説明

用具を作業機械のフレームに連結するためのリンクアセンブリ

リンクアセンブリ(122)は、リンクアセンブリのリフトアーム(124)と後部傾斜レバー(184)とを回転可能に連結するようにカートリッジを含む軸に沿って配置されるピボットピンカートリッジ(142)を有する。ピボットピンカートリッジは、ピン(212)と、ピンの少なくとも一部のまわりに回転可能に配置された少なくとも1つのブッシュ(210)と、ピンのまわりでブッシュの少なくとも一部内に浮動するように配置された一対のスリーブベアリング挿入体(220)とを含む。後部傾斜レバー(184)は、ピンのまわりに回転するようにブッシュ(210)に連結され、一方、リフトアームのサイドプレート対(138、138)の少なくとも一方はピボットピンに連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許の開示は、概略的には、用具を機械のフレームに連結するリンクアセンブリに関し、より詳細には、用具を機械のフレームに連結するリフトアームを含むかかるリンクアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダなどの機械は、通常、用具(例えば、バケット)を機械のフレームに機械的に連結するリンクアセンブリを含む。いわゆる「8バーリンク機構」などのリンクアセンブリは通常、一方の端部がフレームに連結され、反対側の端部が用具に連結されたリフトアームを含む。一般的に、リンクアセンブリはまた、複数の機械リンクおよび/またはレバーと、リフトアームおよび用具がフレームに対して移動できるようにフレームとリフトアームに連結された油圧式アクチュエータとを含む。
【0003】
機械の運転時に、リンクアセンブリは様々な負荷および力を受け、それらの負荷および力の中には過酷なものもあり得る。したがって、リンクアセンブリの各部品は、これらの負荷および力に耐えるために必要な強度を付与するのに十分な構造体および相互連結体を有していることが重要である。リンクアセンブリは、そのような負荷および力に対処するために、従来から比較的大型でかさばるぐらいに構築されてきた。
【0004】
そのような機械の8バーリンクアセンブリのリフトアームは通常、いわゆる「ボックスブーム」構造かまたはプレート構造とされる。ボックスブーム型リフトアームは、横断面が略長方形形状で、内部が概ね中空のボックス構成内に配置された複数の金属プレートで形成される。本開示の譲受人に譲渡された、ジン(Ginn)らによる米国特許第6,409,459号明細書の装置は、かかるボックス型リフトアームを含む。ボックスブーム型リフトアームは通常、ボックスブームの上側または下側プレートを貫通する、リンク、レバー、または油圧式アクチュエータなどの他の部品を収容するための1つまたは複数の開口を含む。’459特許の装置は、ボックスブーム型リフトアームの開口を貫通する後部傾斜レバーを含む。後部傾斜レバーは、これの両端がブーム型リフトアーム上で回転軸のまわりに回転するように、ブーム型リフトアームに回転可能に連結される。後部傾斜レバーの一方の端部は、後部傾斜リンクによって機械フレームに連結され、後部傾斜レバーの他方の端部は、傾斜アクチュエータに連結されており、さらに、傾斜アクチュエータは、前部傾斜レバーによって用具に連結される。傾斜アクチュエータの作動により、用具がいずれかの方向に傾斜する。
【0005】
対照的に、プレート構造のリフトアームは、安定化用の前部および/または後部横材によって互いに固定された一対のサイドプレートを含む。プレート構造のリフトアームを含む8バーリンク機構は通常、傾斜部品セット一式を2つ、すなわち、2つの後部傾斜レバー、2つの後部傾斜リンク、2つの傾斜アクチュエータ、および2つの前部傾斜レバーを含む。別個に分かれた傾斜部品セットは、上記のボックスブーム型装置に関して説明したものと概ね同じ相互関係を有するが、一方の傾斜部品セットは、リフトアームの一方のサイドプレートに連結され、他方の傾斜部品セットは、リフトアームの他方のサイドプレートに連結される。言い換えると、後部傾斜レバーは、それぞれの後部傾斜リンクにより、第1の端部でフレームに連結される。後部傾斜レバーの反対側の端部は、それぞれの傾斜アクチュエータに連結され、次に、これらの傾斜アクチュエータは、通常それぞれの前部傾斜レバーを介して用具に連結される。後部傾斜レバーの中間部分は、リフトアームのそれぞれのプレートに回転可能に連結される。
