説明

生物的防除剤と殺線虫性種子コーティングとの組み合わせ

本発明は、有害生物および病原体からの植物の保護を増強するための、少なくとも1種の生物的防除剤と少なくとも1種の殺線虫剤との組み合わせを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2006年6月19日に出願された米国特許仮出願第60/815,197号の恩典を主張するものであり、該出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
植物寄生性線虫は、多くの農学および園芸作物における厳しい植物生産制約の原因となる。例えば、ある特定の根こぶ線虫またはシスト線虫等の内部寄生性線虫の重篤な侵襲は、10%〜50%の収穫損失をもたらす可能性がある。植物寄生性線虫による世界的規模の作物の損失は、年間800億ドルと推定されている。
【0003】
線虫防除のための現在の有害生物管理の選択肢は、極めて限られている。使用者、消費者、および環境への望ましくない作用の可能性のために、土壌燻蒸剤および有効な非燻蒸剤である殺線虫剤、特にカルバマートおよび有機リン酸塩化合物は、ますます規制の圧力下に置かれている。例えば、侵襲された土壌を水蒸気処理により熱にさらす等の植物寄生性線虫の個体数を減らすための他の有効な方法は、技術的に困難であり、かつ畑での使用には費用がかかり過ぎる。
【0004】
ある特定の種子処理は、植物寄生性線虫に対する有意な活性を有する。例えばアバメクチンでの種子処理は、植物寄生性線虫を包含する種々の植物有害生物から稚苗の根部を有効に保護することを示している。アバメクチンで保護した植物と比較して、無保護の根系は成長阻害を示し、かつ根こぶ線虫(メロイドギネ種(Meloidogyne spp.))の場合には、より重篤なこぶ形成(galling)を示す。これらの地下での違いは、苗条の高さおよび乾燥重量の著しい違いに反映される。しかしながら、線虫侵入に対する種子処理での保護は、比較的短期間しか続かないことが多い。そのため、例えば旬が長い作物に使用するため、および有害生物、例えば線虫の複数世代が生じる気候において使用するために、保護期間の延長を可能にする処理の開発が望ましい。
【0005】
植物寄生性線虫および他の有害生物の生物的防除は、化学管理の可能性のある代替として推奨されている(例えば、Kerry, 1987 Biological Control. In: Principles and practice of nematode control in crops, R. H. BrownおよびB. R. Kerry, eds., pp.233-263, Academic Press, London., 1987(非特許文献1);ならびにStirling, Biological control of plant parasitic nematodes. CAB International, Wallingford, UK, 1991(非特許文献2)を参照)。線虫捕食真菌は、本願にとって特に関心のある真菌である。線虫捕食真菌は、一般に2つの分類:a) 機械的または粘着性のわなを産生する線虫捕捉真菌、および b) 菌糸の浸透(hyphal penetration)によるか、またはそれらの分生子(胞子)が線虫の角皮に摂取されるか、もしくは付着したときに線虫に感染する内部寄生真菌に分けられる。従来、非殺菌土壌中で線虫捕食真菌を使用する試みは、ほとんど効果がなかった。国際市場で市販されることがほとんどない製品は、概して実績記録に乏しい。
【0006】
もっと最近では、研究の焦点は捕捉真菌から、雌性寄生真菌(female-parasitizing fungi)および卵寄生真菌(egg-parasitizing fungi)へと移った。これらの真菌は、根部表面および根部の表皮/皮層組織にコロニーを形成する能力を持つ、線虫の偏性寄生生物か、または通性捕食者(facultative predator)であるが、植物への明らかな損傷を引き起こさない。それらの標的宿主としては、経済上最も重要な、根こぶ線虫(メロイドギネ種)、およびシスト線虫(ヘテロデラ種(Heterodera spp.)、グロボデラ種(Globodera spp.))が挙げられる。可能性のある生物的防除生物としてこれらの真菌を用いる試みも、十分に確認されている(例えば、Kerry, B. R. Journal of Nematology 22: 621-631, 1990(非特許文献3);Stirling, 1991, 上記(非特許文献2)参照;およびJaffee, B. A. Canadian Journal of Microbiology 38: 359-364, 1992(非特許文献4))。しかしながら、これらの真菌は、内部寄生性線虫の幼若期の侵入する第二段階から、稚苗の根部を保護することが大体できなかったため、結果は期待はずれであることが多かった。
【0007】
上記の内容に照らして、線虫ならびに他の植物有害生物および病原体を防除する改良法が必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Kerry, 1987 Biological Control. In: Principles and practice of nematode control in crops, R. H. BrownおよびB. R. Kerry, eds., pp.233-263, Academic Press, London., 1987
【非特許文献2】Stirling, Biological control of plant parasitic nematodes. CAB International, Wallingford, UK, 1991
【非特許文献3】Kerry, B. R. Journal of Nematology 22: 621-631, 1990
【非特許文献4】Jaffee, B. A. Canadian Journal of Microbiology 38: 359-364, 1992
【発明の概要】
【0009】
本発明の態様は、有害生物/病原体に対する植物の保護を増強すること、および植物の健康状態を改善することに関連する、方法および組み合わせ処理を包含する。該方法は任意の植物に用いられ得るが、いくつかの態様において、該方法は、例えば移植前に、苗または容器中で育てられた植物を処理するために特に有用であり得る。
【0010】
一局面において、本発明は、1種もしくは複数種の、例えばアベルメクチン等の殺線虫剤、および1種もしくは複数種の生物的防除剤を含む、組み合わせ処理で、植物を処理する方法を含む。従って、一態様において、本発明は、植物における有害生物抵抗性を増強する方法であって、例えば種子等の植物繁殖物質に、例えばアベルメクチン等の殺線虫剤を含む、例えば、これに限定されないが、アバメクチンを含む農薬組成物を適用する段階;および少なくとも1種の生物的防除剤を適用する段階を含む方法を包含する。該生物的防除剤は、線虫拮抗性生物的防除剤であってもよい。
【0011】
本発明の態様は、また、(i) 例えば種子等の植物繁殖物質を、1種または複数種の殺線虫剤で処理する段階、(ii) 多くの場合段階 (iii) の前に、1種または複数種の生物的防除剤を、該植物繁殖物質の座(locus)に適用する段階、(iii) 該処理した繁殖物質を植えるか、または播種する段階、ならびに (iv) 該処理した植物繁殖物質、該処理した植物繁殖物質から育てられた植物の一部分のおよび/または植物の有害生物抵抗性の増強を達成する段階を含む、方法にも関する。
【0012】
いくつかの態様において、生物的防除剤を適用する段階は、植物繁殖物質が植えられている(または植え付け用である)土壌または植え付け用培地に、生物的防除剤を接種する段階を含む。この接種する段階は、繁殖物質を植える前か、繁殖物質を植えると同時に、または繁殖物質を植えた後に行われ得る。生物的防除剤を適用する段階は、植える前、または植えると同時に、例えば種子等の植物繁殖物質がその中に播種される、土壌または植え付け用培地を、生物的防除剤で処理する段階を含む。他の態様において、生物的防除剤を繁殖物質に適用する段階は、例えば、繁殖物質を生物的防除剤で処理する段階を含んでもよい。生物的防除剤で処理された種子は、付加的な農薬組成物を含む処理も受け得る。
【0013】
いくつかの態様において、農薬組成物を、例えば種子等の植物繁殖物質に適用する段階は、農薬組成物を、植物繁殖物質がその中に植えられる、土壌または植え付け用培地に適用する段階を含む。このような処理を、繁殖物質を植える前、繁殖物質を植えると同時、または繁殖物質を植えた後を包含する、植える工程におけるいかなる時点で行なってもよいし、1回または複数回適用してもよい。
【0014】
いくつかの態様において、農薬組成物を植物繁殖物質に適用する段階は、好ましくは、例えば種子等の植物繁殖物質を播種するか、または植える前に、例えば種子等の植物繁殖物質を農薬組成物で処理する段階を含む。
【0015】
少なくとも1種の生物的防除剤が、本発明に用いられ得る。種々の態様において、生物的防除剤は、1種または複数種の真菌、細菌または他の薬剤より選択され得る。多くの場合、抗線虫性細菌または抗線虫性真菌の生物的防除剤が用いられる。特定の態様において、生物的防除剤は、内部寄生真菌、例えばツボカビ綱(Chytridiomycetes)、卵菌綱(Oomycetes)、接合菌綱(Zygomycetes)、不完全菌綱(Deuteromycetes)、および担子菌綱(Basidiomycetes)より選択されるメンバーであり得る。
【0016】
本発明の他の態様において、抗線虫性生物的防除真菌は、カテナリア(Catenaria)、ミロセシウム(Myrothesium)、ミゾシチウム(Myzocytium)、バチルス(Bacillus)、ハプトグロッサ(Haptoglossa)、メリスタクルム(Meristacrum)、ダクチレラ(Dactylella)、ペシロミセス(Paecilomyces)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、メリア(Meria)、ハルポスポリウム(Harposporium)、ネマトクトヌス(Nematoctonus)、ロパロミセス(Rhopalomyces)、ベルティシリウム(Verticillium)、ポコニア(Pochonia)、サプロレグニア(Saprolegnia)、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)、ネマトフトラ(Nematophthora)、ヒルステラ(Hirsutella)、およびモナクロスポリウム(Monoacrosporium)より選択される属のメンバーであり得る。限定されない例として、生物的防除剤は、ポコニア・クラミドスポリア(Pochonia chlamydosporia)(別名ベルティシリウム・クラミドスポリウム(Verticillium chlamydosporium))、ミロセシウム・ヴェルカリア(Myrothesium verrucaria)、ダクチレラ・オビパラシチカ(Dactylella oviparasitica)、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、ペシロミセス・リラシナス(Paecilomyces lilacinus)、プレクトスファエレラ・ククメリナ(Plectosphaerella cucumerina)、ヒルステラ・ロッシリエンシス(Hirsutella rhossiliensis)、ドレクメリア・コニオスポラ(Drechmeria coniospora)、ミゾシチウム種(Myzocytium spp.)、ラゲニジウム種(Lagenidium spp.)、カテナリア・アングイルラ(Catenaria anguillulae)、ネマトフトラ・ギノフィラ(Nematophora gynophila)およびその他であり得る。
【0017】
本発明は、生物的防除剤が、例えば、これらに限定されないが、リゾバクテリア種(rhizobacterial species)、または昆虫病原性線虫に関連する種等の細菌種であり得る、態様も提供する。特定の態様において、生物的防除剤は、パスツリア種(Pasteuria spp.)、シュードモナス種(Pseudomonas spp.)、バチルス種(Bacillus spp.)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、アグロバクテリウム種(Agrobacterium spp.)、およびパエニバチルス種(Paenibacillus spp.)より選択される種であり得る。限定されない例として、細菌性生物的防除剤は、パスツリア(Pasteuria)属の内部寄生細菌、例えばパスツリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)、バチルス・フィルムス(Baccilus firmus)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)、コリネバクテリウム・パウロメタボルム(Corynebacterium paurometabolum)、パスツリア・ソルネイ(P. thornei)、パスツリア・ニシザワエ(P. nishizawae)、カンジデイタス・パスツリア・ウスガエ新種(Candidatus Pasteuria usgae sp. nov.)またはカンジデイタス・パスツリア種HG株(Candidatus Pasteuria sp. strain HG)であり得る。
【0018】
本発明のいくつかの態様において、方法は、第二の生物的防除剤を適用する段階をさらに含んでもよい。第二の生物的防除剤は、異なる種類の生物的防除剤であり得る。例えば、これらに限定されないが、第一の生物的防除剤が細菌性薬剤である場合、第二の生物的防除剤は真菌であり得るか;またはそれが同種の生物的防除剤であり得るが、異なる綱、属、種、または株からの生物的防除剤であり得、例えば、第一と第二の両方の生物的防除剤が真菌であり得るが、異なる種であり得る。第二の生物的防除剤は、1種もしくは複数種の殺線虫剤および1種もしくは複数種の第一の生物的防除剤の最初の適用と同時に適用することができるか、または組み合わせ処理の前または後に適用することができる。
【0019】
例えば、それらの方法に限定されないが、第一の生物的防除剤が内部寄生真菌であり得る方法等の、本発明のいくつかの方法において、第二の生物的防除剤は第一の生物的防除剤とは異なる内部寄生真菌でもあり得る。
【0020】
本発明は、農薬組成物が、混合する相手として付加的な農薬(pesticidal agent)を含有する、方法も含み得る。例えば、これらに限定されないが、少なくとも1種の付加的な殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤または軟体動物駆除剤を、農薬組成物と混合することができる。このような付加的な農薬は、例えば、シアノイミン系アセタミプリド、ニトロメチレン系ニテンピラム、クロチアニジン、ジノテフラン、フィプロニル、ルフェヌロン、ピリポキシフェン(pyripfoxyfen)、チアクロプリド、フルキソフェニム;イミダクロプリド、チアメトキサム、ベータ・シフルトリン、フェノキシカルブ、ラムダ・シハロトリン、ジアフェンチウロン、ピメトロジン、ダイアジノン、ジスルホトン、プロフェノホス、フラチオカルブ、シロマジン、シペルメトリン、タウ・フルバリナート、テフルトリン、バシルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)生成物、およびクロラントラニリプロールより選択され得る。
【0021】
いくつかの態様において、本発明の方法に用いられる農薬組成物は、アゾキシストロビン、ジフェノコナゾール、フルジオキソニル、フルオキサストロビン、メタラキシル、R-メタラキシル、メフェノキサム、ミクロブタニル、キャプタン、オリサストロビン、エネストロビン(enestrobin)、チアベンダゾール、チラム、アシベンゾラル-s-メチル、トリフロキシストロビン、以下に表される、式Aの化合物および式Bの化合物、またはそれぞれの化合物の互変異性体より選択される、少なくとも1種の殺真菌剤と付加的に混合され得る。

