説明

生産システム

【課題】レイアウト自由度を高め、スペース効率を向上させることができるとともに設置スペースに応じた配置が可能な生産システムを提供する。
【解決手段】ワークに対し生産処理を行う装置モジュール10を複数接続してなる生産システム1Aにおいて、装置モジュール10に、略箱状の装置基体20と、該装置基体20の内部で生産処理を行う処理部30と、ワークに対し処理部30により生産処理を行った後、当該ワークを次の装置モジュール10へと搬送する搬送口34とを備え、複数の装置モジュール10を、搬送口34の形成位置が同一平面上に一致した状態で接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対して加工工程や組立工程等の生産処理を行う生産装置を複数配列し、物品を生産する生産システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の生産装置を水平面に沿った一のライン上に配列した生産システムが知られている。このような生産システムにおいては、隣り合う生産装置の相互間を搬送部で接続し、ワークを個々の生産装置に順に搬送させて連続的に処理を行っている。
【0003】
従来、このような生産システムにおいては、生産を効率的に行うために、生産装置の形状や配置について様々な構成が検討されてきた。
例えば、特許文献1に示す製造ライン(生産システム)においては、カートリッジケースを固着する搬送テープに沿って、溶着装置やインク注入装置等の構成装置(生産装置)を横並びに配置している。この構成装置は、例えば、搬送テープに沿った長さが基準幅300mmの整数倍とされ、搬送テープに直交する方向の長さが1000mmとされている。
製造ラインをこのように構成することで、各構成装置の規格変更等による装置の入れ替え作業を行う場合には、入れ替える装置幅にあう設置スペースを確保して入れ替え作業を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−245314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、生産するワークの多品種少量生産化が進むなかで、製造ラインの多様化がさらに求められている。上記特許文献1に示す製造ラインでは、各構成装置を搬送テープに沿って水平一方向に配置しなければならないためレイアウト自由度が低く、工程が多い製品を生産する場合には複数列の製造ラインが必要となる。よって、床面積の有効活用を図ることができずスペース効率が悪いという欠点があった。また、設置スペースによっては、水平一方向に製造ラインを配置することができないという問題があった。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、レイアウト自由度を高め、スペース効率を向上させることができるとともに設置スペースに応じた配置が可能な生産システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係る生産システムは、ワークに対し生産処理を行う生産装置を複数接続してなる生産システムであって、前記生産装置は、略箱状の装置基体と、該装置基体の内部で前記生産処理を行う処理部と、前記ワークに対し、前記処理部により生産処理を行った後、当該ワークを次の生産装置へと搬送する搬送口と、を備え、複数の前記生産装置は、前記搬送口の形成位置が同一平面上に一致した状態で接続されていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る生産システムにおいては、前記搬送口は、鉛直方向である第1方向を向く前記搬送口と、前記第1方向に交差する第2方向を向く前記搬送口と、が形成されていることを特徴している。
【0009】
さらに、本発明に係る生産システムにおいては、前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向を向く搬送口が形成されていてもよい。
【0010】
また、本発明に係る生産システムにおいては、前記生産装置同士が、前記第1方向または前記第2方向に接続されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の生産システムによれば、各生産装置の搬送口が同一平面上に一致して接続されていることから、ワークの搬送経路を確保して該ワークに対して各生産モジュールにおいて順次生産処理を施すことが可能となるため、レイアウトの自由度を高めることができる。したがって、複数の生産装置を全体としてコンパクトな配置としたレイアウトとすることによりスペース効率を向上させることができ、また、設置スペースに応じた配置を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1実施形態に係る生産システムの概略構成を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る装置モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る生産システムの生産ラインの一例を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る生産システムの生産ラインの他の例を示す斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る生産システムの生産ラインの他の例を示す斜視図である。
