用紙加工装置
【課題】用紙搬送方向に対して直交する方向に用紙を裁断する裁断機構と、該裁断機構の用紙搬送方向両側の第1及び第2の搬送ローラ及びそれらを独立に駆動する駆動機構と、制御部と、紙受け部とを備え、裁断機構により前記各用紙を複数の製品に裁断する用紙加工装置において、裁断後の先行製品と後行製品との間に所定値以上の排出間隔を確保する。
【解決手段】用紙搬送方向に隣り合う先行製品と後行製品との間の切除領域の用紙搬送方向の切除幅が基準値以上の場合は、第1及び第2の搬送ローラ11,12が常時同期作動して連続裁断を行う連続裁断モードを実行させ、前記切除幅が0から前記基準値未満の場合は、前記第1の搬送ローラ11を一時停止させ前記第2の搬送ローラ12のみを作動させることにより、裁断後の前記先行製品と前記後行製品との間に所定値以上の排出間隔を確保する間隔調整モードを実行させることとし、両モードは切換自在とする。
【解決手段】用紙搬送方向に隣り合う先行製品と後行製品との間の切除領域の用紙搬送方向の切除幅が基準値以上の場合は、第1及び第2の搬送ローラ11,12が常時同期作動して連続裁断を行う連続裁断モードを実行させ、前記切除幅が0から前記基準値未満の場合は、前記第1の搬送ローラ11を一時停止させ前記第2の搬送ローラ12のみを作動させることにより、裁断後の前記先行製品と前記後行製品との間に所定値以上の排出間隔を確保する間隔調整モードを実行させることとし、両モードは切換自在とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙加工装置の制御方法に関し、特に、用紙搬送方向と直交する方向に用紙を裁断する裁断機構を有する、用紙加工装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
裁断機構を有する用紙加工装置は、通常、図20に示すように、裁断機構201の用紙搬送方向Fの上流側と下流側とに、それぞれ搬送ローラ202,203を備えており、裁断機構201の運転と共に、両搬送ローラ202,203を同期駆動し、かつ、同期に停止することにより、用紙Pの所定箇所を連続的に裁断し、裁断された製品Q1、Q2、…等を連続的に紙受け部204に排出するようになっている(特許文献1等)。
【0003】
また、用紙Pの製品配列パターンとして、たとえば図8に示すように、用紙搬送方向Fの下流側から順に、複数の製品(ハッチングで示す)Q1、Q2…等を並べて配列している場合には、搬送方向Fに隣り合う製品Q1Q2間、製品Q2Q3間、及び製品Q3Q4間に、切除幅Dを有する切除領域X1が設定されており、裁断加工時に、前記切除領域X1を切除することにより、各製品Q1,Q2,Q3,Q4の端縁を綺麗に裁断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−239312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、図8のような製品配列パターンにおいて、用紙の面積を、無駄なく効率良く利用するために、切除領域X1の切除幅Dを小さく設定した場合には、温度や湿度等の作業環境条件、用紙の種類あるいは搬送速度によって、次のような不具合が生じる可能性が有る。
【0006】
すなわち、図20に示すように、紙受け部204に排出される際、先行製品Q1と後行製品Q2とが衝突し、ジャム状態になったり、後行製品Q2が先行製品Q1の下側に入り込み、紙受け部204上の積載順序が狂ったり、あるいは紙受け部204上での用紙端縁の揃えが乱れたりすることがある。
【0007】
特に製品Q1等が、名簿順に宛名を記載した請求書あるいは納品書や、トランプ等、正しい順序で積載する必要がある場合では、積載順序が乱れると、切断後の製品の整理に手間がかかる。
【0008】
本発明の目的は、製品に裁断後、順次排出される際に、先行製品と後行製品とが衝突しり、後行製品が先行製品の下側に入り込んだりするのを防止することにより、紙受け部上に整然と、かつ、積載順序が乱れることなく、排出し、積載できる用紙加工装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、用紙搬送方向に対して直交する方向に用紙を裁断する裁断機構と、該裁断機構の用紙搬送上流側及び下流側に配置された第1及び第2の搬送ローラと、該第1及び第2の搬送ローラを、個々独立に作動可能な駆動機構と、該駆動機構を制御する制御部と、用紙搬送下流側の前記第2の搬送ローラの用紙搬送下流側に配置された紙受け部と、を備え、前記裁断機構により前記各用紙を複数の製品に裁断する、用紙加工装置の制御方法において、用紙搬送方向に隣り合う先行製品と後行製品との間の切除領域の用紙搬送方向の切除幅が、基準値以上の場合に、前記第1及び第2の搬送ローラが、常時同期作動して連続裁断を行う、連続裁断モードと、前記切除幅が0から前記基準値未満の場合に、用紙搬送方向上流側の前記第1の搬送ローラを一時停止させ、用紙搬送方向下流側の前記第2の搬送ローラのみを作動させることにより、裁断後の前記先行製品と前記後行製品との間に所定値以上の排出間隔を確保する、間隔調整モードと、に切換自在となっている。
【0010】
本発明は、上記内容に加え、好ましくは、次の構成を備えることができる。
(a)前記間隔調整モードにおいて、用紙搬送上流側の前記第1の搬送ローラの停止時間を調整することにより、前記排出間隔の大きさを調整する。
【0011】
(b)前記排出間隔の前記所定値は、前記紙受け部に前記製品を排出する際に、前記先行製品と前記後行製品とが衝突しない大きさである。
【0012】
(c)前記各用紙に、前記切除領域が複数設定されている場合に、前記切除領域毎に、前記連続裁断モードと前記間隔調整モードとを、選択的に適用する。
【0013】
(d)前記第1及び第2の搬送ローラの搬送速度の増加に伴い、前記排出間隔の所定値が増加するように、制御される。
【0014】
(e)前記裁断機構の作動中、前記第1及び第2の搬送ローラが常時停止するように制御される。
【発明の効果】
【0015】
(1)本発明によると、用紙上における先行製品と後行製品との間の切除幅が小さい(短い)場合には、間隔調整モードにより、前記両製品間の排出間隔を広げて、各製品を排出するので、先行製品と後行製品とが衝突したり、後行製品が先行製品の下側に入り込んだりするのを防ぐことができる。これにより、用紙ジャムを防ぎ、紙受け部上に、順序正しく、かつ、製品端縁を整然と揃えた状態で、製品を積載することができる。
【0016】
一方、用紙上における先行製品と後行製品との間の切除幅が十分に大きい(長い)場合には、連続裁断モードにより、無駄に時間をかけることなく、能率良く裁断及び排出ができる。
【0017】
(2)構成(a)によると、間隔調整モードにおける排出間隔を、簡単に調整することができる。
【0018】
(3)構成(b)によると、先行製品と後行製品との衝突を、確実に防ぐことができる。
【0019】
(4)構成(c)によると、一枚の用紙に複数の異なる大きさの切除領域が存在していても、各切除領域の切除幅に応じて、連続裁断モードと間隔調整モードとを切り換えるので、製品毎に確実に製品の衝突等を防ぐことができる。
【0020】
(5)一般に、搬送速度が増加すると、それに伴い先行製品と後行製品との衝突の可能性が大きくなるが、構成(d)によると、搬送速度の増加に伴って、排出間隔を広げるようにしているので、高速搬送時でも、確実に製品同士の衝突等を防ぐことができる。
【0021】
(6)構成(e)によると、裁断工程時、綺麗にかつ正確な位置で、用紙を裁断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る制御方法を実施する用紙加工装置の模式縦断面図である。
【図2】図1の裁断機構の斜視図である。
【図3】間隔調整モードの一例であり、搬送ローラ等のタームチャートを示す図である。
【図4】間隔調整モードの前記一例における初期裁断工程を示す断面略図である。
【図5】図4に続く中間裁断行程を示す断面略図である。
【図6】図5に続く後期裁断行程を示す断面略図である。
【図7】連続裁断モードの一例であり、搬送ローラ等のタームチャートを示す図である。
【図8】用紙の製品配列パターンの一例を示す平面図である。
