説明

生活用水、スケール付着抑制方法及び給湯システム

【課題】配管へのスケール付着が抑制された飲用可能な生活用水、スケール付着抑制方法及び給湯システムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、
硫酸イオンの濃度が2,000ppm以上5,000ppm以下に調整され、pHが6.5以上7.8以下である飲用可能な生活用水である。本発明のスケール付着抑制方法は、pHが6.5以上7.8以下である飲用可能な生活用水を流通させる配管のスケール付着抑制方法であって、上記生活用水中の硫酸イオンの濃度を2,000ppm以上5,000ppm以下に調整することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲用可能な生活用水、スケール付着抑制方法及び給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地下水、上水、硬水等の飲用可能な生活用水には、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、炭酸水素イオン(HCO3−)等の各種イオンが微量に含まれている。これらのイオンを含有する生活用水が給湯器等で加熱されると、例えば以下の反応によりドロマイト(CaMg(CO)等のスケールが発生する。
Ca2++Mg2++4(HCO→2CO+2HO+CaMg(CO
このスケールは、給湯器等に備えられている配管の内面に付着する。そして、スケールの付着が進行すると、圧力損失の増加や管の閉塞が発生するようになる。
【0003】
そこで、スケールの配管への付着を抑制する技術として、(1)配管内部の少なくとも一部に磁場を形成しながら、磁性体が添加された水系流体を上記配管内部に流通させるスケール抑制方法が提案されている(特開2005−270698号公報参照)。このスケール抑制方法によれば、磁場の形成によりスケールの発生が抑制されるとされている。
【0004】
また、他の技術として、(2)電極間に水が通される電解装置を備えるスケール防止装置であって、上記電解装置が、陽極側に金属粒子を充填してなるか、又は電極間に金属粒子と不導体粒子とを混合充填してなる第1電解部と、電極間に金属粒子を充填していない第2電解部とを備えるスケール防止装置が提案されている(特開2005−238023号公報参照)。このスケール防止装置によれば、上記金属粒子から亜鉛又はアルミニウムイオンが溶け出し、このイオンがスケールの核となる微粒子に吸着されることにより、この微粒子の成長点の活性が低下し、微粒子が過剰に成長することが防止されるとされている。
【0005】
しかしながら、上記(1)のスケール抑制方法においては、冷却水に磁性体を添加するため、飲用目的とした生活用水には適さない。また、上記(2)のスケール防止装置も、水中へ亜鉛等の金属イオンが溶出するため、これらのイオン濃度が高く、飲用目的とした生活用水として適当ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−270698号公報
【特許文献2】特開2005−238023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、配管へのスケール付着が抑制される飲用可能な生活用水、スケール付着抑制方法及び給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、
硫酸イオンを含有するスケール付着抑制剤の添加により、硫酸イオンの濃度が2,000ppm以上5,000ppm以下に調整され、pHが6.5以上7.8以下である飲用可能な生活用水である。
【0009】
当該生活用水においては、硫酸イオンを含有するスケール付着抑制剤の添加により、上記濃度範囲の硫酸イオンがカルシウムイオンやマグネシウムイオンと共存した状態となっている。従って、当該生活用水によれば、ドロマイト等の生成が低減し、その結果、スケール付着が抑制される。また、当該生活用水は、硫酸イオン濃度及びpHが上記範囲内に調整されているため、飲用水としての利用が可能である。
【0010】
上記スケール付着抑制剤が、硫酸イオンとして硫酸ナトリウムを含有することが好ましい。硫酸ナトリウムを含有するスケール付着抑制剤を用いることで、スケールの付着をより効果的に抑制することができるとともに、pHを上記範囲に容易に制御することができる。
