説明

生理用タンポン及びアプリケータ式タンポン

【課題】容易かつ適切に吸収体を膣内から取り出すことができる生理用タンポン及びアプリケータ式タンポンを提供する。
【解決手段】生理用タンポン10は、吸収体11と、膣内への挿入方向における前記吸収体の末端から延出する紐状部材12とを有する。紐状部材12には、紐状部材12と別の部材によって構成され、且つ紐状部材12の外周面12eよりも外側に膨れる掛かり部20が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐状部材を介して膣内から吸収体を取り出すことができる生理用タンポン及びアプリケータ式タンポンに関する。
【背景技術】
【0002】
生理用タンポンは、膣内に配置されて体液を吸収する吸収体と、この吸収体から延出する紐状部材とを有する。使用者は、生理用タンポンを使用する際に、タンポン用アプリケータ等を用いて吸収体を膣内の適切な位置に配置する。使用時において、吸収体は、膣内に配置された状態で体液を吸収する。一方、紐状部材は、その一端が吸収体と共に膣内に配置されているが、他端が身体の外側に配置されている。使用者は、使用後において、紐状部材の他端を引っ張ることにより、吸収体を膣内から取り出す(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−302115号公報(図2等)
【特許文献2】特表2004−528870号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、出願人は、上述の生理用タンポンについて、以下のような問題点を発見した。
【0005】
吸収体は、レーヨン等が圧縮されて構成されており、膣内において体液を吸収することにより膨れるため、使用後に膣内から抜け難くなることがある。したがって、使用者は、使用後に吸収体を膣内から引き抜く際に、比較的強い力を掛けて紐状部材を引っ張らなければならない。しかし、使用者は、紐状部材を持つ指が滑ったり、紐状部材に対して力を十分にかけられなかったりして、吸収体を引き抜き難いことがある。
【0006】
また、例えば、吸収体を引っ張る際に、紐状部材の他端となる端部近傍を把持すると、支点となる指と吸収体とが離間するため、吸収体が膣内から引き抜けた際の勢いによって、吸収体が紐状部材を把持する指の近傍まで飛ぶことがある。吸収体が紐状部材を把持する指の近傍まで飛んでしまうと、使用後の吸収体が下着や便器に接し、下着等が汚れてしまうことがある。
【0007】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、容易かつ適切に吸収体を膣内から取り出すことができる生理用タンポン及びアプリケータ式タンポンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係る生理用タンポン(生理用タンポン10)は、吸収体(吸収体11)と、膣内への挿入方向における前記吸収体の末端(末端11b)から延出する紐状部材(紐状部材12)とを有し、前記紐状部材には、前記紐状部材と別の部材によって構成され、且つ前記紐状部材の外周面(外周面12e)よりも外側に膨れる掛かり部(掛かり部20)が設けられていることを要旨とする。
【0009】
また、本発明に係る生理用タンポン(生理用タンポン10D)は、吸収体(吸収体11)と、膣内への挿入方向における前記吸収体の末端から延出する紐状部材(紐状部材12)とを有する生理用タンポンであって、前記紐状部材には、前記紐状部材の複数の結び目からなる掛かり部(掛かり部24)が設けられていることを要旨とする。
【0010】
また、本発明に係るアプリケータ式タンポンは、上述の生理用タンポンが収容される外筒(外筒2)と、前記外筒内に挿入可能に構成された内筒(内筒3)とを備えるアプリケータ式タンポンであって、前記外筒は、一側に該吸収体が押し出される押し出し開口(押し出し開口8)が設けられ、かつ他側に前記内筒が挿入される挿入開口(挿入開口4)が設けられており、前記内筒は、前記外筒内への移動により前記吸収体を前記押し出し開口から外方へ押し出すことが可能に構成されることを要旨とする。
【0011】
