説明

生花ディスプレー容器

【課題】迅速かつ安価に生花を装飾するための、生花用ディスプレー容器を提供する。
【解決手段】生花のディスプレー容器は、蓋状容器、本体容器と架台から構成されている。蓋状容器は左右対称で、本体容器に被せる形で固定でき、開口部で分かれる構造をとっている。そのため本体容器の側面強度の補強が可能になり、また、分解もできることから容器の洗浄や掃除が容易となり、開口部内側部分で茎の上部を固定できる。本体容器の底には、生花の茎の先端を固定するために幅10mm程度の溝状構造とし、開口部と本体容器底の上下2点での支持により、生花の確実な固定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、生花のディスプレー容器に関するものであり、詳しくは、葬儀用祭壇、結婚式や展示会等の各種イベント会場でのディスプレー等の場面にて、迅速かつ安価に生花を装飾するための資材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば葬儀用の祭壇は、階段状に構築された台上に、発泡プラスチックまたは吸水性スポンジを納めた水槽に花を挿して装飾されるものである。この装飾には大量の花が用いられるため、多大な労力と時間を要している。これら祭壇の構築には多数の構築部材を必要とするだけでなく、花の取り扱いに熟練した専門家の労力を必要としている。また、広い祭場現場での装飾には、水や花、資材等の運搬、葉、茎などの廃棄物やこぼれた水の処理等、重労働と経費が伴うという問題がある。
【0003】
これら従来の問題を解決するため、特願2002−273396では、長さ寸法300〜1200mm、厚さ寸法10〜30、深さ寸法100〜250mmの専用の容器が発明されている。この発明は、祭場での装飾に要する労力と時間を大幅に軽減するディスプレー資材を提供するものとなっている。
しかしこの発明による容器は、開口部が狭く薄い横長の形状であり、プラスチック板、金属板、木質板、耐水性ダンボール板、ゴム状弾性体等を用いても量産は難しい。さらに、仕切の無い容器の開口部の内側には、生花の茎を固定するための格子状または櫛状枠体を設けるものとなっているが、これらの敷設や加工は機械化できないため、手作業にて処理しなければならないという事情がある。そのため、一葬祭業者でも多数の容器を必要とする市場の要求には応えられないものとなっている。
【発明の開示】
【発明の効果】
【0004】
この発明に係る生花ディスプレー容器は、次のような効果を奏することができる。まず第一に、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂を原料としてインジェクション成型法により製造できるため大量生産が可能になり、同一品質の容器を安価に供給できる。次に、発泡プラスチックや吸水性スポンジなどの資材が不要となるため、資材費や後処理費、廃棄物等の大幅な削減が可能になる。生花を生けた状態のディスプレー容器を予め別の場所で作製しておき、会場にはこれを持ち込んで所定の位置に組み立てることができるため会場を汚すことがなくなり、清掃作業が軽減される。さらに、蓋状容器による茎の上部の固定方式と本体容器底の溝状構造により、本ディスプレー容器に生けた生花は全て一定の角度に固定することができる。これらの効果により、会場での設営の作業性が著しく向上するだけでなく、花の取り扱いに不慣れなものでも、専門家と同等のディスプレーが短時間でできる。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の祭壇の構築には、多数の建築部材、経験と知識を備えた専門家の長時間にわたる労力などが要求されるだけでなく、装飾の際に廃棄される葉や茎の他、こぼれた水などの処理にも手間がかかっていた。また使用後は、発泡プラスチックや吸水性スポンジ等の廃棄にも労力と費用を要していた。
これらの問題は、特許文献1に記載のディスプレー構築部材の使用により大幅に軽減されるものとなる。ただし、これに記載の薄い横長の容器は、挿した生花を固定するための仕切を設けることとなっているが、この形状の容器では小さな空間がさらに細かく仕切られるため、生け水の供給や使用後の容器の洗浄等には多大な手間を要する。
【特許文献1】特願2002−273396 しかし根本的な問題は、このような狭小な形状の容器は大量生産できないことにある。さらに、開口部の内側に格子状または櫛状枠体を設ける場合には、狭い開口部の内側に格子状または櫛状の枠体の接着、加工等の手仕事が加わるという製造上の問題があり、一葬祭業者でも多数の容器を必要とする市場の要求には応えられないものとなっている。
【0006】
この発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、安価で使いやすい生花用ディスプレー容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために次のような構成とした。即ち、この発明に係るディスプレー容器は、水或いはゲル状給水材を入れる本体容器と、茎の上部を固定して本体容器も補強できる蓋状容器、さらに組み立てたディスプレー容器を乗せる専用の台との組み合わせからなる。容器は透明な材質であれば内部物の残量が一目で分かり、管理が容易なものとなるが、これにこだわるものではない。さらに、水の代わりにゲル状給水材を使用すれば、輸送時や傾斜させたディスプレーの場合にも内容物がこぼれず、作業性と生花の鮮度保持効果は一層良好なものとなる。
