生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置、処理方法、処理プログラム及びこれを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体並びに生理的報酬獲得行動抑制画像データを記録した記録媒体
【課題】生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法を職場や家庭等の一般社会環境で手軽に行うことができる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置を提供する。
【解決手段】 画像処理装置100Aは、主画像データ生成部110により生成された主画像データに、副画像データ記憶部150により記憶している副画像データを読み出して画像データ合成部160により順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成し、画像形成部170により画像形成する。副画像データは生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなり、生理的報酬獲得行動抑制画像は、主画像中に、初めに単一又は複数の生理的報酬獲得行動惹起画像が出現し、次いで複数の生理的報酬獲得行動再現画像が実際の生理的報酬獲得行動における出現順序に従って出現するように合成される。
【解決手段】 画像処理装置100Aは、主画像データ生成部110により生成された主画像データに、副画像データ記憶部150により記憶している副画像データを読み出して画像データ合成部160により順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成し、画像形成部170により画像形成する。副画像データは生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなり、生理的報酬獲得行動抑制画像は、主画像中に、初めに単一又は複数の生理的報酬獲得行動惹起画像が出現し、次いで複数の生理的報酬獲得行動再現画像が実際の生理的報酬獲得行動における出現順序に従って出現するように合成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置に関する。詳しくは、生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法を職場や家庭等の一般社会環境で手軽に行うことができる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イワン・ペトローヴィチ・パヴロフ(Ivan Petrovich Pavlov)の条件反射学説によれば、動物の神経活動(唾液線や内臓等の動きを司る自律神経の働きだけでなく、知覚、気分、動作、思考等に関係する全ての神経活動)は、生体内外の環境からの刺激に対する反射であるとされる。パヴロフは、反射を、生来的で無意識的な無条件反射、学習による無意識的な第一信号系条件反射及び学習による意識的な第二信号系条件反射の3つに分け、このうち無意識的な反射の一部は、反射の反応が次の反射の刺激となって連鎖的に作動して一連の行動を成立させるものであり、また、意識的な反射はヒトのみが持ち、言葉が信号となる思考であるとした。この思考の機能は評価、予測、目標設定、計画、決断等であり、思考も一連の行動を成立させるものである。即ち、ヒトの行動の全ては生体内外の環境からの刺激に対する反射として生じた神経活動によるものであり、何らかの刺激に大脳が曝露されると、無条件反射、第一信号系条件反射、第二信号系条件反射が働き、これらが相当な程度に独立して作動し、また、影響し合うところもあり、行動が選択され、実行される。
【0003】
かかるパヴロフの条件反射説学説に従えば、嗜癖行動や過食、心的外傷後ストレス障害(PTSD)で生じる恐怖や幻視の再現を伴うパニック、性的逸脱行動等のメカニズムは、次のように理解するべきである。
【0004】
即ち、理性的な思考に反して生じる物質反復摂取や病的賭博などの嗜癖や過食は、依存性物質(例えば、覚せい剤、ニコチン、アルコール等)の薬理作用、ギャンブルにおける利益獲得により引き起こされる神経活動、栄養の充足等により生じる生理的報酬の獲得を、過度にヒトが反復したために第一信号系内にその行動をつかさどる条件反射の連鎖が成立し、刺激として成立した信号に曝露されると反射の連鎖が作動して生じる。また、環境には生理的報酬と関連づけられた事物が多々あるので、第一信号系内に反射の連鎖は複数存在し、従って複数の起点があり、生理的報酬の獲得に向かうに連れて、枝が幹に収束するように複数の連鎖が合わさり、生理的報酬の獲得直前では、例えば覚せい剤摂取動作を司る一本の反射の連鎖に収束する。従って、生理的報酬に関連する正の刺激に曝露された場合に、第一信号系条件反射の連鎖が作動しようとするが、この再現を、第二信号系条件反射、つまり思考が周囲の状況から不適切と判断すれば中止しようと働く。この時、第一信号系条件反射の連鎖の作動性が第二信号系条件反射(思考)より優勢であれば、依存と呼ばれる病態を示すことになる。つまり、第二信号系条件反射(思考)は生理的報酬の獲得行動を止めようと働くが、第一信号系条件反射の連鎖の作動性が優勢であるために止められないのである。生理的報酬獲得行動を中止しようと第二信号系条件反射(思考)が作動すれば、この2つの系の間に摩擦が生じ、ヒトはこれを焦燥、苦悩、恐慌として感じ、これを覚せい剤への欲求或いは渇望であると解釈する。焦燥、苦悩、恐慌は、当初急激に生じ、その後も、生理的報酬獲得行動を中止するために第二信号系条件反射(思考)が作動しつづければ、焦燥、苦悩、恐慌は、浮動的に継続する。第二信号系条件反射(思考)が抵抗することに疲弊したときに、第一信号系条件反射が優勢になり、行動を支配することになる。
【0005】
また、PTSDに生じる恐怖や幻視の再現を伴うパニック等は、それらの症状をもつヒトは、例えば殺されそうになった体験を生き延びたのであり、この場合、防御をかなりの程度に完結したので生理的報酬が生じ、また、2度目からの同様の体験においても生き延びることが生物種の保存のためには必要であり、従って、防御に成功した際の生理的報酬は強力であり、1度の防御体験における生理的報酬により、その体験前及び体験中の神経活動は第一信号系条件反射として定着し、その体験前及び体験中に受けた信号或いは類似した信号にそのヒトが曝露されれば、第一信号系条件反射が作動してその信号後の神経活動が生じるので、その体験時の視覚や恐怖感、自律神経の変調が生じることになる。
【0006】
さらに、性器の露出や痴漢、強姦等の性的逸脱行為は、本来は生理的報酬が終末にある性行為の部分的再現或いは完全再現であり、これらは、性行為の対象の意思を無視し、また処罰を受ける危険性を犯して行う非理性的な行為であることから、それらを行ってはならないという理性的な思考を一時もっても、現実社会の中の信号を刺激として、性行為による生理的報酬を獲得する無条件反射が活発に作動し、欲求が生じ、生じるものである。また、同時に、性的逸脱行為の対象は現実社会の中において学習に基づき異性であると認識したヒト或いは年少者であると認識したヒト等であり、この認識には学習によって成立した第一信号系条件反射が関与し、また、環境からの信号に対する第一信号系条件反射を含めた反射の総和が、その後の性的行動を司る無条件反射の連鎖の作動につながるのである。これらのことから、性的逸脱行動の促進には無条件反射と第一信号系条件反射の両方の無意識の反射が関与し、これらの無意識の反射の作動性が第二信号系条件反射(思考)より優勢になったときに、性的逸脱行動が生じることになる。
【0007】
そこで、先に本発明者は、かかる嗜癖行動や過食、心的外傷後ストレス障害(PTSD)で生じる恐怖や幻視の再現を伴うパニック、性的逸脱行動等のメカニズムに基づいて、上記の生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の過作動の治療法として条件反射抑制療法を提案した(例えば、非特許文献1参照)。かかる条件反射抑制療法は、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性自体が抑制された状態にすること(第1のメニュー)、及び仮にその作動が始まってもそれを抑制するものをもつ状態にすること(第2のメニュー)の2つを基本とする治療プログラムである。
【0008】
即ち、第1のメニューは、無意識的な反射の作動性自体の抑制に関するものであり、生理的報酬を獲得するために学習して成立した定型的な行動、例えば覚せい剤を摂取するための連続した動作を能動的動作の最終のものまでを真似してその動作をつかさどる反射の連鎖を作動させ、しかし、生理的報酬は与えないことを反復するものである。生理的報酬を獲得するための定型的な行動は、生物種を保存するものとして作動していたが、その行動を行っても後に生理的報酬がないことが反復されると、その行動は生物種を保存するものにならないので、その定型的な行動を保持する脳内の働きはなくなり、むしろ必要のない行動であるので、その定型的な行動をつかさどる無意識的な反射の連鎖の作動性は抑制をうける。これにより、生理的報酬を獲得するための定型的な行動をつかさどる反射の作動性が抑制されるだけでなく、連鎖上の反射弓間には結合があるために、反射の連鎖は起点からすべて種々の程度で抑制を受ける。したがって、樹木の形状のように想定される条件反射の複数の連鎖の全てにおいて、いずれの起点或いは途中の反射弓が関連刺激に曝露されても、条件反射の連鎖は作動しがたくなり、生理的報酬への欲求は生じ難くなる。具体的には、例えば覚せい剤依存症の場合、覚せい剤の疑似摂取の連続した動作として、家族との口論を再現し、「頭にきたなあ」のように焦燥を表現する言葉を発し、売人との携帯電話での交渉を再現し、受け渡し場所への移動や状況を言葉で表し、覚せい剤の受け渡しの際に交わす言葉を再現し、小さいビニール袋に入れた疑似覚せい剤としての粉砕したカルキ抜きと針のついていない注射筒を渡され、近くのコンビニエンスストアで水を購入しトイレに入ることを想像して、疑似覚せい剤を用いて水溶液を作り、実際には注射をしないが、条件反射抑制療法用に作製した特殊キットに持ち替えて静脈注射の真似をして、疑似血液の逆流を注射筒内に視認することなどを患者に行わせる。短時間で簡単に疑似摂取を再現する場合は、疑似覚せい剤と器具を使用して、摂取の準備と注射の真似をさせる。最も強力に第一信号系条件反射の連鎖を抑制する作業は、想像摂取と呼ぶ次の方法である。まずは、治療者の指示に従って、患者は閉眼し、例えば、覚せい剤を使用した日の起床時から覚せい剤の摂取までの行動及び周囲の様子を一つ一つ想起して言葉に出す。この作業中に、映像が明確に浮かんでくる者は少なくない。つまり、脳の神経細胞が動作は伴わないがかなり現実に近い形で活動するのである。しかし、神経活動の終末に生理的報酬はない。後にはこの想像摂取を、単独で、言葉に出さず、反復する。
【0009】
第2のメニューは、負の刺激の設定と利用に関するものであり、任意の信号(拳を握り開いて額を触るなどの意識的に行う特殊で簡単な動作でよい)を準備し、絶対に生理的報酬獲得行動ができない状況下で、この信号に自らを曝露しながら、例えば「覚せい剤は、今、やれないんだ」のように思い、事実を確認するとともに、多様な状況でこれを反復するものである。入院中なら、ベッド上、或いは、テラス、ホール、トイレ、浴場、洗面所等で、しっかり開眼して目前の物体或いは広がる光景を視認して行う。この作業により、任意の信号は、無意識的な反射の系内に生理的報酬獲得行動をしない時間を開始する信号として成立する。仮に、社会内に帰った後に、生理的報酬獲得行動をつかさどる無意識的な反射の連鎖の作動が始まり、欲求が生じたとしよう。この時、直接、第二信号系条件反射(思考)が無意識的な反射に勝つことは困難である。しかし、間接的には、第二信号系条件反射(思考)がまずは負の刺激の動作を行うと、これが直接的に無意識的な反射の系内において生理的報酬獲得行動をしない時間を開始する信号として作動して効果を現し、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の作動は中断される。これにより、生理的報酬獲得行動をしないという第二信号系条件反射(思考)と無意識的な反射の作動に摩擦がなくなり、生理的報酬への欲求は数秒で消滅するようになる。
【0010】
かかる条件反射抑制療法による治療プログラムは、嗜癖行動や過食、性的逸脱行動の治療においては強烈な渇望を生じさせることがあり、容易に生理的報酬が入手できる環境では実際の行為の再現に結びつく可能性が高いため、少なくとも最初は閉鎖病棟又は刑務所等、社会から隔離された環境で行われることが好ましく、覚せい剤依存症患者の場合、通常10〜12週で、上記第1及び第2のメニューを単独でまたは組み合わせて1000回を越えて行われる。また、PTSDに生じる恐怖や幻視の再現を伴うパニック等の治療においては、刺激により強い不安を生じさせることがあるので、刺激後は、患者が慣れ親しんだ安全な環境で過ごすことが良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−95424号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】平井愼二、「覚せい剤反復接取に対する条件反射抑制療法」、精神科、2008年、13(1)、p.1−13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
条件反射抑制療法では、上記治療プログラムにより、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射連鎖の作動性が抑制され、嗜癖行動や過食、PTSDに生じるパニック、性的逸脱行動等は一時的に治癒又は改善するが、条件反射は過去の設定に戻る性質をもつため、この抑制された状態を放置すると、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射連鎖の作動性が回復し、欲求が再燃する可能性がある。従って、条件反射抑制療法では、患者の社会復帰後の上記治療プログラムによる継続療法が極めて重要であり、かかる作動性の回復を避け、抑制された状態を維持するために、上記第1及び第2のメニューを毎日、少なくとも数回ずつ行うことが肝要である。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法を職場や家庭等の一般社会環境で手軽に行うことができる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、重度の嗜癖、過食、性的逸脱等に罹患した者に対する隔離環境下での治療後の継続療法、又はPTSDに対する当初の激しい反応が治まった後の継続療法を簡便かつ確実に行うことができる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置を提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、軽度の嗜癖や過食に罹患した者に対する隔離環境によらない簡易療法を簡便かつ確実に行うことができる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0018】
(1)即ち、本発明は、生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段を有することを特徴とする、生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0019】
(2)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、初めに単一又は複数の前記第1の副画像が前記主画像中に出現し、次いで複数の前記第2の副画像が実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像中に出現するように、前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(1)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0020】
(3)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が連続的に又は規則的な若しくは不規則な間隔で間欠的に前記主画像中に出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0021】
(4)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が前記主画像の一部又は全部に重なって出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(1)乃至(3)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0022】
(5)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、複数の前記副画像が前記主画像中の複数個所に同時に出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(4)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0023】
