説明

生産計画支援装置及び方法並びにプログラム

【課題】製品の注文数量の変動に効率的に対応すること。
【解決手段】所定の順序で、製品の出荷単位である仮想的な座席を少なくとも一以上有し、製品の製造単位である仮想的な車両を少なくとも一以上有する仮想的な列車を、製品の生産段階の工程である複数の仮想的なステーション4a,4b,4cのそれぞれに経由させつつ、製品の生産が完了し、出荷が可能な状態となっている段階の工程である仮想的なターミナル5まで仮想的に移動させる場合に、顧客と顧客からの製品の受注情報とが対応付けられた注文情報に基づいて、ターミナル5において出荷されない製品を保管する仮想的な操車場6に到着してから期間が長い座席に相当する製品から優先的に出荷させる出荷指示部と、操車場6において出荷されない座席の数が第1閾値を上回った場合には、上流側の工程に対し、出荷されない座席分の生産中止指示する在庫管理部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、製造リードタイムが長く、顧客納期の短い生産形態に好適な生産計画支援装置及び方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、設計・加工等の複数の工程を経て生産される製品は、顧客の受注状況から製品の納期、生産必要量を算出し、製造リードタイム等に基づいて効率のよい生産計画を作成する方法として、生産座席予約システムが知られている。
例えば、特許文献1には、製品を生産する過程で行われる複数の作業において生産座席を定め、所定の製品製作作業において、製品の生産座席予約を上流側の座席に対して行い、製品の注文数量に基づいて、製品を産出する作業から順次下流の作業に向けて行う方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−350787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ガスタービンのタービン翼は、組立状態で翼列1列が数十枚或いは百数十枚の翼から構成されており、各段につき翼列1列を製造して組み立てるガスタービン組立品販売(タービン翼をロータに組立、その他部品もあり)の場合には、タービン翼の注文は翼列単位であるが、一方、サービス販売の場合は、注文はタービン翼1枚から翼列1列分の百数十枚(或いは数十枚)まで変動する。
また、製品がこうしたガスタービンのタービン翼のように、製造リードタイムが長く、顧客への納期が短い生産形態の場合には、顧客からの受注があってから生産を開始したのでは顧客の需要に応えることができないため、受注の前段階において、ある程度受注を見込んで生産を開始し、在庫を有することによって、組立品販売やサービス販売に対応するべく顧客の需要に備えている。
しかしながら、実際の受注は、見込み生産よりも少なくなる場合が多いため、過剰となる在庫が発生するという問題があった。
【0005】
こうした過剰在庫を低減させる方法として、上記特許文献1では、製品の生産段階である品目に用途や使用条件等の許容範囲を定めておき、過剰となった在庫がある場合であっても、許容される範囲内で他の製品に変更して生産する方法が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1では、製品の長さや色等の仕様変更には対応できるものの、注文数量に変動がある場合、即ち、出荷予約されて生産された製品数量よりも受注した注文数量が少ない場合に発生する製品数量の余剰に対する対処方法がなく、過剰な在庫数量が増大するという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、製品の注文数量の変動に効率的に対応することのできる生産計画支援装置及び方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、複数の工程を有して製品を生産する生産計画を支援する生産計画支援装置であって、前記製品の出荷単位である仮想的な座席と、少なくとも一以上の前記座席を有し、前記製品の製造単位である仮想的な車両と、少なくとも一以上の前記車両を有する仮想的な列車と、前記製品の生産段階の前記工程である複数の仮想的なステーションと、前記製品の生産が完了し、出荷が可能な状態となっている段階の前記工程である仮想的なターミナルと、前記ターミナルにおいて出荷されない前記製品を保管する仮想的な操車場と、を具備し、所定の順序で、前記列車を各前記ステーションに経由させつつ、前記ターミナルまで仮想的に移動させる場合に、顧客と該顧客からの製品の受注情報とが対応付けられた注文情報に基づいて、前記操車場に到着してから期間が長い前記座席に相当する前記製品から優先的に出荷させる出荷指示手段と、前記操車場において出荷されない前記座席の数が第1閾値を上回った場合には、上流側の前記工程に対し、出荷されない前記座席分の生産中止を指示する在庫管理手段とを具備する生産計画支援装置を提供する。
【0008】
このような構成によれば、製品の出荷単位である仮想的な座席を少なくとも一以上有する仮想的な車両を、少なくとも一以上有する仮想的な列車とし、列車が、所定の順序で複数の仮想的なステーションを経由されてターミナルまで移動されることにより、ターミナルには、複数の生産工程を経て生産が完了した製品が到着する。また、ターミナルにおいて出荷されない製品は、操車場において保管される。また、操車場に到着してから期間が長い座席に相当する製品が、優先的に出荷される。
【0009】
例えば、ターミナルに到着した列車全体の車両のうち、出荷できる座席に相当する製品がある場合であっても、本発明では、操車場に到着して長期間経過した製品から優先的に出荷させるので、ターミナルに到着した列車の車両において余剰となる座席数をまとまった形で把握できる。また、第1閾値を上回る個数の出荷されない座席は、上流側の工程に対して生産を中止させるので、受注された時点で多くの在庫が生じることが判明した場合には、在庫を低減でき、過剰な在庫を抱えることを防ぐことができる。