また、本発明に係るアプリケータ式タンポン(アプリケータ式タンポン1E)は、吸収体と膣内への挿入方向における前記吸収体の末端から延出する紐状部材とが収容される外筒と、前記外筒内に挿入可能に構成された内筒とを備え、前記外筒は、一側に該吸収体が押し出される押し出し開口が設けられ、かつ他側に前記内筒が挿入される挿入開口が設けられており、前記内筒は、前記外筒内への移動により前記吸収体を前記押し出し開口から外方へ押し出すことが可能に構成されるアプリケータ式タンポンであって、前記紐状部材には、前記紐状部材の結び目からなる掛かり部(掛かり部25)が設けられており、前記掛かり部は、前記吸収体が前記外筒に収容された状態で前記内筒の内側に配置されることを要旨とする。
【0012】
また、本発明に係る生理用タンポン(生理用タンポン10E)は、吸収体と、膣内への挿入方向における前記吸収体の末端から延出する紐状部材とを有する生理用タンポンであって、前記紐状部材には、前記紐状部材の結び目からなる掛かり部(掛かり部25)が設けられおり、前記吸収体の前記末端から前記掛かり部の前記吸収体側の端部までの長さは、前記吸収体の前記末端から延出する前記紐状部材の長さの半分以下であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る生理用タンポン及びアプリケータ式タンポンの生理用タンポンによれば、紐状部材に、紐状部材の外周面よりも外側に膨れる掛かり部又は結び目からなる掛かり部が設けられているため、掛かり部に指を引っ掛けて紐状部材を引っ張ることができ、力をかけて比較的細い紐状部材を引っ張ることができる。よって、使用後の吸収体が膨れて吸収体が取り出し難い場合であっても、吸収体を容易かつ適切に膣内から取り出すことができる。また、掛かり部は、指で把持する部分の指標となる。よって、使用者は、適切な位置において紐状部材を把持した状態で吸収体を引き抜くことができる。吸収体から離間した側の紐状部材の端部を把持して吸収体を引き抜くことを防ぎ、使用後の吸収体が下着や便器に接し、下着等が汚れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアプリケータ式タンポンの平面図である。
【図2】図1に示すアプリケータ式タンポンの断面図である。
【図3】図1に示す生理用タンポンの斜視図である。
【図4】変形例に係る生理用タンポンの平面図である。
【図5】第2の実施形態に係る生理用タンポンの平面図である。
【図6】変形例4に係るアプリケータ式タンポンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係るアプリケータ式タンポンについて説明する。図1は、第1の実施形態に係るアプリケータ式タンポンの全体を示す平面図である。図2は、図1に示すアプリケータ式タンポンの長手方向Lに沿った断面の断面図である。
【0016】
アプリケータ式タンポン1は、外筒2と内筒3とを有するタンポン用アプリケータと、その内部に収容される生理用タンポン10を備える。外筒2と内筒3とを有している。外筒2及び内筒3は、内部に中空部を有する筒形状である。外筒2と内筒3の断面形状は、正円形である。外筒2及び内筒3は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、または表面をポリオレフィンフィルムでラミネートした厚紙によって全体が形成されている。なお、本実施の形態に係る外筒2及び内筒3の断面形状は、正円形であるが、本発明に係る外筒2及び内筒3の断面形状は、膣内に挿入し易い形状であればよく、例えば、楕円形であってもよい。
【0017】
外筒2の内部には、生理用タンポン10を構成する吸収体11が収容されている。生理用タンポン10は、吸収体11と、吸収体11から延出する紐状部材12と、を有する。吸収体11は、後述する外筒2の押し出し開口8側に位置し、膣内への挿入方向における先端11aと、膣内への挿入方向における末端11bとを有する。紐状部材12は、吸収体11に縫い付けられたり、引っ掛けられたり、接着剤等で接合されたりすることによって、吸収体11に付されている。紐状部材12は、吸収体11の末端11bから内筒3の内部を挿通し、その端部が内筒3から抜き出されている。紐状部材12の吸収体11側の端部である紐先端12cは、吸収体11に固定されており、紐状部材12の他端である紐末端12dは、自由端である。使用者は、吸収体11が膣内に配置された状態で紐状部材12を引っ張ることにより、吸収体11を膣内から引き抜くことができる。
【0018】
