説明

生物脱臭装置及びその洗浄方法

【課題】充填塔の充填層に余剰汚泥等が堆積して目詰まりが顕在化する前に目詰まりの発生を予防することにより、脱臭性能の一時的低下をもたらすこと無く、脱臭性能を長期にわたり安定的に維持することができる生物脱臭装置及びその洗浄方法を提供する。
【解決手段】生物脱臭装置は、ガス導入口21、ガス排出口23、微生物保持用充填材が充填された充填層24及び散水器25を有する充填塔20と、貯水槽32の水を前記散水器25に供給する送水ポンプPと、脱臭対象室37の臭気ガスを前記ガス導入口21に供給する送風ファンFと、予め定められた制御スケジュールに従って送水ポンプP及び送風ファンFをシーケンス制御する制御装置40とを備える。制御装置40は、送水ポンプP又は送風ファンFの出力を調節して前記充填塔の充填層24においてフラッディングを定期的に生じさせることにより、当該充填層24を定期的に洗浄する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を利用して臭気ガスを生物学的に脱臭処理する生物脱臭装置と、そのような装置の脱臭性能を長期間にわたり維持するための生物脱臭装置の洗浄方法(又は運転方法)とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水処理場や各種工場から発生する臭気ガスを脱臭処理する方法として、充填塔式生物脱臭法が知られている。この方法では、直立した充填塔の内部に微生物を付着させた(又は微生物を繁殖させるための)充填材を充填してなる充填層を設け、この充填層に水を散布しながら臭気ガスを導入する。そして、臭気ガスが湿った充填層を通過する過程で臭気成分を生分解する。一般に、臭気成分の生分解に伴い余剰汚泥(過剰に繁殖した微生物を含む)が発生する傾向にあり、この余剰汚泥が、単独で又は臭気ガス中の異物(例えば粉塵など)と相俟って充填材ひいては充填層を目詰まりさせる。充填層の一部が目詰まりすると、圧力損失の増大、送風量の低下、充填材における比表面積の低下等により脱臭性能が低下してしまう。それ故、充填塔の充填層から余剰汚泥を除去して充填層の目詰まりを解消するための方法や装置が種々提案されている。
【0003】
例えば特許文献1は、充填層内の水保持量が増加するような気液接触流量比で、充填層下部から気体を通気すると共に充填層上部から散水を行ってフラッディングを生じさせ、更に、フラッディングを生じている部分に対して微生物剥離用の洗浄剤を注入して充填材上の微生物を一部剥離し充填層外に排出することにより、充填層の目詰まりを解消する方法を開示する。なお、特許文献1の生物脱臭装置では、臭気入口側の充填層で微生物の増殖・付着が顕著になったときに、その部分の通気流路が狭くなり通気抵抗が上昇してフラッディングを生じ易くなることに着目し、充填層の各部における圧力損失分布の測定装置(具体的にはマノメータ9)が設けられている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−195331号公報(要約、第0007〜0011段落参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の生物脱臭装置では、充填層の各部に圧力損失分布の測定装置を設置し、フラッディングが検知された部分に対して洗浄剤を注入していることからもわかるように、特許文献1の技術は、充填材又は充填層の目詰まりが顕在化した後の処置によって目詰まりを解消するという方法である。つまり、充填層において圧力損失の増大が明確化してから事後的に対処するフィードバック的な制御であるため、一時的にせよ充填層を通過する風量の低下が避けられず、脱臭性能にムラを生じ易かった。また、充填層の目詰まりが顕在化してから対処するものであるため、微生物を含む余剰汚泥を剥離させるための洗浄剤やその注入機構を必要とするという欠点があった。
【0006】