【0010】
上記生産計画支援装置の前記出荷指示手段は、前記操車場において、出荷させる前記製品がない場合に、前記ターミナルにおける前記列車のうち先頭側の前記車両に含まれる前記座席に相当する前記製品から順に出荷させることとしてもよい。
操車場から出荷させる製品がなくなると、ターミナルの列車の先頭側の車両の座席の製品から順に出荷させるので、ターミナルから出荷されずに残る座席数を容易に把握できる。
【0011】
上記生産計画支援装置において、各前記列車の生産能力の制約を規定する生産管理情報を格納する生産管理データベースと、前記顧客との前記製品の商談に関する情報が格納されている需要情報データベースと、各前記ステーションにおいて停車中の前記列車に対し、前記需要情報データベースに格納されている前記商談に関する情報と前記生産管理情報とに基づいて列車編成を決定し、該列車編成に基づいて、生産指示を行う生産指示手段とを具備することとしてもよい。
【0012】
このように、顧客との製品の商談に関する情報と生産能力の制約とに基づいて列車編成されることにより、生産能力を超えずに、出荷に必要とされる個数の製品を製造することができる。ここで、列車編成とは、例えば、顧客名と顧客の注文する製品の識別番号とにより決定される各車両の行き先、各車両の座席数、及び列車の有する車両数等である。
【0013】
上記生産計画支援装置の各前記ステーションにおいて、前記工程の下流側から生産中止の指示を取得した場合には、生産中止の指示を受けた前記座席分の生産を中止し、生産中止とされた前記座席分の前記工程の上流側から取得した途中加工物を在庫として保管する仮想的な倉庫が設けられることとしてもよい。
【0014】
このように、生産中止となった座席分の途中加工物を在庫として保管するので、見込み外れで工程を進めることにより生じる無駄な在庫を低減することができる。また、汎用性のある中間品で在庫としておくことで、完成品を在庫とするよりもコストを低減できるので、結果として販売価格を低く設定することができる。ここで、途中加工物とは、各ステーションにおける製造を完了する以前の段階(つまり、工程の上流側から受け取った状態)の加工物を示し、例えば、タービン翼の製品翼を製造する工程であれば、前段階で製造された精密鋳造翼、精密鋳造翼を製造する工程であれば、前段階で製造された合金素材を意味する。
【0015】
上記生産計画支援装置の前記生産指示手段は、製品が出荷される予定である前記販売計画で予定されていなかった予定外注文が発生した場合には、前記途中加工物の在庫を使用し、前記予定外注文に対応した加工を指示することとしてもよい。
このように、販売計画で予定されていない予定外注文が発生した場合であっても、途中加工物を使用して、製造を再開できるので、予定外注文に速やかに対応できる。
【0016】
上記生産計画支援装置の前記在庫管理手段は、前記倉庫において、前記途中加工物の在庫数が第2閾値を上回った場合に、さらに上流側の前記工程において、該第2閾値を上回った前記途中加工物の前記座席分の生産中止を指示することとしてもよい。
途中加工物の在庫が増えすぎる場合には、さらに上流側の工程に対して生産を中止させることにより、途中加工物の在庫の余剰を抑えることができる。
【0017】
上記生産計画支援装置の前記在庫管理手段は、前記倉庫において、前記途中加工物の在庫数が第3閾値を下回った場合に、さらに上流側の前記工程に対し、該第3閾値を下回った前記途中加工物の前記座席分の補充の生産を指示することとしてもよい。
途中加工物の在庫が減りすぎる場合には、さらに補充の生産をさせることにより、途中加工物の在庫の不足を防ぐことができる。
【0018】
上記生産計画支援装置において、前記製品の仕様を示す生産仕様軸と、各前記工程の所要時間を示す時間軸とを有するマップを有し、現在日時を基準として、前記製品の生産工程の進捗状況を前記マップに示し、提示させる提示手段を具備する。
これにより、現在の日時を基準とした製品の仕様とに応じた進捗状況が提示されることにより、製品の製造段階を視覚的に把握できる。
【0019】
上記生産計画支援装置において、前記進捗状況は、前記製品の生産工程に関連する情報を管理する担当者名の情報とともに提示されることとしてもよい。
例えば、生産工程に必要な仕様を検討する担当者名が提示されていれば、案件を多く抱えている担当者、案件の少ない担当者等を容易に把握できるので、案件数を振り分ける等の案件数の偏り解消ができるようになる。また、案件数の偏りを解消することにより、偏ることにより生じる検討の遅延等を防ぐことができる。
【0020】
本発明は、複数の工程を有して製品を生産する生産計画を支援する生産計画支援方法であって、所定の順序で、前記製品の出荷単位である仮想的な座席を少なくとも一以上有する、前記製品の製造単位である仮想的な車両を少なくとも一以上有する仮想的な列車を、前記製品の生産段階の前記工程である複数の仮想的なステーションのそれぞれに経由させつつ、前記製品の生産が完了し、出荷が可能な状態となっている段階の前記工程である仮想的なターミナルまで仮想的に移動させる場合に、顧客と該顧客からの製品の受注情報とが対応付けられた注文情報に基づいて、前記ターミナルにおいて出荷されない前記製品を保管する仮想的な操車場に到着してから期間が長い前記座席に相当する前記製品から優先的に出荷させ、かつ、前記操車場において出荷されない前記座席の数が第1閾値を上回った場合には、上流側の前記工程に対し、出荷されない前記座席の生産中止を指示する生産計画支援方法を提供する。
【0021】
