説明

産業廃棄物の処理方法

使用済み金属加工用流体(MWF)を処理する方法であって、(a)第1のバイオリアクター中の固体支持マトリックス上に微生物のバイオフィルムを提供するステップと、(b)前記微生物のバイオフィルムを含む前記固体支持マトリックスの少なくとも一部を前記第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクターに移すステップと、(c)前記第2のバイオリアクター中で前記微生物をインキュベートして、前記第2バイオリアクター中に収容される使用済みMWFの化学的酸素要求量を低減させるステップを含む方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広義にはバイオレメディエーションの分野に関し、産業廃棄物の処理における微生物の使用を含む。特に本発明は、下水放流、または水のリサイクルを可能にするための不活性化およびさらなるポリッシングに適するような、使用済み金属加工用流体(MWF)の処理のための微生物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
MWFは工業的製造、たとえば自動車のエンジン、トランスミッションおよびプレスのプラントにおける金属の切断および研磨、ならびに穿孔操作において潤滑剤および冷却剤として用いられている。MWFは合成、半合成およびオイル系(鉱油、植物油および動物油等)の3種がある。これらは典型的には、金属の腐食を阻止し、かつ微生物活性を阻止する化学物質(殺生物剤)を含むように処方されている。MWFは、加工操作で使用されるにつれて、時間とともに分解し、最終的には廃棄される必要がある。使用済みMWFの環境中への廃棄は、(1)たとえば殺生物剤およびMWFの性能を改善するために添加され得る他の化学成分により引き起こされる使用済みMWFの高い毒性、および(2)使用済みMWFの高い化学的酸素要求量(COD)等のいくつかの要因により、極めて困難である。
【0003】
CODは、廃液等の材料成分を酸化するためにどれだけの量の酸素が必要かの尺度であり、一般にはそのような材料の有機物含量の尺度であると考えられている。典型的には、英国において公共下水道に廃棄される廃水CODの許容レベルはおよそ2000mg/Lであるが、これは地方の条件により上下し得る数値であり、国の違いによっても上下し得る数値である。CODを測定するための方法は当技術でよく知られている。1つの例示的な方法がvan der GastおよびThompson(2005)、Biotechnology & Bioengineering、89、3 357〜366頁に記載されており、この文献ではLASA 100モバイルラボラトリーフォトメータがCODキュベットテストキットとともに用いられている。COD含量を測定するMWFの試料は、孔径0.2μmの膜(Millipore、UK)を用いて前濾過される。
【0004】
使用済みMWFの毒性および高いCODのため、環境中への廃液の放流は、特に米国および欧州において厳しく規制されている。
【0005】
環境中に廃棄する前の使用済みMWFの処理においては、伝統的に超濾過およびフラッシュ/真空蒸発等の化学的および物理的な方法が用いられてきた。しかしこれらの方法はエネルギー多消費型であり、大量処理のためにスケールアップすることが困難で、現代のMWFの汚染負荷量を処理することができない。濾過によって除去されない汚染負荷量に対処する1つの方法は、化学的または物理的なステップ(複数可)の後に使用済みMWFの生物学的処理を行なうことである。
【0006】
MWFの処理のための1つの方法は、MWFに微生物を添加して望ましくない成分を消化する、MWFの生物学的処理を含む。MWFのバイオレメディエーションのかかる方法は多くの場合、使用済みMWFの濾過または超濾過等の、MWFの初期プロセッシングなしにはCODを充分に低減させることができない(たとえばvan der GastおよびThompson(2005)、Biotechnology & Bioengineering、89、3 357〜366頁参照)。これによって、かなりの時間、不便さおよび費用が生物学的方法にもたらされる。CODをある程度低減させることが記載された他の生物学的方法では、使用済みMWFのCOD含量を低減させることができる微生物のバイオリアクターへの液体接種を用いている。たとえば、MuszynskiおよびLebkowska(2005)、Polish Journal of Environmental Studies 14、1 73〜79頁ならびにHilaら(2005)、Journal of Chemical Technology and Biotechnology(2005)80、641〜648頁には、使用済みMWFからの微生物の選択および培養ならびに引き続くバイオリアクターへの液体接種が記載されている。CODをある程度低減させることが記載された別の生物学的方法では、既定の微生物共同体を用いる処理プロセスを通してその組成を維持する微生物の安定な群集を用いる。この点に関し、WO2008/102131は、使用済みMWFを処理するための、少なくともAgrobacterium spp.、Comamonas spp.、Methylobacterium spp.およびMicrobacterium spp.からなる微生物の共同体の使用について記載している。WO2008/102131に記載された方法は、バイオリアクターへの微生物の共同体の液体接種を用いており、超濾過したMWFの使用も開示されている。
【0007】
本発明者らは、適切には産業規模で、使用済みMWFのCOD含量を顕著に低減させる方法の開発を探索した。しかしその過程において本発明者らはいくつかの問題に遭遇した。たとえば従来技術の方法を用いて確立されたバイオリアクターは、それらが使用済みMWFを処理するために操作上有効になるまでに典型的には長い稼働時間を要することを本発明者らは見出した。このことは、使用済みMWFを産業規模で処理することに重大な時間およびコストの影響を有している。さらなる例として、従来技術の方法を用いて確立されたバイオリアクターはいくつかの試験においてしばしば誤った性能を示し、いくつかの試験はCOD含量がやや低減したという結果を示すのに対し、他の試験はCODの低減が低いレベルであることを示すことも本発明者らは見出した。本発明者らは、これらの方法によって達成され得るCODの低減が、彼らの要求を満たすために充分低くはなく、そのためMWFを廃液に送る前にさらなる下流処理を必要とし、それによりさらなる費用と不便さがもたらされるということも見出した。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、使用済みMWFの生物学的処理における改善を提供し、従来技術に付随する問題を解決することを目的としている。
【0009】
本発明は、少なくとも部分的に、別のバイオリアクターであらかじめ増殖させたバイオフィルムを含む固体マトリックスをバイオリアクターに接種することによって、使用済みMWFのバイオレメディエーションの改善がもたらされるという驚くべき発見に基づいている。特に、この「固体マトリックス接種」の方法によって接種と全性能発揮との間の時間を短くすることができ、それにより産業規模でのMWFの高スループット処理のためにバイオリアクターをはるかに効率的にすることができることが発見された。バイオリアクターの性能が試験と試験の間ではるかに一貫していることも見出された。
【0010】
したがって、本発明の第1の態様によれば、使用済みMWFを処理する方法であって、(a)第1のバイオリアクター中の固体支持マトリックス上に微生物のバイオフィルムを提供するステップと、(b)微生物のバイオフィルムを含む固体支持マトリックスの少なくとも一部を第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクターに移すステップと、(c)第2のバイオリアクター中で前記微生物をインキュベートして第2バイオリアクター中に収容される使用済みMWFの化学的酸素要求量を低減させるステップとを含む方法が提供される。
【0011】
1つの実施形態においては、第1のバイオリアクター中の固体支持マトリックス上の微生物のバイオフィルムは、第2のバイオリアクターに移される前に、使用済みMWFのCODを2000mg/L以下に低減させることができる。
【0012】
1つの実施形態においては、第2のバイオリアクター中の微生物は約30日後に使用済みMWFのCODを2000mg/L以下に低減させることができる。
【0013】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、ステップ(b)において第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクターに移される微生物のバイオフィルムを含む固体支持マトリックスの体積は、第2のバイオリアクターの体積の少なくとも約10%である。
【0014】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、第2のバイオリアクターの残りの体積は、その上に微生物のバイオフィルムが存在しないか、または実質的に存在しない固体支持マトリックスによって占められる。
【0015】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、第2のバイオリアクターは、最初に、ステップ(b)の前か後に、CODが約5000〜10,000mg/Lの間であるMWF、適切には希釈されたMWFによって満たされる。
【0016】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、固体支持マトリックスは織成プラスチックチューブを含むか、織成プラスチックチューブからなるか、または本質的に織成プラスチックチューブからなる。
【0017】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、第1および/または第2のバイオリアクター中の空気流は、液体バイオリアクター体積5000リットルあたり約250〜300リットル/分の間である。
【0018】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、ステップ(a)において確立されるバイオフィルムは、(i)MWFから単離された微生物の常在性群集に由来するか、(ii)微生物のバイオフィルムを含む固体支持マトリックスの少なくとも一部を移すことによって接種された別のバイオリアクターに由来するバイオフィルムであり、前記バイオリアクターは使用済みMWFのCODを2000mg/dLに低減させることができる。