【図9】用紙の製品配列パターンの別の例を示す平面図である。
【図10】用紙の製品配列パターンの別の例を示す平面図である。
【図11】用紙の製品配列パターンの別の例を示す平面図である。
【図12】間隔調整モードの別の例であり、搬送ローラ等のタームチャートを示す図である。
【図13】図12の間隔調整モードの例における初期裁断行程を示す断面略図である。
【図14】図13に続く中間裁断行程を示す断面略図である。
【図15】図14に続く後期裁断行程を示す断面略図である。
【図16】間隔調整モードのさらに別の例であり、搬送ローラ等のタームチャートを示す図である。
【図17】図16に示す間隔調整モードの例における初期裁断行程を示す断面略図である。
【図18】図17に続く中間裁断行程を示す断面略図である。
【図19】図18に続く後期裁断行程を示す断面略図である。
【図20】従来例の動作を示す断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[用紙加工装置の構成]
図1は本発明に係る制御方法を実施する用紙加工装置の模式縦断面図である。この図1において、用紙加工装置は、装置本体1の用紙搬送方向Fの下流端部に紙受け部2を備え、用紙搬送方向Fの上流端部に給紙部3を備え、該給紙部3と紙受け部2との間に、略水平な搬送経路5が構成されている。搬送経路5の途中には、複数の搬送ローラ対9、10、11、12等が用紙搬送方向Fに間隔をおいて配置されており、各搬送ローラ対9,10、11、12間に、用紙搬送方向Fの上流側から順に、スリット形成機構30、折り型形成機構31及び裁断機構32が配置されている。
【0024】
各搬送ローラ対9,10,11,12は、それぞれ上下一対の搬送ローラ9A、9B、10A、10B、11A、11B、12A、12Bから構成されている。下側の各搬送ローラ9B、10B、11B,12Bは、駆動側ローラであり、それぞれローラ駆動部19,20,21,22に、動力伝達機構を介して連結されており、各ローラ駆動部19,20,21,22の駆動力により、それぞれ個々独立に矢印方向に回転する。これにより、用紙Pを上下から挟持した状態で、搬送方向Fに搬送する。駆動側の各搬送ローラ9B、10B、11B、12Bは、表面がウレタンでできており、摩擦により大きな搬送力が発生する。一方、従動側の各搬送ローラ9A、10A、11A、12Aはスポンジ等の軟性部材でできており、用紙の表面を傷付けないようになっている。
【0025】
スリット形成機構30、折り型形成機構31及び裁断機構32は、それぞれ着脱可能なユニットとして構成されており、カセット方式により、装置本体1内の所望の位置に着脱できる構造となっている。したがって、加工の種類に応じて、各機構30,31,32の配置順序を変更したり、あるいは他の機構(面取り機構等)を装着することができる。
【0026】
スリット形成機構30は、該実施の形態では、用紙搬送方向Fに4つのユニット部を並べており、各ユニット部には、上下の回転刃30A,30Bからなる回転刃対が、それぞれ搬送幅方向に間隔を置いて2組配置されている。下側の回転刃30Bは、動力伝達機構を介してモータ等の回転刃駆動部15に連結されている。すなわち、回転刃駆動部15の駆動力で下側の各回転刃30Bを回転させることにより、用紙Pに対して、用紙搬送方向Fと平行にスリットを形成するようになっている。なお、前記各回転刃対の搬送幅方向の間隔は任意に変更可能である。
【0027】
前記のように、スリット形成機構30を、用紙搬送方向Fに並べた4つのユニット部から構成していることにより、スリット形成機構用の上下の搬送ローラ9A、9Bも、各ユニット部間にそれぞれ配置されている。
【0028】
折り型形成機構31は、上端凹部を有する下型31Bと、前記凹部に嵌合する下端凸部を有する上型31Aとを備えており、前記上型31Aは、モータ等の型駆動部16に動力伝達機構を介して連結されている。すなわち、型駆動部16の駆動力で上型31Aを下降させることにより、用紙Pに対して、用紙搬送方向Fと直交する方向に折り目を形成する。
【0029】
裁断機構32は、用紙搬送幅方向に延びる下側の固定刃32Bと上側の可動刃32Aとから構成されており、上側の可動刃32Aは、動力伝達機構を介してモータ等の裁断駆動部17に連結されている。
【0030】
各ローラ駆動部19、20、21、22、回転刃駆動部15、型駆動部16及び裁断駆動部17は、装置本体1に内蔵された制御部25に電気的に接続されており、該制御部25には、各種作業設定を入力し、かつ、表示するための操作部(操作パネル等)26が電気的に接続されている。また、装置本体1内の下端部には、各機構30,31,32に亘って用紙搬送方向Fに長く形成されたくず箱27が配置されている。
【0031】
図2は、裁断機構32の一例であり、下側の固定刃32Bは搬送方向Fと直交する方向に延びるように略水平に配置され、上側の可動刃32Aは、水平に対して、刃先部32Aaから刃元部32Abに行くに従って低くなるように傾斜しており、用紙搬送方向Fの上流側に配置された上側ガイド体33に沿って上下方向に移動する。
【0032】
上側の可動刃32Aの刃元部32Abは、平行リンク機構36、クランク機構37及びギヤ伝動機構38を介して、裁断駆動部(駆動モータ)22に連動連結されており、裁断駆動部22の駆動動力により、上側可動刃32Aは、傾斜状態を保って上下方向に平行移動される。
【0033】
[用紙の製品配列パターン]
図8乃至図11は、裁断加工される用紙Pの各種製品配列パターンを示している。図8に示す製品配列パターンは、用紙搬送方向Fに製品(製品領域)Q1乃至Q4を4列に配置し、用紙搬送幅方向Wにも製品(製品領域)Q1乃至Q4を4列に配置している。この製品配列の場合、用紙搬送方向Fと平行な8本のスリット線Sと、用紙搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wと平行な8本の裁断線Eにより、合計16枚の製品Q1乃至Q4を切り出すことになる。
【0034】
用紙搬送方向Fに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q2間、製品Q2Q3間、製品Q3Q4間には、用紙搬送方向Fの切除幅Dを有する切除領域(いわゆるドブ形成領域)X1がそれぞれ設定されており、一方、用紙搬送幅方向Wに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q1間、製品Q2Q2間、製品Q3Q3間、製品Q4Q4間には、用紙搬送幅方向Wの切除幅Hを有する切除領域X2がそれぞれ設定されている。また、用紙の外周端部にも切除領域X1,X2がそれぞれ形成されている。用紙搬送方向Fの前記切除領域X1の切除幅Dは、10mmに設定されている。
【0035】
図9に示す用紙Pの製品配列パターンは、用紙搬送方向Fに製品Q1乃至Q3を3列に配置し、用紙搬送幅方向Wに製品Q1乃至Q3を4列に配置している。この製品配列の場合、用紙搬送方向Fと平行な8本のスリット線Sと、用紙搬送幅方向Wと平行な6本の裁断線Eにより、合計12枚の製品Q1乃至Q3を切り出すことになる。
【0036】
用紙搬送方向Fに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q2間、製品Q2Q3間と、用紙搬送幅方向Wに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q1間、製品Q2Q2間、製品Q3Q3間には、それぞれ切除領域X1、X2が設定されている。用紙搬送方向Fの前記切除領域X1の切除幅Dは、20mmに設定されている。
【0037】
図10に示す用紙Pの製品配列パターンは、図9と同様に、用紙搬送方向Fに製品Q1乃至Q3を3列に配置し、用紙搬送幅方向Wに製品Q1乃至Q3を4列に配置している。図9と異なる点は、用紙搬送方向Fの切除領域X1の切除幅Dが、30mmに設定されていることである。切除幅D以外は図9と同様の配列パターンである。
【0038】
図11に示す用紙Pの製品配列パターンは、用紙搬送方向Fに製品Q1乃至Q5を5列に配置し、用紙搬送幅方向Wに製品Q1乃至Q5を4列に配置している。
【0039】