本発明は、複数の工程を有して製品を生産する生産計画を支援する生産計画支援プログラムであって、所定の順序で、前記製品の出荷単位である仮想的な座席を少なくとも一以上有する、前記製品の製造単位である仮想的な車両を少なくとも一以上有する仮想的な列車を、前記製品の生産段階の前記工程である複数の仮想的なステーションのそれぞれに経由させつつ、前記製品の生産が完了し、出荷が可能な状態となっている段階の前記工程である仮想的なターミナルまで仮想的に移動させる場合に、顧客と該顧客からの製品の受注情報とが対応付けられた注文情報に基づいて、前記ターミナルにおいて出荷されない前記製品を保管する仮想的な操車場に到着してから期間が長い前記座席に相当する前記製品から優先的に出荷させる処理と、前記操車場において出荷されない前記座席の数が第1閾値を上回った場合には、上流側の前記工程に対し、出荷されない前記座席の生産中止を指示する処理と、をコンピュータに実行させるための生産計画支援プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、製品の注文数量の変動に効率的に対応できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るステーションとターミナルと操車場との関係の一例を示した図である。
【図2】第1ステーションにおける列車の構成について説明するための図である。
【図3】第2ステーションにおける列車の構成について説明するための図である。
【図4】第3ステーションにおける列車の構成について説明するための図である。
【図5】ターミナルと操車場における列車の構成について説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る生産計画支援装置の概略構成を示した図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る生産計画支援装置の機能ブロック図である。
【図8】製品の仕様が細分化されることを説明するための樹形図の一例である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る生産計画支援装置の機能ブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る生産計画支援装置における表示装置で表示される画面例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る生産計画支援装置及び方法並びにプログラムの実施形態について、図面を参照して説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本実施形態に係る生産計画支援装置の概略構成を示したブロック図である。本実施形態において、複数の工程を有して生産する製品をガスタービンのタービン翼とし、生産計画支援装置をガスタービンのタービン翼の生産計画に適用する場合を例に挙げて説明する。
【0025】
本実施形態においては、複数の工程を有して製品を生産する段階の各工程を仮想的なステーション(駅)4a,4b,4cとし、製品が完成し、出荷が可能な状態となっている段階の工程を仮想的なターミナル(終着駅)5とし、各ステーション4a,4b,4cからターミナル5までの区間で、計画サイクル当たりの生産能力を示す仮想的な列車3を仮想的に移動させることにより、製品の生産工程を進めることとして説明する。また、列車3は、1つ以上の座席1を有する車両2を1つ以上含んで構成されている。本実施形態においては、図2に示されるように、N号の列車3は、6つの車両2a,2b,2c,2d,2e,2fを備えており、各車両2a,2b,2c,2d,2e,2fはそれぞれ6個の座席1を有していることとして説明するが、座席数、及び車両数は特に限定されない。また、以下特に明記しない場合には、車両は車両2として記述する。
【0026】
また、車両2は行き先毎に、個人客と団体客とに区別される。例えば、ガスタービンのタービン翼が組立状態で翼列1列が数十枚或いは百数十枚の翼から構成されている場合において、各段につき翼列1列を製造して組み立てるガスタービン組立品販売のように、翼列単位での注文を団体客とし、タービン翼1枚から翼列1列分の百数十枚(或いは数十枚)までの範囲であるタービン翼単位での注文を個人客とする。
【0027】
また、本実施形態においては、生産段階を示すステーションを生産工程の順に、第1ステーション4a、第2ステーション4b、第3ステーション4cとし、第3ステーション4cの次に、出荷段階を示すターミナル5、ターミナルの次に、ターミナルで余剰とされた製品を在庫として保管する仮想的な操車場6を設けることとして説明するが、ステーション、ターミナル、操車場の個数はこれに限定されない。また、以下特に明記しない場合には、ステーションはステーション4として記述する。
【0028】
図2に示されるように、第1ステーション4aは、複数種類の地金、合金等から、タービン翼の合金素材を製造する工程とし、図3に示されるように、第2ステーション4bは、第1ステーション4aで製造された合金素材からタービン翼を精密鋳造(例えば、出荷される製品に加工するよりも前の段階であり、複数の製品の原型となる精鋳翼を製造)する工程とし、図4に示されるように、第3ステーション4cは、精密鋳造されたタービン翼から製品(例えば、製品翼)を製造する工程とする。
【0029】
このように、工程の上流側から下流側、即ち、第1ステーション4aから第3ステーション4cの生産工程は、プロセスを経るに従って仕様が細分化されている。例えば、精鋳翼の仕様が精鋳翼X,Y,Zの3種類とされ、それぞれから製造される製品の仕様がさらに3種類ずつある場合に、精鋳翼Xから製造される製品は製品x1,x2,x3、精鋳翼Yから製造される製品は製品y1,y2,y3、精鋳翼Zから製造される製品は製品z1,z2,z3とする。上述したような、各ステーション4での生産工程、生産工程の順序、及び各ステーション4の工程の所要時間は、対応付けられてステーションマスタとして、格納部30に格納されている(図7参照)。
