説明

生物試験ストリップ

【課題】複数の制御ラインを有して検査の正確性を向上することができる生物試験ストリップを提供する。
【解決手段】生物試験ストリップは、ソース端、少なくとも一つのテストライン及び複数の制御ラインを含む。ソース端は、検査液体で滴定されるために用いられる。テストラインは、検査液体の被検査成分と呈色反応を行うために用いられる。制御ラインは、前記検査液体と複数の異なる呈色程度である呈色反応を行うことで、最大所定検査濃度値及び最小所定検査濃度値を提供してテストラインの色照合基準にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物試験ストリップに関し、特に複数の制御ラインを有して検査の正確性を向上することができる生物試験ストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医院、研究者または個人の各種のインスタント生物試験に対する必要性が日々増加している。したがって、その必要性を満たすため、試験結果を迅速に表示して利便を高める各種の簡便な生物試験ストリップが次第に発展している。生物検体に応じて、生物試験ストリップは異なる設計原理であり、尿または血液のアルコール、薬物、癌やその他の病気の分子などといった成分の試験への応用や、妊娠検査に応用することもできる。
【0003】
図1Aを参照する。図1Aは、基材10を含む従来の生物試験ストリップを示す図である。この基材10は、通常細長い試験紙であり、ソース端11、テストライン12及び制御ライン13を順番に設けている。ソース端11は、検査液体で滴定されるために用いられ、この検査液体及びその被検査成分をテストライン12及び制御ライン13へ拡散させる。テストライン12は、検査液体の被検査成分と反応させることで、被検査成分が存在するか否かを確認するために用いられる。制御ライン13は、検査液体と反応させて照合を行うことで、検査液体を拡散させてテストライン12を通過したことを確認するために用いられ、これにより検査を完成する。
【0004】
図1Aに示すように、検査液体を滴定して検査を行う前に、テストライン及び制御ラインは無色であっている。図1Bに示すように、検査液体を滴定して検査を行った後、テストライン12が依然として無色であり、制御ライン13に呈色反応が発生する場合、テストライン12は、検査液体の被検査成分(例えばアルコールまたは薬物)の含量が0であり、或いは所定最低濃度より低いことを意味する陰性反応を示す。図1Cに示すように、検査液体を滴定して検査を行った後、テストライン12及び制御ライン13に呈色反応が発生する場合、それは検査液体の被検査成分の含量が所定濃度より高いことを意味する陽性反応を示す。なお、テストライン12と制御ライン13の呈色程度を比較することにより、この検査液体の被検査成分の含量または濃度を判断することができる。
【0005】
図1Cに示すように、しかし、従来の生物試験ストリップを実使用する場合は、基材10は僅か一つの制御ライン13だけを設けてテストライン12の呈色程度を比較する。そのため、分析装置を利用して呈色程度を判断する際に、濃度の判断に対して誤差及び歪みが発生し易い。さらに、もし検査液体の被検査成分の含量が所定最低濃度を少し超える場合、テストライン12の呈色反応は非常に弱弱しい。この際、実際には陽性反応であるが、肉眼または装置で検査する際に、陰性反応として誤判断した問題がよく発生している。上述した濃度誤差問題または陰性反応として誤判断した問題は、利便性及び正確性を大幅に低下させることに至る。
【0006】
なお、特許文献1において開示されている試験ストリップの検査領域の検査結果の自動検査方法は、スキャン物件を含む。スキャン物件は、バーコード及び複数の試験ストリップを含む。バーコード及び試験ストリップは、スキャン物件上に順次配列されている。各試験ストリップは、制御ライン及び複数のテストラインを含む呈色パターンを有する。制御ライン及びテストラインのそれぞれは、試験ストリップの検査領域に対応している。試験ストリップを検査液体と反応させた後、スキャン物件をスキャンすることにより、バーコードパターンを読み取って、試験ストリップの画像データを取り出す。次に、バーコードパターンのデコードを行うことで、複数の呈色反応設定値が試験ストリップ上のテストラインの位置に相対する対応表を取得する。そして、試験ストリップの画像データに応じて、試験ストリップ上のテストラインの呈色反応を計算する。最後に、試験ストリップに対応する対応表に応じて、テストラインの呈色反応と相対する呈色反応設定値とを比較することで、テストラインを陽性反応または陰性反応として決定する。
【0007】