【0006】
通常は機械の運転室に居るオペレータは、リンクアセンブリを動作範囲の間で移動させて、用具を所望の位置に配置する。不都合なことに、リンクアセンブリの部品は、機械を運転するオペレータの視界を遮る傾向にある。「ボックスブーム」型リフトアームは、ブームが細長い移動ボックスであるので、基本的に、オペレータから見て少なくともブームの向こう側の領域の視界を遮る。プレート構造のブームは、ボックス構造のブームより幾分改善された視界をもたらすことができるが、力および負荷に対処するために、プレート構造の安定化用前部および/または後部横材がそれ自体非常にかさばり、邪魔になる。さらに、プレート構造のリフトアームで通常使用される後部傾斜レバー、傾斜アクチュエータ、後部傾斜リンク、および前部傾斜レバーの各対も同様に、リフトアームのプレートの前方および側方の領域を見えなくする。結果として、プレート構造のリフトアームを含むリンクアセンブリの部品も同じく、通常、リンクアセンブリを通る、およびこれのまわりの、オペレータの視界を遮る。用具の前方および両側方の領域と、リンクアセンブリのまわりの領域とに対するオペレータの視界を遮ることで、機械の効率的で効果的な操作を妨げるだけでなく、安全性の問題を引き起こす恐れもあり、特に、オペレータにとっての比較的大きな死角をこの構成がもたらす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、関連する機械のまわりおよび前方の領域の改善した視界をオペレータにもたらし、一方で、かかる機械の使用に伴う負荷および力に耐えるために必要な構造上の完全性が備わったリンクアセンブリを提供することが望ましい。本開示は、上記の問題の1つまたは複数を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、本開示は、用具を機械のフレームに連結するリンクアセンブリについて記載する。リンクアセンブリは、リフトアームと、後部傾斜レバーと、リフトアームとレバーとを連結するピボットピンカートリッジとを含み、リフトアームおよびレバーは、カートリッジによって画定される軸のまわりに互いに対して回転できる。リフトアームは、フレームおよび用具に回転可能に連結されるように構成された両端部を有し、概ね平行な関係で離間した一対のサイドプレートを含み、各サイドプレートは、これを貫通する穴を有する。後部傾斜レバーもこれを貫通する穴を有する。ピボットピンカートリッジは、ピンと、前記ピンの少なくとも一部のまわりに回転可能に配置された少なくとも1つのブッシュと、前記ピンのまわりでかつ前記ブッシュの少なくとも一部内に配置された少なくとも2つのスリーブベアリングと、ピンの両端部のまわりに配置された第1および第2のカラーとを含む。ピボットピンカートリッジは、後部傾斜レバーおよびプレートの穴を貫通する。後部傾斜レバーは、ピンのまわりをブッシュとともに回転するようにブッシュに連結される。
【0009】
別の態様では、本開示は、用具を連結できる機械について記載し、その機械は、フレームと、フレームに連結され、用具に連結されるように構成されたリンクアセンブリとを含む。リンク機構は、フレームに回転可能に連結された機械側端部と、用具に回転可能に連結されるように構成された用具側端部とを含むリフトアームを有する。リフトアームは、実質的に平行な関係で離間した一対のサイドプレートを有し、各サイドプレートは、これを貫通する穴を有する。リンク機構はまた、フレームおよび用具にそれぞれ回転可能に連結されるように構成された両端部を有する後部傾斜レバーを含む。後部傾斜レバーは、両端部の中間にある貫通穴をさらに含む。リンク機構はまた、軸を画定するピボットピンカートリッジを含み、このピボットピンカートリッジは、前記軸に沿って配置され、両端部を有するピンを含む。ピボットピンカートリッジは、前記ピンの少なくとも一部のまわりに回転可能に配置された少なくとも1つのブッシュと、前記ピンのまわりでかつ前記ブッシュの少なくとも一部内に配置された少なくとも2つのスリーブベアリングと、ピンの両端部のまわりに配置された第1および第2のカラーとをさらに含む。ピボットピンカートリッジは、後部傾斜レバーの穴および前記プレートの穴を貫通し、リフトアームおよび前記後部傾斜レバーは前記軸のまわりに相対的に回転でき、後部傾斜レバーアセンブリは、ピンのまわりをブッシュとともに回転するようにブッシュに連結される。