【0030】
また、第1ステーション4a、第2ステーション4b、第3ステーション4cには、上流側から受け取った途中加工物を、各生産工程が開始される前の状態で在庫として保管する仮想的な倉庫7,7,7が設けられている。例えば、第1ステーション4aには、購入した地金や再利用するスクラップの合金素材を在庫として保管する第1倉庫7が設けられ、第2ステーション4bには、上流側(第1ステーション4a)から受け取った合金素材を在庫として保管する第2倉庫7が設けられ、第3ステーション4cには、上流側(第2ステーション4b)から受け取った精鋳翼を在庫として保管する第3倉庫7が設けられる。以下特に明記しない場合には、第1倉庫7、第2倉庫7、及び第3倉庫7は倉庫7として記述する。
【0031】
ターミナル5は、顧客からの注文を待機し、第3ステーション4cで製造され、完成された製品(例えば、製品翼)の出荷を待機する工程である。
操車場6は、ターミナル5において出荷されない製品が、在庫として保管される工程である。例えば、適宜必要に応じて(例えば、製品の不足が生じた場合等)、操車場6に保管されている製品が、顧客への出荷分に割り当てられる。
【0032】
図6に示すように、本実施形態に係る生産計画支援装置10は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、CPU(中央演算処理装置)11、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置12、補助記憶装置13、キーボードやマウスなどの入力装置14、及びディスプレイやプリンタなどの出力装置15、外部の機器と通信を行うことにより情報の授受を行う通信装置16などで構成されている。
【0033】
補助記憶装置13は、コンピュータ読取可能な記録媒体であり、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。この補助記憶装置13には、各種プログラム(例えば、生産計画支援プログラム)が格納されており、CPU11が補助記憶装置13から主記憶装置12にプログラムを読み出し、実行することにより種々の処理を実現させる。
【0034】
図7は、生産計画支援装置10が備える機能を展開して示した機能ブロック図である。図7に示されるように、生産計画支援装置10は、生産指示部(生産指示手段)21、出荷指示部(出荷指示手段)22、DB管理部23、及び在庫管理部(在庫管理手段)24を備えている。また、生産計画支援装置10は、格納部30と情報の授受可能に接続されている。
【0035】
上述した生産計画支援装置10が備える各部において実行される処理内容について図7を参照して説明する。なお、図7に示した各部により実現される後述の各種処理は、CPU11が補助記憶装置13に記憶されている生産計画支援プログラムを主記憶装置12に読み出して実行することにより実現されるものである。
【0036】
格納部30は、製造技術データベース、生産管理データベース、需要情報データベース、及び在庫管理データベースを格納している。
製造技術データベースは、列車3がステーション4を移動(経由)する順序、列車3がステーション4間を経由する時間、列車3の車両2と座席1とに対するステーション4間の加工内容、及びステーション4に到着した列車3の途中加工物、或いはステーション4にある倉庫7の途中加工物から、次のステーション4までに加工される仕様を示した情報(例えば、図8に示されるような樹形図)を含むステーションマスタを格納している。
【0037】
生産管理データベースは、ステーション4間を移動させる場合に、各ステーションに停車する列車3の本数や各列車3の車両編成等により生産能力の制約を規定する生産管理情報を格納している。具体的には、生産管理情報とは、所定期間において生産できる製品数量を意味する。また、生産管理情報は、設備保守等による生産能力の減少分を考慮して決定されることとしてもよい。例えば、生産管理情報は、精鋳翼及び製品翼の種類に応じて決定され、1つの列車3に設けることのできる車両2の個数及び座席1の個数を規定するデータである。
【0038】
需要情報データベースは、販売計画情報、商談情報、及び注文情報を格納している。販売計画情報は、商談交渉前の顧客に関し、製品が完成されるまでの過程において作成される段階的な途中加工物の情報、数量、出荷時期等の情報である。商談情報は、商談交渉中の顧客に関し、商談で候補となっている仕様(途中加工物や完成した製品)、納期、数量等の情報である。また、商談情報は、商談が破談した顧客に関し、破談前の候補となっていた仕様(途中加工物や完成した製品)、納期、数量等の情報をも含んでいる。
【0039】
注文情報は、商談を受注した顧客に関して、注文を受けた製品と製品が完成するまでの過程において作成される途中加工物、納期、数量等の情報である。ここで、上記仕様とは、最終的に完成された製品の仕様に加え、最終的に完成された製品の仕様が未定であって、完成する以前の段階の仕様である途中加工物の仕様を含む。
在庫管理データベースは、各ステーション4における途中加工物、ターミナル5及び操車場6における完成した製品の在庫情報か格納されている。
【0040】
生産指示部21は、各ステーション4において停車中の列車3に対し、需要情報データベースに格納されている商談に関する情報(販売計画情報、商談情報、及び注文情報)と生産管理情報とに基づいて列車編成を決定し、この列車編成に基づいて、生産指示を行う。ここで、列車の編成とは、例えば、顧客名と顧客の注文する製品の識別番号とにより決定される各車両2の行き先、各車両の座席1の個数、及び列車3の有する車両2の個数等である。
