説明

生物学的に分解可能な外被を持つ肥料

【課題】 生物学的に分解可能な少なくとも2つの異なる重合体で被覆される粒の形の固体肥料を提供する。
【解決手段】
エステル基を持つ重合体を含む水性分散と、ウレタン基及び/又は尿素基を持つ重合体を含む分散とを表面に被覆することによって、固体肥料が製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的に分解可能な少なくとも2つの異なる重合体で被覆される固体肥料、その製造方法、及びこれらの肥料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
重合体層で被覆されている肥料粒を肥料として使用することは一般に公知である。被覆によりこれらの肥料の効率が上昇される。なぜならば、被覆された肥料は、植物に栄養として役立つ物質を時間的に遅れて遊離し、こうして長時間にわたってその効果を生じるからである。このような緩慢解放肥料は、例えばUllmanns Enzyclopedia of Industrial Chemistry,5.Aufl.,1987,Bd.A10,S.363−369に記載され、その利点はFert.Res.von1993,Bd.35,S.1−12にまとめられている。
【0003】
過去において、生物学的に分解可能な重合体で被覆された多数の肥料粒が記述されている。
【0004】
国際公開第WO95/03260号は、2つの層から成る被覆を持つ肥料に関する。耕作においても水栽培においても使用可能なこの肥料は、生物学的に分解可能で、脂肪族ポリエステル又はポリウレタンから形成される内側層と、生物学的に緩慢に分解可能な重合体例えば生物学的に分解可能なセルロース誘導体、低分子ポリエチレン、低分子ろう及び低分子パラフィン又は光により分解可能な樹脂を含む水溶性外側層とを含んでいる。しかし外側層として使用される重合体は、一般に無視できない粘着性を持ち、これがこの被覆された肥料の使用の際欠点となっている。
【0005】
特開平7−309689号公報は、主として乳酸ポリエステルから成る被覆を備えている肥料に関している。ここでは、特に乳酸、ジカルボン酸及びジオールから成り、なるべく乳酸、脂肪族ジカルボン酸芳香族ジカルボン酸及びジオールから構成される乳酸共重合体が使用されることが示されている。その明細書には、そこで使用される共重合体中の乳酸含有量が少なくとも50重量%であることが示されている。
【0006】
生物学的に分解可能な重合体で被覆される別の肥料が特開平8−2989号、特開平7−315976号、特開平7−33577号及び特開平5−97561号の公報に記載されており、脂肪族ポリエステル、ポリ(ハイドロキシカルボン酸)、セルロース及びこれらの成分の1つを主成分として含む重合体が被覆として使用される。
【0007】
欧州特許第931036号明細書は、ポリエステルの分散を含む肥料粒の被覆を記載している。
【0008】
欧州特許出願公開第1264812号明細書は、植物用栄養素を含む固体処理のため、ウレタン基及び/又は尿素基を持つ重合体を含む分散を使用することによって製造される少なくとも1つの生物学的に分解可能な重合体層を持つ固体肥料の製造方法に関している。
【0009】
従来技術に従って記載されている被覆された肥料は一連の欠点を持ち、その処理の際部分的に著しい技術的困難につき当たる。
【0010】
従来技術において記載されている被覆材料のいくつかは、高い温度において比較的大きい接着性を持っている。水性分散として使用される重合体の多くは塗布されるので、肥料粒の容易な水溶性のため、水をできるだけ迅速に除去せねばならない。しかしこのために望ましい処理温度は、重合体の接着性のため、しばしば得られず、それにより設備容量が狭く限られている。
【0011】
重合体で被覆される肥料の表面における高い接着性は、更に重合体で被覆されて保護されない製品の室温での保管の際不利である。更に被覆される肥料は、使用する際作用する機械的荷重に耐えることができねばならない。この場合外被は損傷されてはならない。なぜならば、そうでないと事情によってはその有効性を失うからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って本発明の課題は、粒の形の固体肥料及びその製造方法を提供することであり、肥料が生物学的に分解可能な少なくとも2つの異なる重合体で被覆され、従来技術において記載されている欠点をもはや持っていないようにすることである。更に使用される重合体は、有機溶媒を使用することなく被覆されるようにする。被覆される肥料は、同時に充分な長時間効果を持ち、栄養素の緩慢な遊離を保証する。
【0013】
本発明の優先的な課題は、植物用栄養素が従来技術により知られているより緩慢にかつ均一に遊離されるようにすることである。
【0014】
更に充分な遅延効果を得るため被覆に必要な重合体の量をなるべくできるだけ少なくする。被覆される肥料は、通常保管又は輸送の際生じるような温度で接着する傾向がなく、このために特別な予防処置を必要としない。
【0015】
