説明

生産管理システム及び生産管理方法

【課題】製品の生産ラインにおいて、生産性の向上を図るための生産管理システム及び生産管理方法を提供する。
【解決手段】画質調整装置20の制御部21は、調整対象の液晶パネル10のROMに個体識別子を記録する。そして、制御部21は、測定処理、補正データの生成処理を実行する。次に、制御部21は、個体識別子に関連付けて、補正情報管理サーバ40への補正データの登録処理を実行する。また、書込装置30の制御部31は、個体識別子の読み込み処理を実行する。そして、ROMに個体識別子が記録されており、未処理の補正データが登録されている場合、書込装置30の制御部31は、補正情報管理サーバ40から補正データの取得処理を実行する。そして、書込装置30の制御部31は、調整対象の液晶パネル10のROMへの補正データの書き込み処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の生産ラインにおいて、生産性の向上を図るための生産管理システム及び生産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、液晶パネル等のディスプレイの製造ラインは、均一な品質を実現できるように構築されている。しかし、このような製造ラインにおいても、個々のディスプレイには、製造バラツキが発生する。そこで、各ディスプレイにおいて、よりよい画像を出力できるように調整するための技術が検討されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の技術では、画質調整装置の制御部が、テストパターンを生成し、液晶パネルに供給し、撮影カメラから出力画像を取得する。そして、出力画像データについてバンドパスフィルタリングを行ない、補正値を算出する。そして、すべての基準階調について画像補正テーブルの算出を終了した場合、補正回路のROMに書き込む。液晶パネルに画像を表示するための画像信号は、ROMに記録された画像補正テーブルを参照し、線形補間された補正値を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−57149号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1に記載の補正データの生成方法においては、表示データの測定、補正データの作成、補正データの書込というプロセスが必要になる。この場合、それぞれのプロセスの所要時間が異なる。従って、一連のプロセスを同時期に実行する場合には、それぞれのプロセスを実行するために必要なリソースを、他のプロセスを実行している場合にも占有することになる。このため、リソースを有効に活用することができず、生産性の向上を図ることが困難である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、製品の生産ラインにおいて、生産性の向上を図るための生産管理システム及び生産管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、調整対象製品についての補正情報を作成する補正情報作成手段と、前記補正情報を、調整対象製品に書き込む補正情報書込手段と、個体識別子に関連付けられた補正情報を記憶する補正情報管理手段とを備えた生産管理システムであって、前記補正情報作成手段が、前記調整対象製品についての個体識別子を特定する手段と、前記調整対象製品の特性情報を取得する手段と、前記特性情報に対応した補正情報を、前記調整対象製品の個体識別子に関連付けて補正情報管理手段に記録する手段とを備え、前記補正情報書込手段が、前記調整対象製品についての個体識別子を特定する手段と、前記補正情報管理手段から、前記個体識別子に関連付けられた補正情報を取得し、前記調整対象製品のメモリに書き込む手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の生産管理システムにおいて、前記補正情報作成手段が、前記調整対象製品に対して個体識別子を付与し、前記調整対象製品のメモリ
