2.組み換えヒトメチオニル−G−CSF蛋白質およびG−CSF(C17A)類似体の調製
本発明の組み換えヒトメチオニル−レプチン(rhu−met−G−CSF)は前記参照組込文献であるPCT公開WO94/17185号の記載に従って調製してよい。本実施例のためには、システインの代わりに35位にアラニンを有するrhu−met−G−CSF類似体であるG−CSF(C17A)もまた使用した。その他の組み換えヒトG−CSF蛋白質は組み換えDNA法を用いて蛋白質発現の分野で一般的に知られている方法に従って調製してよい。
【0079】
本発明は特定の好ましい実施態様に関して記載したが、当業者は変形や変更を容易に想到できると考えられる。従って、請求する本発明の範囲内に含まれるこのような同等の変形は全て、添付した請求項に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1はスクシニル化レプチンの陰イオン交換クロマトグラフィー分離のクロマトグラムである。280nmにおける吸光度をmL単位の溶出量に対してプロットしてある。モノスクシニル化レプチンのピークは(*)の印を付してある。
【図2】図2は非修飾レプチン(第2列)、スクシニル化レプチン(第3列)、DTPA修飾レプチン二量体(第4列)およびEDTA2修飾レプチン二量体(第5列)を示すpH3〜7のIEF−PAGEゲルである。第1列および第6列は等電点マーカーである。
【図3】図3はDTPA交差結合レプチンの単量体および二量体のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー分離のクロマトグラムである。280nmにおける吸光度をmL単位の溶出量に対してプロットしてある。モノ置換DTPA−レプチンの二量体型は(*)の印を付してある。
【図4】図4は非修飾レプチン(第2列)、スクシニル化レプチン(第3列)、DTPA修飾レプチン二量体(第4列)およびEDTA2修飾レプチン二量体(第5列)を示す4〜20%のSDS−PAGEゲルである。第1列および第6列は分子量マーカーである。
【図5】図5はEDTA2交差結合レプチンの単量体および二量体のサイズエクスクルージョンクロマトグラフィー分離のクロマトグラムである。280nmにおける吸光度をmL単位の溶出量に対してプロットしてある。モノ置換EDTA2−レプチンの二量体型は(*)の印を付してある。
【図6】図6は無水コハク酸によるN−末端ペプチド(M1−K6)の化学修飾により起こる保持時間のシフトを示すLys−C消化物の逆相HPLCクロマトグラムである。
【図7】図7はDTPAによるN−末端ペプチド(M1−K6)の化学修飾により起こる保持時間のシフトを示すLys−C消化物の逆相HPLCクロマトグラムである。
【図8】図8はEDTA2によるN−末端ペプチド(M1−K6)の化学修飾により起こる保持時間のシフトを示すLys−C消化物の逆相HPLCクロマトグラムである。
【図9】図9は非修飾の天然レプチンおよびモノスクシニル化レプチンのFar−UVCDスペクトルを示す。両試料とも周囲温度においてリン酸緩衝食塩水中0.25mg/mlで測定した。
【図10】図10は固定化ヒトレプチン受容体由来の放射標識ヒトレプチンの置換による、非修飾レプチン、スクシニル化レプチン、DTPA修飾レプチン二量体またはEDTA2―レプチン二量体のインビトロ受容体結合を示すグラフである。リガンドの濃度(ng/mL)は%リガンド結合に対してプロットしてある。
【図11】図11は非修飾レプチン、スクシニル化レプチン、DTPA−レプチン二量体またはDTPA−レプチン単量体の何れかで治療されているマウスにおける体重減少を示すグラフである。マウスにはPBS中2mg/mLの濃度で10mg/kgを毎日投与した。時間(日)を%体重減少に対してプロットした。
【図12】図12は20mg/mLの非修飾レプチン、2mg/mLの非修飾レプチン、20mg/mLのEDTA2−レプチン二量体または2mg/mLのEDTA2−レプチン二量体の何れかで治療されているマウスにおける体重減少を示すグラフである。マウスにはPBS中20mg/mLの濃度で100mg/kgまたは2mg/mLの濃度で10mg/kgを毎日投与した(100mg/kgおよび20mg/mLで投与した非修飾のレプチンは、PBS中の溶解度が低いため酢酸塩緩衝液中pH4.0に調製した)。時間(日)を%体重減少に対してプロットした。
【図13】図13は非修飾G−CSFおよびスクシニル化G−CSFのインビトロの生物活性を示すグラフである。CPM−BGNDをlog(ng/ウエル)に対してプロットしてある。
【図14】図14は4℃における非修飾G−CSF、4℃におけるスクシニル化G−CSF、37℃における非修飾G−CSFおよび37℃におけるスクシニル化G−CSFの物理的安定性試験の結果を示すグラフである。蛋白質濃度(mg/mL)を時間(時間)に対してプロットしてある。
【図15】図15は非修飾G−CSF、非修飾G−CSF(C17A)およびスクシニル化G−CSF(C17A)のインビトロの生物活性を示すグラフである。CPM−BGNDをlog(ng/ウエル)に対してプロットしてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−末端においてのみジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)により修飾されたDTPA−蛋白質単量体を含有する、注射用医薬組成物。
【請求項2】
各々のN−末端においてのみジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)により修飾されたDTPA−蛋白質二量体を含有する、注射用医薬組成物。
【請求項1】
N−末端においてのみジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)により修飾されたDTPA−蛋白質単量体を含有する、注射用医薬組成物。
【請求項2】
各々のN−末端においてのみジエチレントリアミン五酢酸無水物(DTPA)により修飾されたDTPA−蛋白質二量体を含有する、注射用医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−69165(P2008−69165A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261630(P2007−261630)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【分割の表示】特願2006−187468(P2006−187468)の分割
【原出願日】平成10年8月5日(1998.8.5)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【分割の表示】特願2006−187468(P2006−187468)の分割
【原出願日】平成10年8月5日(1998.8.5)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】
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