説明

生物飼育容器

【課題】飼育容器における以下の不便や不都合などを解決する。一つの容器で飼育する生物の種類が限定されること。卵や稚魚が成魚に捕食される場合があること。水槽の水換えや手入れの際に魚を別容器に移す必要があること。独創的な生物飼育環境や自然景観が容易に創作・演出しにくいこと。
【解決手段】生物飼育容器を、深浅を有し、浅瀬となる連絡路を介したかたちの区画分割型の一体構造とし、連絡路を含む各区画の環境を個別あるいは連携させて設定する。連絡路及び分割区画により陸地・水中・その中間域を作り出し、各環境に適応する生物を同時に飼育する。連絡路に仕切りを設けて、混泳に向かない魚を分けて同時に飼育する。仕切りにより稚魚や卵を成魚と分けて飼育・孵化できるようにする。区画間で魚を移しかえながら水換えを行う。容器の深浅や区画分割を利用して、立体的で広がりを持った観賞用の自然景観を創作・演出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観賞魚用水槽などの生物飼育容器に関するものであり、容器の形態を工夫することにより、用途範囲や機能性の拡大と同時に、利用者が観賞用の生物飼育環境及び自然景観を創作するにあたって、より独創性を持たせることが出来るようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来の鑑賞魚用水槽などの生物飼育容器は、区画ならびに深浅を有さない空間から成る箱型のものが主流である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の生物飼育容器では、利用者にとって次のような不便や不都合などが感じられる。本発明は、これらの不便や不都合などを利用者の目的に応じて選択的または複合的に解決することを課題とする。
《従来型生物飼育容器の不便・不都合など》
▲1▼一つの容器で飼育する生物の種類が限定される。
▲2▼魚類では、卵や出産間もない稚魚が成魚に捕食されることがある。
▲3▼魚類では、水換えや水槽の手入れをする際に魚を別容器に一時移す必要がある。
▲4▼独創的な生物飼育環境や自然景観を容易に創作・演出しにくい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、この課題を解決する手段として、生物飼育容器の形態を連絡路を介した区画分割型の一体構造とし、分割した区画ならびに連絡路の環境や用途を利用者の発想及び要求に応じて個々に設定できるようにしたことを特徴とするものである。なお、この生物飼育容器を用いた具体的な課題毎の解決方法については、次の発明の効果の項目において併せて示すとおりである。
【発明の効果】
【0005】
本発明により利用者にもたらされる効果及び利点について、課題の具体的な解決方法ならびに本発明の利用方法の一例と併せて課題毎に整理すると次のとおりとなる。
▲1▼多種生物の飼育
本発明では、容器内に深浅を持たせる意図を含む連絡路を設け、この連絡路を介し た区画分割型の一体構造としており、この区画分割した部分ならびに連絡路を連携あ るいは個別に利用して、陸地・水中・その中間域といった環境を自由に創作すること により、魚類・昆虫類・両生類などの多種の生物を一つの容器で同時に飼育・鑑賞す ることが可能となる。また、魚類では混泳に向かない種類の魚の同時飼育、植物では 陸上植物・抽水性植物・沈水性植物等の育成を一つの生物飼育容器で行うことも可能 となる。
▲2▼卵や稚魚の保護
魚類において、卵や稚魚が成魚に捕食されることを回避する方法として、従来から 産卵用ケースなどが利用されているが、出産のタイミングは初心者では判断が非常に 難しく、また、出産が近い雌や生まれた稚魚を狭い産卵用ケース内で長い期間隔離し たくないという思いから専用の水槽を別に設けることもあるが、経済的な面や水槽の 置き場所の問題も含めて、飼育する者にとっては悩ましい限りである。本発明では、 連絡路の部分を利用して、その開口部分を稚魚だけが行き来できるようなスリット付 きのゲートを設けるなどの方法で仕切ることにより、分割した区画を成魚のための槽 と稚魚や卵が安全に育成・孵化するための槽とに使い分けできることから、無理なく 容易にブリーディングのための環境を整えることが可能となる。また、連絡路はこれ 以外にも単に飼育魚が区画間を回遊し、その様子を鑑賞して楽しむための用途として も利用できる。
▲3▼水換えや水槽の手入れの簡素化など
本発明では、連絡路を通じて一体の容器の中で浅瀬を介したかたちでの区画分割を 行っており、区画別に個々に水換えや手入れを行うことが可能である。これにより、 最初に水換えをする区画から別の区画に魚を追いやった後、魚のいなくなった区画の 水槽壁の洗浄や低床材の清掃・入れ替えなどの手入れと水換えが思い通りに出来るこ ととなり、これを区画ごとに順番に行うことで、魚への負担が少なく、且つ、容易に 適切な飼育環境の保全を図ることが可能となる。
▲4▼独創的な生物飼育環境の創作
従来の水槽などの容器は、深浅を有さない単一的な箱型形状であるため、そのまま で使用する場合は、自然景観の最小単位での切り抜きイメージの模作が主となり、そ の結果、鑑賞的な意味において画一的で趣きや面白味の感じられないものになること が多い。本発明では、容器内に深浅を設けるとともに区画分割しているので、先に述 べたとおり陸地・水中・その中間域といった広がりを持った自然景観を創作・演出す ることが可能であり、また、利用者が自分の好みに合ったかたちで自由度を持って創 作のイメージを膨らませることが容易となるので、目線を変えて、盆栽の手法や水鉢 のアレンジといった要素なども織り交ぜながら、鑑賞の楽しみや生物飼育環境や自然 景観の創作・演出自体に対する楽しみを広げることが可能となる。
【発明を実施するため最良の形態】
【0006】
図1は、2箇所の連絡路を介して区画を2分割し、また、これにより一体構造の中で深浅を設けた生物飼育容器の立体図(等角投影図)である。このような生物飼育容器を用いることにより、前述した各種の課題の解決が可能となる。なお、連絡路ならびに分割区画の数や配置・形状や大きさについては、創作のイメージや用途目的・容器の設置スペースなどに応じて様々な形態が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0007】
本発明に係る生物飼育容器は、工業的に量産することが可能であるため、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 2箇所の連絡路を介して区画を2分割した本発明に基づく生物飼育容器の立体図である。連絡路は分割区画の上部に位置させることで容器に深浅を持たせるとともに、分割区画に面する開口部まわりには連絡路底面及び側面との間に段差を設けることで、連絡路に底床材などが保持できるようにしている。また、これにより区画を仕切るためのゲートの設置にも適した構造となるようにしている。
【図2】 図2は、応用例として示すものであり、連絡路を1箇所とし、その背面に浅瀬となる三つ目の分割区画を一体で設けた場合の生物飼育容器の立体図である。
【符号の説明】
【0009】
1 分割区画
2 連絡路
3 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一または複数の連絡路を介して区画分割したかたちで一体構造を成し、その連絡路と分割区画をもって容器としての深浅を有することを特徴とする多目的生物飼育容器

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−159937(P2009−159937A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27044(P2008−27044)
【出願日】平成20年1月9日(2008.1.9)
【出願人】(508038264)
【Fターム(参考)】