説明

生麺類のトレイなしピロー包装方法及びピロー包装体

【課題】フィルム包装され互いに滑りやすい複数の生麺等を、一まとめに外装する場合に、トレイを使用することなく集積させて内部移動を制限し外装製品の形状保持性能を高め美観を向上させること。
【解決手段】(a)筒状に成形されたフィルム内に裸の生麺を順次供給し、脱気し、横断シールにより個別密封して個別包装体とする工程;(b)個別包装体が複数個連結した状態に横断カットして連結包装体とする工程;(c)連結包装体形成工程終了までに、個別包装体内に形成された個々の麺塊の各々の個別包装体内での位置決めをする工程;(d)麺塊の存在により包装フィルムが膨らんだフィルム凸状部と、包装フィルムが膨らんでいないフィルム凹状部とが重なるように折り畳み、連結包装体のフィルム凸状部を集積して集積体を形成する工程;(e)集積体を、トレイを用いることなくピロー包装する工程;の各工程を備えた生麺類のトレイなしピロー包装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の生麺を個別包装しスープ等の添付品とともに外包装する生麺類のトレイなしピロー包装方法や、トレイを用いなくとも形状保持可能なピロー包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、個別独立に包装された複数の生麺をスープ等の添付品と共に横ピロータイプの包装機でピロー形態に外装包装する際、トレイに載せて行うことが広く行われている。トレイを用いることで包装製品の形状が保持されると共に、サイズが規制されシールの際に噛み込むことがない。
【0003】
一方、同様の製品を横ピロータイプの包装機で巾着形態に包装する場合はトレイを用いる必要がない。製品内容ピッチに対してフィルムピッチを長くとり、二次的な巾着結束により余剰のフィルムと空間を絞って無くすことで、生麺類を密集状態にして内部の移動を規制して形状を保持している。しかし、ピロー形態に比べると結束帯やフィルムの包装資材を余計に要する。
【0004】
包装内容物を落とし込むタイプの包装機、例えば縦ピロー包装機であれば、トレイなしのピロー形態でも縦方向であるフィルムピッチを短くできるものの、横方向はシュート筒の制約を受け、製品の胴回りを希望する程度に絞ることができない場合があった。また、横ピロータイプに比べ処理能力が劣る点に問題がある。
【0005】
トレイを省く包装に関する包装技術としては、包装材の内面にエンボスフィルムを用いることで内容物の位置ずれや偏在を防止する包装技術(特許文献1)や、袋中央領域に向けて櫛歯状に張り出すように、表裏のシートを融着するリブ状シール帯を形成してある袋包装技術(特許文献2)が提案されている。
【0006】
また、包装形態の保持機能を高める目的で、角型袋の4隅が縦方向にヒレ状に突出したサイドシールを設けた包装形態や、該包装を目的としたフィルム製袋機が知られている(特許文献3)。
【0007】
その他、複数個の連結した包装体において、連結部のヒートシールにおいて、複数の包装体の連結方向に対して平行な複数の突出し部を有し、かつ、突出し部の延長部がヒートシールにより延長されている連結包装体が知られている(特許文献4)。
【0008】
【特許文献1】特開2006−168762
【特許文献2】特開2001−213442
【特許文献3】特公平1−44571
【特許文献4】実開昭53−98078
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
環境負荷を減らす取り組みは企業の社会的責任と周知され、事業活動の一部となって久しい。食品の包装材は家庭ゴミを増大し、焼却やリサイクルに要するエネルギーを増大させ、削減を迫られている。包装用トレイも例外ではない。