【図6】第1実施形態に係る装置モジュールの他の構成例を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態に係る生産システムの概略構成を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態に係る装置モジュールの概略構成を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態に係る生産システムの平面図である。
【図10】第2実施形態に係る生産システムのレイアウトの一例を示す平面図である。
【図11】第2実施形態に係る装置モジュールの他の構成例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る生産システムの第1実施形態について図1から図4を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の生産システム1Aは、例えばレンズ等の不図示のワークの生産処理を行う略直方体状の装置モジュール(生産装置)10が複数並設及び積層されて立体的に配列されることで構成されており、全体として略直方体状に形成されている。なお、ここで言う生産処理とは、加工、表面処理、洗浄、組立、検査、測定、修理、梱包等のワークを生産する過程における各種処理のことを意味する。
【0014】
本実施形態においては、説明の便宜のため各装置モジュール10の筐体を直方体の形状として示している。それぞれの装置モジュール10では、ワークの少なくとも1つの生産処理を行うことができるようになっている。
なお、本実施形態においては、図1における装置モジュール10が積層される鉛直方向を第1方向Z1とし、水平面に沿った装置モジュール10の並設方向を第2方向Y1とし、さらに、該第1方向Z1及び第2方向Y1に直交する水平面に沿った方向を前後方向(第3方向)X1とする。
また、生産システム1Aを構成する各装置モジュール10は、第1方向Z1、第2方向Y1及び第3方向X1の寸法が一定とされている。
【0015】
装置モジュール10は、ワークに対して加工や組立等、少なくとも一つの生産処理を行うことができるように構成されており、図2に示すように、装置モジュール10の筐体となる装置基体20と、内部において少なくとも一つの生産処理を施すことが可能な処理部30と、該処理部30の制御を行う制御部40とを備えており、全体として略直方体状をなしている。
【0016】
装置基体20は、第3方向X1に延びる略直方体状をなし、一定の剛性を有しその厚さが十分薄く形成された筐体状に形成されており、モジュールシェルともみることができる。
【0017】
この装置基体20の外周面のうち、第1方向Z1を向く一対の面は、それぞれ第1接続平面22a,22bとされている。これら第1接続平面22a,22bは互いに並行な一対の平面とされており、第1方向Z1に直交するようにそれぞれ配置されている。
【0018】
また、装置基体20の外周面のうち第2方向Y1を向く一対の面は、それぞれ第2接続平面23a,23bとされている。これら第2接続平面23a,23bは互いに並行な一対の平面とされており、第2方向Y1に直交するようにそれぞれ配置されている。
なお、第1接続平面22a,22bと第2接続平面23a,23bとは互いに直交するように配置されている。
【0019】
処理部30は、装置基体20の第3方向X1を向く一対の面のうち前方側(図2おける紙面手前側)の面に保持されており、外形略直方体状をなしている。この処理部30の外周面は、上記装置基体20の外周面に対応して、4つの平面から構成されており、即ち、第1方向Z1を向く一対の第1平面31a,31bと、第2方向Y1を向く一対の第2平面32a,32bとから構成されている。
なお、第1平面31a,31bと第2平面32a,32bとは互いに直交するように配置されており、第1平面31a,31bは第1接続平面22a,22bと平行をなし、第2平面32a,32bは第2接続平面23a,23bと平行をなしている。
【0020】
