説明

生着不全および死に関するマーカー

本発明の主題は、臓器移植後の生着不全および/または死に関するバイオマーカーにある。プロカルシトニンは、臓器移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死に関する予測またはリスク層別化の有用なマーカーであることが判明した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、臓器移植後の生着不全および/または死に関するバイオマーカーにある。プロカルシトニン(PCT)は、臓器移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死を予測またはリスク層別化するために有用なマーカーであることが判明した。
【背景技術】
【0002】
腎臓移植後の慢性移植片機能不全(chronic transplant dysfunction, CTD)は、腎機能低下およびタンパク尿によって特徴付けられる。
【0003】
腎臓移植後1年の移植片生着率は、約40%であった1970年代から、90%以上である今日まで着実に改善している(Merville P. Combating chronic renal allograft dysfunction: optimal immunosuppressive regimens. Drugs 2005; 65(5):615-631; http://www.unos.org 2008, Ref Type: Generic)。しかしながら、長期移植片生着率は、この改善と同列ではなかった。全ての死体腎同種移植片のうち約半分は、移植後10〜12年以内に喪失される(Hariharan S, Johnson C, Bresnahan B, Taranto S, McIntosh M, Stablein D. Improved Graft Survival after Renal Transplantation in the United States, 1988 to 1996. N Engl J Med 2000; 342(9):605-612)。1つの主要な原因は、慢性移植片機能不全(CTD)と関係する後期同種移植片不全(late allograft failure)である(Kreis HA, Ponticell C. Causes of late renal allograft loss, chronic allograft dysfunction, death, and other factors. Transplantation 2001; 71(11 Suppl): SS5-SS9)。現在まで、CTDの発症を予測できる優れたバイオマーカーはない(Marsden PA. Predicting outcomes after renal transplantation-new tools and old tools. N Engl J Med 2003; 349(2):182-184)。
【0004】
腎移植コミュニティーにおいて、CTDの発症機序に炎症が含まれるという新たな意見がある(Kreis HA, Ponticelli C. Causes of late renal allograft loss: chronic allograft dysfunction, death, and other factors. Transplantation 2001; 71(11 Suppl):SS5-SS9; Vazquez MA, Jeyarajah DR, Kielar ML, Lu CY. Long-term outcomes of renal transplantation: a result of the original endowment of the donor kidney and the inflammatory response to both alloantigens and injury. Curr Opin Nephrol Hypertens 2000; 9(6):643-648)。プロカルシトニン(PCT)は、バクテリア感染および敗血症に関するバイオマーカーとして提案されている(Assicot M, Gendrel D, Carsin H, Raymond J, Guilbaud J, Bohuon C. High serum procalcitonin concentrations in patients with sepsis and infection. Lancet 1993; 341(8844):515-518; Becker KL, Nylen ES, White JC, Muller B, Sinder RH, Jr. Clinical review 167: Procalcitonin and the calcitonin gene family of peptides in inflammation, infection, and sepsis: a journey from calcitonin back to its precursors. J Clin Endocrinol Metab 2004; 89(4):1512-1525)。最近、敗血症において循環PCTが非常に高濃度であることには、末梢血単核細胞よりもむしろ感染組織中で活性化マクロファージによって刺激された実質細胞が関係していることが示された(Linscheid P, Seboek D, Schaer DJ, Zulewski H, Keller U, Muller B. Expression and secretion of procalcitonin and calcitonin gene-related peptide by adherent monocytes and by macrophage-activated adipocytes. Crit Care Med 2004; 32(8):1715-1721)。現在、動物およびヒトでの研究によって、敗血症において実質細胞(例えば腎臓、肝臓、肺、筋肉および脂肪細胞)が循環PCTの主要な供給源であることが示されている(Linscheid P, Seboek D, Schaer DJ, Zulewski H, Keller U, Muller B. Expression and secretion of procalcitonin and calcitonin gene-related peptide by adherent monocytes and by macrophage-activated adipocytes. Crit Care Med 2004; 32(8):1715-1721; Linscheid P, Seboek D, Nylen ES 等. In vitro and in vivo calcitonin I gene expression in parenchymal cells: a novel product of human adipose tissue. Endocrinology 2003; 144(12):5578-5584; Muller B, White JC, Nylen ES, Snider RH, Becker KL, Habener JF. Ubiquitous expression of the calcitonin-i gene in multiple tissues in response to sepsis. J Clin Endocrinol Metab 2001; 86(1):396-404)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
驚くべきことに、PCTが、後期生着不全(late graft failure)および/または死(mortality)に関する独立した予測因子であることが判明した。したがって、PCTは、移植片喪失(GL)および/または死の予測に関する有望な新規バイオマーカーである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主題は、臓器移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死を予測またはリスク層別化する方法であって、被験者から採取されたサンプル中のプロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントの測定を含む方法にある。
【0007】
好ましい態様において、本発明は、臓器移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死を予測またはリスク層別化する方法であって、被験者から採取されたサンプル中のプロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントの測定を含み、生着不全および/または死の増大したリスクと関連するプロカルシトニンのレベルがカットオフを上回り、カットオフが0.1ng/mL未満、好ましくは0.08ng/mL未満、さらに好ましくは0.05ng/mL未満、最も好ましくは0.025ng/mL未満である方法に関する。