に書き込むことにより、調整対象製品についての個体識別子を特定し、前記補正情報書込手段が、前記調整対象製品のメモリから個体識別子を取得することにより、調整対象製品についての個体識別子を特定することを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の生産管理システムにおいて、前記補正情報書込手段が、固有識別子がメモリに記録されていない調整対象製品を検知した場合には、アラームを出力することを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の生産管理システムにおいて、前記補正情報管理手段は、個体識別子に対して、補正情報の書込済情報を更に記憶し、前記補正情報書込手段が、調整対象製品に補正情報を書き込んだ場合には、この調整対象製品の個体識別子に対して書込済情報を前記補正情報管理手段に記録し、新たな調整対象製品のメモリから、前記補正情報管理手段において書込済情報が付与された個体識別子を取得した場合には、アラームを出力することを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の生産管理システムにおいて、前記補正情報管理手段は、補正情報の登録時刻を更に記憶し、前記補正情報管理手段が、補正情報の書込実績が登録されない個体識別子についての登録時刻からの経過時間を算出し、前記経過時間が基準時間を越えた個体識別子を抽出した場合には、アラームを出力することを要旨とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、個体識別子に関連付けられた補正情報を記憶する補正情報管理手段と、調整対象製品についての補正情報を作成する補正情報作成手段と、前記補正情報を、調整対象製品に書き込む補正情報書込手段とを備えた生産管理システムを用いて、生産管理を行なう方法であって、前記補正情報作成手段が、前記調整対象製品についての個体識別子を特定する段階と、前記調整対象製品の特性情報を取得する段階と、前記特性情報に対応した補正情報を、前記調整対象製品の個体識別子に関連付けて補正情報管理手段に記録する段階とを実行し、前記補正情報書込手段が、前記調整対象製品についての個体識別子を特定する手段と、前記補正情報管理手段から、前記個体識別子に関連付けられた補正情報を取得し、前記調整対象製品のメモリに書き込む手段とを実行することを要旨とする。
【0012】
(作用)
請求項1又は6に記載の発明によれば、補正情報作成手段が、調整対象製品についての個体識別子を特定し、調整対象製品の特性情報を取得し、特性情報に対応した補正情報を、調整対象製品の個体識別子に関連付けて補正情報管理手段に記録する。また、補正情報書込手段が、調整対象製品についての個体識別子を特定し、補正情報管理手段から、個体識別子に関連付けられた補正情報を取得し、調整対象製品のメモリに書き込む。これにより、補正情報の作成処理と補正情報の書込処理とを分けて行なうことができる。従って、各処理時間が異なる場合にも、時間調整を行なうことにより、生産性を向上させることができる。また、二つの処理を、異なる場所で並行して処理することができるため、生産ラインの設計の自由度を高めることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、補正情報作成手段が、調整対象製品に対して個体識別子を付与し、調整対象製品のメモリに書き込む。また、補正情報書込手段が、調整対象製品のメモリから個体識別子を取得する。これにより、調整対象製品のメモリを用いて、各調整対象製品の個体識別子を特定することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、補正情報書込手段が、固有識別子がメモリに記録されていない調整対象製品を検知した場合には、アラームを出力する。これにより、調整対象
製品の特性情報の取得漏れを抑制することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、補正情報書込手段が、調整対象製品に補正情報を書き込んだ場合には、この調整対象製品の個体識別子に対して書込済情報を補正情報管理手段に記録する。そして、新たな調整対象製品のメモリから、補正情報管理手段において書込済情報が付与された個体識別子を取得した場合には、アラームを出力する。これにより、補正情報の再書込を抑制することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、補正情報管理手段が、補正情報の書込実績が登録されない個体識別子についての登録時刻からの経過時間を算出し、経過時間が基準時間を越えた個体識別子を抽出した場合には、アラームを出力する。これにより、補正情報の書込漏れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、製品の生産ラインにおいて、生産性の向上を図るための生産管理システム及び生産管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の生産管理システムの説明図。