また、処理部30の外周面を構成するこれら第1平面31a,31bと第2平面32a,32bには、略矩形状をなす搬送口34がそれぞれ形成されている。これにより、本実施形態においては、処理部30に計4つの搬送口34を備えることになる。なお、図2においては、第1平面31b、第2平面32bにおける搬送口34は図示を省略している。
これら第1平面31a,31bに形成された搬送口34は第1方向Z1を向いており、第2平面32a,32bに形成された搬送口34は第2方向Y1を向いている。
これら搬送口34は、生産システム1Aにおける隣接する装置モジュール10間でワークの受け渡しを行なう際に該ワークが通過する開口であり、開閉扉35によって開閉自在とされている。
【0021】
なお、処理部30内には、搬送口34を介してワークを搬出入させるためのワーク搬送機構として水平方向に往復移動可能なシャトル及び鉛直方向に移動可能なリフター(図示省略)が設けられており、これによって隣接する装置モジュール10間で、第1方向Z1又は第2方向Y1と一致する搬送方向Pに沿ってワークの受け渡しが行なわれる。
【0022】
制御部40は、装置基体20の第3方向X1を向く一対の面のうち後方側(図2おける紙面奥側)の面に保持されており、装置基体20の内部で上記処理部30と電気的に接続されている。これによって、制御部40から処理部30に対して電力供給及び制御指令の伝送が行われるようになっている。
【0023】
以上のような構成の装置モジュール10を複数配列して生産システム1Aを構築する際には、図1に示すように、各装置モジュール10の処理部30を第3方向X1前方側に向けた状態で、第2方向Y1に沿って複数の装置モジュール10をライン上に並設するとともに、このように並設された各装置モジュール10上にさらに複数の装置モジュール10を鉛直方向沿って配置する。
この際、第1方向Z1に積層されて隣接する装置モジュール10においては、第1接続平面22a,22b同士がそれぞれ面接触して接続される。また、第2方向Y1に隣接する装置モジュール10,10においては、それぞれの第2接続平面23a,23b同士が面接触して接続される。
また、このように接続された各装置モジュール10においては、第3方向X1における各搬送口34の形成位置が一致している。換言すれば、各装置モジュール10の搬送口34が、第3方向X1に直交する同一平面上に一致した状態で装置モジュール10が接続されているのである。
【0024】
このような生産システム1Aにおいては、処理部30内に設置された図示しない上記ワーク搬送機構により、隣接する各装置モジュール10の処理部30間で搬送方向Pに沿ってのワーク受け渡しが行なわれる。この受け渡しの際には、開閉扉35が開放状態とされた搬送口34をワークが通過する。そして、このように搬送口34を通過することで各処理部30内にワークが搬入されると、開閉扉35が閉塞状態とされた後に、ワークに対して所定の生産処理が施される。この生産処理が各装置モジュール10にて順次連続的に行なわれることで、ワークに対しての一連の生産工程が完了する。
【0025】
以上のような生産システム1Aによれば、複数の装置モジュール10により生産システム1Aを構築する際に、これら複数の装置モジュール10の第1接続平面22a,22b同士を接続することで第1方向Z1に順次装置モジュール10を積層配列することができ、また、第2接続平面23a,23b同士を接続することで第2方向Y1に順次装置モジュール10を配列することができる。したがって、装置モジュール10同士を互いに交差する第1方向(第1方向Z1)及び第2方向(第2方向Y1)の2つの方向にそれぞれ複数配列することができる。
さらに、各装置モジュール10の搬送口34が第3方向X1に直交する同一平面上に一致した状態となるように装置モジュール10同士が接続されるため、ワークを接続された装置モジュール10間で受け渡すことができ、ワークの搬送経路を確保することが可能となる。
したがって、第1方向(第1方向Z1)及び第2方向(第2方向Y1)の2つの方向にそれぞれ複数配列した装置モジュール10において、順次ワークに生産処理を施すことが可能となるため、生産システム1Aのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0026】
特に、本実施形態においては、複数の装置モジュール10が第1方向Z1に積層されるように配置されるため、複数の生産装置を全体としてコンパクトに配置することができ、床面積の有効利用を図りスペース効率を向上させることが可能となる。
【0027】
また、隣接する装置モジュール10において、ワーク受け渡しの方向を定めておくことにより、例えば図3に示すように、一つの生産システム1Aに、第2方向Y1にそった搬送方向Pにワークを搬送する生産ラインを第1方向Z1に複数構築することができる。
さらに、図4に示すように、第2方向Y1及び第1方向Z1に沿った搬送方向Pに順次ワークを搬送して各装置モジュール10にワークが連続的に導入される生産ラインを構築することもできる。