吸収体11は、レーヨン、綿、合成繊維など吸収性製品に一般に使用される多種多様な流体吸収性材料によって構成される。吸収体11の他の材料としては、縮みセルロース詰め物、捲縮性の合成繊維、発泡体、ティッシュやティッシュラミネートを含むもの、又は、それらと同等の材料もしくは、それらと同等の材料の組合せを例示することができる。
【0019】
本実施の形態に係る吸収体11は、レーヨンとコットンとを8対2の比率で混合した不織布シート2.0gを一定の長さにカットした後、ロール状に加工し、その外側にカバー材としてポリプロピレンのスパンボンド不織布を設けることによって形成されている。
【0020】
紐状部材12は、膣内から吸収体11を安全かつ確実に取り出すためのものである。紐状部材12は、膣内に配置された吸収体11を引き出す際に切断しない強度を有していればよく、具体的には、5N以上の力で引っ張られた際に切断しない強度を有していればよい。紐状部材12の材料としては、例えば、ナイロンやポリエステルなどの合成繊維のスパンヤーンや、フィラメント、綿、若しくはその他天然繊維のスパンヤーンやレーヨン等の再生繊維のスパンヤーンを例示できる。本実施の形態に係る紐状部材12は、オーミケンシン(株)製のPET素材の20番手の糸を8本縒り合せることによって形成されている。
【0021】
紐状部材12は、赤色225号で着色されている。このように紐状部材12を着色することにより、比較的暗いトイレ等においても紐状部材12を目立たせることができ、把持する際の視認性を向上させることができる。
【0022】
外筒2の先端である一端には、吸収体11が押し出される押し出し開口8が設けられている。押し出し開口8には、吸収体11が押し出される際に径方向外側に向けて変形する花弁体8aが形成されている。花弁体8aは、常時、押し出し開口8の縁部で閉となっているが、内筒3によって吸収体11が押し出されるときに吸収体11によって押し広げられて開口する。これにより、吸収体11が外筒2から押し出され、吸収体11を体内に挿入することができる。
【0023】
外筒2の末端であるの他端には、内筒が挿入される挿入開口4が形成されている。外筒2の挿入開口4側には、外筒2及び内筒3の移動操作の際に指によって把持される把持筒部7が設けられている。把持筒部7は、押し出し開口8と把持筒部7との間における外筒本体9の径よりも小径である。把持筒部7には内筒3の先端分が挿入されており、挿入された内筒3の先端面は吸収体11に臨んでいる。
【0024】
紐状部材12には、紐状部材12の外周面12eよりも外側に膨れる掛かり部20設けられている。掛かり部20は、紐状部材12と別の部材によって構成されている。掛かり部20は、球状のビーズであり、その中心線上に貫通穴20aが形成されている。掛かり部20の貫通穴20aには、紐状部材12が挿入されている。掛かり部20と紐状部材12とは、接着剤によって固着されている。
【0025】
掛かり部20は、合成樹脂からなるビーズ等の成型物やホットメルト接着剤によって形成される。本実施の形態に係る掛かり部20は、プラスチック製のビーズによって形成されている。ビーズは、球体形状である。掛かり部20を紐状部材12の外周面12eよりも外側に突出するビーズ等によって構成することで、紐状部材12を把持した際に、指を引っ掛かり易くすることができる。また、ホットメルト等の接着剤によって掛かり部20を構成することによって、紐状部材12を介して吸収体11を引っ張る際に、紐状部材12を把持する指を滑り難くすることができる。
【0026】
掛かり部20は、図2に示すように、吸収体11が外筒2に収容された状態において、内筒3の内側に配置されている。例えば、吸収体11が外筒2に収容された状態において内筒3の外側に掛かり部20が配置されていると、外筒2から吸収体11が押し出される際に掛かり部20が内筒3内に挿入するため、掛かり部20と内筒3とが引っかかり、吸収体11を円滑に押し出し難くなるおそれがある。しかし、吸収体11が外筒2に収容された状態において、内筒3の内側に掛かり部20が配置されていることにより、外筒2から吸収体11が押し出される際に内筒3と掛かり部20とが引っ掛かることが抑制され、吸収体11を円滑に押し出すことが可能となる。
【0027】