更に被覆される肥料は、大きすぎる硬さ及び脆さをなるべく持たないようにする。なぜならば、そうしないと、例えば移送の際起こるように、被覆される肥料に機械的荷重がかかる際、被覆が損傷されるか又は完全にひび割れる可能性があるからである。最後に肥料は、簡単かつ経済的な製造に関して次第に高まる要求を満たすようにする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この課題は、肥料が、生物学的に分解可能な1つの重合体を含む少なくとも1つの内側層及び生物学的に分解可能な他の重合体を含む少なくとも1つの層により包囲され、1つの重合体がエステル基を含み、他の重合体がウレタン基及び/又は尿素基を含むことによって、解決される。ウレタン基又は尿素基を含む重合体は更にエステル基を含むことができる。生物学的に分解可能な重合体を含む少なくとも1つの内側層はエステル基を含み、外側重合体層はウレタン基及び/又は尿素基を含んでいる。
【0017】
肥料上には、被覆される肥料に関して、なるべく1〜20重量%、なるべく2〜10重量%特に3〜7重量%の重合体が存在する。
【0018】
両方の異なる重合体の重量比はなるべく5:95〜95:5なるべく1:9〜9:1特に1:4〜4:1である。その場合ポリウレタンの量は、ポリエステルの量の少なくとも2倍とすることができる。
【0019】
更に本発明は、生物学的に分解可能な少なくとも2つの重合体で被覆される肥料の製造方法に関する。
【0020】
肥料とはまず固体肥料を意味する。しかしその代わりに又はそれに加えて、他の作用物質、例えば除草、生態環境破壊又は殺菌作用する物質及び/又は硝酸化防止剤及び/又はウレアーゼ防止剤も使用することができる。
【0021】
すべての公知のアンモニウム又は尿素含有鉱物性肥料を使用することができる。これに関し特にNPK肥料即ち窒素燐及びカリウムを含む肥料、石灰硝酸アンモニウム即ち更にカルシウムを含む肥料、硫酸硝酸アンモニウム(異なるモル比の(NHSO及びNHNOを含む、燐酸アンモニウム及び硫酸アンモニウム)。これらの肥料は当業者に一般に周知である(例えばUllmann‘s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5.Edition,Vol.A 10,323−431,Verlagsgesellschaft,Weinheim参照)。肥料は、例えばマグネシウム、硫黄又は痕跡栄養素のような更に別の栄養素も含むことができる。好ましいアンモニア含有肥料はNPK肥料、石灰硝酸アンモニウム、硫酸硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び燐酸アンモニウムである。
【0022】
尿素又は尿素含有肥料も使用可能である。しかしアンモニウム含有肥料が好ましい。
【0023】
例えば肥料として使用可能ないくつかの尿素含有物質があげられる。はるかに重要な3つの物質は、尿素及びメチレン尿素、イソブチリギン尿素(IBDV)及びクロトニリギン尿素(CDV)と称されるホルムアルデヒド、イソブチルアルデヒド及びアセトアルデヒドから成る縮合製品である。
【0024】
更に本発明により植物を肥やすことのできる他の固体物質又は調合物質も使用することができる。
【0025】
本発明により処理される鉱物性肥料は、粉末、粒、錠剤又は圧縮部の形で存在することができる。鉱物性肥料は0.1〜7.0mm、特になるべく0.5〜5.0mmの範囲にある平均粒径を持つ粒として存在するのがよい。
【0026】
エステル基を含む重合体として、生物学的に分解可能である限り、任意のポリエステルを使用することができる。芳香族、脂肪族及び/又は芳香族−脂肪族のポリエステルを使用することができる。
【0027】
ウレタン基及び/又は尿素基を含む重合体として、生物学的に分解可能である限り、任意のポリウレタン又はポリ尿素を使用することができる。芳香族、脂肪族:芳香族−脂肪族ポリウレタン又はポリ尿素を使用することができる。
【0028】
本発明により使用可能で生物学的に分解可能な重合体は、それぞれ分散として塗布される。本発明によれば、なるべく水に分散される重合体が分散として解釈され、40〜95重量%の水と5〜60重量%の重合体を含んでいる。60〜90重量%の水と10〜40重量%の重合体とを含む水性分散が好ましい。
【0029】
水性分散は、有機溶媒の使用に伴って表われる問題例えば毒性、廃棄物処理及び爆発の危険を回避できるという利点を与える。
【0030】
本発明は、一方では、肥料粒を被覆するため、脂肪族、芳香族及び/又は芳香族−脂肪族カルボン酸(誘導体)から誘導される構成単位を含み、5〜60重量%の生物学的に分散可能なコポリエステル(A)と40〜90重量%の水とを含み、次のものを含む混合物の変換により得られる重合体分散の使用に関する。
a1) 混合物は
a11)10〜95モル%の脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸又はそのエステルを形成する誘導体又はその2つ又はそれ以上の混合物、
a12)5〜90モル%の芳香族ジカルボン酸又はそのエステルを形成する誘導体又はその2つ又はそれ以上の混合物、
a13)0〜10モル%のスルホン酸塩基を含む化合物又はその2つ又はそれ以上の混合物
を含み、
個々のモル%表示の和が100であり、
a2)ジヒドロキン化合物又はアミノアルコール又はその2つ又はそれ以上の混合物、a1)とa2)とのモル比は0.4:1〜2.5:1の範囲に選ばれ、
a3)混合物(a1)に関して0〜10重量%の連鎖延長剤又はその2つ又はそれ以上の混合物、
a4)混合物(a1)に関して0〜20重量%の、エステル形成可能な少なくとも3つの基を持つ化合物又はその2つ又はそれ以上の混合物、