即ち、装置モジュール10の配置の自由度の高さにともなって、ワークの搬送方向Pを装置モジュール10間で自由に定めることができるため、生産ラインのレイアウトを自由に構築することが可能となるのである。
【0028】
また、図5に示すように、制御部40同士を接続して、各装置モジュール10を背面合わせに配置することもできる。これにより、前後方向X1の前方側と後方側において、別個異なる生産ラインを構築することができる。
【0029】
さらに、生産システム1Aにおいては、各装置モジュール10の第3方向X1における各搬送口34の形成位置が一致するように接続されているため、ワークを第3方向X1に直交する同一平面上に沿って搬送することができる。したがって、ワークの搬送を効率に行なうことができるため、生産性を向上させることが可能となる。
【0030】
また、各装置モジュール10の搬送口34が開閉自在であるため、ワークの搬送時以外は搬送口を閉塞状態とすることで、装置モジュール10内をクリーンな環境に維持することができる。また、隣接する装置モジュール10で生じたコンタミネーションの影響を最小限に抑えることができる。
【0031】
なお、第1実施形態においては、ワークが搬送時に通過する搬送口34が処理部30に形成されているが、例えば図6に示すように、処理部30に形成された搬送口34に変えて、装置基体20の第1接続平面22a,22b及び第2接続平面23b,23bにそれぞれ搬送口24が形成されていてもよい。これによっても、隣接する装置モジュール10間でワークの受け渡しを行なうことが可能となる。
【0032】
また、搬送口24,34は必ずしも4つ備える必要はなく、ワークの搬送方向Pが予め定まっているならば、当該搬送方向Pのみを向く搬送口24,34を備えたものであってもよい。
【0033】
さらに、本実施形態の生産システム1Aは、装置モジュール10が積層及び並列されることにより構成されているが、少なくとも積層のみされていればよい。これによって、生産システム1Aの設置スペースを小さくし、床面積の有効利用を図ることができる。
【0034】
また、本実施形態においては、生産システム1Aを構成する各装置モジュール10は、第1方向Z1、第2方向Y1及び第3方向X1の寸法が一定とされているが、これに限定されることなく、これら各寸法が異なるものであってもよい。但し、この場合であっても、各装置モジュール10は、それぞれの搬送口24,34の第3方向X1の位置を一致させた状態で接続される。
即ち、生産処理の内容変更や故障などにおける装置モジュールの入れ替え作業の際には、寸法が異なる装置モジュールとの入れ替えも可能となり、しいてはレイアウト自由度も高くなる。
【0035】
また、装置モジュール10に、第1方向Z1と第2方向X1とに直交する第3方向X1を向く搬送口(図示省略)が形成されていてもよい。
これにより、各装置モジュール10からワークを外部に取り出すことができる。
【0036】
(第2実施形態)
以下、本発明に係る生産システムの第2実施形態について図7から図11を参照しながら説明する。
図7に示すように、本実施形態の生産システム1Bは、例えばレンズ等の不図示のワークの生産処理を行う略直方体状の装置モジュール(生産装置)50が2次元的に水平方向に並設されることで構成されている。
【0037】
本実施形態においても、第1実施形態と同様、説明の便宜のため各装置モジュール50を直方体の形状として示している。それぞれの装置モジュール50では、ワークの少なくとも1つの生産処理を行うことができるようになっている。
なお、本実施形態においては、図7における装置モジュール50が並設される水平一方向(図6における紙面奥行方向)を第1方向X2とし、該第1方向X2に直交する水平方向(図6における紙面左右方向)を第2方向Y2とする。さらに、これら第1方向X2及び第2方向Y2に直交する鉛直方向を第3方向Z2とする。
また、生産システム1Bを構成する各装置モジュール50は、第1方向X2、第2方向Y2及び第3方向Z2の寸法がそれぞれ一定とされている。
【0038】
装置モジュール50は、ワークに対して少なくとも一つの生産処理を行うことができるように構成されており、図8に示すように、装置モジュール10の筐体となる装置基体20と、内部において少なくとも一つの生産処理を施すことが可能な処理部30と、該処理部30の制御を行う制御部40とを備えており、全体として略直方体状をなしている。
【0039】
装置基体60は、鉛直方向である第3方向Z2に延びる略直方体状をなし、一定の剛性を有しその厚さが十分薄く形成された筐体状に形成されており、モジュールシェルともみることができる。
【0040】
この装置基体60の外周面のうち水平方向である第1方向X2を向く一対の面は、それぞれ第1接続平面62a,62bとされている。これら第1接続平面62a,62bは互いに並行な一対の平面とされており、第1方向X2に直交するようにそれぞれ配置されている。