しかし、この検査方法ではバーコードを利用して複数の異なる試験ストリップの検査項目を検査することができるが、スキャン物件を実際に使用する際は、各試験ストリップは、僅か一つの制御ラインだけを使用してテストライン12の呈色程度を比較する。そのため、装置を利用して呈色程度を判断する場合、濃度の判断に対して誤差及び歪みが発生し易い。なお、もし検査液体の被検査成分の含量が所定最低濃度を少しだけ超える場合、各試験ストリップのテストラインの呈色反応も非常に弱弱しい。この際、弱しい陽性反応を陰性反応として誤判断する問題も存在している。したがって、この検査方法及びそのスキャン物件の設計は、検査の正確性を大幅に向上することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】台湾特許第238250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一つの目的は、少なくとも二つの制御ラインにより、少なくとも二つの異なる呈色程度の濃度照合基準を提供し、テストラインの濃度値を正確に判断して比較し、テストラインが陰性反応であるか否かを確認し、濃度誤差値を効果的に低減し、陰性反応として誤判断した問題を低下することができる生物試験ストリップを提供することを課題とする。
【0010】
本発明のまた一つの目的は、少なくとも二つの制御ラインにより、最大及び最小の濃度照合基準を提供し、テストラインが陰性反応であるか否かを確認し、陰性反応として誤判断した問題を低下するとともに、利便性を高めることができることができる生物試験ストリップを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明によれば、生物試験ストリップが提供される。前記生物試験ストリップは、ソース端、少なくとも一つのテストライン及び複数の制御ラインを含む。前記ソース端は、検査液体で滴定されるために用いられる。前記少なくとも一つのテストラインは、前記検査液体の少なくとも一つの被検査成分と呈色反応を行うために用いられる。前記複数の制御ラインは、前記検査液体と複数の異なる呈色程度である呈色反応を行うことで、最大所定検査濃度値及び最小所定検査濃度値を提供して前記テストラインの色照合基準にする。
【0012】
一つの好適な態様では、前記少なくとも一つのテストラインは、前記ソース端と前記制御ラインとの間に位置する。
【0013】
一つの好適な態様では、前記複数の制御ラインは、第1の制御ライン及び第2の制御ラインを含み、前記第1の制御ラインの呈色反応は前記最小所定検査濃度値を定義し、前記第2の制御ラインの呈色反応は前記最大所定検査濃度値を定義する。
【0014】
一つの好適な態様では、前記ソース端、前記第1の制御ライン、前記テストライン及び前記第2の制御ラインは前記生物試験ストリップ上に順番に配列される。
【0015】
一つの好適な態様では、前記ソース端、前記第2の制御ライン、前記テストライン及び前記第1の制御ラインは前記生物試験ストリップ上に順番に配列される。
【0016】
一つの好適な態様では、前記ソース端、前記テストライン、前記第1の制御ライン及び前記第2の制御ラインは前記生物試験ストリップ上に順番に配列される。
【0017】
一つの好適な態様では、前記ソース端、前記テストライン、前記第2の制御ライン及び前記第1の制御ラインは前記生物試験ストリップ上に順番に配列される。
【0018】
一つの好適な態様では、前記テストラインの数は二つ以上である。
【0019】
一つの好適な態様では、前記制御ラインの数は三つ以上である。
【0020】
一つの好適な態様では、前記複数の制御ラインは、第1の制御ライン、第2の制御ライン及び第3の制御ラインを含み、前記第1の制御ラインの呈色反応は前記最小所定検査濃度値を定義し、前記第3の制御ラインの呈色反応は前記最大所定検査濃度値を定義し、前記第2の制御ラインの呈色反応は前記最小所定検査濃度値から前記最大所定検査濃度値の間である中間所定検査濃度値を定義する。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、少なくとも二つの異なる呈色程度の濃度照合基準を提供し、テストラインの濃度値を正確に判断して比較し、テストラインが陰性反応であるか否かを確認し、濃度誤差値を効果的に低減し、陰性反応として誤判断する問題を低下するとともに、濃度検査の正確性及び利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】1A−1Cは従来の生物試験ストリップ及びその使用状態を示す図である。
【図2】2A‐2Dは本発明の第1の実施形態による生物試験ストリップ及びその使用状態を示す図である。
【図3】3A‐3B本発明の第2の実施形態による生物試験ストリップ及びその使用状態を示す図である。
【図4】4A‐4Bは本発明の第3の実施形態による生物試験ストリップ及びその使用状態を示す図である。
【図5】5A‐5Bは本発明の第4の実施形態による生物試験ストリップ及びその使用状態を示す図である。