(6)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が前記主画像中に所定の透過度で出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(4)又は(5)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0024】
(7)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記主画像に対する前記副画像の出現位置が一定となるように又は規則的に若しくは不規則に変化するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(1)乃至(6)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0025】
(8)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記主画像に対する前記副画像の大きさが一定となるように又は規則的に若しくは不規則に変化するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(1)乃至(7)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0026】
(9)本発明はまた、前記主画像データの生成、撮像、記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、又は他の装置からの受信を行う手段を更に有する、(1)乃至(8)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0027】
(10)本発明はまた、前記副画像データの記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、又は他の装置からの受信を行う手段を更に有する、(1)乃至(9)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0028】
(11)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段により生成した生理的報酬獲得行動抑制画像データの画像形成、他の装置への送信、又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体への書き込みを行う手段を更に有する、(1)乃至(10)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0029】
(12)本発明はまた、前記副画像は、静止画像又は動画像である、(1)乃至(11)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0030】
(13)本発明はまた、前記副画像は、音を伴うものである、(1)乃至(12)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0031】
(14)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動は、依存性物質摂取、賭博、摂食、性行動又はPTSDの症状である過去の危険回避行動に基づく反応である、(1)乃至(13)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0032】
(15)また、本発明は、生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップを有することを特徴とする、生理的報酬獲得行動抑制画像処理方法である。
【0033】
(16)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップは、初めに単一又は複数の前記第1の副画像データを前記主画像データに合成し、次いで複数の前記第2の副画像データを、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像データに合成することを特徴とする、(15)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理方法である。
【0034】
(17)更に、本発明は、生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする、生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラムである。
【0035】
(18)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップは、初めに単一又は複数の前記第1の副画像データを前記主画像データに合成し、次いで複数の前記第2の副画像データを、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像データに合成することを特徴とする、(17)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラムである。
【0036】
(19)更にまた、本発明は、(17)又は(18)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0037】
(20)更にまた、本発明は、生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが主画像中に順次出現するように構成された生理的報酬獲得行動抑制画像データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0038】
(21)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データは、初めに単一又は複数の前記生理的報酬獲得行動惹起画像が前記主画像中に出現し、次いで複数の前記生理的報酬獲得行動再現画像が、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像中に出現するように構成されたことを特徴とする、(20)に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0039】
本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置によれば、生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成するので、得られた合成画像データを画像形成することにより、主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像を表示することができる。
【0040】
これにより、ユーザ(嗜癖者等)は、本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置で他の作業(例えば、パソコンによるアプリケーションソフトウエアの実行や家庭用・携帯用ゲーム機によるゲームソフトウエアのプレイ、DVDプレーヤによる映画の鑑賞やテレビ受像機によるテレビ番組の視聴等)をしながら、意図せずして主画像中に順次出現する生理的報酬獲得行動惹起画像副画像と生理的報酬獲得行動再現画像を視聴することになり、結果として、当該生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖が作動しつつ生理的報酬は得られない状況に置かれることになる。
【0041】
従って、ユーザは、本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置で所期の目的の作業を行いながら、同時に、生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法のうち生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性を抑制する治療プログラム(第1のメニュー)を職場や家庭等の一般社会環境で手軽に且つ確実に行うことが可能となるので、重度の、過食、PTSD、性的逸脱等に対する隔離環境下での治療後の継続療法や、軽度の嗜癖、過食等に対する隔離環境によらない簡易療法を簡便且つ効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Aの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動抑制画像の合成処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態における画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動惹起画像表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態における主画像の一例を示す図である。
【図5】本実施形態における生理的報酬獲得行動惹起画像の一例を示す図である。
【図6】本実施形態の生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理において合成された生理的報酬獲得行動抑制画像の一例を示す図である。
【図7】本実施形態における画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動再現画像の表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。
【図9】本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。
【図10】本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。
【図11】本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。
【図12】本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。
【図13】本実施形態の生理的報酬獲得行動再現画像の合成処理において合成された生理的報酬獲得行動抑制画像の一例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Bの構成を示すブロック図ある。
【図15】本発明の第3の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Cの構成を示すブロック図である。
【図16】(a)は、本発明の第4の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Dを含む生理的報酬獲得行動抑制画像処理システム200Aの構成を示すブロック図であり、(b)は、画像処理装置100Dの構成を示すブロック図である。
【図17】(a)は、本発明の第5の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Eを含む生理的報酬獲得行動抑制画像処理システム200Bの構成を示すブロック図であり、(b)は、画像処理装置100Eの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の各実施形態の装置又はシステムにおいて、同一の名称及び符号を付した構成要素は同様の機能を有するものであり、説明の重複を避けるため初回のみその説明を行い、2回目以降はその説明を省略する。
【0044】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Aの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態にかかる画像処理装置100Aは、主画像データ生成部110、副画像データ記憶部140、画像データ合成部150及び画像形成部160の各機能部を備えている。
【0045】
主画像データ生成部110は、主画像データを生成する機能部である。主画像データとは、本発明にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理とは別に、画像処理装置100Aが本来主目的として行う画像処理にかかる画像データをいう。主画像データは、静止画像データ又は動画像データの何れであってもよく、また音(音声、音楽、音響等)を伴うものであっても構わない。
【0046】
副画像データ記憶部140は、副画像データの記憶及び読み出しを行う機能部である。副画像データとは、生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成するために主画像データに合成する特定の画像データをいい、生理的報酬獲得行動惹起画像データと生理的報酬獲得行動再現画像データとから構成される。ここで、生理的報酬獲得行動とは、生理的報酬を獲得するために生体がとる一連の行動をいう。即ち、生理的報酬とは、本来は生物種の進化を支える基本的な行動である防御、摂食、生殖を完結した際に脳内に生じる作用であり、その効果は、生理的報酬が生じると、その前に展開された刺激と反応からなる神経活動が定着し、後に、同じ刺激に曝露された場合、同じ反応、つまり、同じ神経活動を再現しやすくするものである。このために、生理的報酬が終末にある行動を生体が体験することにより無意識の反射の系内にその行動をつかさどる反射の連鎖が成長する方向に進み、後に、刺激として成立した信号に曝露されると無意識な反射の連鎖が作動して、生理的報酬を獲得する行動が生じることとなる。かかる生理的報酬獲得行動の具体例(括弧内はその生理的報酬)としては、喫煙(ニコチンの薬理作用)、飲酒(アルコールの薬理作用)、その他の依存性物質摂取(アンフェタミン、メタンフェタミン、MDMA、コカイン、アヘン類、大麻、PCP、メサドン、抗うつ薬、抗不安薬、抗躁薬、中枢神経刺激薬、睡眠導入剤、鎮静催眠薬、抗ヒスタミン薬、総合感冒薬、鎮咳剤、麻酔薬、鎮痛剤、幻覚剤、禁煙補助剤、有機溶剤、有機燃料等の依存性物質の薬理作用)、賭博(太古の狩猟或いは採取による食物獲得完遂と類似の神経活動による報酬系への作用)、摂食(栄養の充足による報酬系への作用)、性行動(性行動の完了による報酬系への作用)、PTSDの症状である過去の危険回避行動に基づく反応(防御成功による報酬系への作用)等が挙げられる。また、生理的報酬獲得行動惹起画像とは、生理的報酬獲得行動の端緒となる場面、行為又は物であって無意識的な反射の連鎖を作動させてユーザ(嗜癖者等)に生理的報酬獲得行動を惹起させるものの画像であり、生理的報酬獲得行動再現画像とは、生理的報酬を獲得するまでに嗜癖者等が通常行う一連の行為又は遭遇する一連の場面を再現した画像である。更に、生理的報酬獲得行動抑制画像とは、主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像や生理的報酬獲得行動再現画像が出現するように構成された画像である。
【0047】
なお、副画像データ記憶部140に記憶される生理的報酬獲得行動惹起画像データは1つのみであってもよいが、種類や状況の異なる2つ以上の生理的報酬獲得行動惹起画像データが記憶され、それらがランダムに選択されるように構成されることが好ましい。同様に、副画像データ記憶部140に記憶される生理的報酬獲得行動再現画像データは1つのみであってもよいが、後述するように、2つ以上の生理的報酬獲得行動再現画像データであって一連の生理的報酬獲得行動のうちの互いに異なる場面等に係るものが記憶され、それらが実際の生理的報酬獲得行動における出現順序に従って主画像中に出現するように構成されることが好ましい。なお、副画像データは、静止画像データ又は動画像データの何れであってもあってもよく、また音(音声、音楽、音響等)を伴うものであっても構わない(特に、当該生理的報酬獲得行動抑制画像に対応する実際の生理的報酬獲得行動で嗜癖者等が聴取する音を伴うものが好ましい)。
【0048】
画像データ合成部150は、副画像データを主画像データに順次合成して、生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する機能部である。副画像データは、主画像中に副画像が任意の順序で出現するように合成されてもよいが、主画像中に、初めに単一又は複数の生理的報酬獲得行動惹起画像が出現し、次いで複数の生理的報酬獲得行動再現画像が実際の生理的報酬獲得行動における出現順序に従って出現するように合成されることが好ましい。但し、必ずしも記憶しているすべての生理的報酬獲得行動再現画像を出現させる必要はなく、前記出現順序のうちのいくつかの画像が出現しないようにしてもよいし、前記出現順序の途中の画像からのみ出現するようにしても構わない。
【0049】
また、副画像データを主画像データに合成する際には、主画像中に副画像が連続的に(常に)出現するように合成してもよいし、規則的な間隔又は不規則な間隔で間欠的に出現するように合成してもよい。また、副画像が主画像の全部と重なるように合成してもよいし、主画像の一部のみに重なるように合成してもよく、又は主画像と全く重ならないように合成しても構わない。前二者の場合、副画像が背後の主画像に対して所定の透過度を有するように(例えば副画像の背後に主画像が透けて見えるように)合成してもよいし、また、主画像中に複数の副画像が同時に複数個所に出現するように合成してもよい。更にまた、主画像に対する副画像の出現位置や大きさは一定であってもよいし、規則的又は不規則に変化するものであってもよい。