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、フィルム包装され互いに滑りやすい複数の生麺類を、一まとめに外装する場合に、トレイを使用することなく集積させて製品内容ピッチを規制し、包装時の噛み込みを防止すると同時に、外包装された生麺類の集積状態を保持して内部移動を制限し外装製品の形状保持性能を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、発明者らは、個別包装される複数の生麺類の結束や接着について検討する中で、思いがけず合理的な方法により上記課題を解決するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、(1)(a)筒状に成形されたフィルム内に裸の生麺を順次供給し、脱気し、横断シールにより個別密封して個別包装体とする個別包装体形成工程;(b)個別包装体が複数個連結した状態に横断カットして連結包装体とする連結包装体形成工程;(c)連結包装体形成工程終了までに、個別包装体内に形成された個々の麺塊の各々の個別包装体内での位置決めをする麺塊位置決め工程;(d)麺塊の存在により包装フィルムが膨らんだフィルム凸状部と、包装フィルムが膨らんでいないフィルム凹状部とが重なるように折り畳み、連結包装体のフィルム凸状部を集積して集積体を形成する集積体形成工程;(e)集積体を、トレイを用いることなくピロー包装する外包装工程;の各工程を備えたことを特徴とする生麺類のトレイなしピロー包装方法や、(2)連結包装体形成工程で、両端部の横断シールと中央部の横断シールを有する2個連結包装体を形成し、この2個連結包装体における2個の麺塊を、麺塊位置決め工程で、1個の麺塊が端部横断シール寄りに偏在するように、他の1個の麺塊が中央部横断シール寄りに偏在するように、各々の個包装体内で位置決めをすることを特徴とする前記(1)記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法や、(3)連結包装体形成工程で、両端部の横断シールと中央部の横断シールを有する2個連結包装体を形成し、この2個連結包装体における2個の麺塊を、麺塊位置決め工程で、互いに反対側の端部横断シール寄りに偏在するように、各々の個包装体内で位置決めをすることを特徴とする前記(1)記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法や、(4)連結包装体形成工程で、両端部の横断シールとその間の2つの中間横断シールを有する3個連結包装体を形成し、この3個連結包装体における3個の麺塊の内の両外側の麺塊を、麺塊位置決め工程で、それぞれ中間横断シール寄りに偏在するように、両外側の個包装体内で位置決めをすることを特徴とする前記(1)記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法や、(5)連結包装体形成工程で、両端部の横断シールとその間の2つの中間横断シールを有する3個連結包装体を形成し、この3個連結包装体における3個の麺塊の内の両外側の麺塊を、麺塊位置決め工程で、1個の麺塊が端部横断シール寄りに偏在するように、他の1個の麺塊が中間横断シール寄りに偏在するように、両外側の個包装体内で位置決めをすることを特徴とする前記(1)記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法や、(6)個別包装体形成工程で、脱気し、横断シールにより含気率45〜65%で個別密封して個別包装体とすることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法や、(7)外包装工程で、集積体をベルトコンベアにより横ピロー包装機に導入することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法や、(8)外包装工程で、角筒状フィルムを用い、該角筒状フィルムの角部に沿った内角面を帯状にシールすることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法に関する。
【0013】
また本発明は、(9)麺塊が脱気した状態で収容されている個別包装体を複数個連結した連結包装体が一まとめに外包装された包装体であって、前記連結包装体における、麺塊の存在により包装フィルムが膨らんだフィルム凸状部と、包装フィルムが膨らんでいないフィルム凹状部とが重なるように折り畳まれ、連結包装体のフィルム凸状部が集積された状態でピロー包装されていることを特徴とする生麺類のトレイなしピロー包装体や、(10)両端部の横断シールと中央部の横断シールを有する2個連結包装体が一まとめに外包装された包装体であって、この2個連結包装体における2個の麺塊のうち、1個の麺塊が端部横断シール寄りに偏在するように、他の1個の麺塊が中央部横断シール寄りに偏在するように、それぞれ位置決めされた状態で折り畳まれていることを特徴とする前記(9)記載の生麺類のトレイなしピロー包装体や