【0008】
本発明の方法では、低濃度のプロカルシトニンを検出できる高感度アッセイが用いられ、これにより指標として低い閾値レベルを用いることが可能となる。
【0009】
本発明との関連において、「リスク層別化」という用語は、個体がある有害事象を経験する可能性の割り当て(assignment)を意味する。個体は、好ましくは、ある特定のリスクカテゴリーに分類され、カテゴリーには、例えば、高リスク対低リスク、または数値に基づくリスクカテゴリー、例えばリスク区分1,2,3等が含まれる。
【0010】
本明細書中でPCTとの関連において用いられる「フラグメント」という用語は、PCT由来の小ペプチドを意味し、小ペプチドはPCTの部分配列を含む。このフラグメントは、1または2以上のペプチド結合のけん化によってPCTから誘導することができる。
【0011】
本発明の好ましい態様において、被験者は腎臓移植を受けたものである。したがって、本発明の主題は、腎臓移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死を予測またはリスク層別化する方法であって、被験者から採取されたサンプル中のプロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントの測定を含む方法にある。
【0012】
別の好ましい態様において、被験者は、感染または敗血症、重症敗血症もしくは敗血性ショック等の感染の進行形態を含む群より選択された状態にない。これは、被験者が抗微生物治療を必要とする状態にないことを意味する。
【0013】
本発明の好ましい態様において、被験者のプロカルシトニンのレベルは、臓器移植によって生じた外科的外傷の影響をもはや受けていない。大手術を受けた被験者は、数日間、上昇したPCTレベルを有することが知られている。好ましい態様において、サンプルは、外科手術の少なくとも半日後に、好ましくは少なくとも1日後に、さらに好ましくは少なくとも2日後に、さらに一層好ましくは少なくとも3日後に、さらに一層好ましくは少なくとも4日後に、さらに一層好ましくは少なくとも5日後に、さらに一層好ましくは少なくとも6日後に、さらに一層好ましくは少なくとも1週間後に、臓器移植を受けた被験者から採取される。本発明の方法において、サンプルは、好ましくは移植後1週間以降、さらに好ましくは移植後1ヶ月またはそれ以降の被験者から採取される。特別な態様において、サンプルは、移植後1年またはそれ以降に採取され得る。
【0014】
本発明において、サンプルは、血漿サンプル、血清サンプル、血液サンプルもしくはその画分、リンパ液サンプル、尿サンプル、またはこれらのサンプルのいずれかの抽出物を含む群より選択される。
【0015】
本発明の方法は、長期生着不全を予測する方法であり、ここで、長期とは、1年を上回り、好ましくは5年までの期間を意味する。また、本発明の方法は、短期生着不全を予測する方法であり、ここで、短期とは、1週から1年の期間を意味する。
【0016】
本発明はまた、中期または長期生着不全を予測する方法を包含し、ここで、長期とは、1年を上回り、好ましくは5年までの期間を意味し、中期とは、2ヶ月から1年の期間、例えば移植後2,3,4,5,6,7,8,9,10,11または12ヶ月を意味する。
【0017】
本発明の方法の好ましい態様において、プロカルシトニンのレベルを、好ましくは、以下の選択肢から選択され得る方法によって、生着不全および/または死の予測またはリスク層別化と相関させる。
・所定のサンプル群におけるプロカルシトニンレベルの中央値についての相関
・所定のサンプル群におけるプロカルシトニンレベルの変位値(例えば、三分位数)についての相関
・コックス回帰等の数学モデルによる相関
【0018】
当業者は、これが過度に困難な方法の列挙ではないことを理解するであろう。当業者は、さらに別の方法を知っているであろう。
【0019】
本発明において、生着不全および/または死の増大したリスクと関連するプロカルシトニンのレベルは、正常個体群のレベルの中央値を上回る。正常個体群のレベルの中央値は0.0127ng/mLと以前に測定されている(Morgenthaler NG, Struck J, Fischer-Schulz C, Seidel-Mueller E, Beier W, Bergmann A. Detection of procalcitonin (PCT) in healthy controls and patients with local infection by a sensitive ILMA. Clin Lab. 2002; 48(5-6):263-70.)。
【0020】
好ましくは、生着不全および/または死の増大したリスクと関連するプロカルシトニンのレベルは、正常個体群の中央値(0.0127ng/mL)を上回り、0.1ng/mL未満、好ましくは0.08ng/mL未満、さらに好ましくは0.05ng/mL未満、最も好ましくは0.025ng/mL未満である。これは、好ましいカットオフ値が0.1ng/mL未満、好ましくは0.08ng/mL未満、さらに好ましくは0.05ng/mL未満、最も好ましくは0.025ng/mL未満であって、正常個体群の中央値(0.0127ng/mL)を上回る場合、カットオフ値を上回る患者サンプル中のプロカルシトニンレベルが、該患者における生着不全および/または死の増大したリスクを表すことを意味する。0.1ng/mLまたは0.25ng/mLを上回るプロカルシトニン濃度は、抗生物質処置を必要とするバクテリア感染を診断するためのカットオフとして用いられる(Christ-Crain M, Jaccard-Stolz D, Bingisser R, Gencay MM, Huber PR, Tamm M, Muller B. Effect of procalcitonin-guided treatment on antibiotic use and outcome in lower respiratory tract infections: cluster-randomised, single-blinded intervention trial. Lancet 2004 Feb 21; 363(9409):600-7.)。増大したリスクの予測の感度および特異度を最適化するROC分析によって測定された好適なカットオフ値は、生着不全に関しては0.029ng/mLであり、死に関しては0.028ng/mLである(表4)。当業者は、正確なカットオフ値が幾つかの因子に依存することを理解している。そして、当業者は、カットオフ値が試験の較正および上記関連性を表すために用いられる数学モデルの種類に依存しており、カットオフ値を上回る濃度が上記増大したリスクと関連するように、プロカルシトニンに関する単一のカットオフ濃度を正確に規定する方法を理解している。すなわち、標的個体群がプロカルシトニン濃度に従って同一サイズの2つのサブグループに分割される場合、得られるレベルの中央値は有用なカットオフを表し得る。また、同一個体群が同一サイズの3つのサブグループに分割される場合、最高三分位を中間三分位と区別するプロカルシトニン濃度は有用なカットオフ値を表し得る。但し、このカットオフ値は、該個体群のレベルの中央値を表すカットオフ値とは異なる。その他の数学モデルは、その他の有用なプロカルシトニンのカットオフ濃度を導き出し得る。
【0021】
本発明の方法の好ましい態様において、生着不全および/または死の増大したリスクと関連する1または2以上のさらなるマーカーまたは臨床パラメーターが追加的に測定されて用いられる。
【0022】
好ましい態様において、1または2以上の臨床パラメーターは、年齢、性別、疾患の既往歴、特に糖尿病の既往歴、ボディ・マス・インデックス、遺伝的素因/家族歴、民族的背景、前記傾向に影響を与える喫煙、飲酒またはダイエット等の習慣を含む群より選択される。
【0023】
好ましい態様において、1または2以上のさらなるマーカーは、腎機能マーカー、炎症マーカーならびに心臓血管調節および浸透調節と関連するマーカーを含む群より選択される。
【0024】
好ましい態様において、腎機能マーカーは、クレアチニン・クリアランス、タンパク尿および脂質マーカーを含む群より選択される。脂質マーカーは、HDLおよび/またはトリグリセリドであり得る。
好ましい態様において、炎症マーカーは、C反応性タンパク質である。
【0025】