【0050】
画像形成部160は、合成した生理的報酬獲得行動抑制画像データを画像形成して生理的報酬獲得行動抑制画像を表示する機能部である。
【0051】
本実施形態にかかる画像処理装置100Aは、典型的には、パソコン、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、デジタルメディアプレーヤ、携帯用ゲーム機等であり、上記構成により、例えばパソコン等の場合、実行中のアプリケーションソフトウエア等により生成される主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して画像形成するので、当該パソコンのディスプレイには、アプリケーションソフトウエア等により出力される主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)が表示される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、当該パソコンでインターネットを閲覧したり、ワープロや表計算ソフトウエア等で作業をしたりしながら、意図せずして主画像中に順次出現する生理的報酬獲得行動惹起画像副画像と生理的報酬獲得行動再現画像を視聴することになり、結果として、当該生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖が作動されつつ生理的報酬は得られない状況に置かれることになる。従って、ユーザは、当該パソコン等で所期の目的の作業をしながら、同時に、生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法のうち生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を、職場や家庭等の一般社会環境で手軽にかつ効果的に行うことができるものである。
【0052】
次に、本実施形態における画像処理装置100Aの動作の概要を、具体例を示して更に詳細に説明する。図2は、画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動抑制画像処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、画像処理装置100Aがパソコンであり、また、ユーザに対して生理的報酬獲得行動として喫煙を抑制する場合を例にして説明する。
【0053】
図2のステップS110において、画像処理装置100Aは、生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件が入力されるまで待機する(S110のNO)。ここで、生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件とは、主画像中に副画像を出現させる時間的な長さ(表示時間)、時間的な間隔(表示間隔)、大きさ、位置、透過度等の諸条件をいう。
【0054】
画像処理装置100Aは、ユーザによる生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件の入力があると(S110のYES)、ステップS120に進んで、ステップS110で入力された生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件を設定し、ステップS130に進んで、生理的報酬獲得行動抑制画像処理の開始命令があるまで待機する(S130のNO)。そして、ユーザによる生理的報酬獲得行動抑制画像処理の開始命令の入力があると(S130のYES)、ステップS140に進んで、生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理を開始する。
【0055】
図3は、本実施形態における画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理の手順を示すフローチャートである。図3のステップS210において、画像処理装置100Aは、まず、画像処理装置100A上で起動・実行されているアプリケーションプログラムやオペレーションシステム(OS)等により生成された主画像データを画像形成して表示する。図4は、本実施形態における主画像の一例を示す図であり、画像310は、画像処理装置100A上で本プログラムと同時に起動・実行されている表計算プログラムにより合成された主画像データの画像を示している。
【0056】
画像処理装置100Aは、ステップS220に進んで、ステップS120で設定した待機時間(表示間隔)が経過するまで主画像データの画像形成を行い(S220のNO及びS210)、ステップS220において所定の待機時間が経過すると(S220のYES)、ステップS230に進んで、予め記憶している複数の生理的報酬獲得行動惹起画像データの中から副画像として最初に表示する画像データを1つ任意に読み出す。
【0057】
図5は、本実施形態における生理的報酬獲得行動惹起画像の一例を示す図である。本実施形態における生理的報酬獲得行動惹起画像としては、図5の画像320のような公園のベンチから園内を眺望する場面の画像や、海辺のベンチから水面や水面に浮かぶ船等を眺める場面の画像、居酒屋で宴会の席について飲酒している場面の画像等、一般に喫煙を行うことのある日常生活の一場面等の画像が挙げられる。
【0058】
次いで、図3のステップS240に進んで、ステップS230で読み出した生理的報酬獲得行動惹起画像データを、ステップS120で設定した生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件に基づいて、画像処理装置100A上で起動・実行されているアプリケーションプログラム等により生成された主画像データに合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成し、更にステップS250に進んで、ステップS240で生成した生理的報酬獲得行動抑制画像データを画像形成して表示する。図6は、本実施形態の生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理において合成された生理的報酬獲得行動抑制画像の一例を示す図であり、画像330は、主画像310の一部に生理的報酬獲得行動惹起画像320が合成されて生成した生理的報酬獲得行動抑制画像を示している。
【0059】
そして、図3のステップ260に進んで、ステップS120で設定した表示時間が経過するまで、生理的報酬獲得行動抑制画像データの合成及び画像形成を行い(S260のNO及びS240〜S250)、ステップ260において所定の表示時間が経過すると(S260のYES)、生理的報酬獲得行動抑制画像データの画像形成を終了し、生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理を終了して図2のステップS140に戻る。
【0060】
次に、画像処理装置100Aは、図2のステップ150に進み、生理的報酬獲得行動再現画像の合成処理を開始する。図7は、本実施形態における画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動再現画像の合成処理の手順を示すフローチャートである。図7のステップS310において、画像処理装置100Aは、iを初期化し(i=1)、ステップS320に進んで、画像処理装置100A上で起動・実行されているアプリケーションプログラム等により生成された主画像データを画像形成して表示する。そして、ステップS330に進んで、ステップS120で設定した待機時間(表示間隔)が経過するまで主画像データの画像形成を行い(S330のNO及びS320)、ステップS330において待機時間が経過すると(S330のYES)、ステップS340に進んで、予め記憶している複数(n個)の生理的報酬獲得行動再現画像データの中から1番目(i=1)の画像データ(副画像としては2番目に表示する画像データ)を読み出す。
【0061】
図8〜12は、本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像としては、図8の画像340のような煙草の入った箱を手に取る行為を再現した画像、図9の画像350のようなライターで口に咥えた煙草に火をつける行為を再現した画像、図10の画像360のような指の間で煙草を挟んで煙草を燻らす行為を再現した画像、図11の画像370のような灰皿上に置かれた煙草を眺める行為を再現した画像、図12の画像380のような灰皿上で煙草の火を揉み消す行為を再現した画像等が挙げられる。
【0062】
また、生理的報酬獲得行動再現画像データの1番目の画像データとは、予め記憶している複数(n個)の生理的報酬獲得行動再現画像データのうち、実際の生理的報酬獲得行動において1番目に出現する行為又は場面にかかるものである。つまり、図7のステップS340における生理的報酬獲得行動再現画像データの読み出しは、実際の生理的報酬獲得行動における出現順序に従って行われる。例えば、上記の生理的報酬獲得行動再現画像の例では、実際の生理的報酬獲得行動における各行為又は場面の出現順序は、画像340→画像350→画像360→画像370→画像380(但し、画像360と画像370は順不同であり、それぞれ複数回出現してもよい)であるので、ステップS340では、かかる順列に従って、まず画像340にかかる画像データが選択される。
【0063】
次いで、図7のステップS350に進んで、ステップS340で読み出した1番目の生理的報酬獲得行動再現画像データを、ステップS120で設定した生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件に基づいて、画像処理装置100A上で起動・実行されているアプリケーションプログラム等により生成された主画像データに合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成し、更にステップS360に進んで、ステップS350で生成した生理的報酬獲得行動抑制画像データを画像形成して表示する。図13は、本実施形態の生理的報酬獲得行動再現画像データの合成処理において合成された生理的報酬獲得行動抑制画像の一例を示す図であり、画像390は、主画像310の一部に生理的報酬獲得行動再現画像340が合成されて生成した生理的報酬獲得行動抑制画像を示している。
【0064】
次いで、図7のステップ370に進み、ステップS120で設定した表示時間が経過するまで、生理的報酬獲得行動抑制画像データの合成及び画像形成を行う(S370のNO及びS350〜360)。そして、ステップ370において所定の表示時間が経過すると(S370のYES)、生理的報酬獲得行動抑制画像データの画像形成を終了し、ステップS380に進んで、i≠nであれば(S380のNO)、更にステップS390に進んでiをインクリメントして(i=2)、ステップS320に戻り、再び待機時間が経過するまで主画像データの画像形成を行う(S320〜S330)。以下、同様の手順を繰り返して2番目以降の生理的報酬獲得行動再現画像データの合成処理を行い(S340〜S380のNO、S390及びS320〜S330)、最後(n番目)の生理的報酬獲得行動再現画像データの合成処理が終了したら(S380のYES)、生理的報酬獲得行動再現画像の合成処理を終了して図2のステップ150に戻る。
【0065】
そして、画像処理装置100Aは、図2のステップS160に進んで、生理的報酬獲得行動抑制画像処理の終了命令があるまで生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理及び生理的報酬獲得行動再現画像の合成処理を繰り返し(S160のNO及びS140〜S141)、ユーザによる生理的報酬獲得行動抑制画像処理の終了命令の入力があると(S160のYES)、生理的報酬獲得行動抑制画像処理を終了する。
【0066】
図14は、本発明の第2の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Bの構成を示すブロック図である。図14に示すように、本実施形態にかかる画像処理装置100Bは、主画像データ生成部110に代えて主画像データ読み取り部120を備えている以外は、前記第1の実施形態にかかる画像処理装置100Aと同様の構成を有するものである。
【0067】
主画像データ読み取り部120は、主画像データが記録された記録媒体から主画像データを読み取る機能部である。記録媒体としては、CD、DVD、ブルーレイディスク等の光ディスク、リムーバブルハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスク、MO、ミニディスク等の光磁気ディスク、フラッシュディスク、メモリカード、USBメモリ等のフラッシュメモリ、ビデオテープ、ビデオカセット等の磁気テープ等の電子媒体が利用される。
【0068】
本実施形態にかかる画像処理装置100Bは、典型的には、DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオテーププレーヤ、ビデオカセットプレーヤ、家庭用ゲーム機等の画像再生装置であり、上記構成により、例えばDVDプレーヤ等の場合、再生中のDVDから読み出した映画等の主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して画像形成するので、当該DVDプレーヤの内部ディスプレイや当該DVDプレーヤに接続された外部ディスプレイには、DVDから再生される映画等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)が表示される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、当該DVDプレーヤで映画等を鑑賞しながら、同時に、生理的報酬獲得行動を司る第一信号系条件反射連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができる。
【0069】
なお、本実施形態の画像処理装置で利用される記録媒体は電子媒体に限られるものではなく、映写フィルム、セル画、写真等の非電子媒体であってもよく、例えば、映写フィルムを読み取って得られた主画像に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像を合成して映写する構成とすることにより、映画館等の映写装置等に応用することができる。
【0070】
図15は、本発明の第3の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Cの構成を示すブロック図である。図15に示すように、本実施形態にかかる画像処理装置100Cは、主画像データ生成部110に代えて主画像データ受信部130を、及び画像形成部160に代えて画像データ書き込み部170をそれぞれ備えている以外は、前記第1の実施形態にかかる画像処理装置100Aと同様の構成を有するものである。
【0071】
主画像データ受信部130は、有線又は無線の各種通信インタフェースにより他の機器と直接又は通信ネットワークを介して接続し、他の装置から主画像データを受信する機能部である。
【0072】
画像データ書き込み部170は、合成した生理的報酬獲得行動抑制画像データを記録媒体に書き込む機能部である。記録媒体としては、上述した主画像データ読み取り部120で利用可能な記録媒体と同様のものが利用される。
【0073】
本実施形態にかかる画像処理装置100Cは、典型的には、DVDレコーダ、ブルーレイディスクレコーダ、ビデオテープレコーダ、ビデオカセットレコーダ等の画像記録装置であり、上記構成により、例えばDVDレコーダ等の場合、画像データ生成機能を有する他の装置(例えば、テレビ受像機、パソコン、ビデオカメラ等)から受信したテレビ番組やホームビデオ等の主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して得られた合成画像データを記録型DVD等の記録媒体に書き込むので、当該記録媒体には、他の装置から受信したテレビ番組等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)データが記録される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、当該記録媒体を通常のDVDプレーヤ等で再生するだけで、録画したテレビ番組やホームビデオ等を鑑賞しながら、同時に、生理的報酬獲得行動を司る第一信号系条件反射連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができる。
【0074】
また、本実施形態にかかる画像処理装置で作成した記録媒体には、上述の通り、映画等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)データが記録されているので、当該記録媒体が上記画像処理装置とは独立して市場に流通されても、ユーザ(嗜癖者等)は、当該記録媒体を通常のDVDプレーヤ等で再生するだけで、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができるので有意義である。