このような殺真菌剤は、真菌である生物的防除剤が処理に含まれる場合に、生物的防除真菌が殺真菌剤に対する抵抗性を示すように選択され得る。
【0022】
特に好ましい混合相手は、メタラキシル、メタラキシル-M、チアメトキサム、ジフェノコナゾール、フルジオキソニル、アゾキシストロビン、トリフロキシストロビン、アシベンゾラル-s-メチル、シルチオファム、テフルトリン、イミダクロプリド、クロチアニジン、ミクロブタニルおよびチアベンダゾールである。
【0023】
別の態様において、本発明は、植物における有害生物抵抗性を増強するための組み合わせ組成物を提供する。従って、本発明は、1種もしくは複数種の、例えばアベルメクチン等の殺線虫剤、例えばアバメクチンの有効量を含む農薬、および少なくとも1種の生物的防除剤、例えば抗線虫真菌性生物的防除剤の有効量を含む、組み合わせ組成物も提供する。
【0024】
本発明の組み合わせ組成物は、少なくとも1種の付加的な殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤または軟体動物駆除剤、例えば、これらに限定されないが、シアノイミン、アセタミプリド、ニトロメチレン系ニテンピラム、クロチアニジン、ジノテフラン、フィプロニル、ルフェヌロン、ピリポキシフェン、チアクロプリド、フルキソフェニム;イミダクロプリド、チアメトキサム、ベータ・シフルトリン、フェノキシカルブ、ラムダ・シハロトリン、ジアフェンチウロン、ピメトロジン、ダイアジノン、ジスルホトン;プロフェノホス、フラチオカルブ、シロマジン、シペルメトリン、タウ・フルバリナート、クロラントラニリプロール(Rynaxapyr)、テフルトリン、およびバシルス・チューリンゲンシス生成物も含み得る。
【0025】
付加的な態様において、本発明の組み合わせ組成物は、例えば、アゾキシストロビン、オリサストロビン、エネストロビン、ジフェノコナゾール、フルジオキソニル、フルオキサストロビン、メタラキシル、R-メタラキシル、メフェノキサム、ミクロブタニル、チアベンダゾール、トリフロキシストロビン、前記に記載の式Aの化合物または式Bの化合物等の少なくとも1種の付加的な殺真菌剤をさらに含み得る。このような殺真菌剤は、本発明の組成物中に存在してもよい真菌性生物的防除剤が、該殺真菌剤に対する抵抗性を示すように選択される。
【0026】
特定の態様において、組成物中に含まれる少なくとも1種の生物的防除剤は、内部寄生真菌、あるいはカテナリア、ミロセシウム、ハプトグロッサ、メリスタクルム、ダクチレラ、ペシロミセス、セファロスポリウム、メリア、ハルポスポリウム、ネマトクトヌス、ロパロミセス、ベルティシリウム、ポコニア、サプロレグニア、シリンドロカルポン、ネマトフトラ、ヒルステラ、ミロセシウム(Myrothecium)およびモナクロスポリウムより選択される属のメンバーであり得る。特定の態様において、本発明の組成物中に存在する少なくとも1種の生物的防除真菌は、ポコニア・クラミドスポリアである。
【0027】
他の態様において、少なくとも1種の生物的防除剤は、細菌性薬剤、例えば、これらに限定されないが、リゾバクテリア(rhizobacteria)、またはパスツリア、シュードモナス、コリネバクテリウムおよびバチルスより選択される属のメンバーであり得る。
【0028】
本発明の組み合わせ組成物は、第二の生物的防除剤が第一の生物的防除剤と同種の薬剤であり得るが、異なる属、種または株からの生物的防除剤であり得る、第二の生物的防除剤も含み得る。他の態様において、第一と第二の生物的防除剤は、異なる種類の薬剤である。特定の態様において、組成物は、少なくとも2種の抗線虫性生物的防除剤、例えば、これらに限定されないが、2種の抗線虫真菌性生物的防除剤を含み得る。限定されない例として、2種の抗線虫真菌性生物的防除剤は、2種の内部寄生真菌であり得る。
【0029】
他の態様において、第二の生物的防除剤は細菌性薬剤であり得る。第二の薬剤は、もう一つの細菌性薬剤、または例えば、これに限定されないが、真菌等の異なる種類の細菌性薬剤とともに用いられ得る。
【0030】
本発明は、殺線虫剤/生物的防除剤の組み合わせ組成物が、例えば種子等の植物繁殖物質をさらに含む、例えばアベルメクチン/生物的防除剤の植物繁殖物質用組成物等の殺線虫剤/生物的防除剤の植物繁殖物質用組成物も提供する。本発明の典型的な態様としては、アバメクチン処理した植物繁殖物質、例えば種子、および少なくとも1種の生物的防除剤を含む組成物が挙げられる。特定の態様において、種子の処理は、アバメクチンおよび生物的防除剤の両方を含み得る。この局面において、植物繁殖物質は、殺線虫剤および生物的防除剤がそれに付着している。従って、本発明は、1種もしくは複数種の殺線虫剤ならびに1種もしくは複数種の生物的防除剤を含む組成物で処理した、植物繁殖物質も提供する。
【0031】
さらに他の態様において、本発明の植物繁殖物質用組成物は、1種または複数種の生物的防除剤を接種されていてもよい、土壌もしくは他の植え付け用培地、ならびに容器、例えば苗床の植物または移植するための植物を育てるのに適した容器を付加的に含み得る。この局面において、本発明は、処理した植物繁殖物質から植物または植物の一部分が育てられる量の土壌を、それの中に有する容器であって、ここで、該植物の該植物繁殖物質、例えば種子が、1種または複数種の殺線虫剤を含む農薬組成物で処理され、かつ (i) 該種子が1種もしくは複数種の生物剤(biological agent)でも処理されるか、または1種もしくは複数種の生物剤が土壌に適用されるか、あるいは (ii) 同じもしくは異なる生物剤で、該種子も処理され、かつ土壌にも適用される、容器を提供する。
【0032】
別の局面において、本発明は、植物の成長を改善するための方法であって、(i) 1種または複数種の、例えばアベルメクチン等の殺線虫剤、例えばアバメクチンを含む組成物を、例えば種子等の植物繁殖物質に適用する段階、(ii) 1種または複数種の生物的防除剤を、植物繁殖物質またはそれの座に適用する段階、(iii) 処理した植物繁殖物質を植えるか、または播種する段階、(iv) 処理した植物繁殖物質を発芽させる段階、ならびに(v) 幼植物を、別の容器または野外の土壌床(open soil bed)のような別の場所に移植する段階を含む方法を提供する。
【0033】
従って、本発明は、植物の移植時の健康状態を改善するための方法であって、1種もしくは複数種の、例えばアベルメクチン等の殺線虫剤、例えばアバメクチン、および1種もしくは複数種の生物的防除剤を含む組成物を、最初の植え付け後のある時期に移植されるための、植物、植物繁殖物質、例えば種子、もしくは植物の一部分に、またはその座に適用する段階を含む、方法を提供する。このような処理方法は、前述のように、植物を処理して有害生物に対する抵抗性を増強するための方法の態様に従って行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】アバメクチンおよび生物的防除剤での単独処理および組み合わせ処理に対して植物成長応答を示す試験からの例示的なデータの概要を提示する。凡例:斜線、3週間での丈;斜交平行線、8週間でのつるの長さ
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明のさらなる説明
「生物的防除剤」という用語は、例えば昆虫類、蛛形類、唇脚類、倍脚類等の節足動物である有害生物だけでなく、例えば病原性真菌、細菌および線虫等の植物浸襲および/または植物病原体を阻害するか、または減らす生物、あるいは植物浸襲および/または植物病原体の組み合わせの成長を阻害する、生物のことをいう。
【0036】
本明細書で用いられる「線虫拮抗性生物的防除剤」という用語は、線虫の活動、成長もしくは繁殖を阻害するか、または植物における線虫病を減らす、生物のことをいう。
【0037】
「線虫の成長の阻害」という用語は、これによって植物における線虫病を減らす任意の局面であって、線虫の成長を遅くする;繁殖、孵化、繁殖相手(mate)および宿主の発見を減らす;ならびに線虫を殺す段階を包含するが、これらに限定されない、任意の局面のことをいう。
【0038】
「殺線虫剤」という用語は、例えば、農芸関連の線虫により引き起こされる損傷の低減等の作用を有する化合物のことをいう。例示としては、アベルメクチン(例えば、アバメクチン)、カルバマート系殺線虫剤(例えば、アルジカルブ、チアジカルブ、カルボフラン、カルボスルファン、オキサミル、アルドキシカルブ、エトプロップ、メソミル、ベノミル、アラニカルブ)、有機リン系殺線虫剤(例えば、フェナミホス(phenamiphos)(フェナミホス(fenamiphos))、フェンスルホチオン、テルブホス、ホスチアゼート、ジメトエート、ホスホカルブ、ジクロフェンチオン、イサミドホス、ホスチエタン、イサゾホス、エトプロホス、カズサホス、テルブホス、クロルピリホス、ジクロフェンチオン、ヘテロホス(heterophos)、イサミドホス、メカルフォン、ホレート、チオナジン、トリアゾホス、ジアミダホス(diamidafos)ホスチエタン、ホスファミドン)、ならびに例えばキャプタン、チオファナート-メチルおよびチアベンダゾール等のある特定の殺真菌剤が挙げられる。また、殺線虫剤として、下記式Xの化合物も挙げられる。