用紙搬送幅方向Wに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q1間、製品Q2Q2間、製品Q3Q3間、製品Q4Q4間、製品Q5Q5には、切除領域X2が設定されているが、用紙搬送方向Fに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q2間、製品Q2Q3間、製品Q3Q4間、製品Q4Q5間は、切除領域の切除幅Dが0に設定されている。すなわち、実質的に切除領域が存在しない状態となっている。
【0040】
(制御部25による制御内容)
図1の制御部25の記憶部内には、裁断工程の制御に関し、裁断機構32の作動及び停止と、該裁断機構32の用紙搬送方向Fの上流側(以下、単に「用紙搬送上流側」という)及び用紙搬送方向Fの下流側(以下、単に「用紙搬送下流側」という)の各搬送ローラ対11、12の作動及び停止について、前記切除幅Dのみに略対応する排出間隔により紙受け部2に製品を排出する連続裁断モードと、前記切除幅Dより大きな間隔(D+G)まで排出間隔を増大させて、紙受け部2に製品を排出する間隔調整モードとがプログラムされており、操作部26で入力設定される切除幅Dの大きさに応じて、上記両モードを切り換えようになっている。なお、説明の都合上、裁断機構32の用紙搬送上流側の搬送ローラ対11を「第1の搬送ローラ対」と称し、裁断機構32の用紙搬送下流側の搬送ローラ対12を「第2の搬送ローラ対」と称する。
【0041】
該実施の形態では、連続裁断モードと間隔調整モードとを切り換える切除幅Dの基準値を30mmに設定しており、操作部26で入力される切除幅Dが30mm以上の時には、連続裁断モードを実行し、操作部26で入力される切除幅が0〜30mm未満の時には、間隔調整モードを実行するように、制御部25に記憶されている。
【0042】
図3及び図7は、間隔調整モード及び連続裁断モードをそれぞれ実行する場合の裁断機構32及び第1及び第2の搬送ローラ対11,12の作動のタイムチャートを示している。横軸が時間である。図3及び図7において、上段は第1の搬送ローラ対11のオン、オフを示し、中段は裁断機構32のオン、オフを示し、下段は第2の搬送ローラ対12のオン、オフを示している。時間(区間)Tdは切除幅Dを確保するための切除領域形成時間であり、時間Tc1、Tc2は、裁断機構32が実際に作動している実裁断時間である。
【0043】
図7に示す連続裁断モードでは、切除領域形成時間Tdの前後両端に、実裁断時間Tc1,Tc2のみを確保している。各実裁断時間Tc1,Tc2では、第1及び第2の搬送ローラ対11,12は共に停止し、切除領域形成時間Td及びその他の用紙送り時間では、第1及び第2の搬送ローラ対11,12は同期駆動するように、プログラムされている。
【0044】
一方、図3に示す間隔調整モードでは、前側の実裁断時間Tc1の直後に、間隔調整時間Tgを確保しており、この間隔調整時間Tgでは、第1の搬送ローラ対11が停止し、第2の搬送ローラ対12のみが作動するように、プログラムされている。これにより、図5及び図6のように、製品排出時の排出間隔(D+G)として、少なくとも、先行製品Q1と後行製品Q2とが衝突しない所定値(たとえば30mm)が確保される。前記実切断時間Tc1及びTc2は、たとえば0。1〜0.3秒であり、第1及び第2の搬送ローラ対11,12による搬送速度は、最大で700m/sである。
【0045】
前記間隔調整時間Tgは、0〜30mm未満における切除幅Dの大きさによって、変更調整される。すなわち、切除幅Dが0〜30mm未満において、切除幅Dが小さくなるに従い、間隔調整時間Tgを増大させ、最終的に、図5及び図6に示すような排出間隔(G+D)が、少なくとも所定値(30mm)以上となるように制御される。
【0046】
また、排出間隔(D+G)の所定値は、搬送速度によっても変更されることが好ましく、この場合搬送速度が大きくなるに従い、前記排出間隔(D+G)が大きくなるように、設定される。
【0047】
[用紙加工装置の作業の概要]
図1において、給紙部3のトレイ上に複数の用紙Pが積載されており、図示しない給紙機構により、下端から一枚ずつ用紙Pが搬送経路5に供給される。
【0048】
最も用紙搬送上流側に配置された搬送ローラ対9によりスリット形成機構30に送り込まれた用紙Pには、複数の回転刃対により、順次、用紙搬送方向Fと平行なスリット(図8のスリット線S)が形成される。
【0049】
続いて、搬送ローラ対10により、折り型形成機構31に送り込まれた用紙Pは、今回は使用しない折り型形成機構31を通過し、次の第1の搬送ローラ対11により、裁断機構32内に送り込まれる。
【0050】
裁断機構32内では、後で詳細に説明するが、各裁断線E(図8乃至図11参照)が所定裁断位置まで送られた時に、用紙Pは一時停止し、上側可動刃32Aが下降することにより、裁断線E部分が、用紙搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wに裁断される。そして、最終的に裁断された製品は、紙受け部2に順次下側から積み上げられる。
【0051】
[裁断工程での制御]
説明を簡素化するために、各説明箇所に応じて、用紙搬送方向Fを前方又は前側と表現し、用紙搬送方向Fと反対方向を後方又は後側と表現して、説明する。
【0052】
(1)図8に示す製品配列パターンの用紙を加工する場合を説明する。
まず、前工程として、製品配列パターンに応じた各裁断線Eの位置を入力する。たとえば、図8において、用紙前端縁(用紙搬送方向Fの下流端縁)P0から各裁断線Eまでの距離を操作部26に入力すると共に、如何なる裁断線E間の距離が切除幅Dになるかを具体的に指定する。
【0053】
制御部25では、入力された用紙前端縁P0から各切断線Eまでの距離及び各切除幅Dに基づき、第1及び第2の搬送ローラ対11,12のオンオフ切換、裁断機構32のオンオフ切換の駆動信号を、各ローラ駆動部21,22及び裁断駆動部17に送る。上記演算及び処理過程において、入力された図8の各切除幅Dは、総て10mmであり、基準値30mm未満であるので、間隔調整モードが選択される。これにより、前記図3に示す間隔調整時間Tgが含まれるプログラムに基づいて、駆動信号が送られる。前記間隔調整時間Tgは、この間隔調整時間Tgと切除領域形成時間Tdとの合計時間により、図5に示す製品Q1Q2間の排出間隔(D+G)が、少なくとも所定値の30mm以上となるように設定される。すなわち、調整間隔Gが20mmになるように設定される。
【0054】
図4乃至図6は、前記図8に示す製品配列パターンの用紙Pを、図3に示すタイムチャートに基づいて、間隔調整モードで処理した時の作業工程を順次示している。
【0055】
図4は切除領域X1の前端を実裁断する初期裁断工程を示しており、切除領域X1の前端の裁断線Eが裁断機構32の所定裁断位置まで移動した時に、第1及び第2の搬送ローラ対11,12が停止し、この停止状態で、裁断機構32の上側可動刃32Aが下降することにより、用紙Pを裁断する。
【0056】
図5は切除領域形成のための中間裁断工程を示しており、第1の搬送ローラ対11を停止し、第2の搬送ローラ対12のみを回転させることにより、先行製品(たとえばQ1)の後端と切除領域X1の前端との間に、調整間隔G(20mm)を形成している。該調整間隔Gを確保した後、再度第1及び第2の搬送ローラ対11,12を同期駆動させる。
【0057】
図6は切除領域X1の後端を実裁断する後期裁断工程を示しており、切除領域X1の後端の裁断線Eが裁断機構32の所定裁断位置まで移動した時に、第1及び第2の搬送ローラ対11,12を停止し、この停止状態で、裁断機構32の上側可動刃32Aが下降することにより、用紙Pを裁断する。これにより、切除領域X1は独立した切除片(いわゆるドブ)となって、下方のくず箱27に落下する。この後、再度第1及び第2の搬送ローラ対11,12を同期駆動する。この時、先行製品Q1の後端と後行製品Q2の前端とは、少なくとも所定値の30mmの排出間隔(D+G)だけ離れた状態となり、この状態で、先行製品Q1は紙受け部2に排出される。
【0058】
したがって、順次製品Q1、Q2を裁断した場合でも、先行製品の後端と後行製品の前端との間には、常に30mm以上の排出間隔(D+G)が確保されるので、排出時に、先行製品と後行製品とが衝突したり、後行製品が先行製品の下側に入り込んだりする不具合を防止でき、紙受け部2上には、整然と揃えられた状態で、かつ、積算順序が乱れることなく、積載される。