好ましい態様において、心臓血管調節および浸透調節と関連するマーカーは、プロBNPまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメント、例えばBNPおよびNT−プロBNP、プロANPまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメント、例えばNT−プロANPおよびMR−プロANP、プロアドレノメデュリンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメント、例えばアドレノメデュリン、PAMPおよびMR−プロADM、プロエンドセリンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメント、例えばエンドセリン−1、ビッグエンドセリン−1、CT−プロET−1およびNT−プロET−1、プロバソプレシンまたは少なくとも8個のアミノ酸を含むそのフラグメント、例えばバソプレシン、コペプチンおよびニューロフィジン2を含む群より選択される。
【0026】
本発明の主題の一態様は、以下の工程:
・腎臓移植後の被験者からサンプルを採取する工程、
・被験者から採取したサンプル中のプロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントのレベルを測定する工程、および
・プロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントのレベルを予後と相関させる工程
を含む方法である。
【0027】
本発明の方法の好ましい態様において、プロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントのレベルは診断アッセイで測定される。
好ましい態様において、定常状態の循環PCT濃度が測定される。
【0028】
本発明との関連で用いられる診断アッセイは、診断の分野で適用される任意のタイプのものであってよい。例えば、特に限定されるわけではないが、酵素反応、発光、特に蛍光発光、または放射性化学物質を利用したアッセイ法が挙げられる。好ましい検出法には、迅速試験法、例えば、イムノクロマトグラフィー、ラジオイムノアッセイ、化学発光および蛍光イムノアッセイ、イムノブロットアッセイ、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ルミネックス(luminex)ビーズアレイ、ならびにタンパク質マイクロアレイアッセイ等が含まれる。さらに、アッセイのタイプは、バイオマーカータンパク質がその表面に結合してまたは溶液中に存在し得るマイクロタイタープレート、チップ、ビーズ等を利用したものであってもよい。アッセイは、ホモジニアスまたはヘテロジニアスアッセイ、サンドイッチアッセイ、競合および非競合アッセイ等であってもよい(The Immunoassay Handbook, Ed, David Wild, Elsevier LTD, Oxford; 3rd ed. (May 2005), ISBN-13: 978-0080445267; Hultschig C 等, Curr Opin Chem Biol. 2006 Feb; 10(1):4-10. PMID: 16376134)。
【0029】
本発明との関連において、診断アッセイで用いられる捕捉分子は、核酸分子、炭水化物分子、PNA分子、タンパク質、抗体、ペプチドまたは糖タンパク質を含む群より選択され得る。捕捉分子は、好ましくは抗体であり、抗体には、標的に対して十分な特異性を有する抗体フラグメントが含まれるとともに、組換え抗体、ならびに、化学的および/または生化学的に修飾された上記抗体の誘導体または少なくとも12アミノ酸長を有する変異鎖由来のそのフラグメントが含まれる。
【0030】
特に好ましい態様において、プロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントに関する診断アッセイは、超高感度であるとともに、0.1ng/mL未満、好ましくは0.08ng/mL未満、さらに好ましくは0.05ng/mL未満、最も好ましくは0.025ng/mL未満の機能分析感度(20%の最大アッセイ間変動係数(maximal interassay coefficient of variation(CV))で測定され得る最小濃度として定義される)を有する。
【0031】
本発明の主題はさらに、臓器移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死を予測またはリスク層別化するための、プロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントの使用にある。
【0032】
本発明の主題はさらに、臓器移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死を予測またはリスク層別化するための、0.1ng/mL未満、さらに好ましくは0.05ng/mL未満、最も好ましくは0.025ng/mL未満の分析感度(20%の最大アッセイ間CVで測定され得る最小濃度として定義される)を有するイムノアッセイの使用にある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)Log CRP、(b)クレアチニン・クリアランス、および(c)Log タンパク尿に対するLog PCTの散布図である。PCTとCRPとの関連は、二次モデルによって最もよく表現された(Log(PCT)=-1.65+0.12*log(CRP)+0.07*(Log(CRP))2, P<0.0001)。PCTとクレアチニン・クリアランスとの関連は、逆モデルによって最もよく表現された(Log(PCT)=-1.80+(11.7/クレアチニン・クリアランス), P<0.0001)。PCTとタンパク尿との関連は、線形モデルによって最もよく表現された(Log(PCT)=-1.66+0.57*Log(タンパク尿), P<0.0001)。
【図2】(a)生着不全のないRTR 対 生着不全のあるRTR(P<0.0001)および(b)生存RTR 対 死亡RTR(P<0.0001)におけるPCTレベルを示すとともに、(c)生着不全のないRTR 対 生着不全のあるRTR(P=0.2)および(d)生存RTR 対 死亡RTR(P=0.0001)におけるCRPレベルを示す。差はマンホイットニー検定によって試験した。
【図3】(a)生着不全および(b)死に関するPCTおよびCRPのROC曲線である。AUCおよび最適カットオフ値は、対応する感度および特異度とともに表4に示される。
【図4】全てのRTR(aおよびb)および非タンパク尿RTR単独(cおよびd)について性別で層別化されたPCTの三分位数における、移植片生着率(aおよびc)およびレシピエント生存率(bおよびd)のカプラン・マイヤー曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本明細書中の「マーカー」、「予後マーカー」、「バイオマーカー」または「生物学的マーカー」等の用語は、互換可能に用いられ、健康および生理機能に関する評価の指標、例えば、疾患リスク、精神疾患、環境曝露およびその効果、疾患診断、代謝過程、薬物乱用、妊娠、細胞株の発生、疫学的研究等の指標として役立つ、測定可能および定量可能な生物学的パラメーター(例えば、特定の酵素濃度、特定のホルモン濃度、個体群における特定の遺伝子表現型の分布、生物学的物質の存在)に関する。さらに、バイオマーカーは、正常な生物学的過程、発病過程、または治療介入に対する薬理学的反応の指標として客観的に測定および評価される特性と定義される。バイオマーカーは、バイオサンプルについて(血液、尿または組織試験として)測定してもよいし、ヒトから得られた記録(血圧、ECGまたはホルター)であってもよいし、またはイメージングテスト(心エコー図またはCTスキャン)であってもよい(Vasan 等. 2006, Circulation 113:2335-2362)。
【0035】
バイオマーカーは、様々な健康または疾患の特徴、例えば、環境因子への曝露、遺伝的感受性、曝露に対する遺伝的反応、無症候性疾患または臨床疾患のバイオマーカー、あるいは治療に対する応答の指標のレベルまたはタイプの指標となる。そして、バイオマーカーに関する単純な考え方は、疾患特性(リスク因子またはリスクバイオマーカー)、病状(前臨床または臨床)、または罹患率(進行)の指標であるという考え方である。したがって、バイオマーカーは、推定(antecedent)マーカー(疾患の発症リスクを同定する)、スクリーニングバイオマーカー(無症候性疾患をスクリーニングする)、診断バイオマーカー(既発症疾患を見分ける)、病期分類バイオマーカー(疾患重症度を分類する)、または予後バイオマーカー(将来の疾患過程、例えば、再発、治療に対する応答、治療のモニタリング効果を予測する)に分類することができる。バイオマーカーはサロゲートエンドポイントとしても役立つ。サロゲートエンドポイントは、目的とする真の結果の測定の代わりに、治療の安全性および有効性を評価する臨床試験の結果として用いることができる。基本原理は、サロゲートエンドポイントの変化が目的とする結果の変化に緊密に追従することにある。サロゲートエンドポイントは、評価に大規模な臨床試験が要求される罹患率および死亡率等の評価項目よりも短期間および低コストで収集できるという利点を有する。サロゲートエンドポイントのさらなる有用性として、より離れた臨床兆候よりも、目的とする曝露/介入に密接であるとともに原因として関係しやすいという事実が挙げられる。サロゲートエンドポイントの重大な不利点は、目的の臨床結果が(サロゲートエンドポイントに加えて)多数の因子によって影響を受ける場合、残差交絡によってサロゲートエンドポイントの有効性が低減することである。目的の結果に対する曝露または介入の効果の少なくとも50%を説明できる場合、サロゲートエンドポイントの有効性はより大きくなることが示唆されている。バイオマーカーは、例えば、タンパク質、ペプチドまたは核酸分子であり得る。