、(11)麺塊が脱気した状態で収容されている個別包装体が、麺塊が含気率45〜65%で収容されている個別包装体であることを特徴とする前記(9)又は(10)記載の生麺類のトレイなしピロー包装体や、(12)角筒状フィルムを用い、該角筒状フィルムの角部に沿った内角面を帯状にシールすることにより外包装され、角筒の角部に外側に突き出たヒレ状のサイドシールを有することを特徴とする前記(9)〜(11)のいずれか記載の生麺類のトレイなしピロー包装体に関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、互いに滑りやすいために集積困難だった複数の個別包装された生麺を、安定した集積状態にすることで、生麺自身をスープの素等の添付品を積載するトレイ代わりや押さえとして機能させると共に、包装時の噛み込みを防止することができる。そして、外包装により、生麺類の移動を規制して外包装製品の形状保持性能を高めた結果、トレイなしのピロー包装を可能にすることで、包材の重量及び容積を低減し、異種材料のプラスチックスの混在を回避し、廃棄時の焼却を容易にして、家庭ゴミやその処理に要するエネルギーを低減させることができるばかりか、陳列時に包装体が腰折れすることなく、陳列製品の美観を向上させることで生麺の購買意欲を刺激し生麺市場の拡大に資するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の連結包装体の展開状態を示す平面図。
【図2】実施例1の連結包装体の展開状態から折り畳む状態を示す側面図。
【図3】実施例1の連結包装体の折り畳まれた状態を示す側面図。
【図4】実施例2の連結包装体の展開状態を示す平面図。
【図5】実施例2の連結包装体の展開状態から折り畳む状態を示す側面図。
【図6】実施例2の連結包装体の折り畳まれた状態を示す側面図。
【図7】実施例3の連結包装体の展開状態を示す平面図。
【図8】実施例3の連結包装体の展開状態から折り畳む状態を示す側面図。
【図9】実施例3の連結包装体の折り畳まれた状態を示す側面図。
【図10】実施例5の外包装された状態の表裏を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の生麺類のトレイなしピロー包装方法としては、(a)筒状に成形されたフィルム内に裸の生麺を順次供給し、脱気し、横断シールにより個別密封して個別包装体とする個別包装体形成工程;(b)個別包装体が複数個連結した状態に横断カットして連結包装体とする連結包装体形成工程;(c)連結包装体形成工程終了までに、個別包装体内に形成された個々の麺塊の各々の個別包装体内での位置決めをする麺塊位置決め工程;(d)麺塊の存在により包装フィルムが膨らんだフィルム凸状部と、包装フィルムが膨らんでいないフィルム凹状部とが重なるように折り畳み、連結包装体のフィルム凸状部を集積して集積体を形成する集積体形成工程;(e)集積体を、トレイを用いることなくピロー包装する外包装工程;の各工程を備えた方法であれば特に制限されず、また、本発明の生麺類のトレイなしピロー包装体としては、生麺塊が脱気した状態で収容されている個別包装体を複数個連結した連結包装体が一まとめに外包装された包装体であって、前記連結包装体における、麺塊の存在により包装フィルムが膨らんだフィルム凸状部と、包装フィルムが膨らんでいないフィルム凹状部とが重なるように折り畳まれ、連結包装体のフィルム凸状部が集積された状態でピロー包装されているピロー包装体であれば特に制限されず、上記生麺類には、個別包装される生麺と、必要に応じ添付されるスープの素や薬味等の包装品が含まれる。また、上記生麺は、製麺され裁断された麺線を冷却、水分調整、打ち粉等を必要に応じて行い、1食相当量に分け取られ茹上前の状態で流通させるものをいう。
【0017】
また、上記麺塊とは、生麺を不定形な玉状の塊にまとめられた裸の状態を指す。まとめる方法は、例えば、麺線を揃え専用装置で丸めたり、折り畳んだり、又は切り落とされた麺線が包装袋に収容されることで塊にまとめられる場合等何ら限定されない。そして、フィルム凸状部とは、麺塊の存在により包装フィルムが膨らんだ部分を、フィルム凹状部とは麺塊がないか僅かに存在する実質的に厚みのない部分及び横断シール(連結)部分をそれぞれ指す。
【0018】