【図2】本発明の処理手順の説明図。
【図3】本発明の処理手順の説明図。
【図4】本発明の液晶パネルにおける表示処理の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の生産管理システム及び生産管理方法について説明する。本実施形態では、調整対象の表示パネルの表示むら(輝度むら)を抑制して画質を改善する場合を想定する。なお、本実施形態では、調整対象製品(表示パネル)として、液晶パネル10を用いる。
【0020】
この液晶パネル10は、透明電極に挟まれた液晶(液晶部)と、背面から液晶を照明するバックライトから構成されている。このため、液晶パネル10には、液晶部のむらやバックライトの周辺減光が重畳された画像が出力されることになる。
【0021】
そこで、液晶パネル10の画質を改善するために、図4に示すように、液晶パネル10は、供給される画像信号を調整するための補正回路50を備えている。具体的には、液晶パネル10に画像を表示するための画像信号(RGB信号)は、液晶パネル10とともに補正回路50に供給される。
【0022】
この補正回路50は、画像補正テーブルを記録するための不揮発性メモリ(ROM51)を備える。
このROM51には、入力された画像信号の信号値を調整するための補正値に関するデータ(画像補正テーブル)が記録される。本実施形態では、基準階調毎に補正値の平面分布が記録される。
【0023】
この補正回路50は、図4に示すように、ROM51の他に、選択・補間手段52、加算手段53を備える。
選択・補間手段52は、ROM51に記録された画像補正テーブルを、RGB信号毎に参照する。ここでは、選択・補間手段52は、画像信号の各RGB信号値に隣接する二つの基準階調の画像補正テーブルにおいて、画像信号のピクセル位置(xy座標)を囲む四つのブロック格子点によって決まる補正値(2×4=8個)を取得する。そして、選択・
補間手段52は、取得した補正値について、画像信号の信号値と各格子点との距離に応じて線形補間を行なう。
【0024】
そして、加算手段53は、選択・補間手段52から取得した補正値を、入力された画像信号に加算する。液晶パネル10は、この補正された画像信号を取得して、画像を表示する。
【0025】
この補正値を算出するための生産管理システムは、図1に示すように、補正情報作成手段としての画質調整装置20、補正情報書込手段としての書込装置30、補正情報管理手段としての補正情報管理サーバ40から構成される。本実施形態では、画質調整装置20は、測定エリアA1に設置され、書込装置30は書込エリアA2に設置される。
【0026】
画質調整装置20には、撮影カメラ22、テストパターン発生装置23、ROMライタ24が接続されている。
ここで、撮像手段としての撮影カメラ22は、液晶パネル10上に表示された画像を撮影し、出力画像データを画質調整装置20に供給する。本実施形態では、撮影カメラ22として、表示パネルの画素サイズよりも小さい領域を解像可能なCCD素子を備えたモノクロカメラを用いる。そして、液晶パネル10に表示された画像を撮影する。
【0027】
信号発生手段としてのテストパターン発生装置23は、画質調整装置20からの指示に基づいて、液晶パネル10にテストパターン信号を供給する。本実施形態では、8bitのRGB信号を液晶パネル10全面に供給する。
ROMライタ24は、画質調整装置20から取得した個体識別子をROM51に書き込む。
【0028】
画質調整装置20は、液晶パネル10の画質を調整するための補正値を算出する処理を実行するコンピュータ端末である。この画質調整装置20は、制御部21を備える。
【0029】
制御部21は、制御手段としてのCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理(個体識別子を特定する段階、特性情報を取得する段階、補正情報を生成する段階、補正情報を登録する等を含む処理)を行なう。このための補正データ作成プログラムを実行することにより、制御部21は、個体識別子特定手段、特性情報取得手段、補正情報生成手段、補正情報登録手段として機能する。
【0030】