【0041】
また、装置基体60の外周面のうち、第1方向X2に直交する水平方向である第2方向Y2を向く一対の面は、それぞれ第2接続平面63a,63bとされている。これら第2接続平面63a,63bは互いに並行な一対の平面とされており、第2方向Y2に直交するようにそれぞれ配置されている。
なお、第1接続平面62a,62bと第2接続平面63a,63bとは互いに直交するように配置されている。
【0042】
処理部70は、装置基体60の上面に保持されており、外形略直方体状をなしている。この処理部70の水平方向を向く外周面は、上記装置基体60の外周面に対応して、4つの平面から構成されており、即ち、第1方向X2を向く一対の第1平面71a,71bと、第2方向Y2を向く一対の第2平面72a,72bとから構成されている。
なお、第1平面71a,71bと第2平面72a,72bとは互いに直交するように配置されており、第1平面71a,71bは第1接続平面62a,62bと平行をなし、第2平面72a,72bは第2接続平面63a,63bと平行をなしている。
【0043】
また、処理部70の外周面を構成するこれら第1平面71a,71bと第2平面72a,72bには、略矩形状をなす搬送口74が形成されている。第1平面71a,71bに形成された搬送口74は第1方向X2を向いており、第2平面72a,72bに形成された搬送口74は第2方向Y2を向いている。
これら搬送口74は、生産システム1Bにおける隣接する装置モジュール50間でワークの受け渡しを行なう際に該ワークが通過する開口であり、開閉扉75によって開閉自在とされている。
【0044】
なお、処理部70内には、搬送口74を介してワークを搬出入させるためのワーク搬送機構として水平方向、即ち、第1方向X2及び第2方向Y2に移動可能なシャトル(図示省略)が設けられており、これによって隣接する装置モジュール50間で、水平面に沿った第1方向X2又は第2方向Y2と一致する搬送方向Pに沿ってワークの受け渡しが行なわれる。
【0045】
制御部80は、装置基体60の底面側に保持されており、装置基体60の内部において上記処理部70と電気的に接続されている。これによって、制御部80から処理部70に対して電力供給及び制御指令の伝送が行われるようになっている。
【0046】
以上のような構成の装置モジュール50を複数配列して生産システム1Bを構築する際には、図7及び図9に示すように、第1方向X2又は第2方向Y2に装置モジュール50が隣接するように装置モジュール50を水平面上に並設していく。これにより、隣接する装置モジュール50の配列方向を搬送方向Pとした装置モジュール50が構築される。
【0047】
装置モジュール50同士の接続の際、第1方向X2に隣接する装置モジュール50,10においては、第1接続平面62a,62b同士がそれぞれ面接触して接続される。また、第2方向Y2に隣接する装置モジュール50,50においては、それぞれの第2接続平面63a,63b同士が面接触して接続される。
このように接続された各装置モジュール50においては、鉛直方向である第3方向Z2における各搬送口34の高さが一致する。換言すれば、各装置モジュール50の搬送口74が、第3方向Z2に直交する同一平面上に一致した状態で装置モジュール10が接続されているのである。
【0048】
このような生産システム1Bにおいては、処理部70内に設置された図示しない上記ワーク搬送機構により、搬送方向Pに沿って各装置モジュール50の処理部70間でのワーク受け渡しが行なわれる。この受け渡しの際には、開閉扉75が開放状態とされた搬送口74をワークが通過する。そして、このように搬送口74を通過することで各処理部70内にワークが搬入されると、開閉扉75が閉塞状態とされた後に、ワークに対して所定の生産処理が施される。この生産処理が各装置モジュール50にて順次連続的に行なわれることで、ワークに対しての一連の生産工程が完了する。
【0049】
ここで、本実施形態の生産システム1Bによれば、複数の装置モジュール50の第1接続平面62a,62b同士を接続することで水平面に沿った第1方向X2に装置モジュール50を配列することができ、また、第2接続平面63a,63b同士を接続することで第1方向X2に直交する水平面に沿った第2方向Y2に装置モジュール50を配列することができる。即ち、装置モジュール50を互いに交差する水平方向である第1方向X2及び第2方向Y2の2つの方向に接続して配列することができる。
さらに、各装置モジュール50の搬送口74が第3方向Z2に直交する同一平面上に一致した状態となるように装置モジュール10同士が接続されるため、接続された装置モジュール50間でワークを受け渡すことができ、ワークの搬送経路を確保することが可能となる。