掛かり部20は、吸収体11の末端11bから掛かり部20の中心までの紐状部材12の長さL1が、紐状部材12の紐末端12dから掛かり部20の中心までの長さL2以下となるように配置されている。すなわち、掛かり部20は、紐状部材12の長手方向Lにおける中心近傍又は、中心よりも吸収体側に配置される。また、吸収体11の末端11bから掛かり部20の吸収体側の端部までの長さL3は、紐状部材12の長さL6の半分以下である。掛かり部20が紐状部材12の長手方向における中心よりも吸収体側に配置されていることにより、掛かり部20を把持して吸収体11を引き抜く際に支点となる指と吸収体とが離間し過ぎないように構成することができるよって、吸収体11が膣内から引き抜けた際の勢いを抑制し、吸収体11が紐状部材12を把持する指の近傍まで飛ぶことを防止することができる。使用後の吸収体が下着や便器に接したり、下着等が汚れたりすることを防止することができる。
【0028】
また、例えば、複数のビーズ等を有する掛かり部においては、最も吸収体側に位置する掛かり部の中心が、紐状部材12の中心よりも吸収体側に位置することが望ましい。このように掛かり部を構成することにより、いずれのビーズを把持して引っ張った場合であっても、支点となる指と吸収体11とが離間し過ぎることを防ぐことができる。
【0029】
本実施の形態では、吸収体の末端から延出する紐状部材12の長さは、140mmであり、吸収体11から掛かり部20の中心までの紐状部材12の長さL1は、70mmであり、紐状部材12の紐末端12dから掛かり部20の中心までの長さL2は70mmである。また、掛かり部20の直径は、4mmである。
【0030】
また、吸収体11の末端11bから掛かり部20の吸収体11側の端部までの長さ(紐先端12cから掛かり部20の吸収体11側の端部までの長さ)L3は、把持筒部7の押し出し開口8側の端部から押し出し開口8までの長さ(外筒本体9の長さ)L4よりも長い。吸収体11を膣内に配置する際は、外筒2の外筒本体9を膣内に挿入して吸収体11を膣内に押し出す。したがって、吸収体11と掛かり部20とが外筒本体9の長さ以上離間させることにより、吸収体11を膣内に配置した際に、確実に膣口の外側に掛かり部20を配置することができる。
【0031】
更に、吸収体11の末端11bから掛かり部20の吸収体11側の端部までの長さ(紐先端12cから掛かり部20の吸収体11側の端部までの長さ)L3は、外筒2の長さL5よりも長い。吸収体11を膣内に配置する際は、外筒の把持筒部7を把持した状態で外筒本体9を膣内に挿入して吸収体11を膣内に押し出す。したがって、吸収体11と掛かり部20とを外筒2の長さ以上離間させることにより、吸収体11を膣内に配置した際に確実に膣口の外側に掛かり部20を配置することができ、かつ掛かり部20と膣口とを少なくとも把持筒部7の長さ以上離間させることができる。よって、掛かり部20と膣口との間に、紐状部材12を指で摘む空間を設けることができる。
【0032】
掛かり部20の外周形状は、曲線形状が望ましい。なお、曲線形状とは、尖った角部を有しない構成であればよく、直線形状を一部に含んでいてもよい。掛かり部20の外周形状が曲線形状であることにより、使用者が掛かり部20を把持した際の感触を和らげることができる。また、生理用タンポンの使用時には、紐状部材12及び掛かり部20は、膣口の近傍に配置されている。よって、例えば掛かり部20が尖っていると、使用者が掛かり部20の感触を不快に感じることがある。しかし、掛かり部20が曲線形状であることにより、使用者の感触を和らげることができる。
【0033】
次いで、このように構成されたアプリケータ式タンポンの使用態様について説明する。使用者は、吸収体11を使用する際に、外筒2を膣の適切な位置まで挿入する。使用者は、膣内の所定の位置まで外筒2を挿入した後、内筒3を外筒2側に向けて押圧することにより、外筒2の押し出し開口8から吸収体11が押し出され、吸収体11が膣内の適切な位置に配置される。吸収体11から延出する紐状部材12の一部は、膣口から身体の外側に出ている。紐状部材12に付された掛かり部20は、身体の外側に配置されている。
【0034】
使用後は、使用者が紐状部材12に設けられた掛かり部20を把持して、身体の外側に引っ張ることにより、紐状部材12を確実に把持して、吸収体11を引っ張ることができる。よって、膣内から吸収体11を取り出すことができる。
【0035】
紐状部材12に掛かり部20が設けられていることにより、使用者がしっかりと紐状部材12を掴むことができ、紐状部材12を把持する指が滑ったり、ずれたりすることを抑制できる。
【0036】