【0010】
別の態様では、本開示は、用具を機械のフレームに連結する方法について記載する。その方法は、リフトアームのそれぞれのサイドプレートの機械側端部をフレームに回転可能に連結し、そのサイドプレートは、実質的に平行な関係で離間するステップと、リフトアームのそれぞれのサイドプレートの用具側端部を用具に回転可能に連結するステップと、後部傾斜レバーの傾斜アクチュエータ側端部を用具に回転可能に連結するステップと、後部傾斜レバーのリンク側端部をフレームに回転可能に連結するステップと、相対的な回転運動ができるように後部傾斜レバーをサイドプレートに軸に沿って連結し、後部傾斜レバーは、前記傾斜アクチュエータ側端部とレバー端部との中間に配置された穴で相対的に回転可能に連結され、サイドプレートは、前記機械側端部および用具側端部の中間にある穴で相対的に回転可能に連結されるステップとを含む。後部傾斜レバーをサイドプレートに回転可能に連結するステップは、ピボットピンを用意するステップと、ブッシュを前記ピボットピン上に回転可能に配置するステップと、少なくとも2つのスリーブベアリングを前記ピボットピンのまわりでかつ前記ブッシュの少なくとも一部内に配置して、ピボットピンカートリッジを形成するステップと、サイドプレートの穴をピボットピンの両端部に固定するステップと、後部傾斜レバーの穴を前記少なくとも1つのブッシュに固定するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】下がった位置および上がった位置にある、本開示によるリンクアセンブリを組み込んだ機械の概略的な側面図である。
【図2】図1のリンクアセンブリの破断斜視図である。
【図3】図1および図2のリンクアセンブリの拡大側面図である。
【図4】図1〜3のリフトアームおよび後部傾斜レバーの破断等角図である。
【図5】図3および図4のピボットピンカートリッジの部分断面図である。
【図6】図3および図4のピボットピン、リフトアーム、および後部傾斜レバーの部分断面図である。
【図7】図6のリフトアームおよびピボットピンカートリッジの拡大、破断、部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、機械と、用具を支持する8バーリンクアセンブリとに関し、リンクアセンブリは、用具およびリンクアセンブリの前方およびそれらのまわりの視界を改善する。図1および図2は、プレート構造のリフトアーム124を含む8バーリンクアセンブリ122を有する典型的な機械120を示している。図1の図解は、持ち上げられた位置にあるリンクアセンブリ122を実線で示し、下げられた位置にあるリンクアセンブリ122を点線で示している。図示した機械120は、関節継手130で連結されたエンジン端部フレーム126と、非エンジン端部フレーム128とを含む。フレーム126、128は、機械120の両側に配置されたホイール132と、運転室またはオペレータステーション134とを含む。リフトアーム124は、回転継手144で機械120のフレーム128に回転可能に連結され、回転継手148によって用具136に回転可能に連結されている。
【0013】
図1および図2にホイールローダを示しているが、「機械」という用語は、鉱業、建設業、農業、運送業、または当技術分野で公知の他の任意の産業などの産業に関連する、ある種の作業を行う何らかの機械を指すことができる。例えば、機械120は、ホイールローダ、掘削機、ダンプカー、バックホー、モータグレーダ、マテリアルハンドラなどの土木機械であってもよい。同様に、付属用具136として例示的なバケットを図示しているが、別の用具を含むこともできる。例えば、積み込み、突き固め、持ち上げ、ブラシがけなどを含む様々な作業用に任意の用具を役立たせ、使用することができ、これらの用具には、例えば、バケット、コンパクタ、つり上げ装置、ブラシ、グラップル、カッタ、剪断機、ブレード、破砕機/ハンマ、オーガなどがある。
【0014】