個別包装体形成工程において使用する包装機のタイプは特に限定されないが、麺線を揃えて玉丸めされた麺塊は横ピロータイプが良く、切り落とされた生麺を直接包装機で受ける場合は縦ピロータイプが良い。なお、連結部の横断シールの中央に連結部の切り離しを目的としたミシン目を入れれば、必要に応じ個別の包装体が分離可能となって利用者の利便を図ることができる。
【0019】
個別包装体形成工程における脱気は、筒状に成形されたフィルム内に裸の生麺を順次供給した後の横断シールによる密封前に、麺塊周辺をスポンジ等のついた板で挟めば本発明に適した脱気が行える。脱気は、麺塊にフィルムを密着させ余剰空間を実質的になくし、個別包装体にフィルム凸状部とフィルム凹状部を形成させると共に、個別包装体の中で麺塊の動きを制限することができる。なお、脱気による個別包装体の含気率は、水分含量30〜33%の生中華麺であれば45〜65%、望ましくは50〜60%が良い。本発明でいう含気率は、個別包装体の容積に占める空気量の容積率として表される。個別包装体の容積は、水を収容したメスシリンダー中に個別包装体を完全に浸漬し、増加した水位により算出することができる。また、空気量は、水中でメスシリンダーを逆さにして、逆さにしたメスシリンダー内で個別包装体を開封して、個別包装体内の空気をメスシリンダー内に回収することにより求めることができる。
【0020】
連結包装体形成工程においては、個別包装体が複数個、例えば2〜5個、好ましくは2〜3個、特に好ましくは2個連結した状態に横断カットすることにより連結包装体とすることができる。
【0021】
麺塊位置決め工程においては、連結包装体形成工程終了まで、すなわち、次工程である集積体形成工程の前までに、個別包装体内に形成された個々の麺塊の各々の個別包装体内での位置決めをする。この工程では、個別包装体の連結数や個別包装体に占める麺塊の大きさにより麺塊の適した配置を行うことが好ましい。麺塊位置決め手段としては、連結包装体をほぼ垂直に配置する手段や、連結包装体の中央部を両端部に比べて高く配置する手段や、連結包装体の両端部を中央部に比べて高く配置する手段を例示することができ、これらは手作業で行うこともできるし、ベルトコンベア上で機械的に行うこともできる。なお、連結包装体として個別包装する包装機の特性により、個別包装された時点で既に適した麺塊の配置であれば、その配置を動かさないように維持するだけで、麺塊の各々の個別包装体内での位置決めがなされることになる。
【0022】
集積体形成工程においては、麺塊の存在により包装フィルムが膨らんだフィルム凸状部と、包装フィルムが膨らんでいないフィルム凹状部とが重なるように折り畳み、連結包装体のフィルム凸状部を集積して集積体が形成される。すなわち、直線上に展開された連結包装体のフィルム凸状部をフィルム凹状部に重ね合わせるように反転させることで、他のフィルム凸状部と一部を重ねた状態又は密着して隣り合う集積状態にすることにより集積体が形成される。以下、より具体的にこの集積体形成工程について説明する。
【0023】
両端部の横断シールと中央部の横断シールを有する2個連結包装体(個別包装する生麺が2食分)において、連結包装体におけるフィルム凸状部の占有率が50〜70%、好ましくは55〜65%の場合、この2個連結包装体における2個の麺塊を、麺塊位置決め工程で、1個の麺塊が端部横断シール寄りに偏在するように、他の1個の麺塊が中央部横断シール寄りに偏在するように、各々の個包装体内で位置決めをする、すなわち個別密封された2食の麺塊を、個別密封した前後の横断シールの前後いずれかの同じ側に寄り添うように偏在させることが好ましく、フィルム凸状部とフィルム凹状部とが重なるように折り畳むことにより、フィルム凸状部の端部が重なる状態の集積体を形成することができる。上記連結包装体におけるフィルム凸状部の占有率は、連結包装体を平面上に展開した場合の展開方向の平面視に相当するフィルムの長さに対して、フィルム凸状部(麺塊部分)の平面視区分の長さ合計が占める割合であり、該フィルム凸状部の平面視区分の長さ合計が占める割合は、フィルム凸状部とフィルム凹状部を平面視に区分する境界を定めることにより求めることができる。フィルム凸状部とフィルム凹状部を平面視に区分する境界は、平面上に置かれた連結包装体のフィルム凹状部側を弛ませながら徐々に持ち上げた際に、麺塊の重さにより麺塊端部で初めに形成されるフィルム折り線の位置と定められる。この境界は、単純に麺の存する端部ではなく、フィルムと同程度に折り曲げ可能であれば、僅かに麺の存する部分より麺塊本体寄りに相当する場合もある。