【0075】
図16(a)は、本発明の第4の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Dを含む生理的報酬獲得行動抑制画像処理システム200Aの構成を示すブロック図である。図16(a)に示すように、本実施形態にかかる画像処理システム200Aは、画像処理装置100Dと、画像データ送信装置210とを備え、これらは通信ネットワーク230を介して相互に通信可能に接続されている。なお、通信ネットワーク230に接続される機器の種類及び台数は、図示した例に限定されるものではなく、また、これらの機器は、ネットワーク230を介することなく、直接機器間で接続されていてもよい(以下の実施形態において同じ)。
【0076】
図16(b)は、画像処理装置100Dの構成を示すブロック図である。図16(b)に示すように、本実施形態にかかる画像処理装置100Dは、主画像データ生成部110に代えて主画像データ受信部130を備えている以外は、前記第1の実施形態にかかる画像処理装置100Aと同様の構成を有するものである。
【0077】
画像データ送信装置210は、有線又は無線の各種通信インタフェースにより他の機器と直接又は通信ネットワークを介して接続し、主画像データを他の装置に送信する装置である。
【0078】
通信ネットワーク230は、アナログテレビジョン放送、地上デジタルテレビジョン放送、衛星放送、有線テレビジョン放送等の放送網や、電話網、移動通信網、ISDN、パケット交換網等の公衆網、LAN、WAN、インターネット等のコンピュータネットワーク等である。
【0079】
本実施形態にかかる画像処理システム200Aの第1の典型例は、画像処理装置100Dがテレビ受像機、セットトップボックス等であり、画像データ送信装置210がアナログテレビジョン放送、地上デジタルテレビジョン放送、衛星放送(BS、CS等)、有線テレビジョン放送(ケーブルテレビ)、インターネット放送、IP放送、光放送等の放送局の放送装置等の場合である。上記構成により、例えば、画像処理装置100Dがテレビ受像機の場合、放送局の放送装置から受信したテレビ番組等の主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して画像形成するので、当該テレビ受像機の画面には、放送装置から受信したテレビ番組等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)が表示される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、当該テレビ受像機でテレビ番組等を視聴しながら、同時に、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができる。
【0080】
また、本実施形態にかかる画像処理システム200Aの第2の典型例は、画像処理装置100Dがパソコン、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、デジタルメディアプレーヤ、携帯用ゲーム機等であり、画像データ送信装置210がインターネットサービスプロバイダ(ISP)のサーバ装置等の場合である。上記構成により、例えば、画像処理装置100Dがパソコンの場合、IPSのサーバ装置からダウンロード又はストリーミングによりオンデマンド方式で受信した動画番組等の主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して画像形成するので、当該パソコンのディスプレイには、サーバ装置から受信した動画番組等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)が表示される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、当該パソコンで動画番組等を視聴しながら、同時に、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができる。
【0081】
図17(a)は、本発明の第5の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Eを含む生理的報酬獲得行動抑制画像処理システム200Bの構成を示すブロック図である。図17(a)に示すように、本実施形態にかかる画像処理システム200Bは、画像処理装置100Eと、画像データ受信装置220とを備え、これらは通信ネットワーク230を介して相互に通信可能に接続されている。
【0082】
図17(b)は、画像処理装置100Eの構成を示すブロック図である。図17(b)に示すように、本実施形態にかかる画像処理装置100Eは、主画像データ生成部110に代えて主画像データ受信部130を、及び画像形成部160に代えて画像データ送信部180をそれぞれ備えている以外は、前記第1の実施形態にかかる画像処理装置100Aと同様の構成を有するものである。
【0083】
画像データ送信部180は、有線又は無線の各種通信インタフェースにより他の機器と直接又は通信ネットワークを介して接続し、合成した生理的報酬獲得行動抑制画像データを他の装置に送信する機能部である。また、画像データ受信装置220は、同様にして他の機器と接続して、画像データを他の装置から受信する装置である。
【0084】
本実施形態にかかる画像処理システム200Bは、典型的には、画像処理装置100Eが、アナログテレビジョン放送、地上デジタルテレビジョン放送、衛星放送(BS、CS等)、有線テレビジョン放送(ケーブルテレビ)、インターネット放送、IP放送、光放送等の放送局の放送装置や、インターネットサービスプロバイダ(ISP)のサーバ装置等であり、画像データ受信装置220がテレビ受像機、セットトップボックス、パソコン、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、デジタルメディアプレーヤ、携帯用ゲーム機等である。上記構成により、本実施形態にかかる画像処理装置である放送装置やIPSのサーバ装置は、画像データ生成機能を有する他の装置から受信したテレビ番組や動画番組等の主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して、画像形成機能を有する他の装置にリアルタイム又はオンデマンド方式で送信するので、これを受信したテレビ受像機の画面には、放送装置やサーバ装置から受信したテレビ番組や動画番組等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)が表示される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、通常のテレビ受像機等でテレビ番組等を視聴しながら、同時に、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができる。
【0085】
本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置及びシステムは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態における各機器は、上述した機能部以外の機能部を含んでいてもよく、或いは上述した機能部のうちの一部が含まれていなくてもよい。また、上記実施形態の各機器における機能部の組み合わせは開示した例に限定されるものではない。例えば、主画像データは、主画像データの生成、撮像、記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、他の装置からの受信等の何れの手段によって取得されるものであってもよいし、副画像データは、副画像データの記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、他の装置からの受信等の何れの手段により取得されるものであってもよい。更に、合成した生理的報酬獲得行動抑制画像データは、画像形成、他の装置への送信、コンピュータ読み取り可能な記録媒体への書き込み等のいずれの方法により後処理されるものであっても構わない。
【0086】
本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置は、上記各機能部を専用のハードウエアよって実現するものであってもよいし、上記各手順を記述したプログラムをCPU等の制御部が実行することによって実現するものであってもよい。後者の場合、生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置を動作させる上記プログラムは、通常、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体や、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供され、ROMやハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、このプログラムは、単独のアプリケーションソフトウエアとして提供されてもよいし、生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置の一機能としてその装置の基本ソフトウエアに組み込まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
上述したように、本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置は、生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法を職場や家庭等の一般社会環境で手軽に行うことができるので、重度の嗜癖や過食、性的逸脱等に対する隔離環境下での治療後の治療後の継続療法や、PTSDに対する当初の激しい反応が治まった後の継続療法、軽度の嗜癖や過食等に対する隔離環境によらない簡易療法に利用した場合極めて有用である。
【符号の説明】
【0088】
100A〜100E 生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置
110 主画像データ生成部
120 主画像データ読み取り部
130 主画像データ受信部
140 副画像データ記憶部
150 画像データ合成部
160 画像形成部
170 画像データ書き込み部
180 画像データ送信部
200A、200B 生理的報酬獲得行動抑制画像処理システム
210 画像データ送信装置
220 画像データ受信装置
230 通信ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置に関する。詳しくは、生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法を職場や家庭等の一般社会環境で手軽に行うことができる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
イワン・ペトローヴィチ・パヴロフ(Ivan Petrovich Pavlov)の条件反射学説によれば、動物の神経活動(唾液線や内臓等の動きを司る自律神経の働きだけでなく、知覚、気分、動作、思考等に関係する全ての神経活動)は、生体内外の環境からの刺激に対する反射であるとされる。パヴロフは、反射を、生来的で無意識的な無条件反射、学習による無意識的な第一信号系条件反射及び学習による意識的な第二信号系条件反射の3つに分け、このうち無意識的な反射の一部は、反射の反応が次の反射の刺激となって連鎖的に作動して一連の行動を成立させるものであり、また、意識的な反射はヒトのみが持ち、言葉が信号となる思考であるとした。この思考の機能は評価、予測、目標設定、計画、決断等であり、思考も一連の行動を成立させるものである。即ち、ヒトの行動の全ては生体内外の環境からの刺激に対する反射として生じた神経活動によるものであり、何らかの刺激に大脳が曝露されると、無条件反射、第一信号系条件反射、第二信号系条件反射が働き、これらが相当な程度に独立して作動し、また、影響し合うところもあり、行動が選択され、実行される。
【0003】
かかるパヴロフの条件反射説学説に従えば、嗜癖行動や過食、心的外傷後ストレス障害(PTSD)で生じる恐怖や幻視の再現を伴うパニック、性的逸脱行動等のメカニズムは、次のように理解するべきである。
【0004】
即ち、理性的な思考に反して生じる物質反復摂取や病的賭博などの嗜癖や過食は、依存性物質(例えば、覚せい剤、ニコチン、アルコール等)の薬理作用、ギャンブルにおける利益獲得により引き起こされる神経活動、栄養の充足等により生じる生理的報酬の獲得を、過度にヒトが反復したために第一信号系内にその行動をつかさどる条件反射の連鎖が成立し、刺激として成立した信号に曝露されると反射の連鎖が作動して生じる。また、環境には生理的報酬と関連づけられた事物が多々あるので、第一信号系内に反射の連鎖は複数存在し、従って複数の起点があり、生理的報酬の獲得に向かうに連れて、枝が幹に収束するように複数の連鎖が合わさり、生理的報酬の獲得直前では、例えば覚せい剤摂取動作を司る一本の反射の連鎖に収束する。従って、生理的報酬に関連する正の刺激に曝露された場合に、第一信号系条件反射の連鎖が作動しようとするが、この再現を、第二信号系条件反射、つまり思考が周囲の状況から不適切と判断すれば中止しようと働く。この時、第一信号系条件反射の連鎖の作動性が第二信号系条件反射(思考)より優勢であれば、依存と呼ばれる病態を示すことになる。つまり、第二信号系条件反射(思考)は生理的報酬の獲得行動を止めようと働くが、第一信号系条件反射の連鎖の作動性が優勢であるために止められないのである。生理的報酬獲得行動を中止しようと第二信号系条件反射(思考)が作動すれば、この2つの系の間に摩擦が生じ、ヒトはこれを焦燥、苦悩、恐慌として感じ、これを覚せい剤への欲求或いは渇望であると解釈する。焦燥、苦悩、恐慌は、当初急激に生じ、その後も、生理的報酬獲得行動を中止するために第二信号系条件反射(思考)が作動しつづければ、焦燥、苦悩、恐慌は、浮動的に継続する。第二信号系条件反射(思考)が抵抗することに疲弊したときに、第一信号系条件反射が優勢になり、行動を支配することになる。
【0005】
また、PTSDに生じる恐怖や幻視の再現を伴うパニック等は、それらの症状をもつヒトは、例えば殺されそうになった体験を生き延びたのであり、この場合、防御をかなりの程度に完結したので生理的報酬が生じ、また、2度目からの同様の体験においても生き延びることが生物種の保存のためには必要であり、従って、防御に成功した際の生理的報酬は強力であり、1度の防御体験における生理的報酬により、その体験前及び体験中の神経活動は第一信号系条件反射として定着し、その体験前及び体験中に受けた信号或いは類似した信号にそのヒトが曝露されれば、第一信号系条件反射が作動してその信号後の神経活動が生じるので、その体験時の視覚や恐怖感、自律神経の変調が生じることになる。
【0006】
さらに、性器の露出や痴漢、強姦等の性的逸脱行為は、本来は生理的報酬が終末にある性行為の部分的再現或いは完全再現であり、これらは、性行為の対象の意思を無視し、また処罰を受ける危険性を犯して行う非理性的な行為であることから、それらを行ってはならないという理性的な思考を一時もっても、現実社会の中の信号を刺激として、性行為による生理的報酬を獲得する無条件反射が活発に作動し、欲求が生じ、生じるものである。また、同時に、性的逸脱行為の対象は現実社会の中において学習に基づき異性であると認識したヒト或いは年少者であると認識したヒト等であり、この認識には学習によって成立した第一信号系条件反射が関与し、また、環境からの信号に対する第一信号系条件反射を含めた反射の総和が、その後の性的行動を司る無条件反射の連鎖の作動につながるのである。これらのことから、性的逸脱行動の促進には無条件反射と第一信号系条件反射の両方の無意識の反射が関与し、これらの無意識の反射の作動性が第二信号系条件反射(思考)より優勢になったときに、性的逸脱行動が生じることになる。
【0007】
そこで、先に本発明者は、かかる嗜癖行動や過食、心的外傷後ストレス障害(PTSD)で生じる恐怖や幻視の再現を伴うパニック、性的逸脱行動等のメカニズムに基づいて、上記の生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の過作動の治療法として条件反射抑制療法を提案した(例えば、非特許文献1参照)。かかる条件反射抑制療法は、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性自体が抑制された状態にすること(第1のメニュー)、及び仮にその作動が始まってもそれを抑制するものをもつ状態にすること(第2のメニュー)の2つを基本とする治療プログラムである。
【0008】