【0036】
好ましい分子マーカーは、腎機能マーカー、例えば、クレアチニン・クリアランス、タンパク尿および脂質マーカー、例えば、総コレステロール、高密度リポタンパク質コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロールおよびトリグリセリド等;炎症マーカー、例えばC反応性タンパク質、または心臓血管調節および浸透調節と関連するマーカー、例えば、ANP、BNP、アドレノメデュリン、エンドセリン−1、バソプレシン、それらの対応する前駆体およびフラグメント等である。ここで、クレアチニン・クリアランスは、糸球体ろ過率(CCr)とも呼ばれ、単位時間あたりにクレアチニンが取り除かれる血漿の量である。タンパク尿は、過剰(すなわち、2mg/mL以上のアルブミンおよび/またはクレアチニン)の血清タンパク質が存在する尿である。
【0037】
本発明との関連において、「正常個体群」という用語は、全ての個体群のうちの健康な部分を意味する。これとの関連において、健康な個体とは、本明細書で言及されるマーカーのうちの1つのレベルを変化させるまたはそうでなければそれに影響を及ぼす状態にない個体である。
【0038】
本発明との関連において、「生着不全」という用語は、移植組織の拒絶反応、機能停止(breakdown)またはその他の機能不全を意味し、移植組織は例えば外科的に移植された組織である。
【0039】
本発明との関連において、「プロカルシトニンのレベルが、臓器移植によって生じた外科的外傷の影響をもはや受けない」という表現は、移植処置の通常の過程において、外科手術中の腸の部分的虚血/再かん流が終了すると腸からエンドトキシンが移行する結果、移植患者におけるプロカルシトニンのレベルは通常、臓器移植のすぐ後に上昇するが、移植患者におけるプロカルシトニンのレベルにおいて、この原因による典型的な変化がもはや生じない状態を意味する。
【0040】
本発明との関連において、「予測」という用語は、ある結末の可能性を、検体の測定で得られた結果と相関させることを意味する。例えば、サンプル中のある特定のマーカー、例えばプロカルシトニンを測定し、その測定レベルを臓器移植後の生着不全の可能性と相関させる。
【0041】
本発明において、「被験者」は、特に明記しない限り、病理学的変化を示すか否かを問わず、あらゆるヒトまたは動物を意味すると理解される。本発明において、組織、器官、生物等から採取されたいかなるサンプルも、診断すべき被験者のサンプルとなり得る。好ましい態様において、本発明の被験者はヒトである。
【0042】
本発明との関連において、「モニタリング」という用語は、繰り返し行われる被験者の病状の判定を意味する。例えば、被験者の病状に対するある特定形態の治療の効果が判定され、検知され、および/または記録され得る。
【0043】
本発明との関連において、「治療ガイダンス」という用語は、被験者のための最適な治療方針を決定するために、被験者におけるある特定のマーカーまたはバイオマーカーのレベルの測定結果、あるいは上述のような被験者のモニタリングによって得られた結果を利用することを意味する。このように、被験者の医学的状態の進行が望ましいものか否かまたは少なくとも許容可能か否かに基づいて、治療の様式は維持され得るし、あるいは変更または修正され得る。
【0044】
本発明との関連において、「サンプルの画分」または「サンプルの抽出物」という表現は、好ましくは、濾過、除菌、沈降、沈殿、遠心分離、あるいは、ある特定のタンパク質、糖質、脂質またはその他の成分を選択的に除去するための精製カラムもしくは膜または類似の器具を用いた精製を含む群より選択される方法によって得られた画分を意味する。また、これには、サンプルのある特定の成分の凝固物、例えば、血液凝固カスケードに基づく凝固、および上述の方法のうちの1つを用いた凝固成分の除去が含まれる。
【0045】
本発明との関連において、「抗微生物治療を必要とする状態」という用語は、好ましくは、通常、技術的および医学的に進歩した社会、いわゆる第一および第二世界国家における医師が抗微生物治療を適切であると考える状態を意味する。これは、そのような治療が微生物感染した被験者の生存に不可欠であることを意味しないが、抗微生物治療は被験者の病状を少なくとも改善するであろう。この文脈において、抗微生物治療に耐性を示す、またはそうでなくても抗微生物治療によって影響を受けない微生物の種または株の侵入は、上記状態に含まれる。なお、そのような侵入について、抗微生物治療が利用可能な場合には抗微生物治療を行うことが望ましいであろう。当業者、本件では医師は、どの症例が上記記載の範囲内にあるかを決定できるであろう。
【0046】
PCTまたはそのフラグメントのレベルは、当技術分野で承認されている任意の方法によって得ることができる。そのレベルは、イムノアッセイまたはマーカーレベルを測定するためのその他の常法によって測定することができる。承認されている方法としては、例えば、患者の体液サンプルを民間試験所に送付して測定することが挙げられるが、ポイント・オブ・ケア(point-of-care)での測定の実施であってもよい。
【0047】
患者サンプル中のPCTレベル、すなわちPCT濃度は、例えば、患者に関する転帰の予後予測またはリスク評価に供される。例えば、ある特定の閾値を上回るPCT濃度は、患者のある特定の転帰、リスクまたは予後の指標となり得る。
【0048】
本発明の方法によってまたは本発明のアッセイの使用によって得られたPCTレベルは、当業者に周知の多数の方法で分析され得る。例えば、得られたアッセイ結果はそれぞれ「正常」値またはある特定の予後、リスクもしくは転帰の指標となる値と比較され得る。ある特定の診断/予後予測は、各アッセイ結果と、診断または予後予測の閾値とも呼び得る上記値との比較に依存し得る。
【0049】
診断および/または予後予測試験の感度および特異度は、単に試験の分析の「質」に依存するだけではなく、異常な結果の原因の究明にも依存する。実際、受信者動作特性曲線(ROC曲線)は、典型的には、「正常」(すなわち外見上は健常)および「疾患」個体群において相対頻度に対して変数の値を描図することにより算出される。任意の特定のマーカーについて、疾患に罹患している被験者および罹患していない被験者のマーカーレベルの分布は重なり合うであろう。そのような条件下では、試験によって正常と疾患とを100%の精度で完全に区別することができず、重なり合う領域は、試験によって正常と疾患との区別できない領域を示す。閾値が選択され、閾値を上回る(または閾値未満、いずれであるかは疾患によってマーカーがどのように変化するかに依存する)場合、試験は異常であるとみなされ、閾値未満の場合、試験は正常であるとみなされる。ROC曲線下面積は、把握された測定結果が状態の正確な同定を可能する可能性の評価基準となる。ROC曲線は、試験結果が必ずしも正確な数値を与えない場合でも用いることができる。結果をランク付けできる限り、ROC曲線を作成することができる。例えば、「疾患」サンプルにおける試験結果は、程度(例えば、1=低、2=標準、3=高)に従ってランク付けすることができる。このランク付けは、「正常」個体群における結果および作成されたROC曲線と相関させることができる。これらの方法は、当技術分野で周知である。例えば、Hanley 等. 1982. Radiology 143: 29-36.を参照。好ましくは、閾値は、ROC曲線面積が約0.5よりも、さらに好ましくは約0.7よりも、さらに一層好ましくは約0.8よりも、さらに一層好ましくは約0.85よりも、最も好ましくは約0.9よりも大きくなるように選択される。この文脈において「約」という用語は、所定の測定結果の+/−5%を意味する。
【0050】
ROC曲線の横軸は(1−特異度)を表し、それは偽陽性の割合とともに増加する。ROC曲線の縦軸は感度を表し、それは真の陽性の割合とともに増加する。こうして、選択されたある特定のカットオフについて、(1−特異度)の値が決定されると、対応する感度が求められる。ROC曲線下面積は、測定されたマーカーレベルが疾患または状態の正確な同定を可能とする可能性の評価基準となる。したがって、ROC曲線下面積は、試験の有効性を判定するために用いることができる。
【0051】