【0024】
また、2個連結包装体で個別包装する生麺類が大盛り2食分で、フィルム凸状部の占有率が60%以上、好ましくは65〜75%の場合、この2個連結包装体における2個の麺塊を、麺塊位置決め工程で、互いに反対側の端部横断シール寄りに偏在するように、各々の個包装体内で位置決めをする、すなわち麺塊同士が遠く離れるように外側の横断シール寄りに偏在させることが好ましい。いずれかのフィルム凸状部と中央に形成されたフィルム凹状部を重なるように折り畳むことにより、フィルム凸状部の互いの端部が重なる状態の集積体を形成することができる。
【0025】
次に、両端部の横断シールとその間の2つの中間横断シールを有する3個連結包装体(個別包装する生麺が3食分)の場合、この3個連結包装体における3個の麺塊の内の両外側の麺塊を、麺塊位置決め工程で、それぞれ中間横断シール寄りに偏在するように、両外側の個包装体内で位置決めをする、すなわち個別密封された両外側の麺塊を内側の横断シールに寄り添うように偏在させることが好ましい。両外側のフィルム凸状部を各々隣接する内側のフィルム凹状部と重なるように折り畳むことでフィルム凸状部の端部が重なる状態の集積体を形成することができる。中央の麺塊の配置は、添付するスープの素などの大きさや配置によって適宜決めればよい。
【0026】
3個連結包装体の他の態様として、3個連結包装体における3個の麺塊の内の両外側の麺塊を、麺塊位置決め工程で、1個の麺塊が端部横断シール寄りに偏在するように、他の1個の麺塊が中間横断シール寄りに偏在するように、両外側の個包装体内で位置決めをしたり、3個連結包装体における3個の麺塊の内の両外側の麺塊を、麺塊位置決め工程で、互いに反対側の端部横断シール寄りに偏在するように、両外側の個包装体内で位置決めをした後、両外側のフィルム凸状部を各々隣接する内側のフィルム凹状部と重なるように折り畳むことでフィルム凸状部の端部が重なる状態の集積体を形成することができる。
【0027】
さらに、両端部の横断シールとその間の3つの中間横断シールを有する4個連結包装体や、両端部の横断シールとその間の4つの中間横断シールを有する5個連結包装体の場合も、2個連結包装体や3個連結包装体と同様にしてフィルム凸状部の端部が重なる状態の集積体を形成することができる。なお、4個連結包装体の場合、2個連結包装体が2段に積み重なった状態の集積体として形成することもできる。
【0028】
そして、これらのように折り畳まれた連結包装体は、反転した麺塊の自重によって安定した集積状態を得ると共に、集積状態での頂部にフラットな部分を形成することができる。
【0029】
複数の生麺類を一まとめに外包装する包装機は、包装内容を集積状態で供給するのに適していればいずれのタイプでもよいが、製品を水平に走行させる横ピロー包装機は落下の衝撃もなく、折り畳まれた連結包装体の周囲を適度に拘束できる点で好ましい。
【0030】
このように、集積体形成工程において形成される集積体は、互いのフィルム凸状部の端部が斜面で重なるように予め麺塊を偏在させることにより、斜面上のフィルム凸状部が滑落して凹状部に納まろうとする力が連結部フィルムの弛みをなくして張られた状態を形成し、麺塊の集積状態が安定化しているという生麺類特有の特徴を有している。そして外包装に際しては、折り畳まれた連結包装体が周囲を拘束されることにより、連結部フィルムが張られた状態で固定される結果、生麺類の移動が規制されることになる。
【0031】
次に外包装工程においては、集積体(折り畳まれた連結包装体)を、例えばベルトコンベアにより横ピロー包装機に導入し、トレイを用いることなくピロー包装する。
【0032】
本発明の外包装に適する横ピロー包装機の中でも、ベルトコンベアにより底面部全体を支えて搬送するタイプは、連結包装体の底面部に対する摩擦や衝撃が少ない点でとりわけ適している。また、同タイプの横ピロー包装機は製品内容の間隔を製袋機の手前でコンベアを乗り継がせることで調整し、省人化をはかることもできる。この乗り継ぎの前後をベルト式のコンベアで構成すれば、乗り継ぎの衝撃を最小限にすることができると共に精度の高い間隔の調整が可能となって横断シールでの噛み込みが防止できる。これらのコンベアが従来の金属チェーンによる方式では同等の動作精度が得られ難い。そして、折り畳まれた連結包装体をベルトコンベアにより横ピロー包装機に導入することにより、外包装工程に先立つ麺塊位置決め工程及び集積体形成工程での処理手段と相まって一層の製品内容ピッチの安定化を図ることができる。