掛かり部20は、指を持つ位置の指標となるため、使用者は、適切な位置において掛かり部20等を把持して、吸収体11を引き抜くことができる。生理用タンポンを使い慣れていない初心者は、指で把持する位置の目安がわからず、紐状部材12の紐末端12d近傍を把持した状態で吸収体11を引き抜くおそれがある。吸収体11の遠心力により、経血を吸収した吸収体が便器に接したり、ズボンやショーツ等の衣類に付着してしまったりして、周囲を汚してしまうおそれがある。しかし、掛かり部20を設けることにより、吸収体11を引き抜く際の把持位置の推奨領域を示す事ができ、初心者であっても安心して使用することが可能となる。
【0037】
掛かり部20は、紐状部材12の外周面12eよりも外側に突出しているため、使用者は、掛かり部20が陰毛等で覆われて視認できない場合であっても、触感によって掛かり部20を認識することができる。
【0038】
なお、掛かり部は、上述の実施形態に係る構成に限られず、種々の構成を採用することができる。次いで、変形例に係る掛かり部について、図4に基づいて説明する。なお、以下の変形例の説明において、第1の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。図4は、変形例1から変形例3に係る生理用タンポンを示している。
【0039】
図4(a)は、変形例1に係る生理用タンポン10Aの平面図である。変形例1に係る生理用タンポン10Aの掛かり部21は、ハート形状のビーズ21aによって構成されている。紐状部材12の長さは、140mmであり、吸収体11から掛かり部21の中心までの紐状部材12の長さL1は、65mmであり、紐状部材12の紐末端12dから掛かり部21の中心までの長さL2は75mmである。掛かり部21の長手方向Lの長さは、8.7mmであり、長手方向Lと直交する幅方向Wの長さは、8.4mmであり、その厚みは、3.8mmである。掛かり部21をハート型等、絵柄をモチーフとした形状にすることにより、医療用具的なタンポンを掛かり部によって可愛らしく装飾することができる。よって、使用者の生理の憂鬱な気分を和らげることができ、次回の使用意欲を向上させることができる。
【0040】
また、掛かり部に色を付すことにより、装飾効果を更に高めることができる。掛かり部に付す色は、特に限定されないが、例えば、ハート形の掛かり部には赤やピンク色等、掛かり部の形状に合った色を付すことにより、より装飾効果を高めることができる。更に、掛かり部を着色することにより、掛かり部を目立たせることができ、特にトイレ等の薄暗い場所での取り扱いが容易になる。
【0041】
ハート形状の掛かり部は、変形例1のように、ハート形状の上側が吸収体11側に配置されていることが望ましい。このような配置によれは、吸収体から離間する方向に紐状部材を引っ張る際に、指が引っ掛かり易くなる。
【0042】
図4(b)は、変形例2に係る生理用タンポン10Bの平面図である。変形例2に係る生理用タンポン10Bの掛かり部22は、球体形状のビーズ22a、22bによって構成されている。ビーズ22a、22bは、紐状部材12の長手方向Lに沿って一定間隔を空けて複数配置されている。
【0043】
複数のビーズ22a、22bを設けることにより、例えば、1個のビーズを把持した状態で指が滑っても、他のビーズに指をかけることができる。また、複数のビーズ22a、22bを把持できるようにビーズを配置する(ビーズの間隔を指の腹の幅より短くする)ことにより、複数のビーズと指と同時に接するため、更に滑り難くすることができる。更に、複数のビーズを設けることにより、使用者は、自分が持ちやすい部分を把持して吸収体を引き抜くことができ、操作性を向上させることができる。
【0044】
図4(c)は、変形例3に係る生理用タンポン10Cの平面図である。変形例3に係る生理用タンポン10Cの掛かり部23は、ハート形状のビーズ23aと半球形状のビーズ23bとによって構成されている。このように、複数の異なるビーズを並べて掛かり部を構成してもよい。
【0045】
(第2の実施形態)
次いで、図5に基づいて第2の実施形態に係る生理用タンポンについて説明する。第2の実施形態に係る生理用タンポン10Dは、紐状部材12の結び目24a、24b、24cによって掛かり部24が構成されている。掛かり部24を構成する結び目の直径は、2mmである。
【0046】
複数の結び目24a、24b、24cによって掛かり部24を構成することにより、紐状部材を把持する指が滑った場合であっても、併設された結び目24a、24b、24cに指等が引っ掛かるため、紐状部材を把持した状態を維持することができる。また、紐状部材自体によって掛かり部24を構成することができるため、ビーズ等が不要になり、部品点数を減らし、製造工程を簡略化することができる。