【0019】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、バイオフィルムがMWFから単離された微生物の常在性群集に由来する場合には、第1のバイオリアクターの成熟は典型的には約70日以上を要することになる。
【0020】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、バイオフィルムが微生物のバイオフィルムを含む固体支持マトリックスの少なくとも一部を移すことによって接種された別のバイオリアクターに由来し、前記別のバイオリアクターが使用済みMWFのCODを2000mg/Lに低減させることができる場合には、第1のバイオリアクターの成熟は典型的には約30日以下を要することになる。
【0021】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、第2のバイオリアクターからの流出液は1つ以上のさらなるバイオリアクターに接種するために用いられ、場合により前記さらなるバイオリアクター(複数可)は微生物によって実質的にコロニー形成されていない固体支持マトリックスを含む。
【0022】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、前記ステップは1つ以上のさらなるバイオリアクターに接種するために1回以上繰り返される。したがって、さらなるバイオリアクターはこの手法を用いて連続的に接種することができる。
【0023】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、第1および/または第2のバイオリアクターの通気は、使用済みMWFがそれらに添加される時と実質的に同時に開始される。
【0024】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、前記使用済みMWFは合成MWFである。
【0025】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、前記使用済みMWFは半合成MWFである。
【0026】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、前記使用済みMWFは鉱油、植物油または動物油等のオイル系MWFである。
【0027】
さらなる態様においては、MWFを処理するためのバイオリアクターであって、(i)MWFのCOD含量を低減させることができる微生物のバイオフィルムを含む第1の固体支持マトリックスであって、場合により前記バイオフィルムが別のバイオリアクターで確立されたものである第1の固体支持マトリックスと、(ii)微生物のバイオフィルムによってコロニー形成されていないか実質的にコロニー形成されていない第2の固体支持マトリックスと、(iii)場合により、使用済みMWFを含むバイオリアクターとを含むバイオリアクターが提供される。
【0028】
1つの実施形態においては、第1の固体支持マトリックス上の微生物のバイオフィルムは、使用済みMWFのCODを2000mg/L以下に低減させることができる。
【0029】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、微生物のバイオフィルムを含む第1の固体支持マトリックスの体積はバイオリアクターの体積の少なくとも約10%である。
【0030】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、バイオリアクターの残りの体積は、前記第2の固体支持体によって占められている。
【0031】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、使用済みMWFは希釈された使用済みMWFであり、好ましくはそのCODは約5000〜10,000mg/Lである。
【0032】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、固体支持マトリックスは織成プラスチックチューブを含むか、織成プラスチックチューブからなるか、または本質的に織成プラスチックチューブからなる。
【0033】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、バイオリアクターが使用済みMWFを含んで使用中の場合、バイオリアクター中の空気流は、液体バイオリアクター体積5000リットルあたり約250〜300リットル/分の間である。
【0034】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、第1の固体支持マトリックス上のバイオフィルムは使用済みMWFから単離された微生物の常在性群集に由来するか、使用済みMWFのCODを2000mg/L以下に低減させることができるバイオフィルムに由来する。
【0035】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、前記バイオリアクターは1つ以上のさらなるバイオリアクターと可逆的に連結されて、使用中の前記バイオリアクターからの使用済みMWFの通過を可能にし、使用済みMWFは2000mg/L以下のCODを有している。
【0036】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、前記使用済みMWFは合成MWFである。
【0037】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、前記使用済みMWFは半合成MWFである。
【0038】
1つの実施形態または上述の実施形態の組み合わせにおいては、前記使用済みMWFはオイル系MWFである。
【0039】
さらなる態様においては、使用済みMWFの化学的酸素要求量を低減させるためのバイオリアクターの使用が提供される。
【0040】
さらなる態様においては、本明細書に記載したバイオリアクターとして使用するための装置が提供される。
【0041】
さらなる態様においては、使用済みMWFを本明細書に記載したバイオリアクターと接触させるステップを含む、使用済みMWFの化学的酸素要求量を低減させる方法が提供される。
【0042】
別の態様は、リアクター中で微生物の動的群集を確立するステップであって、微生物が、MWFを含有する液体中で確立された既存の生存能力のある群集から得られるステップと、リアクター中でMWFを微生物の群集と接触させるステップと、動的微生物群集にMWFを代謝させて、MWFの化学的酸素要求量を低減させるステップとを含み、群集を構成する細菌が、処理される流体の変化に応答して処理プロセス中に増殖することが可能である、MWFを処理する方法に関する。
【0043】
群集を確立するステップには、MFWを代謝することができる、MWFに由来する微生物をMWF環境に接種することによって、MWF環境中で微生物の出発群集を培養するステップが含まれ得る。1つの実施形態においては、微生物の出発群集は、選択された微生物の共同体を含む。別の実施形態においては、微生物の出発群集はMWFから単離された微生物の常在性群集を含む。
【0044】
1つの実施形態においては、MWFは微生物の動的群集と接触させる前に処理しなくてもよい。適切には、MWFは微生物の動的群集と接触させる前に50000mg/l未満の出発CODを有する形態で供給される。
【0045】
1つの実施形態においては、微生物の動的群集は固体支持マトリックス上のバイオフィルムの形態で供給され得る。この場合には、方法には固体支持マトリックス上でバイオフィルムを確立するステップおよび固体支持マトリックスをリアクター内に配置するステップが含まれ得る。
【0046】
1つの実施形態においては、バイオフィルムの試料を取り出して第2のリアクターに移し、第2のリアクター内で動的群集を確立することができる。
【0047】
1つの実施形態においては、MWFは化学的酸素要求量が2000mg/L以下になるまで、動的群集と接触した状態で維持される。MWFはリアクター内で、出発CODレベル、MWFの温度、MWF中の成分の性質、および/またはリアクターの大きさに依存する滞留時間を有し得る。
【0048】
バイオリアクターは、その中でMWFのバッチが化学的酸素要求量が所定のレベルに達するまで処理される容器を含んでよい。あるいは、バイオリアクターは、その中をMWFの流れが通過する一連の容器を含んでもよい。
【0049】
本発明の別の態様は、本発明の第1の態様による方法から得られる際に、MWFを処理するための微生物の動的群集を提供する。
【0050】
本発明の別の態様は、本明細書に記載され、添付の記載および図面を参照した方法、バイオリアクターまたは微生物の動的群集に関する。
【0051】
本発明のさらなる態様は、以下の記載および添付の特許請求の範囲から明確になる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の固体マトリックス接種方法を用いて確立されるバイオリアクターは、従来技術の方法を用いて確立されたバイオリアクターよりも迅速かつ信頼性高く稼働させることができるため、本発明は有利である。即ち、例として本発明に従って接種されたバイオリアクターは典型的には30日以内で稼働でき、これは典型的には約70日以上を要する従来技術の液体接種方法を用いる稼働よりも速い。即ち、使用済みMWFのCODを2000mg/L以下に低減することができる成熟バイオフィルムを含むバイオリアクターが、有利には30日以内で得られる。
【0053】
本発明はまた、本発明の固体マトリックス接種方法を用いて確立されるバイオリアクターが、従来技術の液体接種方法を用いる一貫性のない性能に比べて、試験間の性能がより一貫しているため有利である。このことは、液体接種方法の一貫性のない性能を示す図3および図4を、少なくとも図6の固体マトリックス接種の改善された性能と比較することによって認識することができる。
【0054】
本発明はまた、固体マトリックス接種方法により、より短い時間でCODの低減を達成することができるため有利である。この低減により、本発明は産業規模におけるMWFの高スループット処理の効率が極めて高くなっている。このことは、少なくとも図7から認識することができる。
【0055】