【0041】
また、生産指示部21は、生産中止の指示を受けたステーション4において、生産中止指示する仕様の車両2があれば、その車両2の座席1の途中加工物を倉庫7に保管させ、生産中止指示の仕様の車両2がなければ、後続列車3が到着したときに中止指示を出力する。また、生産指示部21は、列車3の停車しているステーション4とその直前のステーション4との間において、ある車両2の商談が破談となった場合には、その車両2の座席1の途中加工物を使用して販売できる顧客候補があれば行き先を変更して生産指示を行い、顧客候補がなければ途中加工物を保管する倉庫7へ保管指示を出力する。
【0042】
生産指示部21は、在庫管理部24から補充生産指示を受けたステーション4において、到着(停車中)の列車3に途中加工物を座席1に配した車両2を、車両2の先頭側から納期順になるように列車3を編成する。例えば、製品が出荷される予定である販売計画で予定されていなかった予定外注文が発生した場合には、生産指示部21は、途中加工物の在庫を使用し、予定外注文に対応した加工を指示する。
【0043】
また、生産指示部21は、列車3の車両編成後、生産管理データベースの生産管理情報と比較し、車両編成が生産負荷を超過する場合は、最後尾の車両2から座席1(または車両2)単位で減じ、減じた分の車両2が、後続の車両2がステーション4に到着したときに、先頭から納期順になるように列車3を編成する。また、生産指示部21は、上述した生産管理情報を更新する。
【0044】
出荷指示部22は、所定の順序で、列車3を各ステーション4に経由させつつ、ターミナル5まで仮想的に移動させる場合に、顧客とこの顧客からの製品の受注情報とが対応付けられた注文情報に基づいて、操車場6に到着してから期間が長い座席1に相当する製品から優先的に出荷させる。また、出荷指示部22が製品を出荷させる場合には、座席単位または複数座席を有する車両単位で出荷させる。また、出荷指示部22は、操車場6において出荷させる座席1(または車両2)がない場合には、列車3の先頭側の車両2から順に、座席1(または車両2)単位で出荷させる。さらに、出荷指示部22は、ターミナル5に到着した列車3及び操車場6から出荷しないと判定された完成した製品を、操車場6において保管させるべく、操車場6に対して保管指示を出力する。
【0045】
在庫管理部24は、上述した第1倉庫7、第2倉庫7、第3倉庫7、及び操車場6の在庫を管理する。具体的には、在庫管理部24は、出荷指示部22から完成した製品の保管指示を取得した場合には、操車場6に在庫を保管させ、生産指示部21から途中加工物の保管指示を取得した場合には、ステーション4の所定の倉庫7に在庫を保管させる。
また、在庫管理部24は、操車場6に保管している在庫数が、第1閾値を上回る場合に、ターミナル5の直前のステーション4から順に、上流側の工程に対して生産を中止させる指示である生産中止指示を出力する。
【0046】
また、在庫管理部24は、ステーション4の倉庫7に保管している途中加工物の在庫数が、第2閾値を上回る場合には、直前のステーション4から順に、上流側の工程へ生産中止指示を出力する。さらに、在庫管理部24は、ステーション4の倉庫7に保管している途中加工物の在庫数が、第3閾値を下回る場合には、所定量の在庫を確保するべく補充生産指示を出力する。また、第2閾値及び第3閾値は、各倉庫7,7,7のそれぞれに応じて規定される閾値であることとする。
在庫管理部24は、上述したように倉庫7及び操車場6の在庫を所定の閾値に基づいて調整するとともに、調整後の在庫情報を更新する。
【0047】
なお、在庫管理部24により出荷されないと判定された座席1の個数が比較される所定の閾値は、特に制限されないが、より好ましくは、車両2に設けられる座席数(例えば、図5では6座席)とする。車両に設けられる座席の数だけ未出荷とされている場合(例えば、図5の6両目車両2f)には、車両単位で製造の中止を指示することができるので、管理が容易となる。
【0048】
DB管理部23は、入力装置14等から入力される商談に関する情報(販売計画情報、商談情報、及び注文情報のうち少なくともいずれか1つ)を取得した場合に、需要情報データベースに格納されており、取得した情報に対応する商談に関する情報(販売計画情報、商談情報、及び注文情報のうち少なくともいずれか1つ)とそれぞれ比較し、相違がある場合には、新たに入力された商談に関する情報によって需要情報データベースを書き換える。
【0049】
次に、本実施形態に係る生産計画支援装置10の作用について図1から図8を用いて説明する。
オペレータにより入力装置14が操作され、製品の出荷される予定である販売計画が入力されると、販売計画情報として需要情報データベースに記録され、格納部30に格納される。需要情報データベースの販売計画情報と、生産管理データベースの生産管理情報とに基づいて、顧客名及び各顧客の注文する製品の識別番号から決定される車両2の行き先、列車3に設けられる車両数、車両2毎において製品の出荷単位である座席数等の列車3の編成が決定される。例えば、図2に示されるように、座席を6個ずつ有する車両2の6両(例えば、車両2a,2b,2c,2d,2e,2f)を1つの列車3(例えば、列車N号)とし、紙面右側を先頭車両として、行き先(注文主)が順にA,B,C,D,E,Fと決定される。また、行き先Bはガスタービンのタービン翼を翼列単位で注文する団体客とし、他の行き先A,C,D,E,Fは、タービン翼単位での注文をする個人客であることとする。
【0050】