【0059】
(2)図10の製品配列パターンの用紙を加工する場合を説明する。
図8の場合と同様に、前工程として、製品配列パターンに応じて用紙前端P0から各裁断線Eまでの距離を入力するが、切除幅Dが基準値30mmであるので、制御部25においては、図7のように間隔調整時間(Tg)の無い連続裁断モードのプログラムに基づいて、駆動信号が出される。
【0060】
したがって、裁断機構32おける裁断作業において、間隔調整時間Tgが確保されることなく連続裁断される。切除幅Dが30mmであるので、前期間隔調整時間を確保しなくとも、先行製品と後行製品とが衝突することなく、紙受け部2に製品を排出し、積載することができ、また、前期間隔調整時間を確保しないことにより、作業能率を維持できる。
【0061】
(3)図9及び図11の製品配列パターンの用紙を加工する場合を説明する。
図8の製品配列パターンと同様、切除幅Dが、基準値30mm未満又は0であるので、図3及び図4乃至図6で説明した作業と同様に、それぞれ間隔調整時間Tgを追加した状態で、裁断され、排出される。
【0062】
ただし、図9及び図11の用紙Pの場合、切除幅Dの大きさに応じて、図10の場合と異なる値の間隔調整時間Tgが設定される。すなわち、図9の製品配列パターンでは、切除幅Dが20mmであるので、間隔調整時間Tgによる調整間隔G(図5参照)が、10mmになるように、間隔調整時間Tgが設定される。一方、図11の製品配列パターンでは、切除幅Dが0mmであるので、間隔調整時間Tgによる調整間隔G(図5参照)が、30mmになるように、間隔調整時間Tgが設定される。
【0063】
[実施の形態の効果]
本実施の形態によると、用紙P上における先行製品と後行製品との間の切除幅Dが基準値30mm未満の場合は、間隔調整モードにより、切除幅Dよりも広い排出間隔(D+G)で、各製品を排出するので、先行製品と後行製品とが衝突したり、後行製品が先行製品の下側に入り込むのを防ぐことができる。これにより、紙受け部2上に、順序正しく、かつ、製品端縁を揃えた状態で、製品を積載することができる。
【0064】
一方、先行製品と後行製品との間の切除幅Dが基準値30mm以上の場合には、連続調整モードにより、無駄に時間をかけることなく、能率良く裁断及び排出ができ、また、先行製品と後行製品とが衝突したり、後行製品が先行製品の下側に入り込んだりすることもない。
【0065】
(1)間隔調整モードにおいて、用紙搬送上流側の第1の搬送ローラ対11の停止時間(間隔調整時間Tg)を調整することにより、排出間隔(D+G)を簡単に変更することができる。
【0066】
(2)前記排出間隔(D+G)の所定値30mmは、紙受け部2に製品を排出する際に、前記先行製品と前記後行製品とが衝突しない大きさであるので、先行製品と後行製品との衝突を、確実に防ぐことができる。
【0067】
(3)裁断機構32の作動中、第1及び第2の搬送ローラ対11,12が常時停止するように制御されるので、裁断工程時、綺麗にかつ正確な位置で、用紙を裁断することができる。特に、第1の搬送ローラ対11と第2の搬送ローラ対12との間の用紙の受け渡し時に、各搬送ローラ対の加速途中における周速差による皺の発生などが防止でき、また、簡易な制御で管理できる。
【0068】
[間隔調整モードの別の例]
図12乃至図15は、間隔調整モードの別の例を示しており、前記図3乃至図6に対応する図である。
【0069】
図12に示すように、間隔調整モードにおいて、間隔調整時間Tgを、切除領域形成時間Tdの後端の裁断時間Tc2の直後に設定している。その他の構成は、前記図3と同様である。
【0070】
したがって、図13のように切除領域X1の前端を裁断し、次に図14のように切除領域X1の後端を裁断し、その直後に、図15のように、調整間隔Gを形成する。
【0071】
[間隔調整モードの別の例]
図16乃至図19は、間隔調整モードのさらに別の例を示しており、前記図3乃至図6に対応する図である。
【0072】
図16に示すように、間隔調整モードにおいて、間隔調整時間Tgを、切除領域形成時間Tdの後端の裁断時間Tc2の後、一定の用紙送り時間Tfを経た時点に設定している。その他の構成は、前記図3と同様である。
【0073】
したがって、図17のように切除領域X1の前端を裁断し、次に図18のように切除領域X1の後端を裁断し、その後、図19のように、一定距離だけ用紙を送り、後行製品Q2が第2の搬送ローラ対12に挟持された時点で、間隔調整作業を終了する。
【0074】
[その他の実施の形態]
(1)前記図8乃至図11の各製品配列パターンでは、一枚の用紙P内における複数の切除幅Dは、総て同じ値に設定されているが、一枚の用紙内でも、異なる大きさの切除幅Dが設定されている場合には、切除領域X1毎に、連続裁断モードと、間隔調整モードとを切り換える。これによると、各切除領域の切除幅に応じて、連続裁断モードと間隔調整モードとを切り換えるので、製品毎に確実に製品の衝突等を防ぐことができる。
【0075】
(2)第1及び第2の搬送ローラ対の搬送速度の増加に伴い、前記切除幅Dの前記基準値が増加するように、制御することもできる。これによると、搬送速度が増大して、前後の製品の衝突の発生率が大きくなっても、確実に前後の製品の衝突等を防ぐことができる。
【0076】
(3)前記実施の形態では、用紙搬送方向と直交する方向の裁断と、搬送方向と平行なスリット形成とを、行っているが、前記裁断のみ、あるいは折り型形成機構による折り工程を加えた加工においても、本発明を適用することができる。この場合、裁断機構は、最終工程に配置することが好ましい。ちなみに、裁断後に、折り型を形成すると、用紙がばらけてしまい、正確に折り目を形成することが難しくなる。
【符号の説明】
【0077】
2 紙受け部
11,12 搬送ローラ対
17 裁断駆動部
21,22 ローラ駆動部(駆動機構)
25 制御部
30 スリット形成機構
32 裁断機構
P 用紙
Q1、Q2,Q3、Q4,Q5 製品
D 切除幅
X1 切除領域
Td 切除領域形成時間
Tg 間隔調整時間
T+D 排出間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙加工装置の制御方法に関し、特に、用紙搬送方向と直交する方向に用紙を裁断する裁断機構を有する、用紙加工装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
裁断機構を有する用紙加工装置は、通常、図20に示すように、裁断機構201の用紙搬送方向Fの上流側と下流側とに、それぞれ搬送ローラ202,203を備えており、裁断機構201の運転と共に、両搬送ローラ202,203を同期駆動し、かつ、同期に停止することにより、用紙Pの所定箇所を連続的に裁断し、裁断された製品Q1、Q2、…等を連続的に紙受け部204に排出するようになっている(特許文献1等)。
【0003】
また、用紙Pの製品配列パターンとして、たとえば図8に示すように、用紙搬送方向Fの下流側から順に、複数の製品(ハッチングで示す)Q1、Q2…等を並べて配列している場合には、搬送方向Fに隣り合う製品Q1Q2間、製品Q2Q3間、及び製品Q3Q4間に、切除幅Dを有する切除領域X1が設定されており、裁断加工時に、前記切除領域X1を切除することにより、各製品Q1,Q2,Q3,Q4の端縁を綺麗に裁断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−239312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、図8のような製品配列パターンにおいて、用紙の面積を、無駄なく効率良く利用するために、切除領域X1の切除幅Dを小さく設定した場合には、温度や湿度等の作業環境条件、用紙の種類あるいは搬送速度によって、次のような不具合が生じる可能性が有る。
【0006】
すなわち、図20に示すように、紙受け部204に排出される際、先行製品Q1と後行製品Q2とが衝突し、ジャム状態になったり、後行製品Q2が先行製品Q1の下側に入り込み、紙受け部204上の積載順序が狂ったり、あるいは紙受け部204上での用紙端縁の揃えが乱れたりすることがある。