リンクアセンブリ122は、一方の端部でフレーム128に連結され、他方の端部で用具136に連結されている。リフトアーム124は、下記にさらに詳細に説明するように、前部横材140によって互いに固定された、一対の離間したサイドプレート138と、ピボットピンカートリッジ142とを含む。リフトアーム124の横材140およびサイドプレート138は、固着、溶接、または別の方法で互いに堅固に固定されている。
【0015】
リフトアーム124、ひいては付属用具136は、その一方のみが図面内に完全に見える、選択的に動作可能な一対のリフトアクチュエータ150により、(図1に仮想線で示す)下がった位置と、(図1に実線で示す)上がった位置との間を動く。リフトアクチュエータ150はそれぞれ、リフトシリンダ154から伸縮するリフトロッド152を含む。各リフトアクチュエータ150は、それぞれの回転継手で一方の端部をフレーム128に取り付けられ(図3参照)、同様にそれぞれの回転継手158によって、反対側の端部を、リフトアーム124のそれぞれのサイドプレート138の長手方向に沿った中間位置に取り付けられている。このように、ロッド152がシリンダ154から入れ子式に伸長または後退すると、リフトアーム124と、連結された用具136とが上下する。
【0016】
傾斜サブアセンブリ162により、オペレータは用具136の角度を制御することができる。傾斜サブアセンブリ162は、傾斜アクチュエータ164を含み、この傾斜アクチュエータは、伸縮する傾斜ロッド168を備えた傾斜シリンダ166を含む。アクチュエータ164が動作することで、用具136がリフトアーム124の用具側端部で回転継手148を中心として傾く。傾斜アクチュエータ164の一方の端部は、前部傾斜レバー170によって用具136に回転可能に連結されている。より具体的には、傾斜アクチュエータ164の用具側端部は、回転継手172で前部傾斜レバー170の端部に回転可能に連結され、前部傾斜レバー170の反対側の端部は、回転継手174で用具136に回転可能に連結されている。
【0017】
前部レバー170は通常、図示するように、前部リンク176によってリフトアーム124にも連結されている。前部リンク176の一方の端部は、前部レバー170の長手方向の途中にある回転継手178で前部傾斜レバー170に回転可能に連結されている。前部リンク176の反対側の端部は、リフトアーム124の前部横材140から突出した耳状突起182上の回転継手180でリフトアーム124に回転可能に連結されている。前部リンク176は、前部傾斜レバー170の回転動作の安定性および制御性を高める。
【0018】
傾斜アクチュエータ164は、後部傾斜レバー184および後部傾斜リンク192によって、機械120のフレーム128にさらに連結されている。より具体的には、後部傾斜レバー184は、リンク側端部およびアクチュエータ側端部を含む。後部傾斜レバー184のアクチュエータ側端部は、回転継手186で傾斜アクチュエータ164に回転可能に連結され、一方、反対側の、後部傾斜レバー184のリンク側端部は、回転継手194で後部傾斜リンク192に対して回転可能とされている。次に、後部傾斜リンク192の反対側の端部は、回転継手196でフレーム128に回転可能に連結されている。
【0019】
傾斜サブアセンブリ162もまた、リフトアーム124のサイドプレート間に配置された後部傾斜レバー184によって、リフトアーム124に回転可能に連結されている。すなわち、後部傾斜レバー184は、後部傾斜レバー184のリンク側端部およびアクチュエータ側端部が軸208のまわりに回転するように、軸208に沿ってリフトアーム124に回転可能に連結されている。
【0020】
この方法では、アクチュエータ164が作動すると、傾斜ロッド168が傾斜シリンダ166から外側に伸長して、その結果、用具136が機械120に対して下向きに傾く。反対に、傾斜アクチュエータ164の部品が内側に入り込むと、用具136は機械120に対して上向きに傾く。
【0021】
後部傾斜レバー184は、ピボットピンカートリッジ142によってリフトアーム124に回転可能に連結されており、これは、図4〜7にさらに詳細に示されている。見やすくするために、傾斜アクチュエータ164、後部傾斜リンク192、およびフレーム128への連結は、図4の破断図に示されていない。リフトアーム124と後部傾斜レバー184を回転可能に連結するために、両者は、軸208に沿って配置されたピボットピンカートリッジ142に取り付けられている。