式中、nは0、1または2であり、かつチアゾール環は置換されていてもよい。アバメクチン、アルジカルブ、チオジカルブ(thiadicarb)、ジメトエート、メソミル、式Xの化合物およびオキサミルが、本発明における使用のための好ましい殺線虫剤である。
【0039】
「アベルメクチン」という用語は、例えば米国特許第4,310,519号および同第4,427,663号に、ミルベマイシンおよびアベルメクチンとして開示されている、アベルメクチン類の化合物の任意のメンバーのことをいう。アベルメクチンは、当業者に公知である。それらは、構造的に密接に関連する農薬活性化合物の一群であり、微生物菌株ストレプトミセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)の発酵により得られる。アベルメクチン類の誘導体は、従来の化学合成により得ることができる。「アバメクチン」は、アベルメクチンB1aおよびアベルメクチンB1bの混合物であり、例えば、The Pesticide Manual, 10.sup.th Ed. (1994), The British Crop Protection Council, London, page 3に記載されている。「アバメクチン」および「アベルメクチン」の名称は、誘導体を包含する。本発明に有用である許容されるアベルメクチンとしては、例えば、イベルメクチン、ドラメクチン、セラメクチン、エマメクチンおよびアバメクチンが挙げられる。
【0040】
「植物繁殖物質」という用語は、植物の増殖、ならびに例えばさし木および塊茎(例えば、ジャガイモ、サトウキビ)等の生長力のある植物物質(vegetative plant material)のために用いることができる、例えば種子等の植物の生殖力のある部分全てを意味すると理解される。従って、例えば、種子(厳密な意味での)、根部、果実、塊茎、球根、根茎、または植物の他の部分について言及してもよい。例えば、発芽後または土壌から出芽後に移植されるためのものである、発芽した植物および幼植物も、植物繁殖物質といってもよい。これらの幼植物も、本明細書に記載の組成物で植物繁殖物質を浸たすことによる全体の処理または部分的な処理によって、移植前に保護され得る。
【0041】
後になって育つ植物の一部分および植物器官は、例えば種子等の植物繁殖物質から発達する植物の任意の部分である。植物の一部分、植物器官および植物は、本発明の組み合わせ処理を植物繁殖物質に適用することにより達成される、病原性および/または有害生物からの損傷を保護することによって、利益を得ることもできる。ある態様において、それら自体が組み合わせを適用され得る(または組み合わせで処理され得る)、後になって育つ、植物のある特定の一部分およびある特定の植物器官も、植物繁殖物質として見なされ得、その結果として、処理した植物の一部分および処理した植物器官から発達する、植物、植物のさらなる一部分およびさらなる植物器官は、組み合わせ処理を植物のある特定の一部分およびある特定の植物器官に適用することにより達成される、病原体および/または有害生物からの損傷の保護することによって、利益を得ることもできる。
【0042】
「農薬組成物の適用」という用語は、植物、植物の一部分、または植物が植えられている(もしくは植え付け用である)土壌もしくは植え付け用培地を、有害生物の植物への侵襲および/または有害生物の成長を阻害する薬剤、あるいは有害生物または病原体による植物の病気を制限する薬剤で処理する任意の方法のことをいう。
【0043】
植物繁殖物質、特に種子への、農薬活性成分の組成物およびそれの混合物の適用または処理のための方法は、当技術分野で公知であり、粉衣、コーティング、ペレット加工、および浸漬の該繁殖物質への適用方法を包含する。
【0044】
活性成分は、例えば流動層技術、ローラーミル法、ロトスタティック・シード・トリーター(rotostatic seed treater)、およびドラム式コーター等の従来の処理技術および機械を用いて、種子に適用することができる。例えば噴流層等の他の方法も有用であり得る。種子を、コーティングする前に予め分級しておいてもよい。コーティングした後、通常、種子を乾燥させ、次いで分級のための分級機械に移動させる。このような分級および処理手法は、当技術分野で公知である。
【0045】
一態様において、組み合わせは、発芽が誘導されないような方法により、植物繁殖物質に適用され得るか、または植物繁殖物質を処理し得る。得られる種子の水分含量が高すぎるため、一般的に、種子浸漬は発芽を誘導する。従って、例えば種子等の植物繁殖物質への適用(または処理)のための適した方法の例は、種子粉衣、種子コーティングまたは種子のペレット加工等である。
【0046】
典型的な態様において、植物繁殖物質は種子である。本方法は任意の生理的状態にある種子に適用できると考えられるが、種子が、処理工程中に損傷を招かない、十分に耐久性のある状態にあることが好ましい。通常、種子は、畑から採取した;植物から取り去った;ならびに穂軸、茎、外殻および周囲の果肉、または他の非種子植物物質から分離した、種子であるだろう。該種子も、好ましくは、処理が種子への生物学的損傷を引き起こさないであろう程度に、生物学的に安定であるだろう。種子の採取と種子の播種の間の任意の時点に、または播種工程(種子を指向した適用)中に、処理が種子に適用され得ると考えられる。種子は、処理前か処理後に、当業者により理解される技術に従ってプライミングもされてもよい。
【0047】
繁殖物質の処理中、種子に対する活性成分の散布およびその付着が均等であることが望ましい。処理は、中間状態(例えばコーティング等の)とその後で元の大きさおよび/または形状の見分けがつく、例えば種子等の植物繁殖物質上に活性成分を含有する製剤の薄膜(粉衣)から、種々の物質(例えば担体等、例えば粘土;例えば他の活性成分の製剤等の種々の製剤;高分子;および着色剤)の多層を有し、もはや種子の元の大きさおよび/または形状の見分けがつかない、より厚い膜(例えばペレット加工等の)まで、様々である可能性がある。
【0048】
種子処理は播種されていない種子に行われる。「播種されていない種子」という用語は、植物の発芽および成長を目的とする、種子の採取と地中への種子の播種の間の任意の時点の種子を包含することを意味する。
【0049】
播種されていない種子への処理は、活性成分を土壌に適用するというこれらの実施を包含することを意味するのではなく、植え付け工程中の種子を標的とするであろう任意の適用の実施を包含するであろう。
【0050】
好ましくは、播種された種子が本発明の組み合わせ処理で前処理され得るように、種子を播種する前に処理を行う。具体的には、本明細書に記載の組み合わせの処理において、種子コーティングまたは種子のペレット加工が好ましい。処理の結果として、組み合わせ中の活性成分は、種子の表面上に付着し、そのため有害生物および/または病気の防除に有効である。
【0051】
処理した種子は、任意の他の活性成分で処理した種子と同様の方法で、保存され、取り扱かわれ、播種され、かつ耕作され得る。
【0052】
農薬組成物を土壌に適用する方法は、薬剤を土壌に確実に浸透させる任意の適した方法による方法であり得る。例えば、これらに限定されないが、このような適した方法には、苗床トレイの適用、溝中への適用、土壌の浸漬、土壌への注射、細流灌水、スピリンクラーまたはセントラル・ピボット(central pivot)を介しての適用、土壌中への混和(散布(broad cast)または帯状に)が包含される。
【0053】
本明細書で用いられる「土壌への接種」という用語は、生物的防除生物の胞子またはある部分を、植え付け用の基質(substrate)に添加する工程のことをいう。土壌への接種の工程は、生物的防除剤が既に活性であるという意味を含むのではなく、該生物のある部分が植え付け用培地中に存在していることを単に意味する。
【0054】
農薬、例えば、殺真菌剤に対する生物的防除剤の抵抗性に照らした「抵抗性」という用語は、農薬の存在下で代謝活性が生じるおよび/または増大する、あるいは残る、生物的防除剤の抵抗性の能力のことをいう。本明細書で用いられる薬剤は、農薬の活性に影響されない場合に「抵抗性」である。
【0055】
植物の「移植時の健康状態の改善」という用語は、本発明の組み合わせ処理で処理していない植物と比較して、移植後の植物の育つ能力を増大させるこという。かなり多くの評価項目が、植物の育つ能力を増大させることを表しており、例えば植物の丈等の植物成長の実測値だけでなく、植物の外観の改善も包含する。移植時の健康状態の改善に反映されているような、植物の育つ(成長)特性における改善は、処理していない植物と比較した1つまたは複数の認められた植物の特色における改善により示される。それは、改善が病気および/または有害生物の防除とつながりがないかもしれない、例えば、植物の収穫量および/または活力、あるいは植物から収穫した生産物の質の改善として現れる。増強された植物の特色の例としては、茎の周囲の長さの増加;早期開花;開花の同期化;倒伏の減少;作物の停滞(tie-up)の遅延または解消;病気抵抗性の増大;散水量の減少および/または散水回数の減少が挙げられるが、これらに限定されない、利水の増強;より高い収穫量;より良好な色が挙げられるが、これらに限定されない、より高い品質/より健康な植物の外観;より優れた輸送可能性;昆虫害の減少;ならびに植物群落の縮小が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
「植物における有害生物抵抗性の増強」とは、処理していない植物と比較して、本発明の組み合わせ処理で処理した植物における、成長特性および/または収穫量、ならびに/あるいは病気発生率を改善することをいう。
【0057】
本明細書で用いられる、植物の「収穫量の改善」という語句は、本方法の適用以外は同じ条件下で作った同じ植物の生産物の収穫量を超えて、測ることができる量まで、植物の生産物の収穫量が増加することに関連する。収穫量が少なくとも約0.5%まで増加することが好ましく、増加が少なくとも約1%であることがより好ましく、約2%であることがさらにより好ましく、かつ約4%またはそれ以上であることがまださらにより好ましい。収穫量は、いくつかの基準で、植物の生産物の重量または体積による量に関して表現され得る。基準は、時間、栽培面積、作った植物の重量または用いた原材料の量等に関して表現され得る。
【0058】
本明細書で用いられる、植物の「活力の改善」という語句は、本方法の適用以外は同じ条件下で作った植物の同じ因子を測ることができる量かまたは著しい量で超えるまで、活力評定、または立ち木の数(単位面積当たりの植物の数)、または植物の丈、または植物群落、または外観(例えばより青々とした葉色等)、または根部評定、または発芽、またはタンパク質含有量、または分げつの増加、または葉身の増大、枯れた根出葉の減少、またはより強い分げつ、または必要とする肥料の減少、または必要とする種子の減少、またはより増殖性のある分げつ、または早期開花、穀実の早期成熟、または植物のバース(verse)(倒伏)、または苗条生長の増加、または早期発芽、またはこれらの因子の任意の組み合わせ、または当業者に知られた任意の他の利点が、増加することかまたは改善することに関連する。
【0059】
従って、本発明は、本明細書で定義した方法の段階により、植物の成長特性を改善する方法も提供する。
【0060】
本明細書で用いられる、「植え付け用培地」または「培地」または「成長培地」という用語は、植物の成長を支える任意の培地のことをいう。該用語は、例えば岩石土壌、ウール、バーミキュライト等の培地だけでなく、土壌を包含する。本発明の方法の実施における植物のための「土壌」または「植物環境」という用語は、植物の栽培における使用のための土台、および特にその中で根部を育てるためにある土台を意味する。該用語は、物質の品質を限定しないが、そこで植物が成長できる限り、用いられ得る任意の物質を包含する。例えば、いわゆる種々の土壌、種苗用マット、テープ、ならびに水もしくは水耕溶液等を用いることもできる。土壌または栽培担体を構成する物質の具体的な例としては、砂、ピートモス、パーライト、バーミキュライト、綿、紙、珪藻土、寒天、ゼラチン状物質、高分子物質、ロックウール、グラスウール、木材チップ、樹皮および軽石等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0061】
本発明の態様の組成物および方法は、プライミングした種子またはプライミングしていない種子に有用であり得る。プライミングは、成長培地または土壌から発芽および出芽の均一性を増加させるために種子に行われる、当技術分野で公知の水性の工程であり、このようにして植物の立ち木の定着を増強する。本発明の組成物をプライミング工程に組み入れることによるか、または少なくとも1種の植物成長調整剤をプライミング工程に組み入れ、かつ少なくとも1種の植物活性化剤を出芽後に適用することにより、最適の種子発芽、最適の成長および発達、開花期の同期化、一様な開花、作物の成熟における均一性、収穫した作物(果実または他の植物部分)の収穫量の改善および品質の改善が得られる。最初と最後の種苗の出芽の間の期間は、プライミングを単独で用いるよりも多く削減される。プライミングと同様に、本発明の組成物または方法をプライミング工程に組み入れることも、出芽の速度を上げ、植物の立ち木それ自体をより早く定着させ、収穫時に1エーカー当たり最大箱数の作物を保障する。広範囲の種苗の出芽は、1エーカー当たり収穫できる植物の量を減らし、栽培業者にとって望ましくない状況にする。
【0062】
本明細書で用いられる「容器」とは、そこで植物または植物の一部分、例えば種子が育てられる量の土壌または他の培地を含有することができる、一定の空間を有する構造のことをいう。通常、植物または植物の一部分は、例えば別の容器または野外の土壌床等の別の場所へ移植する前に、容器中、例えば苗床で育てられる。
【0063】
本発明の態様は、植物の病気および/または植物への有害生物/病原体からの損傷を減らすか、あるいは有害生物/病原体からの損傷、例えば、線虫病から植物を保護することに関する、方法および処理の組み合わせを提供する。そのため、該方法は、生物的防除剤での処理と併せて、例えばアベルメクチン等の殺線虫剤、例えばアバメクチンでの処理を含み、該組み合わせは、個々の薬剤での処理と比較して、植物成長または健康状態の改善をもたらす。典型的な態様において、生物的防除剤は、線虫またはそれらが引き起こす病気を阻害することができる。
【0064】
本発明の組み合わせ処理は、線虫および節足動物等を包含する任意の種類の有害生物による損傷でも防除するために用いることができる。該処理は、少なくとも1種の、例えばアバメクチン等の殺線虫剤、および少なくとも1種の生物的防除剤で、種子、種苗、または植物の任意の部分を処理することにより行うことができる。このような植物処理は、少なくとも1種の、例えばアバメクチン等の殺線虫剤、および/または少なくとも1種の生物的防除剤を、植物に直接適用することにより、あるいは植物または植物の一部分が作付けされる、土壌または他の培地を処理することにより行うことができる。
【0065】
いくつかの態様において、少なくとも1種の、例えば、限定されないが、アバメクチン等の殺線虫剤、および/または少なくとも1種の生物的防除剤が、線虫により引き起こされる病気を防除するために用いられる。このような処理レジメンを用いることにより阻害することができる植物寄生性線虫としては、根こぶ線虫、シスト線虫、穿孔線虫、ダガー(dagger)線虫、ランス(lance)線虫、ピン(pin)線虫、腎臓形の(reniform)線虫、病斑(lesion)線虫、環状(ring)線虫、ラセン(spiral)線虫、スティング(sting)線虫、切り株状(stubby)線虫、スタント(stunt)線虫、茎および球根の線虫、種子虫こぶ(seed gall)の線虫、ならびに葉の線虫が挙げられる。具体的には、以下の種の線虫は、本発明の組み合わせ処理を用いて管理され得る:ヘテロデラ種、例えば、ヘテロデラ・サクチイ(H. schachtii)、ヘテロデラ・アベナエ(H. avenae)、ヘテロデラ・グリシンス(H. glycines)、ヘテロデラ・カロタエ(H. carotae)、ヘテロデラ・ゴエッチンギアナ(H. goettingiana)、ヘテロデラ・ゼアエ(H. zeae)およびヘテロデラ・トリホリ(H. trifolii);グロボデラ種、例えば、グロボデラ・ロストチエンシス(G. rostochiensis)、グロボデラ・パリダ(G. pallida);メロイドギネ種、例えば、メロイドギネ・インコグニタ(M. incognita)、メロイドギネ・ジャバニカ(M. javanica)、メロイドギネ・ハプラ(M. hapla)、メロイドギネ・アレナリア(M. arenaria)、メロイドギネ・チトウッジ(M. chitwoodi)、メロイドギネ・グラミニス(M. graminis)、メロイドギネ・マヤグエンシス(M. mayaguensis)、メロイドギネ・ファラックス(M. fallax)、メロイドギネ・ナッシ(M. naasi);ラドフォラス種(Radopholus spp.)、例えば、ラドフォラス・シミリス(Radopholus similis)、ラドフォラス・シトロフィラス(R. citrophilus);プラチレンカス種(Pratylenchus spp.)、例えば、プラチレンカス・ネグレクタンス(P. neglectans)、プラチレンカス・スクリブネリ(P. scribneri)、プラチレンカス・トルネイ(P. thornei)、プラチレンカス・ブラキュラス(P. brachyurus)、プラチレンカス・コフィア(P. coffeae)、プラチレンカス・ゼアエ(P. zeae)、およびプラチレンカス・ペネトランス(P. penetrans);チレンキュヒス・セミペネトランス(Tylenchulus semipenetrans);パラトリコドラス・マイナー(Paratrichodorus minor)、ロンギドラス種(Longidorus spp.)、ヘリコチレンクス・シュードロブスタス(Helicotylenchus pseudorobustus)、ホプロライマス・ガレアタス(Hoplolaimus galeatus)、ホプロライマス・コロンブス(H. columbus)、ホプロライマス・チレンキホルミス(H. tylenchiformis)、トリコドラス・プロキシムス(Trichodorus proximus)、キシフィネマ・インデックス(Xiphinema index)、キシフィネマ・アメリカヌム(X. americanum)、ジチレンクス・ジプサキ(Ditylenchus dipsaci)、ジチレンクス・デストラクタ(D. destructor)、ナコブス・アベルランス(Nacobbus aberrans)、ロンギドルス・ブレビアンヌラタス(Longidorus breviannulatus)、ロンギドルス・アフリカヌス(L. africanus)、メソクリコネマ・キセノプラクス(Mesocriconema xenoplax)、アフェレンコイデス・ベッセイ(Aphelenchoides besseyi)、アフェレンコイデス・フラガリアエ(A. fragariae)、ジゴチレンクス・グエバライ(Zygotylenchus guevarai)、ベロノライムス・ロンギカウダツス(Belonolaimus longicaudatus)、ベロノライムス・グラキリス(B. gracilis)、アングイナ・トリチキ(Anguina tritici)、ロチレンクル種(Rotylenchulus spp.)、スバングイナ種(Subanguina spp.)、クリコネメラ種(Criconemella spp.)、クリコネモイデス種(Criconemoides spp.)、ドリコドルス種(Dolichodorus spp.)、ヘミクリコネモイデス種(Hemicriconemoides spp.)、ヘミシクリオフォラ種(Hemicycliophora spp.)、ヒルシュクマニエラ種(Hirschmaniella spp.)、ヒプソペリン種(Hypsoperine spp.)、マクロポストニア種(Macroposthonia spp.)、メリニウス種(Melinius spp.)、プンクトデラ種(Punctodera spp.)、キュニスルシウス種(Quinisulcius spp.)、スクテロネマ種(Scutellonema spp.)、ならびにチレンコリンカス種(Tylenchorhynchus spp.)。
【0066】
本発明での使用のためのアベルメクチンおよびアベルメクチンの誘導体は公知である。本発明で特に有用である、線虫防除のためのアバメクチンおよびアバメクチンの種子処理製剤が、例えば、米国特許第6,875,727号に開示されている。農芸化学的に適合する塩は、例えば、無機酸および有機酸の付加塩、具体的には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、トルエンスルホン酸または安息香酸の付加塩である。本発明に係る方法で用いることができるアベルメクチン化合物の製剤の例、すなわち、液剤、顆粒剤、粉剤、噴霧散剤、乳剤濃縮物、被覆顆粒剤および懸濁剤濃縮物は、例えば欧州特許出願公開第580 553号に記載されている。
【0067】
アベルメクチンまたはアバメクチンの誘導体は、従来の化学合成により得ることができる。例えば、いくつかの態様において、米国特許第4,874,749号から公知である4 "-デオキシ-4"-エピ-N-メチルアミノアベルメクチンB1b/B1a である、エマメクチンを用いることができる。エマメクチンの農芸化学的に有用な塩は、例えば、米国特許第5,288,710号にさらに記載されている。
【0068】
本発明での使用のためのアバメクチンは、繁殖用の種子または植物の一部分を含有することができる、土壌または他の成長培地に適用され得るか、または他の態様において、種子処理用農薬組成物として製剤化され得る。このようなアバメクチン含有製剤は、当技術分野で公知である(米国特許第6,875,727号参照)。
【0069】
種子上に存在する(または種子に付着した)殺線虫剤の量は、例えば、作物の種類、および植物繁殖物質の種類によって様々である。しかしながら、該量は、少なくとも1種の殺線虫剤が所望の増強作用を与えるために有効な量であるような量であり、常用実験および野外試験により決定することができる。殺線虫剤がアバメクチンである場合には、種子コーティング中に存在する活性アバメクチン成分の量は、0.002〜1.2 mg/種子の範囲内であり、通常、少なくとも0.1 mg/種子、多くの場合、少なくとも0.2 mg/種子である。しばしば、アバメクチンは、種子当たり0.3 mgまたはそれ以上のレベルで存在する。
【0070】
例えばアバメクチン等の殺線虫剤の植物への適用を、以下により詳細に記載する。当業者は、例えばアバメクチン等の殺線虫剤の量の決定が、処理される植物物質の大きさ、例えば種子の大きさを包含する、多くの因子に依存することを理解する。当業者は、当技術分野の教示、および適用する殺線虫剤の効果を検証するための公知のアッセイ、例えば以下の実施例の項に記載するアッセイに基づいて、使用すべき、例えばアバメクチン等の殺線虫剤の量を容易に決定することができる。
【0071】
任意の数の生物的防除剤が用いられ得る。典型的な薬剤としては、細菌、真菌、および他の薬剤が挙げられる。使用され得る細菌種は、リゾバクテリア、菌根菌(mycorrhizae)、例えば、線虫拮抗性菌根菌、および細菌性農薬だけでなく、パスツリア、シュードモナス、コリネバクテリウムおよびバチルスを包含する属のメンバーが挙げられる。
【0072】
いくつかの態様において、殺線虫剤とともに適用することができる生物的防除剤は、抗線虫性生物的防除剤、例えば、抗線虫性真菌、細菌、または他の薬剤であり得る。線虫拮抗性細菌としては、アグロバクテリウム種、バチルス種、ミロセシウム種、およびシュードモナス種の分離菌が挙げられる。これらの細菌の作用様式は異なるが、例えば根部への浸透の低減等の間接的な作用だけでなく、卵の孵化、繁殖相手および宿主の発見、ならびに線虫の運動性への直接的な作用を包含する。
【0073】
細菌性寄生菌も、線虫拮抗性生物的防除剤として用いられ得る。これらとしては、例えば、パスツリア種、例えばパスツリア・ペネトランス、パスツリア・ニシザワエ、パスツリア・ソルネイ、カンジデイタス・パスツリア・ウスガエ新種、ミロセシウム・ヴェルカリア、カンジデイタス・パスツリア種HG株、および他の種が挙げられる。これらの寄生菌は、線虫の角皮に付着することができる。
【0074】
本発明のいくつかの態様において、線虫拮抗性真菌が用いられ得る。このような真菌としては、線虫捕捉真菌、ならびに線虫の幼若体、雌、雄および卵の寄生菌である寄生真菌が挙げられる。線虫捕捉真菌としては、例えばアルスロボトリス・オリゴスポラ(Arthrobotrys oligospora)、アルスロボトリス・コノイデス(A. conoides)、アルスロボトリス・ムシホルミス(A. musiformis)、アルスロボトリス・スペルバ(A. superba)、アルスロボトリス・タウマシア(A. thaumasia)、アルスロボトリス・ダクティルオイディーズ(A. dactyloides)、アルスロボトリス・ハプトチルア(A. haptotyla)、モナクロスポリウム・プシクロフィルム(Monoacrosporium psychrophilum)、モナクロスポリウム・ゲフィロパグム(M. gephyropagum)、モナクロスポリウム・エリプソスポリウム(M. elipsosporum)、モナクロスポリウム・ハプトチラム(M. haptotylum)、モナクロスポリウム・ドエジコイデス(M. doedycoides)、モナクロスポリウム・オイデルマタム(M. eudermatum)、ダッディングトニア・フラグランス(Duddingtonia flagrans)、ダクチルエリナ・エリプソスポラ(Dactylellina ellipsospora)、ダクチレラ・オキシスポラ(Dactylella oxyspora)、ダクチレラ・レプトスポラ(D. leptospora)、ダクチレラ・ロパロタ(D. rhopalota)、ハルポスポリウム・アングイルラエ(Harposporium anguillulae)、メリスタクルム種(Meristacrum sp.)、モナクロスポリウム・オイデルマタム(Monacrosporium eudermatum)、ネマトクトヌス・レイオスポルス(Nematoctonus leiosporus)、およびスチロパージ種(Stylopage sp.)等の種が挙げられる。
【0075】
内部寄生真菌の例としては、ドレクメリア・コニオスポラ、ヒルステラ・ロッシリエンシスおよびベルティシリウム・バラノイドス(Verticillium balanoides)が挙げられる。これらの真菌は、線虫の角皮に付着することができる胞子を産生する。定位性幼若(sedentary juvenile)段階、雌、雄および/または卵の寄生菌としては、ポコニア・クラミドスポリア、ペシロミセス・リラシナス、ダクチレラ・オビパラシチカ、フザリウム・オキシスポラム、およびプレクトスファエレラ・ククメリナが挙げられる。本発明での使用のための真菌の例としては、以下の属のメンバーが挙げられる:カテナリア、ミゾシチウム、ハプトグロッサ、メリスタクルム、ダクチレラ、ペシロミセス、セファロスポリウム、メリア、ハルポスポリウム、ネマトクトヌス、ロパロミセス、ベルティシリウム、ポコニア、サプロレグニア、シリンドロカルポン、ネマトフトラ、ヒルステラ、およびモナクロスポリウム。
【0076】
本発明の方法および組み合わせ、特に組成物は、生物的防除剤に対する刺激もしくは成長促進活性(例えば、栄養薬、肥料、微量栄養素供与体(micronutrient donor)、接種源、抗生物質)、または他の有害生物に対する阻害活性を示す付加的な農薬成分、例えば、殺虫剤、殺ダニ剤、殺真菌剤、他の殺線虫剤、または軟体動物駆除剤を含むことができる。殺虫剤として、殺ダニ剤として、殺線虫剤として、または軟体動物駆除剤としての活性成分の適した付加としては、例えば、これらに限定されないが、前記の殺線虫剤および以下の分類の活性成分の代表的なものが挙げられる:有機リン化合物、ニトロフェノールおよび誘導体、ホルムアミジン、トリアジン誘導体、ニトロエナミン誘導体、ニトロ-およびシアノグアニジン誘導体、ウレア、ベンゾイルウレア、カルバマート、ピレスロイド、塩素化炭化水素、ベンゾイミダゾール、およびバシルス・チューリンゲンシス生成物。混合物中の特に好ましい成分としては、シアノイミン、アセタミプリド、ニトロメチレン系ニテンピラム、クロチアニジン、ジメトエート、ジノテフラン、フィプロニル、ルフェヌロン、ピリポキシフェン、チアクロプリド、フルキソフェニム;イミダクロプリド、チアメトキサム、ベータ・シフルトリン、フェノキシカルブ、ラムダ・シハロトリン、ジアフェンチウロン、ピメトロジン、ダイアジノン、ジスルホトン;プロフェノホス、フラチオカルブ、シロマジン、シペルメトリン、タウ・フルバリナート、テフルトリン、クロラントラニリプロール、またはバシルス・チューリンゲンシス生成物が挙げられ、極めて特に好ましい成分としては、、シアノイミン系アセタミプリド、ニトロメチレン系ニテンピラム、クロチアニジン、ジノテフラン、ジメトエート、ラムダ・シハロトリン、フィプロニル、チアクロプリド、イミダクロプリド、チアメトキサム、ベータ・シフルトリン、クロラントラニリプロール、およびテフルトリンが挙げられる。
【0077】
殺真菌剤としての活性成分の適した付加物としては、例えば、これらに限定されないが、以下の分類の活性成分の代表的なものが挙げられる:ストロビルリン、トリアゾール、オルト-シクロプロピル-カルボキサニリド誘導体、フェニルピロール、および浸透性殺真菌剤。殺真菌剤としての活性成分の適した付加物の例としては、以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない:アゾキシストロビン;アシベンゾラル-s-メチル;ビテルタノール;カルボキシン;Cu2O;シモキサニル;シプロコナゾール;シプロジニル;ジクロフルアミド;ジフェノコナゾール;ジニコナゾール;エポキシコナゾール;フェンピクロニル;フルジオキソニル;フルオキサストロビン、フルキコナゾール;フルシラゾール;フルトリアホール;フララキシル;グアザチン;ヘキサコナゾール;ヒメキサゾール;イマザリル;イミベンコナゾール;イプコナゾール;クレソキシムメチル;マンコゼブ;メタラキシル;R-メタラキシル;メトコナゾール;ミクロブタニル、オキサジキシル、ペフラゾエート;ペンコナゾール;ペンシクロン;ピコキシストロビン;プロクロラズ;プロピコナゾール;ピロキロン;SSF-109;スピロキサミン;テブコナゾール;テフルトリン;チアベンダゾール;チラム、トリフルアミド(tolifluamide);トリアゾキシド;トリアジメホン;トリアジメノール;トリフロキシストロビン、トリフルミゾール;トリチコナゾールおよびウニコナゾール。特に好ましい殺真菌剤としての活性成分としては、アゾキシストロビン、アシベンゾラル-s-メチル、ジフェノコナゾール、フルジオキソニル、メタラキシル、R-メタラキシル、ミクロブタニル、チアベンダゾール、式Aの化合物、式Bの化合物、およびトリフロキシストロビンが挙げられる。
【0078】
本発明での使用のための適した付加的な農薬は、生物的防除剤が該農薬に対する抵抗性を示すように選択され得る。例えば、生物的防除真菌を使用する場合、処理に含まれ得る付加的な殺真菌剤が、生物的防除真菌の生長を阻害しない使用のために選択され得る。
【0079】
土壌または他の培地を処理することにより、例えばアバメクチン等の殺線虫剤および/または生物的防除剤を投与するという、いくつかの態様において、殺線虫剤および/または生物的防除剤は、植物または植物の一部分を作付けしたか、または作付けする予定の場所に適用される。例えば、殺線虫剤または生物的防除剤が、線虫の孵化、成長、宿主もしくは繁殖相手の発見を有効に阻害でき、および/または線虫の採食から植物組織を保護できるように、殺線虫剤または生物的防除剤は、種子溝の中か、または繁殖物質を植えるかもしくは播種する場所の周辺部に、作付け前に適用され得る。薬剤は、植えている間、または植えた後、線虫の成長を有効に防除する時点で投与することもできる。
【0080】
記載の通り、いくつかの態様において、植物または植物の一部分を、殺線虫剤および/または生物的防除剤で処理することができる。処理は、種々の公知の方法を用いて、例えば、繁殖物質の上に組成物を吹き付けるか、噴霧するか、散粉するか、もしくは拡散することにより、または繁殖物質の上に組成物をはけ塗りするか、もしくは注入するか、もしくは別の方法で接触することにより、あるいは、種子の場合には、種子をコーティングするか、カプセルに包むか、もしくは別の方法で処理することにより行うことができる。
【0081】
種子処理としての農薬組成物の適用のために、少なくとも1種の、例えばアベルメクチン等の殺線虫剤を、付加的な農薬とともに、または付加的な農薬なしで、通常、播種の前または植えている間に種子に添加し、活性物質を種子の上に散布する。このような種子処理の特定の態様は、例えば、種子を液体組成物に浸す段階、種子を固体組成物で、または活性成分の種子中への浸透を達成することにより、例えば、種子を予め浸漬するために用いられる水に組成物を添加することによりコーティングする段階を含む。農薬組成物の適用比率は、例えば、使用の種類、作物の種類、農薬組成物中の特定活性成分、および植物繁殖物質の種類に従って、様々である可能性があるが、組成物中の活性成分が、所望の増強作用を与えるために有効な量であり、かつ常用の実験により決定できるような比率である。組成物の典型的な適用比率は、例えば、100 kgの種子当たり0.1 g〜1000 gの活性成分;具体的には、1〜600 g/種子100 kg;好ましくは、1〜400 g/種子100 kg;および特に1〜200 g/種子100 kgであり得る。
【0082】
他の態様において、種子を植える土壌または他の培地、例えば、苗のための容器中の植え付け用培地に、殺線虫剤を適用することにより、植物種子を、殺線虫剤で、好ましくはアベルメクチン含有の、例えばアバメクチン含有の農薬で処理することができる。これは、任意の公知の方法で、例えば、吹き付け、拡散および注入等により投与することができる。適用比率は、広範囲内で様々であってもよく、土壌組織、適用の種類(葉への適用;種子溝中への適用)、植物、防除される有害生物/病原体、それぞれの場合に広がっている気候状況、ならびに適用の種類、適用の時機および標的作物により決定される他の因子に依存する。アバメクチンでの1ヘクタール当たりの適用比率は、一般に、1ヘクタール当たり1〜2000 gのアバメクチン;具体的には10〜1000 g/ha;好ましくは10〜500 g/ha;特に好ましくは10〜200 g/haである。いくつかの態様において、1〜100 g/ha、例えば、1〜50 g/haまたは1〜25 g/haが用いられ得る。
【0083】
本発明の方法は、加えて、生物的防除剤が有害生物または病原体、例えば、植物寄生性線虫への感受性を減らす状況下、少なくとも1種または複数種の生物的防除剤を、植物、植物種子、植物を取り囲む土壌または他の培地に適用する段階を含み得る。例えばアベルメクチン等の殺線虫剤(例えば、アバメクチン)と組み合わせた、少なくとも1種または複数種の生物的防除剤の適用は、植物成長を増強し、かつ植物の活力を改善する方法も提供する。
【0084】
植物への少なくとも1種の生物的防除剤の直接的な適用は、植物の全体または植物の一部分を直接処理する方法を用いて行われ得る。通常、植物種子が処理されるが、例えば繁殖物質等の植物の他の部分も直接処理され得る。適した適用方法としては、高圧または低圧の吹き付け、浸漬、および注射が挙げられる。他の態様において、生物的防除剤は、種子が植えられている最中に、種子(または土壌もしくは他の植え付け用培地)に添加され得る。種子を植えた後、植物を他の殺線虫剤、例えば、アバメクチンおよびアルジカルブ等、ならびに少なくとも1種の生物的防除剤でさらに処理してもよいことが理解される。従って、本発明は、有害生物抵抗性の増強を植物に与え、かつ/または植物成長を増強するために、植物を、少なくとも1種の生物的防除剤および少なくとも1種の殺線虫剤の1つまたはそれ以上の適用で処理し得る、態様を包含する。
【0085】
生物的防除剤は、本発明に従って、単独で、または他の化合物との混合物、例えば、アバメクチンを含む農薬組成物として、植物または例えば種子等の植物繁殖物質に適用され得る。あるいは、少なくとも1種の生物的防除剤は、別々に植物に適用され得、他の化合物、例えば、アバメクチン含有農薬組成物は、異なる時間に適用され得る。
【0086】
少なくとも1種の生物的防除剤は、畑に植物繁殖物質を播種する前に、例えば種子等の植物繁殖物質に直接適用され得る。その最も単純な様式において、これは、抗線虫性真菌株および/もしくは細菌株、ならびに/または他の生物的防除剤を含有する液体培養を用い、例えば種子等の植物繁殖物質への吹き付けまたは液浸により行われ得る。
【0087】
本発明に係る、植物または例えば種子等の植物繁殖物質を処理するために適した組成物は、多くの場合、生物的防除剤を担体中に含有する。従って、少なくとも1種の生物的防除剤は、他の従来の種子用製剤および処理および処理物質を用いて、例えば種子等の植物繁殖物質に適用され得る。適した添加剤としては、緩衝剤、湿潤剤、コーティング剤、多糖類、および研磨剤が挙げられる。担体の例としては、水、水溶液、スラリー、固体および乾燥粉末(例えば、泥炭、コムギ、ふすま、バーミキュライト、粘土、殺菌土壌、多くの型の炭酸カルシウム、ドロマイト、種々の等級の石膏、ベントナイトおよび他の粘土鉱物、リン灰土および他のリン化合物、二酸化チタン、腐植質、タルク、アルギナート、ならびに活性炭)が挙げられる。当業者に公知の農芸化学的に適した任意の担体が許容され、本発明における使用が考慮される。
【0088】
いくつかの態様において、例えば、細菌性または真菌性生物的防除剤を用いる場合、接着剤を接種して、細菌を含有する胎芽を種子に保持させることができる。このような接着剤は当技術分野で公知である。薬剤の例示としては、例えば、植物もしくは微生物由来の、糊(glue)および粘性物質(gum)、ゼラチンおよび糖類等が挙げられる。
【0089】
当業者は、担体として含まれる薬剤が、生物的防除剤または植物の成長に悪影響を及ぼさないように選択されることを理解する。
【0090】
植える前に種子を直接処理する代わりに、生物的防除剤を、種子を植えるためにある土壌または他の培地中に投入することもできる。通常、担体はこの態様においても用いられる。担体は、前述のように、固体または液体であり得る。いくつかの態様において、一般的な方法は、生物的防除剤の担体として、水中に懸濁させた泥炭を使用して、かつ該混合物を土壌または植え付け用培地中に、および/または植えられる最中の種子の上から吹き付けることである。生物的防除剤を土壌(または植えられる最中の種子)に適用することに用いることができる、固体農芸化学的接種源の他の例は、水酸化カルシウム0.5水和物を含有する顆粒、ならびに細菌培養液または真菌含有培養液または別の同様の生物的防除剤の培養液を吹き付けたカルボキシメチルセルロースである。少なくとも1種の生物的防除剤を接種された泥炭または土壌は、少なくとも1種の生物的防除剤を、土壌または植えられる最中の植物繁殖物質に適用する場合に用いることができる、物質の例でもある。
【0091】
いくつかの態様において、少なくとも1種の生物的防除剤は、幼植物に適用され得、例えば、植えた後に種苗が育っている、土壌または他の成長培地に添加することができる。
【0092】
少なくとも1種の、例えばアバメクチン等の殺線虫剤、および少なくとも1種の生物的防除剤の組み合わせ処理は、線虫の成長が観察されると考えられる区域を処理するために十分な密度で適用され得る。例えば、製剤が、液体製剤として1ml当たり約104〜約1012胞子もしくはコロニー形成単位の濃度で、または固体製剤として1グラム当たり約104〜約1012胞子もしくはコロニー形成単位の濃度である、少なくとも1種の生物的防除剤を含有する製剤は、1エーカー当たり約0.1ガロン〜1エーカー当たり約300ガロンの量で土壌に適用され得る。
【0093】
少なくとも1種の殺線虫剤含有組成物および少なくとも1種の生物的防除剤は、「農薬的に有効な」量で投与され得る。農薬的に有効な量は、組み合わせ処理が農薬の有効性および/もしくは持続時間を増強し、ならびに/または植物成長を改善する、量であるとみなされる。薬剤の有効量は、有害生物/病原体、例えば、線虫の卵、それ自体の数を減らさないかもしれないが、例えば線虫等の有害生物/病原体の結果である植物への損傷を低減する効果がある。従って、処理の有効性は任意の直接的または間接的指標により評価され得る。例えば、農薬的に有効な量は、処理していない植物と比較して、処理した植物の種子、根部、苗条または葉への有害生物からの損傷を減らし得る。
【0094】
好ましい態様において、少なくとも1種の殺線虫剤および少なくとも1種の生物的防除剤での組み合わせ処理は、付加的な農薬の有無にかかわらず、線虫が原因の植物の病気を防除するために十分な量の2種の薬剤を用いることができる。「線虫が原因の植物の病気の防除」とは、線虫が周囲植物の成長に悪影響を及ぼすことを減らすか、または防ぐために十分な程度に、線虫の個体数密度および/またはそれらの活動性に影響を与える、本発明の組み合わせ処理の能力のことをいう。線虫が原因の植物の病気の「防除」は、必ずしもある範囲の線虫全てを根絶する必要はない。植物が、組み合わせで処理されていない対照植物の線虫に関連する病気の症状と比較して低減された、線虫に関連する病気の症状を示す場合に、線虫の個体数密度および/または活動性を有効に阻害できる。
【0095】
本発明の態様に従って処理され得る植物としては、単子葉植物種および双子葉植物種の両方が挙げられ、例えばオオムギ、ライムギ、モロコシ、ライコムギ(tritcale)、カラスムギ、イネ、コムギ、ダイズ、トウモロコシ等の穀類;ビート(例えば、サトウダイコンおよび飼料用ビート);キュウリ、マスクメロン、カンタループメロン(canteloupe)、カボチャおよびスイカを包含するウリ科植物;ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、チンゲンサイおよび他の葉物野菜を包含するアブラナ属の作物(cole crop);トマト、コショウ、レタス、マメ類、エンドウ、タマネギ、ニンニクおよびラッカセイを包含する他の野菜;キャノーラ、ラッカセイ、ヒマワリ、セイヨウアブラナおよびダイズを包含する油料作物(oil crop);タバコを包含するナス科の植物;ジャガイモ、ヤムイモ、ハツカダイコン、ビート、ニンジンおよびサツマイモを包含する塊茎および根菜作物;ストロベリーを包含する果物;ワタ、アマおよびアサを包含する繊維作物;コーヒー、花壇用の草花、多年生植物、木本観賞植物、芝生、ならびにカーネーションおよびバラを包含する切り花を包含する他の植物;サトウキビ;コンテナ入りの樹木作物(containerized tree crop);モミおよびマツを包含する常緑樹;カエデおよびオークを包含する落葉樹;ならびにサクラ、リンゴ、セイヨウナシ、アーモンド、モモ、クルミおよび柑橘類を包含する果樹および堅果樹が挙げられる。植物の病気および/または有害生物からの損傷(例えば、昆虫害または線虫害)に抵抗力がなく、かつ本発明の組み合わせに反応する、一般的な任意の植物は、本発明に従って処理され得る。
【0096】
いくつかの態様において、殺線虫剤、好ましくはアベルメクチン、例えばアバメクチン等を含有する組成物、および少なくとも1種の生物的防除剤は、移植するためにある、および/または苗床で育てるためにある、例えば種子または他の植物物質等の植物繁殖物質に適用され得る。このような植物が、通常、容器中で育てられる。従って、いくつかの態様において、少なくとも1種の生物的防除剤は、容器中の土壌または他の植え付け用培地に、都合よく添加され得る。ある態様において、アバメクチンを含む農薬組成物は、植物または植物の一部分、例えば種子等に直接適用され得る。あるいは、アバメクチン含有組成物は、植物を育てるためにある容器中の土壌または他の植え付け用培地に添加され得る。いくつかの態様において、植物は、アバメクチンおよび/または少なくとも1種の生物的防除剤での複数の処理を受けてもよい。さらに、植物は、付加的な薬剤、例えば、第二の生物的防除剤または別の殺線虫剤、農薬、殺真菌剤等で処理され得る。
【0097】
本発明の組み合わせ処理を用いた、苗、例えば、種子または種苗の処理は、例えば線虫等の有害生物または病原体による損傷の低減によって、植物の成長の改善をもたらす。容器中での初期成長後、植物は別の容器または野外の苗床(open bed)に移植され得る。いくつかの態様において、移植後、または移植中に、該植物を、アバメクチンおよび/または生物的防除剤でのさらなる処理に供してもよい。
【0098】
従って、本発明は、容器、土壌もしくは他の植え付け用培地、植物、アバメクチン、ならびに少なくとも1種の生物的防除剤を含む、組成物にも関する。このような組成物は、通常、その中に少なくとも1種の生物的防除剤が投入されており、かつ1種または複数種のアバメクチンで処理した種子が植えられている、土壌または他の植え付け用培地を有する容器である。いくつかの態様における少なくとも1種の生物的防除剤は、薬剤で種子を処理することにより投入されてもよい。
【0099】
それゆえ、本発明は、植物繁殖物質を1種もしくは複数種の殺線虫剤を含む農薬組成物で処理し、かつ1種もしくは複数種の生物的防除剤を植物繁殖物質の座に適用する段階;植物繁殖物質を農薬組み合わせ組成物で処理する段階;植物繁殖物質を1種もしくは複数種の生物的防除剤で処理し、かつ1種もしくは複数種の殺線虫剤を含む農薬組成物を植物繁殖物質の座に適用する段階;または農薬組み合わせ組成物を植物繁殖物質の座に適用する段階を想定する。
【0100】
以下の実施例は、限定を目的とするのでなく、単に説明を目的として提供される。当業者は、本質的に同様の結果が得られるように変更または修正され得る、種々の重要でないパラメータを容易に認識するであろう。
【0101】
実施例
これらの実施例は、キュウリおよびトマトでの試験における、線虫破壊真菌(nematode-destroying fungus)と組み合わせたアバメクチンの種子処理を評価する。
【0102】
実施例1〜3において、線虫破壊真菌ポコニア・クラミドスポリアの株を用いた。以前はベルティシリウム・クラミドスポリウムと呼ばれた、この真菌株は、内部寄生性線虫の生物的防除に関して、広範囲に研究されてきた(例えば、KerryおよびBourne, A manual for research on Verticillium chlamydosporium, a potential biological control agent for root-knot nematodes, IOBC/OILB, Druckform GmbH, Darmstadt, Germany, 2002を参照)。
【0103】
実施例1.キュウリの温室試験
鉢(直径10 cm)に250 g(乾燥重量)のスチーム殺菌した川底の砂をつめた。6反復をともなう10処理を準備した(表1)。真菌性拮抗剤であるポコニア・クラミドスポリアを、高圧滅菌した湿ったキビ種子上、22℃で、3週間増殖させた。コロニーを形成したキビを、層流フード(laminar flow hood)中で乾燥し、使用するまで、4℃で、無菌で保管した。土壌接種のために、ポコニア・クラミドスポリアのコロニーを形成したキビを、砂と徹底的に混合した。比率1に関しての真菌の個体数密度は、約2000厚壁胞子/土壌ccであり、かつ比率2に関しては、約4000厚壁胞子/土壌ccであった。
【0104】
(表1)温室試験の処理一覧表