本発明の目的は、充填塔の充填層に余剰汚泥等が堆積して目詰まりが顕在化する前に目詰まりの発生を予防することにより、脱臭性能の一時的低下をもたらすこと無く、脱臭性能を長期にわたり安定的に維持することができる生物脱臭装置及び生物脱臭装置の洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の生物脱臭装置は、塔の下部に設けられたガス導入口、塔の上部に設けられたガス排出口、塔の中部に位置すると共に微生物保持用充填材が充填された充填層、及び、前記充填層の上から水を散布する散水器を有する充填塔と、貯水槽の水を前記充填塔の散水器に供給する送水ポンプと、脱臭対象室の臭気ガスを前記充填塔のガス導入口に供給する送風ファンと、予め定められた制御スケジュールに従って前記送水ポンプ及び前記送風ファンをシーケンス制御する制御装置とを備えている。そして、前記制御装置は、前記送水ポンプ又は送風ファンの出力を調節して前記充填塔の充填層においてフラッディングを定期的に生じさせることにより、当該充填層を定期的に洗浄することを特徴とするものである。より好ましくは、前記制御装置は、前記送水ポンプを定期的に駆動させ、前記送水ポンプの駆動回数N回のうちの(N−1)回については、前記送水ポンプ又は前記送風ファンの出力を前記充填塔の充填層においてフラッディングを生じさせないように調節することにより、当該充填層に対して散水を行う定期散水工程とし、前記送水ポンプの駆動回数N回のうちの残りの1回については、前記送水ポンプ又は前記送風ファンの出力を前記充填塔の充填層においてフラッディングを生じさせるように調節することにより、当該充填層に対して散水を兼ねた洗浄を行う定期洗浄工程とすることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の生物脱臭装置の洗浄方法は、ガス導入口、ガス排出口、微生物保持用充填材が充填された充填層及び散水器を有する充填塔と、水を前記充填塔の散水器に供給する送水ポンプと、臭気ガスを前記充填塔のガス導入口に供給する送風ファンとを備えた生物脱臭装置において、前記送水ポンプ又は送風ファンの出力を調節して前記充填塔の充填層においてフラッディングを定期的に生じさせることにより、当該充填層を定期的に洗浄することを特徴とするものである。より好ましくは、前記送水ポンプを定期的に駆動させ、前記送水ポンプの駆動回数N回のうちの(N−1)回については、前記送水ポンプ又は前記送風ファンの出力を前記充填塔の充填層においてフラッディングを生じさせないように調節することにより、当該充填層に対して散水を行う定期散水工程とし、前記送水ポンプの駆動回数N回のうちの残りの1回については、前記送水ポンプ又は前記送風ファンの出力を前記充填塔の充填層においてフラッディングを生じさせるように調節することにより、当該充填層に対して散水を兼ねた洗浄を行う定期洗浄工程とすることを特徴とするものである。
【0009】
[作用]
本発明の生物脱臭装置及び生物脱臭装置の洗浄方法では、送水ポンプ又は送風ファンの出力を調節することにより、充填塔の充填層においてフラッディングを定期的に生じさせている。フラッディングとは、充填層に供給されるガス量と、散水器から充填層に供給される水量との間に所定の気液供給バランスが成立することにより、充填層に供給された水の多くが上昇するガスの圧力に支えられて、充填層内を対流循環しながら充填層内にとどまるような現象をいう。充填層においてフラッディングが発生することにより、充填材の表面や充填材間の隙間が効果的に洗浄され、余剰汚泥や異物が洗い落とされる。特に本発明では、充填層でフラッディングを「定期的に」発生させるようにしたことから、充填層に余剰汚泥等が堆積して圧力損失が増大する前に、目詰まりの発生を予防又は未然防止することが可能になる。
【0010】
また、送水ポンプを定期的に駆動させるという条件下で、送水ポンプの駆動回数N回のうちの(N−1)回を非フラッディング状態での充填層に対する定期散水工程とし、送水ポンプの駆動回数N回のうちの残りの1回をフラッディング状態での散水を兼ねた定期洗浄工程とすることにより、散水作業と洗浄作業とを区別する必要がなくなって作業の効率化が図られるのみならず、洗浄剤等の薬剤を使用せずに(つまり安全で安価に)、充填層における目詰まりの発生を予防又は未然防止することが可能になる。