その他の態様において、陽性尤度比、陰性尤度比、オッズ比またはハザード比が、リスク予測または疾患診断に関する試験性能の評価基準として用いられる。陽性尤度比の場合、1の値は、陽性結果が「疾患」および「対照」群の両方の被験者間で同様に確からしいことを示し、1より大きい値は、陽性結果が疾患群においてより高い可能性で起こり得ることを示し、1よりも小さい値は、陽性結果が対照群においてより高い可能性で起こり得ることを示す。陰性尤度比の場合、1の値は、陰性結果が「疾患」および「対照」群の両方の被験者間で同様に確からしいことを示し、1より大きい値は、陰性結果が疾患群においてより高い可能性で起こり得ることを示し、1よりも小さい値は、陰性結果が対照群においてより高い可能性で起こり得ることを示す。
【0052】
オッズ比の場合、1の値は、陽性結果が「疾患」および「対照」群の両方の被験者間で同様に確からしいことを示し、1より大きい値は、陽性結果が疾患群においてより高い可能性で起こり得ることを示し、1よりも小さい値は、陽性結果が対照群においてより高い可能性で起こり得ることを示す。
【0053】
ハザード比の場合、1の値は、エンドポイント(例えば、死)の相対リスクが「疾患」および「対照」群の両方で等しいことを示し、1より大きい値は、相対リスクが疾患群においてより大きいことを示し、1よりも小さい値は、相対リスクが対照群においてより大きいことを示す。
【0054】
診断または予後予測の指標を、将来の臨床転帰に関する診断リスクまたは予測リスクと関連付けることが統計的分析であることは、当業者に理解されるであろう。例えば、統計的有意水準で測定された場合、Xよりも大きいマーカーレベルは、患者が、Xよりも小さなまたはXと等しいレベルである患者よりも、有害転帰を患いやすいことを示し得る。さらに、マーカー濃度のベースラインからの変化は、患者の予後を反映し得るし、マーカーレベルの変化の程度は、転帰の重症度と関連し得る。統計的有意性の判定は、通常、2または3以上の個体群を比較して信頼区間および/またはp値を決定することにより行われる。例えば、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York, 1983.を参照。本発明において、好ましい信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%および99.99%である一方、好ましいp値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001および0.0001である。
【0055】
さらに別の態様において、PCTの多数の測定を行うことができ、マーカーの経時変化は、診断または予後予測を決定するために用いることができる。例えば、ある被験者サンプルのPCTレベルを最初の時間に測定し、さらに第2の時間に第2の被験者サンプルのPCTレベルを測定することができる。そのような態様において、最初の時間から第2の時間へのレベル増加は、ある特定の診断またはある特定の予後予測の指標となり得る。同様に、最初の時間から第2の時間へのレベル減少は、ある特定の診断またはある特定の予後予測の指標となり得る。
【0056】
本明細書中で用いられる「サンプル」という用語は、対象となる被験者、例えば患者、の診断、予後予測または評価の目的で得られた体液サンプルを意味する。好ましい試験サンプルとしては、例えば、血液、血清、血漿、脳脊髄液、尿、唾液、痰および胸水が挙げられる。さらに、分画または精製方法、例えば血清または血漿成分への全血の分離、によって幾つかの試験サンプルがより容易に分析されることを、当業者は理解しているであろう。
【0057】
したがって、本発明の好ましい態様において、サンプルは、血液サンプル、血清サンプル、血漿サンプル、脳脊髄液サンプル、唾液サンプルおよび尿サンプル、またはそれらのサンプルのいずれかの抽出物を含む群より選択される。サンプルは好ましくは血液サンプルであり、さらに好ましくは血清サンプルまたは血漿サンプルである。
【0058】
本明細書中でPCTまたはそのフラグメントの使用に関連して用いられる「相関する」または「相関させる」という用語は、患者におけるPCTまたはそのフラグメントの存在または量を、所定の状態を患っていることが知られているまたはそのリスクがあることが知られているヒトにおける、あるいは所定の状態にないことが知られているヒトにおけるPCTまたはそのフラグメントの存在または量と比較することを意味する。上述したように、患者サンプルのマーカーレベルは、ある特定の予後と関連することが知られているレベルと比較することができる。サンプルのマーカーレベルは、ある特定の転帰に関する予後、リスクおよび/または可能性と関連させられる。すなわち、当業者は、マーカーレベルを用いて、ある特定の転帰に関する患者の予後、リスクまたは可能性を判定することができるとともに、それに応じて対応することができる。また、サンプルのマーカーレベルは、良好な転帰と関連することが知られているマーカーレベルと比較することができる。
【0059】
患者を異なるグループ(カテゴリー)に層別化するための好適な閾値レベルを、それぞれの特定の患者群について決定することができる。これは、例えば、参照個体群の患者をPCTレベルに従って特定の分位数、例えば、三分位数、四分位数、五分位数または好適な百分位数、に分類することによって行うことができる。各分位数または特定の百分位数を上回るおよび下回るグループのそれぞれについて、有害転帰、すなわち好ましくない効果、例えば生存率の点から好ましくない効果に関するリスクを、ある特定の薬物治療を受けた患者とそれを受けていない患者との間で比較することにより、ハザード比を算出することができる。そのようなシナリオにおいて、1を上回るハザード比(HR)は、ある処置を受けた患者において、その処置を受けていない患者よりも、有害転帰のリスクが高いことを示す。
【0060】
本発明において、PCTレベルの決定(すなわち測定または検出)は、以下で説明する検出方法および/または診断アッセイを用いて実施してもよい。
【0061】
本明細書中の「アッセイ」または「診断アッセイ」は、診断の分野で適用されるいかなる種類のものであってもよい。そのようなアッセイは、ある特定の親和性を有する1または2以上の捕捉プローブに対する検出すべき分析物の結合に基づいていてもよい。捕捉分子(本明細書中で「バインダー」ともいう)と標的分子または対象となる分子との間の相互作用に関して、親和性定数は好ましくは108-1よりも大きい。
【0062】
本発明との関連において「捕捉分子」は、標的分子または対象となる分子、すなわちサンプル由来の分析物(すなわち本発明との関連においてPCTまたは少なくとも12アミノ酸長を有するそのフラグメント)を結合させるために用い得る分子である。したがって、捕捉分子は、標的分子または対象となる分子に特異的に結合するように、空間的および表面特性、例えば、表面電荷、疎水性、親水性、ルイス供与体および/または受容体の存在または不存在、の両方の観点から適切に構築される必要がある。ここで、結合は、例えば、捕捉分子と標的分子または対象となる分子との間のイオン、ファン・デル・ワールス、パイ−パイ、シグマ−パイ、疎水性もしくは水素結合相互作用またはそれらの相互作用のうち2または3以上の組み合わせで媒介され得る。本発明との関連において、捕捉分子は、例えば、核酸分子、炭水化物分子、RNA分子、タンパク質、抗体、ペプチドまたは糖タンパク質を含む群より選択され得る。捕捉分子は、好ましくは抗体であり、抗体には、標的分子または対象となる分子に対して十分な親和性を有する抗体フラグメントが含まれるとともに、組換え抗体または組換え抗体フラグメント、ならびに、化学的および/または生化学的に修飾された上記抗体の誘導体または少なくとも12アミノ酸長、好ましくは少なくとも20アミノ酸長を有する変異鎖に由来する抗体フラグメント誘導体が含まれる。
【0063】
好ましい検出方法には、種々の様式のイムノアッセイ、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)、化学発光および蛍光発光イムノアッセイ、酵素結合免疫測定法(ELISA)、ルミネックス(Luminex)ビーズアレイ、タンパク質マイクロアレイアッセイ、ならびに、イムノクロマトグラフィー試験紙等の迅速試験形態が含まれる。
【0064】
アッセイは、ホモジニアスまたはヘテロジニアスアッセイ、競合および非競合サンドイッチアッセイであり得る。特に好ましい態様では、アッセイは、非競合イムノアッセイであるサンドイッチアッセイの形態であり、そのアッセイにおいて、検出および/または定量されるべき分子は、第1の抗体および第2の抗体に結合している。第1の抗体は、例えばビーズ、ウェルまたはその他の容器の表面、チップまたはストリップ等の固相に結合していてもよく、第2の抗体は、例えば色素、放射性同位体または反応性もしくは触媒活性分子で標識された抗体である。次いで、分析物に結合した標識抗体の量が適当な方法によって測定される。「サンドイッチアッセイ」に含まれる一般的な組成物および方法は十分に確立されており当業者に周知である(The immunoassay Handbook, Ed. David Wild, Elsevier LTD, Oxford; 3rd ed. (May 2005), ISBN-13: 978-0080445267; Hultschig C 等, Curr Opin Chem Biol. 2006 Feb; 10(1):4-10. PMID: 16376134, 本文献は参照により本明細書中に組み込まれる)。