【図6】6A‐6Bは本発明の第5の実施形態による生物試験ストリップ及びその使用状態を示す図である。
【図7】7A‐7B本発明の第6の実施形態による生物試験ストリップ及びその使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図2Aを参照する。図2Aは、本発明の第1の実施形態による生物試験ストリップ20を示す図である。生物試験ストリップ20は、ソース端21、第1の制御ライン22、テストライン23及び第2の制御ライン24を順番に含む。本発明では、生物試験ストリップ20の材料は、液体の拡散を促すことのできる材料から選択する。例えば、天然セルロース繊維または合成繊維紙(例えば硝化綿)で製造される試験紙がある。なお、生物試験ストリップ20は、適切なハウジングやその他の部品(乾燥片、図示せず)と組み合わせて適切な検査装置を形成することで、各種の応用検査を行うことができる。例えば尿または血液のアルコール、薬物、癌やその他の病気の分子などといった成分の試験に応用することができ、妊娠検査またはその他の生物研究に応用することもできる。この際、検査装置のハウジングは、適切なマークまたは文字(例えばC1、T、C2等)を選択的に有することで、第1の制御ライン22、テストライン23及び第2の制御ライン24を区別する。しかし、上述したように、この生物試験ストリップ20の材料、アセンブリの方式・応用またはマークの方式の選択は、本発明だけに限定されるわけではない。
【0024】
再び図2Aを参照する。本発明の第1の実施形態による生物試験ストリップ20は、細長い試験紙であることが好ましい。しかしこれに限定されることはなく、その形状は最終的な製品により変化されることができる。なお、ソース端21は、生物試験ストリップ20の一端に近い位置に設置され、検査液体で滴定されるために用いられる領域である。ソース端21の形状は、円形または矩形であることが好ましい。しかしこれに限定されることはなく、その形状は最終的な製品により変化されることができる。
【0025】
再び図2Aを参照する。本発明の第1の実施形態による生物試験ストリップ20の第1の制御ライン22、テストライン23及び第2の制御ライン24は、適切な呈色プローブ(probe)で生物試験ストリップ20上に予め塗布されて形成される。なお、第1の制御ライン22、テストライン23及び第2の制御ライン24は、異なる濃度の呈色プローブを選択的に使用したり、異なる種類の呈色プローブを選択的に使用したりすることができる。呈色プローブは、反応前は無色であり、反応後に赤色または黒色などといった所定色を呈色する。上述したプローブの種類及び色は、生物試験ストリップ20の応用により選択することができるが、本発明に限定されることはない。本実施形態では、第1の制御ライン22は、検査液体と色が比較的浅い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最小所定検査濃度値の色照合基準を提供する。第2の制御ライン24は、検査液体と色が比較的深い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最大所定検査濃度値の色照合基準を提供する。さらに、テストライン23は、検査液体の少なくとも一つの被検査成分と呈色反応を行う呈色プローブを有する。なお、テストライン23は、ソース端21と第2の制御ライン24の間に位置されることが好ましい。これによって、もし第2の制御ライン24には呈色反応が発生する場合、検査液体がテストライン23に拡散して通過したことを確認することができ、これにより検査を完成する。
【0026】
図2B、図2C及び図2Dを参照する。本発明の第1の実施形態による生物試験ストリップ20は、検査液体が被検査成分(例えばアルコールまたは薬物)を有するか否かを検査するために用いられる場合、まず、検査液体(及びその被検査成分)は、ソース端21に滴下され、第1の制御ライン22、テストライン23及び第2の制御ライン24へ順番に拡散する。図2Bに示すように、検査液体を滴定して検査を行った後、もし第1の制御ライン22には色が比較的浅い呈色反応が発生し、第2の制御ライン24には色が比較的深い呈色反応が発生し、テストライン23が依然として無色である(或いはその色が第1の制御ライン22より浅い)場合、陰性反応と考えることができる。この際、本発明は、検査装置(図示せず)により定量工程を行うことができる。なお、検査装置は、第1の制御ライン22及び第2の制御ライン24により、最小及び最大の所定検査濃度値の色照合基準を取得することができ、これによって、内挿法などといったアルゴリズムを利用してテストライン23の明暗度を計算して推定することで、検査液体の被検査成分の含有量を迅速に知ることができる。図2Bに示すように、その検査結果は、検査液体の被検査成分(例えばアルコールまたは薬物等)の含有量が0、或いは所定最低濃度値より低いことを意味している。