【0022】
ピボットピンカートリッジ142自体は、図5〜7に概略図でより詳細に示されている。示した寸法は、単に例示目的で提示されており、様々な利用部品の実際の寸法は、その利用部品に連結される部品の寸法と、加わる負荷とによって決まる。
【0023】
最初に図5を参照すると、ピボットピンカートリッジ142は、硬質の挿入体214によってピン212に回転可能に取り付けられたスリーブまたはブッシュ210を含む。動作時、挿入体214およびブッシュ210は単一のユニットまたはブッシュとして動作する。ブッシュ210は、基本的に管状形状であり、一方、各端部の挿入体214は通常、精密公差に合わせて機械加工される。挿入体214は、鋼または他の適切な材料で形成され、適切な耐腐食性および耐摩耗性コーティングを施してもよい。挿入体214は、ブッシュ210の内径内に収まるように、ブッシュ210から半径方向内側に配置された周縁フランジ216を含む。挿入体は、ブッシュ210の軸方向端部に配置されるように、ブッシュ210から軸方向外側に配置された周縁部分218をさらに含む。挿入体214とブッシュ210とは、別個の構造体として図示されているが、単一構造体として交互に形成することもできる。ただし、当然のことながら、硬質の挿入体214を介在させることで、ピボットピンカートリッジ142の耐久性を高めることができる。
【0024】
挿入体214およびブッシュ210をピン212のまわりに滑らかに回転させるために、スリーブベアリング220が設けられる。ベアリング220は浮動式とされ、全体的に凸形状の面を有することができ、この凸形状面により、力がベアリング220の中央に向けられて、縁部の負荷が最小限になる。ベアリング220の外面は、窒化処理、直接焼き入れなどの表面処理を行って、少なくとも所定の深さまで延びる硬い表面層を形成することができる。別の配置および数量のスリーブベアリング220を設けることもできる。
【0025】
ベアリング220は、挿入体214に形成された凹部222内で、ピン212のまわりに配置されている。ベアリング220はさらに、ベアリング220から軸方向外側に配置されたスラストベアリング224に接している。カラー226はピン212の両端に設けられ、スラストベアリング224が配置された凹部228を含む。カラー226は、ピン212に対して回転しないように取り付けられている。
【0026】
潤滑油は、ポート230からベアリング220に供給され、ポート230を通って、ブッシュ210とピン212との間の空洞232に供給され、そして、挿入体214とピン212の間の空洞234に供給され、最終的に、ベアリング220を囲む空洞に供給される。潤滑油は、シール236、238によって、ベアリングを囲む空洞内に維持され、これらのシール236、238は、Oリングの形態かまたは適切な他の任意の構造体とすることができる。ピンカートリッジ142が潤滑油を充填された後、ポート230は、ポート230の栓240として機能する任意の適切な構造体によって閉じられる。例えば、栓240はねじを切られた構造体とすることができ、ポート230は、ねじを切られた穴などとすることができる。
【0027】
ピボットピンカートリッジ142は、リンクアセンブリ122を組み立てるための単一ユニットとして用意される。ピボットピンカートリッジ142の部品は、適切な順番で組み立てることができる。単なる例示として、ブッシュ210と硬質の挿入体214とを合体させ、次いでピン212に組み込むことができる。次いで、ベアリング220を硬質の挿入体214の凹部222に組み込み、シール236、238を取り付けることができる。最後に、スラストベアリング224をカラー226に前もって組み込んで、そのカラー/スラストベアリングサブアセンブリをピン212の両端に圧入することができる。組み立てた後、ピボットピンカートリッジ142に、ポート230から空洞232、234およびベアリングのまわりの凹部222に至る潤滑油を充填することができる。次いで、栓240をポート230内に配置するか、または別の方法でポート230を封止することができる。結果として得られたピボットピンカートリッジ142は、組み立て工程時に、リンクアセンブリ120に容易に組み込むことができる完成したサブアセンブリとなっている。この組み立て方は、単なる例示として提示され、組み立ての順序は、説明したものと異なっていてもよい。