個体識別子特定手段は、調整対象製品についての個体識別子を特定する処理を実行する。具体的には、個体識別子を付与し、液晶パネル10のROM51に書き込む。
特性情報取得手段は、調整対象製品の特性情報を取得する処理を実行する。具体的には、液晶パネル10に入力する信号を制御するとともに、液晶パネル10に表示された出力画像データを取得する。
【0031】
補正情報生成手段は、調整対象製品の特性情報に対応した補正情報を生成する処理を実行する。具体的には、液晶パネル10に表示された出力画像データに基づいて補正値を算出する。
【0032】
補正情報登録手段は、調整対象製品の個体識別子に関連付けて補正情報管理手段に記録する処理を実行する。具体的には、算出した補正値により構成された画像補正テーブルを補正情報管理サーバ40に送信する。
【0033】
一方、書込装置30には、ROMライタ34が接続されている。このROMライタ34は、調整対象の液晶パネル10のROM51から個体識別子を読み出しとともに、画像補
正テーブルをROM51に書き込む。
【0034】
書込装置30は、液晶パネル10の画質を調整するための補正値を書き込む処理を実行するコンピュータ端末である。この書込装置30は、制御部31やディスプレイを備える。このディスプレイは、プロセス上の問題点について、管理者に注意喚起を行なうためのアラーム出力手段として機能する。
【0035】
制御部31は、制御手段としてのCPU、RAM及びROM等を有し、後述する処理(個体識別子を特定する段階、補正情報を取得する段階、補正情報をメモリに書き込む段階等を含む処理)を行なう。このための書込処理プログラムを実行することにより、制御部21は、図1に示すように、個体識別子特定手段、補正情報取得手段、補正情報書込手段として機能する。
【0036】
個体識別子特定手段は、整対象製品についての個体識別子を特定する処理を実行する。具体的には、液晶パネル10のROM51に書き込まれた個体識別子を取得する。
補正情報取得手段は、補正情報管理手段から、個体識別子に関連付けられた補正情報を取得する処理を実行する。具体的には、補正情報管理サーバ40から画像補正テーブルを取得する。
【0037】
補正情報書込手段は、補正情報を調整対象製品のメモリに書き込む処理を実行する。具体的には、補正情報管理サーバ40から取得した画像補正テーブルを、液晶パネル10のROM51に書き込む。
【0038】
また、ROMライタ24は、液晶パネル10のROM51に書き込まれた個体識別子を読み取るとともに、画質調整装置20から出力される補正データをROM51に書き込む。
【0039】
補正情報管理サーバ40は、液晶パネル10の画質を調整するための補正値を管理するコンピュータシステムである。この補正情報管理サーバ40は、補正情報記憶部42を備える。そして、補正情報管理サーバ40は、後述する補正データの管理処理において、補正情報記憶部42に記憶された補正データを管理するための基準時間に関するデータを保持している。
【0040】
補正情報記憶部42は、各液晶パネル10の画像を補正するための補正データ(補正情報)を記憶する。この補正データは、画質調整装置20から画像補正テーブルを取得した場合に登録される。この補正データは、個体識別子、画像補正テーブル、登録時刻、ステータスに関するデータを含んで構成される。
【0041】
個体識別子データ領域には、各液晶パネル10を特定するための識別子に関するデータが記録される。
画像補正テーブルデータ領域には、この液晶パネル10のROM51に書き込む画像補正テーブルが記録される。ここでは、所定の階調毎に表示むらを抑制するための画像補正テーブルが記憶される。
【0042】
登録時刻データ領域には、この液晶パネル10の画像補正テーブルが登録された時刻に関するデータが記録される。
ステータスデータ領域には、各液晶パネル10の調整状況を特定するためのフラグに関するデータが記録される。調整対象の液晶パネル10のROM51に、この画像補正テーブルを書き込んだ場合には、終了フラグが記録される。
【0043】
上記のシステムを用いて、液晶パネル10の生産管理を行なう処理について説明する。ここでは、図2、3を用いて、補正データの生成処理、補正データの書き込み処理、補正データの管理処理の順番に説明する。
【0044】
(補正データ生成処理)
まず、図2を用いて、補正データ生成処理を説明する。この補正データの生成処理は、測定エリアA1に設置された画質調整装置20を用いて行なわれる。
【0045】