【0027】
図2Cを参照する。検査液体を滴定して検査を行った後、検査装置は第1の制御ライン22及び第2の制御ライン24で最小及び最大の所定検査濃度値の色照合基準にするとともに、内挿法を利用してテストライン23の呈色反応の明暗度が第1の制御ライン22から第2の制御ライン24の間であることを計算して推定する場合、陽性反応と考えることができる。この際、検査液体の被検査成分の含有量は、最小所定検査濃度値を超えたが、最大所定検査濃度値をまだ超えていないことを意味している。
【0028】
図2Dを参照する。検査液体を滴定して検査を行った後、検査装置は第1の制御ライン22及び第2の制御ライン24で最小及び最大の所定検査濃度値の色照合基準にするとともに、内挿法を利用してテストライン23の呈色反応の暗度が第1の制御ライン22及び第2の制御ライン24よりも大きいことを計算して推定する場合、過剰な陽性反応と考えることができる。この際、検査液体の被検査成分の含有量は、最大所定検査濃度値を超えていることを意味している。
【0029】
図3A及び図3Bを参照する。本発明の第2の実施形態による生物試験ストリップは、第1の実施形態と類似しておる。第2の実施形態の生物試験ストリップ30は、ソース端31、第2の制御ライン32、テストライン33及び第1の制御ライン34を順番に含む。第2実施形態の生物試験ストリップ30は、配列順序が第1実施形態と異なる。各ラインを区別するために、本発明では、図3A及び図3B上にC1、T、C2をマークする。第2の実施形態において、第1の制御ライン34は、検査液体と色が比較的浅い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最小所定検査濃度値の色照合基準を提供する。第2の制御ライン32は、検査液体と色が比較的深い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最大所定検査濃度値の色照合基準を提供する。これによって、図3Bに示すように、検査液体を滴定して検査を行った後、検査装置は第1の制御ライン34及び第2の制御ライン32で最小及び最大の所定検査濃度値の色照合基準にするとともに、内挿法を利用してテストライン33の呈色反応の明暗度が第1の制御ライン34から第2の制御ライン32の間であることを計算して推定する場合、陽性反応と考えることができる。この際、検査液体の被検査成分の含有量は、最小所定検査濃度値を超えたが、最大所定検査濃度値をまだ超えていないことを意味している。なお、第2の実施形態において、陰性反応または過剰な陽性反応の原理は、上述の第1の実施例とほぼ同じであり、類似する点については述べない。
【0030】
図4A及び図4Bを参照する。本発明の第3の実施形態による生物試験ストリップは、第1及び第2の実施形態と類似しておる。第3の実施形態の生物試験ストリップ40は、ソース端41、テストライン42、第1の制御ライン43及び第2の制御ライン44を順番に含む。第3実施形態の生物試験ストリップ30は、配列順序が第1及び第2の実施形態と異なる。各ラインを区別するために、本発明では、図4A及び図4B上にC1、T、C2をマークする。第3の実施形態において、第1の制御ライン43は、検査液体と色が比較的浅い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最小所定検査濃度値の色照合基準を提供する。第2の制御ライン44は、検査液体と色が比較的深い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最大所定検査濃度値の色照合基準を提供する。これによって、図4Bに示すように、検査液体を滴定して検査を行った後、テストライン42の呈色反応の明暗度が第1の制御ライン43から第2の制御ライン44の間であることを推定する場合、陽性反応と考えることができる。この際、検査液体の被検査成分の含有量は、最小所定検査濃度値を超えたが、最大所定検査濃度値をまだ超えていないことを意味している。なお、第3の実施形態において、陰性反応または過剰な陽性反応の原理は、上述の第1及び第2の実施例とほぼ同じであり、類似する点については述べない。
【0031】