図示しない制御部によって上記編成の列車3が第1ステーション4aに仮想的に移動されると(図2参照)、各車両2に対して、合金素材の製造指示が出力され、車両2毎に所定の合金素材が製造される。各車両2において合金素材が製造されると、列車3が第2ステーション4bに移動され(図3参照)、需要情報データベースに格納されている商談に関する情報(例えば、販売計画情報、商談情報等)と、製造技術データベースに格納されているステーションマスタとに基づいて、各車両2に対して、精密鋳造指示が出力され、車両2毎にステーションマスタに規定される精鋳翼(例えば、精鋳翼X,Y,Z)が製造される。各車両2において精鋳翼の製造が完了すると、列車3は第3ステーション4cに移動される(図4参照)。
【0051】
第3ステーション4cにおいて、車両2毎にステーションマスタで規定される製品翼が製造される。例えば、行き先Aの先頭車両2aは精鋳翼Xから製品翼x1が6個製造され、行き先Cの3両目車両2cは精鋳翼Xから製品翼x2が6個製造される。各車両2において製品翼(製品)が製造されると、列車3はターミナル5に移動される。一方、実際に顧客から注文を受けた注文の情報が入力装置14から入力されると、格納部30に注文情報として格納される。列車3がターミナル5に到着すると(図5参照)、販売計画情報に基づいて編成された列車3の情報と注文情報とが比較され、実際に注文されている製品は、操車場6に保管されている座席1に相当する製品のうち、操車場6に到着してからの期間が長い製品から優先的に、座席1(または、車両2)単位で出荷される。
【0052】
また、操車場6において出荷させる製品がない場合には、続いて、列車3の先頭側の車両2aから座席1(または、車両2)単位で出荷される。1つの車両2において、販売計画の時点で出荷予定であった座席1が、実際には注文されなかった場合には、余剰分とされる(例えば、図5の車両2aの後方4座席)。注文情報に基づいて、余剰分の座席1に相当する製品を注文している顧客(例えば、図5の行き先F)がある場合には、後続車両(例えば、車両2f)で製造していた製品(座席1)であっても、その余剰分の座席(図5の車両2aの後方4座席)から優先的に出荷させる。
【0053】
また、余剰分の座席1を注文している顧客がいない場合には、余剰分の座席1は操車場6に保管される。また、操車場6に保管された座席1が、第1閾値(例えば、車両2の一両分における全ての座席1である6座席)を上回るか否かが判定され、第1閾値を上回った場合(例えば、7座席)には、上流側の工程(例えば、第3ステーション4c)に対し、生産中止指示が出力される。
【0054】
例えば、図5の6両目車両2fの精鋳翼Xから製造される製品翼x1は、車両2f全体の6座席が余剰分とされ、余剰分の6座席は操車場6の在庫として保管させる。また、第1閾値以下の場合(例えば、図5の3両目車両2cの後方2座席や、5両目車両2eの中間と後方の4座席のように6座席以下)には、余剰分の座席1を操車場6の在庫として保管させる。これにより、操車場6に保管された在庫は、ターミナル5において座席1の不足が生じた場合に割り当てられる座席1として出荷の待機状態となる。
【0055】
操車場6における座席1が第1閾値を上回ることにより、第3ステーション4cに対して生産中止指示が出力された場合には、第3ステーション4cにおいて、N号の列車3がターミナル5に到着している場合の第3ステーション4cに到着(停車)している列車3のうち、生産中止指示を取得した該当製品を製造する車両2の製造が中止される。例えば、精鋳翼Xから製造される製品翼x1に相当する車両2、例えば、2両目2bの製造が中止され、精鋳翼Xの状態の途中加工物が第3倉庫7に格納される。
また、飛び込み注文(例えば、製品翼x3)があり、飛び込み注文の製品が第3倉庫7に格納されている途中加工物(例えば、精鋳翼X)で加工可能である場合には、途中加工物(例えば、精鋳翼X)を使用して製品(例えば、製品翼x3)を製造させるべく、生産指示が出力される。
【0056】
このように、途中加工物の状態で倉庫7に在庫として保有しておくことにより予定外注文があった場合に、予定外注文の製品の製造に速やかに対応でき、製品x1等の完成品として保管しておくよりも、製品x2や製品x3等にも加工可能な汎用性のある中間品である途中加工物(例えば、精鋳翼X)で保有しておくことで、価格及びコストを低減させることができる。また、第3倉庫7において、途中加工物の在庫が所定の第2閾値を上回った場合には、さらに上流側の第2ステーション4bに対して生産中止指示が出力される。第2ステーション4bにおいては、生産中止指示が取得されると、N号の列車3がターミナル5に到着している場合の第2ステーション4bに到着(停車)している列車3のうち、生産中止指示を取得した該当製品を製造する車両2の製造が中止される。
【0057】
第3倉庫7における精鋳翼Xの在庫が所定の第2閾値を上回った場合には、第2ステーション4bの精鋳翼Xを製造する車両2(例えば、先頭車両2a側から順に精査し、一致する車両)、例えば、先頭車両2aの製造が中止される。これにより、先頭車両2aにおいて精鋳翼Xが製造される前の段階である合金素材が、第2倉庫7に在庫として保管される。また、第3倉庫7における途中加工物の在庫が所定の第3閾値を下回った場合には、第2ステーション4bに対し、第3閾値を下回った途中加工物の補充生産指示が出力される。
【0058】
第2ステーション4bは、補充生産指示を取得すると、上流側の第1ステーション4aで生成された第2倉庫7に保管されている合金素材の在庫を使用して精鋳翼の補充生産が開始される。さらに、第2倉庫7において、途中加工物(例えば、合金素材)の在庫が、第2閾値以上となった場合には、第1ステーション4aにおいて先頭車両2aで製造していた合金素材の製造を中止させる。
【0059】