【0011】
なお、充填層における現実的な目詰まりの兆候をセンサー等で検知すること無く(即ち現実的な目詰まりの兆しの有無にかかわらず)、充填層において定期的にフラッディングを生じさせて充填層の洗浄を定期的に繰り返すという点からすれば、本発明は、フィードフォワード的なシーケンス制御によって目詰まり予防を狙ったものである(つまり、検知対象入力の変化に対応して制御出力を生み出すようなフィードバック制御ではない)。
【0012】
[付記]本発明の更に好ましい態様や追加的構成要件を以下に列挙する。
請求項1又は2において、前記充填塔の充填層を通過して充填塔の下部に流れ落ちた水を前記貯水槽に戻すための排水管と、その排水管に設けられたストレーナとを更に備えていること。
【発明の効果】
【0013】
以上詳述したように本発明によれば、送水ポンプ又は送風ファンの出力を調節して充填塔の充填層においてフラッディングを定期的に生じさせることにより、当該充填層を定期的に洗浄するようにした。従って、充填塔の充填層に余剰汚泥等が堆積して目詰まりが顕在化する前に目詰まりの発生を予防でき、脱臭性能の一時的低下をもたらすこと無く、脱臭性能を長期にわたり安定的に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、本実施形態の生物脱臭装置は、充填塔20及びその付属機器(送水ポンプP、送風ファンF、制御装置40等)を備えている。
【0015】
充填塔20は、横断面が多角筒状又は円筒状の直立した塔であり、充填塔20の下部にはガス導入口21及び排水口22が設けられ、充填塔20の上部にはガス排出口23が設けられている。充填塔20の中程には、微生物保持用の充填材(図示略)が充填された充填層24が設定されている。充填材としては、粒状又は塊状の無機多孔質体(例えば使用済み鋳物砂を造粒し焼結して得た鋳物砂焼結体)が使用される。なお、本実施形態では、充填塔20の高さは約3.0m、充填塔20の横断面積は約1.6m2、充填層24の高さ(垂直長)は約1.5mであり、充填層24には総体積が約2m3の充填材が充填されている。
【0016】
更に、充填塔20の内部であって充填層24の上方には、充填層24の上から水を散布する散水器としての散水ノズル25が設けられている。この散水ノズル25は、給水管31を介して貯水槽32につながれている。給水管31の途中には、貯水槽32の水を散水ノズル25に供給するための送水ポンプPが配設されている。この送水ポンプPは、ポンプ駆動回路41からの電力の供給又は遮断に応じてON−OFF制御される。
【0017】
充填塔下部の排水口22は、排水管33を介して貯水槽32につながれている。故に、送水ポンプPによって貯水槽32から汲み上げられた水は、散水ノズル25から充填層24の上に降り注がれ、充填層24を通過した水は充填塔20の下部に流下し、排水口22及び排水管33を経由して貯水槽32に戻される。このように本実施形態では、貯水槽32に蓄えられた水は、充填塔20との間を循環して繰り返し利用される。
【0018】
なお、本実施形態では、排水管33の途中にストレーナ34が設けられている。ストレーナ34は濾過器の一種であり、排水口22からの水に含まれる異物や汚泥を物理的又は化学的に除去して貯水槽32に異物や汚泥が混入するのを防止する役目を担う。
【0019】
充填塔下部のガス導入口21は、排気通路36を介して脱臭対象室37に連通している。つまり排気通路36は、脱臭対象室37で生じた臭気ガスを充填塔のガス導入口21に導く通路である。この排気通路36の途中には、脱臭対象室37の臭気ガスを充填塔のガス導入口21に強制的に供給するための送風ファンFが配設されている。この送風ファンFの送風量は、出力可変回路としてのインバータ42から供給される電力量に応じて可変制御される。
【0020】