ここでは、まず、画質調整装置20の制御部21は、個体識別子の記録処理を実行する(ステップS1−1)。具体的には、制御部21の個体識別子特定手段が、調整対象の液晶パネル10を特定するための個体識別子を決定する。そして、個体識別子特定手段は、ROMライタ24に、生成した個体識別子を供給する。この場合、ROMライタ24は、調整対象の液晶パネル10のROM51に、個体識別子を書き込む。
【0046】
次に、画質調整装置20の制御部21は、測定処理を実行する(ステップS1−2)。具体的には、制御部21の特性情報取得手段が、テストパターン発生装置23に対して、調整対象階調の画像出力を行なうためのRGB信号の出力を指示する。ここでは、調整対象階調において、液晶パネル10全面に対して、R信号値、G信号値、B信号値が同じ信号(共通する信号値)を用いる。この指示に応じて、テストパターン発生装置23は、調整対象階調となる8bitのRGB信号を液晶パネル10に供給する。
【0047】
そして、液晶パネル10は、これに応じて調整対象階調のグレー画像を出力する。この場合、液晶においてセルギャップのむらや、バックライトの明るさにむらがある場合には、液晶パネル10において、これらのむらが重畳された表示むらが生じる。ここで、撮影カメラ22は、表示むらが重畳された画像を撮影する。
【0048】
そして、画質調整装置20の制御部21は、出力画像の取得処理を実行する。具体的には、制御部21の特性情報取得手段は、液晶パネル10を撮影した出力画像データを撮影カメラ22から取り込む。そして、特性情報取得手段は、この出力画像データを、8×8ピクセルから構成されたブロック毎の輝度分布に変換し、フィルタ手段に供給する。
【0049】
次に、画質調整装置20の制御部21は、フィルタリング処理を実行する。具体的には、制御部21の特性情報取得手段は、取得した出力画像データに対してバンドパスフィルタリングを行なうことにより、バンドパスデータを算出する。このバンドパスデータは、液晶パネル10の面内の輝度分布に応じて、低周波成分や高周波成分を除いた分布から構成される。
【0050】
次に、画質調整装置20の制御部21は、補正データの生成処理を実行する(ステップS1−3)。具体的には、制御部21の補正情報生成手段は、バンドパスデータを反転させた画像補正テーブルを生成する。ここでは、具体的には、予め設定された階調(基準階調)毎に、液晶パネル10上の補正値の分布を算出する。本実施形態では、8bitで表現される信号値において所定数(例えば、10段階)の基準階調を用いる。そして、基準階調に対応した調整対象階調を1段階毎に順次変更し、調整対象階調毎に画像補正テーブルを生成する。更に、補正情報生成手段は、調整を行なった基準階調を特定する識別子に関連付けて画像補正テーブルをメモリに一時記憶する。
【0051】
次に、画質調整装置20の制御部21は、個体識別子に関連付けて補正データの登録処理を実行する(ステップS1−4)。具体的には、制御部21の補正情報登録手段は、すべての基準階調について補正データの算出を終了した場合、生成した画像補正テーブルを、この液晶パネル10の個体識別子とともに補正情報管理サーバ40に転送する。この場
合、補正情報管理サーバ40は、補正情報記憶部42に、個体識別子に関連付けて画像補正テーブルを記録する。更に、補正情報管理サーバ40は、システムタイマから取得した現在時刻を登録時刻として記録する。
補正データ生成処理を終えた液晶パネル10は、所定のタイミングで、測定エリアA1から書込エリアA2に配送される。
【0052】
(補正データの書き込み処理)
この処理は、書込エリアA2に設置された書込装置30を用いて行なわれる。測定エリアA1から書込エリアA2に配送された液晶パネル10は、ROMライタ34に接続される。
【0053】
この場合、書込装置30の制御部31は、個体識別子の読み込み処理を実行する(ステップS2−1)。具体的には、液晶パネル10の接続を検知した場合、制御部31の個体識別子特定手段は、この液晶パネル10のROM51に記憶された個体識別子を検索する。
【0054】
次に、書込装置30の制御部31は、測定済みかについての判定処理を実行する(ステップS2−2)。具体的には、制御部31の個体識別子特定手段が、ROM51から個体識別子を取得できた場合には、測定済みと判定する。又、ROM51に個体識別子が記録されていない場合には、未測定と判定する。
【0055】