【0047】
なお、結び目からなる掛かり部は、上述の実施形態に係る構成に限られず、種々の構成を採用することができる。次いで、変形例に係る掛かり部について、図6に基づいて説明する。なお、以下の変形例の説明において、第2の実施形態と同様の構成については、説明を省略する。図6は、変形例4に係る生理用タンポン10Eを有するアプリケータ式タンポン1Eを示している。
【0048】
変形例4に係るアプリケータ式タンポン1Eは、掛かり部25が設けられた生理用タンポン10Eを収容している。掛かり部25は、紐状部材12の1個の結び目25aによって構成されている。結び目25aは、吸収体11が外筒2に収容された状態で、内筒3の内側に配置されている。また、吸収体11の末端11bから掛かり部25の吸収体側の端部までの長さL3は、紐状部材12の長さL6の半分以下である。
【0049】
このように吸収体11が外筒2に収容された状態において、内筒3の内側に掛かり部25が配置されていることにより、外筒2から吸収体11が押し出される際に内筒3と掛かり部25とが引っ掛かることが抑制され、吸収体11を円滑に押し出すことが可能となる。また、吸収体11の末端11bから掛かり部25の吸収体側の端部までの長さL3は、紐状部材12の長さL6の半分以下であり、吸収体11が膣内に配置された状態において、膣口の近傍に掛かり部が配置されるため、引き抜く際の支点となる指と吸収体とを近くに配置することができる。よって、吸収体11が膣内から引き抜けた際の勢いを抑制し、吸収体11が紐状部材12を把持する指の近傍まで飛ぶことを防止することができる。使用後の吸収体が下着や便器に接したり、下着等が汚れたりすることを防止することができる。
【0050】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0051】
例えば、生理用タンポンは、タンポン用アプリケータ内に収容されており、タンポン用アプリケータを用いて膣内に挿入されるものであってもよいし、タンポン用アプリケータに収容されてなく、使用者の指によって膣内に挿入されるものであってもよい。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
実施例1として、実施例と比較例を挙げて、本発明の掛かり部の引張り抵抗値を測定した。なお、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0053】
掛かり部を有しない紐状部材と、掛かり部を有する実施例1〜実施例14に係る紐状部材とを用いて、指で把持して紐状部材を引っ張り、指が滑らない状態を維持できる抵抗値を調べた。
【0054】
(抵抗値の測定方法)
本実施の形態に係る紐状部材を二つ折りにして、折り曲げた部分から70mmの部分に掛かり部の端部が位置するように、掛かり部を配置する。SHIPO社製の型式FGP−5のデジタルフォースゲージの先端にフックを取り付け、このフックに紐状部材の折り曲げ部を引っ掛ける。折り曲げた部分から50mmの部分を把持し、フックから離れる方向に引っ張り、手が滑って、手から紐状部材12が抜けた際の荷重を抵抗値とした。モニター数は、5人である。実施例及び比較例毎に、5人のモニターによって抵抗値を測定した。
【0055】
実施例1から実施例5に係る掛かり部は、1個の結び目又はビーズによって構成されている。実施例1に係る掛かり部は、結び目によって構成されている。実施例2に係る掛かり部は、ビーズによって構成されている。実施例3に係る掛かり部は、実施例2に係る掛かり部よりも大きいビーズによって構成されている。実施例4に係る掛かり部は、変形例1に係るハート型のビーズによって構成されている。掛かり部は、ハート形状の上側が折り曲げ部に向くように配置されている。実施例5に係る掛かり部は、変形例1に係るハート形状のビーズによって構成されている。掛かり部は、ハート形状の下側が折り曲げ部に向くように配置されている。
【0056】
実施例6に係る掛かり部は、接着剤によって構成されている。実施例7及び実施例8に係る掛かり部は、1個の結び目と1個のビーズとの組合わせによって構成されている。掛かり部側に結び目が配置され、結び目に隣接してビーズが配置されている。結び目の中心とビーズの中心との距離は、30mmである。実施例7に係る掛かり部のビーズは、ハート形状であり、実施例8に係る掛かり部のビーズは、球体形状である。