【0007】
特に製品Q1等が、名簿順に宛名を記載した請求書あるいは納品書や、トランプ等、正しい順序で積載する必要がある場合では、積載順序が乱れると、切断後の製品の整理に手間がかかる。
【0008】
本発明の目的は、製品に裁断後、順次排出される際に、先行製品と後行製品とが衝突しり、後行製品が先行製品の下側に入り込んだりするのを防止することにより、紙受け部上に整然と、かつ、積載順序が乱れることなく、排出し、積載できる用紙加工装置の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、用紙搬送方向に対して直交する方向に用紙を裁断する裁断機構と、該裁断機構の用紙搬送上流側及び下流側に配置された第1及び第2の搬送ローラと、該第1及び第2の搬送ローラを、個々独立に作動可能な駆動機構と、該駆動機構を制御する制御部と、用紙搬送下流側の前記第2の搬送ローラの用紙搬送下流側に配置された紙受け部と、を備え、前記裁断機構により前記各用紙を複数の製品に裁断する、用紙加工装置の制御方法において、用紙搬送方向に隣り合う先行製品と後行製品との間の切除領域の用紙搬送方向の切除幅が、基準値以上の場合に、前記第1及び第2の搬送ローラが、常時同期作動して連続裁断を行う、連続裁断モードと、前記切除幅が0から前記基準値未満の場合に、用紙搬送方向上流側の前記第1の搬送ローラを一時停止させ、用紙搬送方向下流側の前記第2の搬送ローラのみを作動させることにより、裁断後の前記先行製品と前記後行製品との間に所定値以上の排出間隔を確保する、間隔調整モードと、に切換自在となっている。
【0010】
本発明は、上記内容に加え、好ましくは、次の構成を備えることができる。
(a)前記間隔調整モードにおいて、用紙搬送上流側の前記第1の搬送ローラの停止時間を調整することにより、前記排出間隔の大きさを調整する。
【0011】
(b)前記排出間隔の前記所定値は、前記紙受け部に前記製品を排出する際に、前記先行製品と前記後行製品とが衝突しない大きさである。
【0012】
(c)前記各用紙に、前記切除領域が複数設定されている場合に、前記切除領域毎に、前記連続裁断モードと前記間隔調整モードとを、選択的に適用する。
【0013】
(d)前記第1及び第2の搬送ローラの搬送速度の増加に伴い、前記排出間隔の所定値が増加するように、制御される。
【0014】
(e)前記裁断機構の作動中、前記第1及び第2の搬送ローラが常時停止するように制御される。
【発明の効果】
【0015】
(1)本発明によると、用紙上における先行製品と後行製品との間の切除幅が小さい(短い)場合には、間隔調整モードにより、前記両製品間の排出間隔を広げて、各製品を排出するので、先行製品と後行製品とが衝突したり、後行製品が先行製品の下側に入り込んだりするのを防ぐことができる。これにより、用紙ジャムを防ぎ、紙受け部上に、順序正しく、かつ、製品端縁を整然と揃えた状態で、製品を積載することができる。
【0016】
一方、用紙上における先行製品と後行製品との間の切除幅が十分に大きい(長い)場合には、連続裁断モードにより、無駄に時間をかけることなく、能率良く裁断及び排出ができる。
【0017】
(2)構成(a)によると、間隔調整モードにおける排出間隔を、簡単に調整することができる。
【0018】
(3)構成(b)によると、先行製品と後行製品との衝突を、確実に防ぐことができる。
【0019】
(4)構成(c)によると、一枚の用紙に複数の異なる大きさの切除領域が存在していても、各切除領域の切除幅に応じて、連続裁断モードと間隔調整モードとを切り換えるので、製品毎に確実に製品の衝突等を防ぐことができる。
【0020】
(5)一般に、搬送速度が増加すると、それに伴い先行製品と後行製品との衝突の可能性が大きくなるが、構成(d)によると、搬送速度の増加に伴って、排出間隔を広げるようにしているので、高速搬送時でも、確実に製品同士の衝突等を防ぐことができる。
【0021】
(6)構成(e)によると、裁断工程時、綺麗にかつ正確な位置で、用紙を裁断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る制御方法を実施する用紙加工装置の模式縦断面図である。
【図2】図1の裁断機構の斜視図である。
【図3】間隔調整モードの一例であり、搬送ローラ等のタームチャートを示す図である。
【図4】間隔調整モードの前記一例における初期裁断工程を示す断面略図である。
【図5】図4に続く中間裁断行程を示す断面略図である。
【図6】図5に続く後期裁断行程を示す断面略図である。
【図7】連続裁断モードの一例であり、搬送ローラ等のタームチャートを示す図である。
【図8】用紙の製品配列パターンの一例を示す平面図である。
【図9】用紙の製品配列パターンの別の例を示す平面図である。
【図10】用紙の製品配列パターンの別の例を示す平面図である。
【図11】用紙の製品配列パターンの別の例を示す平面図である。
【図12】間隔調整モードの別の例であり、搬送ローラ等のタームチャートを示す図である。
【図13】図12の間隔調整モードの例における初期裁断行程を示す断面略図である。
【図14】図13に続く中間裁断行程を示す断面略図である。
【図15】図14に続く後期裁断行程を示す断面略図である。
【図16】間隔調整モードのさらに別の例であり、搬送ローラ等のタームチャートを示す図である。
【図17】図16に示す間隔調整モードの例における初期裁断行程を示す断面略図である。
【図18】図17に続く中間裁断行程を示す断面略図である。
【図19】図18に続く後期裁断行程を示す断面略図である。
【図20】従来例の動作を示す断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[用紙加工装置の構成]
図1は本発明に係る制御方法を実施する用紙加工装置の模式縦断面図である。この図1において、用紙加工装置は、装置本体1の用紙搬送方向Fの下流端部に紙受け部2を備え、用紙搬送方向Fの上流端部に給紙部3を備え、該給紙部3と紙受け部2との間に、略水平な搬送経路5が構成されている。搬送経路5の途中には、複数の搬送ローラ対9、10、11、12等が用紙搬送方向Fに間隔をおいて配置されており、各搬送ローラ対9,10、11、12間に、用紙搬送方向Fの上流側から順に、スリット形成機構30、折り型形成機構31及び裁断機構32が配置されている。
【0024】
各搬送ローラ対9,10,11,12は、それぞれ上下一対の搬送ローラ9A、9B、10A、10B、11A、11B、12A、12Bから構成されている。下側の各搬送ローラ9B、10B、11B,12Bは、駆動側ローラであり、それぞれローラ駆動部19,20,21,22に、動力伝達機構を介して連結されており、各ローラ駆動部19,20,21,22の駆動力により、それぞれ個々独立に矢印方向に回転する。これにより、用紙Pを上下から挟持した状態で、搬送方向Fに搬送する。駆動側の各搬送ローラ9B、10B、11B、12Bは、表面がウレタンでできており、摩擦により大きな搬送力が発生する。一方、従動側の各搬送ローラ9A、10A、11A、12Aはスポンジ等の軟性部材でできており、用紙の表面を傷付けないようになっている。
【0025】
スリット形成機構30、折り型形成機構31及び裁断機構32は、それぞれ着脱可能なユニットとして構成されており、カセット方式により、装置本体1内の所望の位置に着脱できる構造となっている。したがって、加工の種類に応じて、各機構30,31,32の配置順序を変更したり、あるいは他の機構(面取り機構等)を装着することができる。
【0026】
スリット形成機構30は、該実施の形態では、用紙搬送方向Fに4つのユニット部を並べており、各ユニット部には、上下の回転刃30A,30Bからなる回転刃対が、それぞれ搬送幅方向に間隔を置いて2組配置されている。下側の回転刃30Bは、動力伝達機構を介してモータ等の回転刃駆動部15に連結されている。すなわち、回転刃駆動部15の駆動力で下側の各回転刃30Bを回転させることにより、用紙Pに対して、用紙搬送方向Fと平行にスリットを形成するようになっている。なお、前記各回転刃対の搬送幅方向の間隔は任意に変更可能である。
【0027】
前記のように、スリット形成機構30を、用紙搬送方向Fに並べた4つのユニット部から構成していることにより、スリット形成機構用の上下の搬送ローラ9A、9Bも、各ユニット部間にそれぞれ配置されている。