ROM51に個体識別子が記録されておらず、未測定と判定した場合(ステップS2−2において「NO」の場合)、書込装置30の制御部31は、アラーム処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部31の個体識別子特定手段が、ディスプレイにアラームを出力する。このアラームには、書込エリアA2に未測定の液晶パネル10が紛れ込んでいることを示すメッセージを含める。
【0056】
一方、ROM51に個体識別子が記録されており、測定済みと判定した場合(ステップS2−2において「YES」の場合)、書込装置30の制御部31は、補正データの検索処理を実行する(ステップS2−4)。具体的には、制御部31の補正情報取得手段が、補正情報管理サーバ40の補正情報記憶部42を用いて、液晶パネル10のROM51から取得した個体識別子を検索する。
【0057】
次に、書込装置30の制御部31は、未処理の補正データがあるかどうかについての判定処理を実行する(ステップS2−5)。具体的には、制御部31の補正情報書込手段が、補正情報記憶部42において個体識別子を抽出できない場合には、補正データが登録されていないと判定する。又、個体識別子が記録された補正データを抽出できた場合であっても、終了フラグが記録されている場合には、未処理の補正データが登録されていないと判定する。
【0058】
未処理の補正データが登録されていない場合(ステップS2−5において「NO」の場合)、書込装置30の制御部31は、アラーム処理を実行する(ステップS2−3)。具体的には、制御部31の補正情報書込手段が、ディスプレイにアラームを出力する。このアラームには、補正情報記憶部42に補正データの登録がないことを示すメッセージを含める。
【0059】
一方、未処理の補正データが登録されている場合(ステップS2−5において「YES」の場合)、書込装置30の制御部31は、補正データの取得処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部31の補正情報書込手段が、補正情報管理サーバ40の補正情報記憶部42から、個体識別子に関連付けられた画像補正テーブルを取得する。
【0060】
次に、書込装置30の制御部31は、補正データの書き込み処理を実行する(ステップS2−7)。具体的には、制御部31の補正情報書込手段が、ROMライタ34に対して、補正情報記憶部42から抽出した画像補正テーブルを供給する。この場合、ROMライタ34は、液晶パネル10のROM51に画像補正テーブルを書き込む。これにより、ROM51には、基準階調毎に、液晶パネル10の面内のブロック位置(xy座標)に対して補正値の分布が記録される。
【0061】
次に、書込装置30の制御部31は、終了フラグの記録処理を実行する(ステップS2−8)。具体的には、制御部31補正情報書込手段が、補正情報管理サーバ40に対して、個体識別子について補正データの書き込み終了を通知する。この場合、補正情報管理サーバ40は、補正情報記憶部42に、個体識別子に関連付けられたステータスデータ領域に終了フラグを記録する。
【0062】
(補正データの管理処理)
次に、図3を用いて、補正データの管理処理を説明する。本実施形態では、補正情報管理サーバ40が、補正データの管理処理を実行する。
【0063】
補正情報管理サーバ40は、補正データの登録時刻の取得処理を実行する(ステップS3−1)。具体的には、補正情報管理サーバ40は、補正情報記憶部42において、終了フラグが記録されていない補正データを検索する。このような補正データが記憶されている場合には、補正情報管理サーバ40は登録時刻を取得する。
【0064】
次に、補正情報管理サーバ40は、基準時間以上の時間が経過しているかどうかについての判定処理を実行する(ステップS3−2)。具体的には、補正情報管理サーバ40は、抽出した補正データの登録時刻からの経過時間を算出する。そして、補正情報管理サーバ40は、算出した経過時間と基準時間とを比較する。
【0065】
基準時間以上の時間が経過している補正データがない場合(ステップS3−2において「NO」の場合)には、補正データの登録時刻の取得処理(ステップS3−1)を継続する。
【0066】
一方、基準時間以上の時間が経過している補正データが記録されている場合(ステップS3−2において「YES」の場合)には、アラーム処理を実行する(ステップS3−3)。具体的には、補正情報管理サーバ40は、ディスプレイにアラームを出力する。このアラームには、使用されていない補正データが補正情報記憶部42に残っていることを示すメッセージを含める。