即ち、第1のメニューは、無意識的な反射の作動性自体の抑制に関するものであり、生理的報酬を獲得するために学習して成立した定型的な行動、例えば覚せい剤を摂取するための連続した動作を能動的動作の最終のものまでを真似してその動作をつかさどる反射の連鎖を作動させ、しかし、生理的報酬は与えないことを反復するものである。生理的報酬を獲得するための定型的な行動は、生物種を保存するものとして作動していたが、その行動を行っても後に生理的報酬がないことが反復されると、その行動は生物種を保存するものにならないので、その定型的な行動を保持する脳内の働きはなくなり、むしろ必要のない行動であるので、その定型的な行動をつかさどる無意識的な反射の連鎖の作動性は抑制をうける。これにより、生理的報酬を獲得するための定型的な行動をつかさどる反射の作動性が抑制されるだけでなく、連鎖上の反射弓間には結合があるために、反射の連鎖は起点からすべて種々の程度で抑制を受ける。したがって、樹木の形状のように想定される条件反射の複数の連鎖の全てにおいて、いずれの起点或いは途中の反射弓が関連刺激に曝露されても、条件反射の連鎖は作動しがたくなり、生理的報酬への欲求は生じ難くなる。具体的には、例えば覚せい剤依存症の場合、覚せい剤の疑似摂取の連続した動作として、家族との口論を再現し、「頭にきたなあ」のように焦燥を表現する言葉を発し、売人との携帯電話での交渉を再現し、受け渡し場所への移動や状況を言葉で表し、覚せい剤の受け渡しの際に交わす言葉を再現し、小さいビニール袋に入れた疑似覚せい剤としての粉砕したカルキ抜きと針のついていない注射筒を渡され、近くのコンビニエンスストアで水を購入しトイレに入ることを想像して、疑似覚せい剤を用いて水溶液を作り、実際には注射をしないが、条件反射抑制療法用に作製した特殊キットに持ち替えて静脈注射の真似をして、疑似血液の逆流を注射筒内に視認することなどを患者に行わせる。短時間で簡単に疑似摂取を再現する場合は、疑似覚せい剤と器具を使用して、摂取の準備と注射の真似をさせる。最も強力に第一信号系条件反射の連鎖を抑制する作業は、想像摂取と呼ぶ次の方法である。まずは、治療者の指示に従って、患者は閉眼し、例えば、覚せい剤を使用した日の起床時から覚せい剤の摂取までの行動及び周囲の様子を一つ一つ想起して言葉に出す。この作業中に、映像が明確に浮かんでくる者は少なくない。つまり、脳の神経細胞が動作は伴わないがかなり現実に近い形で活動するのである。しかし、神経活動の終末に生理的報酬はない。後にはこの想像摂取を、単独で、言葉に出さず、反復する。
【0009】
第2のメニューは、負の刺激の設定と利用に関するものであり、任意の信号(拳を握り開いて額を触るなどの意識的に行う特殊で簡単な動作でよい)を準備し、絶対に生理的報酬獲得行動ができない状況下で、この信号に自らを曝露しながら、例えば「覚せい剤は、今、やれないんだ」のように思い、事実を確認するとともに、多様な状況でこれを反復するものである。入院中なら、ベッド上、或いは、テラス、ホール、トイレ、浴場、洗面所等で、しっかり開眼して目前の物体或いは広がる光景を視認して行う。この作業により、任意の信号は、無意識的な反射の系内に生理的報酬獲得行動をしない時間を開始する信号として成立する。仮に、社会内に帰った後に、生理的報酬獲得行動をつかさどる無意識的な反射の連鎖の作動が始まり、欲求が生じたとしよう。この時、直接、第二信号系条件反射(思考)が無意識的な反射に勝つことは困難である。しかし、間接的には、第二信号系条件反射(思考)がまずは負の刺激の動作を行うと、これが直接的に無意識的な反射の系内において生理的報酬獲得行動をしない時間を開始する信号として作動して効果を現し、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の作動は中断される。これにより、生理的報酬獲得行動をしないという第二信号系条件反射(思考)と無意識的な反射の作動に摩擦がなくなり、生理的報酬への欲求は数秒で消滅するようになる。
【0010】
かかる条件反射抑制療法による治療プログラムは、嗜癖行動や過食、性的逸脱行動の治療においては強烈な渇望を生じさせることがあり、容易に生理的報酬が入手できる環境では実際の行為の再現に結びつく可能性が高いため、少なくとも最初は閉鎖病棟又は刑務所等、社会から隔離された環境で行われることが好ましく、覚せい剤依存症患者の場合、通常10〜12週で、上記第1及び第2のメニューを単独でまたは組み合わせて1000回を越えて行われる。また、PTSDに生じる恐怖や幻視の再現を伴うパニック等の治療においては、刺激により強い不安を生じさせることがあるので、刺激後は、患者が慣れ親しんだ安全な環境で過ごすことが良い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−95424号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】平井愼二、「覚せい剤反復接取に対する条件反射抑制療法」、精神科、2008年、13(1)、p.1−13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
条件反射抑制療法では、上記治療プログラムにより、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射連鎖の作動性が抑制され、嗜癖行動や過食、PTSDに生じるパニック、性的逸脱行動等は一時的に治癒又は改善するが、条件反射は過去の設定に戻る性質をもつため、この抑制された状態を放置すると、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射連鎖の作動性が回復し、欲求が再燃する可能性がある。従って、条件反射抑制療法では、患者の社会復帰後の上記治療プログラムによる継続療法が極めて重要であり、かかる作動性の回復を避け、抑制された状態を維持するために、上記第1及び第2のメニューを毎日、少なくとも数回ずつ行うことが肝要である。
【0014】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法を職場や家庭等の一般社会環境で手軽に行うことができる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、重度の嗜癖、過食、性的逸脱等に罹患した者に対する隔離環境下での治療後の継続療法、又はPTSDに対する当初の激しい反応が治まった後の継続療法を簡便かつ確実に行うことができる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置を提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、軽度の嗜癖や過食に罹患した者に対する隔離環境によらない簡易療法を簡便かつ確実に行うことができる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0018】
(1)即ち、本発明は、生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段を有することを特徴とする、生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0019】
(2)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、初めに単一又は複数の前記第1の副画像が前記主画像中に出現し、次いで複数の前記第2の副画像が実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像中に出現するように、前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(1)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0020】
(3)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が連続的に又は規則的な若しくは不規則な間隔で間欠的に前記主画像中に出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0021】
(4)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が前記主画像の一部又は全部に重なって出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(1)乃至(3)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0022】
(5)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、複数の前記副画像が前記主画像中の複数個所に同時に出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(4)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0023】
(6)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が前記主画像中に所定の透過度で出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(4)又は(5)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0024】
(7)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記主画像に対する前記副画像の出現位置が一定となるように又は規則的に若しくは不規則に変化するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(1)乃至(6)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0025】
(8)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記主画像に対する前記副画像の大きさが一定となるように又は規則的に若しくは不規則に変化するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、(1)乃至(7)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0026】
(9)本発明はまた、前記主画像データの生成、撮像、記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、又は他の装置からの受信を行う手段を更に有する、(1)乃至(8)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0027】
(10)本発明はまた、前記副画像データの記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、又は他の装置からの受信を行う手段を更に有する、(1)乃至(9)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0028】
(11)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段により生成した生理的報酬獲得行動抑制画像データの画像形成、他の装置への送信、又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体への書き込みを行う手段を更に有する、(1)乃至(10)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0029】
(12)本発明はまた、前記副画像は、静止画像又は動画像である、(1)乃至(11)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0030】
(13)本発明はまた、前記副画像は、音を伴うものである、(1)乃至(12)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0031】
(14)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動は、依存性物質摂取、賭博、摂食、性行動又はPTSDの症状である過去の危険回避行動に基づく反応である、(1)乃至(13)の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置である。
【0032】
(15)また、本発明は、生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップを有することを特徴とする、生理的報酬獲得行動抑制画像処理方法である。
【0033】
(16)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップは、初めに単一又は複数の前記第1の副画像データを前記主画像データに合成し、次いで複数の前記第2の副画像データを、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像データに合成することを特徴とする、(15)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理方法である。
【0034】
(17)更に、本発明は、生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする、生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラムである。
【0035】
(18)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップは、初めに単一又は複数の前記第1の副画像データを前記主画像データに合成し、次いで複数の前記第2の副画像データを、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像データに合成することを特徴とする、(17)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラムである。
【0036】
(19)更にまた、本発明は、(17)又は(18)に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0037】
(20)更にまた、本発明は、生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが主画像中に順次出現するように構成された生理的報酬獲得行動抑制画像データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0038】
(21)本発明はまた、前記生理的報酬獲得行動抑制画像データは、初めに単一又は複数の前記生理的報酬獲得行動惹起画像が前記主画像中に出現し、次いで複数の前記生理的報酬獲得行動再現画像が、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像中に出現するように構成されたことを特徴とする、(20)に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0039】
本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置によれば、生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成するので、得られた合成画像データを画像形成することにより、主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像を表示することができる。
【0040】
これにより、ユーザ(嗜癖者等)は、本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置で他の作業(例えば、パソコンによるアプリケーションソフトウエアの実行や家庭用・携帯用ゲーム機によるゲームソフトウエアのプレイ、DVDプレーヤによる映画の鑑賞やテレビ受像機によるテレビ番組の視聴等)をしながら、意図せずして主画像中に順次出現する生理的報酬獲得行動惹起画像副画像と生理的報酬獲得行動再現画像を視聴することになり、結果として、当該生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖が作動しつつ生理的報酬は得られない状況に置かれることになる。
【0041】
従って、ユーザは、本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置で所期の目的の作業を行いながら、同時に、生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法のうち生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性を抑制する治療プログラム(第1のメニュー)を職場や家庭等の一般社会環境で手軽に且つ確実に行うことが可能となるので、重度の、過食、PTSD、性的逸脱等に対する隔離環境下での治療後の継続療法や、軽度の嗜癖、過食等に対する隔離環境によらない簡易療法を簡便且つ効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Aの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動抑制画像の合成処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態における画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動惹起画像表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態における主画像の一例を示す図である。