以上説明してきたように、本実施形態に係る生産計画支援装置10及び方法並びにプログラムによれば、製品の出荷単位である仮想的な座席1を少なくとも一以上有する仮想的な車両2を、少なくとも一以上有する仮想的な列車3とし、列車3が、所定の順序で複数の仮想的なステーション4を経由されてターミナル5まで移動されることにより、ターミナル5には、複数の生産工程を経て生産が完了した製品が到着する。また、ターミナル5では、操車場6の在庫として保管される座席に相当する製品から優先的に出荷させ、操車場6からの出荷がなくなった場合には、列車3の先頭車両2a側の座席に相当する製品から優先的に出荷される。
例えば、ターミナル5に到着した列車3全体の車両のうち、出荷できる座席1に相当する製品がある場合であっても、本発明では、操車場6に到着して長期間経過した製品から優先的に出荷させるので、ターミナル5に到着した列車3の車両2において余剰となる座席1の個数をまとまった形で把握できる。また、第1閾値を上回る個数の出荷されない座席は、上流側の工程に対して生産を中止させるので、受注された時点で多くの在庫が生じることが判明した場合には、在庫を低減でき、過剰な在庫を抱えることを防ぐことができる。
【0060】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について、図9及び図10を用いて説明する。
本実施形態の生産計画支援装置10´は、製品の生産工程の所要期間に基づいて出荷予定を演算する演算部25、及び出荷予定と販売計画とに基づいて現在の生産工程の状況を提示させる提示部26を備える点で、第1の実施形態と異なる。以下、本実施形態の生産計画支援装置について、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0061】
図9は、本実施形態に係る生産計画支援装置10´の機能ブロック図を示している。
演算部25は、製品の生産工程の所要期間に基づいて出荷予定を演算する。具体的には、演算部25は、顧客の要求する納期と物流期間(例えば、出荷地域、物流手段等により決定される期間)とに基づいて、出荷予定を演算する。
【0062】
提示部26は、出荷予定と販売計画とに基づいて現在の生産工程の状況を提示する。具体的には、提示部26は、出荷予定と現在の時間とを含む時間軸(図10における横軸)と、現在の生産工程の段階と仕様とに基づいて構成される生産仕様軸(図10における縦軸)とを有するマップを構成し、このマップをディスプレイ等の出力装置15に表示させ、製品の工程状況をオペレータ等に対して視覚的に提示する。
【0063】
顧客の要求納期を含む販売計画が入力されると、顧客要求納期と物流期間とに基づいて出荷予定が算出される(図10の(1)参照)。出荷予定が算出されると、続いて製品の完成予定日が算出される(図10の(2)参照)。現在日時と製品の完成予定日とに基づいて、現在が完成予定の何日(または、何週間、何カ月)前後かが算出される。図10において、横軸の数字は時間を表し、負は完成以前、正は完成後を意味する。ここで、横軸の時間の単位は特に限定されず、日、週、月等、適宜設定されることとする。
完成予定以前であれば、生産工程の段階であることを意味し、完成予定以後であれば、出荷や納期の遅れ、或いは、売れ残りによる在庫があることを意味する。ここでは、現在日時が完成予定以前であることとして説明する(図10の(3)参照)。
【0064】
算出された現在日時、完成予定日、出荷予定日の情報は、提示部26に出力される。提示部26において、現在日時、完成予定日、出荷予定日の情報に基づいて、所定のマップ上の時間軸上の位置が決定される(図10の(4)参照)。また、現在日時における各製品の生産工程の段階を示す工程情報が取得されると、所定のマップ上の生産仕様軸上のうち、該当する工程の位置が決定される(図10の(5)参照)。また、本実施形態においては、図10の生産仕様軸は、仕様により細分化されており、合金素材を未定、I、IIとし、精鋳翼は未定、X、Y、Zとし、製品翼は未定、x1、x2、x3、y1,y2,y3,z1,z2,z3とする。
【0065】
このように、該当製品の生産段階と現在日時とに基づいて、上記時間軸と生産仕様軸との位置が決定されると、それぞれの交点となる位置(例えば、図10に示すマップ上の斜線で示されるセル)に、印がプロットされる。
また、生産段階と現在日時の情報とに基づいて印をプロットすることとして説明していたが、これに限定されない。例えば、交点となる位置のセルに対し、工程の進捗(例えば、販売計画後に未受注が継続している等)に応じて色分けして表示することとしてもよい(図10の(6)参照)。これにより、オペレータなどがセルの色を確認することによって、進捗状況を速やかに把握することができる。
【0066】
また、プロットにおいて、生産工程に必要な仕様を検討する等の作業に関連する担当者名を表示させることとしてもよい。プロット上で担当者名を表示させることにより、上長が作業の振り分けを行う場合に、誰に振り分けを行えばよいかを容易に判断できる。例えば、担当者Aは、同時期に、次の生産工程までの期間が短く、かつ、必要な仕様が未定であるような商談案件を複数有しており、一方、担当者Bは、抱える商談案件の生産工程に時間的余裕があるような場合には、各担当者A,Bの負担の程度を視覚的に表示される。
【0067】
そのような表示に基づいて、上長が、担当者Aの仕事を担当者Bに担当させる等の担当者毎の負担と時間との関係に基づいた振り分けをすることにより、担当者Aの商談案件の生産工程に必要な仕様を未定状態から確定状態にさせる可能性が高くなる。これにより、仕様未定の商談案件を仮定して次の生産工程に突入させることを防ぎ、製品の在庫を増大させることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0068】
1 座席
2a〜2f 車両
3 列車
4a 第1ステーション
4b 第2ステーション
4c 第3ステーション
5 ターミナル
6 操車場
10、10´ 生産計画支援装置
21 生産指示部
22 出荷指示部
23 DB管理部
24 在庫管理部