したがって、第1方向(第1方向Z1)及び第2方向(第2方向Y1)の2つの方向にそれぞれ複数配列した装置モジュール50において、順次ワークに生産処理を施すことが可能となるため、生産システム1Bのレイアウトの自由度を高めることができる。
【0050】
したがって、例えば図10に示すように、生産システム1Bの設置スペースに支柱等の建造物90等があったとしても、該建造物90を取り囲むように各装置モジュール50を配置することで設置スペースに応じた配置を行なうことでき、設置スペースの制約を受けずに生産システム1Bを構築することが可能となる。
【0051】
さらに、生産システム1Bにおいては、各装置モジュール50の搬送口74が、同一水平面上に位置するように各装置モジュール50が接続されているため、ワークの搬送を効率に行なうことができるため、生産性を向上させることが可能となる。
【0052】
さらにまた、各装置モジュール50の搬送口74が開閉自在であるため、ワークの搬送時以外は搬送口74を閉塞状態とすることで、装置モジュール50内をクリーンな環境に維持することができる。また、隣接する装置モジュール10で生じたコンタミネーションの影響を最小限に抑えることができる。
【0053】
なお、第2実施形態においては、ワークが搬送時に通過する搬送口74が処理部70に形成されているが、例えば図10に示すように、処理部70に形成された搬送口74に変えて、装置基体60の第1接続平面62a,62b及び第2接続平面63b,63bにそれぞれ搬送口64が形成されていてもよい。
【0054】
また、搬送口64,74は必ずしも4つ備える必要はなく、ワークの搬送方向Pが予め定まっているならば、当該搬送方向Pのみを向く搬送口64,74を備えたものであってもよい。
【0055】
以上、本発明の実施形態では生産システム1A,1Bについて説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
なお、第1及び第2実施形態において、各第1接続平面22a,22b,62a,62b及び各第2接続平面23a,23b,64a,64bは直交する構成としたが、これに限定されることはなく、少なくともこれらが交差していればよい。これによって、互いに交差する2方向に装置モジュール10,50を接続して、生産システム1A,1Bのレイアウトの自由度を高めることができる。
【符号の説明】
【0056】
1A 生産システム
1B 生産システム
10 装置モジュール(生産装置)
20 装置基体
22a 第1接続平面
22b 第1接続平面
23a 第2接続平面
23b 第2接続平面
24 搬送口
30 処理部
31a 第1平面
31b 第1平面
32a 第2平面
32b 第2平面
34 搬送口
35 開閉扉
40 制御部
50 装置モジュール(生産装置)
60 装置基体
62a 第1接続平面
62b 第1接続平面
63a 第2接続平面
63b 第2接続平面
64 搬送口
70 処理部
71a 第1平面
71b 第1平面
72a 第2平面
72b 第2平面
74 搬送口
75 開閉扉
80 制御部
X1 第3方向
Y1 第2方向
Z1 第1方向
X2 第1方向
Y2 第2方向
Z2 第3方向
P 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対し生産処理を行う生産装置を複数接続してなる生産システムであって、
前記生産装置は、
略箱状の装置基体と、
該装置基体の内部で前記生産処理を行う処理部と、
前記ワークに対し、前記処理部により生産処理を行った後、当該ワークを次の生産装置へと搬送する搬送口と、
を備え、
複数の前記生産装置は、前記搬送口の形成位置が同一平面上に一致した状態で接続されていることを特徴とする生産システム。
【請求項2】
前記搬送口は、
鉛直方向である第1方向を向く前記搬送口と、前記第1方向に交差する第2方向を向く前記搬送口と、が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の生産システム。
【請求項3】
前記第1方向と前記第2方向とに直交する第3方向を向く搬送口が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の生産システム。
【請求項4】
前記生産装置同士が、前記第1方向または前記第2方向に接続されることを特徴とする請求項2または3に記載の生産システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−25352(P2011−25352A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173551(P2009−173551)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】