【0065】
特に好ましい態様において、アッセイは、2種の捕捉分子、好ましくは両方とも液体反応混合物中に分散状態で存在する2種の抗体を含み、ここで、第1の標識成分は第1の捕捉分子に結合しており、第1の標識成分は蛍光発光または化学発光クエンチングまたは増幅に基づく標識システムの要素であり、標識システムの第2の標識成分は第2の捕捉分子に結合している。そして、分析物に対して両方の捕捉分子が結合すると、測定可能なシグナルが発生し、これによって、サンプルを含む溶液中で形成されたサンドイッチ複合体の検出が可能となる。
【0066】
さらに好ましくは、標識システムは、希土類クリプテートまたは希土類キレートを、蛍光色素または化学発光色素、特にシアニン型色素と組み合わせて含む。
【0067】
本発明との関連において、蛍光発光アッセイは、色素の使用、例えば、FAM(5−または6−カルボキシフルオレセイン)、VIC、NED、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、IRD−700/800、シアニン色素、例えばCY3、CY5、CY3.5、CY5.5、CY7、キサンテン、6−カルボキシ−2',4',7',4,7−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、TET、6−カルボキシ−4',5'−ジクロロ−2',7'−ジメトキシフルオレセイン(JOE)、N,N,N',N'−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、5−カルボキシローダミン−6G(R6G5)、6−カルボキシローダミン−6G(RG6)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド、ローダミン110、BODIPY色素、例えば、BODIPY TMR、オレゴングリーン、クマリン、例えばウンベリフェロン、ベンズイミド、例えばHoechst33258;フェナントリジン、例えば、テキサスレッド、ヤキマイエロー、Alexa Fluor、PET、エチジウムブロマイド、アクリジニウム色素、カルバゾール色素、フェノキサジン色素、ポルフィリン色素、ポリメチン色素等を含む群より選択され得る色素の使用を含む。
【0068】
本発明との関連において、化学発光アッセイは、Kirk-Othmer, Encyclopedia of chemical technology 4th ed., executive editor, J. I. Kroschwitz; editor, M. Howe-Grant, John Wiley & Sons, 1993, vol.15, p.518-562(この文献および551-562頁に記載された引用文献は参照により本明細書中に組み込まれる)において化学発光物質に関して記載された物理的原理に基づく色素の使用を含む。好ましい化学発光色素はアクリジニウムエステルである。
【実施例】
【0069】
材料および方法
調査計画および被験者
前向きコホート研究において、2001年8月から2003年7月の間に外来診療所を訪れ、少なくとも1年間、機能する移植片を有していた全ての腎臓移植レシピエントに、外来診療所への次回訪問時に参加する資格を与えた。レシピエントが病気になった場合または感染の兆候があった場合には、外来診療所へのより最近の訪問時に参加するように求めた。有資格者847人のうち、合計606人の腎臓移植レシピエントが、インフォームド・コンセント書面にサインをした(同意率72%)。インフォームド・コンセント書面にサインをしなかったグループは、年齢、性別、ボディ・マス・インデックス、血清クレアチニン、クレアチニン・クリアランスおよびタンパク尿に関して、インフォームド・コンセント書面にサインをしたグループと匹敵した。2人のRTRは、PCT濃度に関して極度な異常値であるとみなし(図1)、分析から除外した。本研究のさらなる詳細は以前に刊行されている(van Ree RM, De Vries AP, Oterdoom LH 等. Abdominal obesity and smoking are important determinants of C-reactive protein in renal transplant recipients. Nephrol Dial Transplant 2005; 20(11):2524-2531)。施設内倫理委員会は、ヘルシンキ宣言(再検討されたヘルシンキ宣言:IRB2000; 22:10-11)に沿う本研究のプロトコル(METc 01/039)を承認した。
【0070】
転帰イベント
全ての参加被験者には、1年に少なくとも1回、外来診療所を訪問させた。二次エンドポイントとして、死を用いた。死および生着不全に関する情報は、一般開業医および委託腎臓専門医との密接な連絡を通じて腎臓移植センターにより記録された。生着不全は、透析または再移植への回帰として定義した。全てのRTRの生着不全および死は、2007年8月まで記録した。追跡不能例はなかった。
【0071】
腎臓移植特性
関連移植特性は、フローニンゲン(Groningen)腎臓移植データベースから取得した。このデータベースは、1968年以来我々のセンターで実施された全ての腎臓移植に関する情報を有しており、そこには透析経歴も含まれている。標準的な免疫抑制療法および現在の投薬については以前に記載した(van Ree RM, De Vries AP, Oterdoom LH 等. Abdominal obesity and smoking are important determinats of C-reactive protein in renal transplant recipients. Nephrol Dial Transplant 2005; 20(11):2524-2531)。ボディ・マス・インデックス、胴囲、体表面積(BSA)および血圧は、以前に記載したように測定した(van Ree RM, De Vries AP, Oterdoom LH 等. Abdominal obesity and smoking are important determinats of C-reactive protein in renal transplant recipients. Nephrol Dial Transplant 2005; 20(11):2524-2531)。喫煙状態および循環器疾患既往歴は、自己評価質問表に記録された。以前に心筋梗塞(MI)、一過性脳虚血発作(TIA)または脳血管障害(CVA)に罹患したことがある場合、循環器疾患既往歴を陽性とみなした。
【0072】
検査測定
8−12時間の一晩の絶食後、採血した。免疫発光アッセイ(BRAHMS PCT sensitive LIA; BRAHMS Aktiengesellschaft, Hennigsdorf, Germany)を用いてPCT分析を実施した(Morgenthaler NG, Struck J, Fischer-Schulz C, Bergmann A. Sensitive immunoluminometric assay for the detection of procalcitonin. Clin Chem. 2002 May; 48(5):788-90)。高感度C反応性タンパク質(CRP)レベルは、院内での酵素結合免疫測定法(ELISA)を用いて決定した。検出の最低限度は0.002mg/Lであった。血清クレアチニンレベルは、Jaffe法の変法を用いて決定した(MEGA AU 510, Merck Diagnostica, Darmstadt, Germany)。血清総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリドおよび尿中タンパク排泄は、以前に記載したように評価した。タンパク尿は、尿中タンパク排泄>0.5g/24時間として定義した。
【0073】
統計分析
分析はSPSSバージョン14.0(SPSS Inc., Chicago, IL)およびシグマプロットバージョン10(Systat software Inc., Germany)を用いて実施した。パラメトリックパラメーターは、平均値±標準偏差(SD)として与えられる一方、ノンパラメトリックパラメーターは、中央値[四分位範囲]として与えられる。ハザード比(HR)は、[95%信頼区間(CI)]とともに示した。P<0.05よりも小さい両側P値は統計的有意性を意味した。