【図5】本実施形態における生理的報酬獲得行動惹起画像の一例を示す図である。
【図6】本実施形態の生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理において合成された生理的報酬獲得行動抑制画像の一例を示す図である。
【図7】本実施形態における画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動再現画像の表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。
【図9】本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。
【図10】本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。
【図11】本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。
【図12】本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。
【図13】本実施形態の生理的報酬獲得行動再現画像の合成処理において合成された生理的報酬獲得行動抑制画像の一例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Bの構成を示すブロック図ある。
【図15】本発明の第3の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Cの構成を示すブロック図である。
【図16】(a)は、本発明の第4の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Dを含む生理的報酬獲得行動抑制画像処理システム200Aの構成を示すブロック図であり、(b)は、画像処理装置100Dの構成を示すブロック図である。
【図17】(a)は、本発明の第5の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Eを含む生理的報酬獲得行動抑制画像処理システム200Bの構成を示すブロック図であり、(b)は、画像処理装置100Eの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の各実施形態の装置又はシステムにおいて、同一の名称及び符号を付した構成要素は同様の機能を有するものであり、説明の重複を避けるため初回のみその説明を行い、2回目以降はその説明を省略する。
【0044】
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Aの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態にかかる画像処理装置100Aは、主画像データ生成部110、副画像データ記憶部140、画像データ合成部150及び画像形成部160の各機能部を備えている。
【0045】
主画像データ生成部110は、主画像データを生成する機能部である。主画像データとは、本発明にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理とは別に、画像処理装置100Aが本来主目的として行う画像処理にかかる画像データをいう。主画像データは、静止画像データ又は動画像データの何れであってもよく、また音(音声、音楽、音響等)を伴うものであっても構わない。
【0046】
副画像データ記憶部140は、副画像データの記憶及び読み出しを行う機能部である。副画像データとは、生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成するために主画像データに合成する特定の画像データをいい、生理的報酬獲得行動惹起画像データと生理的報酬獲得行動再現画像データとから構成される。ここで、生理的報酬獲得行動とは、生理的報酬を獲得するために生体がとる一連の行動をいう。即ち、生理的報酬とは、本来は生物種の進化を支える基本的な行動である防御、摂食、生殖を完結した際に脳内に生じる作用であり、その効果は、生理的報酬が生じると、その前に展開された刺激と反応からなる神経活動が定着し、後に、同じ刺激に曝露された場合、同じ反応、つまり、同じ神経活動を再現しやすくするものである。このために、生理的報酬が終末にある行動を生体が体験することにより無意識の反射の系内にその行動をつかさどる反射の連鎖が成長する方向に進み、後に、刺激として成立した信号に曝露されると無意識な反射の連鎖が作動して、生理的報酬を獲得する行動が生じることとなる。かかる生理的報酬獲得行動の具体例(括弧内はその生理的報酬)としては、喫煙(ニコチンの薬理作用)、飲酒(アルコールの薬理作用)、その他の依存性物質摂取(アンフェタミン、メタンフェタミン、MDMA、コカイン、アヘン類、大麻、PCP、メサドン、抗うつ薬、抗不安薬、抗躁薬、中枢神経刺激薬、睡眠導入剤、鎮静催眠薬、抗ヒスタミン薬、総合感冒薬、鎮咳剤、麻酔薬、鎮痛剤、幻覚剤、禁煙補助剤、有機溶剤、有機燃料等の依存性物質の薬理作用)、賭博(太古の狩猟或いは採取による食物獲得完遂と類似の神経活動による報酬系への作用)、摂食(栄養の充足による報酬系への作用)、性行動(性行動の完了による報酬系への作用)、PTSDの症状である過去の危険回避行動に基づく反応(防御成功による報酬系への作用)等が挙げられる。また、生理的報酬獲得行動惹起画像とは、生理的報酬獲得行動の端緒となる場面、行為又は物であって無意識的な反射の連鎖を作動させてユーザ(嗜癖者等)に生理的報酬獲得行動を惹起させるものの画像であり、生理的報酬獲得行動再現画像とは、生理的報酬を獲得するまでに嗜癖者等が通常行う一連の行為又は遭遇する一連の場面を再現した画像である。更に、生理的報酬獲得行動抑制画像とは、主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像や生理的報酬獲得行動再現画像が出現するように構成された画像である。
【0047】
なお、副画像データ記憶部140に記憶される生理的報酬獲得行動惹起画像データは1つのみであってもよいが、種類や状況の異なる2つ以上の生理的報酬獲得行動惹起画像データが記憶され、それらがランダムに選択されるように構成されることが好ましい。同様に、副画像データ記憶部140に記憶される生理的報酬獲得行動再現画像データは1つのみであってもよいが、後述するように、2つ以上の生理的報酬獲得行動再現画像データであって一連の生理的報酬獲得行動のうちの互いに異なる場面等に係るものが記憶され、それらが実際の生理的報酬獲得行動における出現順序に従って主画像中に出現するように構成されることが好ましい。なお、副画像データは、静止画像データ又は動画像データの何れであってもあってもよく、また音(音声、音楽、音響等)を伴うものであっても構わない(特に、当該生理的報酬獲得行動抑制画像に対応する実際の生理的報酬獲得行動で嗜癖者等が聴取する音を伴うものが好ましい)。
【0048】
画像データ合成部150は、副画像データを主画像データに順次合成して、生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する機能部である。副画像データは、主画像中に副画像が任意の順序で出現するように合成されてもよいが、主画像中に、初めに単一又は複数の生理的報酬獲得行動惹起画像が出現し、次いで複数の生理的報酬獲得行動再現画像が実際の生理的報酬獲得行動における出現順序に従って出現するように合成されることが好ましい。但し、必ずしも記憶しているすべての生理的報酬獲得行動再現画像を出現させる必要はなく、前記出現順序のうちのいくつかの画像が出現しないようにしてもよいし、前記出現順序の途中の画像からのみ出現するようにしても構わない。
【0049】
また、副画像データを主画像データに合成する際には、主画像中に副画像が連続的に(常に)出現するように合成してもよいし、規則的な間隔又は不規則な間隔で間欠的に出現するように合成してもよい。また、副画像が主画像の全部と重なるように合成してもよいし、主画像の一部のみに重なるように合成してもよく、又は主画像と全く重ならないように合成しても構わない。前二者の場合、副画像が背後の主画像に対して所定の透過度を有するように(例えば副画像の背後に主画像が透けて見えるように)合成してもよいし、また、主画像中に複数の副画像が同時に複数個所に出現するように合成してもよい。更にまた、主画像に対する副画像の出現位置や大きさは一定であってもよいし、規則的又は不規則に変化するものであってもよい。
【0050】
画像形成部160は、合成した生理的報酬獲得行動抑制画像データを画像形成して生理的報酬獲得行動抑制画像を表示する機能部である。
【0051】
本実施形態にかかる画像処理装置100Aは、典型的には、パソコン、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、デジタルメディアプレーヤ、携帯用ゲーム機等であり、上記構成により、例えばパソコン等の場合、実行中のアプリケーションソフトウエア等により生成される主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して画像形成するので、当該パソコンのディスプレイには、アプリケーションソフトウエア等により出力される主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)が表示される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、当該パソコンでインターネットを閲覧したり、ワープロや表計算ソフトウエア等で作業をしたりしながら、意図せずして主画像中に順次出現する生理的報酬獲得行動惹起画像副画像と生理的報酬獲得行動再現画像を視聴することになり、結果として、当該生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖が作動されつつ生理的報酬は得られない状況に置かれることになる。従って、ユーザは、当該パソコン等で所期の目的の作業をしながら、同時に、生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法のうち生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を、職場や家庭等の一般社会環境で手軽にかつ効果的に行うことができるものである。
【0052】
次に、本実施形態における画像処理装置100Aの動作の概要を、具体例を示して更に詳細に説明する。図2は、画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動抑制画像処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、画像処理装置100Aがパソコンであり、また、ユーザに対して生理的報酬獲得行動として喫煙を抑制する場合を例にして説明する。
【0053】
図2のステップS110において、画像処理装置100Aは、生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件が入力されるまで待機する(S110のNO)。ここで、生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件とは、主画像中に副画像を出現させる時間的な長さ(表示時間)、時間的な間隔(表示間隔)、大きさ、位置、透過度等の諸条件をいう。
【0054】
画像処理装置100Aは、ユーザによる生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件の入力があると(S110のYES)、ステップS120に進んで、ステップS110で入力された生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件を設定し、ステップS130に進んで、生理的報酬獲得行動抑制画像処理の開始命令があるまで待機する(S130のNO)。そして、ユーザによる生理的報酬獲得行動抑制画像処理の開始命令の入力があると(S130のYES)、ステップS140に進んで、生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理を開始する。
【0055】
図3は、本実施形態における画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理の手順を示すフローチャートである。図3のステップS210において、画像処理装置100Aは、まず、画像処理装置100A上で起動・実行されているアプリケーションプログラムやオペレーションシステム(OS)等により生成された主画像データを画像形成して表示する。図4は、本実施形態における主画像の一例を示す図であり、画像310は、画像処理装置100A上で本プログラムと同時に起動・実行されている表計算プログラムにより合成された主画像データの画像を示している。
【0056】
画像処理装置100Aは、ステップS220に進んで、ステップS120で設定した待機時間(表示間隔)が経過するまで主画像データの画像形成を行い(S220のNO及びS210)、ステップS220において所定の待機時間が経過すると(S220のYES)、ステップS230に進んで、予め記憶している複数の生理的報酬獲得行動惹起画像データの中から副画像として最初に表示する画像データを1つ任意に読み出す。
【0057】
図5は、本実施形態における生理的報酬獲得行動惹起画像の一例を示す図である。本実施形態における生理的報酬獲得行動惹起画像としては、図5の画像320のような公園のベンチから園内を眺望する場面の画像や、海辺のベンチから水面や水面に浮かぶ船等を眺める場面の画像、居酒屋で宴会の席について飲酒している場面の画像等、一般に喫煙を行うことのある日常生活の一場面等の画像が挙げられる。
【0058】
次いで、図3のステップS240に進んで、ステップS230で読み出した生理的報酬獲得行動惹起画像データを、ステップS120で設定した生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件に基づいて、画像処理装置100A上で起動・実行されているアプリケーションプログラム等により生成された主画像データに合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成し、更にステップS250に進んで、ステップS240で生成した生理的報酬獲得行動抑制画像データを画像形成して表示する。図6は、本実施形態の生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理において合成された生理的報酬獲得行動抑制画像の一例を示す図であり、画像330は、主画像310の一部に生理的報酬獲得行動惹起画像320が合成されて生成した生理的報酬獲得行動抑制画像を示している。
【0059】
そして、図3のステップ260に進んで、ステップS120で設定した表示時間が経過するまで、生理的報酬獲得行動抑制画像データの合成及び画像形成を行い(S260のNO及びS240〜S250)、ステップ260において所定の表示時間が経過すると(S260のYES)、生理的報酬獲得行動抑制画像データの画像形成を終了し、生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理を終了して図2のステップS140に戻る。
【0060】
次に、画像処理装置100Aは、図2のステップ150に進み、生理的報酬獲得行動再現画像の合成処理を開始する。図7は、本実施形態における画像処理装置100Aの生理的報酬獲得行動再現画像の合成処理の手順を示すフローチャートである。図7のステップS310において、画像処理装置100Aは、iを初期化し(i=1)、ステップS320に進んで、画像処理装置100A上で起動・実行されているアプリケーションプログラム等により生成された主画像データを画像形成して表示する。そして、ステップS330に進んで、ステップS120で設定した待機時間(表示間隔)が経過するまで主画像データの画像形成を行い(S330のNO及びS320)、ステップS330において待機時間が経過すると(S330のYES)、ステップS340に進んで、予め記憶している複数(n個)の生理的報酬獲得行動再現画像データの中から1番目(i=1)の画像データ(副画像としては2番目に表示する画像データ)を読み出す。
【0061】
図8〜12は、本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像の一例を示す図である。本実施形態における生理的報酬獲得行動再現画像としては、図8の画像340のような煙草の入った箱を手に取る行為を再現した画像、図9の画像350のようなライターで口に咥えた煙草に火をつける行為を再現した画像、図10の画像360のような指の間で煙草を挟んで煙草を燻らす行為を再現した画像、図11の画像370のような灰皿上に置かれた煙草を眺める行為を再現した画像、図12の画像380のような灰皿上で煙草の火を揉み消す行為を再現した画像等が挙げられる。
【0062】