【0028】
ピボットピンカートリッジ142を用いた、リフトアーム124のサイドプレート138と後部傾斜レバー184との連結が、図6の断面図に示されている。この実施形態では、後部傾斜レバー184は、ピボットピンカートリッジ142を受け入れる貫通穴248を有するスリーブ246に固定された一対のプレート242、244を含む。プレート242、244は、スリーブ246の付いた単一ユニットとして形成してもよい。あるいは、プレート242、244は、スリーブ246を受け入れる穴250、252を含むことができ、溶接、圧力ばめ、または適切な他の任意の手段によってプレート242、244をスリーブ246に固定することができる。スリーブ246は、細長い構造体として図示されているが、別の寸法を有することもできる。例えば、スリーブ246は、単に後部傾斜レバー184の離間したプレート242、244間の距離だけまたがっていてもよい。そのような構成では、スリーブ246の両側で軸方向に配置された別個の部品として、スペーサまたはベアリングを設けることができる。
【0029】
リフトアーム124のサイドプレート138も同様に、カラー254、256を用いてそれぞれ取り付けられている。各カラー254、256は、ピボットピンカートリッジ142を受け入れる貫通穴258、260を含む。サイドプレート138およびカラー254、256も同様に、それぞれ単一構造物として形成されてもよいし、または、溶接、圧力ばめ、または他の適切な手段によってともに固定されてもよい。
【0030】
組立時、第1のサイドプレート138の穴260と、後部傾斜レバースリーブ246を貫通する穴248と、第2のサイドプレート138の穴258とにピボットピンカートリッジ142を通して組み込む。配置後、ピボットピンカートリッジ142とリフトアーム124のサイドプレート138とが相対的に動くのを防ぐために、カートリッジ142の一方の端部とサイドプレート138のカラー256とにおいて、カラー226の半円形切欠き部282、284内にそれぞれだぼ280を配置する。そのように配置されるだぼ280の数量は、通常、発生する関連力によって決まる。図示した実施形態では、4つのだぼが使用されるが、だぼ280を別の数量だけ使用することもできる。
【0031】
所定の位置にだぼ280を保持するために、保持器264が、任意の適切な機構によってピボットピンカートリッジ142の端部に連結される。図示した実施形態では、そのような保持器262、264がピボットピンカートリッジ142の両端部に設けられている。保持器262、264を連結するために、ピボットピンカートリッジ142のカラー226は、ねじを切られた凹部266を含み、保持器262、264は、ねじ留め具270を受け入れる穴268を含む。8個のそのようなねじ留め具270が図示されているが、だぼ280と同様に、適切な数量のねじ留め具270を設けることができる。
【0032】
産業上の利用性
開示した実施形態により、2つの傾斜アセンブリ部品セットを有する大きな構造物がなくなって、プレート構造のリフトアーム138が開放的になる。2つの傾斜部品セットではなく単一の傾斜アセンブリを利用する場合に、ピボットピンカートリッジ142が比較的コンパクトなので、サイドプレート138と後部傾斜レバー184とを連結するのにピボットピンカートリッジ142を利用することで、溶接される大きな後部横材を不要にすることができる。このように、ピボットピンカートリッジ142の使用により、従来からの連結装置よりも機械120のオペレータの視界を向上させることができる。そのような視界の向上は、大きな、溶接された後部横材が、機械120の前方とリンクアセンブリ122の両側方との両方に対するオペレータの視界をほとんど利かなくする恐れがある、リンクアセンブリ122が持ち上げられた位置にある場合に特に明らかになる。このように、大きな横材ではなくピボットピンカートリッジ142を介在させることで、運転時の機械120の作業効率だけでなく、安全性も高めることができる。
【0033】