【0074】
まず、どのレシピエントまたは移植腎臓関連特性がPCT濃度と関連するかを調べるために、log PCT濃度を従属変数とした線形回帰分析を用いて、これらのファクターを分析した。PCTがCRP、クレアチニン・クリアランスまたはタンパク尿と相関するか否かを判定するために、散布図を作成した。曲線推定回帰統計学(curve estimation regression statistics)を用いて、散布図における最良適合を決定した。次いで、後退(backward)線形回帰分析を用いて、PCTの独立決定因子および独立関連因子(independent associate)を決定した。レシピエントは異なる同種移植片機能の状態で研究への組み入れが開始されるという事実、およびレシピエントが異なる時点で我々の研究に組み入れられるという事実を補正するために、ベースラインおよび移植日から組み入れ日までの時間におけるクレアチニン・クリアランスおよびタンパク尿を補正した。次いで、線形回帰分析にP値<0.05での追加的特性を加えた。維持された変数をPCTレベルの独立決定因子および独立関連因子とみなした。
【0075】
生着不全または死を判定するための感度および特異度は、PCT、CRP、タンパク尿およびクレアチニン・クリアランスに関する受信者動作特性(ROC)曲線を作成することによって算出した。その曲線から、最適カットオフ値を推定した。生着不全に関してはPCT、CRP、タンパク尿およびクレアチニン・クリアランスの予測性能を比較するために、ならびに、死に関してはPCTおよびCRPの予測性能を比較するために、ROC曲線下面積(AUC)を算出した。AUC間の統計学的差異を、DeLong 等の方法(DeLong ER, DeLong DM, Clarke-Pearson DL. Comparing the areas under two or more correlated receiver operating characteristic curves: a nonparametric approach. Biometrics 1988; 44(3):837-845)によってノンパラメトリック的に比較した。
【0076】
最後に、時間事象(time to event)分析を実施した。まず、生着不全および死の予測因子となり得るPCTレベルについて、カプラン・マイヤー分析を用いて調べた。PCTの三分位数において男性および女性のパーセンテージは均等に分割されていないので、これらの分析において、性別で層別化されたPCTの三分位数を用いた(第1三分位:41%女性および24%男性;第2三分位:31%女性および37%男性;第3三分位:28%女性および39%男性)。続いて、単変量および多変量コックス回帰分析を実施した。その回帰分析にPCT濃度を2log変換変数として入力した。これは、例えば、生着不全に関する1.5のハザード比(HR)は、PCT濃度の倍増ごとに生着不全に関するHRが1.5倍に増加することを示す。クレアチニン・クリアランス、タンパク尿および移植日から組み入れ日までの時間(表5,モデル2)に関して、レシピエントの年齢および性別(表5,モデル3)に関して、ならびにPCTの従属関連因子および従属決定因子(表5,モデル4)に関して補正した。(1)CRPレベルが10mg/Lを上回るRTRをさらに除外して、および(2)非タンパク尿RTR単独について、二次分析を実施した。
【0077】
結果
合計575人のRTR(54%男性,年齢51.7±12.0歳,84%死体移植)について分析した。移植からベースライン測定までの時間の中央値は6.1[2.9−11.7]年であった。PCT濃度の中央値は0.023[0.017−0.036]ng/mLであった。レシピエントおよび移植ベースライン特性、ならびにlog PCT濃度を独立変数とした単変量線形回帰分析の標準化回帰係数を、表1および2に示す。PCTレベルが増加したRTRは、より多くの場合に男性であり、胴囲がより大きく、より多くの場合に喫煙家であり、心臓収縮期および拡張期の血圧がより高く、より数多くの抗高血圧薬を使用しており、HDL濃度がより低く、トリグリセリド濃度がより高く、CRP濃度がより高かった。さらに、より高いPCTレベルは、より高いドナー年齢、より高い血清クレアチニン濃度、より低いクレアチニン・クリアランス、より高いタンパク尿、より高頻度の急性拒絶反応および急性拒絶反応処置、ならびに、より高いプレドニゾロン投与量と関連した。
【0078】
図1は、PCTと(a)CRP、(b)クレアチニン・クリアランス、および(c)タンパク尿との相関を示す。曲線推定回帰分析によって、PCTとCRPとの関連性は二次モデルを用いた場合に最良適合し、PCTとクレアチニン・クリアランスとの関連性は逆モデルを用いた場合に最良適合し、PCTとタンパク尿との関連性は線形モデルを用いた場合に最良適合した(モデル方程式については、図1に関する図面の簡単な説明を参照。全てP<0.0001)。PCTの独立決定因子および独立関連因子を決定するために、単変量分析においてPCTレベルと有意に関連した全ての特性に関する、log PCT濃度を従属変数とした後退線形回帰分析を実施した(表1および2参照)。PCTの独立決定因子および独立関連因子は、CRP濃度、クレアチニン・クリアランス、レシピエントの性別、タンパク尿、HDLおよびトリグリセリド濃度、ならびにドナーの年齢であった(表3)。
【0079】
生着不全までの追跡期間の中央値は5.2[4.5−5.7]年であり、死亡までの追跡期間の中央値は5.3[4.7−5.7]年であった。追跡期間中、41人(7%)のRTRが生着不全を発症し、91人(16%)のRTRが死亡した。組み入れ時のPCTレベルの中央値は、生着不全を発症しなかったRTRと比較して、生着不全が発症したRTRにおいて有意に高かった(0.046[0.035−0.078]ng/mL 対 0.023[0.017−0.034]ng/mL,P<0.0001,図2a)。追跡期間中に死亡したRTRは、死亡しなかったRTRと比較して、組み入れ時におけるPCTレベルが有意に高かった(0.032[0.021−0.055]ng/mL 対 0.022[0.017−0.034]ng/mL,P<0.0001,図2b)。それに対して、組み入れ時におけるCRPレベルは、生着不全が発症しなかったRTRと比較して、生着不全が発症したRTRにおいて有意には高くなかった(2.43[1.18−8.04]mg/L 対 2.06[0.81−4.87]mg/L,P=0.2,図2c)。しかしながら、CRPレベルは、死亡しなかったRTRと比較して、死亡したRTRにおいて有意に高かった(3.49[1.38−8.91]mg/L 対 1.89[0.74−4.38]mg/L,P<0.0001,図2d)。
【0080】
ROC曲線を作成して、生着不全に関する血清PCTレベルの予測性能をクレアチニン・クリアランス、タンパク尿およびCRPと比較するとともに、死に関する血清PCTレベルの予測性能をCRPと比較した(それぞれ図3aおよびb)。AUCおよび最適カットオフ値を、対応する感度および特異度とともに表4に示す。PCTによる生着不全予測に関するROC分析の結果、平均(SE)AUCは0.84(0.03)であった。これは、CRPのAUC(0.56(0.04),PCTに対してP<0.0001)と比較して有意に高かったが、クレアチニン・クリアランスのAUC(0.86(0.03),PCTに対してP=NS)およびタンパク尿のAUC(0.80(0.04),PCTに対してP=NS)と同程度であった。生着不全を検出するための最適カットオフ値は、PCTでは0.029ng/mL、クレアチニン・クリアランスでは51.5mL/分、タンパク尿では0.4g/24時間であった。CRPに関しては、そのモデルが生着不全の予測について偶然以上のものではなかったため、生着不全を検出するための最適カットオフ値を決定できなかった。死亡予測に関するROC分析の結果、PCTではAUCが0.66(0.03)、CRPでは0.63(0.03)であった(それぞれに対してP=NS)。死を検出するための最適カットオフ値は、PCTでは0.028ng/mL、CRPでは2.1mg/Lであった。
【0081】