本発明はまた、バイオフィルムが時間とともに細菌種の増殖と集積を示すため有利である。本発明はまた、この多様性によって群集内に充分な機能的冗長性が存在することが保証され、それにより種々の廃液流中の増殖およびバイオフィルム形成が可能になるため有利である。
【0056】
本発明はまた、処理に先立って分画もしくは濾過、または好ましくは任意の他の方法で前処理されなかった使用済みMWF、特にオイル系使用済みMWFについて本発明を実施でき、それにより費用と不便さを実質的に低減できるため有利である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明において用いるバイオリアクターの概念図である。
【図2】本発明による方法で処理されたMWF中における種々の微生物の出現を時間とともに示すグラフである。x軸は検出された種もしくは属または細菌を示す。y軸は存在量百分率を示す。
【図3】単回の液体接種を用いた5回の異なる実験における5000リットルのバイオリアクターのCODの低減を示す図である。
【図4】単回の液体接種を用いた4回の異なる実験における5リットルの実験用バイオリアクターのCODの低減を示す図である。
【図5】複数回の接種を用いた9回の異なる実験における5000リットルのバイオリアクターのCODの低減を示す図である。
【図6】本発明の固体マトリックス接種方法を用いた5リットルの実験用バイオリアクターのCODの低減を示す図である。
【図7】本発明の固体マトリックス接種方法を2回繰り返して用いて、これを従来技術の液体接種方法の2回繰り返しと比較した、使用済みMWFに対する5リットルの実験用バイオリアクターのCODの低減を示す図である。
【図8】本発明の固体マトリックス接種方法を3回繰り返して用いて、これを従来技術の液体接種方法の3回繰り返しと比較した、12時間の試験におけるCODの低減を示す図である。
【図9】成熟したバイオリアクターからの流出液を用いて清潔な固体マトリックスを含むバイオリアクターを稼働する際に得られるCODの低減を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
[定義]
<金属加工用流体>
この用語は、広義には刃物を用いる切断、旋盤加工、穿孔、平削りおよび臼挽き、ならびに砥粒を用いるホーニング、ラッピングその他の研磨等の金属加工の間に生成する流体を意味する。
【0059】
<未加工>
「未加工の」または「未処理の」MWFという用語は、MWFが、工業的金属加工操作における使用済みMWFの通常の使用の後、およびMWFが本発明によって処理される前に、濾過、超濾過、分画もしくは任意の他の手段によって分離されておらず、または化学処理もしくは他の方法で処理されていないことを示すために用いられる。
【0060】
<化学的酸素要求量(COD)>
「化学的酸素要求量(COD)」という用語は、廃液等の材料成分を酸化するためにどれだけの量の酸素が必要かの尺度を意味し、一般にはかかる材料の有機物含量の尺度であると考えられている。CODはmg/Lで測定される。英国における廃水CODの典型的に許容されるレベルは約2000mg/Lであるが、多くの当局ではより低い地方限度を設けている。現在許されている下水放出のCODレベルは低減される可能性がある。
【0061】
<使用済み>
MWFの文脈で用いられている「使用済み」という用語は、金属加工において使用された後のMWFを示す。MWFは一般には濃縮液として提供され、これは典型的には使用前に水で約5%〜12%w/vに希釈される。本発明の方法は使用済み未加工MWFの処理に適している。
【0062】
<バイオフィルム>
本明細書において「バイオフィルム」という用語は、固体支持マトリックス等の表面に接着する微生物の個体群または群集であって、ともに使用済みMWFのCOD含量を低減させることができる微生物の個体群または群集を記述するために用いられる。
【0063】
<バイオリアクター>
本明細書において「バイオリアクター」という用語は、バイオフィルムが接着できる固体支持マトリックスを支持し、バイオフィルムが使用済みMWFと接触することを可能にするように適合された装置を記述するために用いられる。かかるバイオリアクターは、本発明のバイオフィルムによる分解を受けやすい任意の他の液体廃棄物の処理にも用いることができるが、一義的には使用済みMWFの処理を意図している。
【0064】
<動的>
使用済みMWFのCOD含量を低減させる微生物は、それが使用済みMWFの成分を代謝するにつれて時間とともにその構成員(群集中の種の範囲およびそれらの関連する割合)を変化させるか、変化させる能力を有する微生物の動的群集であり得る。群集を構成する種々の種類の微生物の割合は時間とともに変化することがあり、および/または群集中に存在する微生物の種類は時間とともに変化することがある。最初の接種から24時間以内に、リアクター中の微生物の動的群集の組成は顕著に変化することがある。いくつかの例では、これは最初の群集とは殆ど類似性がないことがある。群集の組成は処理の全期間にわたって変化し得る。1つの実施形態においては、最初の接種からの微生物の元の属または種のうち、約1月、2月、3月、4月、5月または6月の後に使用済みMWF中に残存しているのは5未満である。別の実施形態においては、最初の接種からの微生物の元の属または種のうち、約1月、2月、3月、4月、5月または6月の後に使用済みMWF中に残存しているのは4未満である。別の実施形態においては、最初の接種からの微生物の元の属または種のうち、約1月、2月、3月、4月、5月または6月の後に使用済みMWF中に残存しているのは3未満である。
【0065】
[詳細な説明]
1つの態様においては、MWFを処理する方法であって、(a)第1のバイオリアクター中の固体支持マトリックス上に微生物のバイオフィルムを提供するステップと、(b)微生物のバイオフィルムを含む固体支持マトリックスの少なくとも一部を第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクターに移すステップと、(c)第2のバイオリアクター中で微生物をインキュベートして、その中に収容されるMWFの化学的酸素要求量を低減させるステップとを含む方法が提供される。
【0066】
ステップ(a)におけるバイオフィルムは、時間とともに固体支持体の存在下にバイオフィルムに成熟し、使用済みMWFのCOD含量を低減させることができる微生物、たとえば出発微生物を当初に液体接種したバイオリアクターから得てもよい。典型的には、この成熟プロセスには約70日以上を要する。一旦最終的に成熟すれば、バイオフィルムは使用済みMWFのCOD含量を所望のレベル、典型的には約2000mg/L以下に低減させることができるはずである。
【0067】
微生物は、それらが使用済みMWFのCOD含量を典型的には約2000mg/Lに低減させる能力等の望ましい特性を有するバイオフィルムをもたらす限り、微生物の単一の種または2種以上の微生物の組み合わせまたは共同体であってよい。かかる微生物は、WO2008/102131に記載されているような微生物の共同体であってよい。かかる微生物はAgrobacterium spp.、Comamonas spp.、Methylobacterium spp.およびMicrobacterium spp.またはそれらの2種、3種もしくは4種の組み合わせからなる群から選択される微生物を含むか、それらからなるか、それらから本質的になるものでよい。かかる微生物は、図2に示すものからなる群から選択される微生物を含むか、それらからなるか、それらから本質的になるものでよい。かかる微生物は、Acinetobacter spp.、Pseudomonas spp.、Salmonella spp.、Shewanella spp.、Citrobacter spp.、Enterobacter spp.、Kluyvera spp.、Parvibacterium spp.、Brachymonas spp.、Synergistetes spp.、Flavobacterium spp.、Ochrobacterium spp.、Acidvarux spp.、Tistrella spp.、Verminephrobacter spp.、Bartonella spp.、Fusobacterium spp.、Comamonadaceae spp.、Ancylobacter spp.、Rhodospirillaceae spp.、Shewanella spp.およびMagnetospirillum spp.またはそれらの2種以上の組み合わせからなる群から選択される微生物を含むか、それらからなるか、それらから本質的になるものでよい。図2に示すように、検出可能な微生物の異なる組み合わせが異なる時間にバイオリアクター中に存在してもよい。
【0068】
典型的には、微生物は固体支持マトリックスを被覆し接着して、被覆および接着に必要ないかなる特別な条件もなしにバイオフィルムを形成することになる。上述のように、最初にバイオフィルムを形成するために用いられる微生物の個体群は、微生物の定義された個体群であり得る。バイオリアクター中の微生物の個体群の動態は時間とともに変化し発展して、それにより個体群は微生物の実質的に不明の個体群になる。バイオフィルムが使用済みMWFのCODを所望のレベルに低減させる限り、バイオフィルム中の微生物の正確な同一性の理解は常には必要ではない。本発明のいくつかの実施形態によれば、たとえば病原性微生物を避けるべき場合には、バイオフィルム中の微生物の同一性を理解することが望ましい。1つの実施形態によれば、最初にバイオリアクターに播種してバイオフィルムを形成する際には、微生物は適切な増殖培地と混合される。即ち、微生物は操作中のMWFから選択された微生物から選択され得る。たとえば、微生物は1〜5%のMWFを添加した1/10トリプティックソーヤブロスまたは唯一の炭素源としてMWFまたはMWFの成分を含む最少培地上で選択され得る。そのような方法は当技術で知られており、たとえばvan der Gast(2004)Environmental Microbiology、6(3)、254〜263頁によって報告されている。典型的には、単離株がその中で増殖するために適した条件、即ち室温16時間、振盪インキュベータ内100rpm等の条件でフラスコを培養する。所望により、培養した単離株をDNAシーケンシング等の当技術で知られた方法によって同定することができる。
【0069】