【0033】
また、外包装工程で、角筒状フィルムを用い、該角筒状フィルムの角部に沿った内角面を帯状にシールすることが好ましい。外包装に際し、角筒状にフィルムを成形し角部に沿った内角面を帯状にシールするタイミングは、外包装工程で行うこともできるし、あるいは事前に行って巻き取ったフィルムを引き出して使用することも自由に行うことができる。いずれの場合も、4箇所の縦シールの存在と外包装工程に先立つ麺塊位置決め工程及び集積体形成工程での処理手段と相まって外装製品の形状保持性能を更に高めることができる。
【0034】
本発明の生麺類のトレイなしピロー包装体は、上述の本発明の生麺類のトレイなしピロー包装方法により得ることができる。
【0035】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図10に基づいて説明するが、本発明の技術的範囲はこれら図1〜図10に示される実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0036】
定法により製麺され、角20番の切歯で細断された水分32%の生中華麺を、150gの麺塊が得られるように定寸カットし、縦ピロー包装機により縦aは34cm、横bは14cm、含気率55%、2食分の個別包装がミシン目cを介して連結される、図1の2個連結包装体を得た。
【0037】
フィルム凸状部の配置は概ね図1の状態だったが、その後の搬送で位置ずれする個体があり横断シール1を下、4を上に向けてほぼ垂直とし、各々の麺塊を同じ側の横断シール1、3寄りに偏在させると、フィルム凸状部d、fの縦方向のサイズは各10cm、二つの麺塊の間に形成される凹状部eは7cmであり、フィルム凸状部の占有率は59%だった。
【0038】
次に、図2に示したように、フィルム凸状部dとフィルム凹状部g、フィルム凸状部fとフィルム凹状部eが重なるように折り畳むことで、図3に示した、製品内容ピッチiが18cm、フィルム凸状部dとfの重なる斜面kが2cm程度、頂部jがフラットで型崩れのない集積体を得た。
【0039】
その後、添付品のスープの素を頂部に載せ、横ピロー包装機に手供給し、総厚60μm、幅350mm、ピッチ260mmのポリプロピレン製フィルム(OP/CP)により、噛み込みのない安定したピロー包装をトレイなしで行うことができた。そして、外包装された製品の片側半分を手にとって上げ下げを繰り返したところ、腰折れすることもなく陳列条件での品位低下は認められなかった。
【実施例2】
【0040】
実施例1と同様の生中華麺を190gの麺塊が得られるように定寸カットし、縦ピロー包装機により含気率は47%、縦a2は36cm、横bは14cm、2食分の個別包装がミシン目を介して連結される連結包装体を得た。
【0041】
連結部の横断シール2、3を上に、1、4を下に向けたところ、各々の麺塊を外側の横断シール1、4寄りに偏在させた図4の状態を得た。フィルム凸状部d2、f2の縦方向のサイズは各13cm、二つの麺塊の間に形成されるフィルム凹状部e2の縦方向のサイズは7cmであり、フィルム凸状部の占有率は72%だった。
【0042】
次に、図5に示したように、フィルム凸状部f2とフィルム凹状部e2が重なるように折り畳むことで、図6に示したように製品内容ピッチi2が21cm、d2とf2の重なる斜面k2が4cm程度、頂部がフラットで型崩れのない集積体を得た。
【0043】
その後、添付品のスープの素を頂部に載せ、横ピロー包装機に手供給し、総厚60μm、幅370mm、ピッチ290mmのポリプロピレン製フィルム(OP/CP)により、噛み込みのない安定したピロー包装をトレイなしで行うことができた。そして、外包装された製品の片側半分を手にとって上げ下げを繰り返したところ、腰折れすることもなく陳列条件での品位低下は認められなかった。
【実施例3】
【0044】
実施例1と同様の生中華麺を130gの麺塊が得られるように定寸カットし、玉丸め機により麺線の揃った麺塊に成形した。該麺塊は専用の横ピロー包装機により含気率60%、縦a3は51cm、横bは14cm、3食分の個別包装がミシン目を介して連結される連結包装体を得た。
【0045】
連結部の横断シール1、6を上に、2、3、4、5を下に向けたところ、外側の麺塊d3、h3を各々横断シール2、5寄りに偏在させた図7の状態を得た。フィルム凸状部d3、f3、h3の縦方向のサイズは各10cm、三つの麺塊の間に形成されるフィルム凹状部e3は4cm、g3は6cmであった。