更に、本実施形態の生物脱臭装置は制御装置40を備えている。制御装置40は、好ましくは、シーケンス制御の手順をプログラム設定可能なロジックコントローラ(いわゆるシーケンサー)である。制御装置40には、ポンプ駆動回路41を介して送水ポンプPが電気的に接続されると共に、インバータ42を介して送風ファンFが電気的に接続されている。制御装置40は、予め定められたシーケンス制御スケジュール(プログラム)に従い、送水ポンプP及び送風ファンFの出力をシーケンス制御する。
【0021】
次に、本実施形態の生物脱臭装置の運転方法(洗浄方法を含む)を説明する。
【0022】
生物脱臭装置の通常運転時、制御装置40は送風ファンFを低速にて定常回転させる。これにより、充填塔20内を流れる臭気ガスの空塔線速度がV1=0.18m/sとなるように、脱臭対象室37の臭気ガスが充填塔20に定常的に送り込まれる。
【0023】
臭気ガスの定常供給と並行して、制御装置40は送水ポンプPを定期的に駆動させ、充填層24に対し定期散水を行う。具体的には、50分経過する毎にその後の10分間だけ送水ポンプPを駆動させ(図2(A)のタイムチャート参照)、この10分間に1平方メートルあたり毎分4リットルの水を充填層24に降り注ぐ。つまり、生物脱臭装置の通常運転時には、臭気ガスの空塔線速度がV1=一定の下で、10分間の散水と50分間の散水停止とを1サイクルとする散水のON−OFF制御が繰り返される(以下、この制御を「60分周期定期散水」と呼ぶ)。なお、空塔線速度V1=0.18m/sというガス供給量と、1平方メートルあたり毎分4リットルという散水量とは、本実施形態の充填層24においてフラッディングを生じない気液供給バランスにある。
【0024】
上記のような通常運転により適度な湿潤環境におかれた充填層24には、臭気ガス中の臭気成分を分解し得る微生物が繁殖する。そして、充填層24に生息する微生物によって臭気ガス中の臭気成分が分解処理される。
【0025】
制御装置40のシーケンス制御スケジュールには、上記のような60分周期の定期散水工程のほかに、定期洗浄工程が組み込まれている。即ち、生物脱臭装置を24時間連続運転した場合、1日(24時間)の中で上記60分周期定期散水を24回実行することになるが、この24回の定期散水のうちの1回が、定期散水を兼ねた定期洗浄として実行される。つまり、本実施形態では1日のうちに、23回の60分周期定期散水と、1回の24時間周期定期洗浄とが定期的に実行される。
【0026】
図2(B)のタイムチャートは、24時間周期で実行される「定期散水を兼ねた定期洗浄」の概要を示す。このチャートに示されるように、60分周期で駆動される送水ポンプPがONされる予定時刻(時間軸で0分)の1分前(時間軸で−1分)に、制御装置40は送風ファンFの運転状態を、それまでの低速回転(空塔線速度V1=0.18m/s)から高速回転(空塔線速度V2=0.30m/s)に切り替える。これにより、充填層24を下から上に上昇する臭気ガスの風量を増大させる。
【0027】
続いて、制御装置40は送水ポンプPを定刻通りに(時間軸0分で)ONし、その後の10分間だけ(時間軸で10分まで)送水ポンプPを駆動させる。この10分間に、上記定期散水の場合と同じく、1平方メートルあたり毎分4リットルの水を充填層24に降り注ぐ。そして、送水ポンプPをOFFしてから3分後(時間軸で13分)、制御装置40は送風ファンFの運転状態を、高速回転(空塔線速度V2=0.30m/s)から低速回転(空塔線速度V1=0.18m/s)に戻す。
【0028】
充填層24を上昇する臭気ガスの風量が空塔線速度V2=0.30m/sの下で散水が開始された時点(時間軸0分)から、臭気ガスの風量が空塔線速度V1=0.18m/sに戻された時点(時間軸13分)までの間、散水ノズル25からの散水量に比してガス供給量が大きく勝る状況となり、充填層24においてフラッディングが発生する。このフラッディングにより、散水された水の多くが充填層24にとどまって層内を対流・循環し、充填層24内に堆積しつつあった余剰汚泥や異物が充填材から剥離する。臭気ガスの風量が空塔線速度V2からV1に戻されることでフラッディングが解消されると、充填層24にとどまっていた水が余剰汚泥や異物と共に充填塔20の下部に流れ落ちる。