あるいは、バイオフィルムは本明細書に記載したようにバイオフィルムの固体マトリックス接種によってあらかじめ増殖したバイオリアクターから得てもよい。第2のバイオリアクターに移せば、第2のバイオリアクターは典型的には約30日以内、約25日以内、約20日以内、約15日以内、約10日以内、約5日以内、約4日以内、約3日以内、約2日以内または約1日以内等に、成熟することになる。驚くべきことに、第2のバイオリアクターはほぼ直ちに成熟することさえあり、したがって接種と同じ日に使用可能となることがある。
【0070】
1つの実施形態によれば、移す前にステップ(a)において確立されたバイオフィルムは、使用済みMWFのCOD含量を、連続流バイオリアクターについて約7日を超える間、所望の約2000mg/L以下のレベルに低減させることができる。別の実施形態によれば、移す前にステップ(a)において確立されたバイオフィルムは、バイオリアクターがバッチ式で運転される場合には、2回、3回、4回、5回または6回以上のバッチ運転の間、使用済みMWFのCOD含量を約2000mg/L以下の所望のレベルに低減させることができる。
【0071】
MWFが使用のために調製された場合および一旦使用された場合の両方で、バイオフィルムは全ての市販のMWFにおける増殖が可能であることが好ましい。バイオフィルムは使用済みMWFとともに使用するのが特に好ましいことが認識されよう。
【0072】
バイオリアクター中でバイオフィルムを形成する微生物は好気性および/または嫌気性であってよく、また原核細胞、真核細胞、藻類細胞、植物細胞、酵母細胞および/または真菌細胞またはそれらの組み合わせを含んでよい。細菌の少なくともいくらかは、貧栄養性、従属栄養性および/または腸内性であってよい。
【0073】
一旦バイオフィルムが第1のバイオリアクター中で成熟し、使用済みMWFのCODを所望のレベルに低減させることが可能になれば、バイオフィルムを含む固体マトリックスの少なくとも一部は第1のバイオリアクターから取り出され、次いで接種すべき第2のバイオリアクターに移される。バイオフィルムを第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクターに直ちに移してもよく、移動の間にバイオフィルムをある時間培養してもよい。インキュベーションの時間および条件はバイオフィルムの生存能力が実質的に変化しないように選択されることになる。1つの実施形態によれば、バイオリアクター間で移される固体マトリックスの量は第2のバイオリアクターの体積のおよそ少なくとも約0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%または20%以上である。1つの実施形態においては、移される固体マトリックスの量は接種すべきバイオリアクターの体積のおよそ少なくとも約5%または少なくとも約10%である。したがって、たとえば500mlの固体支持マトリックスが5リットルの実験用バイオリアクターに導入され、または1000リットルの固体支持マトリックスが10,000リットルの現場リアクターに導入される。適切には、第2のバイオリアクターの残りの体積は、その上に微生物のバイオフィルムを有しない固体支持マトリックスによって占められる。したがって、バイオリアクターの残りの体積は、微生物を含まないか、実質的に含まない固体支持マトリックスによって占められる。即ち、たとえば固体支持マトリックスは新しい固体支持マトリックスであってよく、またはその上に微生物増殖量が実質的に存在しない浄化された固体支持マトリックスであってもよい。したがって適切には第2のバイオリアクターの固体支持マトリックスは、第2のバイオリアクターの残りの体積の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%を含んでよい。第2のバイオリアクターは移す際に使用済みMWFを全く含まなくてもよい。あるいは、第2のバイオリアクターは移す前に使用済みMWFを既に含んでいてもよく、または移す前に使用済みMWFの少なくとも一部を含んでいてもよい。第2のバイオリアクターにおける操作条件は、第2のバイオリアクター中の固体支持マトリックスが微生物によってコロニー形成され、たとえば廃液流の毒性および接種の方法に応じて、数日または数週間、好ましくは数日の期間にわたってバイオフィルムでカバーされるような条件である。即ち、たとえば第2のバイオリアクターが液体接種される場合には、典型的な成熟期間は典型的には約70日以上であるが、第2のバイオリアクターが固体マトリックス接種される場合には、本明細書で論じるように、成熟期間は典型的には約30日以下である。
【0074】
適切には、成熟したバイオフィルムは嫌気性ポケットを含む。嫌気性ポケットは嫌気性微生物で占められ得る。
【0075】
第1および/または第2のバイオリアクターの初期の稼働期間の間、バイオリアクターには望ましくはCOD約5000〜約10,000mg/Lの希釈使用済みMWFが供給される。CODがより高い使用済みMWF、即ちCOD約5000〜約20,000mg/L、COD約5000〜約30,000mg/L、COD約5000〜約40,000mg/LまたはCOD約5000〜約50,000mg/L等の使用済みMWFも用い得る。適切には、バイオリアクター(複数可)に添加される使用済みMWFはこの所望のCODレベルに達するように希釈される。これは廃液流中に存在し得る殺生物剤等の毒性成分によって負わされる毒性ショックを最低限にするためである。本発明の1つの実施形態によれば、第1および/または第2のバイオリアクターに、バイオリアクター(複数可)中のバイオフィルムへの微生物の増殖の確立を助けるために、トリプティックソーヤブロスまたは微量元素溶液(たとえば海藻系微量元素溶液)等の増殖サプリメントを添加してもよい。典型的には、この添加はバイオリアクターの体積1リットルあたり約1〜10μl等の低いレベルで行なわれる。
【0076】
使用済みMWFのCODレベルは、バイオフィルム中に存在する微生物が廃液流の毒性の増加に順応するにつれて増加することがある。
【0077】
バイオリアクター中の固体マトリックス支持体上のバイオフィルムが増殖するにつれて、バイオフィルムは拡大し増殖して、バイオフィルムが存在していなかった任意の残りの固体支持体をカバーすることになる。バイオフィルムは、バイオリアクター中の他の利用可能な表面をもカバーし得る。バイオフィルムはまた、死細胞および活性細胞を液体MWF中に脱落させ得る。取り出された際には、懸濁したバイオマスは典型的には約500mg/L〜1500mg/LのCODを示す。
【0078】
適切には、第1および/または第2のバイオリアクター中の通気は、その中における過剰な嫌気活性および硫化水素の産生を避けるために、接種または移動の後、直ちに開始される。バイオリアクターの通気は典型的にはコンプレッサからの空気を用い、典型的には分配のためにバイオリアクターの底部にある管に注入して行なう。上昇する気泡の作用によってバイオリアクターの表面において撹拌が起こるが、固体支持マトリックスに付着したバイオフィルムを除去するほど激しくするべきではない。1つの実施形態においては、これはリアクター体積5000リットルあたり250〜300リットル/分の空気流を与える。細胞密度が低いので、稼働プロセスの開始時の溶解酸素レベルは典型的にはおよそ10g/lである。成熟時には、使用済みMWFの成分を代謝(たとえば酸化)するために微生物がバイオリアクター中で遊離酸素を利用するので、測定可能な溶解酸素は約1mg/L未満に低下し得る。バイオリアクター中には顕著な嫌気性領域も存在することがあり、これにより硝化のための環境が提供され得る。しかし、バイオリアクター(複数可)中の嫌気活性は最小にするのが一般的には望ましい。これは、嫌気活性が悪臭、特に硫酸塩還元性微生物が使用済みMWF(その鉱油成分等)中に存在するスルホン化界面活性剤および硫黄を代謝することによって産生することがある硫化水素をもたらすからである。
【0079】
1つの実施形態においては、第1および/または第2のバイオリアクターは、処理を意図しているものと同じ供給源からの使用済みMWFについて稼働される。
【0080】
第1および/または第2のバイオリアクターは室温(典型的には約18〜20℃)等の種々の温度で稼働することができるが、12℃という低い温度等の低温でも可能である。一旦バイオリアクター(複数可)が成熟し、使用済みMWFのCOD含量を所望のレベルに低減させることができれば、約1℃〜約35℃の温度を用いることができる。バイオフィルムの微生物組成によっては、操作温度は例外的にこの範囲に入らなくてもよい。適切には約25℃〜約35℃の温度が用いられ、より適切には約26℃〜約34℃の温度が用いられ、より適切には約26℃〜約33℃の温度が用いられ、より適切には約26℃〜約31℃の温度が用いられ、より適切には約26℃〜約30℃の温度が用いられ、より適切には約27℃〜約29℃の温度が用いられ、最も適切には約28℃の温度が用いられる。この温度により、典型的にはCODの低減を数日間にわたって高いレベルに維持することができる。
【0081】
本発明の方法は、適切には約pH6.0〜約pH9.5のpH範囲にわたって実施することができる。MWFは機械加工の間の金属加工片の腐食を防止するために典型的にはpH9.0という極めて高いpHで設計されている。本方法は典型的にはおよそ中性のpH、好ましくは約6.0〜約7.0を含むpHで最適化されている。有利なことに、バイオリアクター中のバイオフィルムの活性は使用済みMWFの初期pHを低下させることができ、これによりそれ自体、バイオリアクター中のプロセスの効率を向上させることができることが見出された。
【0082】
したがって、本明細書に記載した方法は一般的にはCODが所望のレベルに低減させられる時間および条件のもとに実施される。時間はMWFの性質、出発CODレベル、温度、pHならびに第1および第2のバイオリアクターに接種するために用いる方法等のパラメータに依存することになる。即ち、第2のバイオリアクターにおいては、COD含量を所望のレベルに低減させるためには、典型的には約5〜15日、適切には約5〜14日、適切には約5〜13日、適切には約5〜12日、適切には約5〜11日、適切には約5〜10日、適切には約5〜9日、適切には約5〜8日、適切には約5〜7日、適切には約5〜6日を要することになる。第2のバイオリアクターにおいては、COD含量を所望のレベルに低減させるためには、より典型的には約15日、14日、13日、12日、11日、10日、9日、8日、7日、6日または5日未満を要することになる。
【0083】
本明細書で論じるように、使用済みMWFのCODのより迅速な低減を助けるために、MWFを希釈するか、最初に希釈することが望ましい。連続流バイオリアクターおよび/またはバッチバイオリアクターについて、リアクター中で24時間の廃液流滞留時間を達成するために、CODを希釈することが望ましい。これは時には5000mg/L以下の流入CODへの希釈を必要とすることがある。