最後に、時間事象分析を実施した。PCTの最低三分位では、1人(1%)のRTRが追跡期間中に生着不全を発症した一方、中間三分位および最高三分位におけるその数はそれぞれ5人(3%)および35人(19%)であった(対数順位検定:P<0.0001,図4a)。死亡者の数は、PCTの三分位数が低い方から順に、15人(8%)、32人(17%)および44人(23%)であった(対数順位検定:P<0.0001,図4b)。表5は、RTRにおける後期生着不全および死に関する単変量および多変量コックス回帰分析を示す。PCTは、クレアチニン・クリアランス、タンパク尿および移植日から組み入れ日までの時間を補正した後において、後期生着不全に関する有意な予測因子であった(HR=1.7,P<0.005,表5,モデル2)。同様のことが、レシピエントの年齢および性別をさらに補正した後(HR=1.6,P=0.01,表5,モデル3)、ならびに、PCTの独立関連因子および独立決定因子をさらに補正した後(表5,モデル4)にもあてはまった。PCTと死との有意な関連性は、クレアチニン・クリアランス、タンパク尿および移植日から組み入れ日までの時間を補正した後において、消失した(HR=1.3,P=0.06,表5,モデル2)。しかしながら、有意性は、レシピエントの年齢および性別を補正した後に回復し(HR=1.4,P=0.01,表5,モデル3)、PCTの独立関連因子および独立決定因子を補正した後にも維持された(HR=1.4,P<0.05,表5,モデル4)。結果は、CRPレベルが10mg/Lを上回るRTRの組み入れ後では、または、非タンパク尿RTR単独で分析を実施した場合では、大きく異なった(非タンパク尿RTR単独における、層別化されたPCTの三分位数に従ったカプラン・マイヤー分析に関する図4cおよびd参照)。
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【0086】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
臓器移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死を予測またはリスク層別化する方法であって、
前記被験者から採取されたサンプル中のプロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントの測定を含み、
生着不全および/または死の増大したリスクと関連するプロカルシトニンのレベルが、0.1ng/mL未満といったカットオフを上回る前記方法。
【請求項2】
前記被験者が腎臓移植を受けたものである請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記被験者が、抗微生物治療を必要とする感染、または敗血症、重症敗血症もしくは敗血性ショック等の感染の進行形態を含む群より選択された状態にない請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記被験者のプロカルシトニンのレベルが、前記臓器移植によって生じた外科的外傷の影響をもはや受けない請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルが、血漿サンプル、血清サンプル、血液サンプルもしくはその画分、リンパ液サンプル、尿サンプル、またはこれらのサンプルのいずれかの抽出物を含む群より選択される前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、長期または中期生着不全を予測する方法である請求項1〜5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、短期生着不全を予測する方法である請求項1〜5に記載の方法。
【請求項8】
前記プロカルシトニンのレベルを、好ましくは、以下の選択肢から選択され得る方法によって、生着不全および/または死の予測またはリスク層別化と相関させる前記請求項のいずれかに記載の方法。
・所定のサンプル群におけるプロカルシトニンレベルの中央値についての相関
・所定のサンプル群におけるプロカルシトニンレベルの変位値についての相関
・コックス回帰等の数学モデルによる相関
【請求項9】
生着不全および/または死の増大したリスクと関連するプロカルシトニンのレベルが、正常個体群のレベルの中央値を上回る前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
生着不全および/または死の増大したリスクと関連する1または2以上のさらなるマーカーまたは臨床パラメーターが測定され、臓器移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死の予測またはリスク層別化のために用いられる前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記1または2以上の臨床パラメーターが、年齢、性別、疾患の既往歴、特に糖尿病の既往歴、ボディ・マス・インデックス、遺伝的素因/家族歴、民族的背景、前記傾向に影響を与える喫煙、飲酒またはダイエット等の習慣を含む群より選択される請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記1または2以上のさらなるマーカーが、腎機能マーカー、炎症マーカーならびに心臓血管調節および浸透調節と関連するマーカーを含む群より選択される請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
前記腎機能マーカーが、クレアチニン・クリアランス、タンパク尿および脂質マーカーを含む群より選択される請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記炎症マーカーが、C反応性タンパク質である請求項12記載の方法。
【請求項15】
前記心臓血管調節および浸透調節と関連するマーカーが、プロBNPまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメント、例えばBNPおよびNT−プロBNP、プロANPまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメント、例えばNT−プロANPおよびMR−プロANP、プロアドレノメデュリンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメント、例えばアドレノメデュリン、PAMPおよびMR−プロADM、プロエンドセリンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメント、例えばエンドセリン−1、ビッグエンドセリン−1、CT−プロET−1およびNT−プロET−1、プロバソプレシンまたは少なくとも8個のアミノ酸を含むそのフラグメント、例えばバソプレシン、コペプチンおよびニューロフィジン2を含む群より選択される請求項12記載の方法。
【請求項16】
以下の工程:
・腎臓移植後の被験者からサンプルを採取する工程、
・前記被験者から採取したサンプル中のプロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントのレベルを測定する工程、および
・プロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントのレベルを予後と相関させる工程
を含む請求項1〜15記載の方法。
【請求項17】
前記プロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントのレベルが診断アッセイで測定される請求項16記載の方法。
【請求項18】
プロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントに関する前記診断アッセイが、超高感度であるとともに、0.1ng/mL未満の機能分析感度(20%の最大アッセイ間CVで測定され得る最小濃度として定義される)を有する請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記サンプルが、移植後1週間以降の被験者から採取される請求項16〜18記載の方法。
【請求項20】
臓器移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死を予測またはリスク層別化するための、プロカルシトニンまたは少なくとも12個のアミノ酸を含むそのフラグメントの使用。
【請求項21】
臓器移植ならびにモニタリングおよび治療ガイダンスを受けた被験者の生着不全および/または死を予測またはリスク層別化するための、0.1ng/mL未満の分析感度(20%の最大アッセイ間CVで測定され得る最小濃度として定義される)を有するイムノアッセイの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−522267(P2011−522267A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512086(P2011−512086)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056625
【国際公開番号】WO2009/147096
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(508093584)ベー.エル.アー.ハー.エム.エス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (27)
【Fターム(参考)】