また、生理的報酬獲得行動再現画像データの1番目の画像データとは、予め記憶している複数(n個)の生理的報酬獲得行動再現画像データのうち、実際の生理的報酬獲得行動において1番目に出現する行為又は場面にかかるものである。つまり、図7のステップS340における生理的報酬獲得行動再現画像データの読み出しは、実際の生理的報酬獲得行動における出現順序に従って行われる。例えば、上記の生理的報酬獲得行動再現画像の例では、実際の生理的報酬獲得行動における各行為又は場面の出現順序は、画像340→画像350→画像360→画像370→画像380(但し、画像360と画像370は順不同であり、それぞれ複数回出現してもよい)であるので、ステップS340では、かかる順列に従って、まず画像340にかかる画像データが選択される。
【0063】
次いで、図7のステップS350に進んで、ステップS340で読み出した1番目の生理的報酬獲得行動再現画像データを、ステップS120で設定した生理的報酬獲得行動抑制画像の画像処理条件に基づいて、画像処理装置100A上で起動・実行されているアプリケーションプログラム等により生成された主画像データに合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成し、更にステップS360に進んで、ステップS350で生成した生理的報酬獲得行動抑制画像データを画像形成して表示する。図13は、本実施形態の生理的報酬獲得行動再現画像データの合成処理において合成された生理的報酬獲得行動抑制画像の一例を示す図であり、画像390は、主画像310の一部に生理的報酬獲得行動再現画像340が合成されて生成した生理的報酬獲得行動抑制画像を示している。
【0064】
次いで、図7のステップ370に進み、ステップS120で設定した表示時間が経過するまで、生理的報酬獲得行動抑制画像データの合成及び画像形成を行う(S370のNO及びS350〜360)。そして、ステップ370において所定の表示時間が経過すると(S370のYES)、生理的報酬獲得行動抑制画像データの画像形成を終了し、ステップS380に進んで、i≠nであれば(S380のNO)、更にステップS390に進んでiをインクリメントして(i=2)、ステップS320に戻り、再び待機時間が経過するまで主画像データの画像形成を行う(S320〜S330)。以下、同様の手順を繰り返して2番目以降の生理的報酬獲得行動再現画像データの合成処理を行い(S340〜S380のNO、S390及びS320〜S330)、最後(n番目)の生理的報酬獲得行動再現画像データの合成処理が終了したら(S380のYES)、生理的報酬獲得行動再現画像の合成処理を終了して図2のステップ150に戻る。
【0065】
そして、画像処理装置100Aは、図2のステップS160に進んで、生理的報酬獲得行動抑制画像処理の終了命令があるまで生理的報酬獲得行動惹起画像の合成処理及び生理的報酬獲得行動再現画像の合成処理を繰り返し(S160のNO及びS140〜S141)、ユーザによる生理的報酬獲得行動抑制画像処理の終了命令の入力があると(S160のYES)、生理的報酬獲得行動抑制画像処理を終了する。
【0066】
図14は、本発明の第2の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Bの構成を示すブロック図である。図14に示すように、本実施形態にかかる画像処理装置100Bは、主画像データ生成部110に代えて主画像データ読み取り部120を備えている以外は、前記第1の実施形態にかかる画像処理装置100Aと同様の構成を有するものである。
【0067】
主画像データ読み取り部120は、主画像データが記録された記録媒体から主画像データを読み取る機能部である。記録媒体としては、CD、DVD、ブルーレイディスク等の光ディスク、リムーバブルハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスク、MO、ミニディスク等の光磁気ディスク、フラッシュディスク、メモリカード、USBメモリ等のフラッシュメモリ、ビデオテープ、ビデオカセット等の磁気テープ等の電子媒体が利用される。
【0068】
本実施形態にかかる画像処理装置100Bは、典型的には、DVDプレーヤ、ブルーレイディスクプレーヤ、ビデオテーププレーヤ、ビデオカセットプレーヤ、家庭用ゲーム機等の画像再生装置であり、上記構成により、例えばDVDプレーヤ等の場合、再生中のDVDから読み出した映画等の主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して画像形成するので、当該DVDプレーヤの内部ディスプレイや当該DVDプレーヤに接続された外部ディスプレイには、DVDから再生される映画等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)が表示される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、当該DVDプレーヤで映画等を鑑賞しながら、同時に、生理的報酬獲得行動を司る第一信号系条件反射連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができる。
【0069】
なお、本実施形態の画像処理装置で利用される記録媒体は電子媒体に限られるものではなく、映写フィルム、セル画、写真等の非電子媒体であってもよく、例えば、映写フィルムを読み取って得られた主画像に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像を合成して映写する構成とすることにより、映画館等の映写装置等に応用することができる。
【0070】
図15は、本発明の第3の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Cの構成を示すブロック図である。図15に示すように、本実施形態にかかる画像処理装置100Cは、主画像データ生成部110に代えて主画像データ受信部130を、及び画像形成部160に代えて画像データ書き込み部170をそれぞれ備えている以外は、前記第1の実施形態にかかる画像処理装置100Aと同様の構成を有するものである。
【0071】
主画像データ受信部130は、有線又は無線の各種通信インタフェースにより他の機器と直接又は通信ネットワークを介して接続し、他の装置から主画像データを受信する機能部である。
【0072】
画像データ書き込み部170は、合成した生理的報酬獲得行動抑制画像データを記録媒体に書き込む機能部である。記録媒体としては、上述した主画像データ読み取り部120で利用可能な記録媒体と同様のものが利用される。
【0073】
本実施形態にかかる画像処理装置100Cは、典型的には、DVDレコーダ、ブルーレイディスクレコーダ、ビデオテープレコーダ、ビデオカセットレコーダ等の画像記録装置であり、上記構成により、例えばDVDレコーダ等の場合、画像データ生成機能を有する他の装置(例えば、テレビ受像機、パソコン、ビデオカメラ等)から受信したテレビ番組やホームビデオ等の主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して得られた合成画像データを記録型DVD等の記録媒体に書き込むので、当該記録媒体には、他の装置から受信したテレビ番組等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)データが記録される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、当該記録媒体を通常のDVDプレーヤ等で再生するだけで、録画したテレビ番組やホームビデオ等を鑑賞しながら、同時に、生理的報酬獲得行動を司る第一信号系条件反射連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができる。
【0074】
また、本実施形態にかかる画像処理装置で作成した記録媒体には、上述の通り、映画等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)データが記録されているので、当該記録媒体が上記画像処理装置とは独立して市場に流通されても、ユーザ(嗜癖者等)は、当該記録媒体を通常のDVDプレーヤ等で再生するだけで、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができるので有意義である。
【0075】
図16(a)は、本発明の第4の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Dを含む生理的報酬獲得行動抑制画像処理システム200Aの構成を示すブロック図である。図16(a)に示すように、本実施形態にかかる画像処理システム200Aは、画像処理装置100Dと、画像データ送信装置210とを備え、これらは通信ネットワーク230を介して相互に通信可能に接続されている。なお、通信ネットワーク230に接続される機器の種類及び台数は、図示した例に限定されるものではなく、また、これらの機器は、ネットワーク230を介することなく、直接機器間で接続されていてもよい(以下の実施形態において同じ)。
【0076】
図16(b)は、画像処理装置100Dの構成を示すブロック図である。図16(b)に示すように、本実施形態にかかる画像処理装置100Dは、主画像データ生成部110に代えて主画像データ受信部130を備えている以外は、前記第1の実施形態にかかる画像処理装置100Aと同様の構成を有するものである。
【0077】
画像データ送信装置210は、有線又は無線の各種通信インタフェースにより他の機器と直接又は通信ネットワークを介して接続し、主画像データを他の装置に送信する装置である。
【0078】
通信ネットワーク230は、アナログテレビジョン放送、地上デジタルテレビジョン放送、衛星放送、有線テレビジョン放送等の放送網や、電話網、移動通信網、ISDN、パケット交換網等の公衆網、LAN、WAN、インターネット等のコンピュータネットワーク等である。
【0079】
本実施形態にかかる画像処理システム200Aの第1の典型例は、画像処理装置100Dがテレビ受像機、セットトップボックス等であり、画像データ送信装置210がアナログテレビジョン放送、地上デジタルテレビジョン放送、衛星放送(BS、CS等)、有線テレビジョン放送(ケーブルテレビ)、インターネット放送、IP放送、光放送等の放送局の放送装置等の場合である。上記構成により、例えば、画像処理装置100Dがテレビ受像機の場合、放送局の放送装置から受信したテレビ番組等の主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して画像形成するので、当該テレビ受像機の画面には、放送装置から受信したテレビ番組等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)が表示される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、当該テレビ受像機でテレビ番組等を視聴しながら、同時に、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができる。
【0080】
また、本実施形態にかかる画像処理システム200Aの第2の典型例は、画像処理装置100Dがパソコン、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、デジタルメディアプレーヤ、携帯用ゲーム機等であり、画像データ送信装置210がインターネットサービスプロバイダ(ISP)のサーバ装置等の場合である。上記構成により、例えば、画像処理装置100Dがパソコンの場合、IPSのサーバ装置からダウンロード又はストリーミングによりオンデマンド方式で受信した動画番組等の主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して画像形成するので、当該パソコンのディスプレイには、サーバ装置から受信した動画番組等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)が表示される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、当該パソコンで動画番組等を視聴しながら、同時に、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができる。
【0081】
図17(a)は、本発明の第5の実施形態にかかる生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置としての画像処理装置100Eを含む生理的報酬獲得行動抑制画像処理システム200Bの構成を示すブロック図である。図17(a)に示すように、本実施形態にかかる画像処理システム200Bは、画像処理装置100Eと、画像データ受信装置220とを備え、これらは通信ネットワーク230を介して相互に通信可能に接続されている。
【0082】
図17(b)は、画像処理装置100Eの構成を示すブロック図である。図17(b)に示すように、本実施形態にかかる画像処理装置100Eは、主画像データ生成部110に代えて主画像データ受信部130を、及び画像形成部160に代えて画像データ送信部180をそれぞれ備えている以外は、前記第1の実施形態にかかる画像処理装置100Aと同様の構成を有するものである。
【0083】
画像データ送信部180は、有線又は無線の各種通信インタフェースにより他の機器と直接又は通信ネットワークを介して接続し、合成した生理的報酬獲得行動抑制画像データを他の装置に送信する機能部である。また、画像データ受信装置220は、同様にして他の機器と接続して、画像データを他の装置から受信する装置である。
【0084】
本実施形態にかかる画像処理システム200Bは、典型的には、画像処理装置100Eが、アナログテレビジョン放送、地上デジタルテレビジョン放送、衛星放送(BS、CS等)、有線テレビジョン放送(ケーブルテレビ)、インターネット放送、IP放送、光放送等の放送局の放送装置や、インターネットサービスプロバイダ(ISP)のサーバ装置等であり、画像データ受信装置220がテレビ受像機、セットトップボックス、パソコン、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、デジタルメディアプレーヤ、携帯用ゲーム機等である。上記構成により、本実施形態にかかる画像処理装置である放送装置やIPSのサーバ装置は、画像データ生成機能を有する他の装置から受信したテレビ番組や動画番組等の主画像データに、予め記憶している生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とからなる副画像データを順次合成して、画像形成機能を有する他の装置にリアルタイム又はオンデマンド方式で送信するので、これを受信したテレビ受像機の画面には、放送装置やサーバ装置から受信したテレビ番組や動画番組等の主画像中に生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが順次出現するように構成された合成画像(生理的報酬獲得行動抑制画像)が表示される。従って、ユーザ(嗜癖者等)は、通常のテレビ受像機等でテレビ番組等を視聴しながら、同時に、生理的報酬獲得行動を司る無意識的な反射の連鎖の作動性抑制治療プログラム(第1のメニュー)を実施することができる。
【0085】
本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置及びシステムは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態における各機器は、上述した機能部以外の機能部を含んでいてもよく、或いは上述した機能部のうちの一部が含まれていなくてもよい。また、上記実施形態の各機器における機能部の組み合わせは開示した例に限定されるものではない。例えば、主画像データは、主画像データの生成、撮像、記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、他の装置からの受信等の何れの手段によって取得されるものであってもよいし、副画像データは、副画像データの記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、他の装置からの受信等の何れの手段により取得されるものであってもよい。更に、合成した生理的報酬獲得行動抑制画像データは、画像形成、他の装置への送信、コンピュータ読み取り可能な記録媒体への書き込み等のいずれの方法により後処理されるものであっても構わない。
【0086】
本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置は、上記各機能部を専用のハードウエアよって実現するものであってもよいし、上記各手順を記述したプログラムをCPU等の制御部が実行することによって実現するものであってもよい。後者の場合、生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置を動作させる上記プログラムは、通常、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体や、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供され、ROMやハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、このプログラムは、単独のアプリケーションソフトウエアとして提供されてもよいし、生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置の一機能としてその装置の基本ソフトウエアに組み込まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0087】