【0011】
本発明のスケール付着抑制方法は、
pHが6.5以上7.8以下である飲用可能な生活用水を流通させる配管のスケール付着抑制方法であって、
上記生活用水の硫酸イオンの濃度を2,000ppm以上5,000ppm以下に調整することを特徴とする。
【0012】
当該方法によれば、生活用水の硫酸イオンの濃度が2,000ppm以上5,000ppm以下に調整されていることで、ドロマイト等の生成が抑制され、その結果、配管へのスケール付着を抑制することができる。また、このように硫酸イオンの濃度調整によりスケールの付着を抑制しているため、安全性が高く、この方法が施された生活用水は飲用が可能である。
【0013】
本発明の給湯システムは、
硫酸イオンを含有するスケール付着抑制剤を生活用水に添加する添加手段と、
生活用水を流通させる配管を有し、この配管内を流通する生活用水を加熱する給湯器と
を備え、
上記添加手段によりスケール付着抑制剤が添加され、pHが6.5以上7.8以下である飲用可能な生活用水が上記配管内を流通するよう構成されている給湯システムである。
【0014】
当該給湯システムによれば、硫酸イオンを含有するスケール付着抑制剤が添加された生活用水が上記配管内を流通するよう構成されているため、配管内へのスケール付着を抑制することができる。また、当該給湯システムによれば、スケール付着抑制剤として硫酸イオンを用いており、また、pHが上記範囲に調整されているため、飲用可能な生活用水を提供することができる。
【0015】
飲用可能とは、飲用した場合も人体に悪影響を与えないことをいい、具体的には、水道水に係る水質基準を満たしていることをいう。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明の生活用水は、配管へのスケール付着が抑制された飲用可能な水として利用可能である。また、本発明のスケール付着抑制方法及び給湯システムによれば、配管へのスケール付着が抑制することができ、その結果、例えば配管や給湯器の長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例におけるスケール生成量を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の生活用水、スケール付着抑制方法及び給湯システムの実施の形態について詳説する。
【0019】
<生活用水>
本発明の生活用水は、硫酸イオン(SO2−)を含有するスケール付着抑制剤の添加により、所定量の硫酸イオンが含有されている。通常の生活用水(地下水、上水等の飲用可能な水)には、硬度の高いものでカルシウムイオンが500ppm程度、マグネシウムイオンが100ppm程度含まれている。当該生活用水によれば、理由は定かではないが、硫酸イオンをカルシウムイオン及びマグネシウムイオンと共存させることで、ドロマイト等の生成が低減され、その結果、配管等へのスケール付着を抑制することができる。従って、当該生活用水は、例えば、高温となり、スケールの付着が生じやすい給湯器の配管を流通する水等においても、スケールの配管内への付着が抑制され、好適に利用することができる。また、当該生活用水は、安全性の高い硫酸イオンを用いてスケールの付着を抑制しているため、人体に触れたり、飲用したりする場合の安全性に優れる。
【0020】
上記スケール付着抑制剤は、硫酸イオンを含む液体(水溶液等)であってもよいし、硫酸塩等を含む固体であってもよい。固体のスケール付着抑制剤としては、硫酸塩等の結晶そのものであってもよい。なお、上記スケール抑制剤が固体の場合、硫酸イオンを含むスケール付着抑制剤とは、水に溶かした際に硫酸イオンが生じる成分を含むものをいう。
【0021】
上記スケール抑制剤としては、硫酸イオンとして、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム等のアルカリ金属の硫酸塩を含有するものが好ましく、硫酸ナトリウムを含有するものがさらに好ましい。上記硫酸塩は水溶性が高く、ドロマイト等の発生及びスケールの付着をより効果的に抑制することができる。また、これらの硫酸塩は中性であるため、pHの制御が容易である。
【0022】