【0105】
線虫接種源を、温室内でトマトの木(リコペルシクム・エスクレンツム・キュヴェ・トロピック(Lycopersicum esculentum cv. Tropic))上で、先の3ヶ月間増殖させた。線虫の卵を標準のブリーチ/ふるい分け抽出により得た。最初の処理を除いて、それぞれの鉢に、約30000卵のメロイドギネ・インコグニタを侵襲させた。これは、病気の高重圧によりもたらされる、殺線虫剤テストの標準的な侵襲レベルである(8週間での無処理対照に関する予想こぶ評定は、0〜10の等級で約7であった(Zeck, Pflanzenschutz-Nachrichten, Bayer AG, 24:141-144, 1971))。キュウリの種子(キュークミス・サティバス・エル・キュヴェ・ストレート・エイト(Cucumis sativus L. cv. Straight Eight), Burpee Seed Co.)は、0.1 mgもしくは0.3 mgのアバメクチン/種子でコーティングされるか、またはこれ以上の処理を受けなかった。それぞれの鉢は、トマト生産に推奨される除放性肥料(Osmocote Vegetable and Bedding Plant Food, 14-14-14, The Scotts Company)を受けた。鉢を、温室内に、約24℃±3℃および周囲照明で、ランダム化完全ブロックデザイン(randomized complete block design)により準備した。必要に応じて、灌水を毎日適用した。播種後3週間および8週間で、植物の丈または主要なつるの長さを測定した。播種後8週間で試験を終え、植物の先端を切り取った。それらを終夜で乾燥機内に入れて、それらの重さを測定した。根部を終夜でエリオグラウシン液中に入れ、染色した根こぶ線虫の卵塊を数えた。根こぶ形成を、0〜10の等級(0=こぶ形成無し)で評定した。試験を1回繰り返した。
【0106】
結果
キュウリの種子コーティング試験1
試験は高い質であった。試験中、他の病気への罹患はみられなかった。処理間の初期成長の違いを観察し、記録に残した(表2)。低比率のアバメクチンでは、植物成長が改善されず、また根こぶ形成も有意に減少しなかったように、作物への利益を示さなかった(表2)。同様に、低比率のポコニアは、植物成長およびこぶ形成へのいずれの有意な作用も有しなかった。高比率のポコニアは、それ単独で、成長促進またはこぶ形成の低減に関して、それほど良好なわけではなかった。対照的に、0.3 mg/種子の比率のアバメクチンによる線虫の攻撃からの保護は、無処理対照植物と比較して、試験の終了時の植物の乾燥重量および主要なつるの長さだけでなく、初期の植物成長の有意な増大をもたらした。高比率のポコニアといずれの比率のアバメクチンとの組み合わせも、ほとんど全てのパラメータにおいて全ての他の処理より優れており、植物の性能に関して、線虫なしの対照との有意差はなかった(表2)。組み合わせ処理の分析結果を図1に示す。線虫個体数は、卵塊によって表した。無処理対照は最大の卵塊を有し、全ての処理が有意な低減をもたらした。しかしながら、卵塊数の大きな変動による有意差は処理間でみられなかった(表2)。
【0107】
(表2)キュウリの試験1中の植物成長および線虫個体数の測定