【0028】
折り型形成機構31は、上端凹部を有する下型31Bと、前記凹部に嵌合する下端凸部を有する上型31Aとを備えており、前記上型31Aは、モータ等の型駆動部16に動力伝達機構を介して連結されている。すなわち、型駆動部16の駆動力で上型31Aを下降させることにより、用紙Pに対して、用紙搬送方向Fと直交する方向に折り目を形成する。
【0029】
裁断機構32は、用紙搬送幅方向に延びる下側の固定刃32Bと上側の可動刃32Aとから構成されており、上側の可動刃32Aは、動力伝達機構を介してモータ等の裁断駆動部17に連結されている。
【0030】
各ローラ駆動部19、20、21、22、回転刃駆動部15、型駆動部16及び裁断駆動部17は、装置本体1に内蔵された制御部25に電気的に接続されており、該制御部25には、各種作業設定を入力し、かつ、表示するための操作部(操作パネル等)26が電気的に接続されている。また、装置本体1内の下端部には、各機構30,31,32に亘って用紙搬送方向Fに長く形成されたくず箱27が配置されている。
【0031】
図2は、裁断機構32の一例であり、下側の固定刃32Bは搬送方向Fと直交する方向に延びるように略水平に配置され、上側の可動刃32Aは、水平に対して、刃先部32Aaから刃元部32Abに行くに従って低くなるように傾斜しており、用紙搬送方向Fの上流側に配置された上側ガイド体33に沿って上下方向に移動する。
【0032】
上側の可動刃32Aの刃元部32Abは、平行リンク機構36、クランク機構37及びギヤ伝動機構38を介して、裁断駆動部(駆動モータ)22に連動連結されており、裁断駆動部22の駆動動力により、上側可動刃32Aは、傾斜状態を保って上下方向に平行移動される。
【0033】
[用紙の製品配列パターン]
図8乃至図11は、裁断加工される用紙Pの各種製品配列パターンを示している。図8に示す製品配列パターンは、用紙搬送方向Fに製品(製品領域)Q1乃至Q4を4列に配置し、用紙搬送幅方向Wにも製品(製品領域)Q1乃至Q4を4列に配置している。この製品配列の場合、用紙搬送方向Fと平行な8本のスリット線Sと、用紙搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wと平行な8本の裁断線Eにより、合計16枚の製品Q1乃至Q4を切り出すことになる。
【0034】
用紙搬送方向Fに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q2間、製品Q2Q3間、製品Q3Q4間には、用紙搬送方向Fの切除幅Dを有する切除領域(いわゆるドブ形成領域)X1がそれぞれ設定されており、一方、用紙搬送幅方向Wに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q1間、製品Q2Q2間、製品Q3Q3間、製品Q4Q4間には、用紙搬送幅方向Wの切除幅Hを有する切除領域X2がそれぞれ設定されている。また、用紙の外周端部にも切除領域X1,X2がそれぞれ形成されている。用紙搬送方向Fの前記切除領域X1の切除幅Dは、10mmに設定されている。
【0035】
図9に示す用紙Pの製品配列パターンは、用紙搬送方向Fに製品Q1乃至Q3を3列に配置し、用紙搬送幅方向Wに製品Q1乃至Q3を4列に配置している。この製品配列の場合、用紙搬送方向Fと平行な8本のスリット線Sと、用紙搬送幅方向Wと平行な6本の裁断線Eにより、合計12枚の製品Q1乃至Q3を切り出すことになる。
【0036】
用紙搬送方向Fに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q2間、製品Q2Q3間と、用紙搬送幅方向Wに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q1間、製品Q2Q2間、製品Q3Q3間には、それぞれ切除領域X1、X2が設定されている。用紙搬送方向Fの前記切除領域X1の切除幅Dは、20mmに設定されている。
【0037】
図10に示す用紙Pの製品配列パターンは、図9と同様に、用紙搬送方向Fに製品Q1乃至Q3を3列に配置し、用紙搬送幅方向Wに製品Q1乃至Q3を4列に配置している。図9と異なる点は、用紙搬送方向Fの切除領域X1の切除幅Dが、30mmに設定されていることである。切除幅D以外は図9と同様の配列パターンである。
【0038】
図11に示す用紙Pの製品配列パターンは、用紙搬送方向Fに製品Q1乃至Q5を5列に配置し、用紙搬送幅方向Wに製品Q1乃至Q5を4列に配置している。
【0039】
用紙搬送幅方向Wに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q1間、製品Q2Q2間、製品Q3Q3間、製品Q4Q4間、製品Q5Q5には、切除領域X2が設定されているが、用紙搬送方向Fに隣り合う製品間、すなわち製品Q1Q2間、製品Q2Q3間、製品Q3Q4間、製品Q4Q5間は、切除領域の切除幅Dが0に設定されている。すなわち、実質的に切除領域が存在しない状態となっている。
【0040】
(制御部25による制御内容)
図1の制御部25の記憶部内には、裁断工程の制御に関し、裁断機構32の作動及び停止と、該裁断機構32の用紙搬送方向Fの上流側(以下、単に「用紙搬送上流側」という)及び用紙搬送方向Fの下流側(以下、単に「用紙搬送下流側」という)の各搬送ローラ対11、12の作動及び停止について、前記切除幅Dのみに略対応する排出間隔により紙受け部2に製品を排出する連続裁断モードと、前記切除幅Dより大きな間隔(D+G)まで排出間隔を増大させて、紙受け部2に製品を排出する間隔調整モードとがプログラムされており、操作部26で入力設定される切除幅Dの大きさに応じて、上記両モードを切り換えようになっている。なお、説明の都合上、裁断機構32の用紙搬送上流側の搬送ローラ対11を「第1の搬送ローラ対」と称し、裁断機構32の用紙搬送下流側の搬送ローラ対12を「第2の搬送ローラ対」と称する。
【0041】
該実施の形態では、連続裁断モードと間隔調整モードとを切り換える切除幅Dの基準値を30mmに設定しており、操作部26で入力される切除幅Dが30mm以上の時には、連続裁断モードを実行し、操作部26で入力される切除幅が0〜30mm未満の時には、間隔調整モードを実行するように、制御部25に記憶されている。
【0042】
図3及び図7は、間隔調整モード及び連続裁断モードをそれぞれ実行する場合の裁断機構32及び第1及び第2の搬送ローラ対11,12の作動のタイムチャートを示している。横軸が時間である。図3及び図7において、上段は第1の搬送ローラ対11のオン、オフを示し、中段は裁断機構32のオン、オフを示し、下段は第2の搬送ローラ対12のオン、オフを示している。時間(区間)Tdは切除幅Dを確保するための切除領域形成時間であり、時間Tc1、Tc2は、裁断機構32が実際に作動している実裁断時間である。
【0043】
図7に示す連続裁断モードでは、切除領域形成時間Tdの前後両端に、実裁断時間Tc1,Tc2のみを確保している。各実裁断時間Tc1,Tc2では、第1及び第2の搬送ローラ対11,12は共に停止し、切除領域形成時間Td及びその他の用紙送り時間では、第1及び第2の搬送ローラ対11,12は同期駆動するように、プログラムされている。
【0044】
一方、図3に示す間隔調整モードでは、前側の実裁断時間Tc1の直後に、間隔調整時間Tgを確保しており、この間隔調整時間Tgでは、第1の搬送ローラ対11が停止し、第2の搬送ローラ対12のみが作動するように、プログラムされている。これにより、図5及び図6のように、製品排出時の排出間隔(D+G)として、少なくとも、先行製品Q1と後行製品Q2とが衝突しない所定値(たとえば30mm)が確保される。前記実切断時間Tc1及びTc2は、たとえば0。1〜0.3秒であり、第1及び第2の搬送ローラ対11,12による搬送速度は、最大で700m/sである。
【0045】
前記間隔調整時間Tgは、0〜30mm未満における切除幅Dの大きさによって、変更調整される。すなわち、切除幅Dが0〜30mm未満において、切除幅Dが小さくなるに従い、間隔調整時間Tgを増大させ、最終的に、図5及び図6に示すような排出間隔(G+D)が、少なくとも所定値(30mm)以上となるように制御される。