【0046】
次に、図8に示したように、フィルム凸状部d3とフィルム凹状部e3、フィルム凸状部h3とフィルム凹状部g3が重なるように折り畳むことで、製品内容ピッチi3が20cmの型崩れのない集積体を得た。図9は、添付品のスープm(3食分の液体スープ)を頂部に載せることで更に安定した集積状態を示したものである。なお、フィルム凸状部f3の配置は定まることはなかったがi3の寸法は概ね一定だった。
【0047】
その後、横ピロー包装機に手供給し、ポリプロピレン製フィルム(OP/CP)、総厚60μm、幅390mm、ピッチ280mmにより、噛み込みのない安定したピロー包装をトレイなしで行うことができた。そして、外包装された製品の片側半分を手にとって上げ下げを繰り返したところ、腰折れすることもなく陳列条件で品位低下は認めなかった。
【実施例4】
【0048】
実施例1で折り畳んだ連結包装体(集積体)を、株式会社フジキカイ社製ベルト供給式の横ピロー包装機FW3410/Bに供給して包装したところ、毎分75セットの速度で実施例1と同様の品位で包装することができた。なお、前後の間隔を揃えるタイミングベルトの乗り継ぎ、添付品の自動投入も含め、人の手を介さずに行うことができた。
【実施例5】
【0049】
実施例4の横ピロー包装機を株式会社フジキカイ社製クリーサー包装機FW3400/BαVIに替え、総厚60μm、幅390mm、ピッチ260mmで、ガゼットの折り込みヒート接着部のOP面にヒート接着の為の塗膜処理を行ったポリプロピレン製フィルム(OP/CP)により包装したところ、図10のように、外包装の表面nと両側面oの内角面に5mm幅のひれ状のサイドシール7、8が、裏面pと両側面oの内角面にも同様のサイドシール9、10が形成された。又、側面8の中央にはガゼットの折り込み線qが形成された。該製品の片側半分を手にとって上げ下げを繰り返したところ、腰折れすることがないばかりか、陳列した場合の品位を大幅に高めることができた。
【符号の説明】
【0050】
a :実施例1の連結包装体の縦の寸法
a2 :実施例2の連結包装体の縦の寸法
a3 :実施例3の連結包装体の縦の寸法
b :実施例1〜3の連結包装体の横の寸法
c :実施例1で示した、連結包装体の切り離しを目的としたミシン目
d、f :実施例1のフィルム凸状部
d2、f2 :実施例2のフィルム凸状部
d3、f3、h3:実施例3のフィルム凸状部
e、g :実施例1のフィルム凹状部
e2 :実施例2のフィルム凹状部
e3,g3 :実施例3のフィルム凹状部
i :実施例1の製品内容ピッチ寸法
i2 :実施例2の製品内容ピッチ寸法
i3 :実施例3の製品内容ピッチ寸法
j :実施例1で示した、連結包装体が集積された状態の頂部
k :実施例1のフィルム凸状部dとfの重なる部分の寸法
k2 :実施例2のフィルム凸状部d2とf2の重なる部分の寸法
m :実施例3で示した添付品のスープ
n :実施例5で示した外包装形態の表面
o :実施例5で示した外包装形態の両側面
p :実施例5で示した外包装形態の裏面
q :実施例5で示した外包装形態両側面のガゼットの折り込み線
1〜6 :実施例1〜3で示した連結包装体の横断シール
7〜10 :実施例5で示した外包装形態のサイドシール


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(a)〜(e)の各工程を備えたことを特徴とする生麺類のトレイなしピロー包装方法。
(a)筒状に成形されたフィルム内に裸の生麺を順次供給し、脱気し、横断シールにより個別密封して個別包装体とする個別包装体形成工程;
(b)個別包装体が複数個連結した状態に横断カットして連結包装体とする連結包装体形成工程;
(c)連結包装体形成工程終了までに、個別包装体内に形成された個々の麺塊の各々の個別包装体内での位置決めをする麺塊位置決め工程;
(d)麺塊の存在により包装フィルムが膨らんだフィルム凸状部と、包装フィルムが膨らんでいないフィルム凹状部とが重なるように折り畳み、連結包装体のフィルム凸状部を集積して集積体を形成する集積体形成工程;
(e)集積体を、トレイを用いることなくピロー包装する外包装工程;
【請求項2】