脂肪族(脂環式)及び芳香族カルボン酸誘導体から誘導されて再現する単位は、統計的に分布され、コポリエステル(B)は、(0−ジクロルベンゾール/フェノール(重量比50/50)で測定して0.5重量%コポリエステルの濃度で25℃の温度において)5〜450ml/gの範囲にある粒度数を持ち、成分(a13)及び(a4)の割合は同時に0ではない。
【0031】
本発明により使用される水性ポリエステル分散内で使用される生物学的に分散可能なコポリエステルは、芳香族カルボン酸(誘導体)及び脂肪族カルボン酸(誘導体)から誘導されて繰返し現われる単位を含むが、このようなコポリエステル自体は公知であり、国際公開第WO98/14413号、米国特許第5446079号明細書及び並行する国際出願第WO92/09564号、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4432161号明細書及び欧州特許第0809664号又は第0809866号のような一連の欧州特許に記載されている。
【0032】
本発明の範囲内で使用される脂肪族ジカルボン酸は、一般に2〜10個の炭素原子なるべく4〜6個の炭素原子を持っている。本発明の範囲内で使用される脂環式ジカルボン酸は、7〜10個の炭素原子特に8個の炭素原子を持っている。しかし原理的には、もっと大きい数の炭素原子即ち30までの炭素原子を持つジカルボン酸も使用できる。
【0033】
例として、とりわけマロン酸、こはく酸、グルタル酸、アジピン酸、及び欧州特許第0931036号明細書の第2頁第12〜15行にあげられている化合物があげられるが、アジピン酸が好ましい。
【0034】
上記ジカルボン酸のエステルを形成する誘導体として、例えばジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジペンチルエステル、ジヘキンルエステルのようなジ−C−Cアルキルエステルがあげられる。
【0035】
その際ジカルボン酸又はその誘導体は、個々に又はその2つ又はそれ以上の混合物として使用することができる。
【0036】
アジピン酸又はそのエステルを形成する誘導体又はセバシン酸又はその誘導体が好んで使用される。
【0037】
(脂環式)ジカルボン酸又はそのエステルを形成する誘導体の割合は、成分(a11)〜(a13)の全量に関して、一般に10〜95なるべく20〜50特に25〜35モル%である。
【0038】
芳香族ジカルボン酸として、一般に8〜12個なるべく8個の炭素原子を持つものがあげられる。例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2.6−ナフタル酸、1.5−ナフタル酸及びそのエステルを形成する誘導体があげられる。特にジ−C−C−アルキルエステル例えばジメチルエステル、ジユチルエステル、ジプロピルエステル、ジブチルエステル、ジフェールエステル又はジヘキシルエステルがあげられる。
【0039】
しかし原理的には、もっと大きい数の炭素原子を持つ芳香族カルボン酸も使用できる。芳香族ジカルボン酸又はそのエステルを形成する誘導体は、個々に又はその2つ又はそれ以上の混合物として使用できる。
【0040】
芳香族ジカルボン酸又はそのエステルを形成する誘導体の割合は、成分(a11)〜(a13)の全量に関して、一般に5〜90なるべく50〜80特に65〜75モル%である。
【0041】
スルホン基を含む化合物(a13)として、本発明の範囲内で、通常スルホン基を含むジカルボン酸又はそのエステルを形成する誘導体のアルカリ塩又はアルカリ土類塩、なるべく5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩特にナトリウム塩が使用される。スルホン基を含む化合物(a13)の割合は、成分(a11)〜(a13)の全量に関して0〜10なるべく0〜5特に3〜5モル%である。スルホン基を含む化合物は、個々に又はその2つ又はそれ以上の混合物として使用することができる。
【0042】
成分(a2)として、本発明によれば、ジヒドロキシ化合物又はアミノアルコール又はその2つ又はそれ以上の混合物を使用できる。原理的には、エステル製造において周知のすべてのジオール又はアミノアルコールが使用可能である。
【0043】
しかし一般に2〜12個なるべく4〜6個の炭素原子を持つ(a21)アルカンジオール、又は5〜10個の炭素原子を持つシクロアルカンジオール、(a22)ポリエーテルジオール即ちエーテル基を含むジヒドロキシ化合物、2〜12個なるべく2〜4個の炭素原子を持つ(a23)アミノアルコール、及び5〜10個の炭素原子を持つアミノシクロアルコールが使用される。
【0044】
例えば欧州特許第0931036号明細書の第4頁第51行〜第5ページ第7行にあげられている化合物なるべく約600〜3000g/molの分子量を持つポリエチレングリコールもあげられる。
【0045】
(a1)と(a2)とのモル比は、一般に0.4:1〜2.5:1の範囲なるべく約0.5:1〜1.5:1、更に約0.5:1〜1.2:1特に0.5:1〜1:1の範囲に選ばれる。
【0046】
孤立コポリエステルにおける(a1)と(a2)とのモル比は、(場合によっては所望の量の過剰な成分(a2)の除去後)0.4:1〜1.5:1なるべく0.5:1〜12:1特に0.5:1〜1:1である。
【0047】