【0057】
実施例9から実施例11に係る掛かり部は、3個の結び目によって構成されており、各掛かり部は、結び目の間隔が異なっている。実施例9に係る掛かり部は、隣接する結び目の中心間の距離が5mmである。実施例10に係る掛かり部は、隣接する結び目の中心間の距離が10mmである。実施例11に係る掛かり部は、隣接する結び目の中心間の距離が15mmである。
【0058】
実施例12から実施例14に係る掛かり部は、3個の球体形状のビーズによって構成されており、各掛かり部は、ビーズの間隔が異なっている。実施例12に係る掛かり部は、隣接するビーズの中心間の距離が5mmである。実施例13に係る掛かり部は、隣接するビーズの中心間の距離が10mmである。実施例14に係る掛かり部は、隣接するビーズの中心間の距離が15mmである。
【0059】
(測定結果)
測定結果を表1に示す。
【0060】
なお、実施例6については、モニター3に関し、測定結果を得ることができず、それ以外の実施例については、全てのモニターの測定結果を得ることができた。
【表1】

【0061】
実施例1から実施例9及び実施例12から実施例14に係る紐状部材は、比較例に係る紐状部材と比べて、5人のモニター全員の抵抗値が高くなっており、紐状部材を把持する指が滑りにくくなっていることがわかった。一方、実施例10及び実施例11に係る紐状部材は、5人中2人のモニターの抵抗値が比較例よりも高くなっているが、3人のモニターは、比較例よりも低くなっている。実施例10及び実施例11に係る紐状部材は、複数の結び目が形成されており、結び目の間隔が10mm以上である。結び目同士の間隔が10mm以上であると、モニターによっては複数の結び目を同時に把持することができず、抵抗値が低くなっていると考えられる。しかし、実施例9に係る紐状部材のように、結び目同士の間隔が5mmであると、複数の結び目を同時に把持することができ、抵抗値が高くなっていると考えられる。よって、複数の結び目によって掛かり部を構成する場合には、一度に複数の結び目を把持できるように結び目を配置することが望ましい。
【0062】
(実施例2)
実施例2として、タンポン用アプリケータを用いて、本発明に係る生理用タンポンを挿入し、生理用タンポンの膣内における位置を測定した。
【0063】
(測定条件)
生理用タンポンは、吸収体の長手方向の長さが45mmであり、紐状部材の長手方向の長さが140mmである。本実施の形態に係るタンポン用アプリケータを用いて、生理用タンポンを膣内に挿入し、膣口から延出した紐状部材の長さL11、及び膣内に配置された紐状部材の長さL12、及び吸収体の先端から膣口までの長さL13を測定した。モニターは、8人である。
【0064】
(測定結果)
測定結果を表2に示す。
【表2】

【0065】
上記測定結果から、膣内に配置される生理用タンポンの長さ(吸収体の先端から膣口までの長さ)は、65mm〜90mmである。よって、掛かり部は、吸収体の先端から90mm以上離間した位置に設けることが望ましい。また、吸収体の長手方向における長さは、吸収性能に応じて異なり、一般的な長さは、30mm〜70mmである。すなわち、紐状部材の紐先端から膣口までの長さは、吸収体の長さに応じて異なる。よって、掛かり部の位置は吸収体の長さに応じて調整することが望ましい。
【0066】
また、吸収体が膣内に配置された状態で掛かり部と膣口とが近すぎると、掛かり部を掴み難くなることがある。一般的に掛かり部を把持するときは、少なくとも2本の指によって掛かり部及び紐状部材を把持する。よって、掛かり部と膣口とは、少なくとも指を配置できる距離分離間させることが望ましい。一方、掛かり部と膣口とが離れすぎると、支点となる指と吸収体とが離間するため、好ましくない。このような観点から、掛かり部と膣口との距離は、30mm以下が望ましい。したがって、紐先端から掛かり部までの長さは、50mm〜75mmの範囲であることが望ましい。
【0067】