nt=種子処理なし;n-inf.=rkn(根こぶ線虫、メロイドギネ・インコグニタ 系統1)なし;Pc 1=ポコニア・クラミドスポリア 比率1(2000厚膜胞子/土壌g);Pc 2=ポコニア・クラミドスポリア 比率2(4000厚膜胞子/土壌g);aba=0.1または0.3 mg/種子でのアバメクチン種子コーティング)。
a標準誤差(P=0.05)をともなう平均値。同じカラム内の同一文字は、結果に有意差がなかったことを意味する。
【0108】
キュウリの種子コーティング試験2
第二の試験の質は良好であった。他の病気への罹患はみられなかった。結果は第一の試験と同様であった。根こぶ線虫からの初期の保護は、処理していない対照と比較して、明らかで有意な植物成長の違いをもたらした(表3)。植物の乾燥重量およびつるの長さは、処理していない対照と比較して、全ての処理によって増大した(表3)。第一の試験でのように、卵塊数は処理間で著しく異なることはなかった。主に、これは、十分な栄養補給場所を線虫に与えていなかった処理していないもの(処理2)における、阻害された植物成長および貧弱な根系によるものである。従って、線虫保護され、かつそれによってより大きくなった根系は、季節の終わりに、対照よりも大きな線虫個体数を有するかもしれない。高比率のアバメクチンおよび高比率のポコニア・クラミドスポリアの組み合わせは、再び、最も低いこぶ形成評定をもたらした(表3)。
【0109】
(表3)キュウリの試験2中の植物成長および線虫個体数の測定