【0084】
第1および/または第2のバイオリアクター中での処理の後、使用済みMWFは典型的には約3000mg/L未満、より適切には約2500mg/L未満、より適切には約2000mg/L未満、より適切には約1500mg/L未満のCOD含量を有することになる。
【0085】
本発明の方法は任意のMWF、特に未処理または未加工のMWF、より特定すれば未濾過のMWFまたは同様の性質を有する任意の他の産業廃棄物(冷媒の保存中にもともと産生される再乳化スラッジ等)の処理に用いることができることが認識されよう。本方法は特に未処理のオイル系MWFの処理に適している。1つの実施形態においては、バイオリアクター(複数可)はオイル系MWF、特に未処理の、より特定すれば未濾過のオイル系MWFを処理するために用いられる。
【0086】
本発明の有利な実施形態においては、第2のバイオリアクターからの流出液は1つ以上のさらなるバイオリアクターに接種するために用いることができる。この方法によって接種されるさらなるバイオリアクター(複数可)は、第1のバイオリアクターよりも極めて迅速に成熟することが発見された。典型的には、第3のバイオリアクターは微生物が実質的にコロニー形成していない固体支持マトリックスを含み、それによりその中に導入される流出液は固体支持マトリックス上にコロニー形成することができる。1つ以上のさらなるバイオリアクターに接種するために、このステップを1回以上繰り返すことができる。1つの実施形態によれば、第2のバイオリアクターを1つ以上のさらなるバイオリアクターに可逆的に連結して、そこからの使用済みMWFの流れを可能にしてもよい。適切には、使用済みMWFの流れを制御して、一旦第2のバイオリアクター中の使用済みMWFのCODが2000mg/L以下に達すれば移動できるようにすることができる。別の実施形態によれば、第2のバイオリアクターからの流出液を手動でさらなるバイオリアクターに満たしてもよい。適切には、さらなるバイオリアクターは微生物を実質的に含まない固体支持マトリックスをも含み、それによりその中に導入される使用済みMWFがコロニー形成できるようにしてもよい。適切には、さらなるバイオリアクター(複数可)の体積の少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%または100%が微生物を実質的に含まない固体支持マトリックスによって占められることになる。
【0087】
バイオリアクター中でバイオフィルムがその上に増殖する固体支持体はバイオリアクターに固定してもよく、および/またはバイオリアクターから除去可能であってもよい。適切には、固体支持体の少なくとも一部はバイオリアクターから取り出し可能であり、それによりバイオリアクター間の固体支持体の移動が可能である。固体支持体はバイオフィルムを確立するために適した任意の固体支持体であってよい。固体支持体はポリプロピレン等のプラスチック、金属、木綿等の天然繊維およびそれらの組み合わせから形成され得る。固体支持体はポリエチレン等の疎水性材料から形成されてもよく、および/またはこれから形成された被覆を含んでもよい。適切には、固体支持体を形成するために選択される材料はMWFの存在下で実質的に分解しない。固体支持体は実質的に平面状、実質的に円筒状、実質的に円錐状、実質的に球状、実質的に長方形、実質的に正方形、実質的に楕円形、および/または不規則形状であってよい。適切には、1種以上の微生物はバイオリアクター中の固体支持体に結合してバイオフィルムを形成することができ、これは1つのバイオリアクターから別のバイオリアクターに移すことができる。適切には、バイオフィルムを形成する微生物は使用中に固体支持体を実質的に脱落させることはできない。固体支持体の例には、これだけに限らないが、バイオタワー、回転式生物学的接触器、粗い石、薄板、プラスチック媒体、網状発泡粒子、マイクロキャリアおよび/または媒体粒子、珪藻土、シリカ、アルミナ、セラミックビーズ、活性炭、またはポリマーもしくはガラスビーズ等が含まれる。
【0088】
固体支持体の好ましい種類は、押出しポリエチレン網等のプラスチック網を含むか、押出しポリエチレン網等のプラスチック網からなる。固体支持体の別の好ましい種類はポリプロピレン等の織成プラスチックチューブを含み、これはバイオフィルム表面における適切な液流を可能にしながらも、バイオフィルムの増殖のための高い表面積を提供する。固体支持体の別の好ましい種類は、細菌の接着を増大させるために粗面化された表面である。固体支持体の別の好ましい種類は、これらの特徴の1つ以上、たとえば全部の組み合わせを含む。
【0089】
別の実施形態においては、固体支持マトリックスは織成プラスチックチューブ(たとえばポリプロピレン)等のプラスチックチューブを含むか、それからなるか、または本質的にそれからなる。プラスチックチューブは約200本のネットチューブを含み、適切には長さ1mの中におよそ70mmの直径を有し得る。各々のネットチューブは典型的には直径約2〜3mmのポリエチレン糸約30本を含む。ネット糸は互いに溶着され、チューブ壁中に正方形の穴を形成することができる。穴の寸法は約8mm×8mmである。これらの糸は乾燥条件で約100m/mの総面積を与える。ネットチューブの別のフォーマットは約300本のネットチューブを含み、適切には長さ1mの中におよそ50mmの直径を有する。各々のネットチューブは典型的には直径約2〜3mmのポリエチレン糸約30本を含む。ネット糸は互いに溶着され、チューブ壁中に正方形の穴を形成することができる。穴の寸法は約4mm×4mmである。これらの糸は乾燥条件で約150m/mの総面積を与える。ネットチューブの別のフォーマットは約50mmの外径を有する。1立方メートルは約300本のネットチューブからなり、長さ1mの中におよそ50mmの直径を有する。各々のネットチューブは理論直径約3〜4mmのポリエチレン糸約30本を含む。ネット糸は互いに溶着され、チューブ壁中に正方形の穴を形成する。穴の寸法は約3mm×3mmである。これらの糸は乾燥条件で約200m/mの総面積を与える。本発明において用いられる固体マトリックスは市販されている。
【0090】
本明細書に記載するバイオリアクターは制御器を含み得る。制御器はシステムを自動化するために構成され得る。制御器によって圧力;温度;pH;COD含量、廃水流、および/または出口流;バイオリアクター中の細菌の量、種類および/または種類の比;流量、気泡流;および/または水量等の、種々のシステムパラメータが測定され得る。制御器によって種々のパラメータの測定値を用いてシステムの1つ以上のパラメータの値を変更することができる。制御器によって連続的にまたは周期的にシステムパラメータを測定および/または変更することができる。
【0091】
バイオリアクターはバッチまたは連続操作に適合させ得る。バイオリアクターは好気性気泡カラムバイオリアクターであり得る。
【0092】
1つの実施形態においては、固体支持マトリックスの少なくとも一部は、実質的に低下したCOD低減レベル等の、バイオフィルムの実質的に低下した活性レベルに応じて、置き換え、またはバイオリアクター(複数可)に追加され得る。バイオフィルムは、固体支持マトリックスの少なくとも一部を取り出し、次いで取り出した固体支持マトリックスを第1のバイオリアクターからの固体支持マトリックスまたはその上に微生物が実質的に存在しない新しいもしくは浄化された固体支持マトリックスで置き換えることによって、置き換えることができる。成熟したバイオフィルムを含む固体支持マトリックスは、その活性を改善するためにバイオリアクター(複数可)に添加され得る。
【0093】
バイオリアクターはプラスチック、金属、および/またはその他の材料から形成され得る。バイオリアクターは1種以上の被覆を含んでもよい。被覆は腐食を阻止し、および/または容器からの固体の取り出しを容易にする。たとえば、バイオリアクターは腐食を阻止し、およびバイオリアクターへの固体の付着を阻止するためにポリ四フッ化物の被覆を有し得る。バイオリアクターの形状は実質的に正方形、実質的に円形、実質的に楕円形、実質的に長方形、および/または不規則形状であってよい。バイオリアクターは、バイオリアクター内の滞留域を最小化するように構成された形状を有し得る。ある実施形態においては、バイオリアクターの内表面の形状は、混合中の容器内の滞留域を最小化し得る。バイオリアクターの内表面は、縁部で接する代わりに丸くされ得る。たとえば、バイオリアクターの内表面は、使用中のバイオリアクター内の滞留域の存在を最小化するため、楕円または円と実質的に類似した形状を有し得る。1つの実施形態においては、バイオリアクターは、使用中に撹拌器で混合した際に実質的に全ての液体が1つ以上のバイオリアクター内で循環するような形状を有し得る。バイオリアクターは、バイオリアクター内で使用済みMWFおよび/または気体を撹拌するために1つ以上の撹拌器を含み得る。1つ以上の撹拌器は、バイオリアクター内の使われていない撹拌ゾーンを低減させるように配置され得る。たとえば、楕円形の断面領域を有するバイオリアクターは、バイオリアクター内の滞留領域を阻止するために底表面にわたってほぼ等しく距離を置いた2つの撹拌器を含み得る。バイオリアクターは廃水流、気泡流、および/または細菌のための1つ以上の入口を含み得る。バイオリアクターはバイオリアクターからの液体および/または固体の取り出しのための1つ以上の出口を含み得る。フィルターを入口および/または出口に結合してもよい。大きな固体を除去および/または分割するために、フィルターおよびまたは重力トラップを入口に結合してもよい。廃棄固体、微生物、バイオフィルム、および/または粒状物等の固体がバイオリアクターから流出するのを防ぐためにフィルターを出口に結合してもよい。1つの実施形態においては、フィルターはバイオリアクターから流出する水からの汚染物質を阻止し得る。たとえば、バイオリアクターから流出する流れからの汚染物質を除去するため、濾紙または活性炭フィルターを出口に結合してもよい。ある実施形態においては、電気凝集システムを入口および/または出口に結合してもよい。電気凝集システムは、使用済みMWFをバイオフィルム含有バイオリアクターに進入させる前、および/または使用済みMWFをバイオフィルム含有バイオリアクターから出て行かせた後に用い得る。電気凝集システムにより、化合物をバイオリアクターの上面または底面に沈降および浮遊させて除去することができる。1つの実施形態においては、電気凝集システムによって使用済みMWF中のイオンに荷電させ得る。荷電イオンは反対荷電イオンと結合し、沈殿を形成し得る。次いで沈殿は使用済みMWFから除去するためにバイオリアクターの上面に浮遊させ、または底面に沈降させられる。1つの実施形態においては、沈殿は使用済みMWFから濾別され得る。