上述したように、本発明の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置は、生理的報酬獲得行動に対する条件反射抑制療法を職場や家庭等の一般社会環境で手軽に行うことができるので、重度の嗜癖や過食、性的逸脱等に対する隔離環境下での治療後の治療後の継続療法や、PTSDに対する当初の激しい反応が治まった後の継続療法、軽度の嗜癖や過食等に対する隔離環境によらない簡易療法に利用した場合極めて有用である。
【符号の説明】
【0088】
100A〜100E 生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置
110 主画像データ生成部
120 主画像データ読み取り部
130 主画像データ受信部
140 副画像データ記憶部
150 画像データ合成部
160 画像形成部
170 画像データ書き込み部
180 画像データ送信部
200A、200B 生理的報酬獲得行動抑制画像処理システム
210 画像データ送信装置
220 画像データ受信装置
230 通信ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段を有することを特徴とする、
生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項2】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、初めに単一又は複数の前記第1の副画像が前記主画像中に出現し、次いで複数の前記第2の副画像が実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像中に出現するように、前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項1に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項3】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が連続的に又は規則的な若しくは不規則な間隔で間欠的に前記主画像中に出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項4】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が前記主画像の一部又は全部に重なって出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項5】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、複数の前記副画像が前記主画像中の複数個所に同時に出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項4に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項6】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が前記主画像中に所定の透過度で出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項4又は5に生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項7】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記主画像に対する前記副画像の出現位置が一定となるように又は規則的に若しくは不規則に変化するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項8】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記主画像に対する前記副画像の大きさが一定となるように又は規則的に若しくは不規則に変化するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項9】
前記主画像データの生成、撮像、記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、又は他の装置からの受信を行う手段を更に有する、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項10】
前記副画像データの記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、又は他の装置からの受信を行う手段を更に有する、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項11】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段により生成した生理的報酬獲得行動抑制画像データの画像形成、他の装置への送信、又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体への書き込みを行う手段を更に有する、
請求項1乃至10の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項12】
前記副画像は、静止画像又は動画像である、
請求項1乃至11の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項13】
前記副画像は、音を伴うものである、
請求項1乃至12の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項14】
前記生理的報酬獲得行動は、依存性物質摂取、賭博、摂食、性行動又はPTSDの症状である過去の危険回避行動に基づく反応である、
請求項1乃至13の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項15】
生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップを有することを特徴とする、
生理的報酬獲得行動抑制画像処理方法。
【請求項16】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップは、初めに単一又は複数の前記第1の副画像データを前記主画像データに合成し、次いで複数の前記第2の副画像データを、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項15に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理方法。
【請求項17】
生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする、
生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラム。
【請求項18】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップは、初めに単一又は複数の前記第1の副画像データを前記主画像データに合成し、次いで複数の前記第2の副画像データを、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項17に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラム。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが主画像中に順次出現するように構成された生理的報酬獲得行動抑制画像データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項21】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データは、初めに単一又は複数の前記生理的報酬獲得行動惹起画像が前記主画像中に出現し、次いで複数の前記生理的報酬獲得行動再現画像が、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像中に出現するように構成されたことを特徴とする、請求項20に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段を有することを特徴とする、
生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項2】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、初めに単一又は複数の前記第1の副画像が前記主画像中に出現し、次いで複数の前記第2の副画像が実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像中に出現するように、前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項1に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項3】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が連続的に又は規則的な若しくは不規則な間隔で間欠的に前記主画像中に出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項4】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が前記主画像の一部又は全部に重なって出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項1乃至3の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項5】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、複数の前記副画像が前記主画像中の複数個所に同時に出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項4に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項6】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記副画像が前記主画像中に所定の透過度で出現するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項4又は5に生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項7】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記主画像に対する前記副画像の出現位置が一定となるように又は規則的に若しくは不規則に変化するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項1乃至6の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項8】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段は、前記主画像に対する前記副画像の大きさが一定となるように又は規則的に若しくは不規則に変化するように前記副画像データを前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項1乃至7の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項9】
前記主画像データの生成、撮像、記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、又は他の装置からの受信を行う手段を更に有する、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項10】
前記副画像データの記憶及び読み出し、コンピュータ読み取り可能な記録媒体からの読み取り、又は他の装置からの受信を行う手段を更に有する、
請求項1乃至9の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項11】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成手段により生成した生理的報酬獲得行動抑制画像データの画像形成、他の装置への送信、又はコンピュータ読み取り可能な記録媒体への書き込みを行う手段を更に有する、
請求項1乃至10の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項12】
前記副画像は、静止画像又は動画像である、
請求項1乃至11の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項13】
前記副画像は、音を伴うものである、
請求項1乃至12の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項14】
前記生理的報酬獲得行動は、依存性物質摂取、賭博、摂食、性行動又はPTSDの症状である過去の危険回避行動に基づく反応である、
請求項1乃至13の何れか1項に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理装置。
【請求項15】
生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップを有することを特徴とする、
生理的報酬獲得行動抑制画像処理方法。
【請求項16】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップは、初めに単一又は複数の前記第1の副画像データを前記主画像データに合成し、次いで複数の前記第2の副画像データを、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項15に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理方法。
【請求項17】
生理的報酬獲得行動惹起画像にかかる第1の副画像データと、生理的報酬獲得行動再現画像にかかる第2の副画像データと、を主画像データに順次合成して生理的報酬獲得行動抑制画像データを生成する生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする、
生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラム。
【請求項18】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データ合成ステップは、初めに単一又は複数の前記第1の副画像データを前記主画像データに合成し、次いで複数の前記第2の副画像データを、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像データに合成することを特徴とする、
請求項17に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラム。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の生理的報酬獲得行動抑制画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項20】
生理的報酬獲得行動惹起画像と生理的報酬獲得行動再現画像とが主画像中に順次出現するように構成された生理的報酬獲得行動抑制画像データを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項21】
前記生理的報酬獲得行動抑制画像データは、初めに単一又は複数の前記生理的報酬獲得行動惹起画像が前記主画像中に出現し、次いで複数の前記生理的報酬獲得行動再現画像が、実際の前記生理的報酬獲得行動における出現順序に従って前記主画像中に出現するように構成されたことを特徴とする、請求項20に記載のコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−16038(P2013−16038A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148526(P2011−148526)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(506293085)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(506293085)
【Fターム(参考)】
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