【0046】
また、排出間隔(D+G)の所定値は、搬送速度によっても変更されることが好ましく、この場合搬送速度が大きくなるに従い、前記排出間隔(D+G)が大きくなるように、設定される。
【0047】
[用紙加工装置の作業の概要]
図1において、給紙部3のトレイ上に複数の用紙Pが積載されており、図示しない給紙機構により、下端から一枚ずつ用紙Pが搬送経路5に供給される。
【0048】
最も用紙搬送上流側に配置された搬送ローラ対9によりスリット形成機構30に送り込まれた用紙Pには、複数の回転刃対により、順次、用紙搬送方向Fと平行なスリット(図8のスリット線S)が形成される。
【0049】
続いて、搬送ローラ対10により、折り型形成機構31に送り込まれた用紙Pは、今回は使用しない折り型形成機構31を通過し、次の第1の搬送ローラ対11により、裁断機構32内に送り込まれる。
【0050】
裁断機構32内では、後で詳細に説明するが、各裁断線E(図8乃至図11参照)が所定裁断位置まで送られた時に、用紙Pは一時停止し、上側可動刃32Aが下降することにより、裁断線E部分が、用紙搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wに裁断される。そして、最終的に裁断された製品は、紙受け部2に順次下側から積み上げられる。
【0051】
[裁断工程での制御]
説明を簡素化するために、各説明箇所に応じて、用紙搬送方向Fを前方又は前側と表現し、用紙搬送方向Fと反対方向を後方又は後側と表現して、説明する。
【0052】
(1)図8に示す製品配列パターンの用紙を加工する場合を説明する。
まず、前工程として、製品配列パターンに応じた各裁断線Eの位置を入力する。たとえば、図8において、用紙前端縁(用紙搬送方向Fの下流端縁)P0から各裁断線Eまでの距離を操作部26に入力すると共に、如何なる裁断線E間の距離が切除幅Dになるかを具体的に指定する。
【0053】
制御部25では、入力された用紙前端縁P0から各切断線Eまでの距離及び各切除幅Dに基づき、第1及び第2の搬送ローラ対11,12のオンオフ切換、裁断機構32のオンオフ切換の駆動信号を、各ローラ駆動部21,22及び裁断駆動部17に送る。上記演算及び処理過程において、入力された図8の各切除幅Dは、総て10mmであり、基準値30mm未満であるので、間隔調整モードが選択される。これにより、前記図3に示す間隔調整時間Tgが含まれるプログラムに基づいて、駆動信号が送られる。前記間隔調整時間Tgは、この間隔調整時間Tgと切除領域形成時間Tdとの合計時間により、図5に示す製品Q1Q2間の排出間隔(D+G)が、少なくとも所定値の30mm以上となるように設定される。すなわち、調整間隔Gが20mmになるように設定される。
【0054】
図4乃至図6は、前記図8に示す製品配列パターンの用紙Pを、図3に示すタイムチャートに基づいて、間隔調整モードで処理した時の作業工程を順次示している。
【0055】
図4は切除領域X1の前端を実裁断する初期裁断工程を示しており、切除領域X1の前端の裁断線Eが裁断機構32の所定裁断位置まで移動した時に、第1及び第2の搬送ローラ対11,12が停止し、この停止状態で、裁断機構32の上側可動刃32Aが下降することにより、用紙Pを裁断する。
【0056】
図5は切除領域形成のための中間裁断工程を示しており、第1の搬送ローラ対11を停止し、第2の搬送ローラ対12のみを回転させることにより、先行製品(たとえばQ1)の後端と切除領域X1の前端との間に、調整間隔G(20mm)を形成している。該調整間隔Gを確保した後、再度第1及び第2の搬送ローラ対11,12を同期駆動させる。
【0057】
図6は切除領域X1の後端を実裁断する後期裁断工程を示しており、切除領域X1の後端の裁断線Eが裁断機構32の所定裁断位置まで移動した時に、第1及び第2の搬送ローラ対11,12を停止し、この停止状態で、裁断機構32の上側可動刃32Aが下降することにより、用紙Pを裁断する。これにより、切除領域X1は独立した切除片(いわゆるドブ)となって、下方のくず箱27に落下する。この後、再度第1及び第2の搬送ローラ対11,12を同期駆動する。この時、先行製品Q1の後端と後行製品Q2の前端とは、少なくとも所定値の30mmの排出間隔(D+G)だけ離れた状態となり、この状態で、先行製品Q1は紙受け部2に排出される。
【0058】
したがって、順次製品Q1、Q2を裁断した場合でも、先行製品の後端と後行製品の前端との間には、常に30mm以上の排出間隔(D+G)が確保されるので、排出時に、先行製品と後行製品とが衝突したり、後行製品が先行製品の下側に入り込んだりする不具合を防止でき、紙受け部2上には、整然と揃えられた状態で、かつ、積算順序が乱れることなく、積載される。
【0059】
(2)図10の製品配列パターンの用紙を加工する場合を説明する。
図8の場合と同様に、前工程として、製品配列パターンに応じて用紙前端P0から各裁断線Eまでの距離を入力するが、切除幅Dが基準値30mmであるので、制御部25においては、図7のように間隔調整時間(Tg)の無い連続裁断モードのプログラムに基づいて、駆動信号が出される。
【0060】
したがって、裁断機構32おける裁断作業において、間隔調整時間Tgが確保されることなく連続裁断される。切除幅Dが30mmであるので、前期間隔調整時間を確保しなくとも、先行製品と後行製品とが衝突することなく、紙受け部2に製品を排出し、積載することができ、また、前期間隔調整時間を確保しないことにより、作業能率を維持できる。
【0061】
(3)図9及び図11の製品配列パターンの用紙を加工する場合を説明する。
図8の製品配列パターンと同様、切除幅Dが、基準値30mm未満又は0であるので、図3及び図4乃至図6で説明した作業と同様に、それぞれ間隔調整時間Tgを追加した状態で、裁断され、排出される。
【0062】
ただし、図9及び図11の用紙Pの場合、切除幅Dの大きさに応じて、図10の場合と異なる値の間隔調整時間Tgが設定される。すなわち、図9の製品配列パターンでは、切除幅Dが20mmであるので、間隔調整時間Tgによる調整間隔G(図5参照)が、10mmになるように、間隔調整時間Tgが設定される。一方、図11の製品配列パターンでは、切除幅Dが0mmであるので、間隔調整時間Tgによる調整間隔G(図5参照)が、30mmになるように、間隔調整時間Tgが設定される。
【0063】
[実施の形態の効果]
本実施の形態によると、用紙P上における先行製品と後行製品との間の切除幅Dが基準値30mm未満の場合は、間隔調整モードにより、切除幅Dよりも広い排出間隔(D+G)で、各製品を排出するので、先行製品と後行製品とが衝突したり、後行製品が先行製品の下側に入り込むのを防ぐことができる。これにより、紙受け部2上に、順序正しく、かつ、製品端縁を揃えた状態で、製品を積載することができる。
【0064】
一方、先行製品と後行製品との間の切除幅Dが基準値30mm以上の場合には、連続調整モードにより、無駄に時間をかけることなく、能率良く裁断及び排出ができ、また、先行製品と後行製品とが衝突したり、後行製品が先行製品の下側に入り込んだりすることもない。
【0065】
(1)間隔調整モードにおいて、用紙搬送上流側の第1の搬送ローラ対11の停止時間(間隔調整時間Tg)を調整することにより、排出間隔(D+G)を簡単に変更することができる。
【0066】
(2)前記排出間隔(D+G)の所定値30mmは、紙受け部2に製品を排出する際に、前記先行製品と前記後行製品とが衝突しない大きさであるので、先行製品と後行製品との衝突を、確実に防ぐことができる。
【0067】
(3)裁断機構32の作動中、第1及び第2の搬送ローラ対11,12が常時停止するように制御されるので、裁断工程時、綺麗にかつ正確な位置で、用紙を裁断することができる。特に、第1の搬送ローラ対11と第2の搬送ローラ対12との間の用紙の受け渡し時に、各搬送ローラ対の加速途中における周速差による皺の発生などが防止でき、また、簡易な制御で管理できる。
【0068】
[間隔調整モードの別の例]
図12乃至図15は、間隔調整モードの別の例を示しており、前記図3乃至図6に対応する図である。
【0069】
図12に示すように、間隔調整モードにおいて、間隔調整時間Tgを、切除領域形成時間Tdの後端の裁断時間Tc2の直後に設定している。その他の構成は、前記図3と同様である。