nt=種子処理なし;n-inf.=rkn(根こぶ線虫、メロイドギネ・インコグニタ 系統1)なし;Pc 1=ポコニア・クラミドスポリア 比率1(2000厚膜胞子/土壌g);Pc 2=ポコニア・クラミドスポリア 比率2(4000厚膜胞子/土壌g);aba=0.1または0.3 mg/種子でのアバメクチン種子コーティング)。
a標準誤差(P=0.05)をともなう平均値。同じカラム内の同一文字は、結果に有意差がなかったことを意味する。
【0110】
実施例2. トマトの温室試験
温室試験は、蒸気殺菌した砂(250 cm3)をつめたパルプ製の鉢(直径10 cm)の中で実行した。前記のように、生物的防除生物(BCO)であるポコニア・クラミドスポリアを増殖させた。ポコニア・クラミドスポリアを接種したキビ種子を洗浄し(1:2 の重量/体積のキビ種子と滅菌蒸留水、電気ブレンダーで2分間振盪)、100メッシュのふるいを通して、該キビを真菌厚膜胞子から除去した。これらを接種源として作用させ、計算板(counting chamber)(Fuchs-Rosenthal)で数えた。該厚膜胞子を砂と徹底的に混合した。比率1に関しての真菌の個体数密度は、約2000厚壁胞子/土壌gであり、かつ比率2に関しては、約4000厚壁胞子/土壌gであった(表1)。トマト種子(リコペルシクム・エスクレンツム・キュヴェ・タイニー・ティム(Lycopersicum esculentum cv. Tiny Tim))は、0.1 mgもしくは0.3 mgのアバメクチン/種子でコーティングされるか、またはこれ以上の処理を受けなかった(表1)。トマト種子を、市販の種苗用基質の入った播種トレイ中に播種し、2週間後、植物を10 cmのパルプ製鉢に移植した。最初の処理を除いて、それぞれの鉢に、約30000卵のメロイドギネ・インコグニタを侵襲させた。ベールマンファネル法(Baerman funnel)での卵の孵化比率は、5日間、26℃で、約10%であった。それぞれの鉢は徐放性肥料を受けた(Osmocote Vegetable and Bedding Plant food, 14-14-14, The Scotts Company)。鉢を、1処理あたり6反復で、ランダム化完全ブロックデザインにより準備し、温室内で、約24℃±3℃および周囲照明で育成した。必要に応じて、植物に毎日水をやった。植物の丈を測定し、苗条を試験の終了時に切り取った。苗条を、69℃で72時間、乾燥器に入れて、それぞれの植物の重量を測定した。根こぶ形成の程度を0〜10の等級(前記、Zeck, 1971)で評価した。
【0111】
線虫個体数を卵塊(=受胎させる雌の数)、卵および第二段階の幼若体(J2)を数えることにより測定した。根部を終夜でエリオグラウシン液中に入れ、それらを数え上げられるようにした染色した根こぶ線虫の卵塊を数えた(Omwegaら, 1988)。改変ブリーチ/ふるい分け抽出法により、卵を卵塊から放出させた(HusseyおよびBarker, 1973)。毎週、熟した(赤い)トマトの実を摘み取り、数および重量を記録した。果実生産が止まるまで採取を続けた。試験を1回繰り返した。全てのデータをSuperANOVA(Abacus Concepts, 1989, バークレー, カリフォルニア州)を用いた分散分析に供した。適切な場合、フィッシャーの保護最小有意差法(Fisher's Protected Least Significant Difference)(LSD)を用いて、平均値をP=0.05で区別した。
【0112】
結果
試験の質は両方とも非常に良好であり、結果は同様であった。従って、データをそれゆえに分析のために併合した。全ての処理が、無処理照合基準(check)と比較して、植物の丈および乾燥重量を増大させた(表4)。概して、組み合わせ処理は、最も高い植物および最大乾燥重量をもつ植物をもたらした。非常に重篤な根こぶ線虫の侵襲にもかかわらず、高比率のBCOと組み合わせた高比率のアバメクチン種子コーティングは、無侵襲の対照と同様の乾燥重量をもたらした。根こぶ形成は、アバメクチンにより、照合基準よりも低い約2の等級分類に低減された。この有効性は、アバメクチン種子コーティングで典型的なものである。BCOとの組み合わせが、低比率のアバメクチンの有効性をわずかに改善しただけであるが、こぶ形成は、どちらの比率のポコニア・クラミドスポリアでもその組み合わせ処理の両方で、劇的に低減された。
【0113】
(表4)トマトの温室試験終了時のトマトの成長比較(2試験のデータを併合した)