25 演算部
26 提示部
30 格納部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程を有して製品を生産する生産計画を支援する生産計画支援装置であって、
前記製品の出荷単位である仮想的な座席と、
少なくとも一以上の前記座席を有し、前記製品の製造単位である仮想的な車両と、
少なくとも一以上の前記車両を有する仮想的な列車と、
前記製品の生産段階の前記工程である複数の仮想的なステーションと、
前記製品の生産が完了し、出荷が可能な状態となっている段階の前記工程である仮想的なターミナルと、
前記ターミナルにおいて出荷されない前記製品を保管する仮想的な操車場と、を具備し、
所定の順序で、前記列車を各前記ステーションに経由させつつ、前記ターミナルまで仮想的に移動させる場合に、顧客と該顧客からの製品の受注情報とが対応付けられた注文情報に基づいて、前記操車場に到着してから期間が長い前記座席に相当する前記製品から優先的に出荷させる出荷指示手段と、
前記操車場において出荷されない前記座席の数が第1閾値を上回った場合には、上流側の前記工程に対し、出荷されない前記座席分の生産中止を指示する在庫管理手段と
を具備する生産計画支援装置。
【請求項2】
前記出荷指示手段は、前記操車場において、出荷させる前記製品がない場合に、前記ターミナルにおける前記列車のうち先頭側の前記車両に含まれる前記座席に相当する前記製品から順に出荷させる請求項1に記載の生産計画支援装置。
【請求項3】
各前記列車の生産能力の制約を規定する生産管理情報を格納する生産管理データベースと、
前記顧客との前記製品の商談に関する情報が格納されている需要情報データベースと、
各前記ステーションにおいて停車中の前記列車に対し、前記需要情報データベースに格納されている前記商談に関する情報と前記生産管理情報とに基づいて列車編成を決定し、該列車編成に基づいて、生産指示を行う生産指示手段と
を具備する請求項1または請求項2に記載の生産計画支援装置。
【請求項4】
各前記ステーションにおいて、前記工程の下流側から生産中止の指示を取得した場合には、生産中止の指示を受けた前記座席分の生産を中止し、生産中止とされた前記座席分の前記工程の上流側から取得した途中加工物を在庫として保管する仮想的な倉庫が設けられる請求項1から請求項3のいずれかに記載の生産計画支援装置。
【請求項5】
前記生産指示手段は、製品が出荷される予定である販売計画で予定されていなかった予定外注文が発生した場合には、前記途中加工物の在庫を使用し、前記予定外注文に対応した加工を指示する請求項4に記載の生産計画支援装置。
【請求項6】
前記在庫管理手段は、前記倉庫において、前記途中加工物の在庫数が第2閾値を上回った場合に、さらに上流側の前記工程において、該第2閾値を上回った前記途中加工物の前記座席分の生産中止を指示する請求項4または請求項5に記載の生産計画支援装置。
【請求項7】
前記在庫管理手段は、前記倉庫において、前記途中加工物の在庫数が第3閾値を下回った場合に、さらに上流側の前記工程に対し、該第3閾値を下回った前記途中加工物の前記座席分の補充の生産を指示する請求項4から請求項6のいずれかに記載の生産計画支援装置。
【請求項8】
前記製品の仕様を示す生産仕様軸と、各前記工程の所要時間を示す時間軸とを有するマップを有し、現在日時を基準として、前記製品の生産工程の進捗状況を前記マップに示し、提示させる提示手段を具備する請求項1から請求項7のいずれかに記載の生産計画支援装置。
【請求項9】
前記進捗状況は、前記製品の生産工程に関連する情報を管理する担当者名の情報とともに提示される請求項8に記載の生産計画支援装置。
【請求項10】
複数の工程を有して製品を生産する生産計画を支援する生産計画支援方法であって、
所定の順序で、前記製品の出荷単位である仮想的な座席を少なくとも一以上有する、前記製品の製造単位である仮想的な車両を少なくとも一以上有する仮想的な列車を、前記製品の生産段階の前記工程である複数の仮想的なステーションのそれぞれに経由させつつ、前記製品の生産が完了し、出荷が可能な状態となっている段階の前記工程である仮想的なターミナルまで仮想的に移動させる場合に、
顧客と該顧客からの製品の受注情報とが対応付けられた注文情報に基づいて、前記ターミナルにおいて出荷されない前記製品を保管する仮想的な操車場に到着してから期間が長い前記座席に相当する前記製品から優先的に出荷させ、かつ、前記操車場において出荷されない前記座席の数が第1閾値を上回った場合には、上流側の前記工程に対し、出荷されない前記座席の生産中止を指示する生産計画支援方法。
【請求項11】
複数の工程を有して製品を生産する生産計画を支援する生産計画支援プログラムであって、
所定の順序で、前記製品の出荷単位である仮想的な座席を少なくとも一以上有する、前記製品の製造単位である仮想的な車両を少なくとも一以上有する仮想的な列車を、前記製品の生産段階の前記工程である複数の仮想的なステーションのそれぞれに経由させつつ、前記製品の生産が完了し、出荷が可能な状態となっている段階の前記工程である仮想的なターミナルまで仮想的に移動させる場合に、
顧客と該顧客からの製品の受注情報とが対応付けられた注文情報に基づいて、前記ターミナルにおいて出荷されない前記製品を保管する仮想的な操車場に到着してから期間が長い前記座席に相当する前記製品から優先的に出荷させる処理と、
前記操車場において出荷されない前記座席の数が第1閾値を上回った場合には、上流側の前記工程に対し、出荷されない前記座席の生産中止を指示する処理と、
をコンピュータに実行させるための生産計画支援プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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