紐先端から掛かり部までの長さが50mm〜75mmの範囲である場合には、吸収体の末端から掛かり部の吸収体側の端部までの長さは、吸収体の末端から延出する紐状部材の長さの半分程度となる。例えば、紐状部材の長手方向における中心よりも吸収体側に掛かり部を配置することにより、指で掛かり部を把持した状態で掛かり部よりも末端側の紐を掌等で握ることができ、紐状部材を複数箇所でしっかり把持して引っ張ることが可能となる。また、吸収体が膣内に配置された状態で身体から延出する紐状部材の長さが短すぎると、体毛内に紐状部材が埋もれてしまい、紐状部材を掴み難くなることがある。一方、吸収体が膣内に配置された状態で身体から延出する紐状部材の長さが長すぎると、紐状部材が下着からはみ出してしまうおそれがある。このような観点から、紐状部材の長さは、80mm〜200mm程度が好ましく、より好ましい長さは、100mm〜160mm程度である。
【符号の説明】
【0068】
1、1E…アプリケータ式タンポン、 2…外筒、 3…内筒、 4…挿入開口 7…把持筒部、 8…押し出し開口、 8a…花弁体、 9…外筒本体、 10、10A、10B、10C、10D、10E…生理用タンポン、 11…吸収体、11a…先端、 11b…末端、 12…紐状部材、 12c…紐先端、 12d…紐末端、 12e…外周面、 20、21、22、23、24…掛かり部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体と、膣内への挿入方向における前記吸収体の末端から延出する紐状部材とを有する生理用タンポンであって、
前記紐状部材には、前記紐状部材と別の部材によって構成され、且つ前記紐状部材の外周面よりも外側に膨れる掛かり部が設けられている、生理用タンポン。
【請求項2】
前記吸収体の前記末端から前記掛かり部の前記吸収体側の端部までの長さは、前記吸収体の前記末端から延出する前記紐状部材の長さの半分以下である、請求項1に記載の生理用タンポン。
【請求項3】
前記掛かり部は、前記紐状部材の長手方向に沿って一定間隔を空けて複数配置されている請求項1又は請求項2に記載の生理用タンポン。
【請求項4】
吸収体と、膣内への挿入方向における前記吸収体の末端から延出する紐状部材とを有する生理用タンポンであって、
前記紐状部材には、前記紐状部材の複数の結び目からなる掛かり部が設けられている、生理用タンポン。
【請求項5】
上記請求項1から請求項4のいずれかに記載の生理用タンポンが収容される外筒と、前記外筒内に挿入可能に構成された内筒とを備えるアプリケータ式タンポンであって、
前記外筒は、一側に該吸収体が押し出される押し出し開口が設けられ、かつ他側に前記内筒が挿入される挿入開口が設けられており、
前記内筒は、前記外筒内への移動により前記吸収体を前記押し出し開口から外方へ押し出すことが可能に構成された、アプリケータ式タンポン。
【請求項6】
前記掛かり部は、前記吸収体が前記外筒に収容された状態で前記内筒の内側に配置される、請求項5に記載のアプリケータ式タンポン。
【請求項7】
前記外筒の前記挿入開口の周囲には、着用者が使用時に把持する把持筒部が形成されており、
前記吸収体の前記末端から前記掛かり部の前記吸収体側の端部までの長さは、前記把持筒部の前記押し出し開口側の端部から前記押し出し開口までの長さよりも長い、請求項5又は請求項6に記載のアプリケータ式タンポン。
【請求項8】
前記吸収体の前記末端から前記掛かり部の前記吸収体側の端部までの長さは、前記外筒の長さよりも長い、請求項5又は請求項6に記載のアプリケータ式タンポン。
【請求項9】
吸収体と膣内への挿入方向における前記吸収体の末端から延出する紐状部材とが収容される外筒と、前記外筒内に挿入可能に構成された内筒とを備え、
前記外筒は、一側に該吸収体が押し出される押し出し開口が設けられ、かつ他側に前記内筒が挿入される挿入開口が設けられており、
前記内筒は、前記外筒内への移動により前記吸収体を前記押し出し開口から外方へ押し出すことが可能に構成されるアプリケータ式タンポンであって、
前記紐状部材には、前記紐状部材の結び目からなる掛かり部が設けられており、
前記掛かり部は、前記吸収体が前記外筒に収容された状態で前記内筒の内側に配置される、アプリケータ式タンポン。
【請求項10】
吸収体と、膣内への挿入方向における前記吸収体の末端から延出する紐状部材とを有する生理用タンポンであって、
前記紐状部材には、前記紐状部材の結び目からなる掛かり部が設けられおり、
前記吸収体の前記末端から前記掛かり部の前記吸収体側の端部までの長さは、前記吸収体の前記末端から延出する前記紐状部材の長さの半分以下である、生理用タンポン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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