図5A及び図5Bを参照する。本発明の第4の実施形態による生物試験ストリップは、第1乃至第3の実施形態と類似しておる。第4の実施形態の生物試験ストリップ50は、ソース端51、テストライン52、第2の制御ライン53及び第1の制御ライン54を順番に含む。第4実施形態の生物試験ストリップ50は、配列順序が第1乃至第3の実施形態と異なる。各ラインを区別するために、本発明では、図5A及び図5B上にC1、T、C2をマークする。第4の実施形態において、第1の制御ライン54は、検査液体と色が比較的浅い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最小所定検査濃度値の色照合基準を提供する。第2の制御ライン53は、検査液体と色が比較的深い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最大所定検査濃度値の色照合基準を提供する。これによって、図5Bに示すように、検査液体を滴定して検査を行った後、テストライン52の呈色反応の明暗度が第1の制御ライン54から第2の制御ライン53の間であることを推定する場合、陽性反応と考えることができる。この際、検査液体の被検査成分の含有量は、最小所定検査濃度値を超えたが、最大所定検査濃度値をまだ超えていないことを意味している。なお、第4の実施形態において、陰性反応または過剰な陽性反応の原理は、上述の第1乃至第3の実施例とほぼ同じであり、類似する点については述べない。
【0032】
図6A及び図6Bを参照する。本発明の第5の実施形態による生物試験ストリップは、第1乃至第4の実施形態と類似しておる。第5の実施形態の生物試験ストリップ60は、ソース端61、第1の制御ライン62、第1のテストライン63、第2のテストライン64及び第2の制御ライン65を順番に含む。テストライン63、64の数は二つ以上であり、且つテストライン63、64と第1及び第2の制御ライン62、65との配列順序は、第1乃至第4の実施形態を参照して選択的に変換されることができる。各ラインを区別するために、本発明では、図6A及び図6B上にC1、T1、T2、C2をマークする。第5の実施形態において、第1の制御ライン62は、検査液体と色が比較的浅い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最小所定検査濃度値の色照合基準を提供する。第2の制御ライン65は、検査液体と色が比較的深い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最大所定検査濃度値の色照合基準を提供する。これによって、図6Bに示すように、検査液体を滴定して検査を行った後、第1のテストライン63及び第2のテストライン64の呈色反応の明暗度が第1の制御ライン62から第2の制御ライン65の間であることを推定する場合、陽性反応と考えることができる。この際、検査液体の被検査成分の含有量は、最小所定検査濃度値を超えたが、最大所定検査濃度値をまだ超えていないことを意味している。なお、第5の実施形態において、陰性反応または過剰な陽性反応の原理は、上述の第1乃至第4の実施例とほぼ同じであり、類似する点については述べない。
【0033】
図7A及び図7Bを参照する。本発明の第6の実施形態による生物試験ストリップは、第1乃至第5の実施形態と類似しておる。第6の実施形態の生物試験ストリップ70は、ソース端71、テストライン72、第1の制御ライン73、第2の制御ライン74及び第3の制御ライン75を順番に含む。制御ライン73、74、75の数は三つ以上であり、且つテストライン72と第1、第2及び第3の制御ライン73、74、75との配列順序は、第1乃至第4の実施形態を参照して選択的に変換されることができる。各ラインを区別するために、本発明では、図7A及び図7B上にT、C1、C2及びC3をマークする。第6の実施形態において、第1の制御ライン73は、検査液体と色が比較的浅い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最小所定検査濃度値の色照合基準を提供する。第3の制御ライン75は、検査液体と色が比較的深い呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最大所定検査濃度値の色照合基準を提供する。第2の制御ライン74は、検査液体と中間的な色である呈色反応を行う呈色プローブを有することで、最小所定検査濃度値から最大所定検査濃度値の間である中間所定検査濃度値の色照合基準を提供する。これによって、図7Bに示すように、検査液体を滴定して検査を行った後、テストライン72の呈色反応の明暗度は、第1の制御ライン73から第2の制御ライン74の間でありたり、第2の制御ライン74から第3の制御ライン75の間でありたりすることを推定する場合、陽性反応と考えることができる。この際、検査液体の被検査成分の含有量は、最小所定検査濃度値を超えたが、最大所定検査濃度値をまだ超えていないことを意味している。なお、第6の実施形態において、陰性反応または過剰な陽性反応の原理は、上述の第1乃至第5の実施例とほぼ同じであり、類似する点については述べない。
【0034】
上述したように、従来の生物試験ストリップは、僅か一つの制御ライン13だけを使用してテストライン12の呈色程度を比較し、これにより、装置を利用して呈色程度を判断する場合、濃度の判断に対して誤差または陰性反応として誤判断した問題が容易に発生している。従来の生物試験ストリップに比べ、図2A乃至図2Dの本発明は、少なくとも二つの制御ライン22、24を使用することで、少なくとも二つの異なる呈色程度の濃度照合基準(例えば最大及び最小の濃度照合基準)を提供し、テストライン23の濃度値を正確に判断して比較し、テストライン23が陰性反応であるか否かを確認し、濃度誤差値を効果的に低減し、陰性反応として誤判断した問題を低下するとともに、濃度検査の正確性及び利便性を高めることができる。