当該生活用水における硫酸イオンの濃度は、2,000ppm以上5,000ppm以下に調整されており、3,000ppm以上5,000ppm以下とすることが好ましい。当該生活用水における硫酸イオンの濃度が上記下限未満の場合は、濃度が低くスケール付着抑制能を十分に発揮することができない。逆に、この硫酸イオンの濃度が上記上限を超える場合は、スケール付着抑制能は頭打ちになる一方、飲用用として味が低下するなどといった不都合が生じうる。
【0023】
また、上記硫酸イオンは、当該生活用水中のカルシウムイオン及びマグネシウムイオンのうちのモル濃度が低いイオンの3倍(モル比:以下同様)以上含有されていることが好ましく、5倍以上含有されていることがより好ましく、7倍以上含有されていることがさらに好ましい。このように、モル比でカルシウムイオン及びマグネシウムイオンに対して十分な量の硫酸イオンを共存させておくことで、ドロマイト等の生成がより効果的に低減される。なお、このモル比における硫酸イオンの含有量の上限としては、特に限定されないが、例えば20倍である。
【0024】
当該生活用水のpHは、6.5以上7.8以下であり、6.5以上7.0以下であることが好ましい。当該生活用水は、pHを上記範囲に調整しているため、飲用可能な生活用水として好適に用いることができる。当該生活用水のpHが上記範囲を外れる場合は、飲用により粘膜への影響が表れる場合がある。また、pHが上記下限未満の場合は、腐食が生じやすくなり、pHが上記上限を超える場合は、味の変化、ぬめり、殺菌力の低下が生じる場合がある。
【0025】
上記生活用水のpHの調整方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。なお、通常の生活用水(水道水等)に対して上記アルカリ金属の硫酸塩を添加することで、pHを保ったまま硫酸イオン濃度を調整することができる。
【0026】
当該生活用水におけるカルシウムイオンの含有量としては、1,000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがさらに好ましい。また、当該生活用水におけるマグネシウムイオンの含有量としては、500ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがさらに好ましい。スケール発生の要因となるカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量が上記上限を超えると、上記範囲の硫酸イオンの含有によっても、スケールの発生が生じやすくなる場合がある。また、これらのイオンの含有量が高くなることで、生活用水としての品質が低下するおそれがある。なお、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの含有量の下限としては、特に制限されないが、例えば1ppmである。
【0027】
また、当該生活用水においては、バリウムイオン、ストロンチウムイオン、鉛イオン及び銀イオンの含有量がそれぞれ5ppm以下であることが好ましく、上記各イオンの合計が5ppm以下であることがさらに好ましい。上記各イオンの硫酸塩(硫酸バリウム、硫酸ストロンチウム、硫酸鉛及び硫酸銀)は、水に対する溶解性が低い。従って、上記イオンの含有量が上記上限を超えると、当該生活用水のスケール付着抑制能が低下する場合がある。
【0028】
<スケール付着抑制方法>
本発明のスケール付着抑制方法は、
pHが6.5以上7.8以下である飲用可能な生活用水を流通させる配管のスケール付着抑制方法であって、
上記生活用水の硫酸イオンの濃度を2,000ppm以上5,000ppm以下、好ましくは3,000ppm以上5,000ppm以下に調整することを特徴とする。
【0029】
上記配管としては、特に限定されず、飲用可能な生活用水を流通させる公知の配管を用いることができる。上記配管としては、塩化ビニル等の合成樹脂製の配管や、金属製の配管を挙げることができるが、上記生活用水を加熱して用いるためには、金属製の配管が好ましく、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ステンレス製等の配管がさらに好ましい。また、上記金属製配管の内面には、めっき処理や、例えばポリリン酸塩からなる皮膜が形成されていることが好ましい。
【0030】
上記硫酸イオン濃度の調整方法としては、本発明の生活用水における調整方法として上述した方法と同様である。すなわち、硫酸イオンを含有するスケール付着抑制剤を、上記濃度範囲となるように水に添加する方法等を用いることができる。なお、硫酸イオン濃度を低下させるための調整方法としては、例えば、活性炭等の吸着剤やイオン交換樹脂を用いる方法等を挙げることができる。