連鎖延長剤(a3)として、一般にポリエステルの製造において普通のすべての連鎖延長剤を使用できる。使用される場合その割合は、混合物(a1)に関して、約0.01〜10なるべく0.05〜5更に好ましくは0.07〜3特に約0.1〜1重量%である。
【0048】
ここで使用される連鎖延長剤のうち、欧州特許第0931036号明細書の第5頁第18行〜第38行に詳細に記載されているように、とりわけジイソシアン酸塩又はジビニルエーテルである。連鎖延長剤(a3)はその2つ又はそれ以上の混合物としても使用できる。
【0049】
更にエステル形成可能な少なくとも3つの基(a4)、又はその2つ又はそれ以上の混合物を使用でき、しかも存在する場合混合物(a1)に関して、約0.01〜約20なるべく約1〜約10特に好ましくは約3〜約7特に約3〜約5重量%の割合で使用できる。
【0050】
化合物(a4)として使用される化合物は、エステル結合を形成できるなるべく3〜10個の作用基を含んでいる。特に好ましい化合物(a4)は、分子中にこの種の3〜6個の作用基、特に3〜6個のヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を持っている。特に3及び/又は4作用基カルボン酸又はその誘導体及びそのポリオールがなるべく使用される。例えば酒石酸、くえん酸、りんご酸、トリメシン酸、トリメリト酸、トリメリト酸無水物、ポリメリト酸、ポリメリト酸二無水物、ヒドロキシイソフタル酸、トリメチロルプロパン、トリメチロルエタン、ペンタエリトリト、ポリエーテルトリオール及びグリセリンがあげられる。
【0051】
連鎖延長剤(a3)及び/又は化合物(a4)の添加により、例えば溶融粘度、限界粘度数又は分子量を所望のように変化でき、即ち連鎖延長剤(a3)及び化合物(a4)が添加されなかったポリエステルと比較して、限界粘度数及び分子量を適当に高め、こうしてそれぞれの使用に応じてポリエステルの機械的性質を変化することができる。その際注意すべきことは、本発明によれば、コポリマが遊離酸基を利用できるようにするため、少なくとも1つの成分(a13)及び/又は化合物(a4)が存在せねばならないことである。
【0052】
別の実施形態において、本発明は40〜95重量%の水及び5〜60重量%の生物学的に分解可能な共重合体(B)を含み、脂肪族及び/又は芳香族のカルボン酸(誘導体)から誘導される構造単位を含み、次のものを含む混合物の変換によって得られる、肥料粒を被覆するためのポリエステル分散の使用に関し、
a1) 混合物は
a11)10〜95モル%の脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸又はそのエステルを形成する誘導体又はその2つ又はそれ以上の混合物、
a12)5〜90モル%の芳香族ジカルボン酸又はそのエステルを形成する誘導体又はその2つ又はそれ以上の混合物、
a13)0〜10モル%のスルホン酸塩基を含む化合物又はその2つ又はそれ以上の混合物
を含み、
個々のモル%表示の和が100であり、
a2)ジヒドロキン化合物又はアミノアルコール又はその2つ又はそれ以上の混合物、a1)とa2)とのモル比は0.4:1〜2.5:1の範囲に選ばれ、
a3)混合物(a1)に関して0〜10重量%の連鎖延長剤又はその2つ又はそれ以上の混合物、
a4)混合物(a1)に関して0〜20重量%の、エステル形成可能な少なくとも3つの基を持つ化合物又はその2つ又はそれ以上の混合物、
b1)次の式IIa又はIIbにより定義されかつ混合物(a1)に関して0.01〜50重量%以下のヒドロキンカルボン酸(B1)

ここでPは1〜1500の整数、n=1,2,3又は4を意味し、Gはフエニレン−(CH)m−基(mは1,2,3,4又は5の整数)、−C(R)H−基又は−C(R)HCH−基を表わし(R=メチル又はエチル又はその2つ又はそれ以上の混合物)、
脂肪族(脂環式)及び芳香族カルボン酸誘導体から誘導されて再現する単位は、統計的に分布され、コポリエステル(B)は、(0−ジクロルベンゾール/フェノール(重量比50/50)で測定して0.5重量%コポリエステルの濃度で25℃の温度において)5〜450ml/gの範囲にある粒度数を持ち、成分(a13)及び(a4)の割合は同時に0ではない。
【0053】
上の式IIaにおいてPはなるべく1〜約1000であり、式IIbにおいてnはなるべく1又は2を意味し、mはなるべく1又は5を意味する。
【0054】
反応せしめられる混合物中におけるヒドロキシカルボン酸(B1)の含有量は、混合物(a1)に関して約0.1〜30重量%である。
【0055】
ヒドロキシカルボン酸(B1)として、なるべくグリコール酸、D−乳酸、M−乳酸、D/L−乳酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、及びその環式誘導体、環式ジエステル例えばグリコリド(1.4−ジオキサン−2.5−ジオン)、D−ジラクチド、L−ジラクチド(3.6−ジメチル−1.4−ジオキサン−2.5ジオン)、p−ヒドロキシ安息香酸及びそのオリゴマー、重合体例えば3−ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸、ポリラクチド(例えばCargill社から登録商標EcoPLAとして得られる)、3ポリヒドロキシ酪酸とポリヒドロキシ吉草酸との混合物(後者はZeneca社から登録商標Biopolの名称で得られる)が使用され、上に定義された低分子及び環式の誘導体が使用される。もちろん上に定義されたヒドロキシカルボン酸の2つ又はそれ以上の混合物も使用できる。
【0056】
別の実施形態において、上述のヒドロキシカルボン酸(B1)の環式誘導体を使用して、公知のようにいわゆる“開環重合により、本発明により使用される生物学的に分解可能なコポリエステルとの反応の際、上に定義した種類のコポリエステルが得られ、これらのコポリエステルは、それぞれ少なくとも1つのヒドロキシカルボン酸単位(B1)を介して互いに結合されている、本発明により使用される生物学的に分解可能なコポリエステル(B)から成るブロック構造を含んでいる。”
【0057】
本発明の範囲内で特に好んで使用されるコポリエステルは、成分(a11),(a12)及び(a2)に関して次の組成を持ち、そこで考慮すべきことは、これらのコポリエステルがスルホン酸基を持つことができ、成分(a3)及び(a4)として定義された連鎖延長剤及び/又は化合物も含むことができることである。それぞれの成分の後でかっこに入れられた値は、モル%で表わされる成分の割合に相当する。テレフタル酸(75)−アジピン酸(25)−ネオペンチルグリコール(100)、テレフタル酸(70)−アジピン酸(30)−ブタンジオール(100)、テレフタル酸(70)−アジピン酸(25)−イソフタル酸(5)−ネオペンチルグリコール(100)。
【0058】
本発明により使用されるコポリエステル(A)又は(B)は次の特徴を持っている。
【0059】
コポリエステルは、0−ジクロル−ベンゾール/フェノール(重量比50/50)内で0.5重量%のコポリエステルの濃度で25℃の温度で測定して、約5〜450ml/gなるべく約50〜約350ml/g、更に好ましくは約100〜約350ml/g特に約200〜約350ml/gの範囲にある粘度数を持っている。
【0060】
更に本発明により使用されるコポリエステル(B)は、ヒドロキシル基及びカルボキシ末端基を持っている。
【0061】
本発明により使用されるコポリエステル(B)のヒドロキシル数は0〜約30なるべく0〜約20特に0〜約10である。
【0062】
本発明の範囲内において使用される脂肪族(脂環式)ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、ジオール及び/又はアミノアルコール及びそれ以外の成分(a3),(a4)及び(b1)についてのそれ以上の詳細に関して、従来技術の評価の際最初にあげた出願人の特許出願、米国特許第5446079号明細書及び国際出願第WO92/09564号が参照される。
【0063】
ポリエステルの製造は基本的には公知であり(Sorensen und Campbell,“Preparative Methods of Polymer Chemistry”,Interscience Publishers,Inc.,New York,1961,S.111−127;Kunststoffhandbuch,Bd.3/1,Carl Hanser Verlag,Muenchen,1992,S.15−23)、前述した特許出願にも示されている。ポリエステル分散の製造も公知であり、とりわけ米国特許第3546008号明細書、欧州特許出願公開第0332980号明細書及び欧州特許第0498156号明細書に記載されている。
【0064】
本発明により使用されるポリエステル分散は5〜60重量%なるべく10〜40重量%の固体即ち使用されるコポリエステル(A)又は(B)を含んでいる。
【0065】
本発明により使用される水性ポリエステル分散は、上述したように製造され、得られて本発明により使用されるコポリエステル(A)又は(B)は、水性媒体中で適当な中和剤を使用して中和され分散される。
【0066】
ポリエステル重合体で被覆される肥料は、ウレタン基及び/又は尿素基を含む少なくとも1つの重合体を含む少なくとも1つの別の層で被覆されている。
【0067】
これらの重合体は、分散として固体肥料に被覆される。ウレタン基及び/又は尿素基を含む重合体を分散するため、なるべく大幅に又は完全に有機溶媒をやめることができるので、重合体、ウレタン基及び/又は尿素基を含む本発明による分散を製造する際、有機溶媒の使用に伴う問題を回避することができる。
【0068】
本発明によれば、ウレタン基及び/又は尿素基を含む分散が使用され、40〜95重量%の水と5〜60重量%の重合体を含んでいる。
【0069】
尿素基及び/又はウレタン基を持つ重合体を含む分散として、本発明によれば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19825453号明細書第2頁第43行〜第5頁第63行に記載されているような分数がなるべく使用される。
【0070】
本発明によれば、ポリエステルポリオール及びイソシアネートに基く重合体分数が好まれる。脂肪族イソシアネートに基く重合体分数が特に好まれる。
【0071】
a)マクロオール、イオン又は電位イオンポリオール及び過剰なポリイソシアネートから、NCOを末端に持つプリポリマが製造され
b)このプリポリマが、イソシアネートに対して反応性の少なくとも2つのアミノ基を持つ化合物と、≦1:1のNCO基/NH基の比で反応せしめられ、
c)中和され、かつ
d)水で分散される
ことによって製造されるポリウレタン分数が特に好ましい。
【0072】
マクロオールとして、500〜5000なるべく800〜4500特に800〜3000の分子量を持つような化合物が使用される。特にマクロジオールの使用が好ましい。
【0073】
マクロオールでは、例えばUllmanns Encyklopaedie dertechnischen Chemie,4.Auflage,1980,Band 19,S.62−65から公知のポリエステルポリオールが特に問題となる。2価のアルコールと2価のカルボン酸との反応により得られるポリエステルポリオールが好んで使用される。遊離ポリカルボン酸の代わりに、適当な無水ポリカルボン酸又は低級アルコールの適当なポリカルボン酸エステル又はその混合物を、ポリエステルポリオールの製造のために使用することができる。ポリカルボン酸は、脂肪族脂環式、芳香族又は複素環式であってもよく、場合によっては例えばハロゲン原子により置換されかつ/又は不飽和にされることができる。その例は欧州特許出願公開第1264812号明細書にあげられている。一般式HOOC−(CH−COOHのジカルボン酸が好ましく、ここでyは1〜20の数なるべく2〜20の整数であり、例えばこはく酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸及びセバシン酸が好ましい。
【0074】
ジオールとして、欧州特許出願公開第1264812号明細書の第3頁第52行以降にあげられているものが考慮される。一般式HO−(CHOHのアルコールが好ましく、ここでxは1〜20なるべく2〜20の整数である。その例はエチレングリコール、ブタン−1.4−ジオール、ヘキサン−1.6−ジオール、オクタン−1.8−ジオール及びドデカン−1.12−ジオールである。更にネオペンチルグリコール及びペンタジオール−1.5が好まれる。
【0075】
更に例えばホスゲンとポリエステルポリオールの構成分子としてあげられる低分子アルコールの剰余との反応により得られるようなポリカーボネートージオールも考慮される。
【0076】
ラクトンに基くポリエステルジオールも適しており、ラクトンのホモ重合体又は混合重合体、適当な2機能始発分子にあるラクトンのなるべく終端のヒドロキシル基を持つ添加体が問題である。ラクトンとして、一般式HO−(CH−COOHの化合物から誘導されるようなラクトンがなるべく考慮され、ここでzは1〜20の数であり、メチレン単位のH原子はC〜Cアルキル基によっても置換可能である。例は□−カプロラクトン、β−プロピオンラクトン、y−ブチルラクトン及び/又はメチル−□−カプロラクトン及びその混合物である。適当な始発成分は、例えばポリエステルポリオール用構成分子として前にあげた低分子の2価アルコールである。ε−カプロラクタンの適当な重合体が特に好ましい。低級ポリエステルジオール又はポリエーテルジオールも、ラクトンを製造するための始発物質として使用することができる。ラクトンの重合体の代わりに、ラクトンに相当するヒドロキシカルボン酸の化学的に等価な縮重合体も使用できる。
【0077】
更に単量体としてポリエーテルオールが考慮される。これらは、酸化プロピレン、酸化ブチレン、テトラヒドロフラン、酸化スチロール又はエピクロルヒドリンの重合により、例えばBFの存在下で又はこれらの化合物を場合によっては混合して又は前後に、アルコール又はアミンのように反応可能な水素原子を持つ始発成分例えば水、エチレングリコール、プロパン−1.2−ジオール,2.2ビス−(4−ヒドロキシフェール)−プロパン又はアニリンに添加することによって得られる。特に500〜4500の分子量のポリテトラヒドロフランが特に好まれる。
【0078】
同様にポリヒドロキシオレフィン、なるべく2つの末端ヒドロキシル基例えばα−ω−ジヒドロキシポリブタジエン、α−ω−ジヒドロキシポリアクリルエステルを持つものが単量体として適している。このような化合物は例えば欧州特許出願公開第0622378号明細書から公知である。別の適当なポリオールはポリアセタール、ポリシロキサン及びアルキッド樹脂である。
【0079】
前記のマクロオールのほかに、場合によっては短鎖ポリオールも添加することができる。この場合例えば62〜500特に62〜200g/molの分子量を持つ短鎖ジオールが考慮される。短鎖ジオールとして、とりわけ構成成分として、ポリエステルポリオールの製造のためにあげられる短鎖アルカンジオールが使用され、2〜12個のC原子及び整数のC原子を持つ無枝ジオール及びペンタンー1.5−ジオールが好まれる。更にフェノール、芳香族ジヒドロキシ化合物又はジオールとしてのビスフェノールA又はFが考慮される。
【0080】
イオン又は電位イオンポリオールとして、本発明によれば、全部で10個までの炭素原子を持つ2.2−ジ−(ヒドロキシメチル)−アルカンモノカルボン酸が考慮される。(電位)陰イオン基を持つ単量体として、通常脂肪族、脂環式、アラルキル又は芳香族カルボン酸及びスルホン酸が考慮され、米国特許出願公開第3412054号明細書にも記載されているように3〜10個の炭素原子を持つ少なくとも1つのアルコールヒドロキシル基又は少なくとも1つの第1又は第2アミン基を持っている。特に次の一般式

の化合物が適している。ここでR及びRはC〜Cアルカンジオール単位を表わし、RはC−〜C−アルキル単位を表わす。特にジメチロールプロピオン酸が好ましい。
【0081】
ポリイソシアネートとして、本発明によれば、ポリウレタン化学において通常使用されるジイソシアネートがなるべく考慮される。
【0082】
特にジイソシアネートX(NCO)があげられ、ここでXは、4〜12個の炭素原子を持つ脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を持つ脂環式又は芳香族炭化水素基、又は7〜15個の炭素原子を持つアラルキル炭化水素基を表わす。このようなジイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、及び欧州特許出願公開第1264812号明細書の第4頁及び第5頁にあげられたものである。
【0083】
これらのイソシアネートの混合として、ジイソシアネートトルオール及びジイソシアネートジフェニルメタンのそれぞれの構造異性体の混合物が特に重要であり、特に80モル%の2.4−ジイソシアネートトルオールと20モル%の2.6−ジイソシアネートトルオールとの混合物が適している。更に2.4−ジイソシアネートトルオール及び/又は2.6−ジイソシアネートトルオールのような芳香族イソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)又はIPDIのような脂肪族又は脂環式イソシアネートとの混合物が、特に有利であり、脂肪族イソシアネートと芳香族イソシアネートとの好ましい混合比は4:1である。脂肪族結合されたNCO基を持つイソシアネートが特に好まれる。
【0084】
ポリイソシアネートとして、遊離NCO基のほかにNCO基から誘導される基例えばイソシアヌール酸塩基、ビウレット基、尿素基、アロファン酸塩基、ウレチドン基又はカルボジイシド基を持つイソシアネートも使用できる。
【0085】
ウレタン基及び/又は尿素基を含む重合体の使用可能な分散の製造は、欧州特許出願公開第1264812号明細書に記載されている。
【0086】
更に使用されるポリ尿素−ポリウレタン分散は、疎水性補助剤、他の分散又は他の補助剤を含むこともできる。このため、特にドイツ連邦共和国特許出願公開第19825453号明細書の第5頁第64行〜第7頁第8行に記載されている物質が考慮される。しかし別の重合体分散を添加しないポリ尿素−ポリウレタン分散がなるべく使用される。
【0087】
ポリ尿素−ポリウレタン分散は痕跡元素を含むこともできる。これに対して欧州特許出願公開第380193号明細書の第2頁第34行〜第36行に記載されている元素が特に考慮される。
【0088】
使用されるポリ尿素−ポリウレタン分散は、更に作用物質を含むことができる。この場合欧州特許出願公開第380193号明細書の第3頁第17行〜第39行に記載されているような物質が考慮される。
【0089】
本発明による方法では、肥料に2つ又はそれ以上の層が被覆される。1つの実施形態では、2つの重合体層が、異なる割合で肥料類を被覆でき、一方の重合体にエステル基を含み、他方の重合体はウレタン基及び/又は尿素基を含んでいる。
【0090】
特に本発明は、本発明による固体肥料の製造方法に関し、エステル基を含む重合体の少なくとも1つの分散と、ウレタン基及び/又は尿素基を持つ少なくとも1つの重合体を含む少なくとも1つの分散とが、固体肥料に被覆される。本発明の方法によれば、エステル基を含む少なくとも1つの重合体を含む分散が被覆され、それからウレタン基及び/又は尿素基を含む重合体を含む少なくとも1つの分散が被覆される。
【0091】
本発明の変形形態では、別の層として、肥料の被覆のために使用されるすべての物資、即ち本発明により使用されるポリウレタン分散、尿素分散及びポリエステル分散とは異なる物質が、原理的に使用可能である。
【0092】
分散の被覆は、吹付けによって好都合に行われる。本発明により使用される分散は、被覆方法のため高い処理温度で使用可能である。高い温度では著しく高い水蒸気圧が、被覆装置の容量を著しく高める。被覆は10〜110℃なるべく30〜70℃の温度で行われるのがよい。
【0093】
水性分散の被覆の際本発明による固体肥料が溶解されるのを回避するため、単位時間当たり限られた量の分散を被覆し、水が迅速に蒸発できるようにする。
【0094】
これは、原料肥料粒を過流ガスで巻上げることにより形成される過流層を、10〜110℃なるべく30〜70℃の温度で、分散と共に振りまくことによって、好都合に行われる。溶液又は分散の吹付け後、分散媒が蒸発されるまで、過流層が維持される。
【0095】
このような過流層被覆方法は一般に公知であり、被覆される肥料粒の製造のため、米国特許出願公開第5211985号明細書に記載されている。この方法により、一般に10〜150μmなるべく10〜100μm特に20〜80μmの厚さを持つ特に均一な薄い被覆が形成される。
【0096】
本発明により、使用可能な分散は、別の固体例えば滑石、SiO,Al又はTiOも含むことができる。これらの固体は本発明による肥料に被覆されて、被覆された肥料が接着したり焼着く傾向を少なくする。
【0097】
本発明により被覆された肥料は、場合によっては硝化防止剤又は発育調整剤と共に、普通の方法で地面へもたらされ、そこで長い時間にわたって栄養素を遊離する。肥料は、それが高い温度でも接着及び焼着する傾向が比較的少なく、その被覆が、被覆の際又は輸送の際又は使用の際起こるような機械的負荷の影響を受けないという点で、特にすぐれている。
【0098】