【0029】
余剰汚泥や異物を含んだ水は、排水口22から排水管33及びストレーナ34を経由して貯水槽32に排水される。その際、ストレーナ34によって水中の余剰汚泥や異物の多くが濾過されるため、貯水槽32に余剰汚泥や異物が多量に混入するおそれはない。
【0030】
なお、本実施形態の生物脱臭装置(試作機)の性能を評価する目的で、堆肥化工場で生じたアンモニア主体の臭気ガス(約90%のアンモニア、並びに、残りが硫化水素、メルカプタン及びトリメチルアミン等からなる悪臭ガス)を上記のような運転条件で6ヶ月間にわたり連続処理した。6ヶ月経過後においても、試作機の充填層24において目詰まり等は観察されず、当該試作機は運転開始当初とほぼ同等の脱臭性能を保っていた。
【0031】
[本実施形態の効果]
本実施形態では、送水ポンプPによる60分周期定期散水の24回に1回のタイミングに合せて送風ファンFの出力を一時的に上昇させることにより、充填層24においてフラッディングを24時間周期で定期的に生じさせ、当該充填層24を定期的に洗浄するようにした。それ故、充填層24に余剰汚泥等が堆積して目詰まりが顕在化する前に目詰まりの発生を予防でき、脱臭性能の一時的低下をもたらすこと無く、脱臭性能を長期にわたり安定的に維持することができる。
【0032】
上記定期洗浄工程は、フラッディング状態での散水を兼ねた定期洗浄工程としたので、散水作業と洗浄作業とを区別する必要がなくなり作業の効率化が図られる。
【0033】
更に、上記定期洗浄工程では、従来例のような洗浄剤を必要とせず、又、洗浄剤の注入機構も必要としないので、装置のランニングコストや維持管理コストを従来例の場合よりも低減することができる。また、洗浄剤を使わないので貯水槽32に洗浄剤が流れ込むこともなく、貯水槽32に蓄えられた水中の洗浄剤濃度を適正に管理する手間やコストも必要でないばかりか、洗浄剤等の薬剤を使用することによる潜在的な薬剤汚染の危険を回避することができる。
【0034】
[変更例]上記実施形態では、散水ノズル25からの散水量一定の下で、送風ファンFによる送風量を増大させてフラッディングを生じさせた。これに代えて、送風量一定の下で、散水ノズル25からの散水量を増大させ、水が充填層24を定常的に通過できる最大流量を凌駕するほど過剰な量の水を充填層24に供給することにより、フラッディングを生じさせてもよい。
【0035】
[変更例]上記実施形態では、充填層24を通過したガス(処理済みのガス)をガス排出口23から大気中に放出したが、充填塔20の上部を脱臭対象室37又は充填塔20の下部に連通させるガス回帰通路を設けて、充填層24を通過したガスの一部又は全部を脱臭対象室37又は充填塔20の下部に戻すようにしてもよい。特に、送風ファンFによる送風量を増大させてフラッディングを生じさせた場合には、臭気ガスの送風量増大に起因して充填層24を通過したガスの脱臭が不十分になってしまうおそれがあるが、充填層24通過後のガスを脱臭対象室37又は充填塔20の下部に戻すようにすることで、フラッディング時においても、ガス排出口23からの臭気ガスの大気放出を極力防止することが可能になる。
【0036】
[変更例]上記実施形態におけるストレーナ34を省略してもよい。また、上記実施形態では貯水槽32の水を循環利用したが、充填層24を通過して充填塔の下部に流れ落ちた水を再利用すること無く、外部に直接排水するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】生物脱臭装置の一実施形態を示す装置構成図。
【図2】(A)は通常の定期散水時における散水及び風量の変化を示すタイムチャート、(B)はフラッディング時における散水及び風量の変化を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0038】