nt=種子処理なし;n-inf.=rkn(根こぶ線虫、メロイドギネ・インコグニタ 系統1)なし;Pc 1=ポコニア・クラミドスポリア 比率1(2000厚膜胞子/土壌g);Pc 2=ポコニア・クラミドスポリア 比率2(4000厚膜胞子/土壌g);aba=0.1または0.3 mg/種子でのアバメクチン種子コーティング)。a標準誤差(P=0.05)をともなう平均値。同じカラム内の同一文字は、結果に有意差がなかったことを意味する。
【0114】
卵の数により示される繁殖性のある雌の数は、実質的には違いがなく、BCOが発育中または成体の線虫に寄生しなかったことを示した(表5)。卵の数は、非常にばらつきがあり、高比率のアバメクチンでの処理だけが照合基準よりも低い卵数を有した。同様の結果が、土壌からのJ2の抽出により得られた。
【0115】
(表5)トマトの温室試験終了時の根こぶ線虫個体数(2試験のデータを併合した)

nt=種子処理なし;n-inf.=rkn(根こぶ線虫、メロイドギネ・インコグニタ 系統1)なし;Pc 1=ポコニア・クラミドスポリア 比率1(2000厚膜胞子/土壌g);Pc 2=ポコニア・クラミドスポリア 比率2(4000厚膜胞子/土壌g);aba=0.1または0.3 mg/種子でのアバメクチン種子コーティング)。a標準誤差(P=0.05)をともなう平均値。同じカラム内の同一文字は、結果に有意差がなかったことを意味する。
【0116】
全ての処理で、無処理照合基準と比較して、平均果実重量だけでなく、植物当たりの果実の数、総果実重量が増加した(表6)。高比率のアバメクチンおよびポコニア・クラミドスポリアの組み合わせが、最大量の果実および最高の総果実重量を有した。
【0117】
(表6)温室試験でのトマトの収穫量(2試験のデータを併合した)

nt=種子処理なし;n-inf.=rkn(根こぶ線虫、メロイドギネ・インコグニタ 系統1)なし;Pc 1=ポコニア・クラミドスポリア 比率1(2000厚膜胞子/土壌g);Pc 2=ポコニア・クラミドスポリア 比率2(4000厚膜胞子/土壌g);aba=0.1または0.3 mg/種子でのアバメクチン種子コーティング)。a標準誤差(P=0.05)をともなう平均値。同じカラム内の同一文字は、結果に有意差がなかったことを意味する。
【0118】
実施例3. トマトのミニプロット(miniplot)野外試験
9個のミニプロット(直径3 m、深さ12 cm)に、著しい植物寄生性線虫の侵襲がない、隣接する畑から得た約350000 cm3の畑土壌(砂壌土、pH 7.2)をそれぞれつめた。トマトの種苗(リコペルシクム・エスクレンツム・キュヴェ・タイニー・ティム)は、アバメクチン処理した種子(0.3 mg a.i./種子)から、またはエプロン/マキシム(Apron/Maxim)処理した種子から育てた。それらを、市販の移植用基質(Sunshine mix)を備えた種苗トレイにまいた。該基質は、無改良のものまたはポコニア・クラミドスポリア(4000厚膜胞子/基質cm3)で改良したものであった。温室内で3週間後、種苗を9個のミニプロット中に移植した。それぞれのプロットは、4処理で、かつ1処理あたり3植物での任意配列ブロックであった。メロイドギネ・インコグニタ 系統1の10,000個の卵を、それぞれの移植体から約5 cmにある5 cmの深さの3つの穴に散布することにより、それぞれの植え付け範囲を侵襲させた。プロットに、低圧灌水法により灌水し、局所基準に従って施肥した。約10週間後、植物に果実が実り、その後3週間の間に3回収穫した。果実の数および重量を取得した。全てのデータをANOVA、およびフィッシャーのLSDによる平均値の区別(P=0.05)に供した。
【0119】
結果
試験の質は非常に良好であった。殺線虫種子コーティングおよびBCDの両方ともで、有意に収穫量が増加した(表7)。1植物あたりの平均の果実の数および平均の総果実重量の両方が、処理に応じて増加した。初期の試験と対照的に、BOCは、収量反応に関して化学処理と違いがなかった。しかしながら、ポコニア・クラミドスポリアおよびアバメクチンの組み合わせ処理は、両方の単独適用より優れていた。温室試験と対照的に、収穫時の卵の個体数は、組み合わせ処理において最高であった。これは、自然の畑土壌中で、根こぶ線虫に寄生された根部の破壊を増大させることが頻繁である、他の微生物の役割を指示するものであるかもしれない。線虫のための栄養補給場所を豊富に与えたので、保護された根部は、通常、最も大きく、かつ最も健康である根系を有する。
【0120】
(表7)ミニプロット野外試験でのトマトの収穫量

a標準誤差(P=0.05)をともなう平均値。同じカラム内の同一文字は、結果に有意差がなかったことを意味する。
【0121】
これらの実施例で提示された結果は、アバメクチン種子コーティングと線虫破壊真菌ポコニア・クラミドスポリアとの組み合わせが、それらの個々の欠点を克服するのを助けるのと同時に、両方の系の強さを利用するための好結果な新規戦略であることを実証した。
【0122】
実施例4. 根こぶ線虫試験
この計画において、我々は、根こぶ線虫に対する有効性ついての、アバメクチン種子コーティングとパスツリア・ペネトランスの土壌適用との組み合わせの利益の可能性、および植物生産に対する利益の可能性を評価した。
【0123】
アバメクチン(0.3 mg a.i./種子)でコーティングしたトマト種子および無処理のトマト種子(キュヴェ・カービー(cv. Kirby))は、Syngenta Crop Protectionによって提供された。処理したものを個々の種苗トレイにまいた。温室内で、25℃±2℃で、3週間育成した後、種苗を試験土壌を含有する1500 cm3の鉢に移植した。土壌は、アーバインにあるカリフォルニア大学South Coast Research and Extension Center の畑から採取した(San Emigdio砂壌土、砂12.5%、粘土12%、シルト75.4%、0.45 OM、pH 7.4)。土壌通気および灌漑用水・排水の改善のために、土壌の2/3を1/3 (v/v)の砂しっくいと混合した。土壌を殺菌し、根こぶ線虫で侵襲させた。メロイドギネ・インコグニタ・系統3接種源を、温室栽培で、約3ヶ月間、トマト(キュヴェ・UC 82(cv. UC 82))上で育てた。線虫の卵をブリーチ/ふるい分け抽出法の改良法(HusseyおよびBarker, Plant Disease Reporter, 57:1025-1028 (1973))により根系から採取し、試験土壌に100 cm3あたり約1000個のメロイドギネ・インコグニタ・系統3の卵を侵襲させるために用いた。パスツリア・ペネトランスは、カリフォルニア大学リバーサイド校線虫学部の培養コレクションから得た。接種源を根こぶ線虫を侵襲させたトマトの木の上で育てた。パスツリア処理において、土壌を約1x105内生胞子/土壌gで改良した。試験を6反復でのランダム化完全ブロックデザインとして準備し、26℃±2℃で周囲照明を用いた温室内で育成した。全ての鉢にOsmocote 14-14-14(トマト生産に関するレベル比率(label rate))を施肥した。必要に応じて灌水を適用した。移植の2ヶ月後、植物の先端を、土壌レベルで切り取り、乾燥器で乾燥し、重量を量った。根部をこぶ形成に関して0〜10の等級で評定した(Zeck, Bayer AG, Pflanzenschutz-Nachrichten, 24:141-144 (1971))。全てのデータをANOVA、および適当な場合には、フィッシャーのLSDによる平均値の区別に供した(SuperANOVA, Abacus, バークレー、カリフォルニア州)。
【0124】
結果
試験した侵襲レベルで、無処理照合基準における根こぶ形成は重篤であった(表8)。アバメクチン種子コーティングは、こぶ形成を、通常認められる有効性の範囲内である約2の等級分類まで減らした。生物的防除剤は根こぶ形成をわずかしか低減しなかった。アバメクチンおよび生物的防除剤であるパスツリア・ペネトランスの両方の組み合わせは、最も低いごぶ形成評定をもたらし、対照と比較して植物の先端の重量を有意に増加させた。さらには、それは、試験の終了時に、根こぶ線虫の個体数レベルを有意に下げた唯一の処理であった。その結果は、アバメクチン種子コーティングおよび細菌の組み合わせた使用による相乗作用を実証する。
【0125】
(表8)試験終了時の土壌中の根こぶ形成、植物重量および根こぶ線虫の個体数レベル