ピボットピンカートリッジ142を含むリンクアセンブリ120は、製造の観点からおよび機械120を最良に操作する点で有益であり得る。ピボットピンカートリッジ142は、サイドプレート138を安定して連結し、サイドプレート138間の、ベアリングを含む余分な高剛性横材の溶接に伴うコストを省く。ピボットピンカートリッジ142により、開示したリンクアセンブリ122を容易に製造することが可能になる。ピボットピンカートリッジ142は前もって組み立てられ、前もって注油され、リフトアーム124のサイドプレート138および後部傾斜レバー184に引き入れるかつ/または押し込むことができる自給式のサブアセンブリとして提供される。ピボットピンカートリッジ142の外径全体を一方の端部から他方にかけて若干増大させて、最初に直径が小さい方の端部を後部傾斜レバー184およびサイドプレート138の穴248、258、260に挿入できるようにして、プレート138および後部傾斜レバー184への組み込みを容易にすることができる。ピボットピンカートリッジ142の内部部品も同様に、一方の端部から他方にかけて直径を増大させることができて、ピボットピンカートリッジ142をリンクアセンブリ122に配置する前に、カートリッジ142の内部部品を容易に前組み立てすることができる。
【0034】
ピボットピンカートリッジ142は前もって注油され、自給式であるので、アセンブリに組み込むことで、日々の潤滑要求を大幅に少なくするか、またはなくすことさえできる。カートリッジ142は、ポート230から潤滑油を充填され、この潤滑油は、ブッシュ210とピン212との間および挿入体214とピン212との間の空洞232、234に流れ、さらにスリーブベアリング220のまわりを流れる。使用時、シール236、238は、カートリッジ142からの潤滑油の漏れを抑制する。
【0035】
当然のことながら、前述の説明は、開示したシステムおよび技術の例を提示している。一方、開示内容の別の実施例は、前述の例とは細部で異なっていてもよいと考えられる。本開示または本開示の実施例についての言及はすべて、そのときに説明される特定の例について言及することを意図されており、より一般的に、本発明の範囲に関する限定を含むよう意図されるものではない。特定の部分に対する差別および軽視の言葉はすべて、これらの部分を選好しないことを示すよう意図されているが、別途に示されていない限り、本開示の範囲からそのようなものを除外することを意図されるものではない。本明細書で説明したすべての方法は、本明細書で別途に指摘がない限り、または別途に文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。
【0036】
したがって、本開示は、準拠法が許可する通り、添付の特許請求の範囲に記載の内容についてのすべての修正形態および等価物を含む。本明細書に別途に指摘がない限り、または別途に文脈と明らかに矛盾しない限り、本開示は、あり得るすべての変形形態における上記要素の任意の組み合わせを包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用具(136)を機械(120)のフレーム(128)に連結するリンクアセンブリ(122)であって、
フレーム(128)に回転可能に連結されるように構成された機械側端部(139)と、用具(136)に回転可能に連結されるように構成された用具側端部(137)とを含み、一対のサイドプレート(138)を有するリフトアーム(124)であって、そのサイドプレート(138)は、個々に分かれ、連結されず、概ね平行な関係で離間し、サイドプレート(138)はそれぞれ、貫通する穴(258、260)を有するリフトアーム(124)と、
サイドプレート(138)間の中間に配置され、フレーム(128)および用具に回転可能に連結されるように構成された両端部を有し、さらに、貫通する穴(248)を有する後部傾斜レバー(184)であって、その穴(248)がレバーの両端部の中間に配置された後部傾斜レバー(184)と、
軸(208)を画定するピボットピン(212)カートリッジ(142)と、
を含み、そのピボットピン(212)カートリッジ(142)は、
前記軸(208)に沿って配置され、両端部を有するピン(212)と、
前記ピン(212)の少なくとも一部のまわりに回転可能に配置された少なくとも1つのブッシュ(210)と、
前記ピン(212)のまわりで、かつ前記ブッシュ(210)の少なくとも一部内に配置された少なくとも2つのスリーブベアリング(220)と、