20…充填塔、21…ガス導入口、22…排水口、23…ガス排出口、24…充填層、25…散水ノズル(散水器)、31…給水管、32…貯水槽、33…排水管、34…ストレーナ、36…排気通路、37…脱臭対象室、40…制御装置、F…送風ファン、P…送水ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塔の下部に設けられたガス導入口、塔の上部に設けられたガス排出口、塔の中部に位置すると共に微生物保持用充填材が充填された充填層、及び、前記充填層の上から水を散布する散水器を有する充填塔と、
貯水槽の水を前記充填塔の散水器に供給する送水ポンプと、
脱臭対象室の臭気ガスを前記充填塔のガス導入口に供給する送風ファンと、
予め定められた制御スケジュールに従って前記送水ポンプ及び前記送風ファンをシーケンス制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記送水ポンプ又は送風ファンの出力を調節して前記充填塔の充填層においてフラッディングを定期的に生じさせることにより、当該充填層を定期的に洗浄することを特徴とする生物脱臭装置。
【請求項2】
塔の下部に設けられたガス導入口、塔の上部に設けられたガス排出口、塔の中部に位置すると共に微生物保持用充填材が充填された充填層、及び、前記充填層の上から水を散布する散水器を有する充填塔と、
貯水槽の水を前記充填塔の散水器に供給する送水ポンプと、
脱臭対象室の臭気ガスを前記充填塔のガス導入口に供給する送風ファンと、
予め定められた制御スケジュールに従って前記送水ポンプ及び前記送風ファンをシーケンス制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記送水ポンプを定期的に駆動させ、
前記送水ポンプの駆動回数N回のうちの(N−1)回については、前記送水ポンプ又は前記送風ファンの出力を前記充填塔の充填層においてフラッディングを生じさせないように調節することにより、当該充填層に対して散水を行う定期散水工程とし、
前記送水ポンプの駆動回数N回のうちの残りの1回については、前記送水ポンプ又は前記送風ファンの出力を前記充填塔の充填層においてフラッディングを生じさせるように調節することにより、当該充填層に対して散水を兼ねた洗浄を行う定期洗浄工程とすることを特徴とする生物脱臭装置。
【請求項3】
ガス導入口、ガス排出口、微生物保持用充填材が充填された充填層及び散水器を有する充填塔と、水を前記充填塔の散水器に供給する送水ポンプと、臭気ガスを前記充填塔のガス導入口に供給する送風ファンとを備えた生物脱臭装置において、
前記送水ポンプ又は送風ファンの出力を調節して前記充填塔の充填層においてフラッディングを定期的に生じさせることにより、当該充填層を定期的に洗浄することを特徴とする生物脱臭装置の洗浄方法。
【請求項4】
ガス導入口、ガス排出口、微生物保持用充填材が充填された充填層及び散水器を有する充填塔と、水を前記充填塔の散水器に供給する送水ポンプと、臭気ガスを前記充填塔のガス導入口に供給する送風ファンとを備えた生物脱臭装置において、
前記送水ポンプを定期的に駆動させ、
前記送水ポンプの駆動回数N回のうちの(N−1)回については、前記送水ポンプ又は前記送風ファンの出力を前記充填塔の充填層においてフラッディングを生じさせないように調節することにより、当該充填層に対して散水を行う定期散水工程とし、
前記送水ポンプの駆動回数N回のうちの残りの1回については、前記送水ポンプ又は前記送風ファンの出力を前記充填塔の充填層においてフラッディングを生じさせるように調節することにより、当該充填層に対して散水を兼ねた洗浄を行う定期洗浄工程とすることを特徴とする生物脱臭装置の洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−326039(P2007−326039A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159286(P2006−159286)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000100805)アイシン高丘株式会社 (202)
【Fターム(参考)】