【0094】
1つの態様においては、MWFを処理するためのバイオリアクターであって、(i)MWFのCOD含量を低減させることができる微生物のバイオフィルムを含む第1の固体支持マトリックスであって、場合により前記バイオフィルムが別のバイオリアクターで確立されたものである第1の固体支持マトリックスと、(ii)微生物のバイオフィルムによってコロニー形成されていないか実質的にコロニー形成されていない第2の固体支持マトリックスと、(iii)場合により、希釈された使用済みMWFとを含むバイオリアクターが提供される。
【0095】
適切には、第1の固体支持マトリックスは本明細書に記載したように第1のバイオリアクター中であらかじめ調製されている。適切には、第1の固体支持マトリックス上の微生物のバイオフィルムは、使用済みMWFのCODを約2000mg/L以下に低減させることができる。適切には、微生物のバイオフィルムを含む第1の固体支持マトリックスの体積はバイオリアクターの体積の少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または約10%である。適切には、微生物のバイオフィルムを含む第1の固体支持マトリックスの体積はバイオリアクターの体積の少なくとも約5%である。より適切には、微生物のバイオフィルムを含む第1の固体支持マトリックスの体積はバイオリアクターの体積の少なくとも約10%である。適切には、バイオリアクターの残りの体積は、その上に微生物のバイオフィルムが存在しないか、または実質的に存在しない固体支持マトリックスによって占められる。適切には、第1および第2の支持マトリックスはバイオリアクターの内外に移動可能である。より適切には、第1の支持マトリックスはバイオリアクターの内外に移動可能であり、第2の支持マトリックスはバイオリアクターの内部に固定されている。
【0096】
本発明は本明細書で定義したように、使用済みMWFのCODの低減における、バイオリアクターの使用を提供することが認識されよう。本発明は本発明のバイオリアクターとして使用するための装置および前記装置に播種して本発明のバイオリアクターを提供するために適した細菌調製物をさらに提供する。本発明の方法またはバイオリアクターによって処理される廃液であって、特に前記廃液は使用済みMWFであり、さらに特に廃液のCODは約2000mg/L以下である廃液もさらに提供される。
【0097】
第1および/または第2のバイオリアクターからの微生物および/または微生物を含むバイオフィルムを後に使用するために保存しておくことが望ましい。バイオフィルムは増殖相に戻る能力に実質的影響を受けることなくおよそ1年もの長い間、リン酸緩衝生理食塩液を含む通気気泡カラムリアクター中に保存してもよく、またはCOD約1000mg/L〜約2000mg/Lの希釈MWFを供給してもよい。
【0098】
1つの実施形態においては、バイオフィルムおよび/またはバイオリアクターは病原体を実質的に含まず、適切には病原体を全く含まない。
【0099】
一旦所望のCODレベルに達すれば、処理された廃水は下水に放流でき、またはさらなるバイオリアクターに接種するために用いることもできる。廃水は、任意の残存微生物を殺滅するため、場合により放流前にさらに処理してもよい。適切な処理としては、これらに限定されないが、オゾン、放射、熱、または廃水の毒性を増大しない任意の他の処理がある。この段階で、使用済みMWFの新たなバッチを処理のためにリアクターに導入することができる。
【0100】
さらなる態様は、MWFを処理するためのバイオリアクターを稼働するプロセスであって、(a)第1のバイオリアクター中の固体支持マトリックス上に微生物のバイオフィルムを提供するステップと、(b)バイオフィルムを含む固体支持マトリックスを第2のバイオリアクターに移すステップと、(c)ステップ(b)の前または後に第2のバイオリアクターを使用済みMWFで満たすステップと、(d)第2のバイオリアクターに微生物のバイオフィルムがコロニー形成する条件を与えるステップとを含むプロセスに関する。
【0101】
さらなる態様は、前記プロセスによって得られた、または得ることができる、稼働されたバイオリアクターに関する。
【0102】
別の態様においては、本発明は使用済みMWFを処理する方法を含む。MWFは微生物の動的群集と接触させられる。微生物(細菌)はMWFに作用してMWF中のオイルおよび他の成分を消化するようにされる。最初に使用済み未処理MWFを時間をかけて微生物の動的群集と接触させることによって、使用済みMWFの化学的酸素要求量を低減させることができる。
【0103】
本発明の1つの実施形態による微生物の動的群集は時間とともに変化することが可能であり、これを用いることによって、加工処理の特定の期間に存在する最も適切な微生物群集を増殖させることが可能である。これによってMWFのより効率的な加工が可能である。それは混合物中の成分を分解するために最も適切な微生物が存在するからである。
【0104】
MWFの組成は、これが微生物によって分解されるのにつれて、時間とともに変化することになる。当初は処理されるMWFの大きな割合がオイルであるが、これが微生物によって消化され分解されるにつれてオイルは消費され、MWFの他の成分が分解されるべきものとして残る。このためリアクター内の環境が変化し、当初の微生物中に存在していた微生物は残存成分の分解のためには必ずしも最適ではなくなり、またはこれらの条件下では作用する能力を有しないかもしれない。環境の変化により、他の微生物が増殖および成長するためにより適したものになる。MWFが処理されるのに伴うリアクター内の環境の連続的変化により、条件は適合性のある微生物の群集が時間とともに増殖するのに適したものになる。
【0105】
微生物の動的群集は、MWFの成分を分解する能力について選択され、MWFに由来する微生物の群または共同体を創出し、微生物の出発群集を形成することによって最初に得ることができる。微生物の群は1種以上の異なる種の微生物を含み得る。群集は異なる細菌の種または亜種から形成されることが好ましい。あるいは、微生物の動的群集は、MWFから常在性細菌を直接単離して微生物の出発群集を得ることによって最初に得ることができる。ある種の細菌はMWFの成分を代謝できることが知られている。有用な群集を形成するために、MWFを含む培地中で培養したこのような細菌を用いることができる。これにより、殺生物剤およびMFWの他の毒性成分に対して細菌が抵抗性を有することを確実にしやすく、そうでなければそのような成分に曝露されていない株を殺滅するかもしれない。
【0106】
微生物の出発群集は、リアクターに播種するために用いられる動的群集を得るために培養される。標準的支持体を用いる固体接種は、微生物をMWFに曝露するための好ましい方法である。しかし微生物の群集を処理すべきMWFに直接添加することもできる。
【0107】
MWFはバッチリアクター中で処理してもよく、またはMWFは一連のリアクターを通して連続処理法によって処理してもよい。次いでCODが許容できるレベルまで充分に低下すれば、MWFは下水へ、またはさらなるポリッシングのために放出される。CODが所望のレベルに低下するまでに必要な時間はMWFの出発CODレベル、リアクター中のMWFの温度、冷媒等のMWF中の成分の性質、およびリアクターの大きさ等のパラメータによることになる。
【0108】
MWFのCODをリアクターによって連続的に処理できるレベルに低減するために、必要に応じてMWFを希釈することができる。たとえば、流出液CODの低減が得られるように適切な流入液CODを得るため、出発MWFの1:2希釈、1:3希釈、1:4希釈、1:5希釈、1:6希釈、1:7希釈、1:8希釈、1:9希釈または最も適切には1:10希釈を実施することができる。バイオリアクターに添加する前に、MWFをCOD約50,000mg/L以下、約40,000mg/L以下、約30,000mg/L以下、約20,000mg/L以下に希釈することができる。
【0109】
以下の実施例は説明として提供され、限定するものではない。他に指示しない限り、本発明は当技術で公知の従来手法を用いている。
【実施例1】
【0110】
[MWFの生分解のための微生物の固体接種]
最初にMWFの成分を代謝して人工的な微生物群集を形成する能力があることが知られている生物の群を選択することによって、微生物の出発群集が得られる。かかる出発群集の例は、たとえばWO2008/102131に記載されている共同体を接種することによって得ることができる。あるいは、使用済みMWFから常在性微生物群集を抽出することができる。次いでMWFを含む環境で微生物の出発群集を培養して、バイオフィルムの形態で最初の微生物の動的群集を作製する。このバイオフィルムはバイオリアクターに最初に播種するために用いることができる。
【0111】
図1に例示するリアクターはMWFのバッチ処理のために用いることができる。リアクター10はその底部に、システムに空気20を提供するために空気入口チューブ16を経由してポンプ14に接続された空気分配器12を含む。固体支持マトリックス18(たとえばポリプロピレンウェブまたは網状構造)がリアクターに配設され、その上にバイオフィルムが増殖できる顕著な表面積を提供する。これにより、MWFを曝露できるバイオフィルム領域が最大化される。出口チューブ22が処理されたMWFをリアクターから排出するための開口部を提供する。必要ならリアクターに加熱器を設置してもよい。
【0112】
最初にリアクターの底部に位置する空気分配器およびリアクターの底部に添加される固体マトリックスを有するリアクターを組み立てる。微生物の動的群集を含む最初の量の前準備されたマトリックスをリアクターに添加し、残りのリアクターの体積を清浄なマトリックスで満たす。全マトリックス体積のおよそ10〜20%が動的微生物の出発群集を含むことができる。リアクターのバイオメディア上にバイオフィルムを確立するために、一連の用量(たとえば5用量)の希釈MWFの所定量をバイオリアクターに滴下する。MWFの希釈は支持体上に群集を確立することの助けになる。それは用量の全オイル負荷が減少し、したがってオイルによる支持体の過剰な濡れ(これは群集の増殖を阻害する)が避けられるからである。リアクター中に投入されたMWFの最初の5バッチは、未希釈MWFのそれよりも低い化学的酸素要求量(COD)、たとえば15,000mg/L未満を有することになる。これらの最初のバッチの各々のMWF含量は漸次増大させ得る。