【0035】
当該分野の技術を熟知するものが理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と範囲を脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0036】
10 基材
11、21、31、41、51、61 ソース端
12、23、33、42、52、72 テストライン
13 制御ライン
20、30、40、50、60、70 生物試験ストリップ
22、34、43、54、62、73 第1の制御ライン
24、32、44、53、65、74 第2の制御ライン
63 第1のテストライン
64 第2のテストライン
75 第3の制御ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査液体で滴定されるために用いられるソース端と、
前記検査液体の少なくとも一つの被検査成分と呈色反応を行うために用いられる少なくとも一つのテストラインと、
前記検査液体と複数の異なる呈色程度である呈色反応を行うことで、最大所定検査濃度値及び最小所定検査濃度値を提供して前記テストラインの色照合基準にする複数の制御ラインと、
を含むことを特徴とする生物試験ストリップ。
【請求項2】
前記少なくとも一つのテストラインは、前記ソース端と前記制御ラインとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載の生物試験ストリップ。
【請求項3】
前記複数の制御ラインは、第1の制御ライン及び第2の制御ラインを含み、前記第1の制御ラインの呈色反応は前記最小所定検査濃度値を定義し、前記第2の制御ラインの呈色反応は前記最大所定検査濃度値を定義することを特徴とする請求項1又は2に記載の生物試験ストリップ。
【請求項4】
前記ソース端、前記第1の制御ライン、前記テストライン及び前記第2の制御ラインは前記生物試験ストリップ上に順番に配列されることを特徴とする請求項3に記載の生物試験ストリップ。
【請求項5】
前記テストラインの数は二つ以上であることを特徴とする請求項4に記載の生物試験ストリップ。
【請求項6】
前記ソース端、前記第2の制御ライン、前記テストライン及び前記第1の制御ラインは前記生物試験ストリップ上に順番に配列されることを特徴とする請求項3に記載の生物試験ストリップ。
【請求項7】
前記テストラインの数は二つ以上であることを特徴とする請求項6に記載の生物試験ストリップ。
【請求項8】
前記ソース端、前記テストライン、前記第1の制御ライン及び前記第2の制御ラインは前記生物試験ストリップ上に順番に配列されることを特徴とする請求項3に記載の生物試験ストリップ。
【請求項9】
前記テストラインの数は二つ以上であることを特徴とする請求項8に記載の生物試験ストリップ。
【請求項10】
前記ソース端、前記テストライン、前記第2の制御ライン及び前記第1の制御ラインは前記生物試験ストリップ上に順番に配列されることを特徴とする請求項3に記載の生物試験ストリップ。
【請求項11】
前記テストラインの数は二つ以上であることを特徴とする請求項10に記載の生物試験ストリップ。
【請求項12】
前記制御ラインの数は三つ以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の生物試験ストリップ。
【請求項13】
前記複数の制御ラインは、第1の制御ライン、第2の制御ライン及び第3の制御ラインを含み、前記第1の制御ラインの呈色反応は前記最小所定検査濃度値を定義し、前記第3の制御ラインの呈色反応は前記最大所定検査濃度値を定義し、前記第2の制御ラインの呈色反応は前記最小所定検査濃度値から前記最大所定検査濃度値の間である中間所定検査濃度値を定義することを特徴とする請求項12に記載の生物試験ストリップ。
【請求項14】
前記テストラインの数は二つ以上であることを特徴とする請求項13に記載の生物試験ストリップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−101886(P2010−101886A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240221(P2009−240221)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(509289537)開物科技股▲ふん▼有限公司 (1)
【出願人】(509288862)
【Fターム(参考)】