【0067】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) 本実施形態では、画質調整装置20は、測定エリアA1に設置され、書込装置30は書込エリアA2に設置される。そして、画質調整装置20の制御部21は、個体識別子の記録処理(ステップS1−1)、測定処理(ステップS1−2)、補正データの生成処理(ステップS1−3)を実行する。そして、画質調整装置20の制御部21は、個体識別子に関連付けて補正データの登録処理を実行する(ステップS1−4)。また、書込装置30の制御部31は、個体識別子の読み込み処理(ステップS2−1)、補正データの取得処理(ステップS2−6)、補正データの書き込み処理(ステップS2−7)を実行する。これにより、測定と書き込みとを別々に行なうことができる。測定処理、補正データ作成処理、書込処理に必要な所要時間、データの規模により異なるため、同一エリアで一連の作業として行なう場合、生産性を向上させることが困難であった。また、所要時間が同一であっても、サイズ等によって、ライン設計が困難な場合もある。従って、上
記構成により、プロセスの分化、時間管理を効率的に行なうことができる。
【0068】
(2) 本実施形態では、ROM51に個体識別子が記録されておらず、未測定と判定した場合(ステップS2−2において「NO」の場合)、書込装置30の制御部31は、アラーム処理を実行する(ステップS2−3)。これにより、測定処理を行なわないで、書込エリアA2に配送された液晶パネル10の存在等のプロセス上の問題点について、管理者に対して注意喚起することができる。
【0069】
(3) 本実施形態では、未処理の補正データが登録されていない場合(ステップS2−5において「NO」の場合)、書込装置30の制御部31は、アラーム処理を実行する(ステップS2−3)。これにより、何らかの障害等により、補正データが削除されている場合に注意を喚起することができる。更に、既に補整データが書き込まれた液晶パネル10の誤配送等のプロセス上の問題点について、管理者に対して注意を喚起することができる。
【0070】
(4) 本実施形態では、補正情報管理サーバ40は、補正データの管理処理を実行する。ここでは、基準時間以上の時間が経過している補正データが記録されている場合(ステップS3−2において「YES」の場合)には、補正情報管理サーバ40はアラーム処理を実行する(ステップS3−3)。これにより、十分な時間が経過しても、補正データが書き込まれていない場合等のプロセス上の問題点について、管理者に対して注意を喚起することができる。従って、調整漏れの製品の発生を抑制することができる。
【0071】
また、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 上記実施形態においては、画質調整装置20の制御部21は、個体識別子の記録処理を実行する(ステップS1−1)。そして、書込装置30の制御部31は、個体識別子の読み込み処理を実行する(ステップS2−1)。各液晶パネル10における個体識別子の付与方法や特定方法は、これに限定されるものではない。例えば、予め液晶パネル10の測定対象外の領域に、個体識別子を表示したプレートを貼付しておくことも可能である。この場合には、画質調整装置20や書込装置30に個体識別子読取装置を接続しておく。例えば、個体識別子読取装置として撮影装置を用いる場合には、プレートの撮影画像に基づいて、文字認識処理(OCR)により固体識別子を特定する。又、バーコードや2次元コードを印字したプレートを用いることも可能である。この場合には、個体識別子読取装置としてコードリーダを用いる。又、個体識別子を記憶させた無線タグを、各液晶パネル10に貼付しておくことも可能である。この場合には、個体識別子読取装置としての無線タグリーダにより、個体識別子を取得することができる。
【0072】
・ 上記実施形態においては、画質調整装置20の制御部21が、補正データの生成処理を実行する(ステップS1−3)。補正データの生成処理は、他のコンピュータシステム(例えば、補正情報管理サーバ40)を用いて行なうことも可能である。この場合には、補正データの生成処理も分化して行なわれるので、生産ラインの設計の自由度を高めることができる。
【0073】
・ 上記実施形態においては、補正情報管理サーバ40に補正情報記憶部42を設けたが、補正情報記憶部42を、画質調整装置20や書込装置30に設けるようにしてもよい。