【0113】
CODが所望のレベルに達すれば不活性化のためにリアクターから流体を排出する。この間に0.2%w/vトリプトンソーヤブロスを添加することによってMWFを増加させる。希釈MWFの数サイクルの完了後には、バイオフィルムはリアクター全体で増殖しているはずである。ここでリアクターは分解のための高いCODを有する使用済みMWFの受け入れ準備ができている。
【0114】
未処理MWFをリアクターに導入し、所望のCODレベル、たとえば2000mg/L未満に達するまで微生物をMWFに作用させる。MWFの処理から残った廃水はここで環境中に放出できる。CODレベル2000mg/L未満の廃水は、任意の残存微生物を殺滅するために、下水に放出する前にたとえばオゾンによってさらに処理してもよい。次いで処理のためのMWFの新しいバッチをリアクターに導入することができる。
【0115】
処理プロセスの最後に、微生物の群集を含むバイオフィルムマトリックスの試料をリアクターから採取し、出発群集として用いるために別のリアクターに移す。上述のように、MFWの濃度を増大させて用いることによって、バイオフィルムの最初の試料は完全なバイオフィルムにまで増殖することができる。次いでリアクターは別の処理プロセスに用いることができる。
【実施例2】
【0116】
[バッチリアクター中の動的群集挙動]
細菌の動的群集を工業プラントから得られた使用済みMWFと接触させる。細菌の動的群集は最初に増殖して希釈MWFを用いるリアクター中でバイオフィルムを形成する。
【0117】
リアクター中のバイオフィルムの試料を3回の間隔、即ち4月、9月、および4月+1に取り出した。試料を分析し、試料中に検出される存在する微生物と各々の微生物の相対量を決定する。結果を図2に示す。
【0118】
図2のグラフを参照すると、プロセス処理の最初(4月)に検出された細菌の大部分は12箇月後(4月+1)にはもはや存在しない。12箇月後にも存在する検出された細菌はAcinetobacter sp.およびPseudomonas sp.のみである。しかしAcinetobacter sp.とPseudomonas sp.の比率は時間とともに変化した。当初、Acinetobacter sp.は検出された細菌の大きな割合を含むことが見出される。12箇月後にもまだ存在するが、Acinetobacter sp.はMWF中に存在する微生物群集の極めて小さな割合を形成する。Acinetobacter sp.は12箇月後にはもはやMWF中に存在する主要な種ではない。Pseudomonas sp.は最初および最終のバイオフィルム中に存在し、時間とともにその微生物群集中の存在を増加させる。
【0119】
このことより、MWFの処理の間に時間とともに微生物の種類に変化があり、微生物の割合に変化があることが示される。初期の動的群集には存在しなかった大量の微生物が、ある時間の後はバイオフィルム中に存在する。これらの中には、MWF中に小量存在し、リアクター中で増殖した細菌が含まれ得る。
【実施例3】
【0120】
[バイオリアクターの単一液体接種方法]
使用済みMWFについて選択した5つの単離株を1/10強度のトリプティックソーヤブロス(TSB)中、室温で16時間増殖させた。細胞懸濁液を10%(体積で)の割合で用いて実験用または現場リアクターに接種する。MWF廃液5リットルに対して、実験用バイオリアクターにおいては接種液500mlを用い、現場リアクターでは1000リットルに対して100リットルを用いる。この方法はvan der GastおよびThompson(2005)、Biotechnol.and Bioeng.、89、3、357〜366頁に記載されている。
【0121】
使用済みMWFをバイオリアクターに添加し、そのCODレベルを測定する。
【0122】
これらの実験の結果を図3および4に示す。見られるように、CODレベルを低減することはできるが、性能には一貫性がなく、得られる結果には大きな変動がある。このようなシステムは産業規模で実施するのが困難であろう。
【実施例4】
【0123】
[複数接種方法]
使用済みMWFについて選択した5つの単離株を1/10強度のトリプティックソーヤブロス(TSB)中、室温で16時間増殖させた。細胞懸濁液を10%(体積で)の割合で用いてバイオフィルムなしのマトリックスを含む実験用または現場リアクターに接種する。接種液を図5の左から右へバッチ1〜9に添加する。
【0124】
これらの実験の結果を図5に示し、接種したバッチにおいて適切な性能が得られることを示す。しかし接種しなかったバッチ10では適切な性能が得られなかった。このことは、完全に機能するバイオフィルムを確立するためには9回を超える接種が必要であることを示している。
【実施例5】
【0125】
[固体マトリックス接種方法]
固体支持マトリックス上で増殖した成熟バイオフィルムを第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクターに移す。バイオフィルムの供給源となったバイオリアクターは、連続流またはバッチモードでの最低2バッチの運転において、約1週間を超えて一貫して使用済みMWFのCODを約2000mg/l以下に低減していた。
【0126】
成熟バイオフィルムは、もともと液体接種され、たとえば実験室で長期の成熟プロセスを経たバイオリアクターから得ることができ、または成熟バイオフィルムの固体マトリックスの移動によって予め成長させたバイオリアクターから得ることもできる。
【0127】
バイオフィルムを確立するために培養単離株を用いる場合には、接種液は操作中のMWFから1〜5%のMWFを添加した1/10トリプティックソーヤブロスまたは唯一の炭素源としてMWFまたはMWFの成分を含む最少培地上で選択された細菌群集を含み得る(van der Gast、Env.Micro.(2004)6(3)、254〜263頁参照)。フラスコを約16時間、振盪インキュベータ内約100rpmで培養する。培養した単離株をDNAシーケンシングによって同定し、接種液として病原体を考慮から除外する。バイオリアクターに接種するために単一の種または微生物の共同体を用いることができる。
【0128】
成熟バイオフィルムを含むマトリックスを操作バイオリアクターから取り出し、接種すべきリアクターに移す。接種すべきリアクターの体積のおよそ10%の量の成熟マトリックスバイオフィルムを用いる(即ち5リットルのバイオリアクターに対して500mlの固体支持マトリックスチューブ、10000リットルの現場リアクターに1000リットル)。リアクターの残りの体積は清浄な(バイオフィルムを含まない)マトリックスで占められる。次いでリアクターを希釈MWF廃液で満たし、嫌気性作用および硫化水素の産生を避けるために、直ちに通気を開始する。
【0129】
使用済みMWFのCODレベルをモニターし測定する。
【0130】
バイオフィルムを含まないマトリックスにコロニー形成し、廃液流に応じて数日または数週の間、バイオフィルムで覆う。これらの実験の結果を図6に示す。見られるように、固体マトリックス法を用いたバイオリアクターにおいて、安定かつ一貫したCODレベルの低減が達成される。
【実施例6】
【0131】
[バイオリアクターの稼働]
約18〜20℃の温度でバイオリアクターを稼働するが、12℃まで低下させた温度も用いることができる。一旦成熟すれば、バイオリアクターは約+1〜+35℃に耐えることができる。1℃ではCOD低減は無視される程度であるが、30℃で数日間は高いレベルで操作を維持することができる。
【0132】
リアクターの通気はコンプレッサからの空気を用い、分配のためにバイオリアクターの底部にある管に注入して行なう。上昇する気泡の作用によってバイオリアクターの表面において撹拌が起こるが、付着したバイオフィルムを除去するほど激しくはない。実際上これはリアクター体積5000リットルあたり約250〜300リットル/分の空気流を与える。細胞密度が低いので、稼働プロセスの開始時の溶解酸素レベルは典型的には約10mg/Lである。成熟時には、オイルおよび他のMWF成分を酸化するために微生物が遊離酸素を利用するので、測定可能な溶解酸素は典型的には1mg/L未満である。
【実施例7】
【0133】
[バイオリアクターへの供給]
初期の稼働期間の間、液体接種液またはバイオフィルムを接種されたバイオリアクターには、廃液流中の殺生物剤等の毒性成分によって負わされる毒性ショックを最低限にするため、COD約5000〜約10000mg/Lの希釈MWF廃液を供給する。実験室スケールではリアクターに時にはトリプティックソーヤブロスを添加する。これはフルスケールでは実用的でもコスト効率的でもない。1000リットル超のスケールでは、我々は極めて低いレベル(リアクター体積1リットルあたり1〜10μl)で海藻系微量元素溶液を添加する。
【実施例8】
【0134】
[5リットルの実験用バイオリアクター中の液体および固体マトリックス接種]
使用済みMWFを含む5リットルの実験用バイオリアクター中で液体および固体マトリックス接種の比較を行なった。バイオリアクターは本明細書において既に述べた方法を用いて確立した。
【0135】
図7の結果は、固体マトリックス接種したバイオリアクターが最初の運転から一貫して所望の排出合意レベルであるCOD約2000mg/L以下に達していることを示す。液体接種バイオリアクターは3回目の運転時でもCOD4000mg/L未満に達さず、液体接種バイオリアクターは15日と長い接触時間(図7では15〜30日)を有していた。
【0136】
図8は、液体接種バイオリアクターの12時間で達成可能なCOD含量の低減はマトリックス接種バイオリアクターより極めて少ないことを示している。
【実施例9】
【0137】
[成熟マトリックスを含むリアクターから得た流出液を用いたリアクターの稼働]
成熟固体マトリックスを含むバイオリアクターからの流出液(即ち処理された使用済みMWF)を用いて稼働を行なう。5バッチの運転についてMWF(HOCUT 3280およびHoughton 795b)を10%、20%、10%、10%および10%に希釈することによって、清浄な固体マトリックスを含むバイオリアクターに流出液を添加する(図9参照)。%の数字はMWFおよび処理された流出液の混合物中のMWFの割合を示す。希釈はバイオリアクター中インサイチュで行なってもよく、バイオリアクターに移す前に別のタンクで行なってもよい。バイオリアクターは1.5リットルの好気性気泡カラムバイオリアクターであり、固体支持マトリックスを含んでいた。最初の運転はまた、遠心によって濃縮した流出液3リットルからのバイオマスを受け入れていた。