【0031】
当該方法によれば、上記生活用水の硫酸イオンの濃度が2,000ppm以上5,000ppm以下に調整されていることで、ドロマイト等の生成が抑制され、その結果、配管へのスケール付着を抑制することができる。また、このように硫酸イオンの濃度調整によりスケールの付着を抑制しているため、安全性が高く、この方法が施された生活用水は飲用が可能である。
【0032】
当該方法は、飲用可能な生活用水を流通させる配管を備える環境に対して用いることができ、例えば、上水道設備や、飲用水工場、給湯システム等に用いることができる。当該方法を用いることで、配管へのスケール付着発生が抑制され、メンテナンス頻度の低減等を図ることができる。なお、当該方法は、これらの中でも、配管へのスケールの付着が特に生じやすい環境である、水を加熱(例えば、60℃以上に加熱)させる工程を有する環境で好適に用いることができる。このような、水を加熱させる工程を有する環境としては、例えば給湯システム等を挙げることができる。
【0033】
<給湯システム>
本発明の給湯システムは、
硫酸イオンを含有するスケール付着抑制剤を生活用水に添加する添加手段と、
生活用水を流通させる配管を有し、この配管内を流通する生活用水を加熱する給湯器と
を備え、
上記添加手段によりスケール付着抑制剤が添加され、pHが6.5以上7.8以下である飲用可能な生活用水が上記配管内を流通するよう構成されている給湯システムである。
【0034】
上記スケール付着抑制剤は、本発明の生活用水に添加するものとして上述したものを挙げることができる。このスケール付着抑制剤の添加手段としては、例えば、(1)給湯器を通す生活用水を貯める集合住宅等の貯水タンクに上記スケール付着抑制剤(固体の硫酸ナトリウム等)を添加する手段や、(2)上記スケール付着抑制剤が充填されたカートリッジを用い、上記給湯器において加熱する部分より手前の配管部分に上記カートリッジを取り付ける手段等を挙げることができる。上記(1)の手段においては、スケール付着抑制剤の添加を定期的に、又は、貯水タンク中の生活用水の硫酸イオン濃度を測定しながらスケール付着抑制剤を添加することができる。また、上記(2)の手段においては、カートリッジとして取り付けることで、上記配管に少しずつ硫酸イオンが溶け出すことで、この配管内を流通する生活用水の硫酸イオン濃度を調整することができる。また、カートリッジとして取り付けることで、取り換え等を容易にすることができる。
【0035】
上記添加手段においては、生活用水の硫酸イオン濃度2,000ppm以上5,000ppm以下となるように、好ましくは、3,000ppm以上5,000ppm以下となるように、スケール付着抑制剤を添加することが好ましい。生活用水の硫酸イオン濃度を上記範囲とすることで、上述したように、配管へのスケール付着の抑制を効果的に行うことができる。
【0036】
上記給湯器としては、特に限定されず、電気給湯器、ガス給湯器、石油給湯器等の公知の給湯器を挙げることができる。また、給湯器における加熱方法としても特に限定されず、伝熱ヒーター等で上記配管を加熱する方法や、上記配管を介した熱交換により生活用水を加熱する方法を備える給湯器を用いることができる。上記熱交換に用いられる冷媒としては、フロン系冷媒や二酸化炭素冷媒等の公知のものを挙げることができる。なお、この給湯器における生活用水の加熱温度としては、例えば60℃以上である。
【0037】
当該給湯システムは、上記生活用水中の硫酸イオンの濃度を測定する測定手段をさらに備えることが好ましい。この測定手段をさらに備えることで、給湯器が備える配管内を流通する生活用水の硫酸イオン濃度を最適な範囲に調整し、この配管へのスケール発生をより効果的に抑制することができる。上記測定手段としては、例えば、公知の硫酸イオン濃度測定装置等を用いることができる。
【0038】
当該給湯システムは、上記(1)及び(2)のような添加手段を設けることで、上記添加手段によりスケール付着抑制剤が添加された生活用水が上記配管内を流通するよう構成されている。従って、当該給湯システムによれば、配管内のスケール付着を抑制することができる。そのため、当該給湯システムは、配管のメンテナンス頻度を低減することができ、また、スケール付着による熱交換効率の低下を抑えること等ができる。また、当該給湯システムによれば、スケール付着抑制剤として硫酸イオンを用いており、さらに、pHが上記範囲となっているため、飲用可能な生活用水を提供することができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0040】