連結包装体形成工程で、両端部の横断シールと中央部の横断シールを有する2個連結包装体を形成し、この2個連結包装体における2個の麺塊を、麺塊位置決め工程で、1個の麺塊が端部横断シール寄りに偏在するように、他の1個の麺塊が中央部横断シール寄りに偏在するように、各々の個包装体内で位置決めをすることを特徴とする請求項1記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法。
【請求項3】
連結包装体形成工程で、両端部の横断シールと中央部の横断シールを有する2個連結包装体を形成し、この2個連結包装体における2個の麺塊を、麺塊位置決め工程で、互いに反対側の端部横断シール寄りに偏在するように、各々の個包装体内で位置決めをすることを特徴とする請求項1記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法。
【請求項4】
連結包装体形成工程で、両端部の横断シールとその間の2つの中間横断シールを有する3個連結包装体を形成し、この3個連結包装体における3個の麺塊の内の両外側の麺塊を、麺塊位置決め工程で、それぞれ中間横断シール寄りに偏在するように、両外側の個包装体内で位置決めをすることを特徴とする請求項1記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法。
【請求項5】
連結包装体形成工程で、両端部の横断シールとその間の2つの中間横断シールを有する3個連結包装体を形成し、この3個連結包装体における3個の麺塊の内の両外側の麺塊を、麺塊位置決め工程で、1個の麺塊が端部横断シール寄りに偏在するように、他の1個の麺塊が中間横断シール寄りに偏在するように、両外側の個包装体内で位置決めをすることを特徴とする請求項1記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法。
【請求項6】
個別包装体形成工程で、脱気し、横断シールにより含気率45〜65%で個別密封して個別包装体とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法。
【請求項7】
外包装工程で、集積体をベルトコンベアにより横ピロー包装機に導入することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法。
【請求項8】
外包装工程で、角筒状フィルムを用い、該角筒状フィルムの角部に沿った内角面を帯状にシールすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の生麺類のトレイなしピロー包装方法。
【請求項9】
麺塊が脱気した状態で収容されている個別包装体を複数個連結した連結包装体が一まとめに外包装された包装体であって、前記連結包装体における、麺塊の存在により包装フィルムが膨らんだフィルム凸状部と、包装フィルムが膨らんでいないフィルム凹状部とが重なるように折り畳まれ、連結包装体のフィルム凸状部が集積された状態でピロー包装されていることを特徴とする生麺類のトレイなしピロー包装体。
【請求項10】
両端部の横断シールと中央部の横断シールを有する2個連結包装体が一まとめに外包装された包装体であって、この2個連結包装体における2個の麺塊のうち、1個の麺塊が端部横断シール寄りに偏在するように、他の1個の麺塊が中央部横断シール寄りに偏在するように、それぞれ位置決めされた状態で折り畳まれていることを特徴とする請求項9記載の生麺類のトレイなしピロー包装体。
【請求項11】
麺塊が脱気した状態で収容されている個別包装体が、麺塊が含気率45〜65%で収容されている個別包装体であることを特徴とする請求項9又は10記載の生麺類のトレイなしピロー包装体。
【請求項12】
角筒状フィルムを用い、該角筒状フィルムの角部に沿った内角面を帯状にシールすることにより外包装され、角筒の角部に外側に突き出たヒレ状のサイドシールを有することを特徴とする請求項9〜11のいずれか記載の生麺類のトレイなしピロー包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−251752(P2011−251752A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127998(P2010−127998)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000151232)シマダヤ株式会社 (11)
【Fターム(参考)】