【0138】
運転6以降では、種々の供給源からの運転で消尽したMWFを処理した。流入廃液流中のMWFの割合は、未希釈のMWFを100%として、6〜100%の範囲であった。
【0139】
30日目から一貫性のある性能が観察され、典型的な下水合意限であるCOD2000mg/l未満に到達した。
【0140】
本発明の範囲内においてさらなる変更をすることができる。たとえば、最初の群集は、培養の間に曝露されるMWFおよび他の材料を慎重に制御することによって創出することができる。
【0141】
本発明のさらなる態様を、番号を付けた段落において以下に説明する。
1.リアクター中で微生物の動的群集を確立するステップであって、MWFを含有する液体中で確立された既存の生存能力のある群集から微生物が得られるステップと、リアクター中でMWFを微生物の群集と接触させるステップと、動的微生物群集にMWFを代謝させてその化学的酸素要求量を低減させるステップとを含み、群集を構成する細菌が処理される流体の変化に応答して処理プロセス中に増殖することが可能である、MWFを処理する方法。
2.群集を確立するステップが、MFWを代謝することができる、MWFに由来する微生物をMWF環境に接種することによって、MWF環境中で微生物の出発群集を培養するステップを含む、段落1に記載の方法。
3.微生物の出発群集が選択された微生物の共同体を含む、段落2に記載の方法。
4.微生物の出発群集がMWFから単離された微生物の常在性群集を含む、段落2に記載の方法。
5.微生物の動的群集と接触させる前に未処理の形態のMWFを供給するステップを含む、上記段落のいずれかに記載の方法。
6.微生物の動的群集と接触させる前に50000mg/L未満の出発CODを有する形態のMWFを供給するステップを含む、上記段落のいずれかに記載の方法。
7.微生物の動的群集が固体支持マトリックス上のバイオフィルムの形態で供給される、上記段落のいずれかに記載の方法。
8.固体支持マトリックス上にバイオフィルムを提供するステップと、固体支持マトリックスをリアクター内に配置するステップとを含む、段落7に記載の方法。
9.バイオフィルムの試料を取り出すステップと、試料を第2のリアクターに移し、第2のリアクター内で動的群集を確立するステップとをさらに含む、上記段落のいずれかに記載の方法。
10.化学的酸素要求量が2000mg/L以下になるまで、MWFが動的群集と接触した状態で維持される、上記段落のいずれかに記載の方法。
11.MWFがリアクター内で、出発COD、MWFの温度、MWF中の成分の性質、および/またはリアクターの大きさに依存する滞留時間を有する、上記段落のいずれかに記載の方法。
12.リアクターが、その中で化学的酸素要求量が所定のレベルに達するまでMWFのバッチが処理される容器を含む、上記段落のいずれかに記載の方法。
13.リアクターが、その中をMWFの流れが通過する一連の容器を含む、段落1〜11のいずれかに記載の方法。
14.上記段落のいずれかに記載の方法から得られる際にMWFを処理するための微生物の動的群集。
【0142】
本明細書に引用または記載した全ての出版物は、本出願の出願日以前に開示された関連情報を提供する。本明細書中の記載は、本発明者らがかかる開示に先行しているとする資格を有しないことを認めるものと考えるべきではない。上記の明細書に述べた全ての出版物は参照することにより本明細書の一部をなすものとする。本発明の種々の変更および変化は本発明の範囲および精神を逸脱することなく当業者には明白であろう。本発明は特定の好ましい実施形態に関連付けて記載されているが、特許を請求した本発明はかかる特定の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解されるべきである。正に、本発明を実施するために記載された態様の種々の変更は微生物学およびバイオレメディエーションまたは関連分野における当業者には明白であり、以下の特許請求の範囲の中にあることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み金属加工用流体(MWF)を処理する方法であって、
(a)第1のバイオリアクター中の固体支持マトリックス上に微生物のバイオフィルムを提供するステップと、
(b)前記微生物のバイオフィルムを含む前記固体支持マトリックスの少なくとも一部を前記第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクターに移すステップと、
(c)前記第2のバイオリアクター中で前記微生物をインキュベートして、前記第2バイオリアクター中に収容される使用済みMWFの化学的酸素要求量を低減させるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のバイオリアクター中の固体支持マトリックス上の前記微生物のバイオフィルムが、前記第2のバイオリアクターに移される前に、使用済みMWFの化学的酸素要求量(COD)を2000mg/L以下に低減させることができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(b)において前記第1のバイオリアクターから前記第2のバイオリアクターに移される前記微生物のバイオフィルムを含む前記固体支持マトリックスの体積が、前記第2のバイオリアクターの体積の少なくとも約10%である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のバイオリアクターの前記残りの体積が、その上に微生物のバイオフィルムが存在しないか、または実質的に存在しない固体支持マトリックスによって占められる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のバイオリアクターが、最初に、ステップ(b)の前または後に、そのCODが約5000〜約10,000mg/Lの間である使用済みMWF、適切には希釈された使用済みMWFによって満たされる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記固体支持マトリックスが織成プラスチックチューブを含むか、織成プラスチックチューブからなるか、または本質的に織成プラスチックチューブからなる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1および/または前記第2のバイオリアクター中の空気流が、液体バイオリアクター体積5000リットルあたり約250〜300リットル/分の間である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ステップ(a)において確立される前記バイオフィルムが、(i)MWFから単離された微生物の常在性群集に由来するか、(ii)微生物のバイオフィルムを含む固体支持マトリックスの少なくとも一部を移すことによって接種された別のバイオリアクターに由来するバイオフィルムであり、前記バイオリアクターが使用済みMWFのCODを2000mg/Lに低減させることができる、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記第2のバイオリアクターからの前記使用済みMWFの少なくとも一部が1つ以上のさらなるバイオリアクターに接種するために用いられ、場合により前記さらなるバイオリアクターが、微生物によって実質的にコロニー形成されていない固体支持マトリックスを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ステップが、1つ以上のさらなるバイオリアクターに接種するために1回以上繰り返される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
使用済みMWFのCOD含量を低減させることができる微生物のバイオフィルムを調製する方法であって、
(a)第1のバイオリアクター中の固体支持マトリックス上に微生物のバイオフィルムを提供するステップと、
(b)前記微生物のバイオフィルムを含む前記固体支持マトリックスを前記第1のバイオリアクターから第2のバイオリアクターに移すステップと、
(c)前記第2のバイオリアクター中で、使用済みMWFの存在下で前記微生物のバイオフィルムを培養するステップと
を含む方法。
【請求項12】
MWFを処理するためのバイオリアクターであって、
(i)MWFのCOD含量を低減させることができる微生物のバイオフィルムを含み、場合により前記バイオフィルムが別のバイオリアクターで確立されたものである第1の固体支持マトリックスと、
(ii)前記微生物のバイオフィルムによってコロニー形成されていないか実質的にコロニー形成されていない第2の固体支持マトリックスと、
(iii)場合により、希釈された使用済みMWFと
を含むバイオリアクター。
【請求項13】
前記第1の固体支持マトリックス上の前記微生物のバイオフィルムが使用済みMWFのCODを2000mg/L以下のCODに低減させることができる、請求項12に記載のバイオリアクター。
【請求項14】
前記固体支持マトリックスの約10%が前記第1の固体支持マトリックスであり、前記第2のバイオリアクターの前記残りの体積が前記第2の固体支持マトリックスによって占められ、および/または前記第2のバイオリアクターが1つ以上のさらなるバイオリアクターと可逆的に連結されて前記第2のバイオリアクターからの使用済みMWFの通過を可能にし、前記使用済みMWFが約2000mg/L以下のCODを有する、請求項12または13に記載のバイオリアクター。
【請求項15】
添付の明細書および図面を参照して本明細書に記載される方法またはバイオリアクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−520309(P2013−520309A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554407(P2012−554407)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/GB2011/000255
【国際公開番号】WO2011/104509
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(512222219)マイクロバイアル・ソリューションズ・リミテッド (2)
【Fターム(参考)】