[実施例1]
カルシウムイオン濃度500ppm(12.5mmol/L)、マグネシウムイオン濃度100ppm(4.2mmol/L)及び硫酸イオン濃度5,000ppm(51mmol/L)となるように、水にNaCl、MgCl及びスケール付着抑制剤としてのNaSOを添加した。続いて、NaOHとHClとを用いこの水溶液のpHが6.98となるように調整した。なお、この水溶液を室温で調整した際に、COガスをバブリングして、COを飽和させ、実施例1の生活用水を得た。
【0041】
[実施例2及び比較例1〜2]
硫酸イオン濃度がそれぞれ2,000ppm(20mmol/L)、1,120ppm(10mmol/L)及び500(5mmol/L)ppmとなるようにNaSOを添加し、水溶液のpHが表1に記載の値となるように調整したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、実施例2及び比較例1〜2の生活用水を得た。なお、比較例1の生活用水が、市販の硬度の高い水質レベルに相当する。
【0042】
[比較例3]
NaSOを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の操作を行い、比較例3の生活用水を得た。
【0043】
[スケール生成量の評価]
得られた各水溶液(生活用水)100mLを90℃まで加熱し、30分間保持後、放冷した。放冷後、水溶液を0.2μmフィルターでろ過して、ろ液中のCa2+及びMg2+分をICP発光法により定量した。定量したろ液中のCa及びMgの合計量と、初期濃度から算出した初期状態のCa2+及びMg2+の合計量との差分から計算して、生成した析出物(ドロマイト及びカルサイト(CaCO))の量を求めた。この析出物の生成量をスケール生成量とした。各水溶液の水質(濃度及びpH)及びスケール生成量を表1に示す。また、各水溶液の硫酸イオン(SO2−)の濃度とスケール生成量及びpHとの関係を示すグラフを図1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
表1及び図1に示されるように、硫酸イオンの含有量とスケール生成量とには高い相関があることがわかる。具体的には、実施例1及び2の水溶液は、比較例の水溶液に比べてスケール(析出物)の発生が低減されている。実施例2の水溶液は、硫酸イオン無添加の水溶液(比較例3)に比べ、スケールの発生量が約1/2となっている。また、実施例1の水溶液は、スケールがほとんど析出していないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上説明したように、本発明の生活用水は、配管へのスケール付着が抑制された飲用可能な水として利用可能である。具体的には、本発明の生活用水は、給湯器等に使用する水として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸イオンを含有するスケール付着抑制剤の添加により、硫酸イオンの濃度が2,000ppm以上5,000ppm以下に調整され、pHが6.5以上7.8以下である飲用可能な生活用水。
【請求項2】
上記スケール付着抑制剤が硫酸イオンとして硫酸ナトリウムを含有する請求項1に記載の飲用可能な生活用水。
【請求項3】
pHが6.5以上7.8以下である飲用可能な生活用水を流通させる配管のスケール付着抑制方法であって、
上記生活用水の硫酸イオンの濃度を2,000ppm以上5,000ppm以下に調整することを特徴とする配管のスケール付着抑制方法。
【請求項4】
硫酸イオンを含有するスケール付着抑制剤を生活用水に添加する添加手段と、
生活用水を流通させる配管を有し、この配管内を流通する生活用水を加熱する給湯器と
を備え、
上記添加手段によりスケール付着抑制剤が添加され、pHが6.5以上7.8以下である飲用可能な生活用水が、上記配管内を流通するよう構成されている給湯システム。

【図1】
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