ピン(212)の両端部のまわりに配置された第1および第2のカラー(226)とを含み、
ピボットピン(212)カートリッジ(142)は、後部傾斜レバー(184)の穴(248)と前記プレートの穴(258、260)とを貫通し、前記リフトアーム(124)および前記後部傾斜レバー(184)は、前記軸(208)のまわりに相対的に回転でき、後部傾斜レバー(184)は、ブッシュ(210)とともにピン(212)のまわりに回転するようにブッシュ(210)に連結される、リンクアセンブリ(122)。
【請求項2】
ベアリング(220)は、ピン(212)とブッシュ(210)との間で浮動するように配置される、請求項1に記載のリンクアセンブリ(122)。
【請求項3】
ベアリング(220)は、ブッシュ(210)と接触するように配置された凸形状面を含む、請求項1または請求項2のいずれかに記載のリンクアセンブリ(122)。
【請求項4】
ブッシュ(210)は、少なくとも1つの挿入体(216)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリンクアセンブリ(122)。
【請求項5】
リフトアーム(124)は所定の距離だけ離され、ブッシュ(210)は、実質的にその距離全体に延びる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリンクアセンブリ(122)。
【請求項6】
後部傾斜レバー(184)は、ブッシュ(210)に回転不可能に連結され、サイドプレート(138)の少なくとも一方は、それぞれ第1または第2のカラー(226)に回転不可能に連結される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリンクアセンブリ(122)。
【請求項7】
サイドプレート(138)はそれぞれ、カラー(254、256)を含み、そのサイドプレートカラー(254、256)の少なくとも一方は、カートリッジカラー(226)に回転不可能に連結される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリンクアセンブリ(122)。
【請求項8】
レバー側端部(191)および機械側端部(193)を有し、その機械側端部(193)は、フレーム(128)に回転可能に連結されるように構成される後部傾斜リンク(192)と、
機械側端部(165)および用具側端部(163)を有し、その用具(136)側端部は、用具(136)に回転可能に連結されるように構成される傾斜アクチュエータ(164)と、
後部傾斜リンク(192)のレバー側端部(191)に回転可能に連結されるリンク側端部と、傾斜アクチュエータ(164)の機械側端部(165)に回転可能に連結されるアクチュエータ側端部とを含む後部傾斜レバー(184)の両端部と、
をさらに有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のリンクアセンブリ(122)。
【請求項9】
フレーム(128)に回転可能に連結されるように構成された機械側端部(149)と、リフトアーム(124)に回転可能に連結される用具側端部(151)とを有する少なくとも1つのリフトアクチュエータ(150)をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のリンクアセンブリ(122)。
【請求項10】
用具(136)を連結することができ、フレーム(128)と、請求項1〜9のいずれか一項に記載のリンクアセンブリ(122)とを含む機械(120)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−502220(P2011−502220A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532040(P2010−532040)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/012244
【国際公開番号】WO2009/058280
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
【Fターム(参考)】