【0074】
・ 上記実施形態においては、1台ずつの画質調整装置20や書込装置30を用いて説明したが、複数の画質調整装置20や書込装置30を併用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10…液晶パネル、20…画質調整装置、21…制御部、22…撮影カメラ、23…テストパターン発生装置、24…ROMライタ、30…書込装置、31…制御部、34…ROMライタ、40…補正情報管理サーバ、42…補正情報記憶部、50…補正回路、51…ROM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整対象製品についての補正情報を作成する補正情報作成手段と、
前記補正情報を、調整対象製品に書き込む補正情報書込手段と、
個体識別子に関連付けられた補正情報を記憶する補正情報管理手段とを備えた生産管理システムであって、
前記補正情報作成手段が、
前記調整対象製品についての個体識別子を特定する手段と、
前記調整対象製品の特性情報を取得する手段と、
前記特性情報に対応した補正情報を、前記調整対象製品の個体識別子に関連付けて補正情報管理手段に記録する手段とを備え、
前記補正情報書込手段が、
前記調整対象製品についての個体識別子を特定する手段と、
前記補正情報管理手段から、前記個体識別子に関連付けられた補正情報を取得し、前記調整対象製品のメモリに書き込む手段と
を備えたことを特徴とする生産管理システム。
【請求項2】
前記補正情報作成手段が、前記調整対象製品に対して個体識別子を付与し、前記調整対象製品のメモリに書き込むことにより、調整対象製品についての個体識別子を特定し、
前記補正情報書込手段が、前記調整対象製品のメモリから個体識別子を取得することにより、調整対象製品についての個体識別子を特定することを特徴とする請求項1に記載の生産管理システム。
【請求項3】
前記補正情報書込手段が、固有識別子がメモリに記録されていない調整対象製品を検知した場合には、アラームを出力することを特徴とする請求項2に記載の生産管理システム。
【請求項4】
前記補正情報管理手段は、個体識別子に対して、補正情報の書込済情報を更に記憶し、
前記補正情報書込手段が、
調整対象製品に補正情報を書き込んだ場合には、この調整対象製品の個体識別子に対して書込済情報を前記補正情報管理手段に記録し、
新たな調整対象製品のメモリから、前記補正情報管理手段において書込済情報が付与された個体識別子を取得した場合には、アラームを出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の生産管理システム。
【請求項5】
前記補正情報管理手段は、補正情報の登録時刻を更に記憶し、
前記補正情報管理手段が、補正情報の書込実績が登録されない個体識別子についての登録時刻からの経過時間を算出し、
前記経過時間が基準時間を越えた個体識別子を抽出した場合には、アラームを出力することを特徴とする請求項4に記載の生産管理システム。
【請求項6】
個体識別子に関連付けられた補正情報を記憶する補正情報管理手段と、
調整対象製品についての補正情報を作成する補正情報作成手段と、
前記補正情報を、調整対象製品に書き込む補正情報書込手段とを備えた生産管理システムを用いて、生産管理を行なう方法であって、
前記補正情報作成手段が、
前記調整対象製品についての個体識別子を特定する段階と、
前記調整対象製品の特性情報を取得する段階と、
前記特性情報に対応した補正情報を、前記調整対象製品の個体識別子に関連付けて補正情報管理手段に記録する段階とを実行し、
前記補正情報書込手段が、
前記調整対象製品についての個体識別子を特定する手段と、
前記補正情報管理手段から、前記個体識別子に関連付けられた補正情報を取得し、前記調整対象製品のメモリに書き込む手段と
を実行することを特徴とする生産管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−53579(P2012−53579A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194476(P2010−194476)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(503193351)株式会社イクス (28)
【Fターム(参考)】