【0008】
容器の大きさは、例えば長さ寸法300〜1200mm、厚さ寸法15〜60mm、深さ寸法150〜600mmとすることができる。蓋状容器は左右対称で、本体容器に被せる形で固定でき、開口部で分かれる構造としている。これにより本体容器の側面強度の補強が可能になり、分解できることで容器の洗浄や掃除が容易になる。開口部内側の支持板には樹脂成型物を敷設した構造が好ましく、この部分で茎の上部を固定できる。
また本体容器の底には、生花の茎の先端を固定するために幅10mm程度の溝状構造としている。この上下2点での支持により、生花の確実な固定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、この発明を図示する実施形態に基づいて説明する。この発明に係る生花ディスプレー容器は、茎を固定し本体容器を補強する蓋状容器(図1)と、水またはゲル状給水材を入れて生花を挿す本体容器(図2)、さらに生花を生けた容器を固定する架台(図3)とからなる。
【0010】
前記蓋状容器は、図1に示すように、本体容器の上端(図2、21)に被せて固定できるように深さ8mmの溝状の凹部11を設けており、左右対称で二分割できる構造としている。またこの部分の上面には、生花を等間隔で挿す場合の目安となるよう目盛14を設けている。さらにこの蓋状容器には、垂直方向に茎を挟んで固定するための保持板12を設けている。蓋状容器を2個組み合わせたときの左右の保持板12の隙間は、10mm〜30mmとすることができる。保持板12には、リブ構造13を設けて補強している。この保持板12には、茎を固定するための樹脂成型物を装着する。
【0011】
次に、水またはゲル状給水材を入れて生花を挿す本体容器(図2)について説明する。本体容器の上端部21は、蓋状容器の凹部に納まり、左右の蓋状容器が隙間無く固定できる構造としている。また本体容器の内壁には、水或いはゲル状給水材を入れたときの横方向への膨張を防ぐため、仕切板22を設けている。さらに本体容器の外側には、本体容器の補強と架台(図3)の固定のため、ヒレ状構造の補強板23を設けている。本体容器の底24は、生花の茎の先端が一定の位置に固定できるように幅10mmの溝状に構成している。
【0012】
最後に、組み立てた蓋状容器と本体容器を乗せる専用の架台(図3)について説明する。この架台の幅は、本体容器の外側のヒレ状補強板23の間に納まる寸法としてあり、一つの架台に3個分の凹部を設けているため、3個までの容器であれば2個の架台で設置できる。また、架台が納まるヒレ状補強板23の間は4カ所あるため、他の2カ所に架台を使用すれば多数の容器の連結が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明に係る蓋状容器の斜視図、側面図、断面図である。
【図2】この発明に係る本体容器の斜視図、平面図、側面図、断面図である。
【図3】この発明に係る架台の斜視図、側面図である。
【図4】この発明に係る蓋状容器と本体容器を組み合わせたときの断面図である。
【図5】この発明に係る全ての部材を組み立てたときの斜視図である。
【図6】この発明に係る全ての部材を組み立てたときの側面図である。
【符号の説明】
【0014】
11 凹部
12 保持板
13 リブ構造物
14 目盛
21 上端部
22 仕切板
23 ヒレ状補強板
24 底
























【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体容器の形状は、長さ寸法300〜1200mm、厚さ寸法15〜60mm、深さ寸法150〜600mmであることを特徴とするディスプレー容器。
【請求項2】
本体容器の底を、生花の茎の先端が固定できるように溝状構造とすることを特徴とする請求項1記載のディスプレー容器
【請求項3】
請求項1に記載の本体容器に被せて固定でき、生花を差し込むための隙間として幅寸法10〜25mmの開口部を設けることを特徴とするディスプレー用蓋状容器。
【請求項4】
開口部の部分で分割でき、開口部の内側に茎を固定するための板状構造物を敷設することを特徴とする請求項3に記載のディスプレー用蓋状容器。
【請求項5】
開口部の上面に、生花を挿すときの目安となるように目盛を設けることを特徴とする請求項3に記載のディスプレー用蓋状容器。
【請求項6】
ディスプレー容器を固定する架台は、請求項1に記載の容器の形状に合致することを特徴とする構築部材。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−301929(P2008−301929A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150141(P2007−150141)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(591286270)株式会社伏見製薬所 (50)
【出願人】(507186573)株式会社フラワーテック (1)
【出願人】(507186584)
【出願人】(507187215)