【0070】
したがって、図13のように切除領域X1の前端を裁断し、次に図14のように切除領域X1の後端を裁断し、その直後に、図15のように、調整間隔Gを形成する。
【0071】
[間隔調整モードの別の例]
図16乃至図19は、間隔調整モードのさらに別の例を示しており、前記図3乃至図6に対応する図である。
【0072】
図16に示すように、間隔調整モードにおいて、間隔調整時間Tgを、切除領域形成時間Tdの後端の裁断時間Tc2の後、一定の用紙送り時間Tfを経た時点に設定している。その他の構成は、前記図3と同様である。
【0073】
したがって、図17のように切除領域X1の前端を裁断し、次に図18のように切除領域X1の後端を裁断し、その後、図19のように、一定距離だけ用紙を送り、後行製品Q2が第2の搬送ローラ対12に挟持された時点で、間隔調整作業を終了する。
【0074】
[その他の実施の形態]
(1)前記図8乃至図11の各製品配列パターンでは、一枚の用紙P内における複数の切除幅Dは、総て同じ値に設定されているが、一枚の用紙内でも、異なる大きさの切除幅Dが設定されている場合には、切除領域X1毎に、連続裁断モードと、間隔調整モードとを切り換える。これによると、各切除領域の切除幅に応じて、連続裁断モードと間隔調整モードとを切り換えるので、製品毎に確実に製品の衝突等を防ぐことができる。
【0075】
(2)第1及び第2の搬送ローラ対の搬送速度の増加に伴い、前記切除幅Dの前記基準値が増加するように、制御することもできる。これによると、搬送速度が増大して、前後の製品の衝突の発生率が大きくなっても、確実に前後の製品の衝突等を防ぐことができる。
【0076】
(3)前記実施の形態では、用紙搬送方向と直交する方向の裁断と、搬送方向と平行なスリット形成とを、行っているが、前記裁断のみ、あるいは折り型形成機構による折り工程を加えた加工においても、本発明を適用することができる。この場合、裁断機構は、最終工程に配置することが好ましい。ちなみに、裁断後に、折り型を形成すると、用紙がばらけてしまい、正確に折り目を形成することが難しくなる。
【符号の説明】
【0077】
2 紙受け部
11,12 搬送ローラ対
17 裁断駆動部
21,22 ローラ駆動部(駆動機構)
25 制御部
30 スリット形成機構
32 裁断機構
P 用紙
Q1、Q2,Q3、Q4,Q5 製品
D 切除幅
X1 切除領域
Td 切除領域形成時間
Tg 間隔調整時間
T+D 排出間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙搬送方向に対して直交する方向に用紙を裁断する裁断機構と、該裁断機構の用紙搬送上流側及び下流側に配置された第1及び第2の搬送ローラと、該第1及び第2の搬送ローラを、個々独立に作動可能な駆動機構と、該駆動機構を制御する制御部と、用紙搬送下流側の前記第2の搬送ローラの用紙搬送下流側に配置された紙受け部と、を備え、前記裁断機構により前記各用紙を複数の製品に裁断する、用紙加工装置の制御方法において、
用紙搬送方向に隣り合う先行製品と後行製品との間の切除領域の用紙搬送方向の切除幅が、基準値以上の場合に、前記第1及び第2の搬送ローラが、常時同期作動して連続裁断を行う、連続裁断モードと、
前記切除幅が0から前記基準値未満の場合に、用紙搬送方向上流側の前記第1の搬送ローラを一時停止させ、用紙搬送方向下流側の前記第2の搬送ローラのみを作動させることにより、裁断後の前記先行製品と前記後行製品との間に所定値以上の排出間隔を確保する、間隔調整モードと、に切換自在となっている、用紙加工装置の制御方法。
【請求項2】
前記間隔調整モードにおいて、用紙搬送上流側の前記第1の搬送ローラの停止時間を調整することにより、前記排出間隔の大きさを調整する、請求項1記載の用紙加工装置の制御方法。
【請求項3】
前記排出間隔の前記所定値は、前記紙受け部に前記製品を排出する際に、前記先行製品と前記後行製品とが衝突しない大きさである、請求項1又は2記載の用紙加工装置の制御方法。
【請求項4】
前記各用紙に、前記切除領域が複数設定されている場合に、前記切除領域毎に、前記連続裁断モードと前記間隔調整モードとを、選択的に適用する、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の用紙加工装置の制御方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の搬送ローラの搬送速度の増加に伴い、前記排出間隔の所定値が増加するように、制御される請求項1乃至4のいずれか一つに記載の用紙加工装置の制御方法
【請求項6】
前記裁断機構の作動中、前記第1及び第2の搬送ローラが常時停止するように制御される、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の用紙加工装置の制御方法。
【請求項1】
用紙搬送方向に対して直交する方向に用紙を裁断する裁断機構と、該裁断機構の用紙搬送上流側及び下流側に配置された第1及び第2の搬送ローラと、該第1及び第2の搬送ローラを、個々独立に作動可能な駆動機構と、該駆動機構を制御する制御部と、用紙搬送下流側の前記第2の搬送ローラの用紙搬送下流側に配置された紙受け部と、を備え、前記裁断機構により前記各用紙を複数の製品に裁断する、用紙加工装置の制御方法において、
用紙搬送方向に隣り合う先行製品と後行製品との間の切除領域の用紙搬送方向の切除幅が、基準値以上の場合に、前記第1及び第2の搬送ローラが、常時同期作動して連続裁断を行う、連続裁断モードと、
前記切除幅が0から前記基準値未満の場合に、用紙搬送方向上流側の前記第1の搬送ローラを一時停止させ、用紙搬送方向下流側の前記第2の搬送ローラのみを作動させることにより、裁断後の前記先行製品と前記後行製品との間に所定値以上の排出間隔を確保する、間隔調整モードと、に切換自在となっている、用紙加工装置の制御方法。
【請求項2】
前記間隔調整モードにおいて、用紙搬送上流側の前記第1の搬送ローラの停止時間を調整することにより、前記排出間隔の大きさを調整する、請求項1記載の用紙加工装置の制御方法。
【請求項3】
前記排出間隔の前記所定値は、前記紙受け部に前記製品を排出する際に、前記先行製品と前記後行製品とが衝突しない大きさである、請求項1又は2記載の用紙加工装置の制御方法。
【請求項4】
前記各用紙に、前記切除領域が複数設定されている場合に、前記切除領域毎に、前記連続裁断モードと前記間隔調整モードとを、選択的に適用する、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の用紙加工装置の制御方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の搬送ローラの搬送速度の増加に伴い、前記排出間隔の所定値が増加するように、制御される請求項1乃至4のいずれか一つに記載の用紙加工装置の制御方法
【請求項6】
前記裁断機構の作動中、前記第1及び第2の搬送ローラが常時停止するように制御される、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の用紙加工装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
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【図5】
【図6】
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【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−91242(P2012−91242A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238257(P2010−238257)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(390002129)デュプロ精工株式会社 (351)
【Fターム(参考)】
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