硝化防止剤は、地中でアンモニウムから硝酸塩又は亜硝酸塩への酸化反応を防止できる化合物である。この防止は望ましい。なぜならば、硝酸塩又は亜硝酸塩の窒素は、その大きい可動性のため、洗い落としによる失われるおそれが常にあり、その場合植物にはもはや利用されないからである。本発明では、硝化防止剤として、ジシアンジアミド又はピラゾル化合物のような既に述べた化合物が使用可能である。適当なピラゾル化合物は、例えばドイツ連邦共和国の特許出願公開第4128828号及び第19631764号明細書に記載されている。特に3.4−ジメチル−ピラゾル、4−クロル−3−メチルピラゾル、N−ヒドロキシメチル−3.4−ジメチルピラゾル、N−ヒドロキシ−メチル−4−クロル−3−メチルピラゾル及びその酸添加塩が、特に鉱酸溶液中において好まれる。例えば3.4−ジメチルピラゾルを濃縮燐酸溶液中で使用でき、その場合これが3.4−ジメチル−ピラゾル燐酸塩(3.4−DMPP)として存在する。しかし硝酸塩、塩化物、硫酸塩、有機酸の塩例えば酢酸塩、しゅう酸塩及び多硫酸塩も被覆することができる。硝化防止剤は肥料との混合物で存在することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0099】
本発明が以下の例により詳細に説明される。
【0100】
実験室条件下での栄養素遊離及び白菜での植物栽培試験における遅延効果についてのデータが以下に示されている。栄養素遊離を特徴づけるため、被覆された肥料粒が浸出検査を受けた。この場合検査すべき被覆された肥料粒(50g)の試料が、U字状ガラス装置へ入れられ、続いてこの装置が毎日20℃の500mlの蒸留水で均一に洗浄された。捕集された洗浄水は毎日その栄養素含有量(大抵は窒素のみ)について検査され、結果と肥料原粒子に存在する栄養素量との関係が求められ、百分率数として表わされた。数日にわたって実施された検査の結果が、若干の比較値と共に次の表の上部にまとめられている。

PES=ポリエステル,PUR=ポリウレタン
【0101】
被覆された肥料は、長時間作用及び栄養素の緩慢な遊離を保証する。植物実験において、遅延が被覆量に関係してどのように行われるかが示される。例えば栽培植物例えば白菜が栽培の初めに施肥され、それから成長することによって、この長時間効果を示すことができる。成長期間の終了後、白菜が切断され、新鮮重量が求められる。小さい新鮮重量は、使用された肥料の強い遅延を意味する。よく被覆された肥料における長時間作用は、白菜の栽培時間より長いので、第1の植物の収穫後再施肥なしに同じ容器へ第2の植物が挿入される。第2の植物も存在する肥料で成長することができる。この反覆により、非常に長い栽培時間に相当する時間にわたって、遊離特性が検査される。この実験の結果が、表の下部にまとめられ、本発明による肥料の改善された遅延作用を示している。
【0102】
実験室におけるN遊離は、肥料上における同じ全重合体量において、本発明による変形実施態様では、比較例(例1,2と例6、例3と例4参照)におけるより著しく強く遅延されている。白菜産出高は、第1の両方の切片(8〜10週間の栽培時間に相当する)にわたって、第1の引数例におけるより著しく均一に分布されている。更に第1の切片の産出高は著しく減少しており、これは肥料の良好な遅延を証明している。例2と例4を比較すると、全体として僅かな外被材料で一層良好な産出結果が得られることがわかる。例5において、4%の重合体全量を持つ層構成では、5%の重合体を持つ(層構成なしの)例3におけるより著しい遅延が行われる。
【0103】
即ち同じ遅延を得るために、少ない重合体しか必要でない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に分解可能な重合体を含む少なくとも1つの内側層及び生物学的に分解可能な他の重合体を含む少なくとも1つの外側層により包囲されている固体肥料において、1つの重合体がエステル基を含み、他の重合体がウレタン基及び/又は尿素基を含み、生物学的に分解可能な重合体を含む少なくとも1つの内側層がエステル基を含んでいることを特徴とする、固体肥料。
【請求項2】
生物学的に分解可能な重合体を含む外側層がウレタン基及び/又は尿素基を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の固体肥料。
【請求項3】
エステル基を含む重合体を含む少なくとも1つの分散と、ウレタン基及び/又は尿素基を含む他の重合体を含む少なくとも1つの別の分散が被覆され、その際エステル基を持つ重合体を含む分散がまず被覆されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の固体肥料を製造する方法。
【請求項4】
それぞれ40〜95重量%の水及び5〜60重量%の重合体を含む水性分散が使用されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
水性分散が、滑石、SiO、Al及びTiOの群から選ばれた別の固体を含んでいることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
植物用作用物質を遅れて遊離させるための請求項1に記載の固体肥料の使用。

【公開番号】特開2006−256946(P2006−256946A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−116226(P2005−116226)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(503025812)コンポ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト (1)
【Fターム(参考)】