*コーティングした種子(0.3 mg a.i./種子)
**混和した土壌(1x10E5/土壌g)
平均値±標準誤差;同一文字は、フィッシャーの保護LSD(0.01)により、有意差がなかったことを意味する。
平均値±標準誤差;同一文字は、log (x+1) 変換後のフィッシャーの保護LSD(0.01)により、有意差がなかったことを意味する。
【0126】
本明細書中で引用した全ての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が、参照により組み入れられるべきものを具体的にかつ個々に示すかのように、参照により本明細書に組み入れられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺線虫剤を含む農薬組成物を植物繁殖物質に適用する段階;および、少なくとも1種の生物的防除剤を適用する段階を含む、植物を処理する方法。
【請求項2】
少なくとも1種の殺線虫剤を含む農薬組成物を植物繁殖物質に適用する段階;および、植物を移植する前に少なくとも1種の生物的防除剤を適用する段階を含む、植物の移植時の健康状態を改善する方法。
【請求項3】
農薬組成物を植物繁殖物質に適用する段階が、植物繁殖物質を植える植え付け用培地を農薬組成物で処理する段階を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
農薬組成物を植物繁殖物質に適用する段階が、植物繁殖物質を農薬組成物で処理する段階を含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
殺線虫剤がアベルメクチンである、請求項1または2記載の方法。
【請求項6】
アベルメクチンがアバメクチンである、請求項3記載の方法。
【請求項7】
植物繁殖物質が種子である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1種の生物的防除剤を適用する段階が、移植する前に植物繁殖物質を少なくとも1種の生物的防除剤で処理する段階を含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1種の生物的防除剤を適用する段階が、植物繁殖物質を植える植え付け用培地に少なくとも1種の生物的防除剤を接種する段階を含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
植え付け用培地に少なくとも1種の生物的防除剤を接種する段階が、植物繁殖物質を植える前に行われる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
植え付け用培地に生物的防除剤を接種する段階が、植物繁殖物質を植えるのと同時に行われる、請求項9記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1種の生物的防除剤が、線虫拮抗性生物的防除剤である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1種の生物的防除剤が、内部寄生真菌である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
真菌が、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、卵菌綱(Oomycetes)、接合菌綱(Zygomycetes)、不完全菌綱(Deuteromycetes)、および担子菌綱(Basidiomycetes)より選択されるメンバーである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
真菌が、カテナリア(Catenaria)、ミゾシチウム(Myzocytium)、ハプトグロッサ(Haptoglossa)、メリスタクルム(Meristacrum)、ダクチレラ(Dactylella)、ペシロミセス(Paecilomyces)、セファロスポリウム(Cephalosporium)、メリア(Meria)、ハルポスポリウム(Harposporium)、ネマトクトヌス(Nematoctonus)、ロパロミセス(Rhopalomyces)、ベルティシリウム(Verticillium)、ポコニア(Pochonia)、サプロレグニア(Saprolegnia)、シリンドロカルポン(Cylindrocarpon)、ミロセシウム(Myrothesium)、ネマトフトラ(Nematophthora)、ヒルステラ(Hirsutella)、およびモナクロスポリウム(Monoacrosporium)より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項16】
真菌が、ポコニア・クラミドスポリア(Pochonia chlamydosporia)およびミロセシウム・ヴェルカリア(Myrothecium verrucaria)より選択される、請求項13記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1種の生物的防除剤が、パスツリア(Pasteuria)種、リゾバクテリア(rhizobacteria)、および菌根菌(mycorrhizae)より選択される、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1種の生物的防除剤が細菌である、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
細菌が、パスツリア(Pasteuria)、シュードモナス(Pseudomonas)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、およびバチルス(Bacillus)より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
第二の生物的防除剤を適用する段階をさらに含む、請求項13〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
第二の生物的防除剤が、第二の内部寄生真菌である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
細菌である第二の生物的防除剤を適用する段階をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項23】
農薬組成物が少なくとも1種の殺真菌剤を含み、少なくとも1種の生物的防除剤が該殺真菌剤に対する抵抗性を示す、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
農薬組成物が、少なくとも1種の付加的な殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤または軟体動物駆除剤を含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1種の付加的な殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤または軟体動物駆除剤が、アルジカルブ、チアジカルブ、オキサミル、メソミル、シアノイミン、アセタミプリド、ニトロメチレン系ニテンピラム、クロチアニジン、ジメトエート、ジノテフラン、フィプロニル、ルフェヌロン、ピリポキシフェン(pyripfoxyfen)、チアクロプリド、フルキソフェニム、イミダクロプリド、チアメトキサム、ベータ・シフルトリン、フェノキシカルブ、ラムダ・シハロトリン、ジアフェンチウロン、ピメトロジン、ダイアジノン、ジスルホトン、プロフェノホス、フラチオカルブ、シロマジン、クロラントラニリプロール(Rynaxapyr)、シペルメトリン、タウ・フルバリナート、テフルトリン、バシルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)生成物、および下記式Xの化合物より選択される、請求項24記載の方法:

式中、nは0、1または2である。
【請求項26】
農薬組成物が少なくとも1種の付加的な殺真菌剤をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
付加的な殺真菌剤が、アゾキシストロビン、ジフェノコナゾール、フルジオキソニル、フルオキサストロビン、オリサストロビン、エネストロビン、メタラキシル、R-メタラキシル、メフェノキサム、ミクロブタニル、キャプタン、チアベンダゾール、チオファナート-メチル、チラム、アシベンゾラル-s-メチル、ピコキシストロビン、トリフロキシストロビン、下記に表される式Aの化合物および式Bの化合物、またはそれぞれの化合物の互変異性体より選択される、請求項26記載の方法:


【請求項28】
少なくとも1種の殺線虫剤の有効量、および少なくとも1種の生物的防除剤の有効量を含む、農薬防除剤(pesticide control agent)を含む組み合わせ組成物。
【請求項29】
殺線虫剤がアベルメクチンである、請求項28記載の組み合わせ組成物。
【請求項30】
アベルメクチンがアバメクチンである、請求項29記載の組み合わせ組成物。
【請求項31】
少なくとも1種の生物的防除剤が抗線虫性生物的防除剤である、請求項28〜30のいずれか一項記載の組み合わせ組成物。
【請求項32】
農薬防除剤および生物的防除剤を適用した種子または植物をさらに含む、請求項28〜31のいずれか一項記載の組み合わせ組成物。
【請求項33】
植え付け用培地をさらに含み、容器中に含有されている、請求項32記載の組み合わせ組成物。
【請求項34】
農薬組成物が、少なくとも1種の付加的な殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤または軟体動物駆除剤を含む、請求項28〜33のいずれか一項記載の組み合わせ組成物。
【請求項35】
少なくとも1種の付加的な殺虫剤、殺線虫剤、殺ダニ剤および/または軟体動物駆除剤が、アルジカルブ、チアジカルブ、オキサミル、メソミル、シアノイミン、アセタミプリド、ニトロメチレン系ニテンピラム、クロチアニジン、ジメトエート、ジノテフラン、フィプロニル、ルフェヌロン、ピリポキシフェン、クロラントラニリプロール(Rynaxapyr)、チアクロプリド、フルキソフェニム、イミダクロプリド、チアメトキサム、ベータ・シフルトリン、フェノキシカルブ、ラムダ・シハロトリン、ジアフェンチウロン、ピメトロジン、ダイアジノン、ジスルホトン、プロフェノホス、フラチオカルブ、シロマジン、シペルメトリン、タウ・フルバリナート、テフルトリン、バシルス・チューリンゲンシス生成物、クロラントラニリプロール、および下記式Xの化合物からなる群より選択される、請求項34記載の組み合わせ組成物:

式中、nは0、1または2である。
【請求項36】
農薬組成物が、少なくとも1種の付加的な殺真菌剤をさらに含む、請求項28〜35のいずれか一項記載の組み合わせ組成物。
【請求項37】
付加的な殺真菌剤が、アゾキシストロビン、ジフェノコナゾール、フルジオキソニル、フルオキサストロビン、オリサストロビン、エネストロビン、メタラキシル、R-メタラキシル、メフェノキサム、ミクロブタニル、キャプタン、チアベンダゾール、チラム、アシベンゾラル-s-メチル、ピコキシストロビン、トリフロキシストロビン、下記に表される式Aの化合物および式Bの化合物、またはそれぞれの化合物の互変異性体より選択される、請求項36記載の組み合わせ組成物:


【請求項38】
少なくとも1種の生物的防除剤が内部寄生真菌である、請求項28〜37のいずれか一項記載の組み合わせ組成物。
【請求項39】
真菌が、カテナリア、ミゾシチウム、ハプトグロッサ、メリスタクルム、ダクチレラ、ペシロミセス、セファロスポリウム、メリア、ハルポスポリウム、ネマトクトヌス、ミロセシウム、ロパロミセス、ベルティシリウム、ポコニア、サプロレグニア、シリンドロカルポン、ネマトフトラ、ヒルステラ、およびモナクロスポリウムより選択されるメンバーである、請求項38記載の組み合わせ組成物。
【請求項40】
真菌が、ポコニア・クラミドスポリアおよびミロセシウム・ヴェルカリアより選択される、請求項38記載の組み合わせ組成物。
【請求項41】
少なくとも1種の生物的防除剤が細菌である、請求項28〜37のいずれか一項記載の組み合わせ組成物。
【請求項42】
細菌がリゾバクテリウム(rhizobacterium)である、請求項41記載の組み合わせ組成物。
【請求項43】
細菌が、パスツリア、シュードモナス、コリネバクテリウム、およびバチルスより選択される、請求項41記載の組み合わせ組成物。
【請求項44】
少なくとも1種の付加的な生物的防除剤をさらに含む、請求項28〜43のいずれか一項記載の組み合わせ組成物。
【請求項45】
少なくとも1種の付加的な線虫拮抗性生物的防除剤をさらに含む、請求項38〜40のいずれか一項記載の組み合わせ組成物。
【請求項46】
少なくとも1種の付加的な線虫拮抗性生物的防除剤が第二の内部寄生真菌である、請求項45記載の組み合わせ組成物。
【請求項47】
少なくとも1種の付加的な生物的防除剤が細菌である、請求項45記載の組み合わせ組成物。
【請求項48】
農薬防除剤が殺真菌剤をさらに含み、生物的防除剤が該殺真菌剤に対する抵抗性を示す、請求項28〜47のいずれか一項記載の組み合わせ組成物。
【請求項49】
請求項28〜48のいずれか一項記載の組み合わせ組成物で処理した、植物繁殖物質。
【請求項50】
農薬組成物を植物繁殖物質の座(locus)に適用し、かつ生物的防除剤を植物繁殖物質の座に別に接種する、請求項1〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項51】
請求項28〜48のいずれか一項記載の組み合わせ組成物を土壌に適用する、請求項50記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−541339(P2009−541339A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516659(P2009−516659)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/071467
【国際公開